(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来例えば合成樹脂材料を射出成形する射出成形機の監視装置として、撮像手段としてのテレビジョンカメラによって射出成形機本体の金型周りの映像を撮像して得られるビデオ信号に基づいて、射出成形機本体のインサート成形の射出成形動作が正常か否かの判定をするようにしたものが用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
射出成形機本体は1つの射出成形機製品を成形するごとに射出成形サイクルを繰り返す。
【0004】
すなわち射出成形機本体は、下側金型に対し、作業者の手作業によりインサート金具を適切な箇所に金具セット状態にセットした後、上側金型が可動して下側金型に接触した状態(この状態を型締め状態と呼ぶ)において、インサート金型である下側金型と上側金型との間に合成樹脂材料を射出することにより、インサート金具と一体化された射出成形製品を成形する。
【0005】
下側金具に付着した射出成形製品は、可動側金型である上側金型が固定側金型である下側金型から離間した位置に後退したとき(この状態を型開状態と呼ぶ)、突き出しピンによって下側金型から突き出され(この状態を突き出し動作状態と呼ぶ)、取出機により取り出される。
【0006】
かくして1つの射出成形製品が射出成形機本体から取り出されたとき、射出成形工程の一巡動作(すなわち1回の射出成形サイクル)が終了して次の射出成形サイクルに入る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0014】
(1)
図1において、1は全体として異常監視画像管理装置を示し、2台のテレビジョンカメラ2A及び2Bによって撮像された金型周りの映像でなるビデオ信号をカメラリンクICでなる画像情報入力部3を介して画像信号S1として中央処理部4に取り込む。
【0015】
中央処理部4は、異常監視画像管理装置1をユーザの指令入力を受けて管理処理をするもので、入力された画像信号S1を入力画像信号S1Xとして画像処理プロセッサでなる画像処理部5において画像データに変換し、これにより時々刻々入力画像データS2に変換して画像処理メモリ6(フラッシュメモリでなる)に保存する。
【0016】
当該画像処理メモリ6に保存された入力画像データは、中央処理部4が必要に応じて所定のタイミングで順次画像処理データS3として読み出して保存画像処理データS3X1として表示・描画メモリ7に移送させると共に、接続端子9を介して保存画像処理データS3X2として外部記憶メモリ10(これをUSBメモリとも呼ぶ)に移送させる。
【0017】
かくして中央処理部4は、ユーザの操作入力に応じて表示・描画メモリ7に記憶した保存画像処理データS3X1を読み出して表示・描画信号S4として画像表示部8に与えることにより画像表示させる。
【0018】
この実施の形態の場合、外部記憶メモリ10に保存された保存画像処理データS3X2は、外部記憶メモリ10を接続端子9から切り離して例えばパーソナルコンピュータに接続させることにより、異常監視画像管理装置1の本体側の画像処理メモリ6に保存された保存画像処理データS3X1とは別に、外部においてデータ処理ができるようになされている。
【0019】
(2)監視時の異常動画像表示動作
中央処理部4は、射出成形機本体の監視動作時において、
図2に示す監視中画像11を画像表示部8に表示させる。
【0020】
図2の場合、中央処理部4は射出成形機本体が型締め状態にあるとき(これを1次監視状態と呼ぶ)、6個の監視領域のうちの1つの監視領域12に異常が発生したので(この異常発生状態を「NG」と呼ぶ)、停止状態にあることを表している。
【0021】
この型締め状態、すなわち1次監視状態における異常の発生を「1次NG」と呼び、これに対して型開状態、すなわち2次監視において異常が発生したことを「2次NG」と呼ぶ。
【0022】
このように1次NG(又は2次NG)が監視動作中に発生した場合には、
図2に示すように、異常が発生した異常発生監視領域12の画像部分を赤色表示した状態で射出成形機本体が停止状態になる。
【0023】
このときユーザは監視中画像11のNG動画ボタン13を押下することにより、中央処理部4によって画像処理メモリ6に保存されている異常発生直前の撮像画像を再生して画像表示部8の画像表示を
図3に示すNG画像15に移動することにより、異常発生直前の様子をユーザが動画として確認できるようになされている。
