特許第6584600号(P6584600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6584600改善された品質係数を有する三軸アンテナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6584600
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】改善された品質係数を有する三軸アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/06 20060101AFI20190919BHJP
   H01Q 1/40 20060101ALI20190919BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   H01Q7/06
   H01Q1/40
   H01Q21/24
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-133937(P2018-133937)
(22)【出願日】2018年7月17日
(65)【公開番号】特開2019-22216(P2019-22216A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2018年7月17日
(31)【優先権主張番号】17382468.1
(32)【優先日】2017年7月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516044978
【氏名又は名称】プレモ・エセ・ア
【氏名又は名称原語表記】PREMO,S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ・コボス・レイエス
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・ロハス・クエバス
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ・エセキエル・ナバロ・ペレス
【審査官】 新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−106780(JP,A)
【文献】 特開2011−166707(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0155629(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 7/06
H01Q 1/40
H01Q 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対して直角であるX軸(X)、Y軸(Y)、及びZ軸(Z)を画定する角柱状の構成を有する磁気コア(10)であって、前記角柱状の構成が、前記X軸(X)、Y軸(Y)及びZ軸(Z)の各々に対して垂直な2つの主面を有する四角柱の構成であり、前記角柱状の構成が、前記磁気コア(10)の各角部において前記Z軸(Z)方向上に突出する突出部(11)を含み、前記突出部(11)が、前記磁気コア(10)を取り囲むX軸巻線チャネル(12X)及びY軸巻線チャネル(12Y)の境界を定める、磁気コア(10)と、
前記X軸巻線チャネル(12X)内部の前記磁気コア(10)を包囲する、前記X軸(X)の周囲に巻かれたX軸コイル(20X)であって、2つの別個かつ隣接したX軸部分コイル(21X)を備える、X軸コイル(20X)と、
前記Y軸巻線チャネル(12Y)内部の前記磁気コア(10)を包囲する、前記Y軸(Y)の周囲に巻かれたY軸コイル(20Y)であって、2つの別個かつ隣接したY軸部分コイル(21Y)を備える、Y軸コイル(20Y)と、
前記磁気コア(10)を包囲する、前記Z軸(Z)に巻かれたZ軸コイル(20Z)と、を備え、
前記X軸巻線チャネル(12X)が、前記Y軸巻線チャネル(12Y)がより低い高さで画定された前記X軸巻線チャネル(12X)によって遮られる、2つの対向する交差領域上の前記Y軸巻線チャネル(12Y)と交差する、改善された品質係数を備える三軸アンテナであって、
