特許第6584423号(P6584423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6584423逆浸透モジュール用のポリウレタン接着剤
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  • 特許6584423-逆浸透モジュール用のポリウレタン接着剤 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6584423
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】逆浸透モジュール用のポリウレタン接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20190919BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20190919BHJP
   B01D 63/00 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   C09J175/04
   C09J11/06
   B01D63/00 500
【請求項の数】36
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-557044(P2016-557044)
(86)(22)【出願日】2015年3月11日
(65)【公表番号】特表2017-510678(P2017-510678A)
(43)【公表日】2017年4月13日
(86)【国際出願番号】US2015019882
(87)【国際公開番号】WO2015138561
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2018年1月24日
(31)【優先権主張番号】61/951,741
(32)【優先日】2014年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513284830
【氏名又は名称】エランタス ピー・ディー・ジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ELANTAS PDG, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カール,ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】ジヨーダン,リチヤード
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−096912(JP,A)
【文献】 特開2007−224078(JP,A)
【文献】 米国特許第4865735(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J1/00−201/10
B01D61/00−71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透モジュール用接着剤組成物であって、
(I)前記接着剤組成物の総重量%を基準として65重量%〜99重量%のポリウレタ
ン組成物であって、
(A)(i)ヒマシ油またはその誘導体;および(ii)ポリイソシアネート;および
(iii)任意選択的に第2ポリオールの反応生成物を含むイソシアネート基含有プレポリマー;ならびに
(B)(i)ポリブタジエンポリオール;および(ii)ウレタン触媒;および(iii)任意選択的に前記第2ポリオールを含むイソシアネート反応性ポリオール混合物
を含むポリウレタン組成物と;
(II)前記接着剤組成物の前記総重量%を基準として1重量%〜35重量%の可塑剤と
を含み、
希釈油および溶剤を本質的に含まず;
パート(I)(A)、(I)(B)、および(II)が混ぜ合わせられるときの粘度と定義される、前記接着剤組成物の初期混合粘度が、5,000〜70,000cpsである、接着剤組成物。
【請求項2】
前記接着剤組成物の前記初期混合粘度が10,000cps〜40,000cpsである、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記接着剤組成物の前記初期混合粘度が30,000cps〜40,000cpsである、請求項1または2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記接着剤組成物の前記初期混合粘度が20,000cps〜35,000cpsである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
前記接着剤組成物の前記初期混合粘度が10,000cps〜25,000cpsである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
完全に硬化した場合にショアA硬度20を超えるショア硬度有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
完全に硬化した場合に少なくとも30のショアA硬度をさらに有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
完全に硬化した場合に少なくとも40のショアA硬度をさらに有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項9】
完全に硬化した場合にショアA硬度60〜ショアD硬度80のショア硬度をさらに有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項10】
完全に硬化した場合に少なくとも35のショアD硬度をさらに有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項11】
完全に硬化した場合にショアD硬度35〜ショアD硬度80のショア硬度をさらに有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項12】
前記接着剤組成物の引張強度が100psi(70307kg/m超である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項13】
前記接着剤組成物の引張強度が、完全に硬化した場合に少なくとも1,000psi(703070kg/mである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項14】
前記接着剤組成物の引張強度が、完全に硬化した場合に少なくとも2,000psi(1406140kg/mである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項15】
パート(A)またはパート(B)のいずれかが、パート(A)およびパート(B)の総重量パーセントを基準として少なくとも4重量%の前記第2ポリオールを含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項16】
パート(A)またはパート(B)のいずれかが、パート(A)およびパート(B)の総重量パーセントを基準として少なくとも6重量%の前記第2ポリオールを含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項17】
パート(A)またはパート(B)のいずれかが、パート(A)およびパート(B)の総重量を基準として少なくとも10重量%の前記第2ポリオールを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項18】
前記第2ポリオールが、600ダルトン未満の分子量を有するポリオールの群から選択される、請求項15〜17のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項19】
前記第2ポリオールが、80〜300ダルトンの分子量を有するポリオールである、請求項15〜17のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項20】
