【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様において、本発明は、抗原と結合する受容体と、外因性の副刺激リガンド(costimulatory ligand)とを含む免疫応答性細胞を提供する。
【0007】
別の態様において、本発明は、CD80、4−1BBL、OX40L、CD70及びCD30Lのいずれか1つ又はそれ以上から選択されるポリペプチドをコードするベクター(例えば、発現ベクター)を発現するウイルス特異的T細胞を提供する。その態様の1つとしては、ウイルス特異的T細胞は、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・バールウイルス(EBV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、及びインフルエンザウイルスからなる群から選ばれるウイルスの抗原のいずれか1つ又はそれ以上から選択されるウイルスを認識する。
【0008】
さらに別の態様において、本発明は、CD80、4−1BBL、OX40L、CD70及びCD30Lからなる群より選択されるポリペプチドをコードするベクターを発現する腫瘍抗原特異的T細胞を提供する。その態様の1つとしては、この細胞はCD80及び4−1BBLを発現する。別の態様においては、ベクターはレトロウイルス(例えば、γ−レトロウイルス又はレンチウイルス)からなる。ベクターはまた、非ウイルス性であってもよい。
【0009】
さらに別の態様において、本発明は、いずれかの前記態様の免疫応答性細胞の有効量を投与することを含む、対象における免疫応答を調節する方法を提供する。その態様の1つとしては、この方法は免疫応答を増大又は低下させる。別の態様としては、この方法は、臓器移植に対する自己寛容を増大させるか、又は、臓器移植に対する耐性を増大させる。
【0010】
さらに別の態様において、本発明は、腫瘍抗原と結合する受容体、及び副刺激リガンドをコードするベクターとを含む免疫応答性細胞の有効量を投与することを含む、対象における腫瘍を治療又は予防する方法を提供する。その態様の1つとしては、腫瘍は、前立腺癌、結腸癌、乳癌及び神経膠芽細胞腫のいずれか1つ又はそれ以上から選択される。別の態様としては、腫瘍の抗原は、前立腺特異的膜抗原、CD19、NY−ESO−1、WT−1、hTERT又はメソセリンである。
【0011】
別の態様において、本発明は、抗原と結合する受容体、及び副刺激リガンドをコードするベクターとを含む免疫応答性細胞の有効量を投与することを含む、対象における耐性を強化する方法を提供する。その態様の1つとしては、この方法は、自己免疫疾患、又は、同種移植に関連する疾患を予防又は軽減する。
【0012】
さらに別の態様において、本発明は、ウイルス抗原と結合する受容体、及び副刺激リガンドをコードするベクターとを含む免疫応答性細胞の有効量を投与することを含む、対象における病原体感染を治療又は防止する方法を提供する。その態様の1つとしては、病原体は、ウイルス、細菌、真菌、原生動物又は寄生虫である。別の態様において、ウイルスは、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・バールウイルス(EBV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)及びインフルエンザウイルスのいずれか1つ又はそれ以上から選択される。さらに別の態様において、当該細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞又は細胞傷害性Tリンパ球(CTL)である。
【0013】
さらに別の態様において、本発明は、免疫応答性細胞を活性化する細胞内シグナル伝達ドメインと共役している抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体をコードする核酸配列を、免疫応答性細胞に導入することを含む抗原特異的な免疫応答性細胞を産生するための方法を提供する。その態様の1つとしては、当該免疫応答性細胞は、T細胞、CTL又はNK細胞である。別の態様としては、抗原結合ドメインは腫瘍抗原結合ドメインである。さらに別の態様としては、腫瘍抗原は前立腺特異的膜抗原(PSMA)である。さらに別の態様としては、細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞、CTL細胞又はNK細胞を活性化するものである。さらに別の態様としては、細胞内シグナル伝達ドメインはζ鎖シグナル伝達ドメインである。
【0014】
別の態様において、本発明は、腫瘍抗原、並びに少なくとも1つの副刺激リガンドが、腫瘍壊死因子(TNF)リガンド、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーリガンド、及びそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ又はそれ以上から選択される少なくとも2つの副刺激リガンドを含む抗原提示複合体を含有してなるT細胞の有効量を対象に投与することからなる、治療が必要な対象における腫瘍を治療する方法を提供する。
【0015】
別の態様において、本発明は、腫瘍抗原、並びに少なくとも1つの副刺激リガンドが、腫瘍壊死因子(TNF)リガンド、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーリガンド、及びそれらの組合せのいずれか1つ又はそれ以上から選択される少なくとも2つの副刺激リガンドを含む抗原提示複合体を含有してなるナチュラルキラー(NK)細胞の治療有効量を対象に投与することからなる、対象における腫瘍を治療する方法を提供する。その態様の1つとしては、当該TNFリガンドは、4−1BBL、OX40L、CD70、CD30L、及びLIGHTからなる群から選ばれる1つ又はそれ以上から選択される。別の態様としては、Igスーパーファミリーリガンドは、CD80又はCD86から選択される。さらに別の態様としては、細胞は少なくとも2つの副刺激リガンドを発現し、その1つがTNFリガンド(例えば、4−1BBL)であり、他のひとつがIgスーパーファミリーリガンド(例えば、CD80)である。
【0016】
別の態様において、本発明は、ウイルス抗原に対して特異的な受容体、並びに少なくとも1つの副刺激リガンドが、腫瘍壊死因子(TNF)リガンド、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーリガンド、及びそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ又はそれ以上から選択される少なくとも2つの副刺激リガンドを含む抗原提示複合体とを含むT細胞の治療有効量を対象に投与することからなる、治療の必要がある対象における感染性疾患を治療する方法を提供する。