前記突出部(11)が、前記X軸コイル(20X)及び前記Y軸コイル(20Y)と干渉することなく、その周りに巻かれた前記Z軸コイル(20Z)を有する外周を画定する前記X軸(X)及び前記Y軸(Y)方向にさらに突出し、
前記磁気コア(10)が、
前記X軸巻線チャネル(12X)から突出し、前記X軸巻線チャネル(12X)を2つのX軸部分的巻線チャネル(13X)に分割する、少なくとも1つのX軸隔壁(14X)であって、前記2つの別個かつ隣接したX軸部分コイル(21X)が収容され、前記X軸突出壁が、前記Y軸巻線チャネル(12Y)と干渉しない、X軸隔壁と、
前記Y軸巻線チャネル(12Y)から突出し、前記Y軸巻線チャネル(12Y)を2つのY軸部分的巻線チャネル(13Y)に分割する、少なくとも1つのY軸隔壁(14Y)であって、前記2つの別個かつ隣接したY軸部分コイル(21Y)が収容される、Y軸隔壁と、
前記磁気コア(10)の前記外周に含まれ、前記X軸(X)及び/または前記Y軸(Y)方向に突出し、2つの部分の鋳型から容易に形成可能ではない、成形不能な形状寸法を有する磁気コアを提供する、Z軸壁(14Z)と、
を含むことを特徴とする三軸アンテナ。
【請求項2】
前記X軸隔壁(14X)が、前記Y軸(Y)方向に、及び/または前記Z軸(Z)方向に突出している、請求項1に記載の三軸アンテナ。
【請求項3】
前記Y軸隔壁(14Y)が、前記X軸(X)方向に、及び/または前記Z軸(Z)方向に突出している、請求項1または2に記載の三軸アンテナ。
【請求項4】
前記X軸隔壁(14X)が、前記磁気コア(10)の4つの隣接する面の周囲に延びる、連続的な壁である、請求項1〜3のいずれかに記載の三軸アンテナ。
【請求項5】
前記Y軸隔壁(14Y)が、2つの独立した対称的な壁であり、各々が、前記角柱状コア(10)の3つの隣接する面の周囲に連続的に延び、前記X軸巻線チャネル(12X)によって間隔を置かれた前記2つの独立した対称的な壁である、請求項1〜4のいずれかに記載の三軸アンテナ。
【請求項6】
前記X軸隔壁(14X)及び/または前記Y軸隔壁(14Y)が、前記突出部(11)から等距離である、請求項1〜5のいずれかに記載の三軸アンテナ。
【請求項7】
前記Z軸壁(14Z)が、前記Z軸巻線チャネル(12Z)をともに画定する2つの対称的なZ軸部分的巻線チャネル(13Z)を画定する前記外周の中央に位置し、前記Z軸(Z)の周囲に巻かれた前記Z軸コイル(20Z)が、各々が異なる1つのZ軸部分的巻線チャネル(13Z)に巻かれた、2つの別個かつ隣接したZ軸部分コイル(21Z)を備える、請求項1に記載の三軸アンテナ。
【請求項8】
前記Z軸壁(14Z)が、前記外周の非中心位置から突出し、前記Z軸コイル(20Z)が、前記Z軸コイル(20Z)のための1つの巻き付け限界を画定する前記Z軸壁(14Z)の一方の側で前記Z軸(Z)の周囲に巻かれる、請求項1に記載の三軸アンテナ。
【請求項9】
Z軸補助壁(15Z)が、前記外周の非中心位置に突出し、前記Z軸補助壁(15Z)が、それらの間にZ軸巻線チャネル(12Z)を画定する前記Z軸壁(14Z)に対して対称的であり、前記Z軸コイル(20Z)が、前記Z軸巻線チャネル(12Z)に収容される、請求項8に記載の三軸アンテナ。
【請求項10】
前記磁気コア(10)が、強磁性体材料、PBM(ポリマー結合軟磁性材料)、加圧焼成された金属粉の中から選択された材料で作られる、請求項1〜9のいずれかに記載の三軸アンテナ。
【請求項11】
前記X軸、Y軸及びZ軸コイル(20X、20Y、20Z)と前記磁気コア(10)との間に、電気絶縁材料がある、請求項1〜10のいずれかに記載の三軸アンテナ。
【請求項12】
前記電気絶縁材料が、化学気相蒸着ポリマーである、請求項11に記載の三軸アンテナ。
【請求項13】