前記第2ポリオールがジオールである、請求項19に記載の接着剤組成物。
【請求項21】
前記第2ポリオールが、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール;1,2−プロパンジオール;1,3−ブタンジオール;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール1,12−オクタデカンジオール;1,2−ヘキサンジオール;1,2−オクタンジオール;および1,2−デカンジオールからなる群から選択される、請求項18に記載の接着剤組成物。
【請求項22】
前記第2ポリオールが、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレンエーテルグリコールである、請求項18に記載の接着剤組成物。
【請求項23】
パート(I)(A)およびパート(I)(B)の少なくとも1つが、充填材、チキソトロピック剤またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項24】
パート(I)(A)およびパート(I)(B)の少なくとも1つが、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、粘土、マイカ、二酸化チタン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される充填材を含む、請求項23に記載の接着剤組成物。
【請求項25】
前記接着剤組成物のパート(I)(B)が、チキソトロピック剤をさらに含む、請求項23に記載の接着剤組成物。
【請求項26】
前記チキソトロピック剤が、ヒュームドシリカ、非晶質二酸化ケイ素、タルク、粘土およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項25に記載の接着剤組成物。
【請求項27】
前記接着剤組成物のパート(I)が、パート(I)の総重量を基準として10重量%〜90重量%のパート(A)およびパート(I)の前記総重量を基準として10重量%〜90重量%のパート(B)を含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項28】
前記接着剤組成物のパート(I)が、パート(I)の前記総重量を基準として20重量%〜80重量%のパート(A)およびパート(I)の前記総重量を基準として20重量%〜80重量%のパート(B)を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項29】
前記接着剤組成物のパート(I)が、パート(I)の前記総重量を基準として30重量%〜70重量%のパート(A)およびパート(I)の前記総重量を基準として30重量%〜70重量%のパート(B)を含む、請求項1〜28のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項30】
前記接着剤組成物のパート(I)が、パート(I)の前記総重量を基準として50重量%のパート(A)およびパート(I)の前記総重量を基準として50重量%のパート(B)を含む、請求項1〜29のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項31】
パート(I)(B)が前記第2ポリオールをさらに含む、請求項1に記載の逆浸透モジュール用接着剤組成物。
【請求項32】
前記接着剤組成物の引張強度が、完全に硬化した場合に少なくとも1,000psi(703070kg/mであり、かつ前記接着剤組成物のショア硬度が、完全に硬化した場合にショアD硬度35〜ショアD硬度75である、請求項31に記載の接着剤組成物。
【請求項33】
前記可塑剤が、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステル、マレイン酸エステル、コハク酸エステル、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、ジカルボン酸/トリカルボン酸エステル系可塑剤、ホスフェート、トリメリット酸エステル、グルタル酸エステル、クエン酸エステル、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、エポキシ化大豆油、大豆油のエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜32のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項34】
前記可塑剤が、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、エポキシ化大豆油、大豆油のエステル、アジピン酸ジヘプチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジノニル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜33のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項35】
請求項1〜34のいずれか一項に記載の接着剤組成物を含む逆浸透モジュール。
【請求項36】
逆浸透モジュールを構築する方法であって、前記逆浸透モジュールに存在する膜の少なくとも一部に接着剤組成物を適用する工程を含み、前記接着剤組成物が請求項1〜34のいずれか一項に記載の通りである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ポリウレタン接着剤に関する。より具体的には、本発明は、逆浸透(RO)モジュールを製造するために使用されるポリウレタン接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
逆浸透は、溶剤を、高い溶質濃度の領域から低い溶質濃度の領域に半透膜を通して押し進めるプロセスである。このプロセスは、浸透圧超の圧力を加えることによって行われる。逆浸透は、海水または汽水が膜の一表面に対して加圧され、膜を横切る塩減損水の移送および低圧側からの飲用飲料水の発生を引き起こす、海水または汽水からの純水の分離を含むが、それらに限定されない、多数の用途を有する。逆浸透の他の用途としては、食品液体、たとえば、オレンジジュースの濃縮、メープルシロップの生産、および水素の生産が挙げられる。
【0003】
典型的には、逆浸透のために用いられる2つのタイプの半透膜配置:渦巻き型カートリッジおよび中空コアがある。膜は、溶剤からの溶質の分離が起こる緻密層をポリマーマトリックス中に有する。ほとんどの場合、膜は、(塩イオンなどの)溶質の通過を防ぎながら、(水などの)溶剤のみにこの緻密層を通過させるように設計されている。米国特許第4,842,736号明細書に考察されているように、渦巻き型カートリッジは、膜中の隙間または空隙を密封するための接着剤を含み、それは、透過液収集管への供給流体の漏洩を防ぐ。米国特許第7,303,675号明細書において考察されているような特定の例では、接着剤は、それを通した流れが防がれる下流表面が処理されている箇所で膜材料の上流表面に適用することができる。接着剤は、膜が利用される構造および/または用途によって必要とされるような膜材料の他の箇所、たとえば、縦エッジに沿った膜の折り目、下流表面などに適用することができる。
【0004】
カートリッジは高い水圧にさらされるため、完全に硬化した接着剤は、強固かつ耐久性のあるものでなければならない。完全に硬化した接着剤の硬度が余りにも低い場合には、水の圧力は、接着剤結合の破損、および究極的にはカートリッジの破損を引き起こし得る。しかし、完全に硬化した接着剤の硬度が余りにも高い場合には、接着剤は、脆くなり、およびまた破損を引き起こし得る。接着剤の硬度は、ショア硬度スケールで測定することができ、そのような測定結果の取得方法は、当技術分野で公知である。さらに、完全に硬化した接着剤の引張強度が、逆浸透モジュールにおける接着剤の好適性の尺度として用いられることが指摘される。当業者は、良好な接着剤のさらなる特性が、十分な接着結合を確立するために膜材料に浸透する接着剤の能力であることを十分理解するであろう。
