(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6584404
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】車両のオートマチックトランスミッションのための操作要素の移動の設定のための装置及び方法並びに車両のオートマチックトランスミッションをシフトするためのシフト装置
(51)【国際特許分類】
F16H 63/34 20060101AFI20190919BHJP
B60K 20/02 20060101ALI20190919BHJP
G05G 5/05 20060101ALI20190919BHJP
G05G 5/04 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
F16H63/34
B60K20/02 E
G05G5/05
G05G5/04 B
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-534231(P2016-534231)
(86)(22)【出願日】2014年10月29日
(65)【公表番号】特表2016-538504(P2016-538504A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】EP2014073167
(87)【国際公開番号】WO2015078650
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2017年10月2日
(31)【優先権主張番号】102013224494.0
(32)【優先日】2013年11月29日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー・イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ローゼントレーター・ザシャ
【審査官】
塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0028886(US,A1)
【文献】
特開2004−142729(JP,A)
【文献】
特表2011−506884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 63/34
B60K 20/02
G05G 5/04
G05G 5/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)のオートマチックトランスミッション(102)のための操作要素(115)の移動の設定のための装置(120)であって、該装置(120)が、回転可能なシャフト(320)と、前記操作要素(115)を支持するための支持装置(310)とを備えており、該支持装置(310)が、第1の移動軸に関して前記シャフト(320)に対して相対的に、かつ、第2の移動軸に関して中立位置と偏向位置の間で前記操作要素(115)と共に移動可能である前記装置において、
前記中立位置から前記偏向位置への前記支持装置(310)の移動を阻止する阻止要素(330)を備え、該阻止要素(330)を作動させるための作動要素(322)と、前記支持装置(310)を前記偏向位置から前記中立位置へ復帰させるための復帰要素(324)とが前記シャフト(320)に配置されていること、及び前記復帰要素(324)が前記シャフト(320)において中心に又は偏心して配置されたディスクを備えており、該ディスクの厚さが該ディスクの周囲の少なくとも一部において初期厚さから復帰厚さへ増大していることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記作動要素(322)が、前記シャフト(320)の周囲の一部において前記シャフト(320)の周面から径方向へ離れるように延在する作動突起部を備えており、前記阻止要素(330)が、軸線周りに旋回可能なレバーを備えていることを特徴とする請求項1記載の装置(120)。
【請求項3】
前記作動要素(322)が前記シャフト(320)の第1の周囲部分に配置されており、前記復帰要素(324)が、前記第1の周囲部分とは異なる前記シャフトの第2の周囲部分に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置(120)。
【請求項4】
前記支持装置(310)が、前記阻止要素(330)の収容のための係合部分(312)を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置(120)。
