特許第6584841号(P6584841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニシキの特許一覧

特許6584841容器セットおよび容器セットにおいて内容器を固定する方法
<>
  • 特許6584841-容器セットおよび容器セットにおいて内容器を固定する方法 図000002
  • 特許6584841-容器セットおよび容器セットにおいて内容器を固定する方法 図000003
  • 特許6584841-容器セットおよび容器セットにおいて内容器を固定する方法 図000004
  • 特許6584841-容器セットおよび容器セットにおいて内容器を固定する方法 図000005
  • 特許6584841-容器セットおよび容器セットにおいて内容器を固定する方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6584841
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】容器セットおよび容器セットにおいて内容器を固定する方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/04 20060101AFI20190919BHJP
   B65D 1/26 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   B65D77/04 A
   B65D1/26
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-135426(P2015-135426)
(22)【出願日】2015年7月6日
(65)【公開番号】特開2017-13889(P2017-13889A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】591210437
【氏名又は名称】株式会社ニシキ
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(74)【代理人】
【識別番号】100194984
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 圭太
(72)【発明者】
【氏名】江上 幸隆
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−151500(JP,A)
【文献】 特開2004−010092(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3180595(JP,U)
【文献】 実開昭59−078256(JP,U)
【文献】 実開昭60−129375(JP,U)
【文献】 英国特許出願公開第02399801(GB,A)
【文献】 実開平06−038746(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3033950(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/04
B65D 1/26
B65D 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の花弁を有する花を象った容器であり、収容部と、該収容部から外方へ張り出した複数の張出部と、該張出部のそれぞれに設けられている第1の係合要素とを有する外容器と、
径大な頭部と先が細くなった尾部を有する容器であり、前記頭部には第2の係合要素が形成されており、前記外容器の収容部に、前記尾部先端を中心として前記頭部を前記張出部に対応させ、周方向に全周にわたり並べて、前記頭部の第2の係合要素が前記第1の係合要素より高くなるように収容されている、複数の内容器と、
前記外容器に被着可能で、準剛性または可撓性を有する材料で形成され、複数の花弁を有する花を象った形状であり、外方へ張り出した張出部を有し、該張出部は、前記外容器の第1の係合要素および前記内容器の第2の係合要素に対し同時に係合する第3の係合要素を有しており、中心部に前記内容器の尾部の浮き上がりを止める中浮止め部を有する蓋体とを備える
容器セット。
【請求項2】
前記蓋体に、前記内容器の頭部の浮き上がりを止める外浮止め部を有する
請求項1の容器セット。
【請求項3】
前記蓋体の前記各張出部の間に、これらを周方向につなぎ前記蓋体に剛性を付与する補強部が設けられている
請求項1または2の容器セット。
【請求項4】
前記内容器の上縁が、上下に波打つ形状である
請求項1、2または3の容器セット。
【請求項5】
前記内容器に被せられる内容器蓋を備える
請求項1、2、3または4の容器セット。
【請求項6】
内容器が彩色されているか、または色分けされている
請求項1、2、3、4または5の容器セット。
【請求項7】
第2の係合要素を有する内容器を、第1の係合要素を有する外容器に、前記第2の係合要素が前記第1の係合要素より高くなるようにして収容し、前記外容器に、前記第1、第2の係合要素と係合可能な第3の係合要素および中心部に前記各内容器の浮き上がりを止める中浮止め部を有する蓋体を被着することにより、前記蓋体の第3の係合要素を、前記内容器の第2の係合要素と前記外容器の第1の係合要素に同時に係合させると共に、前記中浮止め部で前記各内容器の浮き上がりを止めて、一体となった前記外容器と前記蓋体の内部で内容器を固定する
容器セットにおいて内容器を固定する方法。
【請求項8】
収容部と、該収容部の外周部に複数設けられている第1の係合要素とを有する外容器と、
第2の係合要素を有し、前記外容器の収容部に、前記第2の係合要素を前記第1の係合要素に対応させ、周方向に全周にわたり並べて、前記第2の係合要素が前記第1の係合要素より高くなるようにして収容される複数の内容器と、
前記外容器に被着可能で、前記外容器の第1の係合要素および前記内容器の第2の係合要素に対し同時に係合する第3の係合要素を周方向へ複数有しており、中心部に前記各内容器の浮き上がりを止める中浮止め部を有する蓋体とを備える
容器セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器セットおよび容器セットにおいて内容器を固定する方法に関するものである。更に詳しくは、搬送する際の振動や衝撃で内容器の位置がずれて隣り合う他の内容器に縁部が乗り上げて内容物がこぼれたり、接触により耳障りな音がしたり、あるいは接触部分が欠けてしまうなどの不都合が起こらないようにした容器セットおよび容器セットにおいて内容器を固定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
