(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書及び図面中で繰り返し使用される参照符合は、本開示の同じ又は類似の機構又は要素を表すことを意図する。本開示の原理の範囲及び趣旨に含まれる他の多くの変形例及び実施形態が当業者によって考案され得ることを理解されたい。図面は、縮尺通りに描かれていない場合がある。
【0015】
例示的な一実施形態による研磨物品を
図1に示しており、本明細書では符号100を付記する。研磨物品100は、示すように、複数の別個の層からなる。研磨物品100の後面(又は底面)から作業面(又は上面)まで順に、層は、第1のベース層102、インク層108、第2のベース層110、及び研磨材層112を含む。これらをそれぞれ、以下にてより詳細に記載する。
【0016】
図1に示すように、第1のベース層102は、第1の主表面104と、第1の主表面104とは反対側の第2の主表面106と、を有する。第1のベース層102は、研磨物品100に高度の可撓性及び弾力性を与えるポリマーフィルムから作られるのが好ましい。
【0017】
好ましい実施形態では、第1のベース層102はエラストマーフィルムを含む。エラストマーフィルムはモノリシックであってもよく、又はそれ自身が、共押出、熱ラミネート、又は接着剤接合によって作製される多層を有する複合フィルムであってもよい。エラストマーフィルムで用い得る材料の例としては、ポリオレフィン、ポリエステル(例えば、E.I.du Pont de Nemours&Co.(Wilmington,Delaware)から商品名「HYTREL」で入手可能なもの)、ポリアミド、スチレン/ブタジエンコポリマー(例えば、Kraton Polymers(Houston,Texas)から商品名「KRATON」で入手可能なもの)、及びポリウレタンエラストマー(例えば、商品名「ESTANE 5701」及び「ESTANE 5702」で入手可能なポリウレタンエラストマー)、クロロプレン系ゴム、エチレン/プロピレンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、天然又は合成ゴム、ブチル系ゴム、シリコーンゴム、又はEPDMゴム、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。有用なエラストマーフィルムの更なる例としては、米国特許第2,871,218号(Schollenberger)、同第3,645,835号(Hodgson)、同第4,595,001号(Potterら)、同第5,088,483号(Heinecke)、同第6,838,589号(Liedtkeら)、及び米国再発行特許第RE33353号(Heinecke)が挙げられる。まだ他に有用なエラストマーフィルムとしては、3M Company(St.Paul,Minnesota)から商品名「TEGADERM」で市販されている感圧性接着剤被覆ポリウレタンエラストマーフィルムが挙げられる。
【0018】
あるいは、第1のベース層102は、以下から得られるポリマーから作られてもよい:0〜50重量%のカルボン酸樹脂(例えば、アクリレート酸)、0〜50重量%のアクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、及びエタクリル酸アルキル(例えば、アクリル酸エチル)、0〜50重量%の不飽和酢酸エステル(例えば、酢酸ビニル)、及び残量がα−オレフィン(例えば、エチレン)。これらの樹脂は、金属水酸化物又は他の好適な塩基性材料によって完全に又は部分的に中和されてもよい。
【0019】
例示的な実施形態では、第1のベース層102は、周囲条件下で計測されて、少なくとも100パーセント、少なくとも200パーセント、少なくとも300パーセント、少なくとも400パーセント、又は少なくとも500パーセントの破断伸び率を有する。任意選択的に、第1のベース層102は、周囲条件下で計測されて、最大1000パーセント、最大800パーセント、最大700パーセント、最大600パーセント、又は最大500パーセントの破断伸び率を有する。
【0020】
本出願では、破断伸びは、2012年9月にASTMインターナショナル(West Conshohocken,Pennsylvania)から発行されたASTMインターナショナルの試験方法D882−12「Standard Test Method for Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting」に従って、毎分ゲージ長の10パーセントの伸長率を使用して決定されるものとする。
【0021】
第1のベース層102のための好適な材料は、周囲条件下にて非接着性である。本開示の用途のために、用語「非接着性」は非接着性物質についてのダールキスト評価基準を満たす材料を指し、米国特許第6,884,504号(Liuら)に記載される、約3×10
5パスカル未満(周囲温度で10ラジアン/秒にて計測)の貯蔵弾性率(G’)を有することを意味する。ダールキスト評価基準「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」第2版(1989)、pp172−176にも引用されている。この閾値以下の貯蔵弾性率を有する物質は、ダールキスト評価基準によって定義される接着性を示すものとして考えられる。
【0022】
第1(又は第2のベース層)のための好適な材料は、5〜20,000MPa、或いは10〜10,000MPa、或いは20〜5,000MPa、或いは30〜1,000MPa、或いは30〜500MPaの弾性率を有することができる。弾性率を計測する一つの方法は、層の断面を露出させ、押し込み試験を実施することである。この押し込み試験は、機器による押し込み試験のためのASTM E2546標準手順の原則に準拠することができるが、例外として接触硬度は、Agilent G200にて見出される連続硬度方法(Continuous Stiffness Method)を介して決定することができる。連続硬度方法は、除荷曲線の傾斜を用いるよりも、特にクリープアーチファクトが除荷曲線に生じる柔らかい材料について、接触硬度の判定でより正確性を有する。
【0023】
溶融シリカ校正標準(72GPaの公称Eを有する)を、試料試験の前後に試験して、先端の完全性を確認してもよい。全ての試験は、DCMヘッド及びベルコビッチダイヤモンドプローブを有するAglient G200ナノインデンタ上にて、0.05s