【請求項5】
前記支持装置(310)が、前記復帰要素(324)との相互作用のための接触表面(314)を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置(120)。
【請求項6】
前記シャフト(320)の駆動のための駆動装置を備えており、該駆動装置及び前記シャフト(320)がウォームギヤを用いて互いに結合可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置(120)。
【請求項7】
前記シャフト(320)、前記作動要素(322)及び前記復帰要素(324)が一体的に成形されており、前記阻止要素(330)が、前記シャフト(320)から分離して支持されているとともに、前記作動要素(322)による作動時に第2の移動軸に関して前記中立位置から前記偏向位置への前記支持装置(310)の移動が阻止されるように形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置(120)。
【請求項8】
車両(100)のオートマチックトランスミッション(102)をシフトするためのシフト装置(110)であって、該シフト装置(110)が、前記オートマチックトランスミッション(102)のオートマチックのシフトゲートとマニュアルのシフトゲートの間で設定されるように形成された操作要素(115)を備えている、前記シフト装置において、
前記シフト装置(110)が、請求項1〜7のいずれか1項に記載の、前記操作要素(115)の移動を設定するための装置を備えており、前記第2の移動軸が前記オートマチックのシフトゲートと前記マニュアルのシフトゲートの間の偏向軸を示しており、前記中立位置が前記オートマチックのシフトゲートに割り当てられており、前記偏向位置が前記マニュアルのシフトゲートに割り当てられていることを特徴とするシフト装置。
【請求項9】
車両(100)のオートマチックトランスミッション(102)のための操作要素(115)の移動を設定するための方法(200)であって、該方法(200)が、回転可能なシャフト(320)と、前記操作要素(115)を支持するための支持装置(310)とを備えた、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置(120)に関連して実行され、前記支持装置(310)が、第1の移動軸に関して前記シャフト(320)に対して相対的に、かつ、第2の移動軸に関して中立位置と偏向位置の間で前記操作要素(115)と共に移動可能であり、前記装置(120)が、前記中立位置から前記偏向位置への前記支持装置(310)の移動を阻止するための阻止要素(330)を備えており、該阻止要素(330)を作動させるための作動要素(322)と、前記支持装置(310)を前記偏向位置から前記中立位置へ復帰させるための復帰要素(324)とが前記シャフト(320)に配置されており、前記方法が、以下のステップ:
前記作動要素(322)を用いて前記阻止要素(330)を阻止位置において前記支持装置(310)に係合して配置するように、解放位置において前記阻止要素(330)及び前記復帰要素(324)を前記支持装置(310)と接触しないように配置するように、並びに/又は復帰運動の際に前記解放位置と前記阻止位置の間で前記復帰要素(324)を前記支持装置(310)に対して接触して配置されるように、前記シャフト(320)が回転される(210)ステップ
を含んでいることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のオートマチックトランスミッションのための操作要素の移動の設定のための装置及び車両のオートマチックトランスミッションのための操作要素の移動の設定のための方法並びに車両のオートマチックトランスミッションをシフトするためのシフト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両分野において、例えば「P」、「R」、「N」及び「D」のような多安定のシフト位置と、いわゆる「マニュアルのシフトゲート」を有するオートマチックトランスミッションを備えることができる。ここで、特に走行段「D」からマニュアルのシフトゲートへ変更することが可能である。
【0003】
