(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの光導波路の少なくとも遠位端、及び前記針電極アセンブリの前記遠位側針が、前記カテーテル本体に対して前記長手方向で移動するように連結される、請求項1に記載のカテーテル。
前記制御ハンドルが、前記針電極アセンブリを前記カテーテル本体に対して前記長手方向で移動させるように適合されたピストンを有する、請求項1に記載のカテーテル。
【背景技術】
【0002】
心臓及び他の組織の高周波(RF)アブレーションは、電極の先端に熱傷損傷部を作成する周知の方法である。高周波電流は、皮膚(アース)パッチと電極との間で送達される。電極と組織の境界面における電気抵抗は、小さい面積の直接抵抗加熱をもたらし、そのサイズは、電極のサイズ、電極と組織の接触、及び電流(密度)に応じて決まる。更なる組織加熱は、組織内の熱をより大きい範囲へと伝導することによってもたらされる。約50〜55℃の閾値を超えて加熱された組織は不可逆的に損傷を受ける(切除される)。
【0003】
抵抗加熱は、電気抵抗によるエネルギー吸収によって起こる。エネルギー吸収は、電流密度の二乗に相関し、組織の導電性と逆相関する。電流密度は、導電性及び電圧に伴って変動し、アブレーション電極からの半径の二乗と逆相関する。したがって、エネルギー吸収は、導電性、印加電圧の二乗に伴って変動し、また、電極からの半径の四乗と逆比例して変動する。したがって、抵抗加熱は、半径による影響を最も受け、アブレーション電極からの非常に短い距離を浸透する。損傷部の残余は、抵抗加熱の範囲からの熱伝導によって作り出される。これにより、表面電極から送達することができる切除損傷部のサイズに対して制限が与えられる。
【0004】
損傷部のサイズを増加させる理論上の方法は、電極の直径を増加させる工程と、組織と接触する電極の面積を増加させる工程と、組織の導電性を増加させ、組織に浸透してより深い深さを達成し、接触面積を増加させる工程と、最大損傷部サイズが達成されるまで(完全成熟の場合、60〜90秒)RFを送達する工程とを含む。
【0005】
電極は、対象の組織に直接(浅層/皮膚組織の場合)、外科的に、内視鏡的に、腹腔鏡的に、又は経皮経管的(カテーテルを用いた)アクセスを使用して、導入することができる。カテーテルアブレーションは、十分に説明され一般に行われている方法であり、それによって多くの心臓不整脈が治療されている。固形臓器腫瘍、肺腫瘍、及び神経学的異常構造(abnormal neurologic structures)の経皮的又は内視鏡的アブレーションのための、針電極が説明されている。
【0006】
カテーテルアブレーションは、不十分な損傷部サイズによって制限される場合がある。内視鏡的アプローチによる組織のアブレーションによって、組織が加熱されるだけでなく、電極も加熱される。電極が臨界温度に達すると、血液タンパク質の変性によって凝塊が形成される。その結果、インピーダンスが上昇し、電流の送達が制限される恐れがある。組織内において、過熱が蒸気泡の形成を引き起こす(蒸気が「発泡する(pops)」)と共に、制御されない組織の破壊又は身体構造の望ましくない貫通のリスクを伴う可能性がある。心臓アブレーションでは、臨床的成功は、先端の能動的な冷却を伴うカテーテルを使用した場合であっても、不十分な損傷部の深さ及び横断直径によって妨げられる場合がある。理論上の解決策には、電極サイズを増加させる(接触面を増加させ、血流による対流冷却を増加させる)こと、電極・組織間の接触を改善すること、流体注入によって電極を能動的に冷却すること、電極の材料組成を変更して、組織への電流送達を改善すること、及び電流の送達をパルス化して断続的な冷却を可能にすることが含まれている。
【0007】
針電極は、組織との接触を改善し、対象範囲への電流送達の深い浸透を可能にする。アブレーションは依然として、針電極の小さい表面積によって妨げられ、それによって低電力で加熱が生じ、小さい損傷部が作成されることがある。針アブレーションを伴う改善されたカテーテルが米国特許第8,287,531号に開示されており、その開示全体を参照により本明細書に援用する。
【0008】
組織の生物学的属性を判定するための正確且つ非侵襲性の方法に対する必要性及び需要は十分に文書で示されている。様々な疾病状態の正確且つ非侵襲性の判定により、より高速でより便利なスクリーニング及び診断が可能になって、より効果的な治療が可能になり得る。組織属性を判定するための光学分光法を用いる方法及び装置が知られている。例えば、米国特許第7,623,906号は、組織から反射した拡散反射光を分光分析器で受光できるようにする鏡面反射デバイスを含む、拡散反射分光法のための方法及び装置を開示している。米国特許第7952719号は、ラマン分光法を光ファイバーに基づく低コヒーレンス反射率測定法と組み合わせた、光学カテーテル構成を開示している。米国特許第6,377,841号は、脳腫瘍の境界画定に対する光学分光法の使用を開示している。
【0009】
組織に入射する光の一部は、組織を透過し、熱として吸収され、屈折し、鏡面反射し、拡散反射することがある。組織内で複数回屈折する光は、対象の生物学的属性(1つ以上)に関する情報を含むことがある。
【0010】
組織の診断及びアブレーションの両方に適合されたカテーテルがなければ、光学分光法による診断を含む組織診断後に、別個のアブレーション治療用カテーテルを使用することで、処置のコスト及び持続時間が増加し、アブレーション治療用カテーテルがアブレーションエネルギーを送達するための正確な診断位置へと戻らないというリスクがもたらされる可能性がある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示されるように、カテーテル10は、近位軸13と、遠位軸14と、近位軸の近位端に取り付けられた偏向制御ハンドル16と、偏向制御ハンドル16の近位側でカテーテル本体12に間接的に取り付けられた針制御ハンドル17とを有する、細長いカテーテル本体12を備える。
【0021】
図2A及び2Bを参照すると、近位軸13は単一の中央又は軸線方向の管腔18を備える。近位軸13は可撓性であり、即ち曲げ可能であるが、その長さに沿って実質的に非圧縮性である。近位軸13は、任意の好適な構造のものであり、任意の好適な材料で作られてもよい。本発明における好ましい構造は、ポリウレタン又はナイロンで作られた外壁22を備える。外壁22は、ステンレス鋼などの編組メッシュが埋め込まれていることによって、近位軸13の捻り剛性が向上しているため、偏向制御ハンドル16を回転させると、カテーテル10の遠位軸14がそれに対応する形で回転する。
【0022】