【0017】
さらに別の態様において、本発明は、ウイルス抗原に対して特異的な受容体、並びに少なくとも1つの副刺激リガンドが、腫瘍壊死因子(TNF)リガンド、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーリガンド、及びそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ又はそれ以上から選択される少なくとも2つの副刺激リガンドを含む抗原提示複合体とを含むナチュラルキラー(NK)細胞の治療有効量を対象に投与することからなる、対象における感染性疾患を治療する方法を提供する。その態様の1つとしては、対象は、免疫が低下している対象である。別の態様としては、TNFリガンドは、4−1BBL、OX40L、CD70、LIGHT及びCD30Lからなる群から選ばれる1つ又はそれ以上から選択される。さらに別の態様としては、Igスーパーファミリーリガンドは、CD80及びCD86からなる群から選ばれる1つ又はそれ以上から選択される。さらに別の態様としては、そのような少なくとも2つの副刺激リガンドが、TNFリガンド及びIgスーパーファミリーリガンドである。別の態様としては、TNFリガンドが4−1BBLであり、IgスーパーファミリーリガンドがCD80である。別の態様としては、抗原認識複合体が細胞の表面に構成的に発現される。別の態様としては、ウイルス抗原は、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・バールウイルス(EBV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)又はインフルエンザウイルスに対して特異的な抗原である。別の態様としては、そのような少なくとも2つの副刺激リガンドは細胞の表面に構成的(constitutively)に発現される。
【0018】
別の態様において、本発明は、前記態様のいずれかの免疫応答性細胞の有効量、及び薬学的に許容される賦形剤を含有してなる医薬組成物を提供する。
【0019】
別の態様において、本発明は、前記態様のいずれかの腫瘍抗原特異的T細胞の有効量、及び薬学的に許容される賦形剤を含有してなる腫瘍を治療するための医薬組成物を提供する。
【0020】
別の態様において、本発明は、前記態様のウイルス特異的T細胞の有効量、及び薬学的に許容される賦形剤を含有してなる病原体感染を治療するための医薬組成物を提供する。その態様の1つとしては、組成物はさらに、IL−2、IL−3、IL−6、IL−11、IL7、IL12、IL15、IL21、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、α−インターフェロン又はβ−インターフェロン又はγ−インターフェロン、及び、エリスロポエチンからなる群から選ばれる1つ又はそれ以上から選択されるサイトカインを含有している。
【0021】
別の態様において、本発明は、抗原と結合する受容体と、外因性の副刺激リガンドとを含む免疫応答性細胞を含むキットを提供する。その態様の1つとしては、当該キットはさらに、腫瘍、病原体感染、自己免疫障害又は同種移植に関連する症状を有する対象の治療のために前記細胞を使用するための文書化された説明書を含む。
【0022】
いずれかの前記態様においては、本発明の方法はさらに、免疫応答性細胞又は副刺激リガンドを得る工程を含む。
前記態様のさらに他の態様においては、副刺激リガンドは構成的又は誘導的に発現される。前記態様のさらに他の態様において、少なくとも2つの副刺激リガンドは構成的に発現される。
前記いずれかの態様においては、細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、及び調節性T細胞からなる群から選ばれる1つ又はそれ以上から選択される。
前記態様のさらに他の態様においては、抗原は腫瘍抗原又は病原体抗原であり、例えば、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児抗原(CEA)、IL13Rα、her−2、CD19、NY−ESO−1、HIV−1Gag、Lewis Y、Mart−1、gp100、チロシナーゼ、WT−1、hTERT、及びメソセリンからなる群から選ばれるいずれか1つ又はそれ以上である。
前記態様のさらに他の態様においては、当該細胞は組換え抗原受容体及び/又は内因性抗原受容体を発現する。
前記態様のさらに他の態様においては、副刺激リガンドは、腫瘍壊死因子(TNF)リガンド(例えば、4−1BBL、OX40L、CD70、LIGHT及びCD30L)又は免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーリガンド(例えば、CD80及びCD86)である。
前記態様のさらに他の態様においては、免疫応答性細胞は少なくとも1つのTNFリガンド及び少なくとも1つのIgスーパーファミリーリガンドを発現する。
前記態様のさらに他の態様においては、当該細胞は4−1BBL及びCD80を発現する。
前記態様のさらに他の態様においては、抗原提示複合体及び/又は副刺激リガンドはT細胞の表面に構成的(constitutively)又は誘導的(inducibly)に発現される。
前記態様のさらに他の態様においては、副刺激リガンドはレトロウイルスベクターで発現される。
別の態様においては、腫瘍抗原は、前立腺特異的膜抗原、CD19、NY−ESO−1、WT−1又はhTERTである。
さらに他の態様においては、細胞は、そのような抗原に対する組換え受容体又は内因性受容体を発現する。
さらに他の態様においては、副刺激リガンドは腫瘍壊死因子(TNF)リガンド又は免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーリガンドである。
さらに他の態様においては、TNFリガンドは、4−1BBL、OX40L、CD70、LIGHT及びCD30Lからなる群から選ばれるいずれか1つ又はそれ以上から選択される。
これらの態様においては、細胞内シグナル伝達ドメインは、ζ鎖シグナル伝達ドメインである。
他の態様においては、1つの副刺激シグナルが、遺伝子改変抗原受容体を介して提供され、もう一方の副刺激シグナルが、副刺激リガンドを過剰発現することによって提供される。
さらに他の態様においては、Igスーパーファミリーリガンドは、CD80及びCD86からなる群より選択される。
すなわち、本発明は、以下の(1)から(74)に関する。
(1) 抗原と結合する受容体、及び外因性の副刺激リガンドとを含有してなる免疫応答性細胞。