前記三軸アンテナ、絶縁材料オーバーモールドカバーを含み、前記絶縁材料の内部に金属接続端子(30)が埋め込まれ、各金属接続端子(30)が、1つの部分的コイル(21X、21Y、21Z)で構成された1つのワイヤの一端に接続され、前記オーバーモールドカバーは、前記アンテナを回路に電気的に接続するために前記金属接続端子(30)の部分を露出させる、請求項1〜12のいずれかに記載の三軸アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに交差するX軸、Y軸及びZ軸方向に巻かれた3つの直交するコイルによって取り囲まれた磁気コアを含む三軸アンテナに向けられ、これは、任意の方向に/方向から信号を放出及び受信し、低周波数で送信または受信アンテナとして動作するように適合される。
【0002】
提案されたアンテナは、総等価寄生容量(層間及び巻き間)の低減によって得られるX軸、Y軸及びZ軸のQ値(品質係数)の増大による高いゲインを有することを特徴とする。
【0003】
品質係数は、制振プロセスによってサイクルごとに放散されたエネルギに関して、アンテナに保有されたエネルギ(振動共振器)間に存在する比率を判定する無次元パラメータである。高品質係数のアンテナは、低品質係数アンテナよりも低いエネルギ/サイクルを放散する。
【背景技術】
【0004】
US5966641(PLANTRONICS)の図10a及び10bには、透磁性コア1002と第1及び第2の巻線1004及び1006とを含む二軸磁気誘導性空中線の上面及び側面平面図がそれぞれ示される。コア1002は、ボックス形状であり、フェライトで形成される。第1の巻線1004は、第1の平面においてコア1002の表面上に配設される。第2の巻線1006は、第1の平面に対して垂直な第2の平面に配設される。巻線1004及び1006は、相互インダクタンスを最小限にするように方向づけられる。巻線1004及び1006の物理的構造は、無効化するためのさらなる機械的な取り付けまたは調整に対するあらゆる要求を打ち消す、この最小化を提供する。したがって、ほとんどの用途では、そのような構造は、自己無効化として記載されている。コア1002の寸法は、巻線1004及び1006が、略同一のインダクタンス及びキャパシタンスを有するように選択される。
【0005】
US6407677(VALEO)は、磁気結合による低周波通信のための装置を開示し、車両内に位置するエミッタと、識別部材内に置かれたレシーバとを備え、エミッタまたはレシーバのうちの一方が、ループアンテナを含み、エミッタまたはレシーバのうちの他方が、3つの垂直軸の周囲に巻かれ、三面体を画定し、全方向磁界を作り出す3つの関連付けられたコイルを含み、3つの関連付けられたコイルは、互いに対して60度または120度位相がずれた、同様の周波数の電流が供給される。ここで、関連付けられたコイルは、平行六面体の共通の磁気コアの6つの面の周囲に互いに巻き付けられる。
【0006】
ES2200652(PREDAN)は、矩形形状の一体構造磁気コアを有する三次元ハイブリッドアンテナを開示し、3つの互いに直交する巻線が、アンテナが低周波の電磁場に曝されると巻線の各々において信号を受信するように配置されている。さらに、磁気コアは、プラスチックベースに接着接合され、上記プラスチックベースには、その底側に、コアと外部システムとを包囲するように配置された巻線間の相互接続のための端子が設けられている。
【0007】
WO2014072075(PREMO)は、磁気コアと、3つの互いに直交する軸の周囲に巻き付けられた3つの巻線21、22及び23とを有する三次元アンテナを開示しており、上記巻線の各々が、上記コア10を包囲し、磁気コア上の巻線と、巻線コアと支持プレートとして機能するPCBとの間のそれらの接続部の配置に関連する。
【0008】
当技術分野において周知のように、固定数の曲線Nを有する所与のインダクタンスについては、所与の区間長さ及び電気抵抗を有する巻線が巻き付けられている、固定動作周波数及び周知の透磁性材料の、所与の形状のコアは、放散される総容量が低いほど、Qの値が大きくなる。
【0009】
