特許第6584511号(P6584511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タツタ電線株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6584511
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】導電性組成物
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/22 20060101AFI20190919BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20190919BHJP
   C09D 5/24 20060101ALI20190919BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20190919BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20190919BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20190919BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20190919BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20190919BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   H01B1/22 A
   H01B1/00 H
   C09D5/24
   C09D201/00
   C09D7/40
   C08L101/00
   C08K3/08
   C08K5/09
   C08K5/17
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-535278(P2017-535278)
(86)(22)【出願日】2016年6月24日
(86)【国際出願番号】JP2016068793
(87)【国際公開番号】WO2017029884
(87)【国際公開日】20170223
【審査請求日】2017年11月16日
(31)【優先権主張番号】特願2015-162557(P2015-162557)
(32)【優先日】2015年8月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000108742
【氏名又は名称】タツタ電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】脇田 真一
(72)【発明者】
【氏名】西村 直人
【審査官】 井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−140484(JP,A)
【文献】 特開2014−080559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/00− 1/24
C08L 101/00−101/16
C08K 3/00− 3/40
C08K 5/09− 5/59
C09D 5/00− 5/46
C09D 7/00− 7/80
C09D 201/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーク状金属粉と、サリチル酸系化合物と、o−アミノフェノールとを含み、
該サリチル酸系化合物として、サリチル酸を含み、
該サリチル酸系化合物の含有割合が、該フレーク状金属粉100重量部に対して、0.04重量部〜1.6重量部であり、
該o−アミノフェノールの含有割合が、該フレーク状金属粉100重量部に対して、1.2重量部〜4.5重量部である、
導電性組成物。
【請求項2】
前記フレーク状金属粉として、フレーク状銅粉を含む、請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の導電性組成物と、バインダー樹脂とを含む、導電性ペースト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂と金属粉とからなる導電性ペーストにおいて、金属粉を脂肪酸で処理する方法が知られている。例えば、特許文献1には、フレーク状銅粉の表面を酸化防止剤としての脂肪酸で被覆することにより、フレーク状銅粉の耐久性を高めるという方法が開示されている。しかしながら、銅粉の表面を酸化防止剤で被覆すると、銅粉同士の接触抵抗値が上昇し、導電性ペーストとしての性能が十分に発揮できなくなるという問題がある。一方、酸化防止剤による被覆量を減らすと、十分な耐久性が得られないという問題がある。
【0003】
また、銅粉自体の耐久性を向上させるために、銅粉を銀で被覆するという方法も知られている。しかしながら、当該方法は、コストが高くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−264001公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、耐久性および導電性に優れ、かつ、低コストな導電性組成物、および該導電性組成物を含む導電性ペーストを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の導電性組成物は、フレーク状金属粉と、サリチル酸系化合物と、o−アミノフェノールとを含み、該サリチル酸系化合物の含有割合が、該フレーク状金属粉100重量部に対して、0.04重量部〜1.6重量部であり、該o−アミノフェノールの含有割合が、該フレーク状金属粉100重量部に対して、1.2重量部〜4.5重量部である。