−1の一定ひずみ速度で0.3の推定ポアソン比で実施することができる。試料の断面を、ミクロトームで露出させ、1インチ直径のエポキシパックに載置して、続いて0.1μmダイヤモンドラッピングフィルムで最終仕上げまで磨くことができる。次の試験パラメータを用いることができる:1)表面接近距離5000nm、2)表面接近速度30nm/秒、3)高調波増幅1nm、4)高調波振動75Hz、5)深度設定点200nm、6)表面発見接触硬度200N/m。いくつかの場合では、安定状態に到達していない場合に、試験を、200nm設定点を越えて継続する必要がある場合がある。
【0024】
第1又は第2のベース層102、110の好適な材料は、1〜2,000MPa、或いは2〜1,000MPa、或いは4〜500MPa、或いは5〜100MPa、或いは5〜30MPaの硬度を有することができる。この試験は、上記の押し込み方法を用いて実施することができる。
【0025】
第1のベース層102は、好ましくは主表面にわたって概ね一様の厚さである。第1のベース層102の平均厚さは、少なくとも10マイクロメートル、少なくとも12マイクロメートル、少なくとも15マイクロメートル、少なくとも20マイクロメートル、又は少なくとも25マイクロメートルであってもよい。上限としては、平均厚さは最大300マイクロメートル、最大150マイクロメートル、最大100マイクロメートル、最大75マイクロメートル、又は最大50マイクロメートルであってもよい。第1のベース層102とその隣接層との間の接着性を向上させるために、第1のベース層102を化学的に下塗りするか、別途表面処理、例えばコロナ処理、紫外線処理、電子ビーム処理、火炎処理、又は粗面処理を施してもよい。
【0026】
再度
図1を参照して、インク層108は第1のベース層102の第1の主表面104の上に配置される。任意選択的に、及び示すように、インク層108は第1の主表面104にわたって延在し、第1の主表面104と直接接触している。
【0027】
インク層108の組成は特に制限されておらず、いくつかの、溶媒、顔料、染料、樹脂、潤滑剤、可溶化剤、界面活性剤、微粒子物質、蛍光剤、及び当業者に周知の他の材料、並びにそれらの組み合わせのいずれを含んでもよい。一般的に、インク層108は染料か顔料のいずれかによって、色で満たされている。染料系インクは、液状媒体に完全に溶解されている溶性着色剤を用いる。顔料インクは対照的に、典型的には、液状担体内にて不溶性である固体着色粒子の微粉を用いる。周知の技術を用いて、インクを第1の主表面104上に移し、続いて乾燥又は硬化してインク層108を得ることができる。
【0028】
インク層108を印刷する一つの有用な方法はフレキソ印刷である。これは、ゴム又は感光性樹脂材料の弾力性を有する凸版画像プレートを用いる直接的なロータリー印刷のプロセスである。プレートは様々な反復長さのプレートシリンダに取り外し可能に取り付けられ、セル構造のインク調量ロールで、リバースアングルドクターブレード有り又は無しでインク付けされる。ロールは、基材上に印刷する速乾液状インクをプレートに運搬する。有利に、フレキソ印刷は広範囲の基材上にグラフィックを印刷するのに適応可能である。フレキソ印刷に関する更なる詳細は、Flexography:Principles and Practises、第4版、Foundation of Flexographic Technical Association発行、pp.4−6及び15−23に記載されている。
【0029】
研磨物品100のインク層108は、連続していても不連続であってもよい。本明細書で用いるように、連続インク層は一体であり、第1の主表面104の実質的に全体にわたって延在する。対照的に、不連続インク層は、第1の主表面104に沿う、2つ以上の個別の選択された領域にわたって延在する。例えば、不連続層は研磨物品100上に文字や単語を印刷するために概ね使用されるであろう。
【0030】
インク層108はまた、単層であっても多層であってもよい。個々の層は、連続であっても不連続であってもよい。層は、第1の主表面104に沿って同一又は異なる領域を被覆することができる。また、1つの層は、別のインク層を全く被覆しないことも、部分的に被覆することも、又は完全に被覆することもできる。パターン化された層は、例えば、線、ドット、四角、円、及びそれらの組み合わせを含む形状であってもよい。インク層108の構成成分層は、一様な厚さ又は異なる厚さであり得る。
【0031】
インク層108が存在するところでは、インク層108は、少なくとも0.01マイクロメートル、少なくとも0.1マイクロメートル、少なくとも0.2マイクロメートル、少なくとも0.5マイクロメートル、又は少なくとも1マイクロメートルの平均全厚を有することが好ましい。上限としては、インク層108は、最大10マイクロメートル、最大5マイクロメートル、最大2マイクロメートル、最大1マイクロメートル、又は最大0.5マイクロメートルの平均全厚を有することが好ましい。
【0032】
代替的な実施形態では、第1のベース層102及びインク層108は、1つ以上の介在するプライマー層又は結合層によって分離される。用いられる特定のインクの調合に依存して、プライマー層又は結合層が、程度の差はあるが、インク層108と第1のベース層102との間の接着性を向上させることを補助し得る。
【0033】
図1に更に示すように、第2のベース層110は、インク層108に沿って第1のベース層102の反対側にて対称的に延在し、インク層108が第1及び第2のベース層102、110の間に閉じ込められる。いくつかの実施形態では、第2のベース層110は第1のベース層102と実質的に同じである。好ましくは、第1及び第2のベース層102、110のいずれか又は両方が、熱可塑性ポリマーフィルムである。より好ましくは、第1及び第2のベース層102、110のいずれか又は両方が、弾性特性を有する熱可塑性ポリウレタンフィルムである。
【0034】
第2のベース層110が、第1のベース層102を特徴づけ得る上述の組成、構成、及び特性のいずれをも共有できる一方で、第2のベース層110は第1のベース層102と著しく異なり得ることも理解されたい。例えば、第2のベース層110はより硬いポリマーからなってもよく、又は第1のベース層102とは著しく異なる厚さを有してもよい。
【0035】
ともに、第1のベース層102、インク層108、及び第2のベース層110は、示すように研磨物品100のバッキングを構成する。
【0036】
最後に、