(2) 前記副刺激リガンドが、構成的又は誘導的に発現される、前記(1)に記載の方法。
(3) 少なくとも2つの副刺激リガンドが構成的に発現される、前記(1)に記載の方法。
(4) 当該細胞が、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)及び調節性T細胞からなる群より選択される、前記(1)に記載の免疫応答性細胞。
(5) 前記抗原が、腫瘍抗原又は病原体抗原である、前記(1)に記載の免疫応答性細胞。
(6) 前記抗原が、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児抗原(CEA)、IL13Rα、her−2、CD19、NY−ESO−1、HIV−1Gag、Lewis Y、Mart−1、gp100、チロシナーゼ、WT−1、hTERT、及びメソセリンからなる群より選択される、前記(3)に記載の免疫応答性細胞。
(7) 当該細胞が、Pz1又はP28zである組換え抗原受容体又は内因性抗原受容体を発現する、前記(1)に記載の免疫応答性細胞。
(8) 前記副刺激リガンドが、腫瘍壊死因子(TNF)リガンド又は免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーリガンドである、前記(1)に記載の免疫応答性細胞。
(9) 前記TNFリガンドが、4−1BBL、OX40L、CD70、LIGHT、及びCD30Lからなる群より選択される、前記(8)に記載の免疫応答性細胞。
(10) 前記Igスーパーファミリーリガンドが、CD80及びCD86からなる群より選択される、前記(8)に記載の免疫応答性細胞。
(11) 当該免疫応答性細胞が、TNFリガンド及びIgスーパーファミリーリガンドを発現する、前記(1)〜(10)のいずれか一項に記載の免疫応答性細胞。
(12) 前記TNFリガンドが、4−1BBLであり、そして前記IgスーパーファミリーリガンドがCD80である、前記(11)に記載の免疫応答性細胞。
(13) 内因性抗原受容体、組換え抗原受容体又は抗原提示複合体が、T細胞の表面に構成的に発現される、前記(1)〜(12)のいずれか一項に記載の免疫応答性細胞。
(14) 前記副刺激リガンドが、T細胞の表面に構成的に発現される、前記(1)〜(12)のいずれか一項に記載の細胞。
(15) 前記副刺激リガンドが、レトロウイルスベクターで発現される、前記(1)〜(12)のいずれか一項に記載の免疫応答性細胞。
(16) CD80、4−1BBL、OX40L、CD70及びCD30Lからなる群より選択されるポリペプチドをコードするベクターを発現するウイルス特異的T細胞。
(17) 当該T細胞が、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・バールウイルス(EBV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)及びインフルエンザウイルスの抗原からなる群より選択されるウイルスを認識する、前記(16)に記載のウイルス特異的T細胞。
(18) CD80、4−1BBL、OX40L、CD70及びCD30Lからなる群より選択されるポリペプチドをコードするベクターを発現する、腫瘍抗原特異的T細胞。
(19) 当該細胞が、CD80及び4−1BBLを発現する、前記(15)に記載の腫瘍抗原特異的T細胞。
(20) 前記ベクターが、レトロウイルスベクターである、前記(15)に記載の腫瘍抗原特異的T細胞。
(21) 前記(1)〜(17)のいずれか一項に記載の免疫応答性細胞の有効量を投与することを含む、対象における免疫応答を調節する方法。
(22) 免疫応答を増大させるか又は低下させる、前記(21)に記載の方法。
(23) 臓器移植に対する自己寛容を増大させるか、又は、臓器移植に対する耐性を増大させる、前記(21)に記載の方法。
(24) 腫瘍抗原と結合する受容体と、副刺激リガンドをコードするベクターとを含有してなる免疫応答性細胞の有効量を投与することを包含する、対象における腫瘍を治療又は予防する方法。
(25) 前記腫瘍が、前立腺癌、結腸癌、乳癌及び神経膠芽細胞腫からなる群より選択される、前記(18)に記載の方法。
(26) 前記腫瘍抗原が、前立腺特異的膜抗原、CD19、NY−ESO−1、WT−1、hTERT及びメソセリンである、前記(18)に記載の方法。
(27) 抗原と結合する受容体と、副刺激リガンドをコードするベクターとを含有してなる免疫応答性細胞の有効量を投与することを包含する、対象の耐性を強化する方法。
(28) 自己免疫疾患、又は同種移植に関連する疾患を予防又は軽減する、前記(27)に記載の方法。
(29) ウイルス抗原と結合する受容体と、副刺激リガンドをコードするベクターとを含有してなる免疫応答性細胞の有効量を投与することを包含する、対象における病原体感染を治療又は予防する方法。
(30) 前記病原体が、ウイルス、細菌、真菌、原生動物又は寄生虫である、前記(29)に記載の方法。
(31) 前記ウイルスが、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・バールウイルス(EBV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)及びインフルエンザウイルスからなる群より選択される、前記(29)に記載の方法。
(32) 前記細胞が、自己ドナー又は同種ドナーから集められるかあるいは、遺伝子的に組み換えられた始原体細胞又は幹細胞からインビトロで生じたもののいずれかである、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞又は細胞傷害性Tリンパ球(CTL)である、前記(21)〜(30)のいずれか一項に記載の方法。
(33) 前記細胞が、前記抗原に対する組換え受容体又は内因性受容体を発現する、前記(21)〜(30)のいずれか一項に記載の方法。
(34) 前記副刺激リガンドが、腫瘍壊死因子(TNF)リガンド又は免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーリガンドである、前記(21)〜(30)のいずれか一項に記載の方法。
(35) 前記TNFリガンドが、4−1BBL、OX40L、CD70、LIGHT及びCD30Lからなる群より選択される、前記(21)〜(31)のいずれか一項に記載の方法。
(36) 前記Igスーパーファミリーリガンドが、CD80及びCD86からなる群より選択される、前記(21)〜(31)のいずれか一項に記載の方法。
(37) 前記免疫応答性細胞が、TNFリガンド及びIgスーパーファミリーリガンドを発現する、前記(21)〜(31)のいずれか一項に記載の方法。