特許文献1には、シフトレバーと、シフトレバーに対してシフトストップを作用させるか、あるいは作用させないことが可能な電気的なアクチュエータとを有する、原動機付き車両用の電気的なシフト装置が開示されており、シフトレバーの少なくとも1つの操作ストローク内に制限要素が配置されており、この制限要素の大きさをシフトレバーの操作ストローク内でアクチュエータによって変更可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102005023926号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような背景において、本発明は、独立請求項に基づく、車両のオートマチックトランスミッションのための操作要素の移動の設定のための改良された装置と、車両のオートマチックトランスミッションのための操作要素の移動の設定のための改良された方法と、車両のオートマチックトランスミッションをシフトするための改良されたシフト装置とを達成するものである。有利な形態は、従属請求項及び以下の説明から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態によれば、車両のオートマチックトランスミッションに対して特に阻止−復帰システムによるシフト作動を提供することが可能である。したがって、例えば、シフトレバーのシフトストロークを制限したり、シフトレバーを安定した位置から他の安定した位置へもたらすことを可能とすることができる。したがって、シフトレバーのシフトストロークの阻止及び安定的な位置から第1の安定的な位置へのシフトレバーの復帰あるいは移動という機能を分離された2つの部材によって実現することが可能である。
【0007】
したがって、本発明の実施形態は、機能に関連した要素の分離あるいは分離された要素の機能に関連した提供によって、コストにおける利点も、また構造的な利点も提供することが可能である。例えば唯一のアクチュエータあるいは駆動部による復帰及び阻止という機能の2つの部材への部材側での分離により、構造が安価であるだけでなく、機械的に強固に設定されている。したがって、マニュアルのシフトゲートへの不意の変更を対応する移動の阻止により防止することが可能である。1つのあるいはこれと同一の装置を用いて、ギヤ段の選択のために設けられた操作要素がマニュアルのシフトゲートから出るか、あるいは復帰することが可能である。また、マニュアルのシフトゲートへの変更が阻止されているときの不適当な操作の際に、復帰要素に対して大きな力が加わることを防止することが可能である。阻止要素、作動要素及び復帰要素は、機能特有に有意義に、したがって手間なく成形されることが可能である。
【0008】
車両のオートマチックトランスミッションのための操作要素の移動の設定のための装置であって、該装置が、回転可能なシャフトと、操作要素を支持するための支持装置とを備えており、該支持装置が、第1の移動軸に関してシャフトに対して相対的に、かつ、第2の移動軸に関して中立位置と偏向位置の間で操作要素と共に移動可能である前記装置は、中立位置から偏向位置への支持装置の移動を阻止する阻止要素を備え、該阻止要素を作動させるための作動要素と、支持装置を偏向位置から中立位置へ復帰させるための復帰要素とがシャフトに配置されていることを特徴とするものである。
【0009】
この装置は、車両の機器又は機器の一部であり得る。車両は、原動機付き車両、特に乗用車又はトラックのような道路に関連した車両であり得る。操作要素は、オートマチックトランスミッションの異なる走行段あるいはギヤ段を設定するために手で運転者によって操作されることが可能なオートマチックトランスミッションのシフトレバーであり得る。例えば、運転者は、例えばパーキングのためのP、ニュートラルのためのN、後進のためのR及び前進のためのDの間での旋回及び/又はスライドによって操作要素を設定し、Dからマニュアルのゲートあるいはシフトゲートへ移動させることが可能である。第1の移動軸は、オートマチックのゲートあるいはシフトゲートにおける位置P、N、R及びDの間での操作要素の移動に割り当てられることができる。第2の移動軸は、オートマチックのゲートとマニュアルのゲートの間の移動に割り当てられることが可能である。このとき、中立位置はオートマチックのゲートにおける操作要素の位置に対応することができるとともに、偏向位置はマニュアルのゲートにおける操作要素の位置に対応することができる。シャフトの回転軸は、装置に関して操作要素の移動の場合に静止して配置されることができる。阻止要素は、シャフトから分離して配置された要素として成形されることが可能である。操作要素と、これに加えて又はこれに代えて復帰要素とは、シャフトにおいて固定して、あるいは共に回転するように設けることができるよう構成可能であるか設けることが可能である。この操作要素と、これに加えて又はこれに代えて復帰要素とは、シャフトと一体的に成形されることも可能である。
【0010】