図1の研磨物品100の最上層は、研磨材層112である。任意選択的に、及び示されるように、研磨材層112は、被覆研磨材フィルムである。被覆研磨材フィルムは概ね、複数の硬化樹脂層に固定された複数の砥粒114を含む。いくつかの実施形態では、砥粒114は、例えば米国特許出願公開第2012/0000135号(Eilersら)に記載するように、硬化性メーク層116及びサイズ層118、並びにスーパーサイズ層120を含む一連の被覆処理を実装することで、第2のベース層110に接着的に連結される。これによって固定された時に、砥粒114は、対応する層116、118、120に部分的又は完全に埋め込まれるが、研磨物品100の表面に、又はその十分近くに配置されるため、研磨物品100が基材に対してこすりつけられた時に砥粒114が基材と摩擦接触する。
【0037】
本明細書では示さないが、研磨材層112は代わりに、砥粒がバインダーと一様に混合されて粘性のあるスラリーを形成する研磨複合体を含んでもよい。このスラリーは次に流延されて、第2のベース層110上に(例えば、熱又は照射硬化処理を用いて)適切に硬化されて、研磨材層112を得てもよい。
【0038】
更なる選択肢として、研磨材スラリーを第2のベース層110上に成形して、構造化された研磨材を形成してもよい。構造化された研磨材コーティングは概ね、砥粒と硬化性前駆体樹脂を好適なバインダー樹脂(又はバインダー前駆体)にて混合してスラリーを形成し、スラリーを下地フィルムと極小寸法の穴を有する型との間に流延した後、バインダーを硬化させることで生成される。硬化後、結果的に得られる研磨材コーティングは、下地フィルムに付着した、複数のごく小さな、正確に形を整えられた研磨複合材構造に形成される。バインダーの硬化は、エネルギー源への暴露で得られ得る。このようなエネルギー源としては、例えば、電子ビーム、紫外線光、又は可視光から得られる熱エネルギー及び放射エネルギーを挙げることができる。
【0039】
砥粒114は必ずしも限定されておらず、従来技術で既知の多種多様の硬い鉱物のいずれかで構成されてもよい。好適な砥粒の例としては、例えば、溶融酸化アルミニウム、熱処理した酸化アルミニウム、白色溶融酸化アルミニウム、黒色炭化ケイ素、緑色炭化ケイ素、二ホウ化チタン、炭化ホウ素、窒化ケイ素、炭化タングステン、炭化チタン、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、六方晶窒化ホウ素、ガーネット、溶融アルミナジルコニア、アルミナ系ゾルゲル誘導砥粒、シリカ、酸化鉄、クロミア、セリア、ジルコニア、チタニア、酸化スズ、ガンマアルミナ、及びそれらの組み合わせが挙げられる。アルミナ砥粒は、金属酸化物改質剤を含有していてもよい。ダイヤモンド及び立方晶窒化ホウ素砥粒は、単結晶質であっても多結晶質であってもよい。
【0040】
ほとんど全ての場合、砥粒のサイズには範囲又は分布がある。砥粒の数平均粒径は、0.001〜300マイクロメートル、0.01〜250マイクロメートル、又は0.02〜100マイクロメートルの範囲で変動し得る。砥粒の粒径は、砥粒の最長寸法によって計測される。
【0041】
任意選択的に、研磨物品100は研磨材コーティング処理後の連続的な処理で曲げられてもよい。典型的にこれは、ウェブを、好適に小さな直径周りに誘導して、湾曲を除去することで実現される。このことは、作製工程で誘発されたカールの度合いを軽減する利点を有し、研磨物品100の全体的な可撓性をも向上させることができる。
【0042】
図2は、別の実施形態による、研磨物品200を示す。研磨物品100と同様に、研磨物品200は、(第1及び第2の主表面204、206を有する)第1のベース層202、インク層208、第2のベース層210、及び研磨材層212を含む、多くの共通特徴を共有する。しかしながら、
図2に示すように、研磨物品200は、第1のベース層202の第2の主表面206にわたって延在して接触する支持層222を更に含む。仕上げられた研磨物品200では、支持層222は使用前に手動で剥がされる使い捨てライナーとして働く。
【0043】
いくつかの実施形態では、支持層222は、耐熱性、かつ第1のベース層202及び第2のベース層210のいずれよりも実質的に高い硬度を有するポリマーからなる。支持層222には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル類、シリコーンゴム類、及びこれらの材料の様々なコポリマーを含む、様々な材料を用いることができる。いくつかの実施形態では、支持層222はポリテトラフルオロエチレンなどの蛍光ポリマーからなってもよい。ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエステルなどの上記材料のいくつかは、比較的低い変形温度を有し、低温での製造プロセスに限定され得る。他の材料は支持層222内に剥離剤を混合するか、その上に被覆して、第1のベース層202から容易に剥離できるようにする必要がある場合がある。
【0044】
好ましい実施形態では、支持層222はポリエステルから構成される。特に好適なポリエステル材料は、ポリエチレンテレフタレートである。
【0045】
支持層222の平均厚さは、いくつかの実施形態では、少なくとも約10マイクロメートル、少なくとも12マイクロメートル、少なくとも15マイクロメートル、少なくとも20マイクロメートル、又は少なくとも25マイクロメートルであり得る。いくつかの実施形態では、支持層222の平均厚さは、最大200マイクロメートル、最大150マイクロメートル、最大100マイクロメートル、最大75マイクロメートル、又は最大50マイクロメートルであり得る。
【0046】
研磨物品200の包装にて保護機能として作用する他に、支持層222はまた、研磨物品200の製造中での重要な機能として作用し得るが、続く段落でそれを説明する。
【0047】
図3は、更に別の実施形態による、研磨材物品300を示す。研磨物品300は、研磨物品100、200のものと大まかには類似する多層構造を有するが、そのインク層308の構成において異なる。研磨物品100、200のインク層108、208は第2のベース層102、202の実質的に全体にわたって延在しているように示されているが、研磨物品300は、第1及び第2のベース層302、310の間で無被覆領域324を作り出す不連続のインク層308を示す。
図3に示すように、第1のベース層302及び第2のベース層310は、無被覆領域324に沿って互いに直接接触する。
【0048】
