(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
上述し添付図面に示す本開示の例示の実施形態を以下詳細に説明する。
「近位」と「遠位」という用語は、例示の内視鏡の構成要素の相対位置に言及するために使用することができる。本願で使用されるとき、「近位」は、身体の外側により近い、あるいは内視鏡を使用する医師またはその他のユーザにより近い位置を指す。対照的に、「遠位」は、内視鏡を使用する外科医またはその他のユーザからより遠い、あるいは身体の内側により近い位置を指す。
【0025】
図1は例示の一実施形態に係る内視鏡1を示す。内視鏡1は、内視鏡1の遠位端3と近位端4の間を延在する可撓外側管2を含むことができる。内視鏡1は、吸引装置、注入ニードル、電気焼灼ニードル、鉗子、当該技術において既知な任意のその他の適切な装置などの治療装置を内視鏡1の少なくとも1つの作業チャネル6に収容するための少なくとも1つの治療器具ポート5をさらに含むことができる。少なくとも1つの作業チャネル6は内視鏡1内を延在し、開口部7の遠位端3を終点とすることができる。開口部7は外側管2の遠位面に画定されるように図示されているが、1つまたはそれ以上の開口部7は外側管2の側面に画定させることができると認識すべきである。
【0026】
内視鏡1は近位端4にハンドル8も含むことができる。ハンドル8は、医療手順中に内視鏡1と任意の治療機器を位置決めするために可撓外側管2を屈曲および回転させる各種位置決め制御装置9を含むことができる。
【0027】
本開示は、解剖学的内腔内の精密な位置決めを必要とする内視鏡の遠位端に様々な種類の末端部作動体またはツールを含むことができる内視鏡と関連することがある。本開示は、注入ニードル、吸引装置、洗浄装置の実施形態について説明する。しかしながら、その他の種類のツールは、生検鉗子、捕捉器具、ハサミ、ナイフ、ニードルナイフ、プローブ、解剖器具、スクレーパ、焼灼電極、吸引プローブなどを含むがそれらに限定されない装置と置き換えることができる。
【0028】
図2A〜
図2Cは、例示の開示される一実施形態に係る注入ニードル200を示す。注入ニードル200は内視鏡1の少なくとも1つの作業チャネル6を通って延在し、開口部7を出て所望の治療位置に到達することができる。注入ニードル200は、たとえば、治療部位で流体を洗浄する、血管収縮剤液を容器に注入して大量出血を沈静化させる、硬化剤を注入して目標組織を硬化させることによって出血動脈瘤を制御する、治療位置で気泡を生成する適切な流体を注入する、治療位置で組織に流体を注入して組織面を分離する、視覚化のためにインジゴカルミンなどの流体染料を注入する、薬物を注入する、充填剤を注入するように構成することができる。特定の実施形態では、注入ニードル200は流体および/または組織を吸引するように構成することができる。
【0029】
図2Aに示すように、注入ニードル200は、遠位ツール11、位置決め機構212、可撓管13を含むことができる。遠位ツール11は中空とし、可撓管13を通って延在する送達管14に流体接続される内腔を含むことができる。いくつかの実施形態では、遠位ツール11はハイポチューブとすることができる。可撓スタイレットを遠位ツール11の内腔に配置して、遠位ツール11に構造強度を与え、組織の侵入を遮断することができる。適切な流体を流体源(図示せず)から送達管14を通って送達し、遠位ツール11の遠位開口部から放出させることができる。遠位ツール11は、ステンレス鋼やニッケルチタン合金などの任意の導電性材料から成ることができる。遠位ツール11の全部または1つまたはそれ以上の部分は
導電性材料から成ることができる。遠位ツール11の遠位端は組織を貫通するように比較的鋭くすることができる。もしくは、遠位ツール11の遠位端は比較的鈍くして、後で詳述するように遠位ツール11を流れる電流を介して組織を貫通することができる。比較的鈍くすることで、注入ニードル10はチャネル6の壁を削ることなく内視鏡1の少なくとも1つの作業チャネル6を通って前進することができる。遠位ツール11の近位端は位置決め機構212に動作可能に連結することができる。
【0030】
位置決め機構212は、注入ニードル200の遠位ツール11を、旋回軸215を中心として回転または偏向させるように構成することができる。言い換えると、
図2B〜
図2Cに示すように、遠位ツール11は、位置決め機構212の作動によって可撓管13の長手軸16に対して横方向に旋回することができる。位置決め機構212はU字形部材17、旋回部材218、第1の制御部材219、第2の制御部材220を含むことができる。第1および第2の制御部材219、220はワイヤ、ロッド、または中空管などの任意の適切な連結装置を含むことができる。
【0031】
U字形部材17は可撓管13の遠位端に配置することができる。U字形部材17の近位部は、可撓管13上に配置して、可撓管13と旋回部材218間を連絡するように中空にすることができる。もしくは、U字形部材17の近位部は可撓管13の下(または中)に配置するか、あるいは可撓管13に接触させることができる。
【0032】
旋回部材218はU字形部材17内に配置し、第1のピン(または突起)222および第2のピン(または突起)223を介してU字形部材17に連結することができる。第1のピン222は旋回部材218の第1の側224から延在し、旋回部材218をU字形部材17の第1のアーム25に回転可能に接続することができる。第2のピン223は旋回部材218の第2の側226から延在し、旋回部材218をU字形部材17の第2のアーム27に回転可能に接続することができる。したがって、旋回部材218は第1のピン222および第2のピン223を中心に回転するように構成することができる。
【0033】
第1の制御部材219の遠位部は旋回部材218の第1の点で旋回部材218に固定し、第2の制御部材220の遠位部は旋回部材218の第1の点とは異なる第2の点で旋回部材218に固定することができる。たとえば、第1の制御部材219および第2の制御部材220は旋回部材218の対向側に配置することができる。第1および第2の制御部材219、220は、接着剤、溶接、圧接、留め具、アンカーなどの任意の適切な手段によって旋回部材218に固定することができる。さらに、第1および第2の制御部材219、220は相互にほぼ並べることができ、遠位ツール11の対向側に配置することができる。後で詳述するように、送達管14と遠位ツール11は第1および第2の部材219、220間で旋回部材218を通って延在することができる。
【0034】
適切なハンドルアセンブリ(図示せず)は内視鏡1の外部の第1の制御部材219と第2の制御部材220に動作可能に連結することができ、第1および第2の制御部材219、220を操作することができる。スプール型ハンドルまたはハサミ状のハンドルなど、任意の適切な既知のハンドルアセンブリを使用することができる。
図2Bに示すように、ハンドルアセンブリは、第1の制御部材219を近位方向に後退させるように作動することができる。すなわち、第1の制御部材219を引き寄せることで、旋回部材218を回転させて、遠位ツール11を第1の方向に偏向させることができる。
図2Cに示すように、ハンドルアセンブリを第2の制御部材220を近位方向に後退させる(すなわち、引き寄せる)ように作動することで、旋回部材218を回転させて、遠位ツール11を第1の方向の反対の第2の方向に偏向させることができる。したがって、遠位ツール11と長手軸16の角度は、第1および第2の制御部材219、220の作動時に変更することができる。しかしながら、注入ニードル200は遠位ツール11の移動範囲を調節する任意の適切な拘束手段を含むことができると認識すべきである。たとえば、ハンドルアセンブリは、後退可能な第1の制御部材219および/または第2の制御部材220の長を制限するように構成される適切な止め具を含むことができる。もしくは、機構212はツール11の移動範囲を制限する適切な止め具を含むことができる。さらに、特定の実施形態では、ハンドルアセンブリは、遠位ツール11を任意の適切な位置に係止する適切な係止機構を含むことができる。たとえば、係止機構は遠位ツール11を偏向位置に固定し、所望すれば遠位ツール11を偏向位置から解放することができる。
【0035】
他の実施形態では、第1の制御部材219と第2の制御部材220の一方または両方は、遠位方向に前進させて旋回部材218を回転させるように設計することができる。さらに、旋回部材218は偏心で旋回するように設計することができ、たとえば、円形ディスク、球状、円柱状、または任意のその他の対称または非対称形状(たとえば、カム状表面)などの任意の適切な形状をとることができると認識すべきである。
【0036】
上述したように、遠位ツール11は電気外科治療機器として動作するように導電性を有することができる。たとえば、遠位ツール11は電流による付勢後、目標組織を凝固させる、焼灼する、切開する、燃焼させる、および/または切断することができる。さらに、遠位ツール11は単極または双極焼灼を実行するように構成することができる。遠位ツール11によるこのような電気外科治療は、遠位ツール11が旋回軸215を中心に偏向するときに実行される。また、遠位ツール11による電気外科治療は、注入ニードル10の流体送達特徴と併せて実行することができる。たとえば、腺腫などの特定の組織層を下の組織から分離させるため、流体を遠位ツール11を通じて組織治療部位に注入することができる。その後、遠位ツール11を電気的に作動させて腺腫を焼灼および切除することができる。
【0037】
例示の一実施形態では、第1の制御部材219と第2の制御部材220の一方または両方は、電流源(図示せず)から遠位ツール11までの電気経路を提供することができる。ハンドルアセンブリは、たとえば、無線周波数(RF)エネルギー源への接続のために適切なコネクタを含むことができる。エネルギーは、ハンドルアセンブリを通じて第1の制御部材219および第2の制御部材220の一方または両方に伝達することができる。第1の制御部材219および第2の制御部材220の一方または両方と旋回部材218とはステンレス鋼やニッケルチタン合金などなどの任意の導電性材料を備えることができる。遠位ツール11と旋回部材218が接触することで、第1の制御部材219および第2の制御部材220の一方または両方を通じて電気的に伝達される電気接続を提供することができる。さらに、またはもしくは、1つまたはそれ以上の別々の
導電性ワイヤ、ケーブル、シースなどは、第1の制御部材219および第2の制御部材220の一方または両方に沿って、または近接してねじる、第1の制御部材219および第2の制御部材220の一方または両方内に形成する、あるいは第1の制御部材219および第2の制御部材220の一方または両方から物理的に分離して、遠位ツール11への電気経路を提供することができる。U字形部材17は任意の導電性材料で形成することができる。しかしながら、U字形部材17の表面は粉体被覆や非導電性ポリマーシースなどの適切な絶縁材料で被覆して、U字形部材17からの浮遊電気エネルギーの荷電および作用を最小限にとどめることができる。U字形部材17を絶縁することで、電気エネルギーがU字形部材17との偶発的接触による組織損傷を引き起こすのを防止することができる。同様に、可撓管13も非
導電性ポリマー材料で形成することができる、あるいは非導電性の絶縁ポリマー材料で被覆することができる。
【0038】
