(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6584744
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】溶接機用電源装置
(51)【国際特許分類】
B23K 9/095 20060101AFI20190919BHJP
B23K 9/00 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
B23K9/095 505A
B23K9/00 330A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-49913(P2014-49913)
(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公開番号】特開2015-174092(P2015-174092A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年1月12日
【審判番号】不服2018-13479(P2018-13479/J1)
【審判請求日】2018年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144393
【氏名又は名称】株式会社三社電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090310
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 正俊
(72)【発明者】
【氏名】森本 猛
(72)【発明者】
【氏名】佐生 浩士
【合議体】
【審判長】
刈間 宏信
【審判官】
青木 良憲
【審判官】
大山 健
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭57−147709(JP,A)
【文献】
特開2004−42112(JP,A)
【文献】
特開2010−201499(JP,A)
【文献】
特開2006−82091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/00-9/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された溶接条件に従って溶接出力を出力する溶接機用電源装置であって、
操作によって前記溶接条件を前記溶接機用電源装置に設定する操作手段と、
前記溶接機用電源装置からの出力電流を検出する電流検出手段と、
前記溶接機用電源装置が動作中であるが前記電流検出手段が出力電流を検出しなくなったときに、そのときの前記溶接条件が自動的に記憶される記憶手段と、
現在の前記溶接条件が過去の前記溶接条件と異なるときに操作される読み出し用操作手段を有し、前記読み出し用操作手段が読み出し操作されたとき前記記憶手段に記憶されている前記溶接条件を読み出して、前記溶接機用電源装置に設定する読み出し手段とを、
有する溶接機用電源装置。
【請求項2】
請求項1記載の溶接機用電源装置において、前記記憶手段は、前記溶接条件の記憶領域を複数有し、前記前記溶接機用電源装置が動作中であるが、前記電流検出手段が前記出力電流を検出しなくなるごとに、そのときの前記溶接条件を順に記憶し、前記読み出し手段は、前記読み出し用操作手段の操作によって、所望の前記溶接条件を読み出して、前記溶接機用電源装置に設定する溶接機用電源装置。
【請求項3】
請求項1記載の溶接機用電源装置において、前記記憶手段への前記溶接条件の記憶は、前記溶接機用電源装置が動作中であるが前記電流検出手段が前記出力電流を検出しなくなったときの前記溶接条件が、前記溶接機用電源装置が動作中であるが前回に前記電流検出手段が前記出力電流を検出しなくなったときの溶接条件と異なるときに行われる溶接機用電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接機用電源装置に関し、特に、溶接条件、例えば溶接プロセスや溶接シーケンスやこれらシーケンスにおける各種のパラメータの値を設定することができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、溶接条件を設定することができる溶接機用電源装置としては、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。