特許第6584766号(P6584766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6584766
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】ジルコニア焼結体及び歯科用製品
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/488 20060101AFI20190919BHJP
   A61C 13/083 20060101ALI20190919BHJP
   A61C 5/30 20170101ALI20190919BHJP
【FI】
   C04B35/488
   A61C13/083
   A61C5/30
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-223635(P2014-223635)
(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2016-88793(P2016-88793A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】301069384
【氏名又は名称】クラレノリタケデンタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 承央
(72)【発明者】
【氏名】松本 篤志
(72)【発明者】
【氏名】江本 朋弘
【審査官】 末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−020873(JP,A)
【文献】 特開平03−028161(JP,A)
【文献】 特表2003−506309(JP,A)
【文献】 特開2014−141388(JP,A)
【文献】 特開2011−020879(JP,A)
【文献】 特開2011−020876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/48−35/493
A61C 5/00−5/90
A61C 13/083
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表色系におけるLが64〜70未満、aが−6〜3、bが3〜27であり、
酸化エルビウム、
酸化ニッケル、
ジルコニウム及びバナジウムの複合酸化物、
鉄、コバルト及びクロムの複合酸化物、
ジルコニウム及びケイ素の複合酸化物、
二酸化ケイ素、並びに
ジルコニウム、ケイ素、コバルト及びニッケルの複合酸化物
を含む群から選択される少なくとも1つの着色剤を含有し、
少なくとも前記ジルコニウム及びバナジウムの複合酸化物の着色剤を含有する、
ジルコニア焼結体。
【請求項2】
着色剤A:酸化エルビウム、
着色剤B:酸化ニッケル、
着色剤C:ジルコニウム及びバナジウムの複合酸化物、
着色剤D:鉄、コバルト及びクロムの複合酸化物、ジルコニウム及びケイ素の複合酸化物、二酸化ケイ素、及び酸化ニッケルの混合物、並びに
着色剤E:ジルコニウム、ケイ素、コバルト及びニッケルの複合酸化物
を含む群から選択される少なくとも1つの着色剤を含有し、
少なくとも着色剤Cを含有する、
請求項1に記載のジルコニア焼結体。
【請求項3】
前記着色剤Aを0質量%〜0.5質量%、
前記着色剤Bを0質量%〜0.06質量%、
前記着色剤Cを0質量%〜0.2質量%、
前記着色剤Dを0質量%〜0.2質量%、及び
前記着色剤Eを0質量%〜0.1質量%含有し、
前記着色剤A、前記着色剤B、前記着色剤C、前記着色剤D及び前記着色剤Eのうち、少なくとも2つの着色剤を含有し、
前記着色剤Cを0質量%より多く、かつ、0.2質量%以下含有する、
請求項2に記載のジルコニア焼結体。
【請求項4】
表色系におけるLが66〜69であり、aが0〜3であり、bが21〜27である、請求項2又は3に記載のジルコニア焼結体。
【請求項5】
前記着色剤Aを0.1質量%〜0.5質量%、
前記着色剤Bを0.01質量%〜0.04質量%、及び
前記着色剤Cを0.05〜0.2質量%含有する、請求項4に記載のジルコニア焼結体。
【請求項6】
表色系におけるLが64〜70未満であり、aが−2〜3であり、bが7〜19である、請求項2又は3に記載のジルコニア焼結体。
【請求項7】
前記着色剤A、前記着色剤B及び前記着色剤Cのうち、少なくとも1つの着色剤を含有し、
前記着色剤D及び前記着色剤Eのうち、少なくとも1つの着色剤を含有し、
前記着色剤Aを0質量%〜0.4質量%、
前記着色剤Bを0質量%〜0.06質量%、
前記着色剤Cを0質量%より多く、かつ、0.09質量%以下、
前記着色剤Dを0質量%〜0.2質量%、及び
前記着色剤Eを0質量%〜0.1質量%含有する、請求項に記載のジルコニア焼結体。
【請求項8】
表色系におけるLが64〜76、aが−6〜3、bが3〜27であり、
酸化エルビウム、
酸化ニッケル、
ジルコニウム及びバナジウムの複合酸化物、