第1の制御部材219および第2の制御部材220と旋回部材218の一方または両方は適切な絶縁性材料で覆うことができると認識すべきである。たとえば、第1の制御部材219と第2の制御部材220の一方または両方を絶縁性シースで覆い、旋回部材218の表面を絶縁性材料で粉体被覆することができる。注入ニードル200の任意の場所に適切な絶縁性材料を使用して不所望の電気経路を防止することもできる。絶縁性材料はポリマー、セラミック、または任意のその他の適切な非
導電性材料を含むことができる。
【0039】
さらに、またはもしくは、送達管14は、電流源から遠位ツール11への電気経路を提供することができる。このような構成では、送達管14は、遠位ツール11と直接接触する任意の適切な導電性材料製のコイルまたはワイヤを含むことができる。絶縁ポリマー材料製のシースはコイルを覆って、送達管14からの浮遊電気エネルギーの荷電と作用を防止することができる。別の実施形態では、送達管14は絶縁ポリマー材料製のシースであってもよい。
導電性部材をシースの内壁に装着し、遠位ツール11に直接接続することによって電流源から遠位ツール11への電気経路を提供することができる。もしくは、
導電性部材をシースの外部に装着して、旋回部材218と電気的に接続することができる。このようにして、電気エネルギーを旋回部材218から遠位ツール11に伝達することができる。
導電性部材は適切な絶縁正材料で被覆して、浮遊電気エネルギーの荷電と作用を防止することができると認識すべきである。
【0040】
したがって、注入ニードル200によって、内視鏡1に関係なく遠位ツール11を調節することができる。すなわち、遠位ツール11の位置は、内視鏡1を連接させる、運転させる、変位させる、引く、および/または押す必要なく、位置決め機構212を操作することによって変更することができる。したがって、遠位ツール11の位置のより精密な制御を医師に提供することができる。また、医師は、別の医師または医師の助手などの第2のオペレータの支援なしで注入ニードル200を操作および制御することができる。医師は、注入ニードル200の位置および作動(すなわち、流体送達と電子焼灼)を直接かつ同時に制御することができる。さらに、複数のツールを収容する内視鏡を備える注入ニードル200を使用する際、注入ニードル200を位置決めするのに内視鏡全体を操作する必要がないため、注入ニードル200の位置は他のツールを移動させずに独立して制御することができる。
【0041】
図3Aは、例示の一実施形態に係る突出構造の注入ニードル200の断面図である。
図3Aに示すように、旋回部材218は、旋回部材218の近位端から遠位端へ延在する開放内腔300を含むことができる。遠位ツール11と送達管14の少なくとも1部分は内腔300を通じて延在させることができる。上述したように、送達管14はツール11と流体接続させることができる。したがって、送達管14は、接着剤、溶接、摩擦嵌合、圧接、型締めなどの任意の適切な手段によってツール11に接続することができる。もしくは、送達管14とツール11は一体的に形成し、ツール11は送達管14の剛体突出部、たとえば、送達管14の遠位端の先細部とすることができる。送達管14は、旋回部材218の回転時に送達管14の屈曲と偏向を吸収するが、内腔300を通る遠位ツール11と送達管14の軸方向並進を実現する程度に剛直である任意の適切な可撓材料で形成することができる。特定の実施形態では、たとえば、送達管14は、蛇腹などの可撓性を高めるように構造上設計された可撓部を備えることができる。送達管14は、金属、プラスチック、ポリマー、エラストマーのうち1つまたはそれ以上から成ることができ、送達管14に沿って可撓性と剛性が変動する複数の材料で形成することができる。特定の実施形態では、送達管14の遠位部は、屈曲を吸収するように送達管14の近位部よりも可撓性を高くすることができる。たとえば、送達管14の遠位部はポリマーシースなどの可撓材料によって覆われる金属バネまたはコイルで形成し、送達管14の近位部は剛体ポリマー管で形成することができる。
【0042】
遠位ツール11は、
図3Aに示すように突出位置に配置することができる。すなわち、遠位ツール11は遠位方向に前進し、旋回部材218の遠位端で内腔300外に延在することができる。突出位置では、送達管14の少なくとも1部とツール11が内腔300を通じて延在することができる。より具体的には、内腔300は第1の径を有する第1の部分301と、第1の部分301の第1の径よりも小さな第2の径を有する第2の部分302とを含むことができる。第1の部分301の第1の径は、内腔を通る遠位ツール11と送達管14の軸方向移動を可能とするようなサイズに設定することができる。遠位ツール11と送達管14が第1の部分301内を自由に移動できるように、遠位ツール11と送達管14の両方の幅は第1の径よりも小さくすることができる。第2の部分302の第2の径は内腔を通る遠位ツール11の軸方向移動を許可するが送達管14のアクセスは許可しないサイズに設定することができる。言い換えると、送達管14(ひいては遠位ツール11)の所定位置を超える遠位方向前進を防止するように、第1の部分301と第2の部分302の結合点が内腔300の壁によって画定される止め具303を形成する。遠位ツール11が第2の部分302内で自由に移動できるように遠位ツール11の幅は第2の部分302の第2の径よりも小さくすることができ、送達管14が止め具303と接触し第2の部分302に侵入するのを制限されるように送達管14の幅は第2の部分302の第2の径よりも大きくすることができる。もしくは、特定の実施形態では、遠位ツール11と送達管14は略同一の径を有することができる。適切な肩構造(図示せず)は、遠位ツール11と送達管14との間に配置され、遠位ツール11および送達管14の径よりも大きい径を有して、止め
具303に接触するのに十分な大きさとすることができる。
【0043】
図3Bは、例示の一実施形態に係る格納構造の注入ニードル200の断面図である。
図3Bに示すように、遠位ツール11は、遠位ツール11が内腔300から外に延在しなくなるまで
送達管14を近位方向に引くことによって格納位置に配置することができる。注入ニードル200のハンドルアセンブリは
送達管14に動作可能に連結して、
送達管14の軸方向移動を操作することもできる。したがって、
送達管14は
図3Aに示すように、遠位方向に移動し(すなわち押し出す)遠位ツール11を突出位置に配置するように作動させることも、近位方向に後退し(すなわち引き寄せる)遠位ツール11を格納位置に配置するように作動させることもできる。
送達管14は、格納位置と突出位置間の任意の位置に遠位ツール11を配置するように作動させることができると認識すべきである。たとえば、
送達管14はわずかに遠位方向に前進させて、遠位ツール11を旋回部材218外部の部分的に突出された位置に配置することができる。さらに、
送達管14とハンドルアセンブリの一方または両方は、
送達管14と遠位ツール11の所定位置を超える近位方向後退を防止するように構成される任意の適切な止め具または境界を含むことができると認識すべきである。さらに、特定の実施形態では、ハンドルアセンブリは、格納位置と突出位置を含め両者間の任意の軸方向位置で遠位ツール11を係止するように構成される任意の適切な係止機構を含むことができる。
【0044】
遠位ツール11は、内腔300からの延在時、湾曲構造または任意のその他の適切な形状に付勢される、あるいは内腔300に後退したときに略線形になることができるように形状記憶材料(たとえば、ニチノール)または超弾性材料から成ると認識すべきである。
【0045】
図4A〜
図4Cは、注入ニードル400の別の実施形態を示す。注入ニードル400は
図2A〜
図3Bの注入ニードル200に略類似し、可撓管13、送達管14に流体接続される遠位ツール11、U字形部材170、旋回部材218、第1の制御部材219、第2の制御部材220を含むことができる。しかしながら、
図4A〜
図4Cに示すように、注入ニードル400は遠位ツール11の側方折畳み格納を構成することができる。
【0046】
遠位ツール11を側方に折り畳み格納させるため、第1の制御部材219と第2の制御部材220はそれぞれ任意の適切な手段によって旋回部材218に固定し、旋回部材218の周全体に巻き付けることができる。また、第1および第2の制御部材219、220は、遠位ツール11に対して異なる位置に配置することができる。たとえば、第1の制御部材219はU字形部材170の第1のアーム127に近接する旋回部材218の第1の位置に固定し、第2の制御部材220は第1の位置とは異なる、U字形部材170の第2のアーム(図示せず)に近接する旋回部材218の第2の位置に固定することができる。したがって、第1の制御部材219および第2の制御部材220のこのような構造により、旋回部材218、ひいては遠位ツール11は長手軸16に対して第1の方向と第2の方向の両方に少なくとも180度回転することができる。より簡単に言えば、遠位ツール11は長手軸16にほぼ並び遠位方向を指す(
図4A)第1の位置から長手軸16にほぼ並び近位方向を指す第2の位置まで(
図4C)偏向させることができる。他の実施形態では、第1の制御部材219および第2の制御部材220の一方または両方を遠位方向に前進させて旋回部材218を回転させるように設計することができる。
【0047】
さらに、U字形部材170は、遠位ツール11の側方折畳み格納に対応する内腔またはスロット130を含むことができる。遠位ツール11はスロット130に向かって回転させ、U字形部材170内に収容されるスロット130に入ることができる。図示しないが、遠位ツール11がスロット130とU字形部材170に入る際、
送達管14の少なくとも1部は第1のアーム127と第2のアーム間のU字形部材170を出て、遠位ツール11用にU字形部材170内に空間を形成することができると認識すべきである。特定の実施形態では、別のスロットをU字形部材170の対向スロット130に配置して、
図4A〜
図4Cに示される方向と反対の方向で遠位ツール11の側方折畳み格納に対応することができると認識すべきである。
【0048】
図2A〜
図3Bの実施形態と同様、注入ニードル400は、第1の制御部材219と第2の制御部材220の作動を実現するように構成される適切なハンドルアセンブリを含むことができる。さらに、注入ニードル400は、ツール11の移動範囲を調節する任意の適切な拘束手段を含むことができる。たとえば,ハンドルアセンブリは、後退可能な第1の制御部材219および/または第2の制御部材220の長を制限するように構成される適切な止め具を含むことができる。ハンドルアセンブリは、
図4Aに示す突出位置、
図4Cに示す側方に折り畳まれた格納位置、
図4Bに示す部分的に突出された突出位置などの先の両者間の任意の位置で遠位ツール11の位置を係止するように構成される任意の適切な係止機構を含むことができる。さらに、注入ニードル400は、
図3A〜
図3Bを参照して上述したような遠位ツール11および
可撓管13の軸方向後退および突出特徴を含むことができると認識すべきである。さらに、注入ニードル400は、遠位ツール11を電気的に付勢するために
図2A〜
図2Cを参照して上述したような類似の電気接続および絶縁を含むことができる。
【0049】
図5A〜
図5Cは別の注入ニードル500を示す。注入ニードル500は
図2A〜
図3Bの注入ニードル200と略類似とし、可撓管13、
送達管14に流体接続される遠位ツール11、U字形部材17、旋回部材218、第1の制御部材219、第2の制御部材220を含むことができる。
図5A〜
