【文献】
Z. anorg. allg. Chem.,1993年,619,1347−1352
【文献】
J. Phys. Chem. B.,1999年,103,64−76
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)−2,2−ジシリルトリシラン又は1,5−ビス(ジイソプロピルアミノ)−2,2,4,4−テトラシリルペンタシランである、請求項1に記載の化合物。
ケイ素含有材料の製造方法であって、前記方法は、請求項1に記載の化合物を含む原料ガスを基材存在下で化学気相蒸着条件又は原子層蒸着条件に付して、前記基材上に形成されたケイ素含有材料を与えること、を含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の概要及び要約書は、参照により本明細書に組み込まれる。上記に要約された本発明の実施形態、使用、及び利点は、以下で更に説明する。
【0019】
本発明は、技術的及び非技術的利点を有する。この方法で解決される課題の1つは、1分子当たり3〜5個のケイ素原子及び2個の窒素原子を有するジアミノシラン化合物の形式で新規ケイ素生成前駆体を提供する。この解決法は、式(I)の化合物を含み、その合成法を提供する。一部の態様では、本発明は、式(I)のジアミノシラン化合物を提供する、別法として又は追加的に、本発明は、式(I)のケイ素生成前駆体化合物を提供する、別法として又は追加的に、本発明は、式(I)のケイ素及び窒素生成前駆体化合物を提供する。
【0020】
他の利点と考えられていることは、式(I)の化合物は、同等のケイ素材料を調製するために、同様の化合物である、R
1R
2N−SiH
2NR
3R
4又はR
1R
2N−Si
2H
4NR
3R
4の蒸着が可能であったとしても、それらに使用される温度よりも低いケイ素蒸着処理温度を用いてケイ素含有材料を蒸着するために、ケイ素生成前駆体として使用し得ることである。この期待される利益により、より高い蒸着率、熱量の節約(すなわち、より少ない熱エネルギー)、及び/又は熱に不安定なデバイスの損傷を回避することが可能となるだろう。
【0021】
他の利点と考えられていることは、式(I)の化合物は、より良く性能を発揮する電子及び光起電デバイス用の微細な半導体フィーチャをもたらす薄膜などのケイ素含有材料を蒸着するために、ケイ素生成前駆体として使用し得ることである。
【0022】
式(I)の化合物を用いることにより、先行技術の材料よりも微細なマイクロスケールでのフィーチャ又はより高純度を有するケイ素薄膜などの元素ケイ素材料が形成されることは、本発明の更なる利点の一部を例示するために便利であろう。
【0023】
本発明及び利点は、前述した課題の解決又は上記利点に限定されない。本発明の特定の態様は、更なる課題を独立して解決し、及び/又は他の利点を有し得る。
【0024】
本発明の態様は、様々な一般的な表現方法を使用して本明細書に記載されている。例えば、特に断らない限り、物質のすべての状態は、25℃及び101.3kPaで測定した。特に注記又は断らない限り、すべての%は重量による。すべての%値は、特に注記しない限り、組成物を合成又は製造するために使用される全成分の総量に基づいており、合計で100%になる。分類群及び下位分類群を含む任意のマーカッシュ群は、分類群に含まれる下位分類群を包含し、例えば、「Rは、ヒドロカルビル又はアルケニルである」では、Rは、アルケニルであってもよく、あるいは、Rは、他の下位分類群の中でも、アルケニルを含むヒドロカルビルであってもよい。米国実務に関して、本明細書で参照するすべての米国特許出願公開及び特許、又は一部のみが参照されている場合にはその一部は、組み込まれた主題が本願の記述と矛盾しない範囲で参照により本願に組み込まれ、いずれのこのような矛盾においても本願の記述が優先する。
【0025】
本発明の態様は、様々な特許用語を使用して本明細書に記載されている。例えば、「別法として」、又は「あるいは」(alternatively)は、異なる及び別個の実施形態を指す。「比較例(Comparative example)」は、発明ではない実験を意味する。「を含む(Comprises)」及びその変形(comprising、comprised of)は、オープンエンド形式である。「〜からなる(Consists of)」及びその変形(consisting of)は、クローズドエンド形式である。「接触させること(Contacting)」は、物理的接触状態にすることを意味する。「であってもよい、であり得る(May)」は、選択肢を与えるものであり、必須ではない。「任意選択的に(optionally)」とは、存在しない、あるいは存在することを意味する。
【0026】
本発明の態様は、様々な化学用語を使用して本明細書に記載されている。前述の用語の意味は、本明細書において特に定義しない限り、IUPACによって公表されたその用語の定義に一致する。便宜上、特定の化学用語を定義する。
【0027】
用語「水素化アルミニウム(aluminum hydride)」は、ハロシランを還元するための薬品を意味し、この薬品は、少なくとも1つのアルミニウム−水素官能基又はアルミニウム−重水素官能基を含む。
【0028】
用語「組成(composition)」は、その構成元素の実験式によって定義することができる化学物質を意味する。
【0029】
用語「蒸着」、「堆積」(deposition)は、凝集体を、特定の場所に発生させる処理法である。凝集体は、寸法を制限しても、しなくてもよい。蒸着の例は、薄膜形成蒸着、ロッド形成蒸着、及び粒子形成蒸着である。
【0030】
用語「薄膜(film)」は、1つの寸法で限定された材料を意味する。制限される寸法は、「厚さ」として、及び他の事項すべてが等しいときに、薄膜を形成するための前述の材料の蒸着の処理時間が長くなるにつれて増大する寸法として、評価してもよい。
【0031】
用語「ハロゲン(halogen)」は、特に断らない限り、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を意味する。
【0032】
用語「IUPAC」は、国際純正・応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry)である。
【0033】
用語「がない」又は「を欠く」(lack)は、含有しない又は完全に存在しないことを意味する。
【0034】
「元素周期表(Periodic Table of the Elements)」は、IUPACによって2011年に発行された版を意味する。
【0035】
用語「精製する(purify)」は、所望の成分の濃度を(≦100%に至るまで)増加させること、あるいは所望の成分の濃度が増加したかどうかに関わりなく、1種又は2種以上の望まない成分の濃度を(≧0%に至るまで)低下させること、あるいはその両方、を意味する。
【0036】
用語「反応副生成物(reaction by-product)」は、1種又は2種以上の反応物の化学変換の副産物を意味する。
【0037】
用語「残留物(remainder)」は、後に残された部分、例えば、蒸留後の釜残渣を意味する。
【0038】
用語「ロッド(rod)」は、例えば、>2のアスペクト比を有する2つの寸法に限定された材料を意味する。
【0039】
用語「分離する(separate)」は、物理的に離れるようにすること、したがってその結果として、もはや直接接触しないことを意味する。
【0040】
用語「ケイ素生成前駆体(silicon-yielding precursor)」は、14番元素の原子を含み、蒸着法においてケイ素の供給源として有用である物質又は分子を意味する。上記蒸着法の例は後述する。
【0041】
用語「基材(substrate)」は、別の材料の層を受け入れることができる少なくとも1つの表面を有する物理的支持体を意味する。
【0042】
用語「媒質(vehicle)」は、溶解し得るかどうかに関わらず、他の材料の担体、受容媒体、又は溶媒として作用する材料を意味する。媒質は、液体であってもよい。
【0043】
用語「典型元素(main group element)」は、元素周期表の1族、2族、及び12〜17族の元素を意味する。
【0044】
用語「典型元素触媒(main group element catalyst)」は、特許請求された化合物の反応速度を加速するように機能する、元素周期表の典型元素を含む化合物又は元素周期表の典型元素の元素形態を意味する。
【0045】
本発明の態様は、式(I)の化合物である。
(R
1R
2N)Si
nH
2n(NR
3R
4)(I)
[式中、下付き文字nは、3〜9の整数であり、R
1は、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1は、Hであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1及びR
3は、Hであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、共に結合して−R
3a−R
4a−となり、−R
3a−R
4a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであるか;又は、R
1及びR
3は、共に結合して−R
1a−R
3a−となり、−R
1a−R
3a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであり;R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基は、式(I)の化合物において同一のケイ素原子に、若しくは異なるケイ素原子に結合している]
【0046】
一部の態様では、式(I)の化合物は、そのケイ素原子の数、nによって更に定義されてもよい。一部の態様では、nは、3又は4である、あるいはnは、3又は5である、あるいはnは、4又は5である、あるいはnは、3である、あるいはnは、4である、あるいはnは、5である、あるいはnは、6である、あるいはnは、7である、あるいはnは、8である、あるいはnは、9である。
【0047】
異なるnの値を有する式(I)の化合物は、少なくとも1つの性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。nが3であるとき、式(I)の化合物は、n=4又は5のときと比べて、他の事項はすべて同等で、より高い蒸気圧を有することがあり得ると考えられる。nが4であるとき、式(I)の化合物は、n=3又は5のときと比べて、他の事項はすべて同等で、中間的な蒸気圧を有することがあり得ると考えられる。nが5であるとき、式(I)の化合物は、n=3又は4のときと比べて、他の事項はすべて同等で、より低い蒸気圧を有することがあり得ると考えられる。
【0048】
式(I)の化合物は、Si/Nモル比によって評価してもよい。nが3であるとき、Si/Nモル比は、1.5であり、nが4であるとき、モルSi/N比は、2であり、及び、nが5であるとき、モルSi/N比は、2.5である。異なるSi/Nモル比の値を有する式(I)の化合物は、少なくとも1つの性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。Si/Nモル比が1.5であるとき、式(I)の化合物は、n=4又は5のときと比べて、他の事項はすべて同等で、より高い蒸気圧を有することがあり得る、かつ/又はより多いSiNをもたらすことがあり得ると考えられる。Si/Nモル比が2であるとき、式(I)の化合物は、n=3又は5のときと比べて、他の事項はすべて同等で、中間的な蒸気圧を有することがあり得る、かつ/又は中間的な量のSiNをもたらすことがあり得ると考えられる。Si/Nモル比が2.5であるとき、式(I)の化合物は、n=3又は4のときと比べて、他の事項はすべて同等で、より低い蒸気圧を有することがあり得る、又はより少ないSiNをもたらすことがあり得ると考えられる。
【0049】
一部の態様では、式(I)の化合物は、R
1R
2N−基及び/又は−NR
3R
4基の組成及び/又は構造の種類によって更に定義されてもよい。R
1R
2N−基は、非環状アミノであってもよい、あるいはR
1R
2N−基は、環状アミノである。−NR
3R
4基は、非環状アミノであってもよい、あるいは−NR
3R
4基は、環状アミノである。R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基は、それぞれ独立に、非環状アミノであってもよい、あるいはR
1R
2N−基及び−NR
3R
4基は、それぞれ独立に、環状アミノであってもよい、あるいはR
1R
2N−基は、非環状アミノであってもよく、−NR
3R
4基は、独立に、環状アミノであってもよい、又はその逆であってもよい。
【0050】
R
1R
2N−基及び/又は−NR
3R
4基において異なる鎖を有する式(I)の化合物は、少なくとも1つの性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。R
1R
2N−基及び/又は−NR
3R
4基が非環状アミノ(すなわち、開鎖)であるとき、式(I)の化合物は、R
1R
2N−基が環状アミノのときに比べてより高い蒸気圧を有することがあり得ると考えられる。R
1R
2N−基及び/又は−NR
3R
4基が環状アミノ(すなわち、環状鎖)であるとき、式(I)の化合物は、R
1R
2N−基が非環状アミノのときに比べてより低い蒸気圧を有することがあり得ると考えられる。
【0051】
R
1R
2N−基が非環状アミノである式(I)の化合物の一部の態様では、R
1、R
2、又はR
1及びR
2の両方の種類は、更に定義されてもよい。式(I)の化合物の一部の態様では、R
1は、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、又はフェニルであり、R
2は、(C
1〜C
6)アルキルである、あるいは、R
1は、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、又はフェニルであり、R
2は、(C
3〜C
5)アルキルである、あるいは、R
1は、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、又はフェニルであり、R
2は、イソプロピル又は二級若しくは三級(C
4〜C
5)アルキルである、あるいは、R
1は、メチルであり、R
2は、イソプロピル、sec−ブチル、iso−ブチル、又はtert−ブチルである、あるいは、R
1は、プロピルであり、R
2は、イソプロピル、sec−ブチル、iso−ブチル、又はtert−ブチルである、あるいは、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、イソプロピル、sec−ブチル、iso−ブチル、又はtert−ブチルである、あるいは、R
1は、メチルであり、R
2は、tert−ブチルである、あるいは、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、(C
3〜C
4)アルキルである、あるいは、R
1及びR
2は、それぞれイソプロピルである、あるいは、R
1及びR
2は、それぞれsec−ブチルである、あるいは、R
1は、(C
3〜C
6)シクロアルキルであり、R
2は、上記態様のいずれか1つに定義したとおりである、あるいは、R
1は、(C
2〜C
6)アルケニルであり、R
2は、上記態様のいずれか1つに定義したとおりである、あるいは、R
1は、(C
2〜C
6)アルキニルであり、R
2は、上記態様のいずれか1つに定義したとおりである、あるいは、R
1は、Hであり、R
2、R
3、及びR
4は、独立に、上記態様のいずれか1つに定義したとおりである、あるいは、R
1及びR
3はそれぞれ、Hであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、上記態様のいずれか1つに定義したとおりである、あるいは、R
1は、フェニルであり、R
2は、上記態様のいずれか1つに定義したとおりである、あるいは、R
1は、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、又はフェニルであり、R
2は、(C
1〜C
6)アルキルである、あるいは、R
2は、R
1と同一である、あるいは、R
1は、R
3と同一であり、R
2は、R
4と同一である、あるいは、R
1は、R
2と同一であり、R
3は、R
4と同一である。
【0052】
非環状又は開鎖のR
1R
2N−基においてR
1及びR
2の異なる組成を有する式(I)の化合物は、少なくとも1つの性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。R
1基及びR
2基の少なくとも一方が(C
3〜C
6)アルキルであるとき、式(I)の化合物は、改善された安定性を有することがあり得ると考えられる。R
1がメチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシルでありかつ/又はR
2基が(C
1〜C
6)アルキルであるとき、式(I)の化合物は、費用対効果がより高い出発物質から製造することもできると考えられる。R
1基及び/又はR
2基が(C
2〜C
6)アルケニルであるとき、式(I)の化合物は、(C
2〜C
6)アルケニルの炭素−炭素二重結合が式(I)でのN原子上の非共有電子対と共役しているときに特に、有利な塩基性を有することがあり得ると考えられる。R
1基及び/又はR
2基が(C
2〜C
6)アルキニルであるとき、式(I)の化合物は、より望ましい分子配置を有することがあり得ると考えられる。R
1基及び/又はR
2基がフェニルであるとき、式(I)の化合物は、望ましい光化学的性質を有することがあり得ると考えられる。上記の利点は、化学気相蒸着(CVD)法及び/又は原子層蒸着(ALC)法などの改善されたケイ素材料蒸着法を可能にすることがあり得る。
【0053】
R
1R
2N−基が環状アミノである式(I)の化合物の一部の態様では、−R
1a−R
2a−の種類は、更に定義されてもよい。式(I)の化合物において、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となってもよく、ここで、−R
1a−R
2a−は、(C
3〜C