特許文献1の溶接機用電源装置では、溶接機用電源装置の主電源スイッチがターンオフされたときに、そのときの溶接条件を記憶手段に自動的に記憶し、主電源スイッチがターンオンされたときに、記憶手段に記憶されている溶接条件を読み出して、溶接機用電源装置に自動的に設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−82091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によれば、溶接作業を一旦中止するために作業員が主電源スイッチをターンオフした後に、溶接作業を再開するために作業員が主電源スイッチをターンオンしたときに前回の溶接作業時の溶接条件を自動的に設定することができる。しかし、主電源スイッチをターンオフせずに、例えばトーチスイッチをオフにしたり、トーチを母材から引き離してアークの発生を停止させて溶接を中止したような場合には、溶接条件は記憶されない。また、溶接を中止した状態で作業員が作業現場を離れた場合、他の作業員が溶接条件を変更することがある。離れていた作業員が作業現場に戻ったとき、溶接条件が変更されていることに気がつき、元の溶接条件に再設定しようとする。しかし、記憶手段には溶接作業の中止前の溶接条件は記憶されていないので、作業員がその記憶に従って元の溶接条件を再設定しようとするが、完全に記憶していない場合がある。その場合には溶接条件の再設定に時間がかかり、溶接を円滑に再開することができない。
【0005】
本発明は、溶接を一時的に中止した後で溶接条件が変更されていても、溶接条件を容易に再設定することができる溶接機用電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の溶接機用電源装置は、設定された溶接条件に従って溶接出力を出力するものである。溶接条件としては、例えば、溶接プロセスのみ、または溶接プロセス及び溶接シーケンスのみ、または選択された溶接プロセス及び溶接シーケンスにおける各種パラメータがある。この電源装置では、操作手段の操作によって前記溶接条件が前記溶接機用電源装置に設定され、前記溶接機用電源装置からの出力電流を電流検出手段が検出する。前記主電源スイッチがオンであるが、前記電流検出手段が前記出力電流を検出しなくなったときに、そのときの前記溶接条件が自動的に記憶手段に記憶される。
現在の前記溶接条件が過去の前記溶接条件と異なるときに操作される読み出し用操作手段を読み出し手段が有し、読み出し用操作手段が読み出し操作されたとき、読み出し手段は、前記記憶手段に記憶されている前記溶接条件を読み出して、前記溶接機用電源装置に設定する。
【0007】
上記の態様において、前記記憶手段は、前記溶接条件の記憶領域を複数有するものとすることができる。この場合、前記溶接機用電源装置が動作中であるが、前記電流検出手段が前記出力電流を検出しなくなるごとに、そのときの前記溶接条件を前記記憶領域に順に記憶し、前記読み出し手段は、
読み出し用操作手段の操作によって、所望の前記溶接条件を読み出して、前記溶接機用電源装置に設定する。このように構成すると、前回よりも以前の溶接条件を設定することが可能となり、例えば一時的な作業のために、溶接条件を作業者が変更したが、一時的に変更する前の溶接条件に再設定したいような場合に有効である。
【0008】
上記の態様において、前記記憶手段への前記溶接条件の記憶は、前記溶接機用電源装置が動作中であるが前記電流検出手段が前記出力電流を検出しなくなったときの前記溶接条件が、前記溶接機用電源装置が動作中であるが前回に前記電流検出手段が前記出力電流を検出しなくなったときの溶接条件と異なるときに行われるものとすることができる。このように構成すると、例えば記憶領域が1つの場合、同じ溶接条件が何度も1つの記憶領域に記憶されることを防止することができるし、複数の記憶領域を記憶手段が有する場合、同じ溶接条件が異なる記憶領域にそれぞれ記憶されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、一時的に溶接条件が変更されても、容易に元の溶接条件を設定することができ、円滑に溶接作業を再開することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態の溶接機用電源装置のブロック図である。
【
図2】
図1の溶接機用電源装置の表示設定部の正面図である。
【
図3】