図5Cに示すように、注入ニードル500は、遠位ツール11を選択的に収容および露出させるように構成される後退可能なスリーブ501をさらに含むことができる。
【0050】
後退可能なスリーブ501は、ポリマー材料などの任意の適切な材料から成る管502を含み、編組またはコイルなどの任意の適切な材料および/または構造で強化することができる。管502は、遠位ツール11と位置決め機構212の少なくとも1部とを収容するように構成されるチャネルを含むことができる。たとえば、
図5Aに示す完全突出構造では、管502は遠位ツール11と旋回部材218を完全に覆い、U字形部材17を部分的に覆うことができる。しかしながら、管502は注入ニードル500の任意のその他の素子を収容するように任意の適切なサイズをとることができると認識すべきである。たとえば、管502は、可撓管13の1部を覆い、遠位ツール11、旋回部材218、U字形部材17を完全に覆う適切な長を有することができる。
【0051】
後退可能なスリーブ501は、任意の適切な装着または固定手段によって管502に動作可能に連結される1つまたはそれ以上の作動部材503も含むことができる。1つまたはそれ以上の作動部材503はワイヤ、ロッド、または中空管などの任意の適切な連結装置を含むことができる。1つまたはそれ以上の作動部材503は、長手軸16に対して管502の軸方向移動を実行するように構成することができる。たとえば
図5Aに示すように、後退可能なスリーブ501は、1つまたはそれ以上の作動部材503を押し出して管502を位置決め機構212および遠位ツール11を超えて遠位方向に前進させることによって、遠位ツール11と位置決め機構212の1部を収容する突出位置に配置することができる。
図5Bに示すように、後退可能なスリーブ501は、1つまたはそれ以上の作動部材503を引き寄せて管502を近位方向に後退させ遠位ツール11を露出させることによって、遠位ツール11を露出させ位置決め機構212を部分的に収容する部分的に後退された位置に配置することができる。部分的に後退された位置では、遠位ツール11を露出させて適切な治療を目標組織に提供することができる。しかしながら、位置決め機構212は、管502内に収容され、管502によって拘束されることで、遠位ツール11の完全な偏向を制限することができる。
図5Cに示すように、後退可能なスリーブ501は、1つまたはそれ以上の作動部材503をさらに引き寄せて管502を後退させることによって、遠位ツール11と位置決め機構212の両方を露出させる完全に後退された位置に配置することができる。完全に後退された位置では、遠位ツール11を露出させて目標組織に適切な治療を施すことができ、位置決め機構212は遠位ツール11を長手軸16に対して完全に偏向させることができる。1つまたはそれ以上の作動部材503は可撓管13の全部または1部に関して可撓管13の外部に置くことができると認識すべきである。たとえば、1つまたはそれ以上の作動部材503は管13の遠位端近傍で管13のチャネルに入り、近位方向に延在することができる。
【0052】
図2A〜
図4Cの実施形態と同様、注入ニードル500は、第1の制御部材219および第2の制御部材220を作動させる適切なハンドルアセンブリを含むことができる。さらに、注入ニードル500は、後退可能なスリーブ501の軸方向移動を調節する任意の適切な拘束手段を含むことができる。たとえば、適切な止め具を位置決め機構212内に配置することができる。ハンドルアセンブリは、近位方向に後退する、および遠位方向に前進することができる1つまたはそれ以上の作動部材503の長を制限するように構成される適切な止め具も含むことができる。ハンドルアセンブリは、後退可能なスリーブ501の位置を係止するように構成される任意の適切な係止機構も含むことができる。たとえば、係止機構は、
図5Aに示す完全に突出された位置、
図5Cに示す完全に後退された位置、
図5Bに示す部分的に後退された位置であり、先の両者間での任意の位置に管502を固定することができる。さらに、注入ニードル500は
図3A〜
図3Bを参照して上述したような遠位ツール11の軸方向格納および突出機構を含むことができると認識すべきである。さらに、注入ニードル500は、遠位ツール11を電気的に付勢するために
図2A〜
図2Cを参照して上述したような電気的接続および絶縁を含むことができる。
【0053】
したがって、
図3A〜
図4Cに示すように遠位ツール11を後退させ、
図3A〜
図5Cに示すように後退可能なスリーブ501で遠位ツール11を覆うことによって、注入ニードル200、400、500は、内視鏡1の少なくとも1つの作業チャネル6を通って送達させ、遠位ツール11のチャネル6の壁を削るのを防止することができる。よって、遠位ツール11と内視鏡1両方の損傷を最小限にとどめることができる。また、遠位ツール11の後退および被覆は、注入ニードル200、400、500が身体解剖構造に送達されるおよび/または身体解剖構造から除去される際に組織に有害な損傷を及ぼすのを防止することができる。
【0054】
図3A〜
図4Cに示す遠位ツール11と
図5A〜
図5Cに示す後退可能なスリーブ501の突出可能かつ後退可能な特徴は、引用により全文を本願に組み込む米国仮出願第61/553,301号に開示される医療装置など、遠位ツールを偏向させるように構成される位置決め機構を備えた任意のその他の適切な医療装置において採用することができると認識すべきである。
【0055】
上述したように、
図2A〜
図5Cの遠位ツール11は導電性管またはニードルを包含することができるが、本開示の遠位ツールは医療手順のために任意のその他の適切な治療を含むことができると認識すべきである。たとえば、遠位ツールは
図6A〜
図6Cに示すような切断機構を備えることができる。
【0056】
図6Aは、例示の一実施形態に係る医療装置600を示す。
図2A〜
図2Cの注入ニードル200と同様、医療装置600は、可撓管13、U字形部材17を含む位置決め機構212、旋回部材218、第1の制御部材219、第2の制御部材220を備えることができる。また、医療装置600は位置決め機構212に動作可能に連結される遠位ツール601を含むことができる。
図6Aに示すように、遠位ツール601は組織を切断および切開するように構成される両刃ブレードを備えることができる。より具体的には、第1の制御部材219または第2の制御部材220を後退させることによって、旋回部材218を回転させ遠位ツール601を偏向させることができる。遠位ツール601を偏向させることで、目標組織が長手軸16に対して第1の方向および第2の方向に切断される。こうした偏向による切断動作は、より迅速かつ簡易に組織を切開する方法を提供する。
【0057】
図6Bは、例示の一実施形態に係る別の医療装置700を示す。医療装置700は
図6Aの医療装置600と類似させることができる。しかしながら、
図6Bに示すように、遠位ツール701は湾曲ブレードとし、組織を切断するように構成される鋭い縁部を有する凹部702と、組織の切断を防止するように構成される鈍い縁部を有する凸部703とを含むことができる。このような構造は、1方向のみの組織切断を提供する。言い換えると、遠位ツール11が第1および第2の制御部材219、220の作動によって偏向されると、遠位ツール701は凹部702に対向する組織のみを切断することができる。よって、遠位ツール701が凹部702に対向する組織に向かって偏向されるときに組織を切断することができるが、遠位ツール701が反対方向に偏向されるときは、凸部703を含む組織は鈍い縁部のために切断も切開もされない。したがって、遠位ツール701は組織を切開するより安全で精密な装置を提供する。しかしながら、凹部702と凸部703はいずれも組織を切断する鋭い縁部を含むことができると認識すべきである。
【0058】
図6Cは、例示の一実施形態に係る別の医療装置800を示す。医療装置800は
図6A〜
図6Bの医療装置600、700と類似していてもよい。しかしながら、
図6Cに示すように、遠位ツール801は鋸刃状縁部802を含む鋸刃状ブレードとし、組織を切断および切開する、のこ引き動作を実行するため長手軸16に対して軸方向並進するように構成することができる。このような、のこ引き動作は、比較的硬く厚い組織の切断を容易にすることができる。遠位ツール801は
図6A〜
図6Bに示すように第1および第2の制御部材219、220の作動により長手軸16の対向側で偏向させることができる。
【0059】
制御素子803は遠位ツール801に連結し、旋回部材218内に画定される内腔300(
図6Cに示さず)を通じて延びることができる。遠位ツール801を軸方向に並進させるため(双方向矢印で示す)、制御素子803は旋回部材218の内腔300と可撓管13のチャネルとを通じて遠位方向に前進あるいは近位方向に後退させることができる。制御素子803は、ワイヤ、ロッド、または中空管など、遠位ツール801を軸方向に並進させるように構成される任意の適切な連結装置とすることができる。制御素子803は、旋回部材218の回転時に制御素子803の屈曲と偏向を吸収するように可撓性を持たせることもできる。
【0060】
さらに、医療装置600、700、800は、
図3A〜
図3Bに示される突出可能および格納可能な特徴、
図4A〜
図4Cに示される突出可能かつ側方折畳み後退特徴、および/または
図5A〜
図5Cに示される後退可能なスリーブ501を含むことができる。すなわち、遠位ツール601、701、801は、
図3A〜
図3Bの遠位ツール11と同様に旋回部材218に対して突出および後退することができ、
図4A〜
図4Cの遠位ツール11と同様に旋回部材218の回転時にU字形部材17のスロットに突出および格納することができ、および/または
図5A〜
図5Cの遠位ツール11と同様に後退可能なスリーブ501の軸方向移動時に後退可能なスリーブ501から露出および後退可能なスリーブ501内に収容することができる。
【0061】
図2A〜
図5Cの注入ニードル200と同様、適切なハンドルアセンブリ(図示せず)は医療装置600、700、800の第1の制御部材219と第2の制御部材220に動作可能に連結することができる。また、ハンドルアセンブリは任意の適切な位置に遠位ツール601、701、801を係止する適切な係止機構を含むことができる。たとえば、係止機構は遠位ツール601、701、801を偏向位置に固定し、所望に応じて遠位ツール601、701、801を偏向位置から解放することができる。医療装置800は、遠位ツール801の軸方向並進を調節する任意の適切な拘束手段を含むことができると認識すべきである。たとえば、ハンドルアセンブリは、突出および後退可能な制御素子803の長さを制限するように構成される適切な止め具を含むことができる。さらに、またはもしくは、制御素子803の1部は、
図3A〜
図3Bを参照して説明したように、内腔300の止め具303によって制限される幅を有することができる。
【0062】
図6A〜
図6Bには示さないが、
送達管14は
図2A〜
図2Cに開示されるように遠位ツール601と遠位ツール701に流体接続することができると認識すべきである。このような構造では、遠位ツール601および遠位ツール701は中空とし、先端などの遠位ツール601と遠位ツール701の所望の位置に沿って開口部(図示せず)を含むことができる。したがって、適切な流体を流体源(図示せず)から、送達管14を通り、遠位ツール601の開口部および遠位ツール701から放出することができる。
【0063】