5)アルキレンである、あるいは、−R
1a−R
2a−は、(C
4又はC
5)アルキレンである。
【0054】
閉鎖のR
1R
2N−基において−R
1a−R
2a−の異なる組成を有する式(I)の化合物は、少なくとも1つの性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。−R
1a−R
2a−が(C
3〜C
5)アルキレンであるとき、式(I)の化合物は、Si含有薄膜の蒸着用に望ましい反応性を有することがあり得ると考えられる。
【0055】
−NR
3R
4基が非環状アミノである式(I)の化合物の一部の態様では、R
3、R
4、又はR
3及びR
4の両方の種類は、更に定義されてもよい。式(I)の化合物の一部の態様では、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキルである、あるいは、R
3は、(C
1〜C
6)アルキルであり、R
4は、(C
3〜C
5)アルキルである、あるいは、R
3は、(C
1〜C
6)アルキルであり、R
4は、イソプロピル又は二級若しくは三級(C
4〜C
5)アルキルである、あるいは、R
3は、メチル又はエチルであり、R
4は、イソプロピル、sec−ブチル、iso−ブチル、又はtert−ブチルである、あるいは、R
3は、メチルであり、R
4は、イソプロピル、sec−ブチル、iso−ブチル、又はtert−ブチルである、あるいは、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、イソプロピル、sec−ブチル、iso−ブチル、又はtert−ブチルである、あるいは、R
3は、メチルであり、R
4は、tert−ブチルである、あるいは、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、(C
3〜C
4)アルキルである、あるいは、R
3及びR
4はそれぞれ、イソプロピルである、あるいは、R
3及びR
4はそれぞれ、sec−ブチルである、あるいは、R
3は、(C
3〜C
6)シクロアルキルであり、R
4は、上記態様のいずれか1つに定義したとおりである、あるいは、R
3は、(C
2〜C
6)アルケニルであり、R
4は、上記態様のいずれか1つに定義したとおりである、あるいは、R
3は、(C
2〜C
6)アルキニルであり、R
4は、上記態様のいずれか1つに定義したとおりである、あるいは、R
3は、Hであり、R
4は、上記態様のいずれか1つに定義したとおりである、あるいは、R
3は、フェニルであり、R
4は、上記態様のいずれか1つに定義したとおりである、あるいは、R
3は、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、又はフェニルであり、R
4は、(C
1〜C
6)アルキルである、あるいは、R
1及びR
3はそれぞれ、Hであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、上記態様のいずれか1つに定義したとおりである、あるいは、R
4は、R
3と同一である、あるいは、R
3は、R
1と同一であり、R
4は、R
2と同一である、あるいは、R
1は、R
2と同一であり、R
3は、R
4と同一である。
【0056】
開鎖の−NR
3R
4基においてR
3及びR
4の異なる組成を有する式(I)の化合物は、少なくとも1つの性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。R
3基及びR
4基の少なくとも一方が(C
3〜C
6)アルキルであるとき、式(I)の化合物は、改善された安定性を有することがあり得ると考えられる。R
3基及び/又はR
4基が(C
1〜C
6)アルキルであるとき、式(I)の化合物は、費用対効果がより高い出発物質から製造することもできると考えられる。R
3基及び/又はR
4基が(C
2〜C
6)アルケニルであるとき、式(I)の化合物は、(C
2〜C
6)アルケニルの炭素−炭素二重結合が式(I)でのN原子上の非共有電子対と共役しているときに特に、有利な塩基性を有することがあり得ると考えられる。R
3基及び/又はR
4基が(C
2〜C
6)アルキニルであるとき、式(I)の化合物は、より望ましい分子配置を有することがあり得ると考えられる。R
3基及び/又はR
4基がフェニルであるとき、式(I)の化合物は、望ましい光化学的性質を有することがあり得ると考えられる。上記の利点は、化学気相蒸着(CVD)法及び/又は原子層蒸着(ALC)法などの改善されたケイ素材料蒸着法を可能にすることがあり得る。
【0057】
−NR
3R
4基が環状アミノである式(I)の化合物の一部の態様では、−R
3a−R
4a−の種類は、更に定義されてもよい。式(I)の化合物において、R
3及びR
4は、共に結合して−R
3a−R
4a−となってもよく、−R
3a−R
4a−は、(C
3〜C
5)アルキレンである、あるいは、−R
3a−R
4a−は、(C
4又はC
5)アルキレンである。
【0058】
閉鎖の−NR
3R
4基において−R
3a−R
4a−の異なる組成を有する式(I)の化合物は、少なくとも1つの性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。−R
3a−R
4a−が(C
3〜C
5)アルキレンであるとき、式(I)の化合物は、Si含有薄膜の蒸着用に望ましい反応性を有することがあり得ると考えられる。
【0059】
一部の態様では、式(I)の化合物は、R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基が式(I)の化合物において同一のケイ素原子に、若しくは異なるケイ素原子に結合しているかどうかによって更に定義されてもよい。R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基は、式(I)の化合物において同一のケイ素原子に結合してもよい。あるいは、R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基は、式(I)の化合物において異なるケイ素原子に結合してもよい。R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基が式(I)の化合物において同一のケイ素原子に結合しているとき、この化合物は、基材の表面上の表面活性基をエンドキャップするために使用することもできると考えられる。R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基が式(I)の化合物において異なるケイ素原子に結合しているとき、基材の表面上の異なる表面活性基を連結する又は架橋するために使用することもできると考えられる。
【0060】
一部の態様では、式(I)の化合物は、R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基が式(I)の化合物において異なるケイ素原子に結合しているとき、その位置異性体構造によって更に定義されてもよい。前述の態様では、式(I)の化合物は、式(I−a)の化合物、R
1R
2N−SiH
2SiH
2SiH
2NR
3R
4(I−a)、あるいは式(I−b)の化合物、R
1R
2N−SiH(SiH
3)SiH
2NR
3R
4(I−b)、あるいは式(I−c)の化合物、R
1R
2N−SiH
2SiH
2SiH
2SiH
2NR
3R
4(I−c)、あるいは式(I−d)の化合物、R
1R
2N−SiH(SiH
3)SiH
2SiH
2NR
3R
4(I−d)、あるいは式(I−e)の化合物、R
1R
2N−SiH
2SiH(SiH
3)SiH
2NR
3R
4(I−e)、あるいは式(I−f)の化合物、R
1R
2N−Si(SiH
3)
2SiH
2NR
3R
4(I−f)、あるいは式(I−g)の化合物、R
1R
2N−SiH
2SiH
2SiH
2SiH
2SiH
2NR
3R
4(I−g)、あるいは式(I−h)の化合物、R
1R
2N−SiH(SiH
3)SiH
2SiH
2SiH
2NR
3R
4(I−h)、あるいは式(I−i)の化合物、R
1R
2N−SiH
2SiH(SiH
3)SiH
2SiH
2NR
3R
4(I−i)、あるいは式(I−j)の化合物、R
1R
2N−SiH
2SiH
2SiH(SiH
3)SiH
2NR
3R
4(I−j)、あるいは式(I−k)の化合物、R
1R
2N−SiH(SiH
2SiH
3)SiH
2SiH
2NR
3R
4(I−k)、あるいは式(I−l)の化合物、R
1R
2N−SiH
2Si(SiH
3)
2SiH
2NR
3R
4(I−l)であってもよい[式中、すべてのR
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記態様のいずれか1つで定義したとおりである]。あるいは、式(I)の化合物は、R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基が式(I−m)の化合物、R
1R
2N−(SiH
2)
n−NR
3R
4(I−m)[式中、n、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記態様のいずれか1つで定義したとおりである]、において異なる末端ケイ素原子に結合しているとき、α,ω化合物であってもよい。
【0061】
一部の態様では、式(I)の化合物は、R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基が式(I)の化合物において同一のケイ素原子に結合しているとき、その位置異性体構造によって更に定義されてもよい。前述の態様では、式(I)の化合物は、式(I−aa)の化合物、R
1R
2N−SiH(NR
3R
4)SiH
2SiH
3(I−aa)、あるいは式(I−bb)の化合物、R
1R
2N−Si(NR
3R
4)(SiH
3)SiH
3(I−bb)、あるいは式(I−cc)の化合物、R
1R
2N−SiH(NR
3R
4)SiH
2SiH
2SiH
3(I−cc)、あるいは式(I−dd)の化合物、R
1R
2N−Si(NR
3R
4)(SiH
3)SiH
2SiH
3(I−dd)、あるいは式(I−ee)の化合物、R
1R
2N−SiH(NR
3R
4)SiH(SiH
3)SiH
3(I−ee)、あるいは式(I−ff)の化合物、R
1R
2N−SiH(NR
3R
4)SiH
2SiH
2SiH
2SiH
3(I−ff)、あるいは式(I−gg)の化合物、R
1R
2N−Si(NR
3R
4)(SiH
3)SiH
2SiH
2SiH
3(I−gg)、あるいは式(I−hh)の化合物、R
1R
2N−SiH(NR
3R
4)SiH(SiH
3)SiH
2SiH
3(I−hh)、あるいは式(I−ii)の化合物、R
1R
2N−SiH(NR
3R
4)SiH
2SiH(SiH
3)SiH
3(I−ii)、あるいは式(I−jj)の化合物、R
1R
2N−Si(NR
3R
4)(SiH
2SiH
3)SiH
2SiH
3(I−jj)、あるいは式(I−kk)の化合物、R
1R
2N−SiH(NR
3R
4)Si(SiH
3)
2SiH
3(I−kk)であってもよい[式中、すべてのR
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記態様のいずれか1つで定義したとおりである]。
【0062】
異なる部分構造を有する式(I)の化合物は、少なくとも1つの性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。式(I−a)〜(I−m)及び(I−aa)〜(I−kk)のそれぞれ異なる化合物は、特有の分子対称性、分子双極子モーメント、及び化学結合特性などの特有の性質を有する。これらの特有の性質は、CVD法又はALD法などの蒸着法において基材表面上の部分構造の物理吸着及び化学吸着に影響を与える。
【0063】
一部の態様では、式(I)の化合物は、以下の化学種のいずれか1種である。1,1−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、2,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)テトラシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)テトラシラン、1,4−ビス(ジイソプロピルアミノ)テトラシラン、1,5−ビス(ジイソプロピルアミノ)ペンタシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)−2,2−ビスシリルトリシラン、及び1,1−ビス(ジイソプロピルアミノ)−2,2−ビスシリルトリシラン。例えば、式(I)の化合物は、1,1−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、あるいは1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、あるいは1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、あるいは2,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、あるいは1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)テトラシラン、あるいは1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)テトラシラン、あるいは1,4−ビス(ジイソプロピルアミノ)テトラシラン、あるいは1,5−ビス(ジイソプロピルアミノ)ペンタシラン、あるいは1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)−2,2−ビスシリルトリシラン、あるいは1,1−ビス(ジイソプロピルアミノ)−2,2−ビスシリルトリシランであってもよい。あるいは、式(I)の化合物は、上記化学種のいずれか2種以上の組み合わせであってもよい。あるいは、上記化学種のいずれか1種は、除外されてもよく、式(I)の化合物は、残りの9化学種からなる群より選択されてもよい。あるいは、上記化学種のいずれか1種〜10種は、式(I)から除外されてもよく、式(I)の化合物は、残りの化学種からなる群より選択されてもよい。
【0064】
一部の態様では、式(I)の化合物は、実施例において後述する式(I)の化合物のいずれか1種の化学種であるとして更に定義されてもよい。異なる構造を有する式(I)の化合物は、少なくとも1つの性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。実施例の化学種を含む式(I)のすべての化合物は、Si含有薄膜の蒸着用に前述の望ましい蒸気圧及び化学反応性を有することがあり得ると考えられる。
【0065】
一部の態様では、式(I)の化合物は、その同位体組成によって更に定義されてもよい。式(I)の化合物は、天然存在比の同位体形態、あるいは同位体濃縮した形態、あるいは前述の形態の混合物であってもよい。式(I)の化合物の同位体濃縮した形態には、天然存在比を超える量の重水素、三重水素、
29Si、
30Si、
32Si、又はこれらのいずれか2種以上の組み合わせを含む形態が挙げられる。本明細書に記載された式(I)の化合物の用途に加えて、式(I)の化合物の同位体濃縮形態は、式(I)の同位体濃縮化合物又はその形態から製造した同位体濃縮ケイ素材料(例えば、薄膜)の検出が役立つであろう用途において有用であり得る。かかる用途の例は、医学研究及び偽造防止用途である。異なる同位体組成を有する式(I)の化合物は、少なくとも1つの性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。
【0066】
式(I)の化合物は、無水条件下(すなわち、水がない)、不活性雰囲気下、又は、通常はその両方、すなわち、無水不活性雰囲気下で保存してもよい。不活性雰囲気は、窒素分子、ヘリウム、アルゴン、又はこれらのいずれか2種以上の混合物の気体であってもよい。異なる水分濃度を有する式(I)の化合物は、少なくとも1つの性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。
【0067】
本発明の別の態様は、式(I)の化合物及び式(I)の化合物と異なる少なくとも1種の追加成分を含有する組成物である。追加成分は、それぞれ独立に、式(I)の化合物から機能、組成、又は構造において独立に異なってもよい。
【0068】
一部の態様では、組成物は、組成物に含まれる式(I)の化合物の数によって更に定義されてもよい。一部の態様では、組成物は、式(I)の化合物の1種のみを含有する、あるいは組成物は、式(I)の化合物の異なる2種のみを含有する、あるいは組成物は、式(I)の化合物の異なる3種のみを含有する、あるいは組成物は、式(I)の化合物の異なる4種のみを含有する、あるいは組成物は、式(I)の化合物の異なる5種を含有する。
【0069】
異なる数の式(I)の化合物を有する組成物は、少なくとも1つの性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。式(I)の化合物の1種のみを含有する組成物は、常圧下で正確な又は狭い沸点を有することもでき、組成物の蒸留又は反応で均一温度を可能とすることもでき、より少ない反応副生成物をもたらすこともあると考えられる。式(I)の化合物の異なる2〜5種のみを含有する組成物は、常圧下である温度幅にわたって沸騰することもあり、化合物が1種類のみのときと比べて異なる反応性をもたらす又はケイ素材料薄膜性能を向上させることもあると考えられる。
【0070】
一部の態様では、組成物は、組成物に含まれる式(I)の化合物の組成及び/又は構造の種類によって更に定義されてもよい。一部の態様では、組成物は、式(I)の化合物の上記定義した態様のいずれか1つの式(I)の化合物を含有する。異なる式(I)の化合物の組成及び/又は構造の種類を有する組成物は、少なくとも1つの性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。式(I−a)〜(I−m)及び(I−aa)〜(I−kk)の化合物を有する組成物は、望ましい薄膜蒸着速度及び性質をもたらしてもよい。
