(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転することによって第1レンズを光軸方向に移動させる第1リングおよび前記第1リングが回転可能となる回転位置と前記第1リングの回転を規制する規制位置との間で変位する第1固定ねじを有するレンズ装置と、前記レンズ装置を支持する支持部材とを備えたカメラ装置に取り付けられるカメラレンズ調整ずれ防止装置であって、
前記支持部材に固定される基部と、
前記基部に設けられ、前記第1リングの回転を規制する第1回転規制部材と
を備え、
前記第1回転規制部材は、前記基部に対して固定される第1固定部を有し、
前記第1固定部は、磁力を用いて前記基部に対して固定されるカメラレンズ調整ずれ防止装置。
前記第1回転規制部材は、前記第1固定部に対して径方向に移動可能に設けられ前記第1リングを径方向に挟むことによって前記第1リングの回転を規制する第1はさみ装置をさらに有している請求項1または請求項2に記載のカメラレンズ調整ずれ防止装置。
回転することによって第1レンズを光軸方向に移動させる第1リングおよび前記第1リングが回転可能となる回転位置と前記第1リングの回転を規制する規制位置との間で変位する第1固定ねじを有するレンズ装置と、前記レンズ装置を支持する支持部材とを備えたカメラ装置のカメラレンズ調整方法であって、
前記第1固定ねじの位置が前記回転位置である状態で、前記支持部材に基部を固定し、前記基部に設けられた第1回転規制部材を用いて前記第1リングの回転を規制する仮回転規制工程と、
前記仮回転規制工程の後、前記第1固定ねじを前記回転位置から前記規制位置に変位させる本回転規制工程と
を備え、
前記第1回転規制部材は、前記基部に対して固定される第1固定部を有し、
前記仮回転規制工程では、前記第1固定部は、磁力を用いて前記基部に対して固定されるカメラレンズ調整方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るカメラレンズ調整ずれ防止装置が取り付けられるカメラ装置を示す正面図、
図2は
図1のカメラ装置を示す側面図である。この例では、カメラ装置1Aは、監視カメラとして用いられる。なお、カメラ装置1Aは、監視カメラ以外として用いられてもよい。カメラ装置1Aは、レンズ装置11と、レンズ装置11を支持する支持部材12とを備えている。支持部材12は、図示しない土台を介して天井または壁に取り付けられる。
【0010】
レンズ装置11は、回転することによってズームレンズ(第1レンズ)を光軸方向に移動させるズームリング(第1リング)111と、ズームリング111が回転可能となる回転位置とズームリング111の回転を規制する規制位置との間で変位するズーム用固定ねじ(第1固定ねじ)112と、回転することによってフォーカスレンズ(第2レンズ)を光軸方向に移動させるフォーカスリング(第2リング)113と、フォーカスリング113が回転可能となる回転位置とフォーカスリング113の回転を規制する規制位置との間で変位するフォーカス用固定ねじ(第2固定ねじ)114とを有している。フォーカスリング113は、光軸方向についてズームリング111よりも被写体側に配置されている。
【0011】
図3は
図1のカメラ装置1Aにカメラレンズ調整ずれ防止装置が取り付けられた状態を示す図、
図4は
図3のカメラ装置1Aおよびカメラレンズ調整ずれ防止装置を示す側面図、
図5は
図4のカメラ装置1Aおよびカメラレンズ調整ずれ防止装置を示す断面図である。図において、カメラレンズ調整ずれ防止装置2Aは、支持部材12に固定される基部21と、基部21に設けられ、ズームリング111の回転を規制するズームリング回転規制部材(第1回転規制部材)22と、ズームリング回転規制部材22に設けられ、フォーカスリング113の回転を規制するフォーカスリング回転規制部材(第2回転規制部材)23とを備えている。
【0012】