近位軸13の外径は重要ではないが、好ましくは約8フレンチ以下である。同様に、外壁22の厚さもさほど重要ではない。図示される実施形態では、外壁22の内表面は、任意の好適な材料、好ましくはポリイミドで作ることができる、補強管20で裏打ちされている。補強管20は、編組された外壁22と共に高い捻れ安定性を与えると同時にカテーテルの壁厚を最小化することで単一の管腔の直径を最大化する。補強管20の外径は、外壁22の内径とほぼ同じか、又はそれよりもわずかに小さい。
【0023】
図2A、2B、及び2Cに示されるように、遠位軸14は、例えば少なくとも3つの管腔、即ち第1の管腔30、第2の管腔31、並びに一方向の偏向の場合は第3のオフ軸牽引ワイヤ管腔32、及び二方向の偏向の場合は管腔32とは反対側の第4のオフ軸管腔33を有する、多重管腔管材料19の短い区画を備える。管材料19は、好ましくは近位軸13よりも可撓性が高い、好適な非毒性材料で作られる。管材料19に適した材料は、編組ポリウレタン、即ち編組のステンレス鋼などのメッシュが埋め込まれたポリウレタンである。遠位軸14の外径は、近位軸13と同様に、好ましくは約8フレンチ以下である。
【0024】
近位軸13を遠位軸14に取り付ける好適な手段が、
図2A及び2Bに示される。遠位軸14の近位端は、補強材20の外表面を受け入れる内側カウンターボア24を備える。遠位軸14及び近位軸13は接着剤などによって取り付けられる。本発明にしたがって、近位軸13を遠位軸14に取り付ける他の方法を使用することができる。
【0025】
補強管20は、近位軸13において外壁22に対して適所で保持される。近位軸13の好適な構造では、力が補強管20の近位端に加えられ、それによって補強管20の遠位端がカウンターボア24をしっかりと押す。圧縮下において、速乾接着剤、例えばスーパーグルー(登録商標)によって、補強管20と外壁22との間に第1の接着部が作られる。その後、より遅乾性であるがより強力な接着剤、例えばポリウレタンを使用して、補強管20及び外壁22の近位端の間に第2の接着部が形成される。
【0026】
図示されるカテーテルは、カテーテル本体12を偏向させるメカニズムを含む。図示される実施形態では、カテーテルは、牽引ワイヤ管腔32内へと延在する第1の牽引ワイヤ42、及び牽引ワイヤ管腔33内へと延在する第2の牽引ワイヤ43を用いた、二方向の偏向に対して適合される。牽引ワイヤ42及び43は、それらの近位端では偏向制御ハンドル16内で係留され、それらの遠位端では遠位軸14の遠位端又はその付近で係留される。牽引ワイヤは、ステンレス鋼又はニチノールなど任意の好適な金属で作られ、好ましくはテフロン(登録商標)などでコーティングされる。コーティングによって牽引ワイヤに潤滑性が付与される。各牽引ワイヤは、好ましくは、約0.0152〜約0.025(約0.006〜約0.010インチ)の直径を有する。
【0027】
遠位軸14に沿った偏向を実施するため、各牽引ワイヤは、近位軸13の近位端から延在して遠位軸14の近位端又はその付近で終端する、個々の圧縮コイル44によって取り囲まれる。各圧縮コイル44は、任意の好適な金属、好ましくはステンレス鋼で作られる。圧縮コイル44は、可撓性を、即ち曲げをもたらすが、圧縮には抵抗するように、それ自体緊密に巻かれる。圧縮コイル44の内径は、好ましくは牽引ワイヤの直径よりもわずかに大きい。例えば、牽引ワイヤが約0.018cm(約0.007インチ)の直径を有するとき、圧縮コイルは、好ましくは約0.02cm(約0008インチ)の内径を有する。牽引ワイヤのテフロン(登録商標)コーティングにより、ワイヤが圧縮コイル44内で自由に摺動することが可能になる。各圧縮コイル44の外表面は、その長さに沿って、圧縮コイル44とカテーテル本体12内部にある他の任意の構成要素との間の接触を防ぐため、個々の可撓性且つ非導電性のシース26で覆われる。非導電性シース26はポリイミド管材料で作られてもよい。各圧縮コイル44は、その近位端では、接着剤(図示なし)によって近位軸13内の補強管20の近位端に係留される。各圧縮コイルは、その遠位端では、接着部45によって個々の牽引ワイヤ管腔32及び33内で係留される。
【0028】
牽引ワイヤは、その遠位端では、
図4に示されるように、遠位軸14の側面に係留される。この実施形態では、各牽引ワイヤに対してT形アンカー23が使用される。アンカー23は、管状ステンレス鋼25の短片、例えば皮下ストック(hypodermic stock)を備え、この短片は、各牽引ワイヤの遠位端に被せられ、牽引ワイヤにしっかり定着するように圧着されている。管状ステンレス鋼25の遠位端は、例えば溶接によって、ステンレス鋼リボンなどのステンレス鋼横材27にしっかりと取り付けられる。横材27は、第2の管腔32内へと延在する遠位軸14の壁にある切欠き28に収まる。ステンレス鋼横材27は切欠き28よりも大きく、したがって、切欠きを通して引っ張ることはできない。横材27によって埋められていない切欠き28の一部は、遠位軸14の材料よりも硬質の接着剤21など、好ましくはポリウレタン接着剤によって埋められる。横材27の粗い縁部がある場合、平滑で遠位軸14の外表面と連続する表面を提供するように研磨される。
【0029】
図2Bを更に参照すると、遠位軸14内で、牽引ワイヤ42及び43は、遠位軸を偏向させたときに牽引ワイヤが遠位軸14の壁に食い込むのを防ぐ、例えばテフロン(登録商標)の、個々の保護シース81を通って延在する。
【0030】
牽引ワイヤ42及び43を遠位軸14内で係留するための、他の任意の好適な技術も使用することができる。或いは、その開示を参照により本明細書に援用する米国特許第5,537,686号に記載されている偏向メカニズムなど、遠位側領域を偏向させる他の手段を提供することができる。
【0031】
カテーテル本体12に対する牽引ワイヤの長手方向移動は、遠位軸14の偏向をもたらすが、制御ハンドル16(
図1)の好適な操作によって達成される。単一の牽引ワイヤを操作して一方向で偏向させる好適な制御ハンドルの例は、例えば、米国特許第Re 34,502号、同第5,897,529号、及び同第6,575,931号に開示されており、それらの開示全体を参照により本明細書に援用する。少なくとも2つの牽引ワイヤを操作して二方向で偏向させる好適な制御ハンドルは、米国特許第6,123,699号、同第6,171,277号、及び同第6,183,463号に記載されており、それらの開示を参照により本明細書に援用する。
【0032】
図3、3A、及び3Bに示されるように、針電極アセンブリ46が提供される。針電極アセンブリ46は、組織を切除すると同時に生理食塩水又は他の流体を注入して、アブレーションエネルギーを伝導すると共に針電極を冷却し、それによって電極の有効サイズを理論的に増加させるのに使用される。針電極アセンブリ46は、延長可能及び後退可能であり、更に後述するように、針制御ハンドル17(
図1)の操作によって移動させてもよい。