【0005】
米国特許第7,303,675号明細書に指摘されているように、経時的に、かつ伝統的に使用されるクリーニング液の使用によって、接着剤は、ひびが入り得るかまたはブリスターができ得(多くの場合、「浸透性ブリスター形成」と言われる)、その結果、透過液収集管への供給流体のサイドシール漏洩およびエンドシール漏洩(多くの場合、「ベイニング」または「ライトニングボルト」破損と言われる)をもたらすことが見出されている。浸透性ブリスター形成はまた、細菌増殖を促し得、およびまた膜の寸法変化を引き起こし、除去および交換を困難にし得る。浸透性ブリスター形成は、たとえば、業界で頻繁に使用される、水酸化ナトリウム溶液などのアルカリ性クリーニング流体の使用によって増幅される。このように、上で述べられた性能要件を保持しながら、アルカリ性流体への増加したまたは改善された耐性も有する改善された接着剤組成物が必要とされている。
【0006】
本発明は、逆浸透用途において耐久性があり、かつ、アルカリ性流体に耐性がある接着
剤を提供するというニーズに対する解決策であると考えられる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の接着剤組成物は意外にも、公知の接着剤組成物で多くの場合示される浸透性ブリスター形成と、ベイニングおよびライトニングボルト破損とを低減するかまたは排除する。本発明の接着剤組成物はまた、公知の接着剤組成物と比べて改善されたレオロジー、粘度およびフロー制御を実証しながら、逆浸透モジュール用途で使用される結合ラインの幅を最小限にする。
【0008】
一態様では、本発明は、逆浸透モジュール用に好適な接着剤組成物であって、(I)接着剤組成物の総重量%を基準として約65重量%〜99重量%のポリウレタン組成物であって、(A)(i)ヒマシ油またはその誘導体;および(ii)ポリイソシアネート;および(iii)任意選択的に第2ポリオールの反応生成物を含むイソシアネート基含有プレポリマー;ならびに(B)(i)ポリブタジエンポリオール;および(ii)ウレタン触媒;および(iii)任意選択的に第2ポリオールを含むイソシアネート反応性ポリオール混合物を含むポリウレタン組成物と;(II)接着剤組成物の総重量%を基準として約1重量%〜約35重量%の可塑剤とを含み、希釈油および溶剤を本質的に含まない、接着剤組成物に関する。
【0009】
本発明のさらなる態様は、逆浸透モジュール用に好適な接着剤組成物であって、(I)接着剤組成物の総重量%を基準として、約65重量%〜約99重量%のポリウレタン組成物であって、このポリウレタン組成物が、(A)(i)ヒマシ油またはその誘導体;および(ii)ポリイソシアネートの反応生成物を含むイソシアネート基含有プレポリマー;ならびに(B)(i)ポリブタジエンポリオール;(ii)ウレタン触媒;および(iii)第2ポリオールを含むイソシアネート反応性ポリオール混合物を含むポリウレタン組成物と;(II)接着剤組成物の総重量%を基準として、約1重量%〜約35重量%の可塑剤とを含み、希釈油および溶剤を本質的に含まず、さらに、完全に硬化した場合の接着剤組成物の引張強度が少なくとも1,000psiであり、かつ完全に硬化した場合の接着剤組成物のショア硬度が約35D〜約75Dである、接着剤組成物に関する。
【0010】
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載される接着剤組成物のいずれかによる接着剤組成物を含む逆浸透モジュールに関する。
【0011】
さらに、本発明のさらなる態様は、逆浸透モジュールを構築する方法であって、逆浸透モジュールに存在する膜の少なくとも一部に、本明細書に記載される接着剤組成物のいずれかによる接着剤組成物を適用する工程を含む、方法に関する。
【0012】
これらのおよび他の態様は、本明細書でより詳細に考察される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】接着剤組成物が適用された状態の膜を有する逆浸透モジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概して、本発明は、ポリウレタン組成物と可塑剤とを含む接着剤組成物に関する。接着剤組成物は、希釈油および溶剤を本質的に含まない。用語「本質的に含まない」は本明細書で用いるところでは、組成物が不可避レベルを含有するが、それを超えて含有しないことを意味する。希釈油および溶剤は、接着剤組成物の一部ではなく、用語「希釈油および溶剤」は、ポリウレタン接着剤を含まない組成物を意味する、すなわち、それらは、接着剤組成物においてポリイソシアネートと反応せず、炭化水素、たとえば、石油スピリット
、灯油、鉱油とコーンオイル、菜種油、およびオリーブ油などの植物油とを含むが、それらに限定されない。接着剤組成物は、たとえば、逆浸透モジュールに使用することができ、本発明者らは意外にも、本明細書での実施形態による接着剤組成物が逆浸透モジュールにおける浸透性ブリスター形成および漏洩を低減するかまたは排除することを見出した。
【0015】
接着剤組成物は、2パートのポリウレタン組成物(本明細書では以下、「ポリウレタン組成物」と言われる)と可塑剤とを含む。一実施形態では、接着剤組成物は、接着剤組成物の総重量%を基準として約65重量%〜約99重量%(またはそれらの間の任意の量)のポリウレタン組成物と約1重量%〜約35重量%(またはそれらの間の任意の量)の可塑剤とを含む。たとえば、ポリウレタンが、接着剤組成物の総重量を基準として、約75重量%〜99重量%の量またはそれらの間の任意の量で存在してもよいなど、他の量のポリウレタン組成物が接着剤組成物中に存在してもよいと考えられる。別の例では、ポリウレタンは、接着剤組成物の総重量を基準として、約85重量%〜99重量%の量またはそれらの間の任意の量で存在してもよい。可塑剤は、接着剤組成物の総重量を基準として、約1重量%〜35重量%の量またはそれらの間の任意の量で接着剤組成物中に存在してもよい。一例では、可塑剤は、接着剤組成物の総重量を基準として、約20重量%〜約30重量%の量またはそれらの間の任意の量で接着剤組成物中に存在してもよい。
【0016】
接着剤組成物に使用されるポリウレタン組成物は、ヒマシ油またはその誘導体およびポリイソシアネートおよび任意選択的に第2ポリオールの反応生成物を含むイソシアネート基含有プレポリマーである、パート(A);ならびにポリブタジエンポリオールおよびウレタン触媒および任意選択的に第2ポリオールを含むイソシアネート反応性ポリオール混合物である、パート(B)を含む。ポリウレタン組成物のパート(A)およびパート(B)は、手動混合、静的混合、および動的混合を含むが、それらに限定されない、当技術分野で公知の任意の方法で混ぜ合わせることができる。パート(A)をパート(B)に添加でき、もしくは逆もまた同様であり、あるいはパート(A)およびパート(B)を同じ容器に同時に添加できることがまた指摘される。
【0017】
パート(A)のイソシアネート基含有プレポリマー中に存在するヒマシ油、すなわち、リシノール酸トリグリセリドは、広く商業的に入手可能である再生可能な原材料である。ヒマシ油の誘導体としては、ヒマシ油から誘導された任意のポリオールが挙げられ、それには、加水分解生成物、エトキシル化生成物、エステル交換生成物、もしくはエステル化生成物、またはポリアミド生成物が含まれる。
【0018】
ポリウレタン組成物のパート(A)のプレポリマーを調製するために使用されるポリイソシアネートは、少なくとも2個のイソシアネート部分を有する任意の化合物である。ジイソシアネートは、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチル−シクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、およびそれらの混合物によって例示することができ
る。ジイソシアネートの例示的な混合物としては、4,4’−MDIと2,4−MDIとの混合物が挙げられる。
【0019】