(38) 前記TNFリガンドが、4−1BBLであり、そして前記IgスーパーファミリーリガンドがCD80である、前記(21)〜(31)のいずれか一項に記載の方法。
(39) 組換え抗原受容体、内因性抗原受容体又は抗原提示複合体が、T細胞の表面に構成的に発現される、前記(21)〜(31)のいずれか一項に記載の方法。
(40) 前記副刺激リガンドが、T細胞の表面に構成的に発現される、前記(21)〜(31)のいずれか一項に記載の方法。
(41) 前記ベクターがレトロウイルスベクターである、前記(21)〜(31)のいずれか一項に記載の方法。
(42) キメラな抗原受容体をコードする核酸配列を免疫応答性細胞に導入することを含み、キメラな抗原受容体が、免疫応答性細胞を活性化する細胞内シグナル伝達ドメインと結合する抗原結合ドメインを包含する、抗原特異的な免疫応答性細胞を産生する方法。
(43) 前記免疫応答性細胞が、T細胞、CTL、又はNK細胞である、前記(42)に記載の方法。
(44) 前記抗原結合ドメインが、腫瘍抗原結合ドメインである、前記(42)に記載の方法。
(45) 前記腫瘍抗原が、前立腺特異的膜抗原(PSMA)である、前記(42)に記載の方法。
(46) 前記細胞内シグナル伝達ドメインが、T細胞、CTL細胞又はNK細胞を活性化する、前記(42)に記載の方法。
(47) 前記細胞内シグナル伝達ドメインが、ζ鎖シグナル伝達ドメインである、前記(42)に記載の方法。
(48) 1つの副刺激シグナルが、遺伝子改変抗原受容体を介して提供され、他の一つの副刺激シグナルが、副刺激リガンドを過剰発現することによって提供される、前記(42)に記載の方法。
(49) 腫瘍抗原、並びに少なくとも1つの副刺激リガンドが、腫瘍壊死因子(TNF)リガンド、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーリガンド、及びそれらの組合せからなる群より選択される1つ又はそれ以上からばれる少なくとも2つの副刺激リガンドを含む抗原提示複合体を含有してなるT細胞の有効量を対象に投与することを包含する、治療を必要とする対象における腫瘍を治療する方法。
(50) 腫瘍抗原、並びに、少なくとも1つの共刺激リガンドが、腫瘍壊死因子(TNF)リガンド、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーリガンド、及びそれらの組合せからなる群より選択される1つ又はそれ以上から選ばれる少なくとも2つの共刺激リガンドを含む抗原提示複合体を含有してなるナチュラルキラー(NK)細胞の治療有効量を対象に投与することを包含する、対象における腫瘍を治療する方法。
(51) 前記TNFリガンドが、4−1BBL、OX40L、CD70、CD30L及びLIGHTからなる群より選択される、前記(48)〜(50)に記載の方法。
(52) 前記Igスーパーファミリーリガンドが、CD80及びCD86からなる群より選択される、前記(48)〜(50)に記載の方法。
(53) 前記少なくとも2つの副刺激リガンドがTNFリガンド及びIgスーパーファミリーリガンドである、前記(48)〜(50)に記載の方法。
(54) 前記TNFリガンドが4−1BBLであり、前記IgスーパーファミリーリガンドがCD80である、前記(52)に記載の方法。
(55) 抗原認識複合体が前記細胞の表面に構成的に発現される、前記(48)〜(50)に記載の方法。
(56) 前記腫瘍抗原が前立腺特異的膜抗原(PSMA)である、前記(48)〜(50)に記載の方法。
(57) 前記少なくとも2つの副刺激リガンドが前記細胞の表面に構成的に発現される、前記(48)〜(50)に記載の方法。
(58) ウイルス抗原に対して特異的な受容体、並びに少なくとも1つの副刺激リガンドが、腫瘍壊死因子(TNF)リガンド、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーリガンド、及びそれらの組合せからなる群より選択される1つ又はそれ以上から選ばれる少なくとも2つの副刺激リガンドを含む抗原提示複合体とを含むT細胞の治療有効量を前記対象に投与することを包含する、治療の必要がある対象における感染性疾患を治療する方法。
(59) ウイルス抗原に対して特異的な受容体、並びに少なくとも1つの副刺激リガンドが、腫瘍壊死因子(TNF)リガンド、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーリガンド、及びそれらの組合せからなる群より選択される1つ又はそれ以上から選ばれる少なくとも2つの副刺激リガンドを含む抗原提示複合体とを含むナチュラルキラー(NK)細胞の治療有効量を前記対象に投与することを包含する、対象における感染性疾患を治療する方法。
(60) 前記対象が、免疫が低下している対象である、前記(58)又は(59)に記載の方法。
(61) 前記TNFリガンドが、4−1BBL、OX40L、CD70、LIGHT及びCD30Lからなる群より選択される、前記(57)又は(58)に記載の方法。
(62) 前記Igスーパーファミリーリガンドが、CD80及びCD86からなる群より選択される、前記(57)又は(58)に記載の方法。
(63) 前記少なくとも2つの副刺激リガンドがTNFリガンド及びIgスーパーファミリーリガンドである、前記(57)又は(58)に記載の方法。
(64) 前記TNFリガンドが4−1BBLであり、前記IgスーパーファミリーリガンドがCD80である、前記(57)又は(58)に記載の方法。
(65) 抗原認識複合体が前記細胞の表面に構成的に発現される、前記(57)又は(58)に記載の方法。
(66) 前記ウイルス抗原が、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・バールウイルス(EBV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)又はインフルエンザウイルスに対して特異的な抗原である、前記(57)又は(58)に記載の方法。
(67) 前記少なくとも2つの副刺激リガンドが前記細胞の表面に構成的に発現される、前記(57)又は(58)に記載の方法。
(68) 前記(1)〜(20)のいずれか一項に記載される免疫応答性細胞の有効量、及び薬学的に許容される賦形剤を含有してなる医薬組成物。
(69) 前記(15)〜(17)のいずれか一項に記載される腫瘍抗原特異的T細胞の有効量、及び薬学的に許容される賦形剤を含有してなる、腫瘍を治療するための医薬組成物。
(70) 前記(14)に記載されるウイルス特異的T細胞の有効量、及び薬学的に許容される賦形剤を含有してなる、病原体感染を治療するための医薬組成物。