図3は、組織を切除及び/又は照射する際のような、カテーテル本体12に対して延長位置にある針電極アセンブリ46を示す。針電極アセンブリ46の遠位端は、特に、カテーテルを患者の身体の脈管系又は肺を通して前進させている間、及びカテーテルが身体から除去される間、その遠位端に対する損傷及び/又は患者に対する外傷を回避するため、中央管腔30内へと戻されるか又は撤回されてもよい。
【0033】
針電極アセンブリ46は、
図3に示されるように、全体的に剛性であって導電性の遠位側管材料又は中空針55に、直接又は間接的に接合された近位側管材料53を備える。針55の全体的に剛性の性質によって、アブレーション中のその有効性を向上するために、組織を穿孔することが可能になる。一実施形態では、針55は、ニチノール又はステンレス鋼で形成され、
図3に示されるように、好ましくは、組織を穿孔するその能力を強化するため、針電極アセンブリ46の遠位先端に斜角を付けた縁部56を有して形成される。近位側管材料53は、例えばカテーテルを身体の脈管系に挿入するときに、カテーテル本体12の可撓性近位軸13と共に近位側管材料が必要に応じて曲がることを可能にするため、好ましくは針55よりも可撓性が高い。針電極アセンブリ46の近位側管材料53は、ポリイミド又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)で作られてもよいが、プラスチック又は金属など、他の任意の好適な生体適合性材料で作られてもよい。
【0034】
針電極アセンブリ46の近位側管材料53は、針制御ハンドル17から、偏向制御ハンドル16を通り、近位軸13を通って、遠位軸14の管腔30内へと延在する。
図3に示されるように、近位側管材料53の遠位端及び針55の近位端は、不連続部又はギャップGの分、わずかに離間しているので、様々な構成要素が近位側管材料53の外側と針55の管腔の内側との間を移行することができる。近位側管材料53及び針55は、好ましくは同軸で、外側プラスチック管68内に装着される。外側プラスチック管68は、近位側管材料53及び針55に接着するか又は別の方法で取り付けて、後述するようにカテーテル本体12に対して長手方向で移動可能又は摺動可能である、単一構造を形成することができる。外側プラスチック管68は、近位側管材料53と共にカテーテル本体12を通って延在し、針電極アセンブリ46をカテーテル本体12に対して移動させたとき、近位側管材料53と外側プラスチック管68との間に位置し延在する針電極リード線29並びに熱電対ワイヤ63及び64を保護する。針電極リード線29並びに熱電対ワイヤ63及び64は、偏向制御ハンドル16内にある外側プラスチック管68の孔(図示なし)を通って外へと延在し、上述したように、適切なコネクタに取り付けられる。
【0035】
図3は、近位側管材料53及び針55に対する外側プラスチック管68の接合の1つの構成を示す。具体的には、プラスチック管材料59の、例えばポリイミド管材料の小片を、ギャップGの上に配置し、それを架橋する。管材料59は、ポリウレタン接着剤などによって近位側及び遠位側の管材料に取り付けられて、単一の流体通路を形成し、そこを通して、生理食塩水又は他の流体が近位側管材料53の管腔から針55の管腔へと通過することができる。プラスチック管材料59の小片は、熱電対ワイヤ63及び64並びに針電極リード線29を保護する助けとなる。小さい、例えば非導電性であるスペーサプラグ73は、遠位側管材料55と外側プラスチック管68の遠位端との間に装着され、適所で接着される。スペーサプラグ73は、体液が針電極アセンブリ46の遠位端に進入するのを防ぐ。
【0036】
一実施形態では、針電極アセンブリ46の近位側管材料53は、0.036cm(0.014インチ)の内径及び0.04cm(0.016インチ)の外径を有する。針55は、0.038cm(0.015インチ)の内径、0.046cm(0.018インチ)の外径、及び約2.5cm(約1.0インチ)の長さを有する。更に、遠位側管材料55は、遠位軸14の遠位端を約10mm越えて延在する。小さいプラスチック管材料59は、0.056cm(0.022インチ)の内径及び0.061cm(0.024)の外径を有し、外側プラスチック管68は、0.063cm(0.025インチ)の内径及び0.089cm(0.035インチ)の外径を有し、プラスチックのスペーサ73は、0.043cm(0.017インチ)の内径及び0.061cm(0.024インチ)の外径を有する。
【0037】
カテーテル本体12内において、近位側管材料53、針55、スペーサ73、プラスチック管材料59、及び外側プラスチック管68を備える針電極アセンブリ46は、管腔30の内表面を裏打ちすると共に、カテーテル本体12に対して不動である保護管47内で摺動可能に、好ましくは同軸で装着される。保護管47は、好ましくはポリイミドで作られ、カテーテル本体12に対する延長及び後退の間に、針電極アセンブリ46が座屈するのを防ぐのに役立つ。それに加えて、保護管47は、針電極アセンブリ46を取り囲む液密シールを提供するのに役立つ。
【0038】
他の針電極アセンブリ設計が本発明の範囲内で想到される。例えば、針電極アセンブリは、針制御ハンドル17からカテーテルの遠位端まで延在する、ニチノール管などの単一の導電性管を備えることができる。かかる設計は、「Injection Catheter with Needle Electrode」という名称の米国特許出願第09/711,648号に記載されており、その開示を参照により本明細書に援用する。
【0039】
図3に示されるように、針電極リード線29は、高周波エネルギー又は他の好適なアブレーションエネルギーを針に供給するため、その遠位端で導電性の遠位側管材料又は針55に電気的に接続される。針電極リード線29は、はんだ付け、溶接、又は別の方法で針55の外側に取り付けられるが、針のどこに取り付けることもできる。針電極リード線29は、近位側管材料53に概ね並んで、且つ外側プラスチック管材料68の内部で、遠位軸14の管材料19の管腔30及び近位軸13の中央管腔18を通って延在する。
【0040】
処置の前、最中、又は後に、針電極アセンブリ46が標的とする組織の温度を測定する、温度センサが提供される。任意の従来の温度センサ、例えば熱電対又はサーミスタが使用されてもよい。図示される実施形態では、温度センサは、エナメルワイヤ対によって形成される熱電対62を備える。ワイヤ対の一方のワイヤは銅線63、例えば46 AWGの銅線である。ワイヤ対の他方のワイヤはコンスタンタンワイヤ64、例えば46 AWGのコンスタンタンワイヤである。ワイヤ対のワイヤ63及び64は、共にはんだ付けされ、プラスチック管材料65、例えばポリイミドの短片で覆われ、ポリウレタンで覆われるそれらの遠位端を除いて、互いから電気的に絶縁される。プラスチック管材料65は、次に、