パート(A)プレポリマーを調製するために使用されるポリイソシアネートはまた、たとえば、ジイソシアネートを、ポリオール、たとえば、ジオールまたはポリアミン、たとえば、ジアミンなどのジイソシアネート反応性化合物と反応させることによって調製されるポリイソシアネートであり得る。パートAプレポリマーを調製するために使用される例示的なポリイソシアネートとしては、MDIのポリマー形態が挙げられる。パート(A)プレポリマーを調製するために使用されるポリイソシアネートはまた、カルボジイミド変性ジイソシアネート、たとえば、カルボジイミド変性MDIであり得る。パート(A)のプレポリマーを調製するために使用されるポリイソシアネートは、ASTM D2572によって測定されるように15%〜40%(質量パーセント)で変わるイソシアネート(NCO)含有率を有する。
【0020】
パート(A)プレポリマーのイソシアネート(NCO)含有率は、5%〜25%(質量パーセント)で変わる。別の実施形態では、パート(A)プレポリマーのイソシアネート(NCO)含有率は、ASTM D2572によって測定されるように10%〜20%(質量パーセント)、より好ましくは13%〜19%(質量パーセント)で変わる。
【0021】
ポリウレタン組成物のパート(A)プレポリマーは、第2ポリオールを含有してもよい。一般に、ポリウレタン組成物のパート(A)における任意選択の第2ポリオールは、イソシアネート基と反応することができる任意のポリオール(すなわち、2個以上のヒドロキシル基がそれに付加した化合物)である。より具体的には、第2ポリオールは好ましくは、約600未満の分子量を有するポリオールの群から選択される。一例では、第2ポリオールは、約80〜約300の分子量を有するポリオールの群から選択される。別の例では、第2ポリオールは、約80〜約200の分子量を有するポリオールの群から選択される。さらなる例では、第2ポリオールは、約300〜約600の分子量を有するポリオールの群から選択される。
【0022】
第2ポリオールの例としては、グリコール、すなわち、エチレングリコールまたはプロピレングリコールおよびそれらの誘導体などの1,2ジヒドロキシ基を含有するジオール、ならびにグリセロール、すなわちグリセリンおよびその誘導体が挙げられる。第2ポリオールの例としては、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。ある実施形態では、第2ポリオールは、3〜20個の炭素原子を有するジオールである。別の実施形態では、第2ポリオールは、4〜12個の炭素原子を有するジオールである。さらなる実施形態では、第2ポリオールは、5〜10個の炭素原子を有するジオールである。そのようなジオールの例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール;1,2−プロパンジオール;1,3−ブタンジオール;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,12−オクタデカンジオール;1,2−ヘキサンジオール;1,2−オクタンジオール;および1,2−デカンジオールが挙げられるが、それらに限定されない。第2ポリオールのさらなる例としては、ペンタエリスリトールなどのテトラオールが挙げられる。第2ポリオールは、グリコールまたはグリセロールなどの別のポリオールと任意選択的に反応させられたエチレンオキシドおよび/またはプロピレオキシドのいずれかから調製されたポリエーテルポリオールであり得る。
【0023】
ポリウレタン組成物のパート(B)のポリブタジエンポリオールは、ブタジエンの低分子量の、ヒドロキシル末端ホモポリマーである。ポリブタジエンポリオールの例としては、両方ともCray Valley USA,LLC,Exton,PA,USAから商業的に入手可能な名称Poly bd(登録商標)R−45HTLOおよびPoly bd(登録商標)R−20LMで、ならびにCVC Thermoset Special
ties,Moorestown,NJ,USAから商業的に入手可能な名称HyproTM 2800X95 HTBで販売されるブタジエンの液体ヒドロキシル末端ポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。
【0024】
ポリウレタン組成物のパート(B)のウレタン触媒は、任意のウレタン触媒であってもよい。ウレタン触媒の例としては、非常に短いゲル化時間および不粘着時間ならびにポリウレタン系への良好な溶解性を提供する、ジアルキルスズジアルカノエートなどのスズ触媒、たとえば、Fomrez触媒UL−28(ジメチルスズジネオデカノエート)が挙げられる。ウレタン触媒の他の例としては、Air Products,Allentown,PA,USAからDabco(登録商標)T−9として商業的に入手可能なオクタン酸第一スズ;Air Products,Allentown,PA,USAからDabco(登録商標)131として商業的に入手可能な有機スズ;Air Products,Allentown,PA,USAからDabco(登録商標)Crystalline Catalystとして入手可能な1,4−ジアザビシクロオクタン;Air Products,Allentown,PA,USAからDabco(登録商標)B−16として入手可能なn−セチル−n,n−ジメチルアミン;Air Products,Allentown,PA,USAからDabco(登録商標)T−12として入手可能なジブチルスズジラウレート;Air Products,Allentown,PA,USAからMetacureTM T−1触媒として入手可能なジブチルスズジアセテート;Shepherd Chemical Company,Norwood,OH,USAからBiCat 8として入手可能な、ネオデカン酸亜鉛と、ネオデカン酸ビスマスとネオデカン酸とのブレンド;Amspec Chemical Corporation,Bear,DE,USAからAmspec GCR−56として入手可能な鉄(III)アセチルアセトネート;およびAcme−Hardesty Company,Blue Bell,PA,USAからOleic Acid 105として入手可能なオレイン酸が挙げられるが、それらに限定されない。
【0025】
ポリウレタン組成物のパート(B)に使用されてもよい任意選択の第2ポリオールとしては、上のパート(A)に関連して記載されたものと同じ第2ポリオールが挙げられる。ポリウレタン組成物のパート(A)およびパート(B)が両方とも第2ポリオールを含む場合、第2ポリオールは同じものであっても異なるものであってもよい。
【0026】
ポリウレタン組成物のパート(A)およびパート(B)のいずれかまたは両方ともまた消泡剤を含んでもよい。一実施形態では、消泡剤は、パート(A)に約0.01〜約0.1重量%の量で添加される。別の実施形態では、消泡剤は、パート(B)に約0.01〜約0.1の量で添加される。さらなる実施形態では、消泡剤は、パート(A)に約0.005〜約0.05の量で、およびパート(B)に約0.005〜約0.05の量で添加される。ポリウレタン組成物のパート(A)およびパート(B)のいずれかまたは両方で利用される消泡剤は、当技術分野で公知である任意の消泡剤であってもよい。一例では、消泡剤は、Momentive Performance Materials Holdings LLC,Columbus,OH,USAからSF8843として商業的に入手可能な、たとえば、アルキルアリールシリコーンポリマー系泡止め添加剤などのシリコーン系消泡剤である。別の実施形態では、消泡剤は、BYK USA,Inc.,Wallingford,CT,USAから入手可能な、たとえば、BYK 054などのイソパラフィン系消泡剤など、シリコーンを含まない消泡剤である。
【0027】
ポリウレタン組成物のパート(A)の粘度は、少なくとも600cpsである。一実施形態では、ポリウレタン組成物のパート(A)の粘度は、それらの間のいかなる値も含めて、約600cps〜約50,000cpsである。別の実施形態では、ポリウレタン組成物のパート(A)の粘度は、それらの間のいかなる値も含めて、約10,000cps