無被覆領域324は、繰り返し使用する中で研磨物品300の完全性を向上させる上で著しい利点をもたらすことができる。実際には、第1のベース層302と第2のベース層310との間の結合強度は、熱可塑性エラストマーを用いる時、特にその2層について類似する熱可塑性エラストマーが使用された時、その2層が同一の熱可塑性エラストマーである時には更に、非常に高いように観察された。これは、例えば、インク層308とベース層302、310との間の境界面結合強度、又はインク層308自体の凝集力よりも著しく高い傾向がある。結果的に、無被覆領域324は第1及び第2のベース層302、310間の境界面に沿って接合点として作用し、接着剤の全体的な凝集力を大きく向上させる。この利点は、インク層は概ね、隣接するベース層ほど効果的に変形に耐えられないために、注目すべき点である。このことは、多層研磨物品が横方向に沿って伸ばされた時の層間剥離の問題を悪化させる。ここで不連続のインク層308を用いることで、効果的にこの問題を緩和することができる。
【0049】
図4は、
図3の研磨物品300とほとんどの点において類似しているが、複合インク層408を用いる、別の研磨物品400を示す。複合インク層408は、互いに同一の広がりを有する第1のインク層428と第2のインク層426とからなる。有利なことに、複合インク層408は本質的に全体的に不連続であり、上記の理由で研磨物品400を強化するように作用する無被覆領域424をもたらす。本明細書では明示的に示していないが、所望の形や色を有する印刷画像を得るために、第3、第4、又は第5のインク層などを積層様態にて適用することができると理解される。更に、構成要素のインク層(示される第1及び第2のインク層428、426など)は互いに同一の広がりを有する必要はないと理解される。
図4では、例えば、第1のインク層428は、第2のインク層426によって覆われている面積よりも小さい面積で延在し得る。
【0050】
発明の研磨物品の特定の実施形態は
図1〜
図4を参照して記載されるが、これらは網羅的ではない。例えば、図面で示されていないものの、研磨物品は任意で、
図1の研磨物品100の第1のベース層102に接着的、化学的、又は機械的に取り付けられる接続界面層を含んでもよい。このような接続界面層は、例えば、
図2に示す研磨物品200の第1のベース層202と支持層222との間にも配置してもよい。
【0051】
有利なことに、接続界面層は、例えばその後に電動工具に固定することができるバックアップパッドなど、研磨物品の支持構造への連結を容易にする。接続界面層は、例えば、接着剤(例えば、感圧接着剤)層、両面接着テープ、フック及びループ取り付け用のループ状生地(例えば、フック構造が取り付けられたバックアップ又は支持パッドとともに用いるため)、フック及びループ取り付け用のフック構造(例えば、ループ状生地が取り付けられたバックアップ又は支持パッドとともに用いるため)、又は噛み合い接続界面層(例えば、バックアップ又は支持パッド上の同様のマッシュルームタイプの噛み合い留め具と噛み合うように設計されたマッシュルームタイプの噛み合い留め具)であり得る。かかる接続界面層に関連する選択肢や利点は、例えば、米国特許第5,152,917号(Pieperら)、同第5,254,194号(Ott)、同第5,201,101号(Rouserら)、及び同第6,846,232号(Braunschweigら)、並びに米国特許出願公開第2003/0022604号(Annenら)に記載されている。
【0052】
上記の研磨物品は、一連のバッチ又は連続的なウェブ被覆プロセスを用いて作製することができる。研磨物品100は、例えば、第1のベース層102を最初に、好適な(例えば、支持層222の特性を有する)支持層に押出コーティングし、インク層108を、支持層の反対側にある第1のベース層102の露出された主表面104上に印刷することで、作製され得る。インク層108が硬化されるか別途固められた後に、次に第2のベース層110を、任意で上記に類似するプロセスを用いてインク層108上に押出コーティングし、インク層108を第1及び第2のベース層102、110の間に閉じ込めることができる。最後に、研磨材層112を第2のベース層110上に、前述の既知の研磨材コーティング法のいずれかを用いて適用し、支持層を剥がして、仕上げられた研磨物品100を得てもよい。
【0053】
他の製造経路も可能である。例えば、2枚以上の複合フィルムを別々に製造して、その後に積層されるか別の方法で一緒に連結されてもよい。
【0054】
一代替的な方法では、第1のベース層102は第1の支持層の上に押出コーティングされ、次にインク層108が第1のベース層の露出された主表面上に印刷されて、第1の複合フィルムを提供する。第2のベース層110は次に第2の支持層の上に押出コーティングされて、研磨材層112を第2のベース層110上にコーティングし、続いて第2の支持層を第2のベース層110から取り除いて第2の複合フィルムを提供する。最後に、第1及び第2の複合フィルムを、第2のベース層110のその時点で露出している表面をインク層108の露出表面に熱接合し、第1の支持層を剥がして仕上げられた研磨物品100を提供する。
【0055】
上記方法の変形として、第1のベース層102は第1の支持層の上に押出コーティングされ、次にインク層108が第1のベース層の露出された主表面上に印刷されて、第1の複合フィルムを提供することができる。第2のベース層110は次に第2の支持層の上に押出コーティングされる。第2のベース層は第1のベース層102に、第2のベース層110の露出された表面をインク層108に熱接合することで積層される。次に第2のベース層を剥がして、研磨層112をその時点で露出される表面に適用することができる。第1の支持層は任意で剥がされて、仕上げられた研磨物品100を提供する。
【0056】
インク層の印刷工程が、研磨材コーティングを欠く支持されたベース層上で行われることを条件に、上記工程の更なる入れ替えもまた、有利に用いることができる。
【0057】
提供される物品及び方法は、以下に記載する実施形態1〜30よって更に例示することができる。
1.対向する第1及び第2の主表面を有し、周囲条件下にて非接着性である、第1のベース層と、第1のベース層の第1の主表面の上に配置されるインク層と、インク層の上に配置される第2のベース層であって、そうすることでインク層が第1及び第2のベース層の間に位置し、熱可塑性材を含む第2のベース層と、第2のベース層の上に配置される研磨材層であって、そうすることで第2のベース層が研磨層とインク層との間に位置する、研磨材層とを含む、可撓性研磨物品。
2.第1のベース層は熱可塑性材を含む、実施形態1に記載の可撓性研磨物品。
3.第1のベース層又は第2のベース層のいずれかは熱可塑性ポリウレタンを含む、実施形態2に記載の可撓性研磨物品。
4.第1及び第2のベース層の両方が、熱可塑性ポリウレタンを含む、実施形態3に記載の可撓性研磨物品。
5.第1及び第2のベース層の両方が、熱可塑性エラストマーを含む、実施形態2〜4のいずれか1つに記載の可撓性研磨物品。
6.第1及び第2のベース層の両方の破断伸びが200パーセント〜600パーセントの範囲内にある、実施形態1〜5のいずれか1つに記載の可撓性研磨物品。