一実施形態によれば、作動要素は、シャフトの周囲の一部において前記シャフトの周面から径方向へ離れるように延在する作動突起部を備えることができる。このとき、阻止要素は、軸線周りに旋回可能なレバーを備えることができる。特に作動要素は、シャフトから延在するカムを備えることができる。阻止要素は、例えばシーソーに類似するように成形されることが可能である。このような実施形態により、容易に加工可能な形状を有する突起部及びレバーを用いて支持装置の移動の安定的な阻止と、したがって第2の移動軸に関する操作要素の移動の安定的な阻止とが可能であるという利点が提供される。
【0011】
また、復帰要素は、シャフトにおいて中心に又は偏心して配置されたディスクを備えることも可能である。ここで、このディスクの厚さは、該ディスクの周囲の少なくとも一部において初期厚さから復帰厚さへ増大することができる。ディスクの外径は、シャフトの外径よりも大きくてもよい。ディスクの厚さは、復帰要素の復帰輪郭部を形成するのに適したものであり得る。例えば、復帰要素は、カムとして成形されることが可能である。このような実施形態により、復帰輪郭部を有するディスクを用いて特に信頼性を有し、力伝達について好都合な復帰を実現することが可能であるという利点が提供される。
【0012】
また、作動要素は、シャフトの第1の周囲部分に配置されることができ、復帰要素は、第1の周囲部分とは異なるシャフトの第2の周囲部分に配置されることができる。このとき、作動要素及び復帰要素は、シャフトの共通の長手延長部又は異なる長手延長部に配置されることができる。特に、作動要素は、シャフトの第1の周半球部に配置されることができ、復帰要素は、シャフトの第2の周半球部に配置されることが可能である。このとき、周半球部は、シャフトの半周よりも多く又は少なく延在することができる。このような実施形態により、シャフトの回転位置あるいは回転方向に応じて各機能、すなわち阻止又は復帰を信頼性をもって、かつ、正確に規定して果たすことが可能であるという利点が提供される。
【0013】
また、支持装置は、阻止要素の収容のための係合部分を備えることも可能である。このとき、支持装置の係合部分は、支持装置の凹部と、これに加えて又はこれに代えて凸部として成形されることが可能である。特に、係合部分は、フック状に成形されることができる。シャフトの回転方向に依存して、作動要素がシャフトの阻止位置において阻止要素を少なくとも部分的に係合部分へ移動させることが可能である。係合部分は、阻止要素によって係合可能である。このとき、阻止要素は、シャフトの現在の阻止位置において、係合部分へ係合することが可能であるか、係合部分が接触して配置されることが可能であるか、あるいは少なくとも部分的に係合部分へ突出することが可能である。このような実施形態により、阻止要素と係合部分の協働によって第2の移動軸に関して確実で、安定的な信頼性をもった操作要素の移動の阻止が可能となるという利点が提供される。
【0014】
さらに、支持装置は、復帰要素との相互作用のための接触表面を備えることが可能である。シャフトの回転方向に依存して、復帰要素は、シャフトの復帰移動時に少なくとも部分的に接触表面に接触して配置されることが可能である。このような実施形態により、復帰要素と接触表面の協働により確実かつ信頼性をもった、第2の移動軸に関する偏向位置から中立位置への操作要素の復帰あるいは戻りが可能となるという利点が提供される。
【0015】
また、シャフトの駆動のための駆動装置が設けられることができる。このとき、この駆動装置及びシャフトは、ウォームギヤを用いて互いに結合可能である。ここで、ウォームギヤのウォームは、シャフトに配置されることができ、ウォームギヤのネジは、駆動装置に配置されることが可能である。ウォームギヤは、ウォームギヤの自己ロックが生じるように形成されることができる。駆動装置及びシャフトは、他のネジ回転ギヤ又は他の種類のギヤを用いて互いに結合可能である。このような実施形態により、駆動装置及びウォームギヤを用いて大きなギヤ比及び場合によっては自己ロック並びにシャフトの回転運動時に高い精度が可能となるという利点が提供される。
【0016】
一実施例によれば、シャフト、作動要素及び復帰要素が一体的に成形されることができる。このとき、阻止要素は、シャフトから分離して支持されているとともに、作動要素による作動時に第2の移動軸に関して中立位置から偏向位置への支持装置の移動が阻止されるように形成されることが可能である。このような実施形態により、構造上簡易で強固な、操作要素の阻止及び復帰のための装置が提供され得るという利点が提供される。
【0017】