鉄、コバルト及びクロムの複合酸化物、
ジルコニウム及びケイ素の複合酸化物、
二酸化ケイ素、並びに
ジルコニウム、ケイ素、コバルト及びニッケルの複合酸化物
を含む群から選択される少なくとも1つの着色剤を含有し、
少なくとも前記ジルコニウム及びバナジウムの複合酸化物の着色剤を含有し、
前記ジルコニウム及びバナジウムの複合酸化物の着色剤を0質量%より多く、かつ、0.01質量%未満含有する、
ジルコニア焼結体。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体を備える歯科用製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色剤を含有するジルコニア焼結体に関する。また、本発明は、当該ジルコニア焼結体を用いた歯科用製品に関する。
【背景技術】
【0002】
相転移を抑制する安定化剤を添加した部分安定化ジルコニアは、高強度、高靭性という優れた特性を有するセラミックスである。部分安定化ジルコニアの焼結体は、例えば、歯の治療に使用する補綴材、工具等の種々の用途に使用されている。そこで、審美性を高めるため種々の色を有するジルコニアが開発されている。例えば、ピンク色ジルコニア焼結体(例えば特許文献1参照)、オレンジ色ジルコニア焼結体(例えば特許文献2参照)、紫色ジルコニア焼結体(例えば特許文献3参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−20875号公報
【特許文献2】特開2011−20872号公報
【特許文献3】特開2011−20877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下の分析は、本発明の観点から与えられる。
【0005】
ジルコニア焼結体を使用する歯科用補綴材には、フルカントゥアージルコニアクラウン(Full Contour Zirconia Crown)及び陶材焼付ジルコニア冠(Porcelain Fused to Zirconia)が存在する。
【0006】
フルカントゥアージルコニアクラウンは、ジルコニア焼結体のみで被覆冠を形成するものであり、ジルコニア焼結体の表面が人工歯の表面として露出する。着色されていないジルコニア焼結体は通常白色である。しかしながら、通常の天然歯は黄色味及び赤味を帯びている。したがって、無着色のジルコニア焼結体をフルカントゥアージルコニアクラウンとして用いると、治療した患者の歯は不自然な白さを有することになる。そこで、ジルコニア焼結体自体で天然歯と同様の色を再現することが望まれる。
【0007】
一方、陶材焼付ジルコニア冠は、天然歯の外観を再現するために、ジルコニア焼結体のフレーム上に、着色したガラス等の陶材を築盛して焼き付けたものである。ジルコニア焼結体が天然歯と異なる色を有している場合には、露出面に全体的に陶材を築盛する必要がある。しかしながら、患者の歯型とより精密に整合させるためには、陶材の築盛面積及び築盛量は少なくすることが望まれる。したがって、この場合にもジルコニア焼結体自体が天然歯と同様の色を有していることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1視点によれば、L表色系におけるLが64〜76、aが−6〜3、bが3〜27であるジルコニア焼結体が提供される。ジルコニア焼結体は、酸化エルビウム、酸化ニッケル、ジルコニウム及びバナジウムの複合酸化物、鉄、コバルト及びクロムの複合酸化物、ジルコニウム及びケイ素の複合酸化物、二酸化ケイ素、並びにジルコニウム、ケイ素、コバルト及びニッケルの複合酸化物を含む群から選択される少なくとも1つの着色剤を含有する。
前記第1視点の変形として、ジルコニア焼結体は、L表色系におけるLが64〜70未満、aが−6〜3、bが3〜27であり、酸化エルビウム、酸化ニッケル、ジルコニウム及びバナジウムの複合酸化物、鉄、コバルト及びクロムの複合酸化物、ジルコニウム及びケイ素の複合酸化物、二酸化ケイ素、並びに、ジルコニウム、ケイ素、コバルト及びニッケルの複合酸化物を含む群から選択される少なくとも1つの着色剤を含有し、少なくとも前記ジルコニウム及びバナジウムの複合酸化物の着色剤を含有する。
前記第1視点の別の変形として、ジルコニア焼結体は、L表色系におけるLが64〜76、aが−6〜3、bが3〜27であり、酸化エルビウム、酸化ニッケル、ジルコニウム及びバナジウムの複合酸化物、鉄、コバルト及びクロムの複合酸化物、ジルコニウム及びケイ素の複合酸化物、二酸化ケイ素、並びに、ジルコニウム、ケイ素、コバルト及びニッケルの複合酸化物を含む群から選択される少なくとも1つの着色剤を含有し、少なくとも前記ジルコニウム及びバナジウムの複合酸化物の着色剤を含有し、前記ジルコニウム及びバナジウムの複合酸化物の着色剤を0質量%より多く、かつ、0.01質量%未満含有する。

【0009】
本発明の第2視点によれば、第1視点に係るジルコニア焼結体を備える歯科用製品が提供される。
【発明の効果】
【0010】