【0071】
一部の態様では、組成物は、組成物に含有される、式(I)の化合物と異なる少なくとも1種の追加成分の数によって更に定義されてもよい。一部の態様では、組成物は、式(I)の化合物ではない追加成分1種のみを含有する、あるいは組成物は、式(I)の化合物ではない異なる追加成分2種のみを含有する、あるいは組成物は、式(I)の化合物ではない異なる追加成分3種のみを含有する、あるいは組成物は、式(I)の化合物ではない異なる追加成分4種のみを含有する、あるいは組成物は、式(I)の化合物ではない異なる追加成分5種のみを含有する、あるいは組成物は、式(I)の化合物ではない6種以上の追加成分を含有する。少なくとも1種の追加成分の数が異なる組成物では、少なくとも1つの性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。
【0072】
一部の態様では、組成物は、組成物に含有される、式(I)の化合物と異なる少なくとも1種の追加成分の組成及び/又は構造の種類によって更に定義されてもよい。追加成分は、それぞれ独立して、共有結合物質(すなわち、塩ではない)であってもよく、その物質は、独立して、固体、液体、又は気体であってもよい、あるいは固体(例えば、1種又は2種以上のSi
80前駆体)であってもよい、あるいは気体(例えば、式(I)の化合物に溶解させたモノシラン及び/又はジシラン)であってもよい、あるいは液体(例えば、トリシラン、テトラシラン、又はペンタシラン)であってもよい。固体追加成分は、存在するとき、それぞれ独立に、式(I)の化合物に溶解されてもよい、あるいは懸濁されてもよい。液体追加成分は、存在するとき、それぞれ独立して、101.3kPaで30℃〜350℃、あるいは30℃〜250℃、あるいは50℃〜90℃、あるいは90℃〜134℃、あるいは135℃〜250℃の沸点を有することもある。固体又は液体追加成分は、それぞれ独立して、Si原子を含有してもよく、あるいはSi原子がなくてもよい。
【0073】
一部の態様では、少なくとも1種の追加成分は、式(I)の化合物とは異なるシランであってもよい。シランは、1〜9個のケイ素原子、水素原子及び/又はハロゲン原子を有し、かつ窒素原子がなくてもよい、あるいはシランは、1〜9個のケイ素原子、水素原子及び/又はハロゲン原子を有し、かつ窒素原子及び酸素原子がなくてもよい、あるいはシランは、1〜9個のケイ素原子及びハロゲン原子からなってもよい、あるいはシランは、1個又は2個のケイ素原子、水素原子、及び窒素原子を有してもよい。式(I)の化合物ではないシランは、n−1個のケイ素原子、あるいはn−2個のケイ素原子、あるいは2n個のケイ素原子、あるいは2n−1個のケイ素原子を有してもよく、ここで、すべてのnは、式(I)の化合物に関する上記態様のいずれか1つで定義されたとおりである、あるいは式(I)の化合物ではないシランは、1個又は2個のケイ素原子を有してもよい、あるいは3〜9個のケイ素原子を有してもよい、あるいは1個のケイ素原子、あるいは2個のケイ素原子、あるいは3個のケイ素原子、あるいは4個のケイ素原子、あるいは5個のケイ素原子、あるいは6個のケイ素原子、あるいは7個のケイ素原子、あるいは8個のケイ素原子、あるいは9個のケイ素原子を有してもよい。式(I)の化合物ではないシランは、Si原子及びH原子からなってもよい、あるいはSi原子、H原子、及び窒素原子からなってもよい、あるいはSi原子、H原子、並びにCl、Br、及びIから選択されるハロゲン原子からなってもよい、あるいはSi原子並びにCl、Br、及びIから選択されるハロゲン原子からなってもよい。
【0074】
組成物では、少なくとも1種の追加成分、あるいは各追加成分は、独立に、式(I)の化合物とは異なるケイ素生成前駆体(例えば、モノシラン、ジシラン、トリシラン、テトラシラン、ペンタシラン、ヘキサシラン、ヘプタシラン、オクタシラン、若しくはノナシランなどのヒドリドシラン、又は、トリメチル若しくはテトラメチルモノシラン、ジクロロジメチルモノシラン、若しくはクロロトリメチルモノシランなどの有機シランなどの有機ケイ素、又は、1,3−ジシラブタンなどのシラアルカン)を含有してもよい、あるいはジイソプロピルアミノシランなどのアミノシラン又はジイソプロピルアミノジシランなどのアミノジシランを含有してもよい、あるいはケイ素がない有機前駆体(例えば、天然ガスを含むメタン、四塩化炭素、プロパン、ヘキサン、又はこれらのいずれか2種以上の混合物などのアルカン)を含有してもよい、あるいはケイ素がない無機前駆体(例えば、無水アンモニア、窒素分子、ヒドラジン、酸素分子、オゾン、亜酸化窒素、水、又は過酸化水素)を含有してもよい、あるいはこれらの混合物を含有してもよい。追加的に又は別法として、追加の前駆体は、炭素含有前駆体(例えば、有機ケイ素)を含む炭素の供給源、酸素含有前駆体(例えば、酸素分子、オゾン、亜酸化窒素、水、若しくは過酸化水素)を含む酸素の供給源、又は窒素含有前駆体(例えば、無水アンモニア、窒素分子、若しくはヒドラジン)を含む窒素の供給源、又は炭素含有前駆体を含む炭素の供給源、酸素含有前駆体を含む酸素の供給源、窒素含有前駆体を含む窒素の供給源のいずれか2つ以上の組み合わせであってもよい。追加の前駆体は、組成物において、式(I)の化合物の溶媒として機能してもよく、又はその逆であってもよい。式(I)の化合物と、C又はN又はO又はSを含有する追加成分を含む組成物は、式(I)の化合物を薄膜形成反応器に輸送するために役立ち得るか、又は式(I)の化合物を望ましいケイ素薄膜に変換するために役立ち得る。
【0075】
あるいは、組成物において、少なくとも1つの追加成分は、式(I)の化合物用の溶媒又はキャリアガスなどの前駆体用の溶媒又はキャリアガスであってもよい。キャリアガスは、He又はArのガスなどの希ガスであってもよい。溶媒は、Siがない有機溶媒であってもよい。有機溶媒はまた、炭素含有前駆体の供給源として機能してもよい、あるいは炭素含有前駆体の供給源はまた、組成物における有機溶媒として機能してもよい。
【0076】
あるいは、組成物は、式(I)の化合物及び式(I)の化合物ではないシランから本質的になってもよい。式(I)の化合物及び式(I)の化合物ではないシランから本質的になる組成物は、ハロシランを欠くか、あるいは式(I)の化合物ではない窒素を含むシランを欠くか、あるいはハロゲン及び窒素を含むシランを欠くが、それ以外では、組成物は、例えば、有機溶媒、不活性ガス、又はSi原子及びH原子からなるペルヒドリドシランなどの追加成分を含有してもよい。式(I)の化合物及び式(I)の化合物ではないシランから本質的になる組成物は、より高い薄膜蒸着速度又は薄膜蒸着選択性を可能にし得ると考えられる。
【0077】
あるいは、組成物は、式(I)の化合物及び式(I)の化合物ではない少なくとも1種のシランからなってもよい。式(I)の化合物及び式(I)の化合物ではない少なくとも1種のシランからなる組成物は、他のSi含有物質を含まなくてもよい。
【0078】
少なくとも1種の追加成分の異なる組成及び/又は構造の種類を有する組成物は、少なくとも1つの性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。
【0079】
本発明の別の態様は、式(I)の化合物の製造方法であって、この方法は、
式(c1)の化合物、
(R
1R
2N)Si
nX
2n(NR
3R
4)(c1)
[式中、Xは、それぞれ独立に、Cl、Br、及びIから選択されるハロゲン原子であり、n、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、式(I)の上記態様のいずれか1つで定義したとおりである]を、水素化アルミニウムと接触させて式(I)の化合物と少なくとも1種の反応副生成物の混合物を与えること、を含む、製造方法である。この接触工程は、本明細書において便宜的に、還元接触工程と呼ばれる場合がある。
【0080】
一部の態様では、式(I)の化合物の製造方法は、ハロゲン、Xの種類によって更に定義されてもよい。一部の態様では、少なくとも1つのXは、Clである、あるいは少なくとも1つのXは、Brである、あるいは少なくとも1つのXは、Iである、あるいはXは、Cl又はBrである、あるいはXは、Br又はIである、あるいはXは、Clである、あるいはXは、Brである、あるいはXは、Iである。Xに関して異なる組成を有する方法は、少なくとも1つの結果、性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。Si−X結合のSi−Hへの還元の容易さは、X=ClからX=Brへと、X=Iへと高まることがある。
【0081】
一部の態様では、式(I)の化合物の製造方法は、水素化アルミニウムの種類によって更に定義されてもよい。水素化アルミニウムは、式AlR
xH
3−x又はAlR
xD
3−xの水素化アルキルアルミニウムであってもよい[式中、Alは、アルミニウムであり、xは、1又は2であり、Rは、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
7〜C
12)アルキル、(C
13〜C
20)アルキル、又は(C
21〜C
40)アルキルであり、Hは、水素原子であり、Dは、重水素原子である]。式AlR
xH
3−xの水素化アルキルアルミニウムの例は、二水素化メチルアルミニウム、水素化ジメチルアルミニウム、二水素化メチルアルミニウム及び水素化ジメチルアルミニウムの混合物、二水素化エチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、二水素化エチルアルミニウム及び水素化ジエチルアルミニウムの混合物、二水素化イソブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、並びに、二水素化イソブチルアルミニウム及び水素化ジイソブチルアルミニウムの混合物である。水素化イソブチルアルミニウムは、一般的にDIBALと略され、式C
16H
38Al
2の二量体として存在していると考えられる。式AlR
xD
3−xの水素化アルキルアルミニウムの例は、二重水素化メチルアルミニウム、重水素化ジメチルアルミニウム、二重水素化メチルアルミニウム及び重水素化ジメチルアルミニウムの混合物、二重水素化エチルアルミニウム、重水素化ジエチルアルミニウム、二重水素化エチルアルミニウム及び重水素化ジエチルアルミニウムの混合物、二重水素化イソブチルアルミニウム、重水素化ジイソブチルアルミニウム、並びに、二重水素化イソブチルアルミニウム及び重水素化ジイソブチルアルミニウムの混合物である。
【0082】
あるいは水素化アルミニウムは、式M(AlH
4)
2又はM(AlD
4)
2[式中、Mは、II族金属であり、Hはそれぞれ、水素原子であり、Dは、重水素原子である]の水素化II族金属アルミニウムであってもよい。水素化II族金属アルミニウムの例は、水素化マグネシウムアルミニウム及び水素化カルシウムアルミニウムである。
【0083】
あるいは水素化アルミニウムは、式MAlH
4又はMAlD
4[式中、Mは、I族金属であり、Hは、水素原子であり、Dは、重水素原子である]の水素化II族金属アルミニウムであってもよい。I族金属は、Li、Na、又はKであってもよい。水素化I族金属アルミニウムの例は、KAlH
4、NaAlH
4、LiAlH
4、KAlD
4、NaAlD
4、及びLiAlD
4である。水素化I族金属アルミニウムは、KAlH
4、NaAlH
4、又はLiAlH
4、あるいはNaAlH
4又はLiAlH
4、あるいはKAlH
4、あるいはNaAlH
4、あるいはLiAlH
4、あるいはKAlD
4、NaAlD
4、又はLiAlD
4、あるいはNaAlD
4又はLiAlD
4、あるいはKAlD
4、あるいはNaAlD
4、あるいはLiAlD
4であってもよい。
【0084】
あるいは、水素化アルミニウムは、前述した例のいずれか2種以上の組み合わせであってもよい。例えば、水素化アルミニウムは、水素化ジイソブチルアルミニウム及びLiAlH
4の混合物であってもよい。通常、水素化アルミニウムは、少なくともLiAlH
4である。
【0085】
水素化アルミニウムに関して異なる組成を有する方法は、少なくとも1つの結果、性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。水素化アルミニウムの異なる組成は、異なる還元選択性をもたらし得る。
【0086】
一部の実施形態では、水素化アルミニウムは、錯化剤を更に含有することはない。他の実施形態では、水素化アルミニウムは、Alと配位結合を形成するであろう錯化剤を更に含有する。錯化剤は、アルキルエーテル(例えば、ジエチルエーテル)、オキサシクロアルカン(例えば、テトラヒドロフラン)、又はトリアルキルアミン(例えば、トリメチルアミン)などのO、N、又はSを含有する非プロトン性化合物であってもよい。錯化剤は、水素化アルミニウムにおける保存安定性の向上のため、反応性の調節のためなどに使用してもよい。錯化剤は、還元接触工程を実施する前に反応混合物から除去されてもよい。錯化水素化アルミニウムは、非錯化水素化アルミニウムを越える改善された還元選択性を有し得る。
【0087】
水素化アルミニウムがこの方法における使用に好適であることは、概ね既知である。好適な水素化アルミニウムは、Sigma−Aldrich Company(St.Louis、Missouri、USA)などの販売業者から速やかに入手することもできる、かつ/又は米国特許第2,765,329号の処理法などの任意の好適な処理法によって調製することもできる。一部の実施形態では、水素化アルミニウムは、トリアルキルアルミニウムを更に含有することはない。他の実施形態では、水素化アルミニウムは、トリアルキルアルミニウムを更に含有する。水素化アルキルアルミニウムの製造は、水素化ジアルキルアルミニウム及び二水素化アルキルアルミニウムの混合物だけではなく、副生成物として対応するトリアルキルアルミニウムも生成することがあり、このトリアルキルアルミニウムにおいて、アルキルは、式AlR
xH
3−x又はAlR
xD
3−xにおけるRと同一である。
【0088】
一部の態様では、式(I)の化合物の製造方法は、水素化アルミニウムの種類と組み合わせる、ハロゲン、Xの種類によって更に定義されてもよい。この方法の一部の態様では、それぞれのXは、Cl又はBrであり、かつ水素化アルミニウムは、MAlH
4である、あるいはそれぞれのXは、Cl又はBrであり、かつ水素化アルミニウムは、LiAlH
4である、あるいはそれぞれのXは、Brであり、かつ水素化アルミニウムは、LiAlH
4である、あるいはそれぞれのXは、Clであり、かつ水素化アルミニウムは、LiAlH
4である。X及び水素化アルミニウムに関して異なる組成を有する方法は、少なくとも1つの結果、性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。XがBrとLiAlH
4との組み合わせは、XがClとLiAlH
4との組み合わせよりも、より高い生成物の収率を与えることがある。
【0089】
一部の態様では、式(I)の化合物の製造方法は、還元接触工程における反応混合物の組成の種類によって更に定義されてもよい。還元接触工程は、媒質がなくてもよい、あるいは還元接触工程は、媒質を更に含有してもよく、この場合、式(c1)の化合物及び水素化アルミニウムは、還元接触工程中に媒質と混和している。媒質は、アルキレングリコールジアルキルエーテル媒質であってもよく、式(c1)の化合物及び水素化アルミニウムは、還元接触工程中にアルキレングリコールジアルキルエーテル媒質と混和している。アルキレングリコールジアルキルエーテル媒質は、式(c1)の化合物及び水素化アルミニウムのうち一方又は両方の溶媒として機能してもよい。アルキレングリコールジアルキルエーテル媒質は、式(I)の化合物の沸点よりも、少なくとも10℃、あるいは少なくとも30℃、あるいは少なくとも50℃高い沸点を有してもよい。
【0090】
アルキレングリコールジアルキルエーテル媒質は、炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなってもよい、又は、炭素原子、水素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなるハロゲン化アルキレングリコールジアルキルエーテル媒質であってもよい。アルキレングリコールジアルキルエーテルは、テトラメチレングリコールジ(C
1〜C
4)アルキルエーテル、プロピレングリコールジ(C
2〜C
4)アルキルエーテル、エチレングリコールジ(C
3又はC
4)アルキルエーテル、又はこれらの任意の2種以上の組み合わせであってもよい。例えば、アルキレングリコールジアルキルエーテルは、テトラメチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、又はエチレングリコールジブチルエーテルであってもよい。ハロゲン化アルキレングリコールジアルキルエーテル媒質は、テトラメチレングリコールハロ置換ジ(C
1〜C
4)アルキルエーテル、プロピレングリコールハロ置換ジ(C
2〜C
4)アルキルエーテル、エチレングリコールハロ置換ジ(C
3又はC
4)アルキルエーテル、又はこれらの任意の2種以上の組み合わせであってもよい。例えば、ハロゲン化アルキレングリコールジアルキルエーテルは、テトラメチレングリコールビス(トリフルオロメチル)エーテル、プロピレングリコールビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)エーテル、又はエチレングリコールビス(3,3,3−トリフルオロブチル)エーテルであってもよい。アルキレングリコールジアルキルエーテル媒質は、還元接触工程の完了後に反応混合物から除去してもよく、あるいはアルキレングリコールジアルキルエーテル媒質は、残留物中に残っていてもよく、式(I)の化合物は、アルキレングリコールジアルキルエーテル媒質から分離するために残留物から取り出(例えば、蒸留)されてもよい。アルキレングリコールジアルキルエーテル媒質に関して異なる組成を有する方法は、少なくとも1つの結果、性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。アルキレングリコールジアルキルエーテルの異なる組成は、式(c1)の化合物及び水素化アルミニウム還元剤に対して異なる溶解度をもたらし得る。