遠位ツール601、701、801は、ステンレス鋼やニッケルチタン合金などの任意の導電性材料も備えることができる。また、
図2A〜
図2Cの実施形態と同様、第1の制御部材219と第2の制御部材220の一方または両方は、電流源(図示せず)から遠位ツール601、701、801までの電気経路を提供することができる。さらに、1つまたはそれ以上の別々の
導電性ワイヤ、ケーブル、シースなどは、第1の制御部材219および第2の制御部材220の一方または両方に沿って、または近接してねじる、第1の制御部材219および第2の制御部材220の一方または両方内に形成する、あるいは第1の制御部材219および第2の制御部材220の一方または両方から物理的に分離して、遠位ツール11への電気経路を提供することができる。さらに、またはもしくは、送達管14は、
図2A〜
図2Cの実施形態に示されるように電流源から遠位ツール601および遠位ツール701までの電気経路を提供することができ、制御素子803も送達管14と同様に、電流源から遠位ツール801までの電気経路を提供することができる。したがって、遠位ツール601、701、801は、電流による付勢後、目標組織を凝固させる、焼灼する、切開する、燃焼させる、および/または切断することができる。さらに、遠位ツール11は単極または双極焼灼を実行するように構成することができる。
【0064】
図6Bでは、遠位ツール701の凸部703は適切な絶縁性材料で被覆することができる。たとえば、絶縁シースは凸部703を被覆することができる、あるいは凸部703は絶縁性材料で粉体被覆させることができる。したがって、遠位ツール701の凸部703に接触する組織は、遠位ツール701が電気的に付勢されるときに焼灼と損傷から保護されうる。
【0065】
医療装置600、700、800は遠位ツール601、701、801を偏向させるように構成される任意のその他の適切な位置決め機構を含むことができると認識すべきである。たとえば、医療装置600、700、800は米国仮出願第61/553,301号に開示される位置決め機構のいずれでも含むことができる。
【0066】
特定の実施形態では、遠位ツールは、他の内視鏡ツールが身体解剖構造に挿入される際のガイドとしての役割を果たすことができる。たとえば、電気焼灼ループを遠位ツールに連結される挿入管を通じて供給することができる。その後、電気焼灼ループは遠位ツールを出て目標組織に到達することができる。位置決め機構を作動することによって、遠位ツール、ひいては電気焼灼ループは所望の位置に偏向させることができる。任意のその他の装置は、たとえばスネア、バスケット、ブラシ、ニードル、鉗子、捕捉器具、剥離ニードルなどを含む遠位ツールを通じて送達させることができる。さらに、遠位ツールを通じて送達される装置は、独自の独立した操舵機構を含むことができる。
【0067】
さらに、
注入ニードル200、400、500、600、700、800のいずれも、身体解剖構造を視覚化する撮像システムを含むことができると認識すべきである。撮像システムは、光ファイバおよび/または照明ユニットを含む電子カメラなど、身体解剖構造内の画像を捕捉する任意の適切なシステムを含むことができる。したがって、次に、
注入ニードル200、400、500、600、700、800は視覚化のために内視鏡1なしで使用することができる。にもかかわらず、内視鏡1を備える撮像システムを有する
注入ニードル200、400、500、600、700、800を採用することで、内視鏡1からのある領域と
注入ニードル200、400、500、600、700、800からの別の領域を含む複数領域の視覚化を提供することができる。
【0068】
上記実施形態のいずれにおいても、遠位ツール11は鋭くしても鈍くしてもよく、楕円形状、矩形形状、三角形状、または円形形状などの任意の適切な断面形状をとることができると認識すべきである。さらに、特定の実施形態では、位置決め機構212は、作動時に旋回部材218を回転させるように構成される単独の制御部材を含むことができる。位置決め機構212は、旋回部材218を所望の配向に付勢するバネなどの適切な付勢部材(図示せず)も含むことができる。たとえば、付勢部材は、遠位ツール11が長手軸16からオフセットされるように旋回部材218を付勢することができる。
【0069】
図7A〜
図7Cは例示の開示される一実施形態に係る吸引装置900を示す。吸引装置900は内視鏡1の少なくとも1つの作業チャネル6を通って延在し、開口部7を出て所望の治療位置に達することができる。吸引装置900は、組織を把持するおよび/または後退させる、および/または破片と流体を除去するための吸引を提供するように構成することができる。
【0070】
図7Aに示すように、吸引装置900は遠位ツール911、位置決め機構912、可撓管913を含むことができる。遠位ツール911は中空であってよく、可撓管913を通じて延在する吸引管914に流体連結された内腔を含んでよい。いくらかの実施形態では、遠位ツール911は、ハイポチューブであってもよい。真空は真空源(図示せず)から吸引管914を通り、さらに遠位ツール911の遠位開口部を通って印加することができる。遠位ツール911は、ステンレス鋼、ニッケルチタン合金、ポリマー材料、プラスチック、これらの材料の組み合わせなど、吸引を支援するように構成される任意の適切な材料で形成することができる。遠位ツール911の遠位端は比較的鈍くし、真空印加時に目標組織に対して流体密封シールを形成するように構成することができる。さらに、比較的鈍くすることによって、吸引装置900は内視鏡1の少なくとも1つの作業チャネル6の壁を削ったり傷つけたりせずに該チャネルを通って前進させることができる。遠位ツール911の近位端は位置決め機構912に動作可能に連結することができる。
【0071】
位置決め機構912は、旋回軸915を中心として吸引装置900の遠位ツール911を回転または偏向させるように構成することができる。したがって、遠位ツール911は旋回軸915近傍の可撓管913に接続することができる。言い換えると、
図7B〜
図7Cに示すように、遠位ツール911は、位置決め機構912の作動によって可撓管913の長手軸916に対して横方向に旋回させることができる。位置決め機構912はU字形部材917、旋回部材918、制御部材919を含むことができる。制御部材919はワイヤ、ロッド、フィラメント、または中空管などの任意の適切な連結装置を含むことができる。
【0072】
U字形部材917は可撓管913の遠位端に配置することができる。U字形部材917の近位部は可撓管913上に配置し、中空として可撓管913と旋回部材918との連絡を提供することができる。もしくは、U字形部材917の近位部は可撓管913の下(または中)に配置する、あるいは可撓管913と接触させることができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、旋回部材918はU字形部材917内に配置し、第1のピン(または突起)922と第2のピン(または突起)923とを介してU字形部材917に連結することができる。第1のピン922は旋回部材918の第1の側924から延在し、旋回部材918をU字形部材917の第1のアーム925に回転可能に接続することができる。第2のピン923は旋回部材918の第2の側926から延在し、旋回部材918をU字形部材917の第2のアーム927に回転可能に接続することができる。したがって、旋回部材918は、第1のピン922と第2のピン923を中心に回転するように構成することができる。特定の実施形態では、旋回部材918は、U字形部材917に対する旋回部材918の偏向を実現する適切なヒンジ(または現行ヒンジ)を介してU字形部材917に連結することができる。旋回部材918は遠位ツール911に延在する内腔を含むことができる。吸引または注入が遠位ツール911に提供されるように、内腔は遠位ツール911に流体接続することができる。一例では、吸引管914は旋回部材918の内腔を通じて部分的に延在し、遠位ツール911に流体接続することができる。特定の実施形態では、吸引管914は内腔を通じて延在し、接着剤、溶接、摩擦嵌合、圧接などの任意の適切な手段によって遠位ツール911に直接接続することができる。もしくは、吸引管914と遠位ツール911は一体的に形成することができ、遠位ツール911は吸引管914の剛体突出部とすることができる。別の例では、吸引管914は旋回部材918の外表面を終端とし、内腔の近位開口部に流体接続することができる。したがって、真空力は遠位ツール911の遠位開口部と旋回部材918の内腔とを通じて吸引管914へと伝えることができる。吸引管914は、旋回部材918の回転時に吸引管914の屈曲と偏向を吸収する任意の適切な可撓材料で形成することができる。吸引管914は、金属、プラスチック、ポリマー、エラストマーのうち1つまたはそれ以上から成ることができ、吸引管914に沿って可撓性および剛性が変動する複数の材料で形成することができる。特定の実施形態では、吸引管914の遠位部は屈曲を吸収するように、吸引管914の近位部よりも高い可撓性を持たせることができる。たとえば、吸引管914の遠位部はポリマーシースなどの可撓材料で覆われた金属バネまたはコイルなどのバネまたはコイルで形成することができ、吸引管914の近位部は剛体のポリマー管で形成することができる。吸引管914は、たとえば吸引管914の壁圧を変動させる、吸引管914の材料の剛性を変動させる、吸引管914に沿ってより硬度と可撓性が高くなる材料で吸引管914を形成する、吸引管914の壁に穴および/または切欠きを形成することによって、剛性/可撓性を変動させることができると認識すべきである。
【0074】
旋回部材918は、延長部928の形状の近位方向に延在する結合素子も含むことができる。延長部928と制御部材919は旋回部材918の第1の側924または第2の側926の近傍に配置して、吸引管914の遠位ツール911への略中央アクセスを提供することができる。延長部928はたとえば、結合点929で制御部材919に連結されるヒレ状突出部とすることができる。延長部928は、任意の適切な長を有することができる。制御部材919と延長部928間の結合点929は、任意の適切な形状を有する任意の適切な旋回構造をとることができ、延長部928の任意の適切な位置に配置することができる。たとえば、制御部材919は延長部928の側面の穴を通じて延在し、圧締めして延長部928に固定することができる。穴は部材919が穴内で適切に回転できるように部材919の径よりも大きな径を有することができる。したがって、制御部材919が押し出される(
図7B)、あるいは引き寄せられる(
図7C)と、制御部材919と連結部材928は結合点929で相互に対して旋回することができる。
【0075】
後述するように、適切なハンドルアセンブリは内視鏡1の外側の制御部材919に動作可能に連結され、制御部材919を操縦することができる。制御部材919は
図7Bに示すように遠位方向に前進するように作動することができる。言い換えると、制御部材919を押し出し延長部928に対して旋回させて、旋回部材918を回転させ遠位ツール911を第1の方向に偏向させることができる。
図7Cに示すように、制御部材919を近位方向に回転させ(すなわち、引き寄せて)延長部928に対して旋回させて、旋回部材918を反対方向に回転させ遠位ツール911を第1の方向と反対の第2の方向に偏向させることができる。したがって、遠位ツール911と長手軸916間の角度は制御部材919の作動時に変更することができる。遠位ツール911の偏向は所望に応じて、任意数の適切な止め構造によって制限することができる。たとえば、可撓管913、U字形部材917、制御部材919、延長部928、結合点929のうち1つまたはそれ以上は、遠位ツール911が長手軸916に対して所定の角度に達したときに制御部材919がU字形部材917または可撓管913の内壁に接触するような寸法に設定することができる。