天然歯と同様の色を有するジルコニア焼結体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記各視点の好ましい形態を以下に記載する。
【0012】
上記第1視点の好ましい形態によれば、ジルコニア焼結体は、着色剤A:酸化エルビウム、着色剤B:酸化ニッケル、着色剤C:ジルコニウム及びバナジウムの複合酸化物、着色剤D:鉄、コバルト及びクロムの複合酸化物、ジルコニウム及びケイ素の複合酸化物、二酸化ケイ素、及び酸化ニッケルの混合物、並びに着色剤E:ジルコニウム、ケイ素、コバルト及びニッケルの複合酸化物を含む群から選択される少なくとも1つの着色剤を含有する。
【0013】
上記第1視点の好ましい形態によれば、ジルコニア焼結体は、着色剤Aを0質量%〜0.5質量%、着色剤Bを0質量%〜0.06質量%、着色剤Cを0質量%〜0.2質量%、着色剤Dを0質量%〜0.2質量%、及び着色剤Eを0質量%〜0.1質量%含有し、
着色剤A、着色剤B、着色剤C、着色剤D及び着色剤Eのうち、少なくとも2つの着色剤を含有する。
【0014】
上記第1視点の好ましい形態によれば、L表色系におけるLが66〜69であり、aが0〜3であり、bが21〜27である。
【0015】
上記第1視点の好ましい形態によれば、ジルコニア焼結体は、着色剤Aを0.1質量%〜0.5質量%、着色剤Bを0.01質量%〜0.04質量%、及び着色剤Cを0.05〜0.2質量%含有する。
【0016】
上記第1視点の好ましい形態によれば、L表色系におけるLが70〜74であり、aが−6〜0であり、bが18〜26である。
【0017】
上記第1視点の好ましい形態によれば、ジルコニア焼結体は、着色剤Aを0質量%〜0.3質量%、着色剤Bを0.005質量%〜0.03質量%、及び着色剤Cを0.03〜0.09質量%含有する。
【0018】
上記第1視点の好ましい形態によれば、L表色系におけるLが75〜76であり、aが−3〜−1であり、bが3〜6である。
【0019】
上記第1視点の好ましい形態によれば、ジルコニア焼結体は、着色剤Aを0.002質量%〜0.005質量%、着色剤Bを0.0001質量%〜0.0006質量%、及び着色剤Cを0.006〜0.02質量%含有する。
【0020】
上記第1視点の好ましい形態によれば、L表色系におけるLが64〜75であり、aが−2〜3であり、bが7〜19である。
【0021】
上記第1視点の好ましい形態によれば、ジルコニア焼結体は、着色剤A、着色剤B及び着色剤Cのうち、少なくとも1つの着色剤を含有する。ジルコニア焼結体は、着色剤D及び着色剤Eのうち、少なくとも1つの着色剤を含有する。ジルコニア焼結体は、着色剤Aを0質量%〜0.4質量%、着色剤Bを0質量%〜0.06質量%、着色剤Cを0質量%〜0.09質量%、着色剤Dを0質量%〜0.2質量%、及び着色剤Eを0質量%〜0.1質量%含有する。
【0022】
上記第1視点の好ましい形態によれば、L表色系におけるLが70〜73であり、aが−2〜1であり、bが11〜17である。
【0023】
上記第1視点の好ましい形態によれば、ジルコニア焼結体は、着色剤Aを0.5質量%〜0.2質量%、着色剤Bを0.007質量%〜0.07質量%、着色剤Cを0.01質量%〜0.04質量%、及び着色剤Dを0.004質量%〜0.02質量%含有する。
【0024】
本発明の第1実施形態に係るジルコニア焼結体について説明する。本発明のジルコニア焼結体は、部分安定化ジルコニア結晶粒子が主として焼結された焼結体であり、部分安定化ジルコニアをマトリックス相として有する。本発明のジルコニア焼結体において、ジルコニアの主たる結晶相は正方晶系及び立方晶系の少なくとも一方である。ジルコニアは、正方晶系及び立方晶系の両方を含有してもよい。水熱処理試験未処理の段階においてジルコニア焼結体は単斜晶系を実質的に含有しないと好ましい。
【0025】
本発明のジルコニア焼結体には、成形したジルコニア粒子を常圧下ないし非加圧下において焼結させた焼結体のみならず、HIP(Hot Isostatic Pressing;熱間静水等方圧プレス)処理等の高温加圧処理によって緻密化させた焼結体も含まれる。
【0026】
本発明のジルコニア焼結体は、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、その安定化剤、及び着色剤を含有する。ジルコニア焼結体は、その他の添加物を含有してもよい。添加物としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素等が挙げられる。
【0027】