〜約50,000cpsである。さらなる実施形態では、ポリウレタン組成物のパート(A)の粘度は、それらの間のいかなる値も含めて、約20,000cps〜約40,000cpsである。なおもさらなる実施形態では、ポリウレタン組成物のパート(A)の粘度は、それらの間のいかなる値も含めて、約30,000cps〜約35,000cpsである。ポリウレタン組成物のパート(A)の粘度は、パート(A)の成分のすべてが組み合わせられた後に測定される。
【0028】
ポリウレタン組成物のパート(B)の粘度は、少なくとも600cpsである。一実施形態では、ポリウレタン組成物のパート(B)の粘度は、それらの間のいかなる値も含めて、約600cps〜約50,000cpsである。別の実施形態では、ポリウレタン組成物のパート(B)の粘度は、それらの間のいかなる値も含めて、約1,000cps〜約50,000cpsである。さらなる実施形態では、ポリウレタン組成物のパート(B)の粘度は、それらの間のいかなる値も含めて、約1,000cps〜約40,000cpsである。なおもさらなる実施形態では、ポリウレタン組成物のパート(B)の粘度は、それらの間のいかなる値も含めて、約1,000cps〜約30,000cpsである。
【0029】
接着剤組成物のポリウレタン組成物は、任意の比のまたは量のパート(A)およびパート(B)を含有できると考えられる。一例では、ポリウレタン組成物は、約10重量%〜約90重量%のパート(A)および約10重量%〜約90重量%のパート(B)を含有する。ポリウレタン組成物が、約20重量%〜約80重量%のパート(A)および約20重量%〜約80重量%のパート(B);30重量%〜約75重量%のパート(A)および約25重量%〜約70重量%のパート(B)、およびそれらの間の任意の量を含有する他の例が考えられる。特定の例では、ポリウレタン組成物は、約50重量%のパート(A)および約50重量%のパート(B)を含有する、すなわち、パート(A)およびパート(B)は1:1の比で混合される。
【0030】
上に指摘されたように、第2ポリオールは、ポリウレタン組成物のパート(A)およびパート(B)において任意選択である。ポリウレタン組成物のパート(A)およびパート(B)のいずれも第2ポリオールを含まなくてもよいと考えられる。パート(A)およびパート(B)のいずれか1つまたは両方とも第2ポリオールを含んでもよいとまた考えられる。ポリウレタン組成物の一実施形態では、パート(A)またはパート(B)は、パート(A)およびパート(B)の総重量%を基準として少なくとも4重量%の第2ポリオールを含む。ポリウレタン組成物の別の実施形態では、パート(A)またはパート(B)は、パート(A)およびパート(B)の総重量%を基準として少なくとも6重量%の第2ポリオールを含む。ポリウレタン組成物の別の実施形態では、パート(A)またはパート(B)は、パート(A)およびパート(B)の総重量%を基準として少なくとも10重量%の第2ポリオールを含む。さらなる実施形態では、ポリウレタン組成物のパート(A)およびパート(B)は、パート(A)およびパート(B)の総重量%を基準として約4重量%〜約30重量%の第2ポリオールを有する。
【0031】
前述のポリウレタン組成物に加えて、接着剤組成物はまた可塑剤を含む。一実施形態では、可塑剤は、パート(B)に添加され、次に可塑剤を含有するパート(B)がパート(A)と混合される。別の実施形態では、可塑剤は、パート(A)に添加され、次に可塑剤を含有するパート(A)がパート(B)と混合される。別の実施形態では、可塑剤は、パート(A)およびパート(B)中の両方に添加され、次にポリウレタン組成物を形成するために混ぜ合わせられる。
【0032】
可塑剤は、接着剤組成物に使用することができる任意の可塑剤であり得る。好適な可塑剤としては、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステル、マレイン酸エステル、コハク
酸エステル、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、ジカルボン酸/トリカルボン酸エステル系可塑剤、ホスフェート、トリメリット酸エステル、グルタル酸エステル、クエン酸エステル、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、エポキシ化大豆油、大豆油のエステルまたは前述の可塑剤のいずれかの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態では、可塑剤は、可塑剤の総重量を基準として0.04重量%の最大含水率を有する。
【0033】
フタル酸エステル系可塑剤の例としては、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタルジ−n−ブチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ド−n−オクチル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジウンデシル、およびフタル酸ジ−n−ヘキシルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0034】
トリメリット酸エステルの例としては、トリメリット酸トリメチル、トリメリット酸トリ−(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリ−(n−オクチル、n−デシル)、トリメリット酸トリ−(ヘプチル、ノニル)、トリメリット酸n−オクチルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0035】
アジピン酸エステル、グルタル酸エステル、ジカルボン酸、ホスフェート、セバシン酸エステル、およびマレイン酸エステルの例としては、1,2−ベンゼンジカルボン酸、ポリエステルグルタレート、o−イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、クエン酸トリ−n−ブチル、ジアルキルジエーテルグルタレート、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジオクチル、ポリエステルアジペート、アジピン酸ジメチル、アジピン酸モノメチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソノニル、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリ(2−エチルヘキシル)、ジ(C7〜9−アルキル)アジペート、フマル酸ブチル、フマル酸ジイソブチル、フマル酸ビス(2−エチルヘキシル)、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、アジピン酸ジヘプチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジノニル、セバシン酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジイソブチルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0036】
大豆油のエステルの例としては、大豆メチル、大豆エチルおよび大豆プロピルが挙げられる。ベンゾエートの例としては、Eastman Chemical Company,Kingsport,TN,USAからBenzoflexTMとして商業的に入手可能な1−[2−(ベンゾイルオキシ)プロポキシ]プロパン−2−イルベンゾエートが挙げられるが、それに限定されない。
【0037】
他の例可塑剤としては、テレフタル酸ジオクチル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、エポキシ化植物油、アルキルスルホン酸フェニルエステル、N−エチルトルエンスルホンアミド(オルトおよびパラ異性体)、N−(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド、N−(n−ブチル)ベンゼンスルホンアミド、トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート、グリコール/ポリエーテル、オルガノホスフェート、トリエチレングリコールジヘキサノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、高分子可塑剤、ポリブテン、アセチル化モノグリセリド、アルキルシトレート、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリオクチル、アセチルクエン酸トリオクチル、クエン酸トリヘキシル、アセチルクエン酸トリヘキシル、ブチリルクエン酸トリヘキシルおよびクエン酸トリメチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