【0091】
一部の態様では、式(I)の化合物の製造方法は、還元接触工程前にある1つ又は2つ以上の任意選択的な前工程によって更に定義されてもよい。この方法は、式(c1)の化合物を製造する前工程を更に含んでいてよい。例えば、この方法は、1モル当量の式(a1)の化合物、R
1R
2NM(a1)、及び1モル当量の式(a2)の化合物、R
3R
4NM(a2)、を式(b1)の化合物、Si
nX
2n+2(b1)、と接触させて、又は1モル当量の式(a3)の化合物、M(R
2)N−R
1a−R
3a−N(R
4)M(a3)、を式(b1)の化合物と接触させて、式(c1)の化合物を与える、前工程を更に含んでもよい(式中、Mは、それぞれ独立に、H、Li、Na、及びKから選択されるI族元素であり、X、n、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記態様のいずれか1つで定義したとおりである)。この接触工程は、本明細書において便宜的に、置換接触工程と呼ばれる場合がある。
【0092】
一部の態様では、式(I)の化合物の製造方法は、任意選択的な置換接触工程におけるI族元素の種類によって更に定義されてもよい。Mは、Hであってもよい、あるいはMは、I族金属のLi、Na、又はKであってもよい、あるいはMは、Li又はNaである、あるいはMは、Li又はKである、あるいはMは、Na又はKである、あるいはMは、Liである、あるいはMは、Naである、あるいはMは、Kである。Mに関して異なる組成を有する方法は、少なくとも1つの結果、性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。式(a1)の化合物、R
1R
2NM(a1)は、R
1R
2NH及び有機金属塩基から調製されてもよく、ここで、金属は、Mである。式(a2)の化合物、R
3R
4NM(a2)は、R
3R
4NH及び金属がMである有機金属塩基から調製されてもよく、ここで、金属は、Mである。
【0093】
一部の態様では、式(I)の化合物の製造方法は、式(b1)の化合物、Si
nX
2n+2(b1)を合成する追加の前工程を更に含んでもよい。式(b1)の化合物は、既知の方法を含む任意の好適な方法で製造され、精製されてもよい。例えば、この化合物は、元素ケイ素の塩素化、ハロゲン化水素を用いたフェニルシランの脱フェニル化、又は式(b1)の他の化合物の不均化、再分配、若しくは分解によって製造してもよい。これらの反応は、異なる異性体の混合物を通常生じる。異性体は、蒸留、昇華、及び/又は結晶化を含む既知の方法を含む任意の好適な分離手法を用いて相互に分離することができる。式(b1)の化合物の個々のいずれの異性体も、本合成処理法に従うと、すべてが、それぞれ、そのケイ素原子骨格構造を、式(c1)の化合物に変換されるときに保持する傾向があり、これはひいては、式(I)の化合物に変換されるときにも、同一のケイ素原子骨格構造を保持するということである。
【0094】
一部の態様では、式(I)の化合物の製造方法は、任意選択的な置換接触工程における反応混合物の組成の種類によって更に定義されてもよい。置換接触工程は、媒質がなくてもよい、あるいは置換接触工程は、媒質を更に含有してもよく、式(a1)、(a2)、及び(b1)の化合物、又は化合物(a3)及び(b1)は、置換接触工程中に媒質と混和している。媒質は、炭化水素媒質であってもよく、式(a1)、(a2)、及び(b1)の化合物、又は化合物(a3)及び(b1)は、置換接触工程中に炭化水素媒質と混和している。炭化水素媒質は、式(a1)、(a2)、(a3)、及び/又は(b1)の1種又は2種以上の化合物用の溶媒として機能してもよい。
【0095】
炭化水素媒質は、炭素原子及び水素原子からなってもよい、又は炭素原子、水素原子、及びハロゲン原子からなるハロゲン化炭化水素媒質であってもよい。C原子及びH原子からなる炭化水素媒質は、アルカン、芳香族炭化水素、及びこれらの2種以上の混合物であってもよい。アルカンは、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソパラフィン、又はこれらの2種以上の混合物であってもよい。芳香族炭化水素は、トルエン、キシレン、又はこれらの2種以上の混合物であってもよい。ハロゲン化炭化水素媒質は、ジクロロメタンであってもよい。炭化水素媒質は、還元接触工程が実施されるときに、反応混合物中に残存してもよい、あるいは炭化水素媒質は、還元接触工程の実施前に反応混合物から除去してもよい。炭化水素媒質に関して異なる組成を有する方法は、少なくとも1つの結果、性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。異なる炭化水素媒質は、反応物質及び生成物に対して異なる溶解度、又は固体塩副生成物に対して異なる形態をもらたしてもよい。
【0096】
接触工程(例えば、還元接触工程及び任意選択的な置換接触工程)は、独立に、反応物質の撹拌(例えば、式(c1)の化合物及び水素化アルミニウムの撹拌、及び/又は式(a1)、(a2)、及び(b1)の化合物、又は化合物(a3)及び(b1)の撹拌、並びに任意の追加成分(例えば、媒質)の撹拌)を更に含んでもよい。撹拌は、反応混合物における反応物及び追加成分の混合及び共に接触させることを増進し得る。
【0097】
接触工程は、独立に、撹拌を用いる又は用いない他の条件を使用してもよい。他の条件は、特定の接触工程において目的とする反応生成物を形成するように、反応物の接触(つまり、反応)を増進するために調整されてもよい。他の条件は、反応収率の増大又は特定の反応副生成物の量の最小化のための効果的な条件をその結果生じてもよい。前述の他の条件の例は、雰囲気、温度、及び圧力である。例えば、還元及び/又は置換接触工程は、独立に、無水アルゴン又はヘリウムガスの抽気などの不活性ガス雰囲気下で実施されてもよい。別法として又は追加的に、還元及び/又は置換接触工程は、独立に、前述の反応が観察できる最低温度から、使用された圧力で最も低沸点の成分のより低い沸点までの反応物質の温度を含んでもよい。反応は、反応物質の消失又は生成物の出現を検出することによって、例えば、
29Si及び/又は
1H核磁気共鳴(NMR)分光法によって評価してもよい。例えば、還元及び/又は置換接触工程は、独立に、−20°〜200℃、あるいは0°〜150℃、あるいは20°〜120℃、あるいは30°〜100℃の反応物質の温度を含んでもよい。還元及び/又は置換接触工程は、独立に、常圧未満、例えば、101.3キロパスカル未満で実施されてもよく、したがって、前述の最高温度は、圧力の低下と関連して低下してもよい。還元及び/又は置換接触工程の異なる1つにおいて使用される条件は、本明細書に記載された任意の他の(複数の)接触工程及び/又は分離工程において使用される条件と同一又は異なってもよい。
【0098】
式(I)の化合物の製造方法の一部の態様では、還元接触工程が分離工程の開始のかなり前に行われる場合、分離工程からの精製された式(I)の化合物の収率は、望ましくない低下となる恐れがある。したがって、還元接触工程及び分離工程を同時にかつ同一条件で実施することが有利であり得る。還元接触工程及び分離工程のこの同時実施は、例えば、式(c1)の化合物及び水素化アルミニウムと、いずれかの任意選択的な追加成分(例えば、媒質)とを、式(c1)の化合物を式(I)の化合物に還元すること、及びその結果生じた反応混合物から式(I)の化合物を、真空蒸留などの連続蒸留によってなどで分離することの両方に有用な条件下で共に接触させ、生成後すぐに反応混合物から式(I)の化合物を連続的に分離することによって、行われてもよい。このようにして、式(I)の化合物が生成すると速やかに反応混合物から除去し、任意選択的に冷却することが行われるため、精製された式(I)の化合物の収率は、用いられる条件下で最適化することもできる。
【0099】
一部の態様では、式(I)の化合物を含有する反応混合物は、還元接触工程から得られたままで精製せずに直接使用される。例えば、式(I)の化合物を含有する反応混合物は、将来の使用まで(例えば、≦−50℃の温度で冷蔵されて)保管してもよい、又は反応混合物中の式(I)の化合物の存在及び量に関して直接評価してもよい。一部の態様では、式(I)の化合物の製造方法は、還元接触工程後にある1つ又は2つ以上の任意選択的な後工程によって更に定義されてもよい。この方法は、(複数の)反応副生成物から、又は任意の未反応反応物質から、又は任意の追加反応成分(例えば、媒質)から、又はこれらの2つ以上の組み合わせから、式(I)の化合物を分離して精製された式(I)の化合物を与える後工程を更に含んでもよい。
【0100】
分離工程は、実行されるとき、反応副生成物及び任意の未反応反応物質又は任意の追加反応成分(例えば、媒質)から式(I)の化合物を分離するために好適な任意の手法を含んでもよい。異なる手法が、式(I)の異なる化合物に対して好ましいこともある。1つの手法が実行されてもよく、又は、連続した2つ以上の手法が実行されてもよい。与えられた手法は、一度に実施されてもよい、又は、不純物含有量を反復減少させて反復精製された式(I)の化合物、例えば、反復してより低下したアルミニウムの原子濃度を有する式(I)の精製化合物を得るために、毎回先行する手法の生成物を用いて、2回以上繰り返されてもよい。好適な手法の例は、デカンテーション、蒸留、蒸発、抽出、ろ過、凍結乾燥、ガスクロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、分配、相分離、逆相液体クロマトグラフィ、ストリッピング、揮発、及び洗浄である。別法として又は追加的に、式(I)の化合物は、逆相液体クロマトグラフィに付されてもよい。好適な逆相液体クロマトグラフィの例は、逆相中圧カラムクロマトグラフィ(RP−MPLC)及び逆相高圧カラムクロマトグラフィ(RP−HPLC)であり、固定相は、シリカゲルなどの固体であり、移動相は、無水ヘキサン、無水アセトニトリル、無水酢酸エチル、又はこれらの2種以上の混合物などの無水の非プロトン性有機溶媒である。
【0101】
例えば、一部の態様では、還元接触工程は、(任意選択的な前工程から)還元接触工程に引き継がれた固体をその中に有する、及び/又は還元接触工程中に反応副生成物としてその系内で形成した固体沈殿をその中に有する反応混合物を生成してもよい。前述の態様では、分離工程は、かかる反応混合物を濾過して塩(例えば、X及びMに応じて、LiCl、NaCl、NaBr、MgCl
2などのMX)などの固体を除去し、式(I)の化合物を含み、かつ固体反応副生成物がないろ液を与えることを含んでもよい。
【0102】
ろ液は、揮発性成分をろ液から除去するために蒸留又はストリップされて、式(I)の化合物の濃縮形態を含有する残留物を与えてもよい。このようにして除去された揮発性成分は、式(I)の化合物の沸点よりも低い沸点を有する成分であり、例えば、式R
1R
2NH及び/若しくはR
3R
4NHの任意の(複数の)未反応アミンかつ/又はSi−Si結合開裂の任意の反応副生成物を含有してもよい。
【0103】
式(I)の化合物の沸点よりも低い沸点を有する任意の反応副生成物及び反応混合物の他の成分は、式(I)の化合物の除去前に蒸発法によって除去してもよい。式(I)の化合物は、残留物から蒸留又はストリップし、精製された式(I)の化合物を与え、任意の非揮発性反応副生成物及び/又は任意の非揮発性追加成分を含有する残留物を含む釜残を残してもよい。このようにして残された非揮発性成分は、式(I)の化合物の沸点よりも高い沸点を有する成分であり、例えば、アルキレングリコールジアルキルエーテル媒質及び/又は還元接触工程中に2個以上のシラン分子の縮合によって形成されたオリゴマー性若しくはポリマー性副生成物などの非揮発性媒質を含んでもよい。
【0104】
式(I)の化合物の純度は、逆相液体クロマトグラフィによって又は、よりふさわしくは、後述のとおりガスクロマトグラフィ(GC)によって決定されてもよい。例えば、GCによって決定された純度は、60面積%〜≦100面積%(GC)、あるいは70面積%〜≦100面積%(GC)、あるいは80面積%〜≦100面積%(GC)、あるいは90面積%〜≦100面積%(GC)、あるいは93面積%〜≦100面積%(GC)、あるいは95面積%〜≦100面積%(GC)、あるいは97面積%〜≦100面積%(GC)、あるいは99.0面積%〜≦100面積%(GC)であってもよい。≦100面積%(GC)は、それぞれ独立に、100面積%(GC)に等しいとしてもよく、この態様では、精製された式(I)の化合物は、式(I)の化合物それ自体である。あるいは≦100面積%(GC)は、それぞれ独立に、100面積%(GC)に等しいとしてもよく、この態様では、精製された式(I)の化合物は、組成物である。<100面積%(GC)を有する組成物の最大純度は、全て式(I)の化合物の99.9999999面積%(GC)(「ナインナイン」の純度)、あるいは99.999999面積%(GC)(「エイトナイン」の純度)、あるいは99.99999面積%(GC)(「セブンナイン」の純度)、あるいは99.9999面積%(GC)(「シックスナイン」の純度)、あるいは99.999面積%(GC)(「ファイブナイン」の純度)、あるいは99.99面積%(GC)(「フォーナイン」の純度)、あるいは99.9面積%(GC)であってもよい。式(I)の化合物、又は上記のシックスナインからナインナインの純度の式(I)の化合物から本質的になる組成物は、電子及び光起電用途用ケイ素材料の製造において特に有用であり得、概ね9の数がより多い純度になるほど、前述の用途におけるこれらの有用性がより向上すると考えられる。
【0105】
本発明の別の態様は、式(I)の化合物、
(R
1R
2N)Si
nH
2n(NR
3R
4)(I)
[式中、下付き文字nは、3〜9であり、R
1は、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか、又は、R
1は、Hであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか、又は、R
1及びR
3は、Hであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか、又は、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか、又は、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、共に結合して−R
3a−R
4a−となり、−R
3a−R
4a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであるか、又は、R
1及びR
3は、共に結合して−R
1a−R
3a−となり、−R
1a−R
3a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであり、R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基は、式(I)の化合物において同一のケイ素原子に、又は異なるケイ素原子に結合している]、の製造方法であって、この方法は、式(d1)の化合物、(R
1R
2N)Si
nH
2n+1(d1)、を式(d2)の化合物、(NR
3R
4)(d2)[式中、n、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]と、触媒存在下で接触させて反応混合物を与えることと[この触媒は、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、As、Bb、Bi、O、S、Se、Te、F、Cl、Br、I、Zn、Cd、又はHgのうちの少なくとも1種の典型元素を含有する]、反応混合物を約0℃〜約250℃の温度に保つことと、反応を進行させて上記の式(I)の化合物を形成することと、反応混合物から式(I)の化合物の式(I)の化合物を分離することと、を含み、反応混合物の温度は、合成中に変化してもよく、反応混合物の温度が約0℃未満に低下しないように、かつ約250℃を超えないように保たれる、製造方法。
【0106】
本発明の別の態様は、ケイ素含有材料の製造方法であって、この方法は、式(I)の化合物を含有する原料ガスを基材存在下でケイ素蒸着条件に付し、基材上に形成されたケイ素含有材料を与えること、を含む、製造方法である。この方法では、式(I)の化合物は、ケイ素生成前駆体として機能する。基材は、他の材料(例えば、薄膜)の支持に好適な任意の材料で構成されてもよい。材料は均質でも不均質(例えば、複合材料又は構造)でもよい。基材又はその表面は、連続でも非連続でもよい。
【0107】
一部の態様では、ケイ素含有材料の製造方法は、同じ形状の薄膜、ロッド、又は粒子を生産する。この方法から得られた結果は、原料ガスの組成を定義することによって更に影響を受けてもよい。原料ガスは、式(I)の化合物のみを含有してもよい。式(I)の化合物は、ケイ素含有材料においてのみケイ素の供給源として使用してもよい。このように形成されたケイ素含有材料は、元素ケイ素、例えば、非晶質又は結晶性ケイ素であってもよい。結晶性ケイ素は、単結晶ケイ素であってもよい、あるいは多結晶ケイ素であってもよい。あるいは、式(I)の化合物は、ケイ素及び炭素、ケイ素及び窒素、又はケイ素、炭素、及び窒素の供給源として使用してもよい。式(I)の組成物に関して異なる組成を有する方法は、少なくとも1つの結果、性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。式(I)の化合物が唯一のケイ素生成前駆体として使用されるとき、薄膜形成処理法は、著しく単純化される。
【0108】
あるいは原料ガスは、式(I)の化合物及び少なくとも1種の他の原料ガスの組み合わせを含有してもよい。追加の前駆体の任意の2種以上の組み合わせは、目的とする(複数の)非Si元素(例えば、C、N、及び/又はO)を有する適切な材料(例えば、SiC又はSiN)をもたらすように選択される。前述の組み合わせは、目的とするケイ素含有材料が、式(I)の化合物にはない酸素を含有するとき、又は目的とするケイ素含有材が、用いる蒸着条件下で式(I)の化合物単体から供給できるよりも高い濃度の炭素及び/又は窒素を含有することが望ましいとき、有用であり得る。
【0109】