1つの実施形態においては、上記フレーク状金属粉として、フレーク状銅粉を含む。
1つの実施形態においては、上記サリチル酸系化合物として、サリチル酸を含む。
本発明の別の局面によれば導電性ペーストが提供される。この導電性ペーストは、上記導電性組成物と、バインダー樹脂とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、耐久性および導電性に優れ、かつ、低コストな導電性組成物および該導電性組成物を含む導電性ペーストを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.導電性組成物
本発明の導電性組成物は、フレーク状金属粉と、サリチル酸系化合物と、o−アミノフェノールとを含む。
【0009】
本発明の導電性組成物においては、フレーク状金属粉がサリチル酸系化合物により被覆され、かつ、o−アミノフェノールが添加されていることにより、導電性、および耐久性(耐酸性、耐熱性、耐湿性)に優れる。特に、耐湿性の優位性は顕著であり、上記導電性組成物は、高湿下においても、フレーク状金属粉による導電性が維持される。
【0010】
A−1.フレーク状金属粉
上記フレーク状金属粉は、フレーク状である。フレーク状の金属粉を用いることにより、金属粉同士の接触が促進され、導電性に優れる導電性組成物を得ることができる。本明細書において、フレーク状とは、平板または厚みの薄い直方体に近い形状を意味し、具体的には、アスペクト比(長軸長さL/厚みt)が3以上の形状を意味する。該アスペクト比の上限は、例えば、300である。なお、フレーク状金属粉の長軸長さLおよび厚みtは、走査型電子顕微鏡(SEM)によるSEM写真を観察することにより測定することができる。
【0011】
上記フレーク状金属粉の平均粒子径は、好ましくは3μm〜25μmであり、より好ましくは5μm〜20μmであり、さらに好ましくは7μm〜20μmである。このような範囲であれば、導電性および耐久性により優れる導電性組成物を得ることができる。なお、平均粒子径とは、レーザー回折散乱法により得られた粒度分布における積算値50%での粒径(一次粒子径)を意味する。
【0012】
上記フレーク状金属粉を構成する金属としては、例えば、銅、銀、金、ニッケル等が挙げられる。また、2種以上の金属から構成される複層構成の金属粒子(例えば、銀被覆銅粒子)から得られたフレーク状金属粉を用いてもよい。好ましくは、導電性およびコストの観点から、フレーク状銅粉が用いられる。
【0013】
上記フレーク状銅粉は、例えば、任意の適切な方法により得られた銅粒子を、任意の適切な方法によりフレーク状に加工して、得ることができる。加工前の銅粒子の製造方法としては、例えば、アトマイズ法、湿式還元法、電気分解法等が挙げられる。好ましくは、該銅粒子は、電気分解法で得られた電解銅粒子である。電解銅粒子を用いれば、導電性がより高い導電性組成物を得ることができる。銅粒子の加工は、例えば、転動ボールミル、アトライター、SCミル等のメディア式ミルを用いて行われ得る。メディア式ミルを用いて加工することによって、装置内壁とメディアの間、メディア同士の間にある粒子に対して衝突およびせん断の力が作用し、粒子の展伸、粉砕、凝集が繰り返されることで、粒子がフレーク状に加工される。
【0014】
1つの実施形態においては、銅粒子の加工(銅粒子のフレーク化)は、銅粒子と上記所定量のサリチル酸系化合物とを混合した後、あるいは、銅粒子と上記所定量のサリチル酸系化合物とを混合しながら(すなわち、加工と混合とを同時に行いながら)行われる。このようにすれば、導電性および耐久性に優れる導電性組成物を得ることができる。
【0015】
A−2.サリチル酸系化合物
本発明の導電性組成物において、上記サリチル酸系化合物の含有割合は、上記フレーク状金属粉100重量部に対して、0.04重量部〜1.6重量部であり、好ましくは0.07重量部〜1.3重量部であり、より好ましくは0.1重量部〜1重量部であり、さらに好ましくは0.3重量部〜0.8重量部である。
【0016】
上記サリチル酸系化合物としては、サリチル酸、サリチルアミド、サリチルヒドロキサム酸、サリチルアルドキシム、サリチルヒドラジド、N,N′−ビスサリチロイルヒドラジン、及びポリ(N,N′−ビスサリチロイルヒドラジン)アルカン等のサリチル酸誘導体等が挙げられる。なかでも好ましくは、サリチル酸である。
【0017】
本発明においては、フレーク状金属粉と特定量のサリチル酸系化合物とを混合することにより、フレーク状金属粉とサリチル酸系化合物とがキレート構造を形成して、該フレーク状金属粉が良好に被覆される。その結果、導電性および耐久性に優れる導電性組成物を得ることができる。また、このような効果は、フレーク状金属粉としてフレーク状銅粉を用いること、サリチル酸系化合物としてサリチル酸を用いること等により、より顕著となる。
【0018】
A−3.o−アミノフェノール
本発明の導電性組成物において、上記o−アミノフェノールの含有割合は、上記フレーク状金属粉100重量部に対して、1.2重量部〜4.5重量部であり、好ましくは1.2重量部〜4重量部であり、より好ましくは1.2重量部〜3重量部である。
【0019】
本発明の導電性組成物は、特定量のo−アミノフェノールが添加されていることにより、フレーク状金属粉の酸化が防止され、耐久性(特に、耐湿性)に優れる。本発明の導電性組成物は、高湿下(例えば、90%RH)に長時間放置しても、その導電性が維持される。
【0020】
1つの実施形態においては、上記導電性組成物は、A−1項で説明したように銅粒子のフレーク化をした後に、上記o−アミノフェノールを添加して、製造される。別の実施形態においては、上記導電性組成物は、銅粒子を加工しながら(すなわち、銅粒子のフレーク化を行いながら)、該銅粒子と上記所定量のサリチル酸と上記所定量のo−アミノフェノールとを混合して、製造される。銅粒子のフレーク化と、各成分の混合とを同時に行うことにより、導電性に優れ、かつ、耐久性に優れる導電性組成物を得ることができる。