部分安定化ジルコニアにおける安定化剤としては、例えば、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化イットリウム(Y)(以下、「イットリア」という。)、酸化セリウム(CeO)等の酸化物の酸化物が挙げられる。後述する着色剤を使用する場合、イットリアを使用するとより好ましい。安定化剤は、ジルコニアが部分安定化できるような量を添加すると好ましい。例えば、安定化剤として酸化イットリウムを使用する場合、酸化イットリウムの含有率は、ジルコニア焼結体全体において、部分安定化酸化ジルコニウムに対して好ましくは2mol%〜7mol%添加することができる。ジルコニア焼結体中の安定化剤の含有率は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)発光分光分析、蛍光X線分析等によって測定することができる。なお、安定化剤を添加して部分的に安定化させたジルコニアは、部分安定化ジルコニア(PSZ;Partially Stabilized Zirconia)と呼ばれている。
【0028】
第1実施形態に係るジルコニア焼結体は、L表色系におけるLが64〜76、aが−6〜3、bが3〜27であると好ましい。このような色度を有するジルコニア焼結体は、天然歯のような色を有することができる。
【0029】
本開示において、L表色系による色度(L,a,b)は、後述の実施例のように試料を作製して、背景を黒色にして測定した数値である。
【0030】
次に、本発明のジルコニア焼結体を製造するための組成物及び仮焼体について説明する。組成物及び仮焼体は、上述の本発明のジルコニア焼結体の前駆体(中間製品)となるものである。仮焼体は、組成物を焼結に至らない温度で焼成(即ち仮焼)したものである。また、仮焼体には、成形加工したものも含まれる。たとえば、仮焼したジルコニアディスクをCAD/CAM(Computer-Aided Design/Computer-Aided Manufacturing)システムで加工した歯科用製品(例えば歯冠形状の補綴物)も仮焼体に含まれる。
【0031】
組成物及び仮焼体は、ジルコニア結晶粒子と、安定化剤と、着色剤(顔料)と、を含有する。組成物及び仮焼体は、その他の添加物を含有してもよい。添加物としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素等が挙げられる。
【0032】
組成物及び仮焼体中の安定化剤としては、例えば、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、イットリア、酸化セリウム(CeO)等の酸化物が挙げられる。安定化剤は、正方晶系ジルコニア粒子が部分安定化できるような量を添加すると好ましい。例えば、安定化剤としてイットリアを使用する場合、イットリアの含有率は、ジルコニアとイットリアの合計mol数に対して、2mol%〜7mol%であると好ましい。
【0033】
本発明の組成物には、粉体、粉体を溶媒に添加した流体、及び粉体を所定の形状に成形した成形体も含まれる。すなわち、組成物は、粉末状であってもよいし、ペースト状ないしウェット組成物でもよい(すなわち、溶媒中にあってもよいし、溶媒を含んでいてもよい)。また、組成物は、バインダ、顔料等の添加物を含有するものであってもよい。なお、上記含有率の算出において、溶媒やバインダ等の添加物の質量は考慮しない。
【0034】
本発明の組成物は、成形体である場合、いずれの成形方法によって成形されたものでもよく、例えばプレス成形、射出成形、光造形法によって成形されたものとすることができ、多段階的な成形を施したものでもよい。例えば、本発明の組成物をプレス成形した後に、さらにCIP(Cold Isostatic Pressing;冷間静水等方圧プレス)処理を施したものでもよい。
【0035】
本発明の仮焼体は、本発明の組成物を常圧下で800℃〜1200℃で焼成することによって得ることができる。
【0036】
本発明の仮焼体は、常圧下で1350℃〜1600℃で焼成することにより、本発明のジルコニア焼結体となるものである。
【0037】
本発明におけるジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色成分として、金属酸化物及び市販の着色剤のうちの少なくとも一方を含有することができる。上述のような色度を有するジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、例えば、酸化エルビウム(Er);酸化鉄(Fe);酸化プラセオジム(Pr11);酸化ニッケル(NiO);ジルコニウム及びバナジウムの複合酸化物((Zr,V)O);鉄、コバルト及びクロムの複合酸化物((Co,Fe)(Fe,Cr));ジルコニウム及びケイ素の複合酸化物(ジルコン(ZrSiO));二酸化ケイ素(SiO);並びにジルコニウム、ケイ素、コバルト及びニッケルの複合酸化物((Co,Ni)O・ZrSiO)を含む群から選択される少なくとも1つの酸化物又は化合物を含むことができる。
【0038】