【0076】
制御部材919は屈曲部930も含むことができる。
図7Bに示されるように、制御部材919が遠位方向に前進すると、屈曲部930が長手軸916からオフセットされる角度で外側U字形部材917を延在させる一方、屈曲部930に近接する制御部材919の部分は可撓管913の内壁に向かって移動する。制御部材919は延長部928に対して旋回することができ、屈曲部930はある角度でU字形部材917から延在し、それに伴い、延長部928はU字形部材917の第1および第2のアーム925、927間に画定されるスロットから外へ大きく偏向する。したがって、旋回部材918がさらに角回転することによって、制御部材919が遠位方向に前進するときに遠位ツール911の移動範囲をさらに拡げることができる。
【0077】
屈曲部930は、制御部材919が近位方向に後退するときに遠位ツール911の移動範囲を制限することができる。
図7Cに示すように、制御部材919が近位方向に後退すると、制御部材919は延長部928に対して旋回することができ、屈曲部930はU字形部材917へと後退することができる。しかしながら、屈曲部930は、延長部928が第1および第2のアーム925、927間に画定されるスロット外に移動するのを制限することができる。したがって、旋回部材918が角回転を低減されることによって、制御部材919が遠位方向に前進するときに比べて近位方向に後退するときの方が遠位ツール911の移動範囲を狭めることができる。
【0078】
したがって、制御部材919の屈曲が大きくなるほど(すなわち、屈曲部930と制御部材919の残りの部分間の屈曲角度が小さくなるほど)、制御部材919が遠位方向に前進するときの遠位ツール911の移動範囲は大きくなるが、制御部材919が近位方向に後退するときの遠位ツール911の移動範囲は小さくなる。このような構造は特定の利点を備えることができる。たとえば、遠位ツール911は、吸引のため目標組織に到達するように1方向への移動範囲を増大させると同時に、遠位ツール911が健全な組織に接触して損傷を負わせるのを防ぐために反対方向への移動範囲を制限することが有益である。さらに、屈曲部930を備えた延長部928を構成することで、位置決め機構912の折り畳まれたコンパクトな構造が提供される。すなわち、制御部材919と延長部928の相当部分をU字形部材917内に収容することによって、たとえば望ましくない組織の引っかかりを防止することができる。屈曲部930の長を延長させることによって、制御部材919が遠位方向に前進するときの遠位ツール911の移動範囲は大きくなり、制御部材919が近位方向に後退するときの遠位ツール911の移動範囲は小さくなると認識すべきである。また、屈曲部930の可撓性を変動させることで、遠位ツール911の移動範囲に影響を及ぼすことができる。たとえば、制御部材919の残りの部分よりも可撓性の高い材料で屈曲部930を形成すると、制御部材919が近位方向に後退する、および遠位方向に前進するときに屈曲部930は屈曲または偏向することができる。したがって、屈曲部930の可撓性を高めることによって、制御部材919が近位方向に後退する、および遠位方向に前進するときの両方で遠位ツール911の移動範囲を拡げることができる。
【0079】
図8A〜
図8Cは吸引装置1000の別の実施形態を示す。
図7A〜
図7Cの実施形態と同様、吸引装置1000は可撓管913と吸引管914に流体接続される遠位ツール911とを含むことができる。吸引装置1000は、旋回軸1015を中心に遠位ツール911を偏向させるように構成される位置決め機構1012も含むことができる。したがって、遠位ツール911は旋回軸1015近傍の可撓管913に接続することができる。
図7A〜
図7Cの実施形態と同様、位置決め機構1012はU字形部材917を含むことができる。また、位置決め機構1012は、旋回部材1018、第1の制御部材1019、第2の制御部材1190を含むことができる。制御部材919と同様、第1および第2の制御部材1019、1190はワイヤ、ロッド、フィラメント、または中空管などの任意の適切な連結装置を含むことができる。
【0080】
旋回部材1018はU字形部材917内に配置し、第1のピン(または突起)1022および第2のピン(または突起)1023を介してU字形部材917に連結することができる。第1のピン1022は旋回部材1018の第1の側1024から延在し、旋回部材1018をU字形部材917の第1のアーム925に回転可能に接続することができる。第2のピン1023は旋回部材1018の第2の側1026から延在し、旋回部材1018をU字形部材917の第2のアーム927に回転可能に接続することができる。したがって、旋回部材1018は第1のピン1022および第2のピン1023を中心に回転するように構成することができる。
図7A〜
図7Cの実施形態と同様、吸引管914は遠位ツール911に流体接続することができる。
【0081】
旋回部材1018は、第1のピン1022に近接する延長部1028の形状の第1の結合素子と、第2のピン1023に近接する延長部1080の形状の第2の結合素子とをさらに含むことができる。吸引管914は延長部1028と1080間の遠位ツール911と流体接続させることができる。延長部1028、1080はたとえば、ヒレ状突出部とすることができる。また、延長部1028、1080は旋回部材1018を中心に対称または非対称に配置し、旋回軸1015に沿って旋回部材1018上に対称または非対称に配置することができる。さらに、延長部1028、1080は任意の適切な長を含むことができる。延長部1028は第1の結合点1029で第1の制御部材1019に連結し、第2の結合点1090で第2の制御部材1190に連結することができる。第1および第2の
結合点1029、1090は任意の適切な形状を有する任意の適切な旋回構造とすることができ、延長部1028、1080の任意の適切な位置に配置することができる。したがって、第1の制御部材1019が押し出される(
図8B)、あるいは引き寄せられる(
図8C)と、第1の制御部材1019および延長部1028は第1の結合点1029で相互に対して旋回することができる。さらに、第2の制御部材1190が押し出される(
図8C)、あるいは引き寄せられる(
図8B)と、第2の制御部材1190および第2の制御素子1080は第2の結合点1090で相互に対して旋回することができる。
【0082】
適切なハンドルアセンブリ(図示せず)は、第1の制御部材1019および第2の制御部材1190に接続され、第1および第2の制御部材1019、1190を操作することができる。ハンドルはたとえば内視鏡1に関連付けることができる。
図8Bに示すように、ハンドルアセンブリは第2の制御部材1190を近位方向に後退させながら、第1の制御部材1019を遠位方向に前進させるように作動することができる。すなわち、第1の制御部材1019を押し出し、第2の制御部材1190を引き寄せることによって、第1および第2の制御部材1019、1190を延長部1028、1080に対して旋回させ旋回部材1018を回転させて、遠位ツール911を第1の方向に偏向させることができる。
【0083】
図8Cに示すように、ハンドルアセンブリは、第2の制御部材1190を遠位方向に同時に前進させながら、第1の制御部材1019を近位方向に後退させるように作動することができる。言い換えると、第1の制御部材1019を引き寄せ、第2の制御部材1190を押し出して、第1および第2の制御部材1019、1190を延長部1028、1080に対してそれぞれ旋回させ、旋回部材1018を回転させる結果、遠位ツール911を第1の方向の反対の第2の方向に偏向させることができる。よって、遠位ツール911と可撓管913の長手軸916間の角度は、第1および第2の制御部材1019、1190の作動時に偏向することができる。しかしながら、遠位ツール911の偏向は、いったん第1の制御部材1019または第2の制御部材1190のいずれかがU字形部材917または可撓管913の内壁に接触すると制限される。特定の実施形態では、延長部1028、延長部1080、U字形部材917のうち1つまたはそれ以上が、たとえばU字形部材917または延長部1028、1080と接触することによって旋回部材1018の回転運動を制限する突出部などを含むことができる。第1の制御部材1019の引き/押しと第2の制御部材1190の引き/押しは同時に実行することができる、あるいは第1および第2の制御部材1019、1190の一方を他方の実行後に受動的に押す/引くことができると認識すべきである。
【0084】
第1の制御部材1019は屈曲部1030を含むことができ、第2の制御部材1190は屈曲部1300を含むことができる。
図8Bおよび8Cに示すように、屈曲部1030と屈曲部1300は反対方向を指すことができる。さらに、屈曲部1030と第1の制御部材1019の残りの部分間の屈曲角度は、屈曲部1300と第2の制御部材1190の残りの部分間の屈曲角度と略同一にすることができる。また、延長部1028と延長部1080はジグザグ構造をとることができ、遠位ツール911が長手軸916とほぼ並んでいるとき、延長部1028(特にその結合点1029)は長手軸916の一方の側(たとえば、長手軸916の上方)に位置し、延長部1080(特にその結合点1090)は延長部1028と反対の長手軸916の他方の側(たとえば、長手軸916の下方)に位置することができる。このようなジグザグ構造は、屈曲部1030と屈曲部1300が延在する反対方向に対応することができる。よって、遠位ツール911が第1の方向に偏向する移動範囲は遠位ツール911が第2の方向に偏向する移動範囲と略同一である。さらに、特定の実施形態では、遠位ツール911はいずれかの方向に長手軸916に対して90度偏向させることができる。延長部1028、1080は、旋回部材1018を旋回させる際に第1および第2の制御部材1019、1190のてこ作用を増減させる任意の適切な形状をとることができると認識すべきである。たとえば、細くて薄い形状の延長部1028、1080は第1および第2の制御部材1019、1190における、てこ作用を高めることができる。また、接続点1029、1090の位置および/または強度は、旋回部材1018を旋回させる際の第1および第2の制御部材1019、1190における、てこ作用を増減させることができる。いくつかの実施形態では、延長部1028および延長部1080は異なる長を有することができる。
【0085】
このような構造は特定の利点を有することができる。たとえば、遠位ツール911の移動範囲は大きく、偏向の両方向で略同一にすることができるため、高い操作性を有し、身体の複雑な解剖構造において吸引装置1000を操作する際に好都合であり得る。また、遠位ツール911の高い操作性により、遠位ツール911両側で治療され吸引のために到達される組織の面積を拡げることができる。さらに、
図7A〜
図7Cの実施形態と同様、屈曲
部1030、1300を備える延長部1028、1080の構成は、位置決め機構1012にとって折り畳まれたコンパクトな構造を提供する。
【0086】
図9A〜
図9Cは吸引装置1100の別の実施形態を示す。
図7A〜