基部21は、円筒形状の基部本体211と、基部本体211に設けられた4個のボルト212とを有している。基部本体211には、支持部材12が挿入される貫通孔213が形成されている。貫通孔213の径方向の寸法は、支持部材12の径方向の寸法よりも大きくなっている。4個のボルト212は、基部本体211に対して径方向に移動可能となっている。4個のボルト212は、周方向に並べて配置されている。4個のボルト212が支持部材12を径方向に挟むことによって、基部21が支持部材12に固定される。これにより、基部21は、径方向の寸法が異なる複数の支持部材12に対してボルト212の径方向の位置を変化させることによって、支持部材12に固定される。なお、基部本体211は、円筒形状に限らず、その他の形状であってもよい。また、基部本体211は、例えば、上部と下部とに切り離し可能な形状等、複数の分割部材から構成されてもよい。これにより、基部本体211を容易に支持部材12に固定することができる。また、基部21が有するボルト212の数は、4個に限らず、基部21を支持部材12に固定できる数であればよい。
【0013】
ズームリング回転規制部材22は、基部21に対して固定される円筒形状の第1固定部221と、第1固定部221に設けられた2個のボルト222とを有している。第1固定部221には、ズームリング111が挿入される貫通孔223が形成されている。貫通孔223の径方向の寸法は、ズームリング111の径方向の寸法よりも大きくなっている。2個のボルト222は、第1固定部221に対して径方向に移動可能となっている。2個のボルト222は、ズームリング111を径方向に挟むように配置されている。2個のボルト222は、ズームリング111を径方向に挟むことによってズームリング111の回転を規制する。これにより、ズームリング回転規制部材22は、径方向の寸法が異なる複数のズームリング111に対してボルト222の径方向の位置を変化させることによって、ズームリング111の回転を規制する。なお、第1固定部221は、円筒形状に限らず、その他の形状であってもよい。また、第1固定部221は、例えば、上部と下部とに切り離し可能な形状等、複数の分割部材から構成されてもよい。これにより、ズームリング回転規制部材22を容易にズームリング111に取り付けることができる。2個のボルト222は、第1はさみ装置を構成する。なお、ズームリング回転規制部材22が有するボルト222は、2個に限らず、ズームリング111の回転を規制することができる数であればよい。
【0014】
フォーカスリング回転規制部材23は、第1固定部221に対して固定される円筒形状の第2固定部231と、第2固定部231に設けられた2個のボルト232とを有している。第2固定部231には、フォーカスリング113が挿入される貫通孔233が形成されている。貫通孔233の径方向の寸法は、フォーカスリング113の径方向の寸法よりも大きくなっている。2個のボルト232は、第2固定部231に対して径方向に移動可能となっている。2個のボルト232は、フォーカスリング113を径方向に挟むように配置されている。2個のボルト232は、フォーカスリング113を径方向に挟むことによってフォーカスリング113の回転を規制する。これにより、フォーカスリング回転規制部材23は、径方向の寸法が異なる複数のフォーカスリング113に対してボルト232の径方向の位置を変化させることによって、フォーカスリング113の回転を規制する。なお、第2固定部231は、円筒形状に限らず、その他の形状であってもよい。また、第2固定部231は、例えば、上部と下部とに切り離し可能な形状等、複数の分割部材から構成されてもよい。これにより、フォーカスリング回転規制部材23を容易にフォーカスリング113に取り付けることができる。2個のボルト232は、第2はさみ装置を構成する。なお、フォーカスリング回転規制部材23が有するボルト232は、2個に限らず、フォーカスリング113の回転を規制することができる数であればよい。
【0015】
図6は
図5のカメラレンズ調整ずれ防止装置2Aを分解した状態を示す平面図である。基部本体211は、鉄から構成されている。基部本体211における第1固定部221に対向する面には、複数の凹部214が形成されている。複数の凹部214は、周方向に並べて配置されている。
【0016】