以下において、着色剤の含有率は、ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体におけるジルコニア、安定化剤及び着色剤の合計質量に対する含有割合である。また、ジルコニア焼結体及び仮焼体において、着色剤は、焼成前の化合物の形態で存在しているとは限らない。着色剤は、ジルコニア焼結体及び仮焼体中の成分と反応している場合もある。本願において、ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体における着色剤の含有率は、焼成前(添加時)の化合物を基準にして算出する。明細書及び特許請求の範囲において記載した化学式は、組成の内容を解りやすく表現するために代表的組成を示すものであって、必ずしも厳密に化学量論的組成関係を表すものではない。上記組成は、本発明を実施し、その効果を実現する上で実用上入手可能な材料に従って、許容範囲が自ずと定まるものである。
【0039】
ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、例えば、酸化エルビウム(Er)(以下「着色剤A」という)を含有することができる。ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、酸化ニッケル(NiO)(以下「着色剤B」という)を含有することができる。ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、ジルコニウム及びバナジウムの複合酸化物((Zr,V)O)(以下「着色剤C」という)を含有することができる。ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、鉄、コバルト及びクロムの複合酸化物((Co,Fe)(Fe,Cr));ジルコニウム及びケイ素の複合酸化物(ジルコン(ZrSiO));二酸化ケイ素(SiO);並びに酸化ニッケル(NiO)を含有する混合物((Co,Fe)(Fe,Cr))/ZrSiO/SiO/NiO)(以下「着色剤D」という)を含有することができる。ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、ジルコニウム、ケイ素、コバルト及びニッケルの複合酸化物((Co,Ni)O・ZrSiO)(以下「着色剤E」という)を含有することができる。ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤A、着色剤B、着色剤C、着色剤D及び着色剤Eを含む群から選択される少なくとも1つの着色剤を含有することができる。
【0040】
着色剤Aを添加するとジルコニア焼結体は赤色を帯びる傾向がある。着色剤Bを添加するとジルコニア焼結体は赤色を帯びる傾向がある。着色剤Cを添加するとジルコニア焼結体は黄色を帯びる傾向がある。着色剤Dを添加するとジルコニア焼結体は灰色を帯びる傾向がある。着色剤Eを添加するとジルコニア焼結体は灰色を帯びる傾向がある。
【0041】
各着色剤は、上記に挙げた成分以外の成分も含有することができる。例えば、着色剤Cは、上記成分の他に、鉄化合物、ニッケル化合物、ニオブ化合物、チタン化合物等を含有することができる。例えば、着色剤Dは、上記成分の他に、マンガン化合物、バナジウム化合物等を含有することができる。例えば、着色剤Eは、上記成分の他に、鉄化合物を含有することができる。各着色剤は、ジルコニア焼結体の発色に関わる成分の他に、発色に関わらない成分も含有することができる。
【0042】
以下において、着色剤Bの含有率について、着色剤B以外の着色剤に含有されるNiO成分については考慮しないものとする。上記着色剤のいずれかの組み合わせにおいて、各着色剤の含有率は、例えば、NiO成分の総量がある上限を超えない又は下限未満とならないように、調整することができる。
【0043】
ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤A、着色剤B、着色剤C、着色剤D及び着色剤Eのうち、少なくとも2つの着色剤を含有することができる。ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤Aを0質量%〜0.5質量%含有することができる。ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤Bを0質量%〜0.06質量%含有することができる。ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤Cを0質量%〜0.2質量%含有することができる。ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤Dを0質量%〜0.2質量%含有することができる。ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤Eを0質量%〜0.1質量%含有することができる。
【0044】
着色剤Cとしては、例えば、日陶顔料工業株式会社製「Z−300黄」を使用することができる。着色剤Dとしては、例えば、川村化学株式会社製「4555グレー」を使用することができる。着色剤Eとしては、例えば、日陶顔料工業株式会社製「H−150グレー」を使用することができる。
【0045】
次に、本発明の組成物、仮焼体及びジルコニア焼結体の製造方法の一例について説明する。