図8Cの実施形態と同様、吸引装置1100は、可撓管913と吸引管914に流体接続される遠位ツール911とを含むことができる。吸引装置1100は、旋回軸1115を中心として遠位ツール911を偏向させるように構成される位置決め機構1112も含むことができる。したがって、遠位ツール911は旋回軸1115近傍の可撓管913に接続することができる。
図7A〜
図8Cの実施形態と同様、位置決め機構1112はU字形部材917を含むことができる。また、位置決め機構1112は、旋回部材1118、第1の制御部材1119、第2の制御部材1120を含むことができる。制御部材919と第1および第2の制御部材1019、1190と同様、第1および第2の制御部材1119、1120はワイヤ、ロッド、フィラメント、または中空管などの任意の適切な連結装置を含むことができる。
【0087】
旋回部材1118は、U字形部材917内に配置し、第1のピン(または突起)1122および第2のピン(または突起)1123を介してU字形部材917に連結することができる。第1のピン1122は旋回部材1118の第1の側1124から延在し、旋回部材1118をU字形部材917の第1のアーム925に回転可能に接続することができる。第2のピン1123は旋回部材1118の第2の側1126から延在し、旋回部材1118をU字形部材917の第2のアーム927に回転可能に接続することができる。したがって、旋回部材1118は第1のピン1122と第2のピン1123を中心に回転するように構成することができる。
【0088】
第1の制御部材1119の遠位部は、旋回部材1118の第1の表面で旋回部材1118に固定することができ、第2の制御部材1120の遠位部は、旋回部材1118の第1の表面の反対の第2の表面で旋回部材1118に固定することができる。第1および第2の制御部材1119、1120は接着剤、溶接、圧接、留め具などの任意の適切な手段によって旋回部材1118に固定することができる。さらに、第1および第2の制御部材1119、1120は相互にほぼ並べることができ、遠位ツール911の対向側に配置することができる。また、吸引管914は、
図7A〜
図7Cを参照して上述したように、第1および第2の制御部材1119、1120間で遠位ツール911に流体接続することができる。
【0089】
適切なハンドルアセンブリ(図示せず)は第1の制御部材1119および第2の制御部材1120に動作可能に連結し、第1および第2の制御部材1119、1120を操作することができる。ハンドルアセンブリはたとえば内視鏡1と関連付けることができる。
図9Bに示すように、ハンドルアセンブリは第1の制御部材1119を近位方向に後退させるように作動することができる。すなわち、第1の制御部材1119を引き寄せることで、旋回部材1118を回転させて遠位ツール911を第1の方向に偏向させることができる。
図9Cに示すように、ハンドルアセンブリは、第2の制御部材1120を近位方向に後退させる(すなわち、引き寄せる)ことで、旋回部材1118を回転させて遠位ツール911を第1の方向の反対の第2の方向に偏向させることができる。
【0090】
位置決め機構1112は遠位ツール911の移動範囲を拡げることができる。すなわち、遠位ツール911は、U字形部材917または可撓管913の内壁に接触する第1の制御部材1119または第2の制御部材1120によって制限されずに第1および第2の方向に偏向させることができる。また、上述の実施形態の延長部928、1028、1080のように放射方向外側に延在する要素は旋回部材1118には存在しない。したがって、遠位ツール911の操作性を高めることで、遠位ツール911の両側の治療対象組織の面積を拡げることができる。さらに、移動範囲の拡大により、遠位ツール911を近位方向に偏向させ、「切換ブレード」型構造へと折り畳むことができる。このような折り畳み構造は、吸引装置1100が通過して送達される際に少なくとも1つの作業チャネル6が削られたり傷ついたりするのを防ぐことができる。しかしながら、吸引装置1100は、遠位ツール911の移動範囲を調節する任意の適切な拘束手段を含むことができると認識すべきである。たとえば、ハンドルアセンブリは、後退可能な第1の制御部材1119および/または第2の制御部材1120の長を制限するように構成される適切な止め具を含むことができる。また、吸引装置1100は、旋回部材1118の回転を制限する任意の適切な止め具またはリミッタを含むことができ、このような止め具またはリミッタは対称または非対称とすることができる。言い換えると、このような止め具またはリミッタにより、旋回部材1118は両方向に同距離、あるいは両方向に異なる距離回転することができる。
【0091】
旋回部材918、1018、1118はツール911を偏向させる略円形状または任意のその他の形状とすることができると認識すべきである。また、旋回軸915、1015、1115は旋回部材918、1018、1118の中心または偏心とすることができる。また、いくつかの実施形態では、制御部材919は旋回部材918と直接連結し、第1および第2の制御部材1019、1190は旋回部材1018と直接連結することができる。制御部材919と旋回部材918間の装着および第1および第2の制御部材1019、1190と旋回部材1018間の装着によって、制御部材919と第1および第2の制御部材1019、1190の押しと引きの両方、あるいは引きだけを実行することができる。
【0092】
図10A〜
図10Cは、例示の開示される一実施形態に係る吸引装置1500の別の実施形態を示す。
図7A〜
図9Cの実施形態と同様、吸引装置1500は、吸引管914と流体接続される遠位ツール911を含むことができる。吸引装置1500は偏向可能な細長部材1501も含むことができる。細長部材1501はたとえばカテーテルであって、可撓性を有する、あるいは細長部材1501が身体内で操作または偏向され、複雑な解剖学的内腔を横断することができるだけの可撓性を有する1つまたはそれ以上の部分を含むことができる。たとえば、細長部材1501は均一な可撓性を有していてもよいし、可撓性または剛性の度合いが異なる複数の部分を含むことができる。吸引装置1500は、細長部材1501の遠位端1503で遠位ツール911と吸引管914とに連結されるハブ1502も含むことができる。
【0093】
上述したように、細長部材1501は、細長部材1501の偏向を実現する任意の適切な材料から成ることができる。より具体的には、細長部材1501の少なくとも遠位部1504は、略線形構造と湾曲、傾斜、または屈曲構造との間で偏向するように構成することができる。遠位部1504は、細長部材1501の長手軸1516に対して幅広い異なる方向で幅広い異なる湾曲、傾斜、または屈曲構造まで移動させることができる。たとえば、遠位部1504は、第1の面で第1の方向および第2の方向に(すなわち、長手軸1516に対して上下)偏向し、第1の面と異なる第2の面で第1の方向および第2の方向に(すなわち、長手軸1516に対して左右)偏向するように構成することができる。したがって、細長部材1501は遠位部1504の少なくとも4方向操舵用に構成することができる。しかしながら、細長部材1501は、たとえば、細長部材1501が横断する内部身体解剖構造の体積および/または形状に応じて、遠位部1504の4方向よりも少ないまたは多い方向の操舵用に構成することができる。
【0094】
細長部材1501を能動的に偏向させるため、遠位部1504は
図10A〜
図10Cに示すように、外側スリーブ1552に覆われる複数の偏向区間1557を含むことができる。
図10A〜
図10Cは、細長部材1501の内側層および素子を示す点線で外側スリーブ1552を概略的に示す。偏向区間1557はたとえば、引用により全文を本願に組み込むBoulaisらの米国特許出願公開第2010/0076266号に開示される連接箇所に略類似する複数の連接箇所を含むことができる。特定の実施形態では、偏向区間1557は、第1の面および第2の面に沿って細長部材1501の長手軸1516に対して最大270度まで遠位部1504を偏向させるように構成することができる。他の実施形態では、偏向区間1557は、第1の面および第2の面の一方で細長部材1501の長手軸1516に対して最大270度まで、第1の面および第2の面の他方で細長部材1501の長手軸1516に対して最大90度まで遠位部1504を偏向させるように構成することができる。しかしながら、遠位部1504は長手軸1516に対して任意の適切な角度で偏向されるように構成することができると認識すべきである。
【0095】
遠位部1504に近接する1つまたはそれ以上の部分1505は、細長部材1501に対して遠位部1504よりも高い剛性を提供する任意の適切な材料から成ることができる。1つまたはそれ以上の部分1505は、押し易さ、剛性、トルク伝達性、よじれ抵抗を細長部材1501に提供するように構成される材料を含むことができる。たとえば、1つまたはそれ以上の部分1505は、外側スリーブ1552に覆われる補強シース1506を含むことができる。補強シース1506は、たとえば堅く巻いた平坦ワイヤまたはポリマー素子のコイル構造を含むなどして強化することができる。コイル構造は1つまたはそれ以上の部分1505で細長部材1501にコラム強度とねじれ剛性を提供することにより、細長部材1501を身体内腔および/または間隙を通じて前進させることができる。コイル構造はよじれ抵抗を提供することで、1つまたはそれ以上の部分1505がそこにかかる屈曲力によりつぶれるのを防止することもできる。他の実施形態では、補強シース1506は、堅く巻いたワイヤまたはポリマー素子の網状構造および/またはたとえば低硬度Pebaxから成る剛体ポリマーシースを含むことができる。
【0096】
さらに、またはもしくは、1つまたはそれ以上の部分1505は、細長部材1501の受動的偏向を提供するように構成された材料を含むことができる。たとえば、1つまたはそれ以上の部分1505は、補強シース1506の代わりに、あるいは補強シース1506に加えて、外側スリーブ1552に覆われ、補強シース1506と類似の材料のコイル構造から成る偏向シースを含むことができる。しかしながら、偏向シースのコイル材料はレーザ切断パターンなどの適切な切断パターンを含むことができる。他の実施形態では、偏向シースは、たとえば低硬度Pebaxで形成されるより硬度の低いポリマーシースを含むことができる。
【0097】
上述したように、細長部材1501は、遠位部1504と1つまたはそれ以上の部分1505とを覆う外側スリーブ1552を含むことができる。外側スリーブ1552はたとえば、分子量が50,000〜100,000のポリエチレンなどのポリエチレン、ナイロン12、ナイロン4−6、ナイロン6−6などのナイロン、Pebax(ポリエーテルブロックアミド)、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、特にフッ素化エチレンプロピレン(FEP)コポリマー、PTFEを含浸したポリエチレンなどの任意数のポリマー外装を備えることができる。外側スリーブ1552は所望に応じ細長部材1501の剛性を変動させることができる、あるいはトルク伝達および/またはその他の所望の構造上の特性を向上させることができる。さらに、外側スリーブ1552は、遠位部1504と1つまたはそれ以上の部分1505とを共に固定する簡便な方法として使用することができる。
【0098】