好適な商業的に入手可能な可塑剤としてはまた、Exxon Mobil Chemi
cal,Houston,TX,USAからJayflex DIDPとして販売される、フタル酸ジイソデシルが挙げられる。他の許容されるフタル酸エステル可塑剤としては、Exxon Mobil Chemical,Houston,TX,USA製の他のJayflexTM可塑剤(たとえば、Jayflex DOPなどの)、Monsanto,St.Louis,Missouri,USAから商業的に入手可能なDIOCTYLTM、SANTICIZER(登録商標)、およびDIBUTYLTM可塑剤、ならびにBayer Corporation,Germanyから商業的に入手可能なADIMOLL(登録商標)、DISFLAMOLL(登録商標)、MESAMOLL(登録商標)、UNIMOLL(登録商標)、TEGDATM、TRIACETINTMおよびULTRAMOLLTM可塑剤が挙げられる。好ましい可塑剤は、長鎖、分岐フタル酸エステル(たとえば、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジ−L−ノニルおよびフタル酸ジ−L−ウンデシル)など、低い揮発度を有する。有用なジベンゾエートは、Velsicol Chemical Corporation,Rosemont,IL,USAから商業的に入手可能なBENZOFLEX(登録商標)9 88、BENZOFLEX(登録商標)50およびBENZOFLEX(登録商標)400として入手可能である。大豆油は、Dow Chemicals,DE,USAから商品名FLEXOLTM EPOで商業的に入手可能である。
【0039】
ポリウレタン組成物および可塑剤は、手動混合、静的混合、および動的混合を含むが、それらに限定されない、接着剤組成物を形成するために許容される任意の方法で組み合わせられるかまたは混合されてもよい。ポリウレタン組成物が可塑剤に添加されてもよく、もしくは逆もまた同様であり、あるいはポリウレタン組成物および可塑剤が、接着剤組成物を形成するために容器に同時に添加されてもよいことが指摘される。
【0040】
接着剤組成物は、ポリウレタン組成物のパート(A)および/またはパート(B)に添加されてもよい、充填材、または好ましくはチキソトロピック剤(「チキソトロープ剤」)であるレオロジー変性剤もしくはそれらの組み合わせを含んでもよい。充填材は、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、粘土、マイカ、二酸化チタン、または前述の任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない、当技術分野で公知の任意の好適な充填材であってもよい。レオロジー変性剤としては、第一級アミン末端ポリエーテル化合物と一緒に、BYK Additives/Elements Specialties,Wallingford,CT,USA製のすべての合成および天然の垂れ防止添加剤が挙げられる。第一級アミン末端ポリエーテル化合物としては、約110または200から、好ましくは約500までの分子量(約2000までの分子量が好適であるが)および約2〜3、好ましくは約2のアミン官能性を有するポリオキシプロピレンアミンが挙げられるが、それに限定されない。そのような第一級アミノ末端ポリエーテルは、名称Jeffamineで、Huntsman Corporation,Salt Lake City,UTによって製造され、販売されている。第一級アミンで末端停止され、かつ2のアミン官能性および約230の分子量を有するポリオキシプロピレングリコールである、Jeffamine D−230が特に好ましい。接着剤組成物における架橋は、BASF Corp.,GermanyによってQUADROLとして商業的に入手可能なジイソプロパノールアミンなどのヒドロキシル含有第三級アミンを添加することによってさらに加速させることができる。チキソトロピーは、ポリウレタン組成物のパート(A)およびパート(B)がそのようなアミンの存在下で混ぜ合わせられる場合に迅速に成長する。チキソトロピック剤としては、無機添加剤を挙げることができるが、それらに限定されず、たとえば、ヒュームドシリカ、非晶質二酸化ケイ素、粘土、ベントナイト、タルクなど、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0041】
ポリウレタン組成物および可塑剤が接着剤組成物を形成するために組み合わせられたときに、接着剤組成物は典型的には、少なくとも約10,000cpsの初期混合粘度を有
する。「初期混合粘度」に用いられるような用語「初期混合」は、ポリウレタンのパート(A)およびパート(B)の両方と可塑剤とが混ぜ合わせられたときの接着剤組成物の粘度に関する。別の例では、接着剤組成物の初期混合粘度は、それらの間のいかなる値も含めて、約10,000cps〜約40,000cpsである。別の例では、接着剤組成物の初期混合粘度は、それらの間のいかなる値も含めて、約10,000cps〜約25,000cpsである。さらなる例では、接着剤組成物の初期混合粘度は、それらの間のいかなる値も含めて、20,000cps〜約35,000cpsである。別の例では、接着剤組成物の初期混合粘度は、それらの間のいかなる値も含めて、30,000cps〜40,000cpsである。初期混合粘度のある種の範囲が上に提供されているが、接着剤組成物の初期混合粘度は20,000cps超の任意の値であり得ると考えられる。初期混合粘度は、処理要件に基づいて5000cps〜70,000cpsの範囲であり得る。
【0042】
接着剤組成物は、逆浸透モジュールの膜中の隙間または空隙に浸透するために柔軟性であるべきであり、しかしまた、膜がそれを使用するためにかけられる高い圧力をもたらすのに十分に強いものであるべきである。前述の成分を混合して接着剤組成物を形成した後に、接着剤組成物は、逆浸透モジュールの膜に適用される。接着剤組成物は、膜への適用後に硬化させられる。例逆浸透モジュール10が図1に例示され、図中、接着剤組成物12は、膜14の少なくとも一部に適用されて示されている。図1に示される例は、例示目的にために用いられるにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0043】
接着剤組成物は、室温硬化または加熱硬化によって硬化させることができる。接着剤組成物が完全に硬化した場合に、接着剤は、逆浸透モジュールに使用された場合に接着剤組成物に有益な特性を付与するのに役立つある種の特性を有するであろう。接着剤組成物は典型的には、完全に硬化した場合に約20A超のショア硬度を有する。別の例では、接着剤組成物は、完全に硬化した場合に少なくとも約30Aのショア硬度を有し、一方別の例では接着剤組成物は、完全に硬化した場合に少なくとも約40Aのショア硬度を有する。なおもさらなる例では、接着剤組成物は、完全に硬化した場合に少なくとも約35Dのショア硬度を有する。さらなる例では、接着剤組成物は、完全に硬化した場合に35D〜80Dのショア硬度を有する。別の例では、接着剤組成物は、60A〜80Dのショア硬度を有する。
【0044】
完全に硬化した場合に、接着剤組成物は、100psi超、好ましくは500psi超の引張強度を有するべきである。別の例では、接着剤組成物は、完全に硬化した場合に1,000psi超、好ましくは2,000psi超の引張強度を有する。引張強度は、たとえば、インストロン張力計(Instron Tensiometer)によって測定することができる。
【0045】