図3に示されるように、針電極アセンブリ46の針55の内壁に接着されるか又は別の方法で取り付けられる。ワイヤ63及び64は、針55の近位端の外へと、且つギャップG内へと延在して、遠位軸14の管腔30、近位軸13の管腔18を通り、偏向制御ハンドル16内へと通って、リード線29に概ね並んで延在する。それらは、制御ハンドル16の近位側で、好適な温度モニタ(図示なし)に接続可能である適切なコネクタ(図示なし)に取り付けられる。近位軸13及び偏向制御ハンドル16内で、リード線29並びに熱電対ワイヤ64及び64は、所望により排除されることがある、保護管(図示なし)を通ってもよい。代替実施形態では、熱電対の銅線63は、針電極アセンブリ46のリード線として使用することもできる。
【0041】
図3、3A、及び3Bにも示されるように、針電極アセンブリ46と並んで延在するのは、針制御ハンドル17、偏向制御ハンドル16、近位軸13の中央管腔18、及び遠位軸14の管腔30を通り、ギャップGを介して針電極アセンブリ46の針55の管腔内へと延在する、少なくとも1つの導波路、例えば可撓性光ファイバーである。カテーテル10は、導波路束70、例えば少なくとも2つの個別の導波路を含む。図示される実施形態では、導波路束はエミッタ導波路71並びにコレクタ導波路72及び75を含むが、カテーテルは、1つのエミッタ導波路及び1つのコレクタ導波路のみと共に、又は光の放射及び収集の両方に適合された単一の導波路と共に好適に機能し得ることが理解される。導波路は、互いに概ね並んで延在し、カテーテル本体12全体を通して互いに結合されてもよい。針55内部にある導波路の遠位側セグメントは、接着剤などによってその管腔の内表面に固着されてもよい。導波路の遠位端は、一般に、針電極アセンブリ46の針55の遠位端と概ね隣接しており、平滑なプロファイルのために針55の遠位端と同様に斜角を付けられてもよい。導波路束70は、所望及び必要性に応じて、任意の複数の導波路を含んでもよいことが理解される。例えば、複数とは、約1〜6であってもよく、1つの中央のエミッタ導波路及び5つの周囲のコレクタ導波路、又は他の任意の組み合わせを含む。図示される実施形態では、導波路はカテーテル本体12を通って近位側管材料53の外側に沿って延在するが、所望又は適切であれば、近位側管材料の管腔を通って延在してもよいことが理解される。
【0042】
図5及び5Aに示されるように、エミッタ導波路71は、患者の心臓の右心房内における標的組織102に挿入されている、針55の遠位端へと光エネルギーを送達するように適合される。導波路を出る光エネルギー112は、透過光エネルギー、熱として吸収された光エネルギー、及び/又は屈折光エネルギー118になってもよい。組織で屈折してコレクタ導波路72及び75の遠位端に戻った光は収集され、カテーテル本体12に沿ってハンドル16及び17に向かって近位側へと伝達される。
【0043】
本発明の特徴によれば、導波路束70及び針55は、それら個々の遠位端が選択された標的組織部位を少なくとも標的とし、それに接触し、且つ/又は穿孔するように適合させるという目的のため、長手方向で平行であり、同延であり、且つ/又は同軸であるようにして、遠位軸14の遠位端に配置される。即ち、導波路の遠位端を針55と緊密に位置合わせするか、その内部に置くか、又はそれを取り囲むようにすることによって、導波路によって同定され分析される生検位置が、針電極アセンブリによって切除される場所とほぼ同一となることが保証される。
【0044】
図2A、2B、及び3に示されるように、カテーテル本体12内において、外側プラスチック管材料68を通って延在する、針電極アセンブリ46、電極リード線29、熱電対ワイヤ63及び64、並びに導波路束70(本明細書では、「外側プラスチック管材料アセンブリ(OPTA)68A」と集合的に呼ばれる)は、カテーテル本体12に対して不動である保護管47内に摺動可能に収容される。即ち、OPTA 68Aは、保護管47に対して長手方向で移動可能又は摺動可能である。偏向制御ハンドル16内において、保護管47及びOPTA 68Aは、ポリウレタンで作られてもよい保護軸66(
図1)内へと延在する。
【0045】
OPTA 68A又は少なくとも針電極アセンブリ46の(並びに、針電極アセンブリを延長又は後退させたときに壊れないように、それらに伴う導波路束70の)長手方向移動は、針制御ハンドル17を使用して達成される。OPTA 68A及び保護管材料47は、偏向制御ハンドル16から針制御ハンドル17まで保護軸66内で延在する。
【0046】
図6の図示される実施形態では、針制御ハンドル17は、近位端80P及び遠位端80Dを有する概ね円筒状の外側本体80と、本体を部分的に通って延在する長手方向のピストンチャンバ82と、本体を部分的に通って延在する長手方向の針通路83とを備える。ピストンチャンバ82は、外側本体80の近位端80Pからハンドル17内の途中まで延在するが、外側本体の遠位端80Dの外までは延在しない。針通路83は、ピストンチャンバ82よりも小さい直径を有し、ピストンチャンバの遠位端から外側本体80の遠位端80Dまで延在する。
【0047】
近位端84P及び遠位端84Dを有するピストン84は、ピストンチャンバ82内に摺動可能に装着される。近位側取付け具86は、ピストン84の近位端84P内に装着され、それに固定的に取り付けられる。近位側取付け具86は、近位側取付け具の主本体からピストンの近位端84P内へと遠位方向に延在する管状の遠位側領域87を含む。ピストン84は、近位側取付け具86に形成された軸線方向通路89と同軸であってそこに接続する軸線方向通路85を有する。OPTA 68Aは、より詳細に後述するように、軸線方向通路85及び89を通って延在する。圧縮ばね88は、ピストン84の遠位端84Dの遠位端84Dとピストンチャンバ82の遠位端との間でピストンチャンバ82内に装着される。圧縮ばね88は、ピストン84と外側本体80との間に配置するか、或いは一端をピストン84と接触させるかそこに固定し、他端を外側本体80の遠位端80Dと接触させるかそこに固定することができる。
【0048】
偏向制御ハンドル16から、OPTA 68A及び保護軸66が、針制御ハンドル17の針通路83の遠位端内へと近位方向で延在する。
図6Aに示されるように、針通路83内で、OPTA 68A及び保護軸66は、ステンレス鋼で作られてもよい第1の金属管90内へと延在する。所望により、第1の金属管90はその代わりに、硬質プラスチック材料で作ることができる。第1の金属管90は、止めねじ101または他の任意の好適な手段によって、針制御ハンドル17の外側本体80に固定される。保護軸66は、第1の金属管90内にあるその近位端で終端する。
【0049】