7.第1及び第2のベース層の両方の破断伸びが300パーセント〜500パーセントの範囲内にある、実施形態6に記載の可撓性研磨物品。
8.第1及び第2のベース層の両方の破断伸びが350〜410の範囲内にある、実施形態7に記載の可撓性研磨物品。
9.第1のベース層は、5マイクロメートル〜500マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の可撓性研磨物品。
10.第1のベース層は、10マイクロメートル〜250マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、実施形態9に記載の可撓性研磨物品。
11.第1のベース層は、20マイクロメートル〜150マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、実施形態10に記載の可撓性研磨物品。
12.インク層は不連続であり、それによって、第1及び第2のベース層が、インク層と同一面上であり、且つインク層の周辺にある複数の領域に沿って互いに接触する、実施形態1〜11のいずれか1つに記載の可撓性研磨物品。
13.インク層は、フレキソインキの層を2層以上含む、実施形態12に記載の可撓性研磨物品。
14.2層以上のフレキソインキの層が、第1の主表面に沿って異なる領域にわたって延在する、実施形態13に記載の可撓性研磨物品。
15.第2のベース層は、5マイクロメートル〜500マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、実施形態1〜14のいずれか1つに記載の可撓性研磨物品。
16.第2のベース層は、10マイクロメートル〜250マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、実施形態15に記載の可撓性研磨物品。
17.第2のベース層は、20マイクロメートル〜150マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、実施形態16に記載の可撓性研磨物品。
18.研磨材層は被覆研磨材を含む、実施形態1〜17のいずれか1つに記載の可撓性研磨物品。
19.被覆研磨材は、第2のベース層の上に配置されるメーク層と、メーク層に固定される複数の砥粒と、メーク層と砥粒との両方の上に配置されるサイズ層と、任意選択的にサイズ層の上に配置されるスーパーサイズ層と、を含む、実施形態18に記載の可撓性研磨物品。
20.第1のベース層の第2の主表面上に配置される支持層を更に含み、そうすることで第1のベース層が支持層とインク層との間に位置する、実施形態1〜19のいずれか1つに記載の可撓性研磨物品。
21.支持層はポリエステルを含む、実施形態20に記載の可撓性研磨物品。
22.ポリエステルはポリエチレンテレフタレートを含む、実施形態21に記載の可撓性研磨物品。
23.支持層は、10マイクロメートル〜300マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、実施形態20〜22のいずれか1つに記載の可撓性研磨物品。
24.支持層は、20マイクロメートル〜200マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、実施形態23に記載の可撓性研磨物品。
25.支持層は、10マイクロメートル〜75マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、実施形態24に記載の可撓性研磨物品。
26.研磨物品の製造方法であって、支持層の上に、周囲条件下にて非接着性である露出された主表面を呈する第1のベース層を押出コーティングすることと、支持層とは反対側の露出された主表面の上にインク層を印刷することと、インク層の上に、熱可塑性材を含む第2のベース層を押出コーティングして、インク層を第1及び第2のベース層の間に閉じ込めることと、第2のベース層の上に研磨材コーティングを適用することと、を含む、方法。
27.研磨材コーティングを適用した後に、支持層を第1のベース層から取り除くことを更に含む、実施形態26に記載の方法。
28.研磨物品の製造方法であって、第1の支持層の上に、周囲条件下にて非接着性である第1のベース層を押出コーティングすることと、第1のベース層の露出された主表面の上にインク層を印刷することによって、第1の複合フィルムを提供することと、第2のベース層を押出コーティングすることと、第2のベース層に研磨材コーティングを適用することによって第2の複合フィルムを提供することと、第1及び第2の複合フィルムを、第2のベース層をインク層に熱接合することで互いに連結させることと、を含む、方法。
29.第2のベース層を押出コーティングすることは、第2のベース層を第2の支持層の上に押出コーティングすることを含み、第2の複合フィルムを提供することは、第2の支持層を第2のベース層から取り除くことを更に含む、実施形態28に記載の方法。
30.第2のベース層は熱可塑性材を含む、実施形態28又は29に記載の方法。
【実施例】
【0058】
本開示の目的及び利点を以下の非限定的な実施例で更に例示する。しかしながら、これらの実施例に列挙される特定の材料及びその量は、他の条件及び詳細とともに、本開示を過度に制限するものと解釈されるべきではない。
【0059】
以下の略記を用いて実施例を説明する。
℃:摂氏温度
cm:センチメートル
g/eq:グラム/当量
g/m
2:グラム/平方メートル
g/mol:グラム/モル
ミル:10
−3インチ
mm:ミリメートル
μm:マイクロメートル
UV:紫外線
W/in:ワット/インチ
W/cm:ワット/センチメートル
別段記載のない限り、全ての試薬はSigma−Aldrich Company(St.Louis,Missouri)などの化学製品ベンダーから得られ若しくは入手可能であるが、既知の方法で合成してもよい。特に報告しない限り、全ての比は、重量基準である。
【0060】
実施例に使用される材料及び試薬に対する略語は以下のとおりである:
ACR:トリメチロールプロパントリアクリレート。
AMOX:ジーt−アミルオキサレート。
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール。
EP1:Momentive Specialty Chemicals,Inc.(Columbus,Ohio)から「EPON1001F」として入手可能な、エポキシ当量が525〜550g/eqであり、平均エポキシ官能価が2である、ビスフェノール−Aエピクロロヒドリン系エポキシ樹脂。