第1固定部221は、磁石から構成されている。したがって、第1固定部221は、基部本体211に近づけることによって、磁力を用いて基部本体211に対して固定される。第1固定部221は、第1固定部221における基部本体211に対向する面に形成された複数の凸部224を有している。複数の凸部224は、周方向に並べて配置されている。また、複数の凸部224は、複数の凹部214に挿入されるように配置されている。凸部224が凹部214に挿入されることによって、周方向についての基部本体211に対する第1固定部221の回転がより確実に規制される。第1固定部221における第2固定部231に対向する面には、複数の凹部225が形成されている。複数の凹部225は、周方向に並べて配置されている。第1固定部221には、第1固定部221における基部本体211に対向する面から第2固定部231に向かって延びた溝226が形成されている。溝235は、ズーム用固定ねじ112が挿入可能となっている。
【0017】
第2固定部231は、磁石から構成されている。第2固定部231における第1固定部221に対向する面の磁極は、第1固定部221における第2固定部231に対向する面の磁極と異なるようになっている。したがって、第2固定部231は、第1固定部221に近づけることによって、磁力を用いて第1固定部221に対して固定される。第2固定部231は、第2固定部231における第1固定部221に対向する面に形成された複数の凸部234を有している。複数の凸部234は、周方向に並べて配置されている。また、複数の凸部234は、複数の凹部225に挿入されるように配置されている。凸部234が凹部225に挿入されることによって、周方向についての第1固定部221に対する第2固定部231の回転がより確実に規制される。第2固定部231には、第2固定部231における第1固定部221に対向する面から被写体側に向かって延びた溝235が形成されている。溝235は、フォーカス用固定ねじ114が挿入可能となっている。
【0018】
次に、カメラレンズ調整ずれ防止装置2Aを用いたカメラレンズ調整方法について説明する。まず、ズーム用固定ねじ112およびフォーカス用固定ねじ114の位置を回転位置にした状態で、基部21を支持部材12に固定し、ズームリング回転規制部材22をズームリング111に取り付け、フォーカスリング回転規制部材23をフォーカスリング113に取り付ける。このとき、基部21とズームリング回転規制部材22との間には磁力による引力が発生し、ズームリング回転規制部材22とフォーカスリング回転規制部材23との間には磁力による引力が発生する。したがって、ズームリング回転規制部材22は基部21に接続され、フォーカスリング回転規制部材23はズームリング回転規制部材22に接続される。また、このとき、ボルト222の位置は、ズームリング回転規制部材22がまだズームリング111の回転を規制しない位置であり、ボルト232の位置は、フォーカスリング回転規制部材23がまだフォーカスリング113の回転を規制しない位置である。
【0019】
その後、ズームリング111を回転させてズームレンズの位置を調整し、フォーカスリング113を回転させてフォーカスレンズの位置を調整する。ズームリング111を回転させる場合には、ズームリング回転規制部材22を基部21から切り離し、フォーカスリング113を回転させる場合には、フォーカスリング回転規制部材23をズームリング回転規制部材22から切り離す。
【0020】
ズームレンズおよびフォーカスレンズのそれぞれの位置の調整が終了した後、ボルト222を径方向に移動させてズームリング回転規制部材22がズームリング111の回転を規制し、ボルト232を径方向に移動させてフォーカスリング回転規制部材23がフォーカスリング113の回転を規制する(仮回転規制工程)。
【0021】
仮回転規制工程の後、ズーム用固定ねじ112およびフォーカス用固定ねじ114を回転位置から規制位置に変位させる(本回転規制工程)。このとき、ズームリング回転規制部材22によりズームリング111の回転が規制され、フォーカスリング回転規制部材23によりフォーカスリング113の回転が規制されているので、ズーム用固定ねじ112またはフォーカス用固定ねじ114に周方向の力が加えられた場合であっても、ズームリング111およびフォーカスリング113が回転することが防止される。これにより、ズームレンズおよびフォーカスレンズのそれぞれの調整位置がずれることが防止される。
【0022】
本回転規制工程の後、ズームリング回転規制部材22をズームリング111から取り外し、フォーカスリング回転規制部材23をフォーカスリング113から取り外し、基部21を支持部材12から取り外す(装置取外工程)。以上により、カメラレンズ調整ずれ防止装置2Aを用いたカメラレンズ調整方法が終了する。