第2の金属管91が設けられ、その遠位端91Dは、好ましくは同軸で、第1の金属管90の近位端90P内部に受け入れられ、遠位端91Dは保護軸66の近位端に当接する。第2の金属管91は、止めねじ101によって、第1の金属管90に対して、またしたがって外側本体80に対しても適所で固定される。第2の金属管91は、第1の金属管90と同じく、別の方法として硬質プラスチック材料で作ることができる。
図6Bに示されるように、第2の金属管91は、中立状態にある圧縮ばね88の近位端及び/又は中立状態にあるピストン84の遠位端84Dの遠位側にある、その近位端91Pで終端する。そのため、OPTA 68Aはピストン84の軸線方向通路85を通って延在する。第1の金属管90は、保護軸66の近位端と第2の金属管91の遠位端との突き合わせ接続全体にわたる同軸の位置合わせを保証する、保護シースとして役立つ。
【0050】
OPTA 68Aの近位端は、近位側取付け具86の管状遠位端87の軸線方向通路89に受け入れられる。保護管47は、管状遠位側領域87にあるその近位端で終端し、それによって、軸線方向通路89の内表面に対する接着剤などによる固定的取付けのために、OPTA 68Aの近位端が露出する。したがって、ピストン84及びOPTA 68Aは近位側取付け具86に連結されて、第2の金属管91、第1の金属管90、及び外側本体80に対して長手方向で移動する。結果的に、ピストン84を外側本体80に対して遠位側に(
図6の右側に向かって)移動させると、OPTA 68Aがカテーテル本体12に対して遠位方向で移動し、それによって針電極アセンブリ46が、アブレーション及び/又は分光のために前進する。
【0051】
近位側取付け具86内において、
図7に示されるように、近位側管材料53は、外側プラスチック管68の外に、且つ第1の保護シース15内へと延在し、灌流ポンプ又は他の好適な流体注入源119に接続された、ルアーコネクタ65に接続される。同様に、針電極リード線29並びに熱電対ワイヤ63及び64は、外側プラスチック管68の外に、且つ第2の保護シース36内へと延在し、この保護シースは、
図7に示されるように、針電極リード線をアブレーションエネルギー源に、且つ熱電対ワイヤを好適なモニタリングシステムに接続する、10ピン電気コネクタなどの好適なコネクタ67に接続される。エミッタ導波路71は、外側プラスチック管68の外に、且つ第3の保護シース35内へと延在し、この保護シースは、
図7に示されるように、ランプ、発光ダイオード(LED)、又は複数のレーザーであってもよい好適な光源に接続される。コレクタ導波路72及び75は、外側プラスチック管88の外に、且つ第4の保護シース37内へと延在し、この保護シースは、
図7に示されるように、好適な光分析器、例えば分光計に接続されて、収集された光を処理する。
【0052】
使用の際、ピストン84に力が加えられて、ピストンが外側本体80に対して遠位方向に移動し、それによって圧縮ばね88が圧縮される。この移動によって、OPTA 68Aが、針電極アセンブリ46及び導波路束70を含めて、それに相応して外側本体80、保護軸66、保護管47、近位軸13、及び遠位軸14に対して遠位方向に移動するので、針電極アセンブリ46の遠位側管材料55の遠位端が遠位軸14の遠位端の外へと延在する。力がピストン84から除去されると、圧縮ばね88が拡張し、ピストンをその元の位置へと近位方向に押すので、針電極アセンブリ46の遠位側管材料55の遠位端が、導波路束70の遠位端と共に、遠位軸14内へと後退する。ピストン84が遠位方向で移動すると、近位側管材料53及び他のプラスチック管材料68は保護管47内へと遠位方向で移動して、近位側管材料53及び外側プラスチック管68が軸線方向通路85内で座屈するのを防ぐ。
【0053】
ピストン84は、その外表面の一部分に沿って延在する長手方向スロット100を更に備える。止めねじ、ピン、または他の係止メカニズムなどの固定手段102は、外側本体80を通って、長手方向スロット100内へと半径方向で延在する。この設計及び止めねじによって、ピストン84をピストンチャンバ82の外へ近位方向で摺動させることができる距離が制限される。針電極アセンブリ46が後退位置(
図6に示されるような)にあるとき、好ましくは、固定手段102は長手方向スロット100の遠位端又はその付近にある。
【0054】
ピストン84の近位端はねじ付きの外表面104を有する。円形の親指制御部106は、ピストン84の近位端にあるねじ付きの外表面104上に回転可能に装着される。親指制御部106は、ピストン84のねじ付きの外表面104と相互作用するねじ付きの内表面108を有し、それによって、外側本体80の近位端80Pに対する親指制御部106の長手方向位置が調節可能である。親指制御部106は、ピストン84をピストンチャンバ82内へと遠位方向に押し込むことができる距離、したがって、針電極アセンブリ46をカテーテル本体12の遠位端の外へと延在させることができる距離を制限する、停止部として作用する。親指制御部106及びピストン84のねじ付きの表面によって、親指制御部を外側本体80の近位端80Pに近付くように、又はそこから遠ざかるように移動させることが可能になるので、針電極アセンブリ46の延長距離を医師が制御することができる。締めねじ109などの固定手段が親指制御部106に設けられて、親指制御部をピストンの近位端84P上における長手方向位置で係止及び解放するための、親指制御部とピストン84との間の張力が制御される。当業者には認識されるように、親指制御部106は、ピストン84がピストンチャンバ82内へと延在する距離を制限する停止部として作用することができる、他の任意のメカニズムに置き換えることができ、停止部がピストンに対して調節可能であることは必須ではないが好ましい。
【0055】
図示される実施形態では、
図3に示されるように、カテーテルは少なくとも1つの位置センサ77を更に含む。位置センサ77は、遠位軸14の遠位端の座標を判定するのに使用される。具体的には、位置センサ77は、患者の体内におけるカテーテルの遠位端の精密な場所をモニタリングするのに使用される。位置センサ77は対応するセンサケーブル74に接続される。センサケーブル74は、リード線29と共に、遠位軸14の管腔31(
図2C)を通り、保護管(図示なし)内の近位軸13を通って、次に偏向制御ハンドル16に入り、臍帯(図示なし)内にある偏向制御ハンドルの近位端を出て、回路基板(図示なし)を収容するセンサ制御モジュール(図示なし)へと延在する。別の方法としては、回路基板は、例えば、その開示を参照により本明細書に援用する米国特許第6,024,739号に記載されているように、制御ハンドル16内に収容することができる。センサケーブル74は、プラスチックで覆われたシースに入れられた複数のワイヤを含む。センサ制御モジュール内で、センサケーブル74のワイヤは回路基板に接続される。回路基板は、位置センサ77から受信した信号を増幅し、それを、センサ制御モジュールの近位端にあるセンサコネクタを用いて、コンピュータが理解可能な形式でコンピュータに送信する。また、カテーテルは単回使用専用で設計されるので、回路基板は、カテーテルが使用されてから約24時間後に回路基板を遮断するEPROMチップを含んでもよい。これによって、カテーテル又は少なくとも位置センサ77が二回使用されるのを防ぐ。