【0046】
まず、水中でジルコニアと安定化剤を湿式混合してスラリーを形成する。次に、スラリーを乾燥させて造粒する。次に、造粒物を仮焼して、1次粉末を作製する。
【0047】
次に、各粉末に着色剤を添加する。着色剤の添加量は、各層の色を発現するように適宜調節する。そして、それぞれについて、水中で所望の粒径になるまでジルコニアを粉砕混合して、ジルコニアスラリーを形成する。次に、スラリーを乾燥させて造粒する。酸化アルミニウム、酸化チタン、バインダ等の添加剤を添加する場合には、1次粉末の作製時に添加してもよいし、2次粉末の作製時に添加してもよい。
【0048】
次に、プレス成形して、本発明の組成物としての成形物を作製する。
【0049】
仮焼体を作製しない場合には、組成物を1400℃〜1600℃、好ましくは1450℃〜1550℃で焼成することにより、ジルコニア粉末を焼結させて、本発明のジルコニア焼結体を製造する。成形物の段階で所望の形状に成形してもよい。
【0050】
仮焼体を作製する場合には、組成物を800℃〜1200℃で焼成して、仮焼体を作製する。次に、仮焼体を1400℃〜1600℃、好ましくは1450℃〜1550℃で焼成することにより、ジルコニア粉末を焼結させて、本発明のジルコニア焼結体を製造する。成形は、仮焼体の段階で切削加工等により実施してもよいし、焼結後に実施してもよい。成形は、CAD/CAMシステムで実施することができる。
【0051】
歯科用製品の製造方法は、仮焼体又は焼結体を歯冠形状に成形する以外は、焼結体の上記製造方法と同様である。
【0052】
第1実施形態によれば、天然歯と同等の色を有するジルコニア焼結体を得ることができる。これにより、ジルコニア焼結体をフルカントゥアージルコニアクラウンとして用いる場合には、天然歯と補綴物との色の違いによる違和感や不自然さを低減することができる。また、ジルコニア焼結体を陶材焼付ジルコニア冠として用いる場合には、色を調整するための陶材の使用量を少なくすることができる。これにより、補綴物を患者の歯型に合わせやすくなる。また、患者の歯を削る量を少なくして、患者に対する負担を軽減することができる。
【0053】
以下の実施形態においては、本発明の焼結体、仮焼体及び組成物について、色度及び組成に着目して説明する。それ以外の事項については、上述の第1実施形態と同様である。
【0054】
本発明の第2実施形態に係るジルコニア焼結体について説明する。
【0055】
第2実施形態に係るジルコニア焼結体は、L表色系におけるLが66〜69、aが0〜3、bが21〜27であると好ましい。これにより、特定の天然歯の色を再現することができる。
【0056】
第2実施形態に係るジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、例えば、着色剤Aを0.1質量%〜0.5質量%、着色剤Bを0.01質量%〜0.04質量%、及び着色剤Cを0.05〜0.2質量%含有することができる。
【0057】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0058】
本発明の第3実施形態に係るジルコニア焼結体について説明する。
【0059】
第3実施形態に係るジルコニア焼結体は、L表色系におけるLが70〜74、aが−6〜0、bが18〜26であると好ましい。これにより、特定の天然歯の色を再現することができる。
【0060】
第3実施形態に係るジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤A及び着色剤Bのうちのいずれか一方と、着色剤Cと、を含有することができる。第3実施形態に係るジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、例えば、着色剤Aを0質量%〜0.3質量%、着色剤Bを0.005質量%〜0.03質量%、及び着色剤Cを0.04〜0.08質量%含有することができる。着色剤Aを含有しない場合、第3実施形態に係るジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、例えば、着色剤Bを0.005質量%〜0.03質量%、及び着色剤Cを0.05〜0.09質量%含有することができる。着色剤Aを含有する場合、第3実施形態に係るジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、例えば、着色剤Aを0.05質量%〜0.3質量%、着色剤Bを0.005質量%〜0.02質量%、及び着色剤Cを0.03〜0.09質量%含有することができる。
【0061】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
本発明の第4実施形態に係るジルコニア焼結体について説明する。
【0063】
第4実施形態に係るジルコニア焼結体は、L表色系におけるLが75〜76、aが−3〜−1、bが3〜6であると好ましい。これにより、特定の天然歯の色を再現することができる。