【0024】
ここで確認するための保存時間は、ユーザが簡便に確認できる1コマ分の長さに選定され、テレビジョンカメラ2A及び2Bの取り込みサイズや、カラーカメラか否かによって異なり、130万画素のカラーカメラを使用したときには約6[秒]、30万画素の白黒カメラを使用したときには約9[秒]程度になる。
【0025】
図3のNG画像15において、再生/一時停止ボタン16は動画の再生や、一時停止を実行する操作ボタンで、再生バーをタッチするとシークが可能となる。
【0026】
このとき再生バーの右側位置には再生時間表示17が表示され、これによって動画の再生時間と現在再生中の位置とを表示する。
【0027】
また保存ボタン18は、NG画像15を、異常監視画像管理装置1の本体側に設けられている画像処理メモリ6か、外部接続機器として設けられている外部記憶(USB)メモリ10に保存する。
【0028】
さらに画像保存ボタン19は外部接続機器として設けられている外部記憶(USB)メモリ10に表示中の画像を保存する。
【0029】
またカメラ切替ボタン20は、2台のテレビジョンカメラ2A及び2Bのうち、使用するものに切り替える。
【0030】
ここでテレビジョンカメラが1台しか接続されていない場合はこのカメラ切替ボタン20は表示しないものとする。
【0031】
また戻るボタン21は、前の画面に戻す動作をする。
【0032】
(3)異常発生動画表示動作
中央処理部4は、監視中画像11(
図2)に異常が発生した時、異常発生動画(NG動画)の処理を次の手順で実行する。
【0033】
(3−1)まず中央処理部4は
図2の監視中画像11を表示する状態になる。
【0034】
(3−2)続いて監視処理の合間に表示されているテレビジョンカメラ2A、2Bの生画像を、1秒間に5〜10コマ分を画像処理メモリ6に保存して行く。
【0035】
このとき画像処理メモリ6の画像メモリ使用限界に達した場合には、古い画像に上書きして行く。
【0036】
(3−3)この間に、中央処理部4は異常の発生を検出すると、画像処理メモリ6への生画像の保存を終了する。
【0037】
(3−4)異常発生画像(NG画像)の再生は、中央処理部4が画像処理メモリ6に順次保存した生画像を、順番に画像表示部8に表示させることにより実現する。
【0038】
(3−5)このような処理において、画像処理メモリ6(又はUSBメモリ10)への保存を実行した場合、順次保存された画像をパーソナルコンピュータで再生可能な動画データ(GIFファイル)に変換して保存する。
【0039】
当該保存されたNG画像データの再生は、すべてGIFファイルを再生して表示することとする。
【0040】
(4)運行記録からのNG動画画像の管理
中央処理部4は運行記録からのNG動画画像を管理する際には、
図4に示す運行記録データ表示画像30を表示することにより、NG画像をユーザに提示する。
【0041】
当該運行記録データ表示画像30が表示された状態において、ユーザは表示項目ボタン31を押下することにより、「履歴」画面として監視や設定変更の履歴を表示させ、又は「基準画像」として登録されている基準画像を表示させ、又は「NG画像」として保存したNG画像を表示させる。
【0042】
運行記録データ表示画像30において、表示項目ボタン31によって履歴項目を選択すると、中央処理部4は、
図4に示すように、保存した画像データとして、異常が発生していない画像と、異常が発生した画像との履歴データ36を、時間順次で、表示する。
【0043】
図4の場合、1番目から20番目までの画像入力があったこと、そのうち13番目の画像がNG画像であり、他は正常画像であることが表示されている。
【0044】
当該情報がある項目については、ユーザがタッチすることにより、画像の内容を表示できるようになされている。
【0045】
なおこのNG画像の表示は、監視中には閲覧することはできないこととする。
【0046】
次に運行記録データ表示画像30において、ユーザは表示カメラ選択ボタン32を押下することにより、表示するテレビジョンカメラ2A又は2Bを選択する。
【0047】
またユーザは運行記録データ表示画像30において、表示監視ボタン33を押下することにより、表示すべき監視形態が1次監視であるか、又は2次監視であるかを選択する。
【0048】
さらにユーザは運行記録データ表示画像30において、表示切替ボタン34を押下することにより、データの表示形式を選択する。
【0049】
この実施の形態の場合、データの表示形式はリスト形式か、サムネイル形式か、画像形式かを選択できる。