【0021】
B.導電性ペースト
本発明の導電性ペーストは、導電性組成物と、バインダー樹脂とを含む。導電性組成物としては、上記A項で説明した導電性組成物が用いられる。
【0022】
バインダー樹脂としては、任意の適切な樹脂が用いられ得る。
【0023】
1つの実施形態においては、バインダー樹脂として熱可塑性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
1つの実施形態においては、バインダー樹脂として熱硬化性樹脂が用いられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、不飽和アルキド系樹脂、ウレタン系樹脂、ビスマレイドトリアジン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂等が用いられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも好ましくは、エポキシ系樹脂またはフェノール系樹脂である。エポキシ系樹脂としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環等の芳香族環を有するエポキシ系樹脂が好ましく用いられ、フェノキシ樹脂がより好ましく用いられる。フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール化合物としてビスフェノールAを用いて得られたビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールFを用いて得られたビスフェノールF型フェノキシ樹脂等が挙げられる。好ましくは、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂が用いられる。
【0025】
上記フェノキシ樹脂としては、分子量(重合度)の大きいものが好ましく用いられる。フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、例えば、10000以上であり、好ましくは30000以上であり、より好ましくは35000以上であり、さらに好ましくは35000〜600000である。高分子量のフェノキシ樹脂を用いれば、耐熱性に優れる導電性ペーストを得ることができる。また、高分子量のエポキシ樹脂は硬化しやすい(硬化温度が低い、硬化時間が短い)傾向にあり、有利である。重量平均分子量は、GPC(溶媒:THF)により測定され得る。
【0026】
バインダー樹脂の含有割合は、導電性組成物中のフレーク状金属粉100重量部に対して、好ましくは8重量部〜25重量部であり、より好ましくは10重量部〜12重量部である。
【0027】
本発明の導電性ペーストは、カップリング剤をさらに含んでいてもよい。カップリング剤を添加することにより、フレーク状金属粉の酸化を防止することができる。カップリング剤としては、例えば、シラン系カップリング剤やチタン系カップリング剤を使用することができ、好ましくはチタン系カップリング剤が使用される。シラン系カップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等が挙げられる。チタン系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N一アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェイト)チタネート、テトラ(2−2一ジアリルオキシメチルー1一ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
【0028】
本発明の導電性ペーストは、溶剤をさらに含んでいてもよい。1つの実施形態においては、バインダー樹脂を溶解し得る溶剤が選択され得る。このような溶剤を添加することにより、導電性ペーストの流動性を制御することができる。上記溶剤の具体例としては、例えば、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、γ―ブチロラクトン等の有機溶剤が挙げられる。溶剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
本発明の導電性ペーストは、任意の適切なその他の添加剤をさらに含み得る。その他の添加剤としては、例えば、消泡剤、酸化防止剤、粘度調整剤、希釈剤、沈降防止材、レベリング剤、カップリング剤等が挙げられる。
【0030】
1つの実施形態においては、上記導電性ペーストは、消泡剤をさらに含む。消泡剤としては、例えば、シリコン系消泡剤、アクリル系消泡剤等が挙げられる。消泡剤の添加量は、限定されるものではないが、スクリーン印刷時の消泡に必要な最小量が好ましい。
【0031】
本発明の導電性ペーストは、任意の適切な方法により製造することができる。例えば、フェノキシ樹脂を溶剤で溶解してワニスを調製し、該ワニスに、上記導電性組成物を添加し、攪拌して得ることができる。攪拌方法としては、自公転ミキサー、三本ロール、ニーダー等を用いた方法が採用され得る。
【0032】
代表的には、本発明の導電性ペーストは、透明導電性フィルム上に塗工して用いられ得る。例えば、透明導電性フィルムに形成された透明導電層(例えば、ITO層)上に、導電性ペーストを任意の適切な方法により塗布し、その後、加熱硬化して用いられる。上記塗布方法としては、スクリーン印刷法、フレクシャー印刷法、グラビア印刷法等の印刷法;スプレー法、刷毛塗り、バーコート法等が挙げられる。好ましくは、スクリーン印刷法が用いられる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。また、実施例において、特に明記しない限り、「部」および「%」は重量基準である。