高周波のコイルでは、それらが動作周波数に近接した周波数で自動共振に入らないことが必要である。これを解決するために、通常の実施では、動作周波数を上回る大きさ程度の共振周波数を有するコイルが設計されてきた。このことから、誘導性及び容量性インピーダンスの値は、自動共振周波数に対して、大きさにおいて等しく、角度において反対であるように計算される。ラジオ及びテレビジョンシステムにおける高い動作周波数で、中波コイル及びRF同調ポットの動作を可能にするために、1950〜1970年代には、共振周波数が最大となるようにQ値を増大させ、分布容量を減らすために、分割することによって巻線がコイル巻きされるマルチセクションコイル巻き型を用いることが一般的なやり方であった。
【0010】
この技法の一例は、EP2360704B1(SUMIDA)に見いだすことができ、これは、分布容量を低減させ、共振周波数及びQ値を増大させるために、十字型のコアと、分岐ごとに少なくとも3つの直列の巻線とを有するアンテナコイルに関する。
【0011】
文献US9647340B2(TOKO)は、X軸、Y軸及びZ軸を画定する磁気コアを有する三軸アンテナを記載しており、上記アンテナは、X軸の周囲に巻かれたX軸コイルと、Y軸の周囲に巻かれたY軸コイルと、Z軸の周囲に巻かれたZ軸コイルとを含む。本文献によれば、各コイルは、2つの平行かつ対称的な部分コイルを含む。
【0012】
本文献に記載された磁気コアは、4つの角部に、X軸コイルを包含するため、及びY軸コイルを包含するための2つの直交する巻線チャネルを画定する4つの突出部を有するが、磁気コアの外周には、Z軸コイルを包含する巻線チャネルが欠落している
【0013】
磁気コアは、Z軸対称部分コイルを包含するための2つの平行した巻線チャネルを画定する支持構造の内部に挿入される。また、上記支持構造は、X軸コイルと磁気コアとの間に部分的に介在し、またY軸コイルと磁気コアとの間にも介在し、上記支持構造は、対称的な部分コイルから間隔を置かれた隔壁を含む。
【0014】
上記支持構造は、コイルを磁気コアから間隔を置いて配置するが、コイル長さの増大を引き起こし、アンテナの品質係数を低減させる寄生容量を生じさせる。
【0015】
本発明は、当業者に、3つの直交するコイルが直接まかれ、上記コイルのうちの少なくとも2つが、それ自体のコアの隔壁によって分離される特別なコアに基づくQ値の増大によって、高いゲインを有する三軸アンテナを得るための代替の解決策を提供することを考慮してなされている。また、提案された解決策は、小型化及び省空間を提供する。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、任意の方向に/方向から信号を放出及び受信するための三軸アンテナに関し、該アンテナは、改善された品質係数を有する。
【0017】
品質係数は、制振プロセスによってサイクルごとに放散されたエネルギに関して、インダクタアンテナとしての振動共振器に蓄えられたエネルギ間に存在する比率を決定する。
【0018】
本発明の目的は、先に周知のより低い品質係数のアンテナよりもサイクルごとのエネルギ放散が少ない、高い品質係数のアンテナを得ることである。
【0019】
提案された本発明は、技術水準によって知られるように、
互いに対して直角であるX軸(X)、Y軸(Y)、及びZ軸(Z)を画定する角柱状の構成を有する磁気コア(10)であって、角柱状の構成が、X軸(X)、Y軸(Y)及びZ軸(Z)の各々に対して垂直な2つの主面を有する四角柱の構成であり、角柱状の構成が、磁気コア(10)の各角部においてZ軸(Z)方向上に突出する突出部(11)を含み、突出部(11)が、磁気コア(10)を取り囲むX軸巻線チャネル(12X)及びY軸巻線チャネル(12Y)の境界を定める、磁気コア(10)と、
X軸巻線チャネル(12X)内部の磁気コア(10)を包囲する、X軸(X)の周囲に巻かれたX軸コイル(20X)であって、2つの別個かつ隣接したX軸部分コイル(21X)を備える、X軸コイル(20X)と、
Y軸巻線チャネル(12Y)内部の磁気コア(10)を包囲する、Y軸(Y)の周囲に巻かれたY軸コイル(20Y)であって、2つの別個かつ隣接したY軸部分コイル(21Y)を備える、Y軸コイル(20Y)と、
磁気コア(10)を包囲する、Z軸(Z)に巻かれたZ軸コイル(20Z)と、を備え、