【0056】
位置センサ77は電磁的な位置センサであってもよい。例えば、位置センサ77は、米国特許第5,391,199号に記載されているような磁場応答型コイル、又は国際公開第WO 96/05758号に記載されているような複数のかかるコイルを備えてもよい。複数のコイルにより、位置センサ77の六次元座標(即ち、3つの位置座標及び3つの配向座標)の判定が可能になる。別の方法としては、電気、磁気、又は音響センサなど、当該分野において既知の任意の好適な位置センサが使用されてもよい。本発明と共に使用するのに適した位置センサはまた、例えば、米国特許第5,558,091号、同第5,443,489号、同第5,480,422号、同第5,546,951号、及び同第5,568,809号、国際公開第WO 95/02995号、同第WO 97/24983号、同第WO 98/29033号、並びに「Position Sensor Having Core with High Permeability Material」という名称の2001年6月15日付けの米国特許出願第09/882,125号に記載されており、それらの開示を参照により本明細書に援用する。
【0057】
図7及び7Aに示されるように、カテーテル10は、統合されたアブレーション及び分光システム200と共に使用されてもよい。図示される実施形態では、システムは、RF発生器202と、患者インターフェースユニット203と、通信(COM)ユニット204と、位置パッド206と、プロセッサ207と、入力デバイス(例えば、キーボード)211と、ディスプレイ208とを含む。COMユニット204は、ECG、電位図収集、増幅、フィルタ処理、及びカテーテル遠位先端のリアルタイム追跡のための電子機器を提供する。PIU 203により、信号発生器、記録デバイスなどを含むシステム200の様々な構成要素との通信が可能になる。位置パッド206は、磁場発生器(例えば、コイル)を含み、一般的に患者の身体の下に位置して、患者の体内で磁場を発生させる。これらの磁場に応答して、カテーテルの遠位端に収容された位置センサ77は電気信号を発生させ、それが、カテーテル遠位端の位置(場所及び/又は配向)座標を判定するために、PIU 203によって受信され、COMユニット204に送信され、プロセッサ207によって処理される。プロセッサ207は、ディスプレイ208を駆動する際に座標を使用して、カテーテルの場所及び状態を示す。カテーテル10からの他の信号、例えば組織の電気活動及び温度も、ディスプレイ208上に示される患者の心臓の3Dマッピングを含む処理及び分析のため、PIU 203を介してCOMユニット204及びプロセッサ207に送信される。この位置感知及び処理の方法は、例えば、その開示全体を参照により本明細書に援用する、PCT国際公開第WO 96/05768号に詳細に記載されており、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,California)製のCARTOシステム内に実装されている。
【0058】
アブレーションの場合、RF発生器202は、PIU 203を介してカテーテル10の針電極アセンブリ46にRFアブレーションエネルギーを供給する。分光の場合、システム200は、エミッタ導波路71を介して入射光エネルギーをカテーテル10に供給する光源209を更に含む。コレクタ導波路72及び75によって収集された光は分光計210に伝達され、それが、信号を処理するプロセッサ207に対して代表的信号を提供して、照明される標的組織の様々なパラメータ及び/又は特性が判定される。システムは、カテーテル位置点を獲得するのに使用されるPIU 203に接続された第1のフットペダル205Aと、RF発生器202の活性化/非活性化のためにRF発生器202に接続された第2のフットペダル205Bとを含んでもよい。
【0059】
本発明のカテーテルを使用するため、電気生理学医は、当該分野において一般に知られているように、ガイドシース及び拡張器を患者の体内に導入してもよい。かかる使用に適合されたカテーテルのため、ガイドワイヤも導入されてもよい。
図5に示されるように、カテーテルは、下大動脈(IVC)を介して右心房(RA)に導入されてもよい。左心房(LA)に達するために、カテーテルは中隔を通り抜ける。
【0060】
ガイドシースを通して、カテーテル本体12全体が患者の脈管系を通り抜けて所望の場所に至ることができる。カテーテルの遠位端が所望の場所に、例えば左心房RAに達した後、ガイドシースが撤回されて遠位軸14を露出させる。制御ハンドル16の親指制御部61は、遠位軸14が適所へと偏向されるように必要に応じて操作されてもよい。カテーテル本体12の遠位端が標的組織に位置した後、親指制御部106が押し下げられて、針制御ハンドル17のピストン84を前進させる。止めねじ102は、針の遠位端を組織内の特定の深さで保持するように、外側本体84に対する選択された長手方向位置でピストン84を解除可能に係止するのに使用されてもよい。ピストンを遠位方向に前進させるにつれて、OPTA 68Aが遠位方向に前進して、針55がカテーテルの遠位端を越えて配備され、標的組織内へと露出する。光エネルギーは、エミッタ導波路71によって標的組織内へと伝達され、後方散乱した光エネルギーは、コレクタ導波路72及び77によって収集される。収集された光は、分析のため、カテーテル本体12に沿って、偏向制御ハンドル16及び針制御ハンドル17を通り、分光計210へと近位方向で伝達される。
【0061】
RFエネルギーは、針55をアブレーションのために励磁して、組織と表面電極の接触によって作成されるものよりも大きい損傷部を含む損傷部を作成するため、針電極アセンブリ46に加えられてもよい。灌注流体もまた、流体源と、近位側管材料53及び針55の管腔を通して輸送される流体を供給するポンプ119とを介して、アブレーション部位に供給されてもよい。有利には、分光及びアブレーションは両方とも、インサイチュに留まってもよい単一のカテーテルを使用して行われるので、アブレーション組織部位は分光の組織部位とほぼ同一である。その点について、アブレーションが成功裏に行われたか否かを判定するため、追加の分光分析がアブレーション後に行われてもよい。また、適切であれば、追加のアブレーション処置が行われてもよく、アブレーション組織部位が変化しないままであるという利点を再び有する。追加の分光分析及び追加のアブレーション処置は、全て同じ組織部位で、且つ単一のカテーテルを使用して、必要な回数繰り返されてもよい。