【0064】
第4実施形態に係るジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、例えば、着色剤Aを0.002質量%〜0.005質量%、着色剤Bを0.0001質量%〜0.0006質量%、及び着色剤Cを0.006〜0.02質量%含有することができる。
【0065】
第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
本発明の第5実施形態に係るジルコニア焼結体について説明する。
【0067】
第5実施形態に係るジルコニア焼結体は、L表色系におけるLが64〜75、aが−2〜3、bが7〜19であると好ましい。これにより、特定の天然歯の色を再現することができる。
【0068】
第5実施形態に係るジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤A、着色剤B、着色剤C、着色剤D及び着色剤Eのうち、少なくとも2つの着色剤を含有する。第5実施形態に係るジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤A、着色剤B及び着色剤Cのうち、少なくとも1つの着色剤を含有すると好ましい。また、第5実施形態に係るジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤D及び着色剤Eのうち、少なくとも1つの着色剤を含有すると好ましい。ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、例えば、着色剤Aを0質量%〜0.4質量%、着色剤Bを0質量%〜0.06質量%、着色剤Cを0質量%〜0.09質量%、着色剤Dを0質量%〜0.2質量%、並びに着色剤Eを0質量%〜0.1質量%含有することができる。着色剤Aを含有する場合、ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤Aを0.002質量%以上含有することができる。着色剤Bを含有する場合、ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤Bを0.0009質量%以上含有することができる。着色剤Cを含有する場合、ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤Cを0.006質量%以上含有することができる。着色剤Dを含有する場合、ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤Dを0.005質量%以上含有することができる。着色剤Eを含有する場合、ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤Eを0.05質量%以上含有することができる。
【0069】
着色剤C及び着色剤Eを含有する場合、ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤Cを0.005質量%〜0.02質量%、及び着色剤Eを0.06質量%〜0.08質量%含有することができる。
【0070】
着色剤C及び着色剤Dを含有する場合、ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤Cを0.07質量%〜0.09質量%、及び着色剤Dを0.05質量%〜0.2質量%含有することができる。
【0071】
着色剤B及び着色剤Dを含有する場合、ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤Bを0.007質量%〜0.06質量%、及び着色剤Dを0.01質量%〜0.06質量%含有することができる。
【0072】
着色剤A、着色剤C及び着色剤Dを含有する場合、ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤Aを0.01質量%〜0.04質量%、着色剤Cを0.05質量%〜0.07質量%、及び着色剤Dを0.05質量%〜0.08質量%含有することができる。
【0073】
着色剤A、着色剤B、着色剤C及び着色剤Dを含有する場合、ジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、着色剤Aを0.002質量%〜0.3質量%、着色剤Bを0.0005質量%〜0.03質量%、着色剤Cを0.005質量%〜0.07質量%、及び着色剤Dを0.004質量%〜0.04質量%含有することができる。
【0074】
第5実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
本発明の第6実施形態に係るジルコニア焼結体について説明する。
【0076】
第6実施形態に係るジルコニア焼結体は、L表色系におけるLが70〜73、aが−2〜1、bが11〜17であると好ましい。これにより、特定の天然歯の色を再現することができる。
【0077】