【0023】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るカメラレンズ調整ずれ防止装置2Aによれば、支持部材12に固定される基部21と、基部21に設けられ、ズームリング111の回転を規制するズームリング回転規制部材22とを備えているので、支持部材12に基部21を固定し、基部21に設けられたズームリング回転規制部材22を用いてズームリング111の回転を規制することができる。これにより、ズーム用固定ねじ112を回転位置から規制位置に変位させる際に、ズームリング111が回転してしまうことを抑制することができる。その結果、ズームレンズの調整ずれの発生を抑制することができる。
【0024】
また、ズームリング回転規制部材22は、基部21に対して固定される第1固定部221を有し、第1固定部221は、磁力を用いて基部21に対して固定されるので、ズームリング回転規制部材22を基部21に簡単に取り付けることができ、また、ズームリング回転規制部材22を基部21から簡単に取り外すことができる。
【0025】
また、基部21には、凹部214が形成され、第1固定部221には、凹部214に挿入される凸部224を有し、凸部224が凹部214に挿入されることによって、基部21に対する第1固定部221の回転が規制されるので、簡単な構成で、基部21に対するズームリング回転規制部材22の回転を規制することができる。
【0026】
また、ズームリング回転規制部材22は、第1固定部221に対して径方向に移動可能に設けられズームリング111を径方向に挟むことによってズームリング111の回転を規制する第1はさみ装置をさらに有しているので、ズームリング回転規制部材22は、径方向の寸法が異なる複数のズームリング111に対して第1はさみ装置の径方向の位置を変化させることによって、ズームリング111の回転を規制することができる。
【0027】
また、カメラレンズ調整ずれ防止装置2Aは、ズームリング回転規制部材22に設けられフォーカスリング113の回転を規制するフォーカスリング回転規制部材23を備えているので、フォーカス用固定ねじ114を回転位置から規制位置に変位させる際に、フォーカスリング113が回転してしまうことを抑制することができる。その結果、フォーカスレンズの調整ずれの発生を抑制することができる。
【0028】
また、この発明の実施の形態1に係るカメラレンズ調整方法によれば、ズーム用固定ねじ112の位置が回転位置である状態で、支持部材12に基部21を固定し、基部21に設けられたフォーカスリング回転規制部材23を用いてズームリング111の回転を規制する仮回転規制工程と、仮回転規制工程の後、ズーム用固定ねじ112を回転位置から規制位置に変位させる本回転規制工程とを備えているので、支持部材12に基部21を固定し、基部21に設けられたズームリング回転規制部材22を用いてズームリング111の回転を規制することができる。これにより、ズーム用固定ねじ112を回転位置から規制位置に変位させる際に、ズームリング111が回転してしまうことを抑制することができる。その結果、ズームレンズの調整ずれの発生を抑制することができる。
【0029】
なお、上記実施の形態1では、ズームリング回転規制部材22をズームリング111に取り付け、フォーカスリング回転規制部材23をフォーカスリング113に取り付けた後に、ズームリング111を回転させてズームレンズの位置を調整し、フォーカスリング113を回転させてフォーカスレンズの位置を調整するカメラレンズ調整方法について説明したが、ズームリング111を回転させてズームレンズの位置を調整し、フォーカスリング113を回転させてフォーカスレンズの位置を調整した後に、ズームリング回転規制部材22をズームリング111に取り付け、フォーカスリング回転規制部材23をフォーカスリング113に取り付けてもよい。
【0030】
また、上記実施の形態1では、本回転規制工程の後に、装置取外工程を行うカメラレンズ調整方法について説明したが、装置取外工程を行わずに、カメラレンズ調整ずれ防止装置2Aをカメラ装置1Aに取り付けたままとするカメラレンズ調整方法であってもよい。
【0031】
実施の形態2.