図1の溶接機用電源装置におけるメモリへの溶接条件の記憶に関するフローチャートである。
【
図4】
図1の溶接機用電源装置におけるメモリの概略構成図である。
【
図5】
図1の溶接機用電源装置におけるメモリからの溶接条件の読み出しに関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の1実施形態の溶接用電源装置は、アーク溶接機用の電源装置であって、様々な溶接条件で動作可能なものである。例えばスティック溶接、高周波TIG溶接、リフトTIG溶接のような溶接プロセスのいずれかで使用可能なものであり、更に高周波TIG溶接やリフトTIG溶接では、出力する電流の極性を直流、交流に切り換えることができる。また、溶接条件としては、クレータモードがあり、例えば2T、4T、リピート、スポットのように異なった溶接シーケンスがある。なお、これら各プロセス及びクレータモードに応じて様々なパラメータが設定される。これらパラメータも溶接条件に含まれる。
【0015】
図1に示すように、この溶接機用電源装置は、入力側交流−直流変換手段、例えば入力側整流部2を有し、商用交流電源からの商用交流電圧を直流化する。この直流化された電圧は、直流−高周波変換手段、例えばインバータ4によって所望の周波数及び所望の値の高周波電圧に変換されて、絶縁手段、例えば変圧器6の一次側に供給される。変圧器6によって変圧され二次側に生成された高周波電圧は、出力側高周波−直流変換手段、例えば出力側整流部8によって直流化される。なお、入力側整流部2とインバータ4との間に定電圧装置または力率改善装置を設けることもある。
【0016】
出力側整流部8からの直流電圧は、交流−直流切換部(AC/DC切換部)10に供給される。交流−直流切換部10は、インバータ4の出力電圧よりも低い所望の周波数の交流電圧を発生して、溶接負荷に供給したり、直流電圧を溶接負荷に供給したりするものである。溶接負荷として、例えば母材とトーチとがある。また、高周波TIG溶接において、アークを発生させるための高周波発生手段、例えば高周波発生部12がAC/DC切換部10と溶接負荷との間に設けられている。
【0017】
インバータ4、AC/DC切換部10及び高周波発生部12を制御するために、制御手段、例えば制御部14が設けられている。制御部14は、例えばCPUから構成され、記憶手段、例えばメモリ16と共同する。メモリ16には、制御用のプログラムが記憶されている。インバータ4、AC/DC切換部10及び高周波発生部12を制御するために、各部に各種検出手段が設けられている。
図1には、検出手段の一例として溶接出力、例えば溶接負荷に供給される電流検出する電流検出手段、例えば電流検出器(ID)18を示してある。また、制御部14には、上述した各溶接条件を設定するために操作手段、例えば表示設定部20が設けられている。これら表示設定部20によって設定された溶接条件は、メモリ16に記憶されている。
【0018】
図2に表示設定部20の詳細を示す。表示設定部20では、溶接プロセス切換ボタン22が設けられ、このボタンを押すたびに、スティック(STICK)、高周波TIG(HF TIG)、リフトTIG(LIFT TIG)にプロセスが切り換えられ、切り換えられたプロセスに応じてスティック表示灯24、高周波TIG表示灯26、リフトTIG表示灯28のいずれかが点灯する。
【0019】
また、表示設定部20には、クレータモード切換ボタン30も設けられ、これを押すたびに溶接シーケンスが、順に2T、4T、リピート(REPEAT)、スポット(SPOT)に切り換えられ、切り換えられた溶接シーケンスに応じて2T表示灯32、4T表示灯34、リピート表示灯36、スポット表示灯38のいずれかが点灯する。
【0020】
また、表示設定部20には、極性切換ボタン40も設けられ、これを押すたびに、電源の極性が直流(DC)、交流(ACHARD)、交流(ACSOFT)に切り換えられ、切り換えられた極性に応じて、DC表示灯42、ACHARD表示灯44、ACSOFT表示灯46のいずれかが点灯する。
【0021】
表示設定部20には波形モードを切り換えるためのパルス設定切換ボタン48も設けられ、例えば直流モードにおいて重畳させるパルスが、パルス(PULSE)、ミドルパルス(MIDDLE PULSE)、ハイブリッドパルス(HYBRID PULSE)、マルチAC(MULTI AC)に順に切り換えられ、この切換に応じてパルス表示灯50、ミドルパルス表示灯52、ハイブリッドパルス表示灯54、マルチAC表示灯56のいずれかが点灯する。