少なくとも1種の他の原料ガスは、ケイ素を含んでもよく、あるいはケイ素がなくてもよい。少なくとも1種の他の原料ガスは、炭素、あるいは窒素、あるいは酸素、あるいは炭素及び窒素、あるいは酸素及び窒素の供給源として機能する追加の前駆体を含有してもよい。追加の前駆体は、炭素含有前駆体を含む炭素源、酸素含有前駆体(例えば、酸素分子、オゾン、亜酸化窒素、水、若しくは過酸化水素)を含む酸素の供給源、又は窒素含有前駆体(例えば、無水アンモニア、窒素分子、若しくはヒドラジン)を含む窒素の供給源、又は炭素含有前駆体を含む炭素の供給源、酸素含有前駆体を含む酸素の供給源、及び窒素含有前駆体を含む窒素の供給源のいずれか2つ以上の組み合わせであってもよい。
【0110】
一部の態様では、ケイ素含有材料(例えば、薄膜)の製造方法は、生成されるケイ素含有材料の化学組成によって更に定義されてもよい。ケイ素含有材料は、元素ケイ素(例えば、非晶質、単結晶、又は多結晶ケイ素)、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、又は炭窒化ケイ素を含んでよい。あるいは、ケイ素含有材料は、元素ケイ素;あるいは炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、又は炭窒化ケイ素;あるいは炭化ケイ素、窒化ケイ素、又は炭窒化ケイ素;あるいは酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素;あるいは炭化ケイ素、あるいは窒化ケイ素、あるいは酸化ケイ素、あるいは酸窒化ケイ素、あるいは炭窒化ケイ素を含んでよい。元素ケイ素材料(例えば、薄膜)は、Si原子から本質的になり、非晶質、多結晶、又はエピタキシャルであってもよい。一部の態様では、ケイ素含有材料は、その電気的特性によって更に定義されてもよい。例えば、ケイ素含有材料は、元素ケイ素又は炭化ケイ素などの半導体材料であってもよい。あるいはケイ素含有材料は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、又は炭窒化ケイ素などの誘電材料であってもよい。
【0111】
元素ケイ素は、式(I)の化合物のみから、又は式(I)の化合物及びペルヒドリドシラン(例えば、SiH
4又はSi
2H
6)を含む前駆体複合物から調製されてもよい。炭化ケイ素材料は、式(I)の化合物のみから、又は式(I)の化合物とN及びOがない炭素含有前駆体の混合物とを含有する前駆体複合物から調製してもよい。N及びOがない炭化ケイ素材料の調製に有用な炭素含有前駆体は、トリメチル若しくはテトラメチルモノシラン、ジクロロジメチルモノシラン、又はクロロトリメチルモノシラン、又は1,3−ジシラブタンなどのシラアルカンであり得る。炭窒化ケイ素材料は、式(I)の化合物のみから、又は式(I)の化合物と炭素含有及び窒素含有前駆体の混合物とを含有する前駆体複合物から調製してもよい。(複数の)炭素含有及び窒素含有前駆体の混合物を含有する前駆体複合物は、C及びNの両方を含有し、かつOがない分子の集合体である、又は1つの追加前駆体がCを含有するがN又はOを含有せず、他の追加前駆体がNを含有するがC又はOを含有しない点で異なる分子である。炭窒化ケイ素材料の調製に有用な炭素及び窒素含有前駆体は、トリス(ジメチルアミノ)シランなどのアルキルアミノシランであってもよく、炭素含有及び窒素含有前駆体は、トリメチル又はテトラメチルモノシラン及びアンモニアの混合物などの異なる分子の混合物であってもよい。あるいは、炭窒化ケイ素材料は、式(I)の化合物と炭素及び窒素含有前駆体とを含有する前駆体複合物、又はかかる前駆体のそれぞれがC及びNを含有するかかる前駆体の集合体から調製されてもよい。酸炭窒化ケイ素材料は、式(I)の化合物のみから、又は、式(I)の化合物及び(a)炭素含有前駆体と酸素分子などの酸素含有前駆体との混合物、又は(b)ヘキサメチルジシロキサンなどのオルガノシロキサン又はテトラキス(ジメチルシロキサン)(一般的に「D4」と呼ぶ)などの環状オルガノシロキサンなどの炭素及び酸素含有前駆体を含む前駆体複合物、から調製されてもよい。
【0112】
一部の態様では、ケイ素含有材料(例えば、薄膜)の製造方法は、ケイ素蒸着法によって更に定義されてもよい。材料(例えば、薄膜)蒸着法は、化学気相蒸着(CVD)法、あるいは原子層蒸着(ALD又はALCVD)法、あるいはプラズマ援用化学気相蒸着法又は熱化学気相蒸着法であってもよい。好適な気相蒸着法の例は、CVD及びALDである。CVD法は、おおまかに熱型若しくは高温型又はプラズマ援用型(PE)に分類できる。有用なCVD法の種類の例には、APCVD(大気圧(AP)95〜105キロパスカル)、LPCVD(低圧(LP)0.001パスカル(Pa)<圧力<10Pa)、UHVCVD(超真空(UHV)圧力<1×10
−6パスカル)、PECVD、ALCVD、CCVD(熱型)、HWCVD(熱型)、HPCVD、RTCVD(熱型)、VPE(熱型)、及びPICVDが挙げられる。溶液堆積は、溶液から基材上への揮発性前駆体の重合、又は溶液から基材上への不揮発性ポリマーの堆積を含む。好適な溶液堆積法の例は、スプレーコーティング、ディップコーティング、印刷、及びSODである。溶液堆積法は、スプレーコーティング又はSOD、あるいはスプレーコーティング、あるいはディップコーティング、あるいは印刷、あるいはSODであってもよい。
【0113】
本発明の別の態様は、元素ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、又は炭窒化ケイ素を含有するケイ素含有材料の製造における式(I)の化合物の使用である。一部の態様では、ケイ素含有材料は、薄膜、あるいはロッド、あるいは粒子である。
【0114】
本発明の別の態様は、式(c1)の化合物である。(R
1R
2N)Si
nX
2n(NR
3R
4)(c1)[式中、下付き文字nは、3〜9の整数であり、Xは、それぞれ独立に、Cl、Br、及びIから選択されるハロゲン原子であり、R
1は、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか、又は、R
1は、Hであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか、又は、R
1及びR
3は、Hであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか、又は、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか、又は、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、共に結合して−R
3a−R
4a−となり、−R
3a−R
4a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであるか、又は、R
1及びR
3は、共に結合して−R
1a−R
3a−となり、−R
1a−R
3a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであり、R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基は、式(c1)の化合物において同一のケイ素原子に、若しくは異なるケイ素原子に結合している]式(c1)の化合物の一部の態様では、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、式(I)の化合物の上記態様のいずれか1つに記載されたとおりに定義される。式(c1)の化合物の一部の態様では、各Xは、式(I)の化合物の製造方法の上記態様のいずれか1つに記載されたとおりに定義される。式(c1)の化合物の一部の態様では、Xは、Clであり、n、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、式(I)の化合物の上記態様のいずれか1つに記載されたとおりに定義される。X、n、R
1、R
2、R
3、及び/又はR
4に関して異なる組成を有する式(c1)の化合物は、少なくとも1つの性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。
【0115】
一部の態様では、式(c1)の化合物は、1,1−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサクロロトリシラン、1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサクロロトリシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサクロロトリシラン、2,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサクロロトリシラン、1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)オクタクロロテトラシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)オクタクロロテトラシラン、1,4−ビス(ジイソプロピルアミノジイソプロピルアミノ)オクタクロロテトラシラン、1,5−ビス(ジイソプロピルアミノ)デカクロロペンタシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)−デカクロロ−2,2−ビスシリルトリシラン、又は1,1−ビス(ジイソプロピルアミノ)−デカクロロ−2,2−ビスシリルトリシランである。あるいは、上記化学種のいずれか1種は、除外されてもよく、式(c1)の化合物は、残りの9化学種のいずれかからなる群より選択されてもよい。式(I)の化合物の合成法では、上記化学種のいずれか1種は、それぞれ対応する1,1−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、2,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)テトラシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)テトラシラン、1,4−ビス(ジイソプロピルアミノジイソプロピルアミノ)テトラシラン、1,5−ビス(ジイソプロピルアミノ)ペンタシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)−2,2−ビスシリルトリシラン、又は1,1−ビス(ジイソプロピルアミノ)−2,2−ビスシリルトリシランを生じる。
【0116】
一部の態様では、式(c1)の化合物は、1,1−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサブロモトリシラン、1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサブロモトリシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサブロモトリシラン、2,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサブロモトリシラン、1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)オクタブロモテトラシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)オクタブロモテトラシラン、1,4−ビス(ジイソプロピルアミノ)オクタブロモテトラシラン、1,5−ビス(ジイソプロピルアミノ)デカブロモペンタシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)−デカブロモ−2,2−ビスシリルトリシラン、又は1,1−ビス(ジイソプロピルアミノ)−デカブロモ−2,2−ビスシリルトリシランである。あるいは、上記化学種のいずれか1種は、除外されてもよく、式(c1)の化合物は、残りの9化学種のいずれかからなる群より選択されてもよい。式(I)の化合物の合成法では、上記化学種のいずれか1種は、それぞれ対応する1,1−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、2,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)テトラシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)テトラシラン、1,4−ビス(ジイソプロピルアミノ)テトラシラン、1,5−ビス(ジイソプロピルアミノ)ペンタシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)−2,2−ビスシリルトリシラン、又は1,1−ビス(ジイソプロピルアミノ)−2,2−ビスシリルトリシランを生じる。
【0117】
本発明の別の態様は、式(c1)の化合物及び式(c1)又は(I)の化合物と異なる少なくとも1種の追加成分を含有する組成物である。組成物は、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサクロロトリシラン及び式(c1)又は(I)の化合物と異なる少なくとも1種の追加成分を含有してもよい。
【0118】
式(c1)及び(I)の化合物の一部の態様では、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、又はフェニルである。式(c1)及び(I)の化合物の一部の態様では、R
1は、Hであり、R
2、R
3、及びR
4は、独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、又はフェニルである。一部の態様では、R
1及びR
2は、Hであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、又はフェニルである。式(c1)及び(I)の化合物の一部の態様では、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンである。式(c1)及び(I)の化合物の一部の態様では、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、又はフェニルである。式(c1)及び(I)の化合物の一部の態様では、R
3は、Hであり、R
4は、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、又はフェニルである。式(c1)及び(I)の化合物の一部の態様では、R
3及びR
4は、共に結合して−R
3a−R
4a−となり、−R
3a−R
4a−は、(C
2〜C
5)アルキレンである。
【0119】
本発明の別の態様は、式(c1)の化合物の製造方法であって、この方法は、1モル当量の式(a1)の化合物、R
1R
2NM(a1)、及び1モル当量の式(a2)の化合物、R
3R
4NM(a2)を、又は1モル当量の式(a3)の化合物、M(R
2)N−R
1a−R
3a−N(R
4)M(a3)、を式(b1)の化合物、Si
nX
2n+2(b1)、と接触させて、式(c1)の化合物、(R
1R
2N)Si
nX
2n(NR
3R
4)(c1)、[式中、Mは、それぞれ独立に、H、Li、Na、及びKから選択されるI族元素であり、Xは、それぞれ独立に、Cl、Br、及びIから選択されるハロゲン原子であり、n、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記態様のいずれか1つで直前に定義したとおりであり、R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基は、式(c1)の化合物において同一のケイ素原子に、若しくは異なるケイ素原子に結合している]、を与えること、を含む、製造方法である。一部の態様では、この方法は、1モル当量の式(a1)の化合物、R
1R
2NM(a1)、及び1モル当量の式(a2)の化合物、R
3R
4NM(a2)、を式(b1)の化合物、Si
nX
2n+2(b1)、と接触させて、式(c1)の化合物を与えることを含む。他の態様では、この方法は、1モル当量の式(a3)の化合物、M(R
2)N−R
1a−R
3a−N(R
4)M(a3)、を式(b1)の化合物、Si
nX
2n+2(b1)、と接触させて、式(c1)の化合物を与えることを含む。更に他の態様では、この方法は、あるモル当量、p、の式(a1)の化合物、R
1R
2NM(a1)、及びあるモル当量、p、の式(a2)の化合物、R
3R
4NM(a2)、及びあるモル当量、q、の式(a3)の化合物、M(R
2)N−R
1a−R
3a−N(R
4)M(a3)、をあるモル当量、r、の式(b1)の化合物、Si
nX
2n+2(b1)、と接触させて、式(c1)の化合物を与えることを含み、p及びqは、それぞれ>0であり、q+(p/2)=rである。式(a1)、(a2)、及び(b1)、又は(a3)及び(b1)の化合物に関して異なる組成を有する方法は、少なくとも1つの結果、性質、機能、及び/又は用途において、互いに異なってもよく、また式(c1)の化合物と異なる。
【0120】
一部の態様では、式(c1)の化合物を含有する反応混合物は、置換接触工程から得られたままで精製せずに直接使用される。例えば、式(c1)の化合物を含有する反応混合物は、将来の使用まで(例えば、≦−50℃の温度で冷蔵されて)保管してもよい、又は反応混合物中の式(c1)の化合物の存在及び量に関して直接評価してもよい、又は還元接触工程において直接使用してもよい。他の態様では、式(c1)の化合物の製造方法は、置換接触工程後にある1つ又は2つ以上の任意選択的な後工程によって更に定義されてもよい。
【0121】
式(c1)の化合物の製造方法は、(複数の)反応副生成物から、又は任意の未反応反応物質から、又は任意の追加反応成分(例えば、媒質)から、又はこれらの任意の2つ以上の組み合わせから、式(c1)の化合物を分離して精製された式(c1)の化合物を与える後工程を更に含んでもよい。この置換接触工程で形成された反応混合物から式(c1)の化合物を分離する方法は、還元接触工程で形成された反応混合物から式(I)の化合物を分離する上述の方法と類似してもよく、上述の方法を簡単に修正したものであってもよいが、式(c1)の化合物は、対応する式(I)の化合物の沸点よりも高い沸点を有することが求められていることを除く。