車両のオートマチックトランスミッションをシフトするためのシフト装置であって、該シフト装置が、オートマチックトランスミッションのオートマチックのシフトゲートとマニュアルのシフトゲートの間で設定されるように形成された操作要素を備えている、前記シフト装置は、シフト装置が、操作要素の移動を設定するための上述の装置を備えており、第2の移動軸が自動的なシフトゲートとマニュアルのシフトゲートの間の変更軸を示しており、中立位置がオートマチックのシフトゲートに割り当てられており、偏向位置がマニュアルのシフトゲートに割り当てられていることを特徴としている。
【0018】
シフト装置に関連して、操作要素の移動を設定するために、上述の設定のための装置の実施形態を有利に用いるか、あるいは使用することが可能である。
【0019】
車両のオートマチックトランスミッションのための操作要素の移動を設定するための方法であって、該方法が、回転可能なシャフトと、操作要素を支持するための支持装置とを備えた装置に関連して実行され、支持装置が、第1の移動軸に関してシャフトに対して相対的に、かつ、第2の移動軸に関して中立位置と偏向位置の間で操作要素と共に移動可能であり、装置が、中立位置から変更位置への支持装置の移動を阻止するための阻止要素を備えており、該阻止要素を作動させるための作動要素と、支持装置を偏向位置から中立位置へ復帰させるための復帰要素とがシャフトに配置されており、前記方法は、以下のステップ:
作動要素を用いて阻止要素を阻止位置において支持装置に係合して配置するように、解放位置において阻止要素及び復帰要素を支持装置と接触しないように配置するように、並びに/又は復帰運動の際に前記解放位置と前記阻止位置の間で復帰要素を支持装置に対して接触して配置されるように、シャフトが回転されるステップを備えている。
【0020】
上記方法は、操作要素の移動を設定するために、上述の設定のための装置を用いて有利に実行され得る。このとき、回転のステップにおいては、シャフトが少なくとも1つの回転方向へ回転されることができる。特に、シャフトは、同一の回転方向において、解放位置から復帰移動を実行可能であるとともに阻止位置へ至ることができるか、又は解放位置から直接阻止位置へ到達可能であるように、回転のステップにおいて回転されることができる。
【0021】
以下に、本発明を添付の図面に基づいて例示的に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施例によるシフト装置を有する車両の概略的な図である。
【
図2】本発明の一実施例による設定のための方法のフローチャートである。
【
図3A】本発明の一実施例による設定装置の様々な状態における斜視図である。
【
図3B】本発明の一実施例による設定装置の様々な状態における斜視図である。
【
図3C】本発明の一実施例による設定装置の様々な状態における斜視図である。
【
図3D】本発明の一実施例による設定装置の様々な状態における斜視図である。
【
図3E】本発明の一実施例による設定装置の様々な状態における斜視図である。
【
図3F】本発明の一実施例による設定装置の様々な状態における斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の本発明の好ましい実施例の説明において、異なる図において示された類似の作用の要素に対して同一又は類似の符号が用いられており、これら要素の繰り返しの説明については省略する。
【0024】
図1には、本発明の一実施例によるシフト装置を有する車両100の概略的な図が示されている。
図1には、車両100によって、変速装置あるいはオートマチックトランスミッション102、シフト装置110、操作要素115及び設定装置120が示されている。オートマチックトランスミッション102は、シフト装置110と信号伝達可能に接続されている。シフト装置110は、車両100のオートマチックトランスミッション102をシフトするように形成されている。シフト装置110は、操作要素115及び設定装置120を備えている。設定装置120は、車両100のオートマチックトランスミッション102のための操作要素115の移動を設定するように形成されている。したがって、設定装置120を、車両100のオートマチックトランスミッション102のための操作要素115の移動を設定するための装置と呼ぶことも可能である。
【0025】
操作要素115は、オートマチックトランスミッション102の異なる走行段あるいはギヤ段を設定するために例えば車両100の運転者によって手動で操作可能な、オートマチックトランスミッション102のためのシフトレバーであり得る。したがって、操作要素115は、特にパーキングのための位置P、ニュートラルのためのN、後進のためのR及び前進のためのDに設定可能であり、また、位置Dから手動のゲートあるいはシフトゲートへ移動可能である。設定装置120は、操作要素115の移動を手動のゲートに関して設定するために、特に手動のゲートへの移動を阻止し、及び/又は手動のゲートからの復帰を生じさせるように形成されている。シフト装置110あるいは設定装置120に関して以下に詳細に説明する。