(71) IL−2、IL−3、IL−6、IL−11、IL−12、IL7、IL15、IL21、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、α−インターフェロン又はβ−インターフェロン又はγ−インターフェロン、及び、エリスロポエチンからなる群より選択されるサイトカインをさらに含有してなる、前記(67)〜(69)のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(72) 抗原と結合する受容体と、外因性の副刺激リガンドとを含有している免疫応答性細胞を含有してなる、腫瘍、病原体感染、自己免疫障害又は同種移植に関連する症状を治療するためのキット。
(73) 腫瘍、病原体感染、自己免疫障害又は同種移植に関連する症状を有する対象の治療のために前記細胞を使用するための文書化された説明書をさらに含有してなる、前記(71)に記載のキット。
(74) 前記免疫応答性細胞又は副刺激リガンドを得る工程をさらに含有してなる、前記(21)〜(67)のいずれか一項に記載の方法。
【0023】
(定義)
「CD80ポリペプチド」とは、Igスーパーファミリーリガンドとして作用する、NCBI参照番号:NP_005182又はそのフラグメントに対して少なくとも85%の同一性を有するタンパク質を意味する。
【0024】
「CD80核酸分子」とは、CD80ポリペプチドをコードする何れかのポリヌクレオチドを意味する。1つの例示的なCD80核酸分子はNM_005191である。
【0025】
「4−1BBLポリペプチド」とは、腫瘍壊死因子(TNF)リガンドとして作用する、NCBI参照番号:P41273又は同NP_001552あるいはそのフラグメントに対して少なくとも85%の同一性を有するタンパク質を意味する。
【0026】
「4−1BBL核酸分子」とは、4−1BBLポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0027】
「OX40Lポリペプチド」とは、腫瘍壊死因子(TNF)リガンドである、NCBI参照番号:BAB18304又は同NP_003317あるいはそのフラグメントに対して少なくとも85%の同一性を有するタンパク質を意味する。
【0028】
「OX40L核酸分子」とは、OX40Lポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0029】
「CD70ポリペプチド」とは、腫瘍壊死因子(TNF)リガンドとして作用する、NCBI参照番号:NP_001243又はそのフラグメントに対して少なくとも85%の同一性を有するタンパク質を意味する。
【0030】
「CD70核酸分子」とは、CD70ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0031】
「Lightポリペプチド」とは、腫瘍壊死因子(TNF)リガンドとして作用する、NCBI参照番号:NP_742011又はそのフラグメントに対して少なくとも85%の同一性を有するタンパク質を意味する。
【0032】
「Light核酸分子」とは、Lightポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0033】
「CD30Lポリペプチド」とは、腫瘍壊死因子(TNF)リガンドとして作用する、NCBI参照番号:AAB97877又はそのフラグメントに対して少なくとも85%の同一性を有するタンパク質を意味する。
【0034】
「CD30L核酸分子」とは、CD30Lポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0035】
「CD86ポリペプチド」とは、Igスーパーファミリーリガンドとして作用する、NCBI参照番号:P42081又はそのフラグメントに対して少なくとも85%の同一性を有するタンパク質を意味する。
【0036】
「CD86核酸分子」とは、CD86ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0037】
「Pzlポリペプチド」とは、Gong et al.,(Neoplasia, 1:123-7, 1999)に記載されるタンパク質又はそのフラグメントに対して少なくとも85%の同一性を有するタンパク質を意味する。
【0038】
「P28zポリペプチド」とは、Maher et al., (Nature Biotechnology, Vol 20, Jan 2002, 70-75)に記載されるタンパク質又はそのフラグメントに対して少なくとも85%の同一性を有するタンパク質を意味する。ζ鎖シグナル伝達ドメインもまた、Maher et al., (Nature Biotechnology、 Vol 20, Jan 2002, 70-75)に記載される。
【0039】
本発明の方法において有用な核酸分子には、本発明のポリペプチド又はそのフラグメントをコードする何れかの核酸分子が含まれる。そのような核酸分子は、内因性の核酸配列と100%同一である必要はなく、しかし、典型的には、実質的な同一性を示す。内因性配列に対して「実質的な同一性」を有するポリヌクレオチドは、典型的には、二本鎖核酸分子の少なくとも一方の鎖とハイブリダイゼーションすることができる。「ハイブリダイゼーションする」とは、二本鎖分子を、様々なストリンジェントな条件のもとで、相補的ポリヌクレオチド配列(例えば、本明細書中に記載される遺伝子)又はその一部分との間で対形成させることを意味する。(例えば、Wahl,G.M. and S.L.Berger(1987) Methods Enzymol.,152:399; Kimmel,A.R.(1987)、Methods Enzymol.,152:507を参照のこと)。
【0040】
例えば、ストリンジェントな塩濃度は通常、約750mMのNaCl及び75mMのクエン酸三ナトリウムよりも低く、好ましくは、約500mMのNaCl及び50mMのクエン酸三ナトリウムよりも低く、より好ましくは、約250mMのNaCl及び25mMのクエン酸三ナトリウムよりも低い。低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーションを有機溶媒(例えば、ホルムアミド)の非存在下で得ることができ、一方で、高ストリンジェントなハイブリダイゼーションは少なくとも約35%のホルムアミドの存在下で得ることができ、より好ましくは少なくとも約55%のホルムアミドの存在下で得ることができる。ストリンジェントな温度条件は通常、少なくとも約30℃の温度を含み、より好ましくは少なくとも約37℃の温度を含み、最も好ましくは少なくとも約42℃の温度を含む。様々なさらなるパラメーター、例えば、ハイブリダイゼーション時間、界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))の濃度、及び、キャリアDNAを含むこと、又は、キャリアDNAを除くことなどが、当業者には周知である。