【0062】
図8及び8A〜8Hは、別の実施形態による本発明のカテーテル300を示す。
図9及び9Aに示されるように、カテーテル300は、腫瘍302を含む患部組織を評価し治療することができる、器官、例えば肺305を含む患者の体内での使用に適合される。後述するように、カテーテル300は、多くの点で上述のカテーテル10に類似した構造を有し、類似の構成要素は類似の参照番号を有するが、後述するものを含む違い及び特定の適応が存在する。
【0063】
カテーテル300は、近位軸313と、遠位軸314と、遠位側先端電極348と、リング電極349と、近位側管材料353及び遠位側管材料又は「針」355を含む針電極アセンブリ346とを有する。カテーテル300はまた、偏向制御ハンドル316と、ハンドル316の遠位側にある針制御ハンドル317と、ハンドル317の遠位側にある光ファイバーコネクタ318とを含む。
【0064】
図8D及び8Hに示されるように、近位軸313は、外壁322及び補強管320を有する単一の中央又は軸方向の管腔318を備える。遠位軸314は、少なくとも4つの管腔330、331、332、及び333を有する多重管腔管材料319を備える。針電極アセンブリ346の近位側管材料353は管腔330を通って延在する。位置センサ377用のケーブル374は管腔331を通って延在する。牽引ワイヤ342は管腔332を通って延在する。牽引ワイヤを取り囲む圧縮コイル344は、偏向制御ハンドル316から近位軸313を通って延在し、近位軸313の遠位側のある距離に、例えば遠位軸314の長さの約4分の1に位置する、その遠位端で終端する。特に、カテーテル300の図示される実施形態は一方向の偏向を有するので、1つの牽引ワイヤのみが提供されるが、二方向の偏向の場合、第2の牽引ワイヤ及び管腔332の直径方向反対側にある個々の管腔が提供されるであろうことが理解される。先端電極348及びリング電極349それぞれのためのリード線329T及び329Rは、管腔333を通って延在する。
【0065】
図8Dに示されるように、針電極アセンブリ346の近位側管材料353は、針355のための、導波路束(エミッタ導波路371及びコレクタ導波路373を含む)、リード線329、並びに熱電対ワイヤ対363及び364を収容する。これらの構成要素は、近位側管材料353の単一の中央管腔を通って延在する。近位側管材料353をその長さに沿って取り囲むのは、針制御ハンドル317、偏向制御ハンドル316、近位軸313、遠位軸314を通り、遠位側先端電極348内へと延在する外側管材料368であり、後述するように、その中で外側管材料368の遠位端が係留される。結果的に、この実施形態では、外側管材料368はカテーテルに対して長手方向で不動であり、したがって、カテーテル本体312及び先端電極348に対して前進させ撤回することができる近位側管材料353及び針355と共に、長手方向で移動可能ではない。一実施形態では、外側管材料368はポリイミドの外層及びPTFEの内層を有し、近位側管材料353はPEEKで構築され、針355はニチノールで構築される。
【0066】
針電極アセンブリ346の近位側管材料353の遠位端で、針355の近位端は、管材料353の管腔に受け入れられ、その中で、近位側管材料535を通って延在するリード線329Nによって係留される。リード線329Nは、近位側管材料353の遠位端に固定された、針の近位端355Pの周りに巻かれ、それにはんだ付けされる。針355のための導波路370及び371並びに熱電対ワイヤ対633及び634もまた、近位側管材料353の管腔を通って延在し、針355の単一の中央管腔を引き続き通り、そこで針の斜角を付けた遠位端と概ね隣接する遠位端を有する。結果的に、導波路370及び371、リード線329N、並びに熱電対ワイヤ対363及び364と共に、近位側管材料353と、針355とを備える針電極アセンブリ346は、外側管材料368内における、且つ近位軸313及び遠位軸314に対する長手方向移動を有する。
【0067】
図8B及び8Cを参照すると、先端電極348は、遠位軸314の管材料319の遠位端上に装着される。先端電極と管材料319との間はコネクタ管材料350であり、例えば、遠位軸14から先端電極348まで延在するワイヤ及び/又はケーブルを収容し、その再配向を可能にするのに適した、単一の管腔を備えた管材料の短い区画である。コネクタ管材料350の近位端は管材料319の遠位端を受け入れ、コネクタ350の遠位端は先端電極348の近位端を受け入れる。
【0068】
先端電極348は、遠位軸314の管腔330と軸線方向で位置合わせされた長手方向通路351を備えて形成される。通路351は、より大きい直径の近位側部分351Pと、より小さい直径の遠位側部分351Dとを有する。近位側部分351Pを通って延在するのは、近位側部分351Pに固定された遠位軸314の管腔330から延在する、より幅広の外側管材料368の遠位端である。外側管材料368を通って延在するのは、針電極アセンブリ346の近位側管材料353である。近位側管材料353は、コネクタ管材料318の近位端と遠位端との間に載置された遠位端を有する。
【0069】
通路351の遠位側部分351Dは、近位側管材料353から延在する針355を受け入れる。上述したように、針355は、近位側管材料353の遠位端内に装着され、リード線329Nによって電気的に接続される。近位側管材料353及び針355の間の外径の差によって、先端電極348の通路351の遠位側部分351Dと近位側部分351Pとの間の接合部Jは、先端電極348に対して針電極アセンブリ346に与えられる遠位方向の前進量を制限する遠位側の停止部として作用する。
【0070】
先端電極348の近位端には、コネクタ管材料318の遠位端に受け入れられる外周方向の切欠きが形成される。リング電極349は切欠き内でコネクタ管材料318の上に装着される。リング電極249及びコネクタ管材料318の遠位端は、接着剤など、例えばポリウレタン376によって、切欠き内で先端電極348に結合される。リング電極のリード線329R及び先端電極のリード線329Tは両方とも、遠位軸314の管腔333からコネクタ管材料318の管腔を通り抜ける。リード線329Rは、コネクタ管材料318に形成された孔を介してリング電極349に接続される。先端電極348のリード線329Tは、先端電極348の近位面に形成された第1の盲孔352ではんだ付けされる。また、第1の盲孔内には、孔354内ではんだ付けされた、圧着した短いステンレス鋼管323を有する牽引ワイヤ342の遠位端が係留される。近位面にはまた、中に係留されたセンサ377を受け入れる第2の盲孔353が形成される。バイオセンサ用のケーブル374は、遠位軸314の管腔331から、コネクタ管材料318の管腔を通り抜ける。
【0071】