【0022】
これら極性切換やパルス設定において、種々の溶接パラメータが設定される。この設定は、パラメータ切換ボタン58、60を操作することによって各溶接パラメータに切り換えられ、いずれのパラメータが設定可能であるかは、各種パラメータ表示灯62、62・・・が点灯することによって認識され、操作手段、例えばロータリエンコーダ64の操作によりパラメータが設定され、その設定値はパラメータ表示手段、例えばパラメータ表示部66に表示される。
【0023】
このようにして設定された溶接プロセス、クレータモード及び各種パラメータの溶接条件を保存する際には、セーブ(SAVE)ボタン68を操作する。これによって、制御部14はメモリ16が有する不揮発性メモリに設定された溶接条件を記憶する。また、記憶された溶接条件をメモリ16から読み出す際には、ロード(LOAD)ボタン70が操作される。また、セーブ、ロード及びパラメータの操作時に決定として操作されるセット(SET)ボタン72も設けられている。
【0024】
この他に、水冷トーチと空冷トーチの切換ボタン74及びその表示灯76、ガスバルブのオン・オフを切り換えるガスチェックボタン78及びその表示灯80、溶接電流の設定に応じて自動的に適切パラメータを設定するオート(AUTO)モード切換ボタン82及びその表示灯84、この電源を使用した溶接機の起動をオン/オフするコンタクターボタン86及びその表示灯88、リモコンからの操作を可能にするリモートモード(REMOTE)モード切換ボタン90及びその表示灯92、スティックプロセスにおいて使用する電撃防止機能(VRD)の状態を表示する表示灯94、96も、表示設定部20には設けられている。
【0025】
ところで、溶接条件を設定して溶接を行って、一時的に溶接を中止し、作業員が溶接現場を離れるようなことがある。この場合に、他の者が溶接条件を変更することがある。溶接条件が変更された場合、作業員が元の溶接条件に戻すのに詳細に溶接条件を記憶していないと、元の溶接条件に円滑に戻すことができない。
【0026】
そこで、この電源装置では、電流検出器18の出力信号を元に、この電源装置の出力電流が停止したことを検出したとき、例えば電流検出器16が出力電流を検出しなくなったときに、後述の
図3に示すような処理を制御部14が行い、溶接が停止されたときの溶接条件をメモリ16に記憶する。メモリ16内に
図4に示すように複数個、例えばm個の溶接条件の記憶エリアが形成されている。これらエリアは、不揮発性メモリによって構成することが望ましい。なお、出力電流が停止したときに、溶接条件を記憶させるのは、溶接が行われている最中に、溶接条件が変更される場合があるので、1つの溶接作業が終了した時点での溶接条件を記憶させることが望ましいからである。
【0027】
図3に示すように、電流検出器18が出力電流を検出しなくなったとき、まず、出力電流が停止したときの溶接条件が、前回の溶接条件(前回の溶接条件はメモリ16に記憶されている)と1つでも異なっているか制御部14が判断する(ステップS2)。この判断の答えがノーの場合、この処理を制御部14は終了する。既に記憶されている溶接条件を重複して記憶すると、不揮発性メモリとしてEEPROMを使用している場合、その書き込み制限回数を無駄に消費することになるし、記憶エリアを無駄に消費するからである。ステップS2の判断の答えがイエスの場合、制御部14はメモリ16内の溶接条件の記憶エリアを指定する記憶用カウンタwnの値を1つ増加させ(ステップS4)、このカウンタwnの値が最終エリアの値m以上であるかを判断する(ステップS6)。この判断の答えがイエスの場合、制御部14は記憶エリアの最初のエリアを表す値0にカウンタwnの値を設定する(ステップS8)。ステップS8に続いて或いはステップS6の判断の答えがノーの場合、制御部14はカウンタwnの値が表すエリアに、現在の溶接条件を記憶して(ステップS10)、この処理を終了する。このように制御部14は、メモリ16に対する書き込み手段として機能する。
【0028】
溶接を一時的に中止した作業員が溶接を再開しようとしたとき、溶接条件が前回の溶接時と変化していると気づくと、読み出し手段の一部として機能するロードボタン70を操作する。これによって、