【0050】
このときプレビューされる画像は異常発生時(すなわち再生終了時)の画像になる。
【0051】
また、ユーザは運行記録データ表示画像30においてストレージ選択ボタン35を押下することにより、呼び出し先のストレージを選択する。
【0052】
この実施の形態の場合、選択できるストレージは、当該異常監視画像管理装置1に実装された例えば10ギガバイトのフラッシュメモリでなる画像処理メモリ6に保存してあるデータを表示するか、又は外部接続された外部記憶(USB)メモリ10に保存してあるデータのいずれかを選択できる。
【0053】
さらにユーザは、運行記録データ表示画像30において、保存ボタン37を押下することにより、すべてのデータを外部記憶(USB)メモリ10に保存することができる。
【0054】
さらにユーザは、運行記録データ表示画像30において、削除ボタン38を押下することにより、すべてのデータを削除できる。
【0055】
さらにユーザは、運行記録データ表示画像30において、編集ボタン39を押下することにより、履歴データの編集をすることができる。
【0056】
さらにユーザは、運行記録データ表示画像30において、ページ切替ボタン40を押下することにより、現在の表示画像の前後のページに表示を移動させることができる。
【0057】
さらにユーザは、運行記録データ表示画像30において、戻るボタン41を押下することにより、前の画面に戻すことができる。
【0058】
図4について上述した運行記録データ表示画像30において表示項目ボタン31によってNG動画項目が選択されたとき、中央処理部4は
図5に示す保存NG動画管理画面29を表示する。
【0059】
図5の保存NG動画管理画面29の場合、4つのNG画像が発生したことが、異常が発生した履歴に従って表示され、これによりユーザは射出成形機本体における一連の射出成形動作において異常が発生した射出成形サイクルの画像を全て抽出して表示確認することができる。
【0060】
(5)NG動画再生
図5の保存NG動画管理画面29において、ユーザはNG履歴データの1つをタッチすることにより、
図6のNG動画再生画像50を画像表示部8に表示させることができる。
【0061】
当該NG動画再生画像50において、ユーザは再生/一時停止ボタン51を押下すると、動画の再生を一時停止し、また再生バーをタッチするとシークが可能になる。
【0062】
このとき再生バーの右側にある再生時間表示52によって、NG動画画像の再生時間と、現在再生中の位置とを表示する。
【0063】
またユーザは、NG動画再生画像50において、保存ボタン53を押下すると、画像処理メモリ6か、外部記憶(USB)メモリ10に当該NG画像を保存する。
【0064】
またユーザはNG動画再生画像50の画像保存ボタン54を押下することにより、画像表示部8に表示中の画像を外部記憶(USB)メモリ10に保存する。
【0065】
また中央処理部4は、ユーザがNG動画再生画像50の削除ボタン55を押下すれば、画像処理メモリ6又は外部記憶(USB)メモリ10のメモリから動画を削除する。
【0066】
さらに中央処理部4はユーザがNG動画再生画像50の戻るボタン56を押下すれば、前の画面に戻すことができる。
【0067】
(6)システム設定モード
この実施の形態の場合の異常監視画像管理装置1の中央処理部4は、ユーザからシステム設定処理命令が入力されたとき、
図7に示すような標準監視・システム設定モードにおけるシステム設定画像60を画像表示部8に表示することにより、異常監視画像管理装置1のシステム動作モードをユーザによって指定させる。
【0068】
かくして中央処理部4は、
図7のシステム設定画像60において、「NG画像保存」、「NGカラー画像保存」、「NG動画」及び「基準画像バックアップ」について、設定をオンにするか、又はオフにするか(デフォルトにするか)をユーザによって設定させることにより、システム全体としての動作を設定できるようになされている。
【0069】
これにより、中央処理部4は、
図2に示すような「標準監視・監視中」設定モードにおける監視中画像11、
図3に示すような「標準監視・監視中NG動画」設定モードにおけるNG画像15、
図4に示すような「標準監視・運行記録・履歴」設定モードにおける運行記録データ表示画像30、
図5及び
図6に示すような「標準監視・運行記録・NG動画」設定モードにおける保存NG動画管理画面29及びNG動画再生画像50を画像表示部8に表示できるようになされている。