結果的に、カテーテル300は、別個の独立した選択的電気記録及び励磁のための自身のリード線をそれぞれ有する、少なくとも3つの区別可能な電極要素を、即ち針355、先端電極348、及びリング電極349を有する。
【0072】
図8E及び8Fは、カテーテル300と共に使用するのに適した偏向制御ハンドル316及び針制御ハンドル317の一実施形態を示す。
図1の偏向制御ハンドル16及び針制御ハンドル17についての本明細書の記載を参照する。説明のほとんどが、
図8E及び8Fの偏向制御ハンドル316及び針制御ハンドル317に適用可能であり、類似の構成要素は参照番号に同一の下二桁を加えたものによって特定される。
図8Gに関して、導波路371及び372を光源及び分光計(
図7)に接続する光ファイバーコネクタ378が、針制御ハンドル317の近位側に示され、そこに接続されている。各導波路に対して隔離された経路を画成するため、1つ以上のコネクタが提供されてもよい。
【0073】
上記の説明は、現時点における本発明の好ましい実施形態に基づいて示したものである。本発明が関係する分野及び技術の当業者であれば、本発明の原理、趣旨及び範囲を大きく逸脱することなく、説明された構造の改変及び変更が実施されてもよいことを理解するであろう。当業者には理解されるように、図面は必ずしも縮尺通りではない。また、必要に応じて、又は適切であれば、異なる実施形態の異なる特徴が組み合わされてもよい。更に、本明細書に記載したカテーテルは、マイクロ波、レーザー、RF、及び/又はクライオジェンを含む、様々なエネルギー形態を適用するように適合されてもよい。したがって、上記の説明は、説明され添付図面に示される厳密な構造のみに関係するものとして読み取るべきではなく、むしろ、最も完全で公正な範囲を有するであろう以下の特許請求の範囲と符合し、かつ特許請求の範囲を支持するものとして読み取るべきである。
【0074】
〔実施の態様〕
(1) カテーテルであって、
細長いカテーテル本体と、
制御ハンドルと、
前記制御ハンドルから前記カテーテル本体を通って延在し、標的部位の組織を貫通するように適合された遠位端を有し、前記カテーテル本体に対して長手方向で移動可能である、針電極アセンブリと、
前記標的部位の前記組織から屈折した光を収集するように適合された少なくとも1つの光導波路と、を備える、カテーテル。
(2) 前記少なくとも1つの光導波路が更に、組織内へと光を放射するように適合される、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記少なくとも1つの光導波路の少なくとも遠位端、及び前記針電極アセンブリの少なくとも遠位側部分が、前記カテーテル本体に対して長手方向で移動するように連結される、実施態様1に記載のカテーテル。
(4) 前記制御ハンドルが、前記針電極アセンブリを前記カテーテル本体に対して長手方向で移動させるように適合されたピストンを有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(5) 前記ピストンが、前記カテーテルの遠位端を越えて前記針電極アセンブリの前記遠位端を前進させるように適合される、実施態様4に記載のカテーテル。
【0075】
(6) 前記ピストンが、前記針電極アセンブリの前記遠位端を前記カテーテル内へと後方に後退させるように適合される、実施態様5に記載のカテーテル。
(7) 前記針電極アセンブリの遠位側部分が管腔を有し、前記光導波路の少なくとも遠位端が前記管腔内に位置する、実施態様1に記載のカテーテル。
(8) 前記光導波路の遠位端が、前記針電極アセンブリの前記遠位端と概ね隣接している、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 前記カテーテル本体が近位軸及び偏向可能な遠位軸を備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(10) 遠位側先端電極を更に備え、前記針電極アセンブリの前記遠位端が前記遠位側先端電極を越えて前進するように構成される、実施態様1に記載のカテーテル。
【0076】
(11) リング電極を更に備える、実施態様3に記載のカテーテル。
(12) カテーテルであって、
近位軸及び遠位軸を有する細長いカテーテル本体と、
制御ハンドルと、
前記制御ハンドルから前記近位軸を通って前記遠位軸内へと延在し、標的部位の組織を貫通するように適合された遠位端を備えた遠位側部分を有し、前記カテーテル本体に対して長手方向で移動可能である、針電極アセンブリと、
前記標的部位の前記組織内へと光を供給するように適合された少なくとも1つのエミッタ光導波路と、
前記標的部位の前記組織によって屈折した光を収集するように適合された少なくとも1つのコレクタ光導波路と、を備える、カテーテル。
(13) 前記エミッタ光導波路及びコレクタ光導波路並びに前記針電極アセンブリが、前記カテーテル本体に対して長手方向で移動するように連結される、実施態様12に記載のカテーテル。
(14) 前記制御ハンドルが、前記針電極アセンブリを前記近位軸及び前記遠位軸に対して長手方向で移動させるように適合されたピストンを有する、実施態様12に記載のカテーテル。
(15) 前記ピストンが、前記遠位軸の遠位端を越えて前記針電極アセンブリの前記遠位端を前進させるように適合される、実施態様12に記載のカテーテル。
【0077】
(16) 前記ピストンが、前記遠位軸の前記遠位端の近位側に前記針電極アセンブリの前記遠位端を後退させるように適合される、実施態様15に記載のカテーテル。
(17) 前記針電極アセンブリの前記遠位軸が管腔を有し、前記エミッタ光導波路の少なくとも遠位端が前記管腔内に位置する、実施態様12に記載のカテーテル。
(18) 前記光導波路の遠位端が、前記針電極アセンブリの前記遠位端と概ね隣接している、実施態様12に記載のカテーテル。
(19) アブレーション及び分光のためのシステムであって、
実施態様1に記載のカテーテルと、
前記針電極アセンブリにRFエネルギーを供給するように適合されたRF発生器と、
前記標的部位の組織内へと光エネルギーを供給するように適合された光源と、
前記少なくとも1つの光導波路によって収集された前記光を分析するように適合された分光計と、を備える、システム。
(20) 患者インターフェースユニットと、
通信ユニットと、
プロセッサと、
ディスプレイと、を更に備え、
前記患者インターフェースユニットが、前記RF発生器及び前記通信ユニットとの間で信号を送受信するように適合され、
前記通信ユニットが、前記患者インターフェースユニットとの間で信号を送受信するように適合され、
前記プロセッサが、前記通信ユニットとの間で信号を送受信するように適合され、
前記ディスプレイが、前記プロセッサから信号を受信するように適合される、実施態様19に記載のシステム。