【0122】
式(c1)の化合物の製造方法の一部の態様では、置換接触工程が任意選択的な分離工程のかなり前に行われる場合、分離工程からの精製された式(c1)の化合物の収率は、望ましくない低下となる恐れがある。したがって、置換接触工程及び分離工程を同時にかつ同一条件で実施することが有利であり得る。置換接触工程及び分離工程のこの同時実施は、例えば、式(a1)、(a2)、及び(b1)又は(a3)及び(b1)の化合物を共に縮合させて式(c1)の化合物を与えることと、その結果生じた反応混合物から式(c1)の化合物を、真空蒸留などの連続蒸留によってなどで分離し、生成後すぐに反応混合物から式(c1)の化合物を連続的に分離することとの両方に有用な条件下で、式(a1)、(a2)、及び(b1)の化合物を接触させることによって、又は式(a3)及び(b1)並びにいずれかの任意選択的な追加成分(例えば、媒質)を接触させることによって、行われてもよい。このようにして、式(c1)の化合物の一部が生成すると速やかに反応混合物から除去し、任意選択的に冷却することが行われるため、精製された式(c1)の化合物の収率は、用いられる条件下で最適化することもできる。
【0123】
精製した式(c1)の化合物の純度は、
29Si−NMR、逆相液体クロマトグラフィによって又は、よりふさわしいのは、後述のとおりガスクロマトグラフィ(GC)によって決定し得る。例えば、GCによって決定された純度は、60面積%〜≦100面積%(GC)、あるいは70面積%〜≦100面積%(GC)、あるいは80面積%〜≦100面積%(GC)、あるいは90面積%〜≦100面積%(GC)、あるいは93面積%〜≦100面積%(GC)、あるいは95面積%〜≦100面積%(GC)、あるいは97面積%〜≦100面積%(GC)、あるいは99.0面積%〜≦100面積%(GC)であってもよい。≦100面積%(GC)は、それぞれ独立に、上記で定義したとおりであってもよい。
【0124】
式(c1)の化合物の異なる純度を有する組成物は、少なくとも1つの結果、性質、機能、及び/又は用途が互いに異なってもよい。式(c1)の化合物、又はシックスナインからナインナインの純度の式(c1)の化合物から本質的になる組成物は、電子及び光起電用途用ケイ素材料の製造用ケイ素生成前駆体の中間体として特に有用であり得、概ね9の数がより多い純度になるほど、前述の用途におけるこれらの有用性がより向上すると考えられる。
【0125】
本発明の別の態様は、式(I)の化合物の合成における式(c1)の化合物の使用である。
【0126】
本発明の別の態様は、式(I)の化合物、(R
1R
2N)Si
nH
2n(NR
3R
4)(I)[式中、下付き文字nは、3〜9の整数であり、R
1は、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか、又は、R
1は、Hであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか、又は、R
1及びR
3は、Hであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか、又は、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか、又は、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、共に結合して−R
3a−R
4a−となり、−R
3a−R
4a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであるか、又は、R
1及びR
3は、共に結合して−R
1a−R
3a−となり、−R
1a−R
3a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであり、R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基は、式(I)の化合物において同一のケイ素原子に、若しくは異なるケイ素原子に結合している]、の製造方法であって、この方法は、
式(d1)の化合物、
(R
1R
2N)Si
nH
2n+1(d1)、
を式(d2)の化合物、
(HNR
3R
4)(d2)[式中、n、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]と、触媒存在下で接触させて反応混合物を与えることと[この触媒は、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、As、Bb、Bi、O、S、Se、Te、F、Cl、Br、I、Zn、Cd、又はHgのうちの少なくとも1種の典型元素を含有する]、
反応混合物を約0℃〜約250℃の温度に保つことと、
反応を進行させて上記の式(I)の化合物を形成することと、
反応混合物から式(I)の化合物の式(I)の化合物を分離することと、を含み、
反応混合物の温度は、合成中に変化してもよく、反応混合物の温度が約0℃未満に低下しないように、かつ約250℃を超えないように保たれる、製造方法である。
【0127】
触媒は、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、As、Bb、Bi、O、S、Se、Te、F、Cl、Br、I、Zn、Cd、又はHg、あるいはMg、Ca、Sr、Ba、B、Al、Ga、Ge、又はSnのうち少なくとも1種の元素を含有する。
【0128】
触媒は、均一又は不均一触媒であってもよく、担持されても担持されなくてもよく、複合触媒であってもよい。均一触媒は、反応物質及び任意の溶媒と溶液を形成する。不均一触媒は、反応物質及び/又は反応において存在する任意の溶媒に溶解しない。
【0129】
触媒担体は、任意の通常の担体であり得る、あるいは担体は、炭素又は二酸化ケイ素若しくはアルミナなどの酸化物である。
【0130】
式(d1)に従った化合物は、式R
1R
2NHの化合物を、式Si
nH
2(n+1)[式中、n、R
1、及びR
2は、上記で定義したとおりである]の化合物と、触媒存在下で接触させて反応混合物を与えることと[この触媒は、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、As、Bb、Bi、O、S、Se、Te、F、Cl、Br、I、Zn、Cd、又はHgのうちの少なくとも1種の典型元素を含有する]、反応混合物を約0℃〜約250℃の温度に保つことと、反応を進行させて上記の式(d1)の化合物を生成することと、反応混合物から式(d1)の化合物を分離することと、によって製造してもよく、反応混合物の温度は、合成中に変化してもよく、反応混合物の温度が約0℃未満に低下しないように、かつ約250℃を超えないように保たれる。
【0131】
式(I)の化合物は、他の反応物質から、例えば、蒸留によって分離されてもよい。
【0132】
反応温度は、0〜250℃、あるいは0〜60℃、あるいは15〜45℃である。
【0133】
この方法は、かかる反応用の通常の反応器内で行うことができる。当業者は、本発明の方法を実施するための反応器をどのように選択するのかを知っているであろう。
【0134】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって更に説明され、本発明の実施形態は、この非限定的な実施例の特徴及び限定の任意の組み合わせを含んでもよい。常温は、特に断らない限り、約23℃である。
【0135】
ガスクロマトグラフィ−フレームイオン化検出器(GC−FID)条件:キャピラリーカラムは、長さ30m、内径0.32mmで、厚さ0.25μmの固定相をキャピラリーカラムの内面上のコーティングの形状で含み、固定相は、フェニルメチルシロキサンを含んでいた。キャリアガスはヘリウムガスであり、毎分105mmの流量で使用された。GC装置は、Agilentモデル7890Aガスクロマトグラフであった。入口温度は、150℃であった。GC実験温度プロファイルは、50℃で2分間の均熱(保持)、15℃/分の速度で250℃までの昇温、及びその後の250℃で10分間の均熱(保持)からなった。
【0136】
GC−MS装置及び条件:試料は、電子衝撃イオン化及び化学イオン化ガスクロマトグラフィ−マススペクトル法(EI GC−MS及びCI GC−MS)によって分析された。Agilent 6890GCの条件は、30メートル(m)x0.25ミリメートル(mm)x0.50マイクロメートル(μm)の薄膜構成を有するDB−1カラムを含んでいた。均熱のオーブンプログラムは、50℃で2分間、15℃/分の勾配で250℃まで、及び250℃で10分間の均熱であった。ヘリウムキャリアガスは、1mL/分の一定流量及び50:1のスプリットインジェクションで流した。Agilent5973MSDの条件は、15〜800ダルトンの範囲のMS走査、EIイオン化、並びに5%NH
3及び95%CH
4のカスタムCIガス混合物を用いたCIイオン化を含んでいた。
【0137】
29Si−NMR装置及び溶媒:Varian 400MHzMercury分光計を使用した。C
6D
6を溶媒として使用した。
【0138】
1H−NMR装置及び溶媒:Varian 400MHzMercury分光計を使用した。C
6D
6を溶媒として使用した。
【実施例】
【0139】
実施例1(仮想例):1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサクロロトリシラン(i−Pr
2NSiCl
2SiCl
2SiCl
2N(i−Pr)
2)の合成:ジイソプロピルアミン(i−Pr
2NH、9.28mL、66.4mmol)をn−ブチルリチウム(n−BuLi、66.4mmol)の0.82Mヘキサン溶液に加え、温度を≦40℃に保持した。添加後、生じたリチウムジイソプロピルアミド(LDA)溶液を1時間撹拌する。次いで、LDA溶液をオクタクロロトリシラン(Si
3Cl
8、11.1g、30.1mmol)のヘキサン(20mL)溶液に約−15℃の温度で加える。淡白色スラリーが形成する。室温まで昇温後、スラリーをろ過して塩副生成物を除去する。生じた透明なろ液を真空ストリッピングして揮発性成分を除去すると、液体残留物が残る。
29Si−NMRによって残留物の組成を分析すると、i−Pr
2NSiCl
2SiCl
2SiCl
2N(i−Pr)
2が認められる。
【0140】
実施例2(仮想例):1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン(i−Pr
2NSiH
2SiH
2SiH
2N(i−Pr)
2)の合成:LiAlH
4(0.524g、13.8mmol)をモノグリム(12.4mL)中でスラリーとする。実施例1の残留物(4.1g、約50.0mmolのSiCl基)をこのスラリーに約−18℃で加えて、スラリーを形成する。その結果生じたスラリーを室温(24℃)まで昇温後、反応混合物をろ過して不溶性の塩副生成物を除去する。単純な真空蒸留装置を用いてろ液を真空蒸留し、最初にモノグリムを除去し、次いでドライアイスで冷却した受器中に凝縮した液体が生じる。この液体は、ガスクロマトグラフィ−フレームイオン化検出器(GC−FID)の積算結果に基づいて、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン(i−Pr
2NSiH
2SiH
2SiH
2N(i−Pr)
2)を含有する。また、この液体は、ガスクロマトグラフ−質量分析法(GC−MS)及び
1H−NMRによっても評価する。
【0141】
実施例3(仮想例):1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン(i−Pr
2NSiH
2SiH
2SiH
2N(i−Pr)
2)の合成:LiAlH
4(0.524g、13.8mmol)をモノグリム(12.4mL)中でスラリーとする。実施例1の残留物(4.1g、約50.0mmolのSiCl基)をこのスラリーに約−18℃で加えて、スラリーを形成する。その結果生じたスラリーを室温(24℃)まで昇温後、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランの沸点よりも高い温度で沸騰する高沸点溶媒(アルカン)を加える。次いで、単純な真空蒸留装置を用いて混合物を真空蒸留し、最初にモノグリムを除去し、次いでドライアイスで冷却した受器中に凝縮した液体が生じる。この液体は、GC−FIDの積算結果に基づいて、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン(i−Pr
2NSiH
2SiH
2SiH
2N(i−Pr)
2)を含有する。また、この液体は、GC−MS及び
1H−NMRによっても評価する。
【0142】
実施例1、2、及び3に示したとおり、式(I)の化合物は、その合成法に従って合成され、精製され、評価されるであろう。
【0143】
実施例4(仮想例):実施例2又は3の液体を真空下での分留に付し、少なくとも90面積%(GC)の純度を有する1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランを含有する蒸留物が生じる。
【0144】
実施例5(仮想例):単一供給源のSi生成前駆体として実施例4の1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランをLPCVDで用いた窒化ケイ素薄膜の形成:LPCVD反応器及び、実施例4の1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランを含み、かつ、LPCVD反応器と流体連結しているバブラーを用いて、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランを含むバブラーを70℃に加熱し、その蒸気圧を増加させる。次いで、Heキャリアガスをバブラーに通し、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランの蒸気をLPCVD反応器に送る。その際、LPCVD反応器は、500℃に加熱された、垂直に配向されて間隔を空けた複数のシリコンウェーハを収容し、その結果ウェーハ上にコンフォーマルな窒化ケイ素薄膜が形成される。
【0145】
実施例6(仮想例):実施例4の1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン及びアンモニア(NH
3)をLPCVDで用いた窒化ケイ素薄膜の形成:LPCVD反応器及び、実施例4の1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランを含み、かつ、LPCVD反応器と流体連結しているバブラーを用いる。ヘリウム中に希釈したアンモニアをLPCVD反応器に供給する。1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランを含むバブラーを70℃に加熱し、その蒸気圧を増加させる。次いで、Heキャリアガスをバブラーに通し、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランの蒸気をLPCVD反応器に送る。その際、LPCVD反応器は、蒸気アンモニア及び500℃に加熱された、垂直に配向されて間隔を空けた複数のシリコンウェーハを収容し、その結果ウェーハ上にコンフォーマルな窒化ケイ素薄膜が形成される。このようにして形成された窒化ケイ素薄膜は、実施例5において形成された窒化ケイ素薄膜よりも少ない炭素を含有する。
【0146】
実施例7(仮想例):実施例4の11,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランをPECVDで用いた窒化ケイ素薄膜の形成:PECVD反応器及びPECVD反応器と流体連結しているバブラーを用いて、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランを含むバブラーを70℃に加熱し、その蒸気圧を増加させる。次いで、Heキャリアガスをバブラーに通し、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランの蒸気をPECVD反応器に送る。その際PECVD反応器は、アンモニアから誘導されたプラズマを有し、500℃に加熱された、垂直に配向されて間隔を空けた複数のシリコンウェーハを、ウェーハ上にコンフォーマルな窒化ケイ素薄膜が形成されるように収容する。
【0147】
実施例8(仮想例):実施例4の1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランをLPCVDで用いた酸化ケイ素薄膜の形成:LPCVD反応器及びLPCVD反応器と流体連結しているバブラーを用いて、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランを含むバブラーを70℃に加熱し、その蒸気圧を増加させる。次いで、Heキャリアガスをバブラーに通し、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランの蒸気をLPCVD反応器に送る。その際LPCVD反応器は、酸素雰囲気を有し、500℃に加熱された、垂直に配向されて間隔を空けた複数のシリコンウェーハを、ウェーハ上にコンフォーマルな酸化ケイ素薄膜が形成されるように収容する。
【0148】
実施例9(仮想例):実施例4の1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランをスプレーコーティングで用いた酸化ケイ素薄膜の形成:1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランのトルエン中5重量%溶液を空気中でケイ酸塩ガラス皿(基材)に塗布し、皿上に1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランの液体コーティングを形成するようにトルエンを蒸発させ、コンフォーマルな酸化ケイ素が皿上に形成されるように25℃で30分間、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランを空気酸化させた。
【0149】