吸引装置1500は、細長部材1501の1つまたはそれ以上の部分1505と遠位部1504とを通じて長手方向に延在する1つまたはそれ以上の制御部材1507も含むことができる。例示の一実施形態では、吸引装置1500は、細長部材1501の内腔周囲に放射方向に相互に90度をおいて配置される4つの制御部材1507を含み、遠位部1504の4方向偏向を提供することができる。他の実施形態では、吸引装置1500は、細長部材1501の内腔周囲に放射方向に相互に180度をおいて配置される2つの制御部材1507を含み、遠位部1504の2方向偏向を提供することができる。他の実施形態では、吸引装置1500は、細長部材1501の内腔周囲に放射方向に相互に120度をおいて配置される3つの制御部材1507を含み、遠位部1504の3方向偏向を提供することができる。しかしながら、吸引装置1500は任意数の制御部材1507を含んで遠位部1504の任意数の偏光方向を制御することができると認識すべきである。制御部材1507は、ステンレス鋼、タングステン、ニチノールなどの任意の適切な材料で構成することができる。さらに、制御部材1507は、グラファイトを充填したポリマー管などの複数の材料の編状または束状構造をとることができる、あるいはステンレス鋼ワイヤまたは導管などの単一ストランド構造をとることができる。
【0099】
制御部材1507は、任意の適切な留め具、溶接、接着剤などによって、細長部材1501の先端またはその近傍で遠位部1504の内表面、たとえば偏向区間1557の内表面に装着することができる。もしくは、制御部材1507は偏向区間1557の壁内に固定することができる、あるいはハブ1502に固定することができる。制御部材1507の近位端は適切なハンドルアセンブリに連結することができる。したがって、制御部材1507のこのような構造は、制御部材1507の作動時(すなわち、ハンドルアセンブリによる1つまたはそれ以上の制御部材1507の近位方向後退)に遠位部1504の偏向を促進することができる。たとえば、
図10Aに示すように、遠位部1504は、制御部材1507が弛緩している、あるいは作動されていないときは略線形構造で配置することができる。
図10Bに示すように、ある制御部材1507の作動(すなわち、矢印に示される近位方向後退)時、遠位部1504は第1の偏向位置に偏向させることができる。さらに、
図10Cに示すように、別の制御部材1507の作動(すなわち、矢印に示される近位方向後退)時、遠位部1504は第1の偏向位置と異なる第2の偏向位置に偏向させることができる。
【0100】
図11A〜
図11Cは、例示の開示される一実施形態に係る吸引装置1600の別の実施形態を示す。
図7A〜
図10Cの実施形態と同様、吸引装置1600は吸引管914に流体接続される遠位ツール911を含むことができる。吸引装置1600は偏向可能な細長部材1601も含むことができる。
図10A〜
図10Cの細長部材1501と同様、細長部材1601はたとえばカテーテルであってもよく、可撓性を有する、あるいは可撓性を有する1つまたはそれ以上の部分を含み、細長部材1601を身体内で操作および偏向させ、複雑な解剖学的内腔を横断させることができる。たとえば、細長部材1601は均一な可撓性を有することができる、あるいは可撓性または剛性が異なる複数の部分を含むことができる。吸引装置1600は、細長部材1601の遠位端1603で遠位ツール911および吸引管914に連結されるように構成されるハブ1502も含むことができる。
【0101】
細長部材1601は、細長部材1601の能動的な偏向を実現する任意の適切な材料から成ることができる。細長部材1601の少なくとも遠位部1604は略線形構造と湾曲、傾斜、または屈曲構造との間で偏向するように構成することができる。細長部材1501の遠位部1504と同様、細長部材1601の遠位部1604は、細長部材1601の長手軸916に対して幅広く異なる方向に、幅広く異なる湾曲、傾斜、または屈曲まで移動させることができる。
【0102】
遠位部1604は、能動的な偏向を提供するように構成される任意の適切な材料から成ることができる。たとえば、遠位部1604は
図11A〜
図11Cに示すように、外側スリーブ1552によって覆われる偏向シース1606を含むことができる。
図11A〜
図11Cは、細長部材1601の内側層および素子を示すために点線で外側スリーブ1552を概略的に示す。偏向シース1606はたとえば、レーザ切断パターンなどの適切な切断パターンを有するポリマー管、レーザ切断パターンを有する材料のコイル構造、および/または低硬度Pebaxなどの低剛性かつ高可撓性を有する材料製のポリマー管を含むことができる。特定の実施形態では、偏向シース1606は、第1の面および第2の面に沿って細長部材1601の長手軸91616に対して遠位部1604を最大270度偏向させるように構成することができる。他の実施形態では、偏向シース1606は、第1の面および第2の面の一方で細長部材1601の長手軸91616に対して遠位部1604を最大270度偏向させ、第1の面および第2の面の他方で細長部材1601の長手軸91616に対して遠位部1604を最大90度偏向させるように構成することができる。しかしながら、遠位部1604は長手軸91616に対して任意の適切な角度で偏向させるように構成することができると認識すべきである。
【0103】
遠位部1604に近接する1つまたはそれ以上の部分1605は、細長部材1601に対して遠位部1604よりも大きな剛性を提供する任意の適切な材料から成ることができる。1つまたはそれ以上の部分1605は、押し易さ、剛性、トルク伝達性、細長部材1601へのよじれ抵抗を提供するように構成される材料を含むことができる。たとえば、1つまたはそれ以上の部分1605は外側スリーブ1552で覆われる補強シース1626を含むことができる。補強シース1626は、堅く巻いた平坦ワイヤまたはポリマー素子のコイル構造を含むことができる。コイル構造は、1つまたはそれ以上の部分1605で細長部材1601にコラム強度とねじれ剛性とを提供して、細長部材1601を身体内腔および/または空隙内で前進させることができる。コイル構造は、1つまたはそれ以上の部分1605がそこにかかる屈曲力によりつぶれることを防ぐよじれ抵抗も提供することができる。他の実施形態では、補強シース1626は、堅く巻いたワイヤまたはポリマー素子の編組構造および/または低硬度Pebaxなどから成る剛体ポリマーシースを含むことができる。さらに、またはもしくは、1つまたはそれ以上の部分1605は、細長部材1601の受動的偏向を提供するように構成される材料を含むことができる。
【0104】
吸引装置1500と同様、吸引装置1600は、細長部材1601の1つまたはそれ以上の部分1605と遠位部1604とを通って長手方向に延在し、遠位部1604の偏向を促進するように構成される1つまたはそれ以上の制御部材1607も含むことができる。制御部材1607の遠位端は、細長部材1601の先端またはその近傍で偏向シース1606の内表面に接続することができる。もしくは、制御部材1607はハブ1502に固定することができる。制御部材1607の近位端は適切なハンドルアセンブリに連結することができる。
図11Aに示すように、制御部材1607が弛緩している、あるいは作動していないとき、遠位部1604は略線形構造で配置することができる。
図11Bに示すように、ハンドルアセンブリによる制御部材1607のいずれかの作動(すなわち、矢印で示すような近位方向後退)時、遠位部1604は第1の偏向位置に偏向させることができる。さらに、
図11Cに示すように、別の制御部材1607の作動(すなわち、矢印で示すような近位方向後退)時、遠位部1604は第1の偏向位置とは異なる第2の偏向位置に偏向させることができる。
【0105】
図12は吸引装置900、1000、1100、1500、1600用のハンドルアセンブリ1700を示す。ハンドルアセンブリ1700は、可撓管913または細長部材1501、1601、偏向機構702、吸引アクチュエータ1703を動作可能に連結することができるハンドルハウジング
1701を含むことができる。
【0106】
偏向機構702は、細長部材1501、1601(
図10A〜
図11C)の遠位部1504、1604の偏向と、位置決め機構912、1012、1112(
図7A〜
図9C)の作動を制御するように構成される偏向アクチュエータ1704を含むことができる。1つまたはそれ以上のカム705をハンドルハウジング
1701内の偏向アクチュエータ1704に連結し、フレーム706によって支持することができる。1つまたはそれ以上のカム705は突起(図示せず)などの中央アームによって回転可能に支持することができ、アクチュエータ1704の作動に応答して回転可能にすることができる。より具体的には、1つまたはそれ以上のカム705はアクチュエータ1704の作動後に旋回軸1710を中心に旋回することができる。
【0107】
1つまたはそれ以上のカム705は、制御部材919(
図7A〜
図7C)、第1および第2の制御部材1019、1190(
図8A〜
図8C)、第1および第2の制御部材1119、1120(
図9A〜
図9C)、制御部材1507(
図10A〜
図10C)、または制御部材1607(
図11A〜
図11C)に動作可能に連結することができる。偏向アクチュエータ1704の作動には、たとえば、前進または後退し(双方向矢印で示す)1つまたはそれ以上のカム705を回転させることによって制御部材919の1つまたはそれ以上(
図7A〜
図7C)、第1および第2の制御部材1019、1190(
図8A〜
図8C)、第1および第2の制御部材1119、1120(
図9A〜
図9C)、制御部材1507(
図10A〜
図10C)、制御部材1607(
図11A〜
図11C)を選択的に近位方向に後退させるおよび/または遠位方向に前進させる親指レバーを使用することができる。次いで、このような近位方向後退および/または遠位方向前進は遠位ツール911を偏向させることができる。
図12は、ハンドルアセンブリ1700が2方向操舵(すなわち、第1の面での偏向)に適することを示している。しかしながら、ハンドルアセンブリ1700は4方向操舵用にも構成することができる(すなわち、第1の面と第2の面での偏向)と認識すべきである。このような構造では、ハンドルアセンブリ1700は、偏向アクチュエータ1704および1つまたはそれ以上のカム705に類似する追加の偏向アクチュエータおよび追加の回転自在カムを含むことができる。追加の回転自在カムは、たとえば細長部材1501、1601の遠位部1504、1604を偏向させるように構成される1つまたはそれ以上の制御部材に連結することができる。したがって、追加の偏向アクチュエータは、たとえばアクチュエータを前進または後退させることによって作動されて、追加の回転自在カムを回転させ、1つまたはそれ以上の制御部材の近位方向後退を選択的に実行することで第2の面で遠位部1504、1604を偏向させることができる。
【0108】
図12に示すように、吸引管914はハンドルハウジング
1701内で延在し、ハンドルハウジング
1701外部の真空源(図示せず)に接続することができる。ハンドルアセンブリ1700の近位端を終点とするように図示されているが、吸引管914はハンドルアセンブリ1700の任意の所望の位置を終端とし、そこで真空源と接続することができる。吸引アクチュエータ1703はハンドルハウジング