図7はこの発明の実施の形態2に係るカメラレンズ調整ずれ防止装置を示す側面図、
図8は
図7のカメラレンズ調整ずれ防止装置を分解した状態を示す平面図、
図9は
図8のIX−IX線に沿った矢視断面図である。図において、カメラレンズ調整ずれ防止装置2Bは、支持部材12に固定される基部21と、基部21に設けられ、ズームリング111の回転を規制するズームリング回転規制部材24と、ズームリング回転規制部材24に設けられ、フォーカスリング113の回転を規制するフォーカスリング回転規制部材25とを備えている。基部21は、実施の形態1における基部21と同様の構成となっている。
【0032】
ズームリング回転規制部材24は、ズームリング111におけるズーム用固定ねじ112が取り付けられている部分を含む半周部分を覆う第1固定部241と、第1固定部241に設けられ、第1固定部241に対して周方向に移動可能な可動部242とを有している。第1固定部241には、ズーム用固定ねじ112が挿入可能な貫通孔243が形成されている。ズームリング回転規制部材24は、貫通孔243に挿入されたズーム用固定ねじ112を可動部242が貫通孔243とともに挟むことによって、ズームリング111の回転を規制する。可動部242および貫通孔243の側壁とによってズームリング111の回転が規制されている場合であっても、ズーム用固定ねじ112の回転は可能となっている。
【0033】
フォーカスリング回転規制部材25は、フォーカスリング113におけるフォーカス用固定ねじ114が取り付けられている部分を含む半周部分を覆う第2固定部251と、第2固定部251に設けられ、第2固定部251に対して周方向に移動可能な可動部252とを有している。第2固定部251には、フォーカス用固定ねじ114が挿入可能な貫通孔253が形成されている。フォーカスリング回転規制部材25は、貫通孔253に挿入されたフォーカス用固定ねじ114を可動部252が貫通孔253とともに挟むことによって、フォーカスリング113の回転を規制する。可動部252および貫通孔253の側壁とによってフォーカスリング113の回転が規制されている場合であっても、フォーカス用固定ねじ114の回転は可能となっている。
【0034】
第1固定部241は、磁石から構成されている。したがって、第1固定部241は、基部本体211に近づけることによって、磁力を用いて基部本体211に対して固定される。第1固定部241は、第1固定部241における基部本体211に対向する面に形成された複数の凸部244を有している。複数の凸部244は、周方向に並べて配置されている。また、複数の凸部244は、複数の凹部214に挿入されるように配置されている。凸部244が凹部214に挿入されることによって、周方向についての基部本体211に対する第1固定部241の回転がより確実に規制される。第1固定部241における第2固定部251に対向する面には、複数の凹部245が形成されている。複数の凹部245は、周方向に並べて配置されている。
【0035】
第1固定部241における第2固定部251に対向する面には、周方向に延びた溝246が形成されている。溝246は、第2固定部251側に配置された細部247と、光軸方向について細部247よりも第2固定部251から離れて配置された太部248とを有している。太部248における厚さ方向の寸法は、細部247における厚さ方向の寸法よりも大きくなっている。溝246には、断面T字状の空間が形成されている。
【0036】
第2固定部251は、磁石から構成されている。第2固定部251における第1固定部241に対向する面の磁極は、第1固定部241における第2固定部251に対向する面の磁極と異なるようになっている。したがって、第2固定部251は、第1固定部241に近づけることによって、磁力を用いて第1固定部241に対して固定される。第2固定部251は、第2固定部251における第1固定部241に対向する面に形成された複数の凸部254を有している。複数の凸部254は、周方向に並べて配置されている。また、複数の凸部254は、複数の凹部245に挿入されるように配置されている。凸部254が凹部245に挿入されることによって、周方向についての第1固定部241に対する第2固定部251の回転をより確実に規制される。
【0037】
第2固定部251における第1固定部241に対向する部分には、鍵部255が設けられている。鍵部255は、溝246に挿入されている。鍵部255は、細部247に挿入される小部256と、太部248に挿入される大部257とを有している。大部257の厚さ方向の寸法は、細部247の厚さ方向の寸法よりも大きくなっている。したがって、フォーカスリング回転規制部材25がズームリング回転規制部材24から離れる方向に移動させた場合に、鍵部255が溝246から引き抜かれることが防止されている。大部257における奥行方向の寸法は、太部248の奥行方向の寸法よりも小さくなっている。したがって、大部257は、太部248の中で奥行方向に移動可能となっている。ここで、奥行方向とは、光軸方向である。大部257が太部248における細部247側の部分にある場合には、凸部254が凹部245から引き抜かれる。したがって、この場合、フォーカスリング回転規制部材25は、ズームリング回転規制部材24に対して周方向に回転可能となる。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0038】