実施例10(仮想例):実施例4の1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランをLPCVDで用いたケイ素薄膜の形成:LPCVD反応器、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランを含むバブラー、及びジシラン(Si
2H
6)を含むバブラーを用いる。バブラーは、それぞれ独立に、LPCVD反応器と流体連結している。1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランを含むバブラーを70℃に加熱し、その蒸気圧を増加させる。次いで、Heキャリアガスをバブラーに通し、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランの蒸気をLPCVD反応器に送る。その際LPCVD反応器は、500℃に加熱された、垂直に配向されて間隔を空けた複数のシリコンウェーハ(二次基材)を、ウェーハ上にケイ素粒子のシード層が形成されるように収容する。1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランのバブラーの接続を切る。LPCVD反応器をHeガスでパージし、反応器から残留1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシランを除去する。次いで、Heキャリアガスをバブラーに通し、ジシランの蒸気をLPCVD反応器に送り、コンフォーマルな元素ケイ素薄膜がウェーハ上に配置されたケイ素粒子のシード層上に形成されるようにする。
【0150】
実施例11(仮想例):オクタクロロトリシラン(Si
3Cl
8、11.1g、30.1mmol)をオクタブロモトリシラン(Si
3Br
8、21.8g、30.1mmol)に置き換えて、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサブロモトリシラン(i−Pr
2NSiBr
2SiBr
2SiBr
2N(i−Pr)
2)を含有する残留物が生じる点を除き、実施例1を反復する。
【0151】
実施例12(仮想例):(1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサクロロトリシランを含有する)実施例1の残留物を(1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサブロモトリシランを含有する)実施例11の残留物に置き換えて、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン(i−Pr
2NSiH
2SiH
2SiH
2N(i−Pr)
2)が生じる点を除いて、実施例2を反復する。
【0152】
比較例1:<0.01gのB(C
6F
5)
3、0.02gのジイソプロピルアミノ−ジシラン(DPDS)、0.03gのジイソプロピルアミノ(DiPAH)、及び0.77gのd
6−ベンゼンをフラスコ内で混合し、室温で1時間撹拌した。NMRによって、ビス−ジイソプロピルアミノ−ジシラン(BisDPDS)への2%変換を、未反応の残留DPDSを伴って観察できるであろう。
【0153】
比較例2:<0.01gのB(C
6F
5)
3、0.49gのDPDS、1.10gのDiPAH、及び0.80gのメシチレンをフラスコ内で混合し、室温で1時間撹拌した。わずかな発泡が観察された。NMRによって、BisDPDSへの10%変換が観察できるであろう。
【0154】
実施例13:0.10gの2,2−ジシリルトリシランを0.2gのアセトニトリルに加えると、乳状懸濁液を形成するように見えた。<0.01gのB(C
6F
5)
3をこの混合物に加えて撹拌した。0.06gのDiPAHを滴下して加え、その結果、黄色に変化した溶液及び若干の気体発生を生じた。反応物を1時間撹拌し、
1H−NMRによって決定されたとおり、10%収率の1−(ジイソプロピルアミノ)−2,2−ジシリルトリシラン及び3%収率の1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)−2,2−ジシリルトリシランが生じた。
【0155】
実施例14(仮想例):0.10gの2,2,4,4−テトラシリルペンタシランを0.2gのアセトニトリルに加えると、乳状懸濁液を形成するように見えた。<0.01gのB(C
6F
5)
3をこの混合物に加えて撹拌した。0.12gのDiPAHを滴下して加え、その結果、黄色に変化した溶液及び若干の気体発生を生じた。反応物を1時間撹拌し、1,5−ビス(ジイソプロピルアミノ)−2,2,4,4−テトラシリルペンタシラン及び1,3−ビス(ジイソプロピルアミン)−2,2,4,4−テトラシリルペンタシランが生じた。
【0156】
以下の特許請求の範囲は、参照により本明細書に組み込まれ、用語「請求項」はそれぞれ、用語「態様」に置き換えられる。本発明の実施形態は、これらの得られた番号付けされた態様も包含する。
【0157】
一部の発明の実施形態は、以下の番号付けされた態様である。
【0158】
(態様1)式(I)の化合物。(R
1R
2N)Si
nH
2n(NR
3R
4)(I)[式中、下付き文字nは、3〜9の整数であり、R
1は、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1は、Hであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1及びR
3は、Hであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、共に結合して−R
3a−R
4a−となり、−R
3a−R
4a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであるか;又は、R
1及びR
3は、共に結合して−R
1a−R
3a−となり、−R
1a−R
3a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであり;R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基は、式(I)の化合物において同一のケイ素原子に、若しくは異なるケイ素原子に結合している]
【0159】
(態様2)nは、3である、態様1に記載の化合物。
【0160】
(態様3)nは、4である、態様1に記載の化合物。
【0161】
(態様4)nは、5、6、7、8、又は9である、態様1に記載の化合物。
【0162】
(態様5)R
1は、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、又はフェニルであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、又はフェニルである、態様1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【0163】
(態様6)R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシルである、態様1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【0164】
(態様7)R
1は、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシルであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
3〜C
5)アルキルである、態様1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【0165】
(態様8)R
1及びR
3はそれぞれ、メチルであり、R
2及びR
4はそれぞれ、イソプロピル、sec−ブチル、iso−ブチル、若しくはtert−ブチルであるか;又は、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、イソプロピル、sec−ブチル、iso−ブチル、若しくはtert−ブチルである、態様1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【0166】
(態様9)R
1及びR
3はそれぞれ、メチルであり、R
2及びR
4はそれぞれ、tert−ブチルである、態様1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【0167】
(態様10)R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
3〜C
4)アルキルである、態様1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【0168】
(態様11)R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、イソプロピルである、態様1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【0169】
(態様12)R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、sec−ブチルである、態様1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【0170】
(態様13)R
1は、(C
3〜C
6)シクロアルキルである、態様1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【0171】
(態様14)R
1は、(C
2〜C
6)シクロアルケニル又は(C
2〜C
6)アルキニルである、態様1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【0172】
(態様15)R
1は、Hである、態様1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【0173】
(態様16)R
1は、フェニルである、態様1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【0174】
(態様17)R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキルであるか、又は、R
3はそれぞれ、R
1と同一であり、R
4はそれぞれ、R
2と同一である、態様13〜16のいずれか1つに記載の化合物。
【0175】
(態様18)R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
3〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、又はフェニルである、態様1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【0176】
(態様19)R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
4又はC
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、又はフェニルである、態様1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【0177】
(態様20)R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、共に結合して−R
3a−R
4a−となり、−R
3a−R
4a−は、(C
2〜C
5)アルキレンである、態様1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【0178】
(態様21)R
1及びR
3は、共に結合して−R
1a−R
3a−となり、−R
1a−R
3a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、又はフェニルである、態様1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【0179】
(態様22)R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基は、式(I)の化合物において異なるケイ素原子に結合している、態様1〜21のいずれか1つに記載の化合物。
【0180】
(態様23)式(I−a)の化合物、R
1R
2N−SiH
2SiH
2SiH
2NR
3R
4(I−a)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様22に記載の化合物。
【0181】
(態様24)式(I−b)の化合物、R
1R
2N−SiH(SiH
3)SiH
2NR
3R
4(I−b)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様22に記載の化合物。
【0182】
(態様25)式(I−c)の化合物、R
1R
2N−SiH
2SiH
2SiH
2SiH
2NR
3R
4(I−c)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様1〜24のいずれか1つに記載の化合物。
【0183】
(態様26)式(I−d)の化合物、R
1R
2N−SiH(SiH
3)SiH
2SiH
2NR
3R
4(I−d)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様22に記載の化合物。
【0184】
(態様27)式(I−e)の化合物、R
1R
2N−SiH
2SiH(SiH
3)SiH
2NR
3R
4(I−e)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様22に記載の化合物。
【0185】
(態様28)式(I−f)の化合物、R
1R
2N−Si(SiH
3)
2SiH
2NR
3R
4(I−f)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様22に記載の化合物。
【0186】
(態様29)式(I−g)の化合物、R
1R
2N−SiH
2SiH
2SiH
2SiH
2SiH
2NR
3R
4(I−g)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様22に記載の化合物。
【0187】
(態様30)式(I−h)の化合物、R
1R
2N−SiH(SiH
3)SiH
2SiH
2SiH
2NR
3R
4(I−h)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様22に記載の化合物。
【0188】
(態様31)式(I−i)の化合物、R
1R
2N−SiH
2SiH(SiH
3)SiH
2SiH
2NR
3R
4(I−i)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様22に記載の化合物。
【0189】
(態様32)式(I−j)の化合物、R
1R
2N−SiH
2SiH
2SiH(SiH
3)SiH
2NR
3R
4(I−j)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様22に記載の化合物。
【0190】
(態様33)式(I−k)の化合物、R
1R
2N−SiH(SiH
2SiH
3)SiH
2SiH
2NR
3R
4(I−k)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様22に記載の化合物。
【0191】
(態様34)式(I−l)の化合物、R
1R
2N−SiH
2Si(SiH
3)
2SiH
2NR
3R
4(I−l)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様22に記載の化合物。
【0192】
(態様35)R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基が式(I−m)の化合物、R
1R
2N−(SiH
2)
n−NR
3R
4(I−m)[式中、n、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]、において異なる末端ケイ素原子に結合している、態様22に記載の化合物。
【0193】
(態様36)式(I−n)の化合物、R
1R
2N−SiH
2Si(SiH
3)
2SiH
2Si(SiH
3)
2SiH
2NR
3R
4(I−n)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様22に記載の化合物。
【0194】
(態様37)式(I−o)の化合物、R
1R
2N−SiH
2Si(SiH
3)
2SiH(NR
3R
4)Si(SiH
3)
3(I−o)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様26に記載の化合物。
【0195】
(態様38)R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基は、式(I)の化合物において同一のケイ素原子に結合している、態様1〜21のいずれか1つに記載の化合物。
【0196】
(態様39)式(I−aa)の化合物、R
1R
2N−SiH(NR
3R
4)SiH
2SiH
3(I−aa)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様38に記載の化合物。
【0197】
(態様40)式(I−bb)の化合物、R
1R
2N−Si(NR
3R
4)(SiH
3)SiH
3(I−bb)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様38に記載の化合物。
【0198】
(態様41)式(I−cc)の化合物、R
1R
2N−SiH(NR
3R
4)SiH
2SiH
2SiH
3(I−cc)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様38に記載の化合物。
【0199】
(態様42)式(I−dd)の化合物、R
1R
2N−Si(NR
3R
4)(SiH
3)SiH
2SiH