【0026】
図2には、本発明の一実施例による車両のオートマチックトランスミッション102のための操作要素の移動を設定するための方法200のフローチャートが示されている。方法200は、操作要素の移動を設定するために
図1に基づく設定装置のような設定装置の使用の下で有利に実行可能である。
【0027】
したがって、方法200は、回転可能なシャフトと、操作要素の支持のための支持装置とを備えた装置に関連して実行可能である。このとき、支持装置は、第1の移動軸に関してはシャフトに対して相対的に、及び第2の移動軸に関しては中立位置と偏向位置の間で操作要素と共に移動可能である。このとき、装置は、中立位置から偏向位置への支持装置の移動を阻止するための阻止要素を備えている。シャフトには、阻止要素の作動させるための作動要素と、偏向位置から中立位置への支持装置の復帰のための復帰要素とが配置されている。
【0028】
方法200は、作動要素によって阻止要素が阻止位置において支持装置と係合して配置されるように、阻止要素及び復帰要素が解放位置において支持装置と接触しないように配置されるように、及びこれに加えて又はこれに代えて解放位置と阻止位置の間で復帰運動時に復帰要素が支持装置に対して接触して配置されるように、シャフトの回転のステップ210を備えている。ここで、回転のステップ210では、シャフトが少なくとも1つの回転方向に回転可能である。特に、回転のステップ210において、一定の回転方向において解放位置から復帰運動を実行して阻止位置へ到達可能であるか、又は直接阻止位置へ到達可能であるようにシャフトが回転可能である。
【0029】
図3Aには、本発明の一実施例による設定装置120の斜視図が示されている。設定装置120は、
図1に基づくシフト装置の設定装置である。ここで、設定装置120のうち、係合部分312及び接触表面314を有する支持装置310と、作動要素322あるいは作動突起部あるいは駆動カム及び復帰輪郭部326を有する復帰要素324が配置された回転可能なシャフト320と、阻止要素330あるいは阻止レバーとが図示されている。ここで、
図3における設定装置120は、シャフト320が解放位置に配置されている状態で示されている。
【0030】
設定装置120は、
図1に基づく車両のオートマチックトランスミッション102のシフトのためのシフト装置の一部である。ここで、シフト装置は、オートマチックトランスミッションのオートマチックのシフトゲートとマニュアルのシフトゲートの間で設定されるように形成された操作要素と、設定装置120とを備えている。操作装置120あるいは車両のオートマチックトランスミッションのための操作要素の移動の設定のための装置は、操作要素の支持のための支持装置310と、回転可能なシャフト320と、阻止要素330とを備えている。
【0031】
このとき、支持装置310は、シャフト320に対して相対的に、第1の移動軸に関して及び中立位置と偏向位置の間で、第2の移動軸に関して操作要素と共に移動可能である。第1の移動軸は、オートマチックのゲートあるいはシフトゲートにおける位置P、N、R及びDの間の操作要素の移動に割り当てられている。第2の移動軸は、オートマチックのゲートとマニュアルのゲートの間の操作要素の移動に割り当てられている。換言すれば、第2の移動軸は、オートマチックトランスミッションのオートマチックのシフトゲートとマニュアルのシフトゲートの間の変更軸を表すものである。ここで、中立位置はオートマチックのゲートにおける操作要素の1つの位置、特に位置Dに対応し、偏向位置はマニュアルのゲートにおける操作要素の1つの位置に対応する。支持装置310は、操作要素を収容し、保持し、シフト過程において操作要素の移動を可能とするように形成されている。
【0032】
設定装置120の阻止要素330は、中立位置から偏向位置への支持装置310の移動を阻止するように形成されている。このとき、阻止要素330は、シャフト320とは分離して配置された要素として形成されている。阻止要素330は、例えばシーソーに類似して形成されている。このとき、阻止要素330は、1つの軸線周りに旋回可能なレバーあるいは阻止レバーを備えている。特に、阻止要素330は、旋回軸において設定装置120と機械的に連関している。阻止要素330は、中立位置から偏光位置への支持装置310の移動の阻止のための阻止位置と中立位置から偏向位置への支持装置の移動の解放のための解放位置との間で旋回可能である。阻止要素330の旋回軸は、支持装置の移動時に、したがって操作要素の移動時にも設定装置120に関して静止して配置されている。