EP2:Momentive Specialty Chemicals,Inc.(Columbus,Ohio)から「EPON828」として入手可能な、エポキシ当量が185〜192g/eqであり、平均エポキシ官能価が2である、ビスフェノール−Aエポキシ樹脂。
EP3:(3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル)3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート。
ESTANE:Lubrizol Advanced Materials(Cleveland,Ohio)から「ESTANE58887 NAT021」の商品名で得られる、熱可塑性ポリエーテル系ポリウレタン樹脂。
FLL:Unimin Corp(New Canaan,Connecticut)から「MINEX3」の商品名で得られる、無機微粉化機能性充填剤。
P100:Treibacher Industrie AGから「ALODUR BFRPL」の商品名で得られる、P100グレード酸化アルミニウム研磨材鉱物。
P400:ART Abrasives Co.Ltd.から「ARTIRUNDUM SFB」の商品名で得られる、P400グレード酸化アルミニウム研磨材鉱物。
P600:Treibacher Industrie AGから「ALODUR BFRPL」の商品名で得られる、P600グレード酸化アルミニウム研磨材鉱物。
P800:Treibacher Industrie AGから「ALODUR BFRPL」の商品名で得られる、P800グレード酸化アルミニウム研磨材鉱物。
P1000:Treibacher Industrie AGから「ALODUR BFRPL」の商品名で得られる、P1000グレード酸化アルミニウム研磨材鉱物。
P1200:Fujimi CorporationからWA Abrasives Grade 800の商品名で得られる、WA800グレード酸化アルミニウム研磨材鉱物。
P1500:Fujimi CorporationからWA Abrasives Grade 1000の商品名で得られる、WA1000グレード酸化アルミニウム研磨材鉱物。
PC1:Aceto Corporation(Port Washington,New York)から商品名CPI6976で得られる、プロピレンカーボネート中の、4−チオフェニルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートと、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビス(ヘキサフルオロアンチモネート)と、の混合物。
PC2:BASF(Wyandotte,Michigan)から商品名IRGACURE651で得られる、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン。
PC3:η
6−[キシレン(混合異性体)]η
5−シクロペンタジエニル鉄(1+)ヘキサフルオロアンチモネート(1−)。
PC4:BASF(Wyandotte,Michigan)から商品名IRGACURE TPO−Lで得られる、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィン酸エチル。
PEP:Evonik Industries(Parsippany,New Jersey)から「DYNAPOL S 1227」として入手可能な、重量平均分子量が35,000g/molである、高分子量、ヒドロキシ末端、飽和、線状、半結晶、コポリエステル。
PET:3M Companyから商品名602197 PET FILMで得られる、1.97ミル(50μm)の厚さのポリエステルテレフタレートフィルム。
PI:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン。
PropCarb:Huntsman Corp(Woodlands,Texas)から商品名JEFFSOL PCで得られる、プロピレンカーボネート。
UBI:Sun Chemical Corporation(Parsippany、New Jersey)から商品名HK11900174/K538,FLEXOMAXで得られる、黒色インク。
UGI:Sun Chemical Corporation(Parsippany、New Jersey)から商品名ULTRABOND 871C Real Gold,WKJFSM171134/K53で得られる、金色インク。
URI:Sun Chemical Corporation(Parsippany、New Jersey)から商品名Flexomax032 Red HF11400652で得られる、赤色インク。
ZNST:eChem LTD(Leeds,UK)から商品名EC994Cで得られる、39〜41重量パーセントの水性ステアリン酸亜鉛洗剤分散液(aqueous zinc stearate soap dispersion)。
【0061】
メーク樹脂の調製
表1に列記される組成物に従って、一連のメーク樹脂を次のように調製した。AMOX、EP1、EP2、CHDM、及びPEPを、30、105、110、100、65、及び60℃の温度帯において300rpmで回転する2軸押し出し機で直接計量した。この混合された樹脂を、次いで、1750rpmで回転するピンミキサーに投入し、ACR、PC2、PC3、PC4、及びPropCarbを、ピンミキサー内で直接計量した。ピンミキサーからの産出物を、加熱された被覆用ダイに投入した。この際、ピンミキサーからの流量は、表5に列挙されるメーク樹脂目標を研磨材バッキング上に実現するように制御した。
【表1】
【0062】
サイズ樹脂の調製
以下の表2に、サイズ樹脂1及び2を配合するために使用した成分及び量を示す。EP2、EP3、及びACR、並びに任意選択的にFLLを容器の中で結合及び混合することにより、各サイズ樹脂を調製した。研磨材の製造に先立って、PC1及びPIを、混合済みの樹脂バッチに添加し、均質になるまで室温で30分撹拌した。
【表2】
【0063】
研磨試験方法
PETライナーの除去後、3M Companyから商品名WETORDRY(部品番号05526)で販売されている第20番スポンジバッドの周りを試料で包んだ。以下の表3に示すように、様々な大きさのパッドピースを様々な実施例のために用いた。ACT Test Laboratories,LLC(Hillsdale,Michigan)から得られた自動車試験パネルの6インチ×9インチ部分を、30秒間、研磨フィルムで覆われたスポンジパッドで、手動でやすり掛けした。試験パネルの重量損失(カット)及び表面仕上げRzを計測した。後者は、Taylor Hobson,Ltd.(Leicester,England)から得られた粗面計「SURTRONIC25」モデルを用いて計測した。表4に示すカットデータは、3回のやすり試験の平均を反映している。表面仕上げデータは、3つの試験パネルのそれぞれからの3回の計測値の平均を反映している。