3(I−dd)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様38に記載の化合物。
【0200】
(態様43)式(I−ee)の化合物、R
1R
2N−SiH(NR
3R
4)SiH(SiH
3)SiH
3(I−ee)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様38に記載の化合物。
【0201】
(態様44)式(I−ff)の化合物、R
1R
2N−SiH(NR
3R
4)SiH
2SiH
2SiH
2SiH
3(I−ff)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様38に記載の化合物。
【0202】
(態様45)式(I−gg)の化合物、R
1R
2N−Si(NR
3R
4)(SiH
3)SiH
2SiH
2SiH
3(I−gg)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様38に記載の化合物。
【0203】
(態様46)式(I−hh)の化合物、R
1R
2N−SiH(NR
3R
4)SiH(SiH
3)SiH
2SiH
3(I−hh)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様38に記載の化合物。
【0204】
(態様47)式(I−ii)の化合物、R
1R
2N−SiH(NR
3R
4)SiH
2SiH(SiH
3)SiH
3(I−ii)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様38に記載の化合物。
【0205】
(態様48)式(I−jj)の化合物、R
1R
2N−Si(NR
3R
4)(SiH
2SiH
3)SiH
2SiH
3(I−jj)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様38に記載の化合物。
【0206】
(態様49)式(I−kk)の化合物、R
1R
2N−SiH(NR
3R
4)Si(SiH
3)
2SiH
3(I−kk)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様38に記載の化合物。
【0207】
(態様50)式(I−ll)の化合物、R
1R
2N−SiH(NR
3R
4)Si(SiH
3)
2SiH
2Si(SiH
3)
3(I−ll)[式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を含む、態様38に記載の化合物。
【0208】
(態様51)1,1−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、2,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)テトラシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)テトラシラン、1,4−ビス(ジイソプロピルアミノ)テトラシラン、1,5−ビス(ジイソプロピルアミノ)ペンタシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)−2,2−ジシリルトリシラン、1,1−ビス(ジイソプロピルアミノ)−2,2−ジシリルトリシラン、又は、1,5−ビス(ジイソプロピルアミン)−2,2,4,4−テトラシリルペンタシランである、化合物。
【0209】
(態様52)態様1〜51のいずれか1つに記載の化合物及び態様1〜51のいずれか1つに記載の化合物とは異なる少なくとも1種の追加成分を含む組成物。
【0210】
(態様53)少なくとも1種のシランは、1〜5個のケイ素原子、水素原子及び/又はハロゲン原子を有し、かつ窒素原子がない、シラン化合物である、態様52に記載の組成物。
【0211】
(態様54)1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)トリシラン並びに1−(ジイソプロピルアミノ)トリシラン、(ジイソプロピルアミノ)ジシラン、及び(ジイソプロピルアミノ)シランのうち少なくとも1種を含む、態様52に記載の組成物。
【0212】
(態様55)式(I)の化合物、(R
1R
2N)Si
nH
2n(NR
3R
4)(I)[式中、下付き文字nは、3〜9の整数であり、R
1は、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1は、Hであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1及びR
3は、Hであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、共に結合して−R
3a−R
4a−となり、−R
3a−R
4a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであるか;又は、R
1及びR
3は、共に結合して−R
1a−R
3a−となり、−R
1a−R
3a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであり;R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基は、式(I)の化合物において同一のケイ素原子に、又は異なるケイ素原子に結合している]、の製造方法であって、この方法は、式(c1)の化合物、(R
1R
2N)Si
nX
2n(NR
3R
4)(c1)[式中、Xは、それぞれ独立に、Cl、Br、及びIから選択されるハロゲン原子であり、n、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりであり、かつ、R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基は、式(c1)の化合物において同一のケイ素原子に、又は異なるケイ素原子に結合している]を、水素化アルミニウムと接触させて式(I)の化合物及び少なくとも1種の反応副生成物の混合物を与えること、を含む、方法。
【0213】
(態様56)それぞれのXは、Clであり、かつ水素化アルミニウムは、LiAlH
4である、態様55に記載の方法。
【0214】
(態様57)接触工程は、アルキレングリコールジアルキルエーテル媒質を更に含み、式(c1)の化合物及び水素化アルミニウムは、接触工程中にアルキレングリコールジアルキルエーテル媒質と混和している、態様54又は56に記載の方法。
【0215】
(態様58)1モル当量の式(a1)の化合物、R
1R
2NM(a1)、及び1モル当量の式(a2)の化合物、R
3R
4NM(a2)、を式(b1)の化合物、Si
nX
2n+2(b1)、と接触させて、又は1モル当量の式(a3)の化合物、M(R
2)N−R
1a−R
3a−N(R
4)M(a3)、を式(b1)の化合物と接触させて、式(c1)の化合物、[式中、Mは、それぞれ独立に、H、Li、Na、及びKから選択されるI族元素であり、X、n、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]を与える、前工程を更に含む、態様55、56、又は57に記載の方法。
【0216】
(態様59)Mは、Liである、態様58に記載の方法。
【0217】
(態様60)接触工程は、炭化水素媒質を更に含み、式(a1)、(a2)、及び(b1)の化合物、又は式(a3)及び(b1)の化合物は、接触工程中に炭化水素媒質と混和している、態様58又は59に記載の方法。
【0218】
(態様61)(複数の)反応混合物から式(I)の化合物を分離して精製された式(I)の化合物を与える、後工程を更に含む、態様55〜58のいずれか1つに記載の方法。
【0219】
(態様62)ケイ素含有材料の製造方法であって、この方法は、態様1〜48のいずれか1つに記載の化合物を含む原料ガスを基材存在下で化学気相蒸着条件又は原子層蒸着条件に付して、基材上に形成されたケイ素含有材料を与えること、を含む、方法。
【0220】
(態様63)ケイ素含有材料は、元素ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、又は炭窒化ケイ素を含む、態様62に記載の方法。
【0221】
(態様64)式(c1)の化合物。(R
1R
2N)Si
nX
2n(NR
3R
4)(c1)[式中、下付き文字nは、3〜9の整数であり、R
1は、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1は、Hであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1及びR
3は、Hであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、共に結合して−R
3a−R
4a−となり、−R
3a−R
4a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであるか;又は、R
1及びR
3は、共に結合して−R
1a−R
3a−となり、−R
1a−R
3a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであり;R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基は、式(c1)の化合物において同一のケイ素原子に、若しくは異なるケイ素原子に結合している]
【0222】
(態様65)式(c1)の化合物。(R
1R
2N)Si
nX
2n(NR
3R
4)(c1)[式中、Xは、Clであり、n、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、態様2〜21のいずれか1つで定義したとおりである]
【0223】
(態様66)1,1−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサクロロトリシラン、1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサクロロトリシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサクロロトリシラン、2,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサクロロトリシラン、1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)オクタクロロテトラシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)オクタクロロテトラシラン、1,4−ビス(ジイソプロピルアミノ)オクタクロロテトラシラン、1,5−ビス(ジイソプロピルアミノ)デカクロロペンタシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)−デカクロロ−2,2−ビスシリルトリシラン、1,1−ビス(ジイソプロピルアミノ)−デカクロロ−2,2−ビスシリルトリシラン、1,1−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサブロモトリシラン、1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサブロモトリシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサブロモトリシラン、2,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)ヘキサブロモトリシラン、1,2−ビス(ジイソプロピルアミノ)オクタブロモテトラシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)オクタブロモテトラシラン、1,4−ビス(ジイソプロピルアミノ)オクタブロモテトラシラン、1,5−ビス(ジイソプロピルアミノ)デカブロモペンタシラン、1,3−ビス(ジイソプロピルアミノ)−デカブロモ−2,2−ビスシリルトリシラン、又は1,1−ビス(ジイソプロピルアミノ)−デカブロモ−2,2−ビスシリルトリシランである、化合物。
【0224】
(態様67)式(c1)の化合物、(R
1R
2N)Si
nX
2n(NR
3R
4)(c1)[式中、下付き文字nは、3〜9の整数であり、Xは、それぞれ独立に、Cl、Br、及びIから選択されるハロゲン原子であり、R
1は、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1は、Hであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1及びR
3は、Hであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、共に結合して−R
3a−R
4a−となり、−R
3a−R
4a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであるか;又は、R
1及びR
3は、共に結合して−R
1a−R
3a−となり、−R
1a−R
3a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであり;R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基は、式(c1)の化合物において同一のケイ素原子に、若しくは異なるケイ素原子に結合している]、の製造方法であって、この方法は、1モル当量の式(a1)の化合物、R
1R
2NM(a1)、及び1モル当量の式(a2)の化合物、R
3R
4NM(a2)、を式(b1)の化合物、Si
nX
2n+2(b1)、と接触させて、又は1モル当量の式(a3)の化合物、M(R
2)N−R
1a−R
3a−N(R
4)M(a3)、を式(b1)の化合物と接触させて、式(c1)の化合物、(R
1R
2N)Si
nX
2n(NR
3R
4)(c1)、[式中、Mは、それぞれ独立に、H、Li、Na、及びKから選択されるI族元素であり、Xは、それぞれ独立に、Cl、Br、及びIから選択されるハロゲン原子であり、n、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、直前で定義したとおりであり、R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基は、式(c1)の化合物において同一のケイ素原子に、若しくは異なるケイ素原子に結合している]、を与えること、を含む、製造方法。
【0225】
(態様68)Xは、Clであり、n、R
1、及びR
2は、態様2〜21のいずれか1つで定義したとおりである、態様67に記載の方法。
【0226】
(態様69)ケイ素含有材料の製造方法であって、この方法は、式(II)の化合物、(Et
2N)Si
nH
2n(NEt
2)(II)[式中、下付き文字nは、3〜9の整数であり、Etは、エチルであり、Et
2N−基及び−NEt
2基は、式(II)の化合物において同一のケイ素原子に、又は異なるケイ素原子に結合している]を含む原料ガスを、基材存在下で化学気相蒸着条件又は原子層蒸着条件に付し、基材上に形成されたケイ素含有材料を与えること、を含む、方法。
【0227】
(態様70)Et
2N−基及び−NEt
2基は、式(II)の化合物において異なるケイ素原子に結合している、態様69に記載の方法。
【0228】
(態様71)Et
2N−基及び−NEt
2基は、式(II)の化合物において同一のケイ素原子に結合している、態様69に記載の方法。
【0229】
(態様72)元素ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、又は炭窒化ケイ素を含むケイ素含有材料の製造における態様1〜51のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【0230】
(態様73)態様1〜48のいずれか1つに記載の式(I)の化合物の合成における式(c1)の化合物、(R
1R
2N)Si
nH
2n(NR
3R
4)(c1)[式中、下付き文字nは、3〜9の整数であり、Xは、それぞれ独立に、Cl、Br、及びIから選択されるハロゲン原子であり、R
1は、独立に、メチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1は、Hであり、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1及びR
3は、Hであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであるか;又は、R
1及びR
2は、共に結合して−R
1a−R
2a−となり、−R
1a−R
2a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
3及びR
4は、共に結合して−R
3a−R
4a−となり、−R
3a−R
4a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであるか;又は、R
1及びR
3は、共に結合して−R
1a−R
3a−となり、−R
1a−R
3a−は、(C
2〜C
5)アルキレンであり、R
2及びR
4は、それぞれ独立に、(C
1〜C
6)アルキル、(C
3〜C
6)シクロアルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、若しくはフェニルであり;R
1R
2N−基及び−NR
3R
4基は、式(c1)の化合物において同一のケイ素原子に、若しくは異なるケイ素原子に結合している]、の使用。
【0231】
(態様74)式(I)の化合物の製造方法であって、この方法は、式(d1)の化合物、(R
1R
2N)Si
nH
2n+1(d1)、を式(d2)の化合物、(HNR
3R
4)(d2)[式中、n、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、上記で定義したとおりである]と、典型元素触媒存在下で接触させて式(I)の化合物の反応混合物を与えること、を含む、方法。