次に、カメラレンズ調整ずれ防止装置2Bを用いたカメラレンズ調整方法について説明する。まず、ズーム用固定ねじ112およびフォーカス用固定ねじ114の位置を回転位置にした状態で、基部21を支持部材12に固定し、ズームリング回転規制部材24をズームリング111に取り付け、フォーカスリング回転規制部材25をフォーカスリング113に取り付ける。このとき、基部21とズームリング回転規制部材24との間には磁力による引力が発生し、ズームリング回転規制部材24とフォーカスリング回転規制部材25との間には磁力による引力が発生する。したがって、ズームリング回転規制部材24は基部21に接続され、フォーカスリング回転規制部材25はズームリング回転規制部材24に接続される。また、このとき、可動部242の位置は、ズームリング回転規制部材24がズームリング111の回転を規制しない位置であり、可動部252の位置は、フォーカスリング回転規制部材25がフォーカスリング113の回転を規制しない位置である。
【0039】
その後、ズームリング111を回転させてズームレンズの位置を調整し、フォーカスリング113を回転させてフォーカスレンズの位置を調整する。ズームリング111を回転させる場合には、ズームリング回転規制部材24を基部21から切り離し、フォーカスリング113を回転させる場合には、フォーカスリング回転規制部材25をズームリング回転規制部材24から離れる方向に移動させて凸部254を凹部245から引き抜く。
【0040】
ズームレンズおよびフォーカスレンズのそれぞれの位置の調整が終了した後、可動部242を周方向に移動させてズームリング回転規制部材24がズームリング111の回転を規制し、可動部252を周方向に移動させてフォーカスリング回転規制部材25がフォーカスリング113の回転を規制する(仮回転規制工程)。
【0041】
仮回転規制工程の後、ズーム用固定ねじ112およびフォーカス用固定ねじ114を回転位置から規制位置に変位させる(本回転規制工程)。このとき、ズームリング回転規制部材24によりズームリング111の回転が規制され、フォーカスリング回転規制部材25によりフォーカスリング113の回転が規制されているので、ズーム用固定ねじ112またはフォーカス用固定ねじ114に周方向の力が加えられた場合であっても、ズームリング111およびフォーカスリング113が回転することが防止される。これにより、ズームレンズおよびフォーカスレンズのそれぞれの調整位置がずれることが防止される。
【0042】
本回転規制工程の後、ズームリング回転規制部材24をズームリング111から取り外し、フォーカスリング回転規制部材25をフォーカスリング113から取り外し、基部21を支持部材12から取り外す(装置取外工程)。以上により、カメラレンズ調整ずれ防止装置2Aを用いたカメラレンズ調整方法が終了する。
【0043】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るカメラレンズ調整ずれ防止装置2Bによれば、ズームリング回転規制部材24は、第1固定部241と、第1固定部241に設けられ、第1固定部241に対して周方向に移動可能な可動部242とを有し、第1固定部241には、ズーム用固定ねじ112が挿入可能な貫通孔243が形成され、ズームリング回転規制部材24は、貫通孔243に挿入されたズーム用固定ねじ112を可動部242が貫通孔243とともに挟むことによって、ズームリング111の回転を規制するので、簡単な構成で、ズームリング111の回転を規制することができる。
【0044】
また、フォーカスリング回転規制部材25は、第2固定部251と、第2固定部251に設けられ、第2固定部251に対して周方向に移動可能な可動部252とを有し、第2固定部251には、フォーカス用固定ねじ114が挿入可能な貫通孔253が形成され、フォーカスリング回転規制部材25は、貫通孔253に挿入されたフォーカス用固定ねじ114を可動部252が貫通孔253とともに挟むことによって、フォーカスリング113の回転を規制するので、簡単な構成で、フォーカスリング113の回転を規制することができる。
【0045】
なお、上記実施の形態2では、本回転規制工程の後に、装置取外工程を行うカメラレンズ調整方法について説明したが、装置取外工程を行わずに、カメラレンズ調整ずれ防止装置2Bをカメラ装置1Aに取り付けたままとするカメラレンズ調整方法であってもよい。
【0046】
実施の形態3.