1701内の吸引管914に動作可能に連結され、真空源によって提供される吸引管914を通じた吸引を動作可能に開放および封止するように構成することができる。たとえば、吸引アクチュエータ1703はバネ付勢弁とアクチュエータとを含むことができ、アクチュエータの作動により吸引管914を通じた吸引流を開放および閉鎖することができる。特定の実施形態では、吸引アクチュエータ1703のバルブを付勢して、吸引管914を閉鎖(または締付)し、管14を介した吸引を遮断することができる。吸引アクチュエータ1703のアクチュエータを押すと、バルブが開放され、管14を通じた吸引が行われる。他の実施形態では、吸引アクチュエータ1703を部分的に押下または作動して、バルブを部分的に開放し吸引量を制御することができる。また、バルブは、完全閉鎖と完全開放の間の任意の位置を可能にするノブ、ホイール、またはレバーなどの任意の適切な構造を含むことができる。
【0109】
ハンドルアセンブリ1700は遠位ツール911を任意の適切な位置に係止する適切な係止機構を含むことができると認識すべきである。たとえば、係止機構は遠位ツール911を偏向位置に固定し、所望に応じて遠位ツール911を偏向位置から解放することができる。たとえば、締付装置を偏向機構702と関連付けて、アクチュエータ1704の位置を係止するように構成することができる。
【0110】
図13A〜
図13Eは、遠位ツール911用のカップ装置を示す。カップ装置は遠位ツール911を収容する外側の中空容器とすることができる。カップ装置は吸引装置900、1000、1100、1500、1600と遠位ツール911の周囲に連結することができる。流体密封シールは、カップ装置とカップ装置が連結される吸引装置900、1000、1100、1500、1600の部分(たとえば、旋回部材918、1018、1118とハブ1502)との間に形成することができる。カップ装置は、遠位ツール911によって吸引される組織のサイズ、形状、位置に適応するように構成することができる。
【0111】
たとえば、
図13Aに示すように、カップ装置1800は、カップ装置1800の遠位面1803に開口部1802を含むことができる。開口部1802は、吸引および把持される組織の種類と形状に一致する任意の所望の形状を含むことができる。たとえば、開口部1802は遠位ツール911を通じた吸引時に略円形状組織をより確実かつ容易に把持することができる略円形状をとることができる。遠位ツール911を通じた吸引によって、所望の組織部位を開口部1802へ引き込み、該組織部位をカップ装置1800の少なくとも1部の中に固定することができる。また、開口部1802はカップ装置1800の遠位面1803に配置されるため、吸引装置900、1000、1100、1500、1600のすぐ前の組織部位を吸引および把持することができる。
【0112】
図13Bに示すように、カップ装置1810は、カップ装置1810の側面1812に開口部1811を含むことができる。開口部1811は略楕円形状を含み、遠位ツール911を通じた吸引時に略楕円状組織をより確実かつ容易に把持することができる。さらに、開口部1811がカップ装置1810の側面1812に配置されるため、吸引装置900、1000、1100、1500、1600側面の組織部分を吸引および把持することができる。さらに、開口部1811は吸引の方向に
直角である(すなわち、遠位ツール911に交差する)ため、吸引力と把持力をさらに高めることができる。
【0113】
図13Cに示すように、カップ装置1820は、カップ装置1820の側面1822に開口部1821を有することができる。カップ装置1820は略円柱形状をとることもできる。開口部1821は遠位管11の長手軸に略平行な略細長形状をとることができる。したがって、開口部1821、遠位ツール911による吸引時、遠位ツール911に略平行に延在する組織の略細長領域をより確実かつ容易に把持することができる。さらに、開口部1821がカップ装置1820の側面1822に位置するため、吸引装置900、1000、1100、1500、1600の両側の組織部分を吸引および把持して、吸引力と把持力をさらに強めることができる。
【0114】
図13Dに示すように、カップ装置1830は、カップ装置1830の側面1832に開口部1831を有することができる。カップ装置1830は略円錐形状とすることができる。開口部1831は略細長形状をとり、遠位ツール911の長手軸に略
直角にすることができる。したがって、開口部1831は、遠位ツール911による吸引時、遠位ツール911に略
直角に延在する組織の略細長領域をより確実かつ容易に把持することができる。さらに、開口部1831がカップ装置1830の側面1832に配置されるため、吸引装置900、1000、1100、1500、1600の側面の組織部分を吸引および把持して、吸引力と把持力をさらに強めることができる。
【0115】
図13Eに示すように、カップ装置1840は、カップ装置1840の長手軸に対してある角度で配置される開口部1841を含むことができる。開口部1841は、遠位ツール911による吸引時に略円形状組織をより確実かつ容易に把持するように略円形状をとることができる。さらに、開口部1841は傾斜構造であるため、吸引装置900、1000、1100、1500、1600の前または側面の組織部分を吸引および把持することができる。
【0116】
カップ装置1800、1810、1820、1830、1840は中空とすることができるが、カップ装置1800、1810、1820、1830、1840が遠位ツール911によって印加される吸引力によりつぶれるのを防止するように十分剛直な任意の適切な材料で形成されると認識すべきである。さらに、カップ装置1800、1810、1820、1830、1840は、把持領域を視覚化できる任意の適切な透明材料で形成することができる。
【0117】
当業者によって認識されるように、本開示の吸引装置900、1000、1100、1500、1600は多数の利点を享受することができる。まず、たとえば、遠位ツール911は内視鏡に関係なく調節することができる、すなわち、遠位ツール911の位置は、内視鏡1を連接させる、操縦する、変位させる、引く、および/または押す必要なく、位置決め機構912、1012、1112または制御部材1507、607を操作するように変更することができる。したがって、遠位ツール911の位置のより精密な制御を医師に提供することができる。また、医師は、別の医師や助手などの第2のオペレータからの支援なく吸引装置900、1000、1100、1500、1600を操作および制御することができる。医師は吸引装置900、1000、1100、1500、1600の位置および作動(すなわち、吸引)を直接かつ同時に制御することができる。さらに、複数のツールを収容する内視鏡と共に吸引装置900、1000、1100、1500、1600を使用する際、吸引装置900、1000、1100、1500、1600を位置決めするために内視鏡全体を操縦する必要がないため、吸引装置900、1000、1100、1500、1600の位置を他のツールを移動させずに制御することができる。
【0118】
特定の実施形態では、遠位ツールは、他の内視鏡ツールを身体解剖構造に挿入するガイドとしての役割を果たすことができる。たとえば、電気焼灼ループは遠位ツールに連結される挿入管を通じて供給することができる。次に、電気焼灼ループは遠位ツールを出て目標組織に到達することができる。位置決め機構を作動させることによって、遠位ツール、ひいては電気焼灼ループは所望の位置へ偏向させることができる。
【0119】
さらに、装置900、1000、1100、1500、1600のいずれも身体解剖構造を視覚化する撮像システムを含むことができると認識すべきである。撮像システムは、光ファイバおよび/または照明ユニットを含む電子カメラなど、身体解剖構造内の画像を捕捉する任意の適切なシステムを含むことができる。よって、その後、装置900、1000、1100、1500、1600は視覚化のため内視鏡1なしでも使用することができる。にもかかわらず、内視鏡1を有する撮像システムを備えた装置900、1000、1100、1500、1600を採用することで、内視鏡1からのある領域と装置900、1000、1100、1500、1600からの別の領域を含む複数領域の視覚化を提供することができる。
【0120】
特定の実施形態では、装置900、1000、1100、1500、1600は、内視鏡1の作業チャネル6を通って、把持される目標組織またはその近傍の領域まで送達することができる。その後、遠位ツール911は目標組織に向けて偏向させ、遠位ツール911を通じて吸引を行うことができる。吸引を作動するため、真空源と関連付けられるフットペダルまたはボタンを作動することができると認識すべきである。遠位ツール911を通じた吸引は、目標組織を把持する負圧を誘発することができる。たとえば吸引アクチュエータ1703の押下、あるいは真空源のフットペダルまたはボタンの適切な作動によって実現される正圧、または負圧の欠如により目標組織を解放することができる。いったん目標組織が把持されれば、遠位ツール911は所望の位置まで偏向させて目標組織を操作することができる。たとえば、遠位ツール911は、目標組織を引くおよび/または押すことによって目標組織を後退させるように偏向させることができる。遠位ツール911は、内視鏡1の別の作業チャネル6を通じて送達されるナイフ、解剖器具、またはハサミなどの別のツールがより容易に目標組織に到達して、目標組織を切断、切開、および/または切除することができるように目標組織を位置決めすべく偏向させることができる。
【0121】
本願に記載の実施形態のいずれにおいても、遠位ツール911は最初のまたはデフォルトの位置で、吸引装置の長手軸からオフセットされ、所望の位置まで偏向させることができる。さらに、遠位ツール911は
導電性材料で形成され、電気焼灼用に構成することができる。また、装置900、1000、1100、1500、1600は遠位ツール911を通じて任意の適切な液体または気体を送達する注入装置としての役割を果たすことができる。さらに、遠位ツール911は任意の適切な可撓性特徴を有することができる。たとえば、遠位ツール911の近位部(たとえば、旋回部材918、1018、1118、ハブ1502に接続される部分)は、遠位ツール911の残りの部分よりも軟らかく可撓性の高い材料から成る、あるいは蛇腹を含むことができる。いくつかの実施形態では、近位部を除く遠位ツール911の全長を任意の適切な材料または方法で補強することができる。また、内腔が旋回部材918、1018、1118とハブ1502を通じて延在し、遠位ツール911を吸引管914に流体接続することができる。
【0122】
どの実施形態に記載のどの側面も、本願に記載の任意のその他の実施形態と組み合わせて使用することができる。本願に記載のあらゆる装置は任意の適切な医療手順において使用し、任意の適切な誘導針、内視鏡、および/または誘導管を通じて導入および使用し、任意の適切な身体内腔および身体空隙を通って前進させ、任意の適切な身体部分の治療のために使用することができる。たとえば、本願に記載の装置および方法は、口腔、膣、または直腸からのアクセスを含め、天然の身体内腔または管で使用することができ、経皮的な用途を介して使用することができる。
【0123】
本開示の多数の特徴および利点は詳細な説明から自明であるため、添付の請求項によって、本開示の真の精神と範囲に含まれる本開示の特徴および利点をすべて含むことを目的とする。さらに、当業者は多数の変更および変形を容易に思いつくため、本開示を図示および説明されるものと厳密に同じ構造および動作に限定することは望ましくなく、適切な変更と等価物はすべて本開示を用い、本開示の範囲に含めることができる。