【0033】
シャフト320には、阻止要素330の作動のための作動要素322が配置されている。また、シャフト320には、偏向位置から中立位置への支持装置310の復帰のための復帰輪郭部326を有する復帰要素324が配置されている。シャフト320の回転軸は、支持装置310の移動時に、したがって操作要素の移動時にも、設定装置120に対して静止して配置されている。作動要素322と、これに加えて又はこれに代えて復帰要素324とは、シャフト320に固定して、あるいは共に回転するように設けられている。作動要素322及び復帰要素324も、
図3Aに図示された本発明の実施例によりシャフト320と一体的に形成されている。
図3Aの図示においては、支持装置310と、したがって操作要素も、第2の移動軸に関して中立位置に配置されている。換言すれば、支持装置310と、したがって操作要素もオートマチックトランスミッションの位置Dに配置されており、マニュアルのゲートあるいはこのマニュアルのゲートへの変更が阻止要素330を用いて解放されている。
【0034】
作動要素322は、シャフト320の周囲の一部においてシャフト320の周面から径方向へ離れるように延在する作動突起部を備えている。作動突起部は、シャフト320から延在するカムあるいは駆動カムとして形成されている。
【0035】
復帰要素324は、シャフト320に配置されたディスクを備えている。ここで、ディスクの厚さは、復帰要素324の復帰輪郭部326を形成するために、ディスクの周囲の少なくとも一部において初期厚さから復帰厚さまで増大している。このとき、ディスクの厚さは、傾斜路状に増大している。ディスクあるいは復帰要素324は、本発明の実施例に応じて中心に、又は偏心してシャフト320に配置されている。例えば、復帰要素324は、偏心輪として形成されている。
【0036】
作動要素322は、シャフト320の第1の周囲部分に配置されている。復帰要素324は、第1の周囲範囲とは異なるシャフトの第2の周囲部分に配置されている。ここで、作動要素322及び復帰要素324は、
図3Aに示された本発明の実施例に基づき、シャフト320の異なる長手延長部に配置されている。他の実施例によれば、作動要素322及び復帰要素324は、シャフト320の共通の長手延長部に配置されている。特に、作動要素322がシャフト320の第1の周半球部に配置されているとともに、復帰輪郭部326はシャフト320の第2の周半球部に配置されている。作動要素322及び復帰要素324は、本発明の
図3に図示された実施例に基づき、シャフト320と一体的に形成されている。一実施例によれば、作動要素322と、これに加えて又はこれに代えて復帰要素324とが取外し可能に、固定して、あるいは共に回転可能にシャフト320に取り付けられている。
【0037】
図3Aに示されたシャフト320の解放位置にある場合には、作動要素322が支持装置310とは反対側にあり、阻止要素330が作動要素322によって作動不能であり、その解放位置に配置されており、かつ、復帰輪郭部326が支持装置310から離間している。
【0038】
支持装置310は、阻止要素330を収容するための係合部分312を備えている。また、支持装置310は、復帰要素324、より正確にいえば復帰輪郭部326との相互作用のための接触表面314を備えている。このとき、支持装置310の係合部分312は、凹部として及びこれに加えて又はこれに代えて支持装置310の突出部として形成されている。特に、係合部分312は、フック状に形成されている。シャフト320の解放位置では、解放位置にある阻止要素330が支持装置310の係合部分312の外部に配置されている。シャフト320の回転方向に依存して、作動要素322が、シャフトの阻止位置において、阻止要素330を阻止位置へ、したがって少なくとも部分的に係合部分312へ移動させる。シャフト320が解放位置にあれば、復帰要素320の復帰要素輪郭部326が支持装置310の接触表面314から離間して配置されている。シャフト320の回転方向に依存して、復帰要素324の復帰輪郭部326がシャフト320の復帰移動時に少なくとも部分的に支持装置310の接触表面314に対して接触して配置されている。
【0039】
したがって、
図3Aに図示された本発明の実施例による設定装置120では、シャフト320、作動要素322及び復帰要素324は一体的に形成されている。このとき、阻止要素330は、シャフト320から分離して支持されているとともに、作動要素322による作動時に第2の移動軸に関して中立位置から偏向位置へ支持装置を移動させることを阻止するように形成されている。