図10はこの発明の実施の形態3に係るカメラレンズ調整ずれ防止装置が取り付けられるカメラ装置を示す側面図、
図11は
図10のカメラ装置に取り付けられたカメラレンズ調整ずれ防止装置を示す側面図である。図において、カメラ装置1Bは、いわゆるドーム型となっている。カメラ装置1Bは、天井3に固定される基台13と、基台13から下方に延びた脚部14と、脚部14に設けられ支持部材12と、支持部材12に支持されたレンズ装置11と、基台13に設けられ、レンズ装置11を下方から覆うカバー15とを備えている。脚部14は、天井3に対して垂直に立てられている。脚部14は、脚部14の周方向について基台13に対して回転可能となっている。支持部材12は、脚部14に設けられ天井3に沿って延びた回転軸を中心に脚部14に対して回転可能となっている。したがって、カメラ装置1Bは、方位角および仰角が変更可能となっている。
【0047】
カメラレンズ調整ずれ防止装置2Cは、支持部材12に固定される基部21と、基部21に設けられ、ズームリング111の回転を規制するズームリング回転規制部材24と、ズームリング回転規制部材24に設けられ、フォーカスリング113の回転を規制するフォーカスリング回転規制部材25とを備えている。基部21は、ボルト26を用いて支持部材12に固定される。なお、基部21は、ボルト26に限らず、例えば、バンドを用いて支持部材12に固定されてもよい。その他の構成は、実施の形態2と同様である。
【0048】
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係るカメラレンズ調整ずれ防止装置2Cによれば、実施の形態2に係るカメラレンズ調整ずれ防止装置2Bと同様に、支持部材12に固定される基部21と、基部21に設けられ、ズームリング111の回転を規制するズームリング回転規制部材24とを備えているので、支持部材12に基部21を固定し、基部21に設けられたズームリング回転規制部材24を用いてズームリング111の回転を規制することができる。これにより、ズーム用固定ねじ112を回転位置から規制位置に変位させる際に、ズームリング111が回転してしまうことを抑制することができる。その結果、ズームレンズの調整ずれの発生を抑制することができる。
【0049】
なお、各上記実施の形態では、第1レンズがズームレンズであり、第1リングがズームリング111であり、第1固定ねじがズーム用固定ねじ112であり、第2レンズがフォーカスレンズであり、第2リングがフォーカスリング113であり、第2固定ねじがフォーカス用固定ねじ114である構成について説明したが、第2レンズがズームレンズであり、第2リングがズームリング111であり、第2固定ねじがズーム用固定ねじ112であり、第1レンズがフォーカスレンズであり、第1リングがフォーカスリング113であり、第1固定ねじがフォーカス用固定ねじ114である構成であってもよい。第1レンズがフォーカスレンズであり、第2レンズがズームレンズである場合には、ボルト232が第1はさみ装置を構成し、ボルト222が第2はさみ装置を構成する。
【0050】
また、各上記実施の形態では、第1レンズと、第1リングと、第1固定ねじと、第2レンズと、第2リングと、第2固定ねじとを有するレンズ装置の構成について説明したが、第1レンズと、第1リングと、第1固定ねじとを有するレンズ装置の構成、または、第2レンズと、第2リングと、第2固定ねじとを有するレンズ装置の構成であってもよい。
【0051】
また、各上記実施の形態において、最も被写体側に設けられたレンズの表面にレンズを保護する透明シートをさらに備えた構成であってもよい。透明シートによって、カメラレンズ調整作業中に、作業者がレンズの表面に触れる等によるレンズの表面への汚れの付着を防止することができる。この場合、透明シートに水平方向および鉛直方法を示す十字記号を付してもよい。これにより、カメラ装置が撮影する画像を見ることによって、カメラ装置の水平面に対する傾きを検出することができる。
【0052】
また、各上記実施の形態では、第1固定部が磁力を用いて基部21に対して固定される構成について説明したが、磁力を用いずに第1固定部が基部21に対して固定される構成であってもよい。また、第2固定部が磁力を用いて第1固定部に固定される構成について説明したが、磁力を用いずに第2固定部が第1固定部に固定される構成であってもよい。