X軸巻線チャネル(12X)が、Y軸巻線チャネル(12Y)がより低い高さで画定されたX軸巻線チャネル(12X)によって遮られる、2つの対向する交差領域上のY軸巻線チャネル(12Y)と交差する。
【0020】
上記突出部は、Z軸方向に、好ましくは磁気コアの両方の対向する側で突出し、互いに対して間隔を置かれ、それらの間に互いに向かい合う突出部の側面間に限定された空間を画定する。上記空間は、磁気コアの周囲にコイルを巻き付けることができ、上記突出部によってその位置に保持されることができる巻線チャネルである。
【0021】
X軸及びY軸巻線チャネルの両方が交差すると、X軸巻線チャネルは、Y軸巻線チャネルより低い高さにあり、彫ることによって上記Y軸巻線チャネルを遮り、X軸コイルは、上記交差領域内に置かれてX軸コイルに重複された、Y軸巻線チャネル内に収容されたY軸コイルと干渉することなく、収容されることができる。そして、互いに向かい合う突出部の側面間に包含されたY軸巻線チャネルの一部は、X軸巻線チャネルとは異なる高さにあり、X軸巻線チャネルを包含している凹み領域によってY軸巻線チャネルを遮る。
【0022】
この特徴は、X軸コイルの第1の巻線、そしてひいてはY軸コイルの巻線が、X軸コイルを干渉することなく通過することを可能にする。
【0023】
開示された技術水準とは異なり、本発明は、以下の特徴を提案する。
【0024】
突出部が、X軸コイル及びY軸コイルと干渉することなく、その周りに巻かれたZ軸コイル(20Z)を有する外周を画定するX軸及びY軸方向にさらに突出し、
前記磁気コアが、X軸巻線チャネルから突出し、X軸巻線チャネルを2つのX軸部分的巻線チャネルに分割する、少なくとも1つのX軸隔壁であって、2つの別個かつ隣接したX軸部分コイルが収容され、X軸突出壁が、Y軸巻線チャネルと干渉しない、X軸隔壁を含み、
前記磁気コアが、Y軸巻線チャネルから突出し、Y軸巻線チャネルを2つのY軸部分的巻線チャネルに分割する、少なくとも1つのY軸隔壁であって、2つの別個かつ隣接したY軸部分コイル(21Y)が収容される、Y軸隔壁を含む。
【0025】
磁気コアの外周を画定するX軸及びY軸方向への突出部の突出によって、磁気コアの外周面に階段状構成が設けられ、外面は、磁気コアの中心からより離れた面であり、他の周面は、上記X軸巻線チャネル及びY軸巻線チャネルの突出部間に位置する中心からあまり離れていない。
【0026】
磁気コアの主面が、X軸コイル及びY軸コイルが互いに交差し、Z軸に対して垂直であり、周面が、上記主面を包囲する面であることが理解されよう。
【0027】
磁気コアの上記外面の周囲に巻かれたZ軸コイルは、突出部間に収容されたX軸コイル及びY軸コイルと干渉しない。
【0028】
磁気コアの形状寸法は、3つのX軸コイル、Y軸コイル及びZ軸コイルの巻線は、あらゆる付加的な構造的支持体を必要とすることなく、磁気コアの表面と直接接触することを可能にする。磁気コア上にコイルを巻くことによって、コイルの各巻き付けの長さ、及び上記コイルからなるワイヤの全長を低減させる。これが、アンテナの品質係数を増大させる。
【0029】
上述のように、各X軸コイルは、2つの別個かつ隣接したX軸部分コイルを備える。磁気コアは、X軸巻線チャネル内に収容され、磁気コアから突出するX軸隔壁を含む。上記X軸隔は、互いに平行な2つのX軸部分的巻線チャネルを画定し、磁気コア上の2つの分割されたX軸部分コイルの、容易に精密かつ自動的な巻き付けを可能にする。
【0030】
対応する隔壁が、Y軸巻線チャネルに存在し、互いに平行である2つの平行なY軸部分的巻線チャネルを画定する。
【0031】
各部分的コイルは、各自それぞれの磁界を発生させる。各コイル上に2つの平行な部分コイルを含むことによって平行な磁界が発生し、これは上記磁界の放散を防止し、エネルギ放散を低減させ、ひいてはアンテナの品質係数を増大させる。
【0032】
磁気コアのすぐ上に上記隔壁を含むことによって、コイルの長さを増大させる隔壁を支持するための非磁気支持構造体の使用が回避され、ひいてはアンテナの品質係数を低減させる(例えば、US9647340B2で用いられる支持構造体を参照)。
【0033】