接着剤組成物は、そのような接着剤を適用するために当技術分野で公知の任意の技法を用いて所望の膜に適用することができると考えられる。たとえば、接着剤組成物は、スリットダイコーターなど、任意の商業的に入手可能なコーターを用いて逆浸透モジュールの膜に適用され得る。接着剤組成物は、任意の所望の厚さを有する層として適用され得る。一例では、接着剤組成物は、他の厚さが適用され得るが、約0.2〜約4ミル厚さの層に適用される。
【0046】
本発明は、少なくとも以下の実施形態を含む:
実施形態1。逆浸透モジュール用に好適な接着剤組成物であって、
(I)接着剤組成物の総重量%を基準として約65重量%〜99重量%のポリウレタン組成物であって、
(A)(i)ヒマシ油またはその誘導体;および(ii)ポリイソシアネート;および
(iii)任意選択的に第2ポリオールの反応生成物を含むイソシアネート基含有プレポリマー;ならびに
(B)(i)ポリブタジエンポリオール;および(ii)ウレタン触媒;および(iii)任意選択的に第2ポリオールを含むイソシアネート反応性ポリオール混合物
を含むポリウレタン組成物と;
(II)接着剤組成物の総重量%を基準として約1重量%〜約35重量%の可塑剤と
を含み、
希釈油および溶剤を本質的に含まない、接着剤組成物。
【0047】
実施形態2。接着剤組成物の初期混合粘度が少なくとも10,000cpsである、実施形態1に記載の接着剤組成物。
【0048】
実施形態3。接着剤組成物の初期混合粘度が約10,000cps〜約40,000cpsである、実施形態1〜2のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0049】
実施形態4。接着剤組成物の初期混合粘度が約30,000cps〜約40,000cpsである、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0050】
実施形態5。接着剤組成物の初期混合粘度が約20,000cps〜約35,000cpsである、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0051】
実施形態6。接着剤組成物の初期混合粘度が約10,000cps〜約25,000cpsである、実施形態1〜5のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0052】
実施形態7。完全に硬化した場合に約20A超のショア硬度をさらに含む、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0053】
実施形態8。完全に硬化した場合に少なくとも約30Aのショア硬度をさらに含む、実施形態1〜7のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0054】
実施形態9。完全に硬化した場合に少なくとも約40Aのショア硬度をさらに含む、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0055】
実施形態10。完全に硬化した場合に60A〜80Dのショア硬度をさらに含む、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0056】
実施形態11。完全に硬化した場合に少なくとも約35Dのショア硬度をさらに含む、実施形態1〜6および9〜10のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0057】
実施形態12。完全に硬化した場合に35D〜80Dのショア硬度をさらに含む、実施形態1〜6および9〜10のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0058】
実施形態13。接着剤組成物の引張強度が約100psi超である、実施形態1〜12のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0059】
実施形態14。接着剤組成物の引張強度が完全に硬化した場合に少なくとも1,000psiである、実施形態1〜13のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0060】
実施形態15。接着剤組成物の引張強度が完全に硬化した場合に少なくとも2,000psiである、実施形態1〜14のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0061】
実施形態16。パート(A)またはパート(B)のいずれかが、パート(A)およびパート(B)の総重量パーセントを基準として少なくとも4重量%の第2ポリオールを含む、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0062】
実施形態17。パート(A)またはパート(B)のいずれかが、パート(A)およびパート(B)の総重量パーセントを基準として少なくとも6重量%の第2ポリオールを含む、実施形態1〜16のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0063】
実施形態18。パート(A)またはパート(B)のいずれかが、パート(A)およびパート(B)の総重量を基準として少なくとも10重量%の第2ポリオールを含む、実施形態1〜17のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0064】
実施形態19。第2ポリオールが、約600未満の分子量を有するポリオールの群から選択される、実施形態1〜18のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0065】
実施形態20。第2ポリオールが、80〜300ダルトンの分子量を有するポリオールである、実施形態1〜19のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0066】
実施形態21。第2ポリオールがジオールである、実施形態20に記載の接着剤組成物。
【0067】
実施形態22。第2ポリオールが、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール;1,2−プロパンジオール;1,3−ブタンジオール;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,12−オクタデカンジオール;1,2−ヘキサンジオール;1,2−オクタンジオール;および1,2−デカンジオールからなる群から選択される、実施形態19に記載の接着剤組成物。
【0068】
実施形態23。第2ポリオールが、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレンエーテルグリコールである、実施形態19に記載の接着剤組成物。
【0069】
実施形態24。パート(I)(A)およびパート(I)(B)の少なくとも1つが、充填材、チキソトロピック剤またはそれらの組み合わせをさらに含む、実施形態1〜23のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0070】
実施形態25。パート(I)(A)およびパート(I)(B)の少なくとも1つが、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、粘土、マイカ、二酸化チタン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される充填材を含む、実施形態24に記載の接着剤組成物。
【0071】
実施形態26。接着剤組成物のパート(I)(B)がチキソトロピック剤をさらに含む、実施形態24に記載の接着剤組成物。
【0072】
実施形態27。チキソトロピック剤が、ヒュームドシリカ、非晶質二酸化ケイ素、タルク、粘土およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態26に記載の接着剤組成物。
【0073】
実施形態28。接着剤組成物のパート(I)が、パート(I)の総重量を基準として約10重量%〜約90重量%のパート(A)およびパート(I)の総重量を基準として約10重量%〜約90重量%のパート(B)を含む、実施形態1〜27のいずれか1つに記載