【表3】
【0064】
実施例1
ESTANE樹脂を第1の熱可塑性ポリウレタンフィルムとして、2ミル(50.8μm)の平均厚さにて、1.97ミル(50.04μm)のPET上に、単軸スクリュー押し出し機で流延した。金色インクUGIをESTANEフィルムの表面全体にフレキソプリンタで適用し、加熱強制対流によって乾燥した。次いで、鉱物グレードと、3Mブランド識別と、3文字ロットコードとを含む黒色テキスト画像を、金色インクの上に黒色インクUBIを用いて印刷した。グレード表記及び3Mブランドロゴ表記はArialフォント、7/16インチ(11.1mm)の高さで印刷し、ロットコードはArialフォント、1/4インチ(6.35mm)の高さで印刷した。テキスト画像が乾いた後、ESTANEの第2の3ミル(76.2μm)フィルムをインク層の上に押出流延した。メーク樹脂1を第2のESTANEフィルム上に22g/m
2の公称被覆重量で被覆して、フィルム組立体を、1組のD電球と1組のV電球(ともに600W/in(236W/cm)で作動する)を備えたフュージョンUVシステムの下を通過させた。次に、研磨材鉱物P100を、メーク層上に175g/m
2の公称被覆重量で被覆し、次いで、ウェブを赤外線ヒータの下で、100℃の公称ウェブ温度設定で約7秒、加熱した。次いで、サイズ樹脂2を、135g/m
2の公称乾燥被覆重量でメーク層及び砥粒上に被覆し、1組のH電球及び2組のD電球(3つすべて、600W/in(236W/cm)で作動)を備えたフュージョンUVシステムの下を通過させた。次いで、125℃の目標出口ウェブ温度(target exit web temperature)を有する赤外線オーブンで処理した。次いで、16g/m
2の公称被覆重量のZNSTを、サイズ層上に被覆し、135℃の目標出口ウェブ温度を有する乾燥オーブンで処理した。次いで、得られた被覆研磨物品を、試験するまで、室温(すなわち、20〜24℃)及び相対湿度40〜60パーセントで維持した。
【0065】
次に、研磨材ウェブを、第1の1/4インチ(6.35mm)直径の円型金属バーの周りに、研磨材の後ろ側が金属バーと接触するように巻き付けることによって、屈曲させた。バーは、ウェブ方向に対して45°の角度に配向された。ウェブは、1/4インチ(6.35mm)直径のバーの周りに、バーの約半分がウェブの後ろ側と接触するように巻かれた。その結果、バーの前のウェブの動きがバーの後のウェブの動きの方向とは反対になる構成を得た。ウェブがこの第1のバーを通り過ぎると、研磨ウェブは第2の1/4インチ(6.35mm)直径の円型金属バーに、研磨材の後ろ側が金属バーと接触するように巻かれた。この第2のバーもまた、ウェブ方向に対して45°の角度にあり、第1のバーから90°の配向であった。第1及び第2のバーの巻き付け角度は同一であり、両方の場合において研磨材の後ろ側はバーと接触していた。
【0066】
PETライナーを外し、研磨材を研磨試験方法に従って試験したところ、表4に示す結果を得た。製造された研磨材は更に60%伸ばされ、次いで、研磨材面が外側を向き、ESTANE面が互いに接触するように折り曲げられた。結果的に得られた折り目を指圧でこすり合わせ、最低限の量の研磨材コーティングしか基材から分離しなかったことを記録した。
【表4】
【0067】
実施例2
メーク樹脂1を表1のメーク樹脂2に置き換え、サイズ樹脂2を表2のサイズ樹脂1に置き換えて、実施例1に概ね記載された手順を繰り返した。メーク、鉱物、サイズ、及びZNSTの被覆重量を、表5に示された、表に記載される鉱物グレードと一致するように、変更した。
【表5】
【0068】
実施例3
メーク樹脂1を表1のメーク樹脂3に置き換え、サイズ樹脂2を表2のサイズ樹脂1に置き換えて、実施例1に概ね記載された手順を繰り返した。メーク、鉱物、サイズ、及びZNSTの被覆重量を、表5に示された、表に記載される鉱物グレードと一致するように、変更した。
【0069】
実施例4
メーク樹脂1を表1のメーク樹脂4に置き換え、サイズ樹脂2を表2のサイズ樹脂1に置き換えて、実施例1に概ね記載された手順を繰り返した。メーク、鉱物、サイズ、及びZNSTの被覆重量を、表5に示された、表に記載される鉱物グレードと一致するように、変更した。
【0070】
実施例5
メーク樹脂1を表1のメーク樹脂5に置き換え、サイズ樹脂2を表2のサイズ樹脂1に置き換えて、実施例1に概ね記載された手順を繰り返した。メーク、鉱物、サイズ、及びZNSTの被覆重量を、表5に示された、表に記載される鉱物グレードと一致するように、変更した。
【0071】
実施例6
メーク樹脂1を表1のメーク樹脂6に置き換え、サイズ樹脂2を表2のサイズ樹脂1に置き換えて、実施例1に概ね記載された手順を繰り返した。メーク、鉱物、サイズ、及びZNSTの被覆重量を、表5に示された、表に記載される鉱物グレードと一致するように、変更した。
【0072】
実施例7
メーク樹脂1を表1のメーク樹脂7に置き換え、サイズ樹脂2を表2のサイズ樹脂1に置き換えて、実施例1に概ね記載された手順を繰り返した。メーク、鉱物、サイズ、及びZNSTの被覆重量を、表5に示された、表に記載される鉱物グレードと一致するように、変更した。
【0073】
実施例8
ESTANE樹脂を第1の熱可塑性ポリウレタンフィルムとして、2.0ミル(50.8μm)の平均厚さにて、1.97ミル(50.04μm)のPET上に、単軸スクリュー押し出し機で流延した。次に、金色インクの背景上に黒色インクのテキストを、実施例1に記載した手順に従って露出されたESTANE表面上に印刷した。
【0074】
ESTANE樹脂を第2の熱可塑性ポリウレタンフィルムとして、5.3ミル(134.6μm)の平均厚さにて、1.97ミル(50.04μm)のPET上に、単軸スクリュー押し出し機で流延した。次に、研磨材コーティングを、この第2のフィルムのESTANE表面に、実施例2に概ね記載した手順に従って適用した。
【0075】
PETライナーを第2のフィルム試料から外して、反対側の熱可塑性ポリウレタンフィルムの非研磨材面を露出させた。この非研磨材面は、第1の熱可塑性ポリウレタンフィルムの印刷面上に、約360psi(2.48MPa)の印加圧で約1分間、121℃にて油圧盤プレスによって積層された。この構造物をプレスから取り出し、21℃まで冷却させた。