隔壁は、1つの隔壁であることもでき、好ましくは多重の同一平面上の隔壁であることもできる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、X軸隔壁は、Y軸方向に、及び/またはZ軸方向に突出している。Y軸隔壁もまた、X軸(X)方向に、及び/またはZ軸(Z)方向に突出していることができる。
【0035】
X軸隔壁は、磁気コアの4つの隣接する面の周囲に延びる、連続的な壁である。X軸巻線チャネルがY軸巻線チャネルと、及び/またはZ軸巻線チャネルと交差する交差領域において、上記X軸隔壁の高さは、X軸巻線チャネルと他の巻線チャネルとの間の境界をつける階段状構成と等しいかまたはそれよりも低い。これによって、X軸隔壁がY軸コイルまたはZ軸コイルと干渉することを防止する。
【0036】
一実施形態によれば、Y軸隔壁は、2つの独立した対称的な壁であり、各々が、角柱状コアの3つの隣接する面の周囲に連続的に延び、X軸巻線チャネルによって間隔を置かれた2つの独立した対称的な壁である。Y軸巻線チャネルがZ軸巻線チャネルと交差する交差領域において、上記Y軸隔壁の高さは、Y軸巻線チャネルとZ軸巻線チャネルとの間の境界をつける階段状構成と等しいかまたはそれよりも低く、Y軸隔壁がZ軸コイルと干渉することを防止する。
【0037】
好ましくは、X軸隔壁及び/またはY軸隔壁は、突出部から等距離であり、対応する巻線チャネル上に中心が置かれる。これによって、部分コイルが等しくかつ対称に位置し、発生した磁界もまた対称であり、品質係数が増大することが明らかになる。
【0038】
また、磁気コアの上記外周は、X軸及び/またはY軸方向に突出しているZ軸壁を含むことがさらに提案される。この解決策は、磁性材料を注入された鋳型によって生産可能な磁気コアの作成を可能にし、上記磁気コアは、2つの部分の鋳型からは容易に成形されることができない形状寸法を有する。この特徴は、磁気コアの容易で安価、高速かつ精密な製造を可能にする。
【0039】
上記Z軸壁は、2つの対称的なZ軸部分的巻線チャネルを画定する外周の中央に位置することができ、上記部分的チャネルは、Z軸巻線チャネルをともに画定する。本実施形態では、Z軸の周囲に巻かれたZ軸コイルは、各々が異なる1つのZ軸部分的巻線チャネルに巻かれた、2つの別個かつ隣接したZ軸部分コイルを備える。
【0040】
代替的に、Z軸壁は、外周の非中心位置に突出することができ、Z軸コイルは、上記Z軸コイルのための1つの巻線限界を画定するZ軸壁の一方の側のZ軸の周囲に巻かれる。
【0041】
付加的な実施形態によれば、Z軸補助壁は、外周の非中心位置に突出し、上記Z軸補助壁は、それらの間にZ軸巻線チャネルを画定するZ軸壁に対して対称的であり、Z軸コイルは、上記Z軸巻線チャネルに収容される。この解決策は、Z軸コイルがその位置から動くことを防止するが、磁気コアの生産がより複雑かつ高価になり、ゆえに上記形状は、2つの部分の鋳型から得られることはできず、Z軸巻線チャネルを作り出すためにより複雑な鋳造を必要とするか、または磁気コアに対するフライス作業を必要とする。
【0042】
代替の実施形態では、磁気コアは、非中心位置に位置する複数のZ軸壁を含み、部分的Zコイルのための多重Z軸巻線チャネルを作り出すことができる。
【0043】
好ましくは、上記磁気コアは、強磁性体材料、PBM(ポリマー結合軟磁性材料)、加圧焼成された金属粉から選択された材料で作られる。
【0044】
角柱状の構成は、X軸、Y軸及びZ軸の各々に対して垂直な2つの主面を有する四角柱の構成であることができる。
【0045】
X軸、Y軸及びZ軸コイルと磁気コアとの間に、電気絶縁材料の被覆があり、上昇した誘導電流(渦電流)の循環を防止し、磁気コアの導電度に起因するコイルインダクタと並列に等価抵抗を発生させ、アンテナの品質係数を増大させることがさらに提案される。
【0046】
上記電気絶縁材料は、好ましくは化学気相蒸着ポリマーであり、磁気コアを被覆する超薄絶縁を作り出す。上記超薄絶縁材料は、コイルの各ターンの長さの増大を引き起こさない。
【0047】