様々なレベルのストリンジェンシーが、これらの様々な条件を必要に応じて組み合わせることによって達成される。1つの好ましい態様において、ハイブリダイゼーションが、30℃で、750mMのNaCl、75mMのクエン酸三ナトリウム及び1%のSDSにおいて行われる。1つのより好ましい態様において、ハイブリダイゼーションが、37℃で、500mMのNaCl、50mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、35%のホルムアミド及び100μg/mlの変性サケ精子DNA(ssDNA)において行われる。1つの最も好ましい態様において、ハイブリダイゼーションが、42℃で、250mMのNaCl、25mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、50%のホルムアミド及び200μg/mlのssDNAにおいて行われる。これらの条件に対する様々な有用な変更を、当業者は容易に見出せるだろう。
【0041】
ほとんどの適用について、ハイブリダイゼーションに続く洗浄工程もまた、ストリンジェンシーが異なる。洗浄のストリンジェントな条件を塩濃度によって、また、温度によって定義することができる。上記のように、洗浄のストリンジェンシーを、塩濃度を低下させることによって、又は、温度を上げることによって増大させることができる。例えば、洗浄工程のためのストリンジェントな塩濃度は、好ましくは、約30mMのNaCl及び3mMのクエン酸三ナトリウムよりも低く、最も好ましくは、約15mMのNaCl及び1.5mMのクエン酸三ナトリウムよりも低い。洗浄工程のためのストリンジェントな温度条件は、通常、少なくとも約25℃の温度を含み、より好ましくは少なくとも約42℃の温度を含み、一層より好ましくは少なくとも約68℃の温度を含む。1つの好ましい態様において、洗浄工程が、25℃で、30mMのNaCl、3mMのクエン酸三ナトリウム及び0.1%のSDSにおいて行われる。1つのより好ましい態様において、洗浄工程が、42℃で、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム及び0.1%のSDSにおいて行われる。1つのより好ましい態様において、洗浄工程が、68℃で、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム及び0.1%のSDSにおいて行われる。これらの条件に対するさらなる様々な有用な変更を、当業者は容易に見出せるだろう。ハイブリダイゼーション技術が当業者には周知であり、例えば、Benton and Davis (Science、196:180, 1977); Grunstein and Hogness (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 72:3961, 1975); Ausubel et al., (Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience, New York、 2001); Berger and Kimmel (Guide to Molecular Cloning Techniques, 1987, Academic Press, New York); 及び Sambrook et al., (Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)に記載されている。
【0042】
「実質的に同一」とは、ポリペプチド又は核酸分子が、参照アミノ酸配列(例えば、本明細書中に記載されるアミノ酸配列のいずれか1つ)又は参照核酸配列(例えば、本明細書中に記載される核酸配列のいずれか1つ)に対して少なくとも50%の同一性を示すことを意味する。好ましくは、そのような配列は、比較のために使用される配列に対して、アミノ酸レベル又は核酸において、少なくとも60%が同一であり、より好ましくは80%又は85%が同一であり、より好ましくは、90%、95%又は99%までもが同一である。
配列同一性は典型的には、配列分析ソフトウエア(例えば、Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, Wis. 53705のSequence Analysis Software Package、BLASTプログラム、BESTFITプログラム、GAPプログラム又はPILEUP/PRETTYBOXプログラム)を使用して測定される。そのようなソフトウエアは、相同性の度合いを、様々な置換、欠失及び/又は他の修飾に対して割り当てることによって同一配列又は類似配列を一致させる。同類置換には、典型的には、下記の群の中での置換が含まれる:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リシン、アルギニン;及び、フェニルアラニン、チロシン。同一性の程度を求めるための1つの例示的な方法において、BLASTプログラムを使用することができ、e−3〜e−100の間における確率スコアにより、近い関係にある配列が示される。
【0043】
「類似(アナログ)」とは、参照ポリペプチド又は参照核酸分子の機能を有する構造的に関連するポリペプチド又は核酸分子を意味する。
【0044】
本明細書中で使用される用語「リガンド」は、受容体に結合する分子を示す。具体的には、リガンドは別の細胞における受容体と結合し、これにより、細胞−細胞の認識を可能にする。
【0045】
本明細書中で使用される用語「構成的発現」は、すべての生理学的条件のもとでの発現を示す。
【0046】
本明細書中で使用される用語「キメラ抗原受容体(CAR)」は、T細胞を活性化することができる細胞内シグナル伝達ドメインに融合される腫瘍抗原結合ドメインを示す。最も一般的には、CARの細胞外の結合ドメインがマウスモノクローナル抗体又はヒト化モノクローナル抗体に由来する。
【0047】
「疾患」とは、細胞、組織又は器官の正常な機能を損なうか、又は、妨害する何れかの状態又は障害を意味する。疾患の例には、腫瘍、又は、細胞の病原体感染が含まれる。
【0048】
「有効量」とは、腫瘍の継続した増殖、成長又は転移(例えば、侵入又は移動)を停止し、改善し、又は阻害するために十分な量を意味する。
【0049】
「耐性を強化する」とは、移植された器官又は組織を標的とする自己反応性細胞又は免疫応答性細胞の活性を妨げることを意味する。
【0050】
「外因性」とは、細胞に内因的に存在しない核酸分子又はポリペプチド、あるいは、過剰発現したときに得られる機能的影響をもたらすために十分なレベルで存在しない核酸分子又はポリペプチドを意味する。従って、用語「外因性」は、細胞において発現される何れかの組換え核酸分子又は組換えポリペプチド(例えば、外来、異種など)、ならびに、過剰発現された核酸分子及びポリペプチドを包含する。