図5に示す処理を制御部14が開始する。制御部14も読み出し手段の一部として機能する。読み出しは、読み出し手段の一部として機能するエンコーダ64の操作によって行われるが、エンコーダ64が予め定めた第1の方向、例えば左方向に回転されたか制御部14が判断する(ステップS12)。この判断の答えがノーの場合、即ち、第2の方向、例えば右方向に回転された判断されると、図示していないが予めセーブボタン68、セットボタン72等の操作によってメモリ16にプリセットされた溶接条件の読み出しを制御部14が行う。
【0029】
ステップS12の判断の答えがイエスであると、読み出し用のカウンタrnに現在の書き込み用カウンタwnの値を制御部14が設定する(ステップS14)。カウンタrnの値が示すエリアの溶接条件を制御部14がメモリ16から読み出し、表示する(ステップS16)。この表示としては、まずパラメータ表示部66に行われ、読み出された溶接条件が前回の溶接条件であることを表すために、例えば−L1と表示される。さらに、各溶接条件の内容を表すために、溶接プロセスの各表示灯24、26、28のいずれかの点灯、クレータモードの表示等32、34、36、38のいずれかの点灯、極性モードの表示等42、44、46のいずれかの点灯、各種パラメータ表示灯62、62・・・の点灯等が行われる。
【0030】
次に読み出し手段の一部として機能するセットボタン72が押された
か制御部14が判断する(ステップS18)。この判断の答えがイエスであると、作業員が現在読み出された溶接条件が前回読み出された条件であると判断していると思われるので、読み出した溶接条件を制御部14が設定して(ステップS20)、この処理を終了する。
【0031】
ステップS18の判断の答えがノーであると、作業員が前回の溶接条件に戻さずに、更に前に記憶された溶接条件に戻そうとしているかもしれないので、エンコーダが左または右に回転されたか制御部14が判断する(ステップS22)。この判断の答えがノーの場合、ステップS16に戻る。この判断の答えがイエスの場合、制御部14は、読み出しカウンタrnの値を左回転の場合に増加させ、右回転の場合に減少させる(ステップS24)。なお、右回転させる場合を考慮しているのは、例えば前々回の溶接条件を読み出したが、やはり前回の溶接条件を読み出したい場合に備えてである。次に、増減させられた読み出しカウンタrnの値が0以上m以下であるか制御部14が判断する(ステップS26)。この判断の答えがイエスの場合、ステップS16に戻り、判断の答えがノーの場合、制御部14は読み出しカウンタrnの値が0より小さいと0に設定し、mより大きいとmに設定し(ステップS28)、ステップS16に戻る。
【0032】
ステップSS22がノーと判断されて、或いはステップS28に続いて、ステップS16が実行された場合、読み出された溶接条件が前々回の溶接条件であると、パラメータ表示部66に、例えば−L2と表示され、前前前回の溶接条件であると−L2と表示され、例えば前々回の溶接条件を読み出した結果、−L2の表示がされている状態で、前回の溶接条件を読み出して表示した場合には、パラメータ表示部66の表示は―L1となる。このようにして、m回前までの溶接条件が種々に読み出されるので、そのうち所望の溶接条件が表示されたとき、セットボタン72を操作することによって、所望の溶接条件が設定される。そして、各ステップの合間に、再びロードボタン70が操作されると、制御部14は、先ほどロードボタン70が操作されたときの溶接条件を読み出し、
図5の制御フローを中止する。
【0033】
上記の実施形態では、前回よりも以前の溶接条件を複数記憶させるようにしたが、前回の溶接条件のみを記憶させるようにすることもできる。その場合、溶接条件の記憶では、
図3の制御でステップS2の判断の答えがイエスの場合、直ちにメモリ16内の特定の溶接条件記憶用エリアに現在の溶接条件を記憶させればよく、読み出しでは、
図5の制御でステップS12の判断の答えがイエスの場合、直ちにメモリ16内の特定の溶接条件記憶用エリアの溶接条件を読み出して表示し、溶接条件を設定すればよい。
【0034】
上記の実施形態では、電流検出器18で出力電流を検出しなくなったときに、溶接条件を記憶させるように構成したが、例えばトーチスイッチのオフの検出に応動して、溶接条件を記憶させるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0035】
14 制御部(読み取り手段)
16 メモリ(記憶手段)
20 設定表示部(操作手段)
64 ロータリエンコーダ(読み取り手段)
70 ロードボタン(読み取り手段)
72 セットボタン(読み取り手段)