三軸アンテナは、絶縁材料でオーバーモールドされ、金属接続端子が内部に埋め込まれ、各金属接続端子は、1つのコイルで構成された1つのワイヤの一端に接続され、各金属接続端子は、三軸アンテナカバーの外側からアクセス可能な、絶縁材料によって被覆されていない部分を有する。上記オーバーモールドは、コイルがその精密な位置から移動することを防止し、品質係数を低減させる不正操作またはアクシデントを防止し、金属接続端子は、三軸アンテナの回路への容易かつ安全な接続を可能にし、上記端子の端部で実装面パッドとして機能する。
【0048】
本発明の他の特徴は、以下の一実施形態の詳細な説明からわかる。
【0049】
前述及び他の利点及び特徴は、例証的かつ非限定的に取られるべき添付の図面を参照した、以下の実施形態の詳細な説明からより十分に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明の第1の実施形態による磁気コアの斜視図である。
図2】周囲に巻かれたX軸コイル、Y軸コイル及びZ軸コイルを有し、金属接続端子をさらに含む、図1に示されたものと同じ磁気コアの斜視図である。
図3】本発明の第2の実施形態による磁気コアの斜視図である。
図4】周囲に巻かれたX軸コイル、Y軸コイル及びZ軸コイルを有する、図3に示されたものと同じ磁気コアの斜視図である。
図5】第3の実施形態による磁気コアの平面図である。
図6図5に示された磁気コアの側面図である。
図7】Z軸巻線チャネルを横切る、図5に示された磁気コアの横断断面である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
前述及び他の利点及び特徴は、例証的かつ非限定的であるとして取られるべきである添付の図面を参照した実施形態の以下の詳細な説明から、さらに完全に理解されよう。
【0052】
提案された三軸アンテナの第1の実施形態によれば、磁気コア10は、加圧焼成された金属粉から得られる。上記磁気コア10は、その形状寸法のため、2つの部分の鋳型で作成され、これによって、2つの鋳型から鋳造物を容易に抜き出すことを可能にする。代替の実施形態では、コアのための別の材料、好ましくは強磁性体材料、PBM(ポリマー結合軟磁性材料)を用いることができる。磁気コア10の形状は、図1に示されており、互いに対して直角であるX軸X、Y軸Y及びZ軸Zを画定し、4つの角部を備える、Z軸に対して垂直である2つの主面を有する角柱状の構成である。
【0053】
各角部において、突起11は、上記磁気コア10から突出し、上記4つの突出部11は、磁気コア10の両方の主面上に突出し、上記突出部11は、磁気コア10の外周を画定する角柱状の構成の半径方向外側に延びる。
【0054】
磁気コア10の各主面上には、4つの突出部11の間に、2つの垂直な巻線チャネル12X及び12Yが作り出される。X軸巻線チャネル12Xは、両方の主面を横切る。X軸巻線チャネル12Xによって占拠されない2つの隣接する突出部11間で画定された空間は、X軸巻線チャネル12Xを有する階段状構成を作り出す上昇面を含む。上記上昇面は、X軸巻線チャネル12Xに関して異なる高さにあるY軸巻線チャネル12Yを画定する。
【0055】
磁気コア10の周囲面は、磁気コア10の主面を接続する面であり、その周囲に位置し、磁気コア10の外周を含む。
【0056】
先に述べたように、突出部11は、半径方向(X軸X方向及びY軸Y方向)に突出する。半径方向に突出する突出部11間は、X軸巻線チャネル12Xの一部と、Y軸巻線チャネル12Yの一部とで画定され、上記部分は、磁気コア10の周囲面上に画定されている。
【0057】
X軸巻線チャネル12Xは、その中央に、本実施形態では磁気コア10を包囲する環状の連続的な壁であるX軸隔壁14Xを含む。
【0058】
上記X軸隔壁14Xは、磁気コア10の突起であり、一方の側で2つのX軸部分的巻線チャネル13Xを画定する。
【0059】
また、Y軸巻線チャネル12Yは、その中央にY軸隔壁14Yを含み、これらは、本実施形態では、各々が磁気コア10の3つの面を覆う2つの独立した同一平面上の壁であり、上記Y軸隔壁14Yは、磁気コア10の突起であり、2つのY軸部分的巻線チャネル13Yを各側面に1つ画定している。
【0060】