第6実施形態に係るジルコニア焼結体、組成物及び仮焼体は、例えば、着色剤Aを0.5質量%〜0.2質量%、着色剤Bを0.007質量%〜0.07質量%、着色剤Cを0.01質量%〜0.04質量%、及び着色剤Dを0.004質量%〜0.02質量%含有することができる。
【0078】
第6実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】
本発明の第7実施形態に係る歯科用製品について説明する。
【0080】
歯科用製品は、上記実施形態に係るジルコニア焼結体又は仮焼体を含む。歯科用製品は、ジルコニア焼結体又は仮焼体上に積層された陶材(例えばガラス材料)をさらに含むことができる。陶材は、黄変防止材を含有することができる。黄変防止材としては、例えば、アンチモン化合物を使用することができる。
【0081】
歯科用製品には、例えば、セラミックフレーム、フルカントゥアークラウン等の補綴材が含まれる。歯科用補綴材は、歯冠形状を有すると好ましい。また、歯科用製品には、例えば、歯列矯正用製品(例えば、歯列矯正用ブラケット)、歯科インプラント用製品(例えば、歯科インプラント用アバットメント)が含まれる。
【実施例】
【0082】
下記表に記載の着色剤を添加したジルコニア焼結体を作製し、各試料について色度を測定した。まず、安定化剤としてイットリアを4mol%含有する部分安定化ジルコニア粉末に着色剤を添加して混合した。次に、直径約18mmの円柱状の金型に混合物1.2g入れ、圧力30kNで成形して、成形組成物を作製した。次に、成形組成物を1500℃で2時間焼成して、円板状のジルコニア焼結体を作製した。次に、試料表面を研磨加工し、表面を鏡面状(#2000以上)に仕上げ、試料を作製した。そして、色度測定機(オリンパス社製CE100−DC/US)及び解析ソフト(Crystaleye)を用いて背景を黒色にして各試料の色度を測定した。表1及び表2に、添加した着色剤の種類及び量、並びに色度測定結果を示す。
【0083】
表1及び表2において、着色剤Aは、岩谷産業社製の酸化エルビウム(Er)である。着色剤Bは、岩月化鑛社製の酸化ニッケル(NiO)である。着色剤Cは、ジルコニウム及びバナジウムの複合酸化物((Zr,V)O)である日陶顔料工業株式会社製「Z−300黄」である。着色剤Dは、鉄、コバルト及びクロムの複合酸化物((Co,Fe)(Fe,Cr));ジルコニウム及びケイ素の複合酸化物(ジルコン(ZrSiO));二酸化ケイ素(SiO);並びに酸化ニッケル(NiO)の混合物((Co,Fe)(Fe,Cr))/ZrSiO/SiO/NiO)である川村化学株式会社製「4555グレー」である。着色剤Eは、ジルコニウム、ケイ素、コバルト及びニッケルの複合酸化物((Co,Ni)O・ZrSiO)である日陶顔料工業株式会社製「H−150グレー」である。
【0084】
実施例1〜55のいずれの試料も天然歯のような色を有していた。目視で各試料の色を比較したところ、実施例1〜11に係る試料は同系統の色を有していた。実施例12〜25に係る試料は同系統の色を有していた。実施例26〜27に係る試料は同系統の色を有していた。実施例28〜49に係る試料は同系統の色を有していた。実施例50〜55に係る試料は同系統の色を有していた。したがって、実施例1〜55に係る試料は、色によると、大きく5つの系統に分類できた。なお、実施例1〜55の試料を色によってさらに細かく分類することも可能である。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
参考として、実施例において用いた着色剤C、着色剤D及び着色剤Eの元素分析結果を以下の表に示す。表3は着色剤Cの分析結果を示し、表4は着色剤Dの分析結果を示し、表5は着色剤Eの分析結果を示す。下記表においては、各元素の酸化物に換算した質量割合を示してあり、着色剤が、着色剤中において表に記載の酸化物の形態で各元素を含有することを必ずしも意味するものではない。
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】
【表5】
【0091】
上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明のジルコニア焼結体及び歯科用製品は、上記実施形態に基づいて説明されているが、上記実施形態に限定されることなく、本発明の全開示に枠内において、かつ本発明の基本的技術思想に基づいて、種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができることはいうまでもない。また、本発明の全開示の枠内において、種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。
【0092】
本発明のさらなる課題、目的及び展開形態は、請求の範囲を含む本発明の全開示事項からも明らかにされる。
【0093】
本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。