【0076】
次に、この積層フィルムを実施例1に記載される手順に従って曲げ伸ばしした。基材からは、研磨材コーティングのほんのわずかな量しか分離しなかった。
【0077】
製造された研磨材の別のピースを研磨試験方法に従って試験し、結果を表4に示す。
【0078】
実施例9
第2の熱可塑性ポリウレタンフィルムを5.3ミル(134.6ミクロン)から2.0ミル(50.8μm)に減らして、実施例8に概ね記載される手順を繰り返した。
【0079】
実施例10
第2の熱可塑性ポリウレタンフィルムを5.3ミル(134.6μm)から1.0ミル(25.4μm)に減らして、実施例8に概ね記載される手順。
【0080】
実施例11
ESTANE樹脂を第1の熱可塑性ポリウレタンフィルムとして、2.3ミル(58.4μm)の平均厚さにて、1.97ミル(50.04μm)のPET上に、単軸スクリュー押し出し機で流延して、第1のフィルム試料を製造した。次いで、このフィルムのESTANE表面を、フレキソ印刷処理を用いて印刷した。ESTANEフィルムの表面に赤色インクURIをフレキソプリンタで適用し、強制対流を適用してインクを乾燥させた。赤色インクUGIを、1インチあたり133ライン(1センチあたり52.4ライン)のラインスクリーンにて配列されたドットのアレイを含むSeamex2フレキソ印刷プレート(OEC(Oshkosh,WI)から入手可能)を用いて、適用した。ドットサイズは、ドットがプレート面積の40%を占める大きさであった。P800グレード表記と、3Mブランド識別と、3文字ロットコードとを含む黒色テキスト画像を、次いで、赤色インクの上に、黒色インクUBIを用いて印刷した。P800グレード表記はArialフォントで印刷し、7/16インチ(11.1mm)の高さであった。3Mブランド表記は3Mロゴフォントで印刷し、これも7/16インチ(11.1mm)の高さであった。ロットコードはArialフォント、1/4インチ(6.35mm)の高さで印刷した。
【0081】
ESTANE樹脂を第1の熱可塑性ポリウレタンフィルムとして、5.3ミル(134.6μm)の平均厚さにて、1.97ミル(50.04μm)のPET上に、単軸スクリュー押し出し機で流延して、第2のフィルム試料を製造した。次に、研磨材コーティングを、この第2のフィルムのESTANE表面に、実施例4に概ね記載した手順に従って適用した。
【0082】
PETライナーをこの第2のフィルムから外して、TPU表面を露出させた。次に、このTPU表面を第1のフィルム試料の印刷面と接触させ、油圧盤プレスを用いて熱と圧力の組み合わせを印加した。プレス内の加圧保持期間は、平方インチあたり約360ポンド(2.48MPa)の印加圧力にて、約121℃で約1分間であった。この構造物をプレスから取り出し、21℃まで冷却させた。
【0083】
次に、この積層フィルムを実施例1に記載される手順に従って曲げ伸ばしした。残るPETライナーを取り除いた。次に、この研磨材を60%伸ばし、研磨材面が外側を向き、ESTANE表面が互いに接触するように折り曲げた。結果的に得られた折り目を指圧でこすり合わせ、最低限の量の研磨材コーティングしか基材から分離しなかったことを記録した。
【0084】
製造された研磨材の別のピースを研磨試験方法に従って試験し、その結果を表4に示す。
【0085】
実施例12
ESTANE樹脂を第1の熱可塑性ポリウレタンフィルムとして、5.3ミル(134.6μm)の平均厚さにて、1.97ミル(50.04m)のPET上に、単軸スクリュー押し出し機で流延した。
【0086】
次に、金色インクの背景上に黒色インクのテキストを、実施例1に概ね記載した手順に従って露出したESTANE表面上に印刷した。
【0087】
ESTANE樹脂を熱可塑性ポリウレタンフィルムとして、5.3ミル(134.6μm)の平均厚さにて、1.97ミル(50.04μm)のPET上に、単軸スクリュー押し出し機で流延して、第2のフィルム試料を製造した。この第2のフィルムのESTANE表面を第1のフィルムの印刷面と接触させ、油圧盤プレスを用いて熱と圧力の組み合わせを印加した。プレス内の加圧保持期間は、平方インチあたり約86ポンド(0.6MPa)の印加圧力にて、約121℃で約1分間であった。この構造物をプレスから取り出し、21℃まで冷却させた。
【0088】
第2のフィルムの一部であったPETライナーを構造物から取り除いた。この露出されたESTANE表面に、実施例7に記載の材料及び方法を用いて研磨材コーティングを適用した。
【0089】
この試料を次に、実施例1に記載される手順に従って曲げ伸ばしした。残るPETライナーを取り除いた。次に、この研磨材を60%伸ばし、研磨材面が外側を向き、ESTANE表面が互いに接触するように折り曲げた。結果的に得られた折り目を指圧でこすり合わせ、最低限の量の研磨材コーティングしか基材から分離しなかったことを記録した。
【0090】
製造された研磨材の別のピースを研磨試験方法に従って試験し、その結果を表4に示す。
【0091】
比較例A
ESTANE樹脂を第1の熱可塑性ポリウレタンフィルムとして、5.3ミル(134.6μm)の平均厚さにて、1.97ミル(50.04m)のPET上に、単軸スクリュー押し出し機で流延した。ESTANEフィルムの表面全体に金色インクUGIをフレキソプリンタで適用し、強制対流を適用してインクを乾燥させた。次に、金色インクの背景上に黒色インクのテキストを、実施例1に概ね記載した手順に従って露出されたESTANE表面上に印刷した。
【0092】
この印刷面に、実施例5に記載の材料及び方法を用いて研磨材コーティングを適用した。
【0093】
次に、この積層フィルムを実施例1に記載する手順に従って曲げ伸ばしした。残るPETライナーを取り除いた。次に、この研磨材を60%伸ばし、研磨材面が外側を向き、ESTANE表面が互いに接触するように折り曲げた。結果的に得られた折り目を指圧でこすり合わせ、研磨材コーティングの著しい量が基材から分離したことを記録した。
【0094】
製造された研磨材の別のピースを、研磨試験方法に従って試験し、その結果を表4に示す。
【0095】
特許証のための上記出願において引用された全ての参考文献、特許、又は特許出願は、一貫してその全文を参照により本明細書に組み込む。組み込まれた参照文献の一部と本願との間に不一致又は矛盾がある場合、先行する記載における情報が優先するものとする。先行する記載は、請求する開示を当業者が実施することを可能にするためのものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本開示の範囲は特許請求の範囲及びその全ての等価物によって定義される。