【0040】
一実施例によれば、シャフト320の回転運動を生じさせるためにシャフトを駆動するよう形成された駆動装置が設けられている。例えば、駆動装置及びシャフト320は、ウォームギヤ、他のネジ回転ギヤ又は他の種類のギヤを用いて互いに結合可能である。
【0041】
図3Bには、
図3Aに基づく設定装置120が、シャフト320が阻止位置に配置された状態において示されている。
図3Bの図示では、支持装置310と、したがって操作要素とは、第2の移動軸に関して中立位置に配置されている。ここで、支持装置310と、したがって操作要素とは、オートマチックトランスミッションの位置P、R又はNに配置されており、マニュアルのゲートあるいはこのマニュアルのゲートへの変更が阻止されている。阻止要素330は、シャフト320の阻止位置において、支持装置310の係合部分312に係合して配置されている。したがって、操作要素は、第2の移動軸に関して、阻止要素330によって阻止されている。復帰輪郭部326は、
図3Aに示された解放位置よりも大きな間隔で支持装置310あるいは接触表面314から離間している。このとき、シャフト320は、
図3Bにおいて湾曲した矢印によって記号で示すように、
図3Aにしめされた解放位置から1/4回転だけ
図3Bに示された阻止位置へ回転されている。
【0042】
図3Cには、
図3A及び
図3Bに基づく設定装置120が
図3Aに図示した状態に対応する状態において示されている。設定装置120の
図3Bに図示された状態から更に設定装置120の
図3Cに示された状態へ至るために、阻止位置から解放位置へのシャフト320の戻し回転がなされる。
【0043】
図3Dには、
図3A〜
図3Cに基づく設定装置120が、シャフト320が解放位置に配置され、かつ、支持装置310と、したがって操作要素とが第2の移動軸に関して偏向位置に配置されている状態において示されている。このとき、支持装置310と、したがって操作要素とは、オートマチックトランスミッションの位置Mあるいはマニュアルのゲートに配置されており、マニュアルのゲートが解放されている。
【0044】
図3Eには、
図3A〜
図3Dに基づく設定装置120が、シャフト320の解放位置と阻止位置の間の復帰運動時又は復帰運動後の状態において示されている。
図3Eの図示では、支持装置310と、したがって操作要素とは、復帰要素324を用いて、第2の移動軸に関して偏向位置から中立位置へ復帰されているか、あるいは戻っている。このとき、支持装置310と、したがって操作要素とは、オートマチックトランスミッションのマニュアルのゲートから位置Dへ戻っている。このために、設定装置120の
図3Cあるいは
図3Dに示された状態からシャフト320が半回転することにより、設定装置120の
図3Eに図示された状態へ復帰運動を行うことが可能である。このとき、阻止要素330は、支持装置310の係合部分312の外部に配置されている。復帰輪郭部326は、シャフト320の解放位置及び阻止位置よりもわずかな間隔だけ支持装置310あるいは接触表面314から離間している。
【0045】
図3Fには、
図3A〜
図3Eに基づく設定装置120が、
図3Aあるいは
図3Cに図示された状態に対応する状態において示されている。設定装置120の
図3Eに図示された状態から更に設定装置120の
図3Fに示された状態へ至るために、シャフト320の半回転がなされる。
【0046】
上述の各実施例及び各図に示した各実施例は、単に例示的にのみ選択されたものである。異なる実施例も完全に、又は個々の特徴に関して互いに組み合わせることが可能である。ある実施例が他の実施例の特徴によって補足されることも可能である。さらに、本発明による方法ステップを繰り返して、及び上述の順序とは異なる順序で実行することが可能である。
【0047】
ある実施例が「及び/又は」という結合を第1の特徴と第2の特徴の間で含む場合には、これは、ある実施形態による実施例が第1の特徴も、また第2の特徴も備え、他の実施例によれば第1の特徴のみ又は第2の特徴のみを備えると読むことができる。
【符号の説明】
【0048】
100 車両
102 オートマチックトランスミッション
110 シフト装置
115 操作要素
120 設定装置
200 設定のための方法
210 回転のステップ
310 支持装置
312 係合部分
314 接触表面
320 シャフト
322 作動要素あるいは作動突起部あるいは作動カム
324 復帰要素
326 復帰輪郭部
330 阻止要素あるいは阻止レバー