【0051】
「異種の核酸分子又はポリペプチド」とは、細胞又は細胞から得られるサンプルに通常の場合には存在しない核酸分子(例えば、cDNA分子、DNA分子又はRNA分子)又はポリペプチドを意味する。この核酸は別の生物に由来してもよく、あるいは、この核酸は、例えば、細胞又はサンプルにおいて通常の場合には発現されないmRNA分子であってもよい。
【0052】
「免疫応答性細胞」とは、免疫応答において機能する細胞、あるいは、その前駆体又は子孫を意味する。
【0053】
「単離された細胞」とは、自然界においてその細胞に付随する分子成分及び/又は細胞成分から分離される細胞を意味する。
【0054】
本明細書中で使用される用語「腫瘍抗原結合ドメイン」は、腫瘍表面に存在する特定の抗原決定基又は1組の抗原決定基と特異的に結合することができるドメインを示す。
【0055】
「薬剤を得る」におけるような用語「得る」は、薬剤(あるいは示された物質又は材料)を購入すること、合成すること、又は、そうでない場合には獲得することを含むように意図されている。
【0056】
「調節する」とは、正又は負に変えることを意味している。例示的な調節には、1%、2%、5%、10%、25%、50%、75%又は100%の変化が含まれる。
【0057】
「腫瘍」とは、細胞又は組織の病理学的増殖、及び、他の組織又は器官へのそのその後の移動又は侵入によって特徴づけられる疾患を意図している。腫瘍の成長は典型的には抑制されず、進行性であり、また、正常な細胞の分裂増殖を誘発しない条件、又は、正常な細胞の分裂増殖の停止を生じさせる条件のもとで生じる。腫瘍は、膀胱、骨、脳、乳房、軟骨、神経膠、食道、卵管、胆嚢、心臓、腸、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、神経組織、卵巣、膵臓、前立腺、骨格筋、皮膚、脊髄、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、気管、尿生殖路、尿管、尿道、子宮及び膣からなる群より選択される器官、あるいは、その組織又は細胞タイプ(これらに限定されない)を含む、様々な細胞タイプ、組織又は器官を冒し得る。腫瘍は、肉腫、癌腫又は形質細胞腫(形質細胞の悪性腫瘍)のような、様々な癌を含む。本発明で利用できる例示的な腫瘍には、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄球性白血病、慢性リンパ性白血病)、真性赤血球増加症、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病)、ヴァルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病、及び、肉腫並びに癌腫(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝臓癌、ナイル管(nile duct)癌、絨毛癌、セミノーマ、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、神経鞘腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫及び網膜芽細胞腫)のような固形腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。1つの態様において、本発明のスクリーニング方法は、乳癌又は肺癌を治療するために有用な組成物を特定する。
【0058】
「受容体」とは、1つ又はそれ以上のリガンドと選択的に結合する、細胞膜上に存在するポリペプチド又はその一部を意味する。
【0059】
「認識する」とは、標的と選択的に結合することを意味する。ウイルスを認識するT細胞は典型的には、そのウイルスによって発現される抗原と結合する受容体を発現する。
【0060】
「病原体」とは、疾患を引き起こし得るウイルス、細菌、真菌、寄生虫又は原生動物を意味する。
【0061】
例示的なウイルスには、レトロウイルス科(retroviridae)(例えば、HIV−1(これはまた、HDTV−III、LAVE又はHTLV−III/LAV、あるいは、HIV−IIIとしても示される)、及び、HIV−LPのような他の単離体のような、ヒト免疫不全ウイルス);ピコルナウイルス科(Picornaviridae)(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);カルシウイルス科(Calciviridae)(例えば、胃腸炎を引き起こす系統);トガウイルス科(Togaviridae)(例えば、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス);フラビリダエ(Flaviridae)(例えば、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱ウイルス);コロナウイルス科(Coronaviridae)(例えば、コロナウイルス);ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(Filoviridae)(例えば、エボラウイルス);パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)(例えば、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス);オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)(例えば、インフルエンザウイルス);ブンガビリダエ(Bungaviridae)(例えば、ハンターンウイルス、ブンガ(bunga)ウイルス、フレボウイルス及びナイロウイルス);アレナウイルス科(Arenaviridae)(出血熱ウイルス);レオウイルス科(Reoviridae)(例えば、レオウイルス、オルビウイルス及びロタウイルス);ビルナウイルス科(Birnaviridae);ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(Parvoviridae)(パルボウイルス);パポーバウイルス科(Papovaviridae)(乳頭腫ウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス科(Adenoviridae)(ほとんどのアデノウイルス);ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)(1型及び2型の単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);ポックスウイルス科(Poxviridae)(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);及びイリドウイルス科(Iridoviridae)(例えば、アフリカブタコレラウイルス);ならびに未分類ウイルス(例えば、デルタ型肝炎の媒介因子(これは、B型肝炎ウイルスの欠損サテライトであると考えられる)、非A非B肝炎の媒介因子(クラス1=体内感染型;クラス2=非経口感染型(すなわち、C型肝炎)、ノーウォークウイルス及び関連ウイルス、ならびに、アストロウイルス)が含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