【0034】
[実施例1]
銅粒子(三井金属鉱業社製、商品名「ECY」)300gと、サリチル酸0.9gとを、ボールミル(容量:300mL、5mmφアルミナボール約300g)に入れ、5時間混合操作を行った。当該操作により、銅粒子の展伸、粉砕、凝集が繰り返されて得られたフレーク状銅粉と、サリチル酸との混合物が得られた。得られた混合物に、o−アミノフェノール7.5gをさらに添加して、導電性組成物を得た。
【0035】
[実施例2]
サリチル酸の配合量を0.15gとしたこと以外は、実施例1と同様にして導電性組成物を得た。
【0036】
[実施例3]
サリチル酸の配合量を0.3gとしたこと以外は、実施例1と同様にして導電性組成物を得た。
【0037】
[実施例4]
サリチル酸の配合量を1.5gとしたこと以外は、実施例1と同様にして導電性組成物を得た。
【0038】
[実施例5]
サリチル酸の配合量を2.1gとしたこと以外は、実施例1と同様にして導電性組成物を得た。
【0039】
[実施例6]
サリチル酸の配合量を3gとしたこと以外は、実施例1と同様にして導電性組成物を得た。
【0040】
[実施例7]
サリチル酸の配合量を4.5gとしたこと以外は、実施例1と同様にして導電性組成物を得た。
【0041】
[実施例8]
o−アミノフェノールの配合量を4.5gとしたこと以外は、実施例1と同様にして導電性組成物を得た。
【0042】
[実施例9]
o−アミノフェノールの配合量を10.5gとしたこと以外は、実施例1と同様にして導電性組成物を得た。
【0043】
[実施例10]
o−アミノフェノールの配合量を13.5gとしたこと以外は、実施例1と同様にして導電性組成物を得た。
【0044】
[比較例1]
サリチル酸を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして導電性組成物を得た。
【0045】
[比較例2]
サリチル酸の配合量を0.06gとしたこと以外は、実施例1と同様にして導電性組成物を得た。
【0046】
[比較例3]
サリチル酸の配合量を5.1gとしたこと以外は、実施例1と同様にして導電性組成物を得た。
【0047】
[比較例4]
銅粒子(三井金属鉱業社製、商品名「ECY」)300gと、o−アミノフェノール0.9gとを、ボールミル(容量:300mL、5mmφアルミナボール約300g)に入れ、5時間混合操作を行った。当該操作により、銅粒子の展伸、粉砕、凝集が繰り返されて得られたフレーク状銅粉と、サリチル酸との混合物とが得られた。得られた混合物に、o−アミノフェノール7.5gをさらに添加して、導電性組成物を得た。
【0048】
[比較例5]
サリチル酸0.9gに代えて、シュウ酸0.9gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物を得た。
【0049】
[比較例6]
サリチル酸0.9gに代えて、オレイン酸0.9gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物を得た。
【0050】
[比較例7]
サリチル酸0.9gに代えて、トリエタノールアミン0.9gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性組成物を得た。
【0051】
[比較例8]
o−アミノフェノールの配合量を0.3gとしたこと以外は、実施例1と同様にして導電性組成物を得た。
【0052】
[比較例9]
o−アミノフェノールの配合量を3gとしたこと以外は、実施例1と同様にして導電性組成物を得た。
【0053】
[比較例10]
o−アミノフェノールの配合量を15gとしたこと以外は、実施例1と同様にして導電性組成物を得た。
【0054】
[比較例11]
球状の銅粒子(三井金属鉱業社製、商品名「MA−C05K」)300gと、サリチル酸0.9gと、o−アミノフェノール7.5gとを混合して、導電性組成物を得た。
【0055】
<評価>
実施例および比較例で得られた導電性組成物から導電性ペーストを調製し、該導電性ペーストを以下の評価に供した。結果を表1に示す。
【0056】
(1)体積抵抗率(初期)
エポキシ樹脂(三菱化学社製、商品名「JER1256」、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂)と、ブチルカルビトールとを混合してワニスを調製した。このワニスに、上記で得られた導電性組成物を加え、導電性ペーストを得た。なお、導電性ペースト中のエポキシ樹脂(固形分)は、フレーク状銅粉(比較例10においては銅粒子)100重量部に対して、10重量部となるようにして配合した。
PET基板上に形成させた2つの銅電極の間で、導電性ペーストをライン状に印刷し、その後、エアーオーブンを用い、120℃で10分間、加熱して、測定用サンプルを得た。
印刷はスクリーン印刷を採用し、180メッシュポリエステルスクリーンを使用した。ラインは、幅10mm、長さ60mmのサイズとした。
電極間の抵抗値を4端子法により測定した。得られた抵抗値から以下の式により、体積抵抗率を求めた。
体積抵抗率σ=W×D×R/L
σ:体積抵抗率(Ω・cm)
W:塗膜幅 (cm)
D:塗膜厚さ (cm)
L:塗膜長 (cm)
R:測定抵抗値(Ω)
(2)体積抵抗率(耐湿試験後)
実施例および比較例で得られた導電性組成物を、40℃/90%RHの環境下で168時間、放置した。このように高湿下に置いた後の導電性組成物を用いたこと以外は、上記評価(1)と同様にして、導電性ペーストを調製し、該導電性ペーストの体積抵抗率を測定した。
【0057】
【表1】
【0058】
表1から明らかなように、本発明の導電性組成物を用いれば、耐久性および導電性に優れる導電性ペーストを得ることができる。