磁気コア10の外周は、突出部11の外面によって画定され、磁気コア10から突出するZ軸壁14Zをさらに含み、Z軸壁14Zは、本実施形態では、各々の突起11上に1つ、その側面の中心に置かれて、2つのZ軸部分的巻線チャネル13Zを画定している、4つの同一平面上の壁を含む。
【0061】
図2では、どのようにして、各X軸部分的巻線チャネル13X上において、X軸部分的コイル21Xが巻かれ、2つのX軸部分コイル21Xがともに、磁気コア10を包囲するX軸コイル20Xを作成するかが示されている。
【0062】
また、各Y軸部分的巻線チャネル13Yでは、Y軸部分的コイル21Yが巻かれ、2つのY軸部分コイル21Yがともに、磁気コア10を包囲するY軸コイル20Yを作成している。
【0063】
最後に、各Z軸部分的巻線チャネル13Zにおいて、Z軸部分的コイル21Zが巻かれ、2つのZ軸部分コイル21Zがともに、磁気コア10を包囲するZ軸コイル20Zを作成している。
【0064】
そして、金属接続端子30は、三軸アンテナの周囲に配設され、各金属接続端子30は、部分的コイル21X、21Y、21Zからなるワイヤの一方の端に接続されている。
【0065】
図2に示されるように、各金属接続端子30は、突出部11の各々において、例えば接着剤によって磁気コア10に取り付けられ、面実装パッドとして機能する面実装接続のための部分を提供する。
【0066】
加えて、その後オーバーモールドカバーは、三軸アンテナの周囲に作成され、すべての金属接続端子30のパーツは、回路のために作成されたアンテナの電気接続部に対して露出されて残される。このオーバーモールドカバーは、図中には示されていない。
【0067】
図3に示された代替の実施形態によれば、X軸隔壁14Xは、不連続的で非環状であることができる。
【0068】
Z軸隔壁14Zは、本実施形態では、外周の非中心位置に位置し、Z軸巻線チャネル12Zをその一方の側のみに画定し、図4に示されるように、単一のZ軸コイル20Zが巻かれている。
【0069】
図5、6及び7に示された付加的な代替では、X軸隔壁14Xは、Y軸Y方向のみに突出され、Y軸隔壁14Yは、X軸X方向のみに突出され、両方ともが、磁気コア10の周囲面から突出し、磁気コア10の主面からは突出していない。
【0070】
本実施形態では、Z軸壁14Zは、突出部11の外周から非中心位置において突出し、Z軸補助壁15Zもまた、Z軸Zに対して垂直な磁気コア10の中央平面に関して先に言及されたZ軸壁14Zから対称的な非中心位置における外周から突出する。
【0071】
Z軸壁14ZとZ軸補助壁15Zとの間には、Z軸巻線チャネル12Zが画定され、この場合、単一のZ軸コイル20Zが巻かれている。
【0072】
この最後の実施形態に記載された磁気コア10の形状は、2つの部分の鋳型で作成されることができないが、これは、互いに面している2つの壁間に包含されたZ軸巻線チャネル12Zの形状に起因し、また直角方向で互いに面する面間に包含された他の巻線チャネル12X及び12Yにも起因する。
【0073】
このケースでは、磁気コア10は、例えば鋳型に金属粉を押し込むことによって作成されることができ、これによって、Z軸巻線チャネル12Zが欠如している磁気コア10の大まかな形状を作り出す。そして、磁気コア10が抜き出され、Z軸巻線チャネル12Zは、焼成プロセスの前後に、磁気コア10に圧延され、これによって、磁気コア10を形成している金属粉を固形化する。代替で、高圧射出成形プロセス及びそれに続く焼成を用いることができる。
【0074】
先の実施形態のいずれかにおいて、上記磁気コア10は、X軸、Y軸及びZ軸コイル20X、20Y及び20Zを巻く前に、絶縁材料で被覆されることができる。好ましくは、上記絶縁材料は、超薄絶縁層を作成する化学気相蒸着ポリマーである。
【0075】
本発明の一実施形態のさまざまな部分を、他の実施形態における部分と自由に組み合わせることができるが、上記組み合わせは明確には記載されていないが、そのような組み合わせにおいて支障がないという前提であることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7