例示的な細菌には、パスツレラ属(Pasteurella)、ブドウ球菌属(Staphylococci)、連鎖球菌属(Streptococcus)、大腸菌(Escherichia coli)、シュードモナス属(Pseudomonas)菌種及びサルモネラ属(Salmonella)の菌種が含まれるが、これらに限定されない。感染性細菌の具体的な例には、ヘリコバクター・ピロリス(Helicobacter pyloris)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borelia burgdorferi)、レジオネラ・ニューモフィリア(Legionella pneumophilia)、マイコバクテリウム属(Mycobacteriasps)の菌種(例えば、M.tuberculosis、M.avium、M.intracellulare、M.kansaii、M.gordonea)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)(A群連鎖球菌)、ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae)(B群連鎖球菌)、連鎖球菌属(ビリダンス群)、糞便連鎖球菌(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・ボビス(Streptococcus bovis)、連鎖球菌属(嫌気性菌種)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、病原性カンピロバクター・エスピー(Campylobacter sp.)、エンテロコッカス・エスピー(Enterococcus sp.)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、炭疽菌(Bacillus antracis)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム・エスピー(Corynebacterium sp.)、豚丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiae)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringers)、破傷風菌(Clostridium tetani)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasturella multocida)、バクテロイデス・エスピー(Bacteroides sp.)、フソバクテリウム・ヌクレアツム(Fusobacterium nucleatum)、ストレプトバシラス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidium)、フランベジアトレポネーマ(Treponema pertenue)、レプトスピラ属(Leptospira)、リケッチア属(Rickettsia)及びイスラエル放線菌(Actinomyces israelli)が含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
「特異的に結合する」とは、本発明のポリペプチドを自然の状態で含むサンプル(例えば、生物学的サンプル)において、目的とするポリペプチドを認識し、かつ、これと結合するが、他の分子を実質的に認識し、かつ、これと結合しないポリペプチド又はそのフラグメントを意味する。
【0064】
本明細書中で使用される用語「腫瘍抗原」は、免疫応答を誘導することができる、腫瘍によって発現される何れかのポリペプチドを示す。
【0065】
「ウイルス抗原」とは、免疫応答を誘導することができる、ウイルスによって発現される任意のポリペプチドを意味する。
【0066】
用語「含む」(「comprises」及び「comprising」など)は、米国特許法においてそれらに認められる幅広い意味を有することが意図され、「包含する(含む)」(「includes」及び「including」など)を意味することができる。
【0067】
本明細書中で用いられているような、「治療」は、治療されている個人又は細胞の疾患経過を変化させようとすることにおける臨床的介入を示し、予防のために、又は、臨床病理学の経過中において、そのどちらかで行うことができる。治療の治療的効果には、限定されないが、疾患の発生又は再発を防止すること、症状の緩和、疾患の何らかの直接的又は間接的な病理学的結果の軽減、転移を防止すること、疾患進行の速度を低下させること、疾患状態の改善又は軽減、及び、寛解又は改善された予後が含まれる。疾患又は障害の進行を妨げることによって、治療は、罹患している対象又は診断された対象、あるいは、障害を有することが疑われる対象において障害に起因する悪化を防止することができるが、治療により、障害又は障害の症状の発症が、障害についての危険性を有する対象において、又は、障害を有することが疑われる対象において防止されることもある。
【0068】
本明細書中で使用される用語「対象」は脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを示す。
【0069】
本明細書中で使用される用語「免疫が低下している」は、免疫不全を有する対象を示す。そのような対象は、日和見感染症、すなわち、免疫系が健全である人では通常、疾患を引き起こさないが、免疫系が良好に機能しないか、又は、免疫系が抑制された人々を冒し得る生物によって引き起こされる感染症に非常に罹りやすい。
【0070】
本発明の他の態様が下記の開示において記載され、これらは本発明の範囲内である。
【0071】
下記の詳細な説明は、本発明を記載された具体的な態様に限定するために意図されるのではなく、例として示されるものであり、添付されている図面と併せて理解することができる。