の接着剤組成物。
【0074】
実施形態29。接着剤組成物のパート(I)が、パート(I)の総重量を基準として約20重量%〜約80重量%のパート(A)およびパート(I)の総重量を基準として約20重量%〜約80重量%のパート(B)を含む、実施形態1〜28のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0075】
実施形態30。接着剤組成物のパート(I)が、パート(I)の総重量を基準として約30重量%〜約70重量%のパート(A)およびパート(I)の総重量を基準として約30重量%〜約70重量%のパート(B)を含む、実施形態1〜29のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0076】
実施形態31。接着剤組成物のパート(I)が、パート(I)の総重量を基準として約50重量%のパート(A)およびパート(I)の総重量を基準として約50重量%のパート(B)を含む、実施形態1〜30のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0077】
実施形態32。逆浸透モジュール用に好適な接着剤組成物であって、
(I)接着剤組成物の総重量を基準として、約65重量%〜約99重量%のポリウレタン組成物であって、
(A)(i)ヒマシ油またはその誘導体;および(ii)ポリイソシアネートの反応生成物を含むイソシアネート基含有プレポリマー;ならびに
(B)(i)ポリブタジエングリコール;(ii)ウレタン触媒;および(iii)第2ポリオールを含むイソシアネート反応性ポリオール混合物
を含むポリウレタン組成物と;
(II)接着剤組成物の総重量%を基準として、約1重量%〜約35重量%の可塑剤とを含み、
希釈油および溶剤を本質的に含まず、さらに、完全に硬化した場合の接着剤組成物の引張強度が少なくとも1,000psiであり、かつ完全に硬化した場合の接着剤組成物のショア硬度が約35D〜約75Dである、接着剤組成物。
【0078】
実施形態33。可塑剤が、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステル、マレイン酸エステル、コハク酸エステル、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、ジカルボン酸/トリカルボン酸エステル系可塑剤、ホスフェート、トリメリット酸エステル、グルタル酸エステル、クエン酸エステル、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、エポキシ化大豆油、大豆油のエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1〜32のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0079】
実施形態34。可塑剤が、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、エポキシ化大豆油、大豆油のエステル、アジピン酸ジヘプチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジノニル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1〜33のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
【0080】
実施形態35。実施形態1〜34のいずれか1つに記載の接着剤組成物を含む逆浸透モジュール。
【0081】
実施形態36。実施形態32に記載の接着剤組成物を含む逆浸透モジュール。
【0082】
実施形態37。逆浸透モジュールを構築する方法であって、逆浸透モジュールに存在する膜の少なくとも一部に、実施形態1〜32のいずれか1つに記載の接着剤組成物を適用する工程を含む、方法。
【0083】
実施形態38。逆浸透モジュールを構築する方法であって、逆浸透モジュールに存在する膜の少なくとも一部に、実施形態32に記載の接着剤組成物を適用する工程を含む、方法。
【0084】
前述の実施形態の1つもしくは複数に記載の接着剤組成物は、以下に提供される実施例においてさらに考察される。
【実施例】
【0085】
表1にリストされる次の成分を、下の表2および3に詳述される、実施例I〜IXに使用する。
【0086】
【表1】
【0087】
表2は、本発明による接着剤組成物である、実施例I〜IIにおける接着剤組成物のポリウレタン組成物のパート(A)およびパート(B)用の成分と可塑剤とを提供する。表2はまた、実施例III〜IV(比較接着剤組成物)用の成分を提供する。実施例I〜IVにおいて、ポリウレタン組成物のパート(B)は、第2ポリオールを含まない。
【0088】
実施例I〜IXにおける接着剤組成物のパート(A)および(B)は、以下の手順に従って合成する。
【0089】
実施例I〜IXにおけるパート(A)の合成プロトコル
秤量したジイソシアネートを、攪拌、真空、加熱および冷却用の設備を備えた反応容器へ装入する。SF 8843消泡剤を反応容器に添加する。攪拌しながら、(イソシアネートを基準として)90モル%のヒマシ油を、温度上昇が85℃を超えないような速度で、反応容器に添加する。ヒマシ油が添加された後、反応容器を、真空下で(少なくとも約27インチ Hgで)密封し、次に4時間にわたり約80℃〜約85℃の温度で加熱してパート(A)のイソシアネート基含有プレポリマーを形成する。
【0090】
パート(A)のイソシアネート基含有プレポリマーの試料を、ASTM D 2572に従って分析してNCO含有率を測定する。必要な場合、追加のヒマシ油を添加し、2時間にわたって約80℃〜約85℃の温度で真空下で反応させてターゲットNCO値、すなわち、5%〜25%(質量パーセント)NCO含有率までNCO含有率を下げる。計算さ
れるNCO含有率がターゲット値よりも低い場合、追加のジイソシアネートを添加してNCO含有率を高める。NCO含有率を再び測定して、使用前にNCO含有率がターゲット値内であることを確実にする。
【0091】
実施例I〜IVにおけるパート(B)の合成プロトコル
実施例I〜IVの接着剤組成物において、ポリウレタン組成物のパート(B)は、第2ポリオールおよびチキソトロープ剤を含まない。実施例I〜IVにおける接着剤組成物のそれぞれを、ポリブタジエンジオール、可塑剤および消泡剤を30分間容器中でブレンドすることによって合成する。水を次に、混合物の含水率が0.04重量%未満であるように混合物からストリップする。触媒を次に添加し、混合物を40〜45分攪拌して均一な混合物をもたらす。
【0092】
実施例VI〜IXにおけるパート(B)の合成プロトコル
実施例VI〜IXの接着剤組成物において、ポリウレタン組成物のパート(B)は、第2ポリオールおよびチキソトロープ剤を含む。実施例VI〜IXにおける接着剤組成物のそれぞれを、ポリブタジエンジオール、可塑剤および消泡剤を30分間容器中でブレンドすることによって合成する。水を次に、混合物の含水率が0.04重量%未満であるように混合物からストリップする。第2ポリオール、第2ジオールEHジオールを、含水率が0.04重量%以下であるように混合物から水をストリップした後に混合物に添加し、混合物とブレンドする。触媒を次に室温で混合物に添加し、混合し、これにチキソトロープ剤が続く。チキソトロープ剤を室温で混合物に添加し、均一な混合物が得られるまで40分〜45分混合する。
【0093】
【表2】
【0094】
表3は、本発明による接着剤組成物である、実施例V〜IXにおける接着剤組成物のポリウレタン組成物のパート(A)およびパート(B)用の成分と可塑剤とを提供する。実施例V〜IXにおいて、ポリウレタン組成物のパート(B)は、第2ポリオールを含む。
【0095】
【表3】
【0096】
上の表2および3に示されるように、本発明による接着剤組成物(実施例I、IIおよびV〜VIII)の硬度、引張強度および引裂強度は、比較例III、IVおよびIXによる接着剤組成物と比較して改善された。
図1