仕出し料理などを、彩りよく、見栄えがするように詰めるための容器として、外容器の内部に、複数の内容器を収容したもの(容器セット)が使用されている。近年では、このような容器にも、様々な機能性が付与されるようになってきており、一例として、外容器内部における内容器のスペース的な収容効率を十分に確保しながら、つまり内容器同士を隙間なく収容しながら、外容器からの内容器の取り出しが容易にできるようにした、特許文献1記載の包装容器がある。
【0003】
特許文献1記載の包装容器は、外容器と、この外容器に収容される複数の内容器とを有し、外容器の内壁の一部に、下部の第一傾斜部と異なる角度の第二傾斜部が形成され、この第二傾斜部が、内容器のうちの少なくとも一つの内容器の外壁上部又はその延長線に対して、上方に向かうほど遠ざかるように形成されている。
【0004】
これにより、外容器に内容器を隙間なく収容することができると共に、保温性など内容器の機能を損なうことなく、内容器の取り出しが容易にできる。また、外容器には、蓋体を被せることができるが、この蓋体は、被せた状態においては、外容器に収容されている内容器には干渉しないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−222309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の包装容器は、外容器からの内容器の取り出しが容易にできる点は有用である。しかし、一方で外容器内における各内容器の固定が充分にされていない。すなわち、外容器内において、各内容器は互いに隙間なくほぼ密着して収容されるようになっているが、特に固定されているわけではないので、搬送方法などの取り扱いの状況によっては安定しにくい。
【0007】
このため、例えば搬送する際の振動や衝撃で内容器の位置がずれて隣り合う他の内容器に縁部が乗り上げ、料理などの内容物がこぼれたり、接触により耳障りな音がしたり、あるいは内容器がガラス製や陶磁器製であれば接触部分が欠けてしまうなど、様々な不都合が起こるおそれがあった。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、容器セットにおいて内容器を充分な固定力を以て固定し、例えば搬送する際の振動や衝撃で内容器の位置がずれて隣り合う他の内容器に縁部が乗り上げて内容物がこぼれたり、接触により耳障りな音がしたり、あるいは接触部分が欠けてしまうなどの不都合が起こらないようにした容器セットおよび容器セットにおいて内容器を固定する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、複数の花弁を有する花を象った容器であり、収容部と、該収容部から外方へ張り出した複数の張出部と、該張出部のそれぞれに設けられている第1の係合要素とを有する外容器と、径大な頭部と先が細くなった尾部を有する容器であり、前記頭部には第2の係合要素が形成されており、前記外容器の収容部に、前記尾部先端を中心として前記頭部を前記張出部に対応させ、周方向に全周にわたり並べて、前記頭部の第2の係合要素が前記第1の係合要素より高くなるように収容されている、複数の内容器と、前記外容器に被着可能で、準剛性または可撓性を有する材料で形成され、複数の花弁を有する花を象った形状であり、外方へ張り出した張出部を有し、該張出部は、前記外容器の第1の係合要素および前記内容器の第2の係合要素に対し同時に係合する第3の係合要素を有しており、中心部に前記内容器の尾部の浮き上がりを止める中浮止部を有する蓋体とを備える容器セットである。
【0010】
(2)本発明は、前記蓋体に、前記内容器の頭部の浮き上がりを止める外浮止め部を有する上記(1)の発明に係る容器セットである。
【0011】
この場合、内容器の固定をより確実に行うことができる。すなわち、蓋体を外容器に被着し、蓋体の第3の係合要素を、内容器の第2の係合要素と外容器の第1の係合要素に同時に係合させて固定する際に、更に外浮止め部によって、内容器が浮き上がるのを止めることができるので、内容器の固定または実質的な固定がより確実にできるようになる。
【0012】
(3)本発明は、前記蓋体の前記各張出部の間に、これらを周方向につなぎ前記蓋体に剛性を付与する補強部が設けられている上記(1)または(2)の発明に係る容器セットである。
【0013】
この場合は、補強部を設けることによって蓋体の剛性が高くなっており、強度も強くなっているので、変形しにくい。したがって、各内容器に料理などを入れて、蓋体を外容器に被着して容器セットを一体化した後、容器セットを搬送するなど、取り扱いをする際に、蓋体に各内容器の重さが作用したり、容器セットに振動や衝撃などの外力が作用したりしても、蓋体は外容器から容易には外れることがない。
【0014】
(4)本発明は、前記内容器の上縁が、上下に波打つ形状である上記(1)、(2)または(3)の発明に係る容器セットである。
【0015】
この場合は、各内容器が、例えばホタテのような二枚貝の貝殻の一枚を象ったような独特の形の容器となるので、特に各内容器が外容器に並んで収まったときには、容器として、従来にない斬新な外観を生じさせることができる。
【0016】
(5)本発明は、前記内容器に被せられる内容器蓋を備える上記(1)、(2)、(3)または(4)の発明に係る容器セットである。
【0017】
この場合は、容器セットから蓋体を取り外した後も、外容器から取り出した、料理などの内容物を入れた各内容器を密閉することができるので、衛生的に取り扱うことが可能になる。
また、内容器に内容器蓋を被着した状態の大きさを、外容器に蓋体を被着して一体化したものの内部に収容できるようにすると、取り扱いの際に、容器セットに対し振動や衝撃などの外力が作用したときにも、内容物が外容器内でこぼれることを防止できる。
【0018】
(6)本発明は、内容器が彩色されているか、または色分けされている上記(1)、(2)、(3)、(4)または(5)の発明に係る容器セットである。
【0019】
この場合は、外容器内で並んだ内容器が、見た目に色あざやかで華やかな外観を生じさせることができ、特に、蓋体を透明材料で形成すると、容器セットとして組み合わせたときにも、各内容器が透けて見えるので、同様に華やかな外観を有する容器となり、内容器の内容物である料理などを引き立てる様々な演出が可能になる。
【0020】
(7)本発明は、第2の係合要素を有する内容器を、第1の係合要素を有する外容器に、前記第2の係合要素が前記第1の係合要素より高くなるようにして収容し、前記外容器に、前記第1および第2の係合要素と係合可能な第3の係合要素を有する蓋体を被着することにより、前記蓋体の第3の係合要素を、前記内容器の第2の係合要素と前記外容器の第1の係合要素に同時に係合させ、一体となった前記外容器と前記蓋体の内部で内容器を固定する容器セットにおいて内容器を固定する方法である。
【0021】
本発明によれば、蓋体を外容器に被着し、蓋体の第3の係合要素を、内容器の第2の係合要素と外容器の第1の係合要素に対し、同時に係合させ、斜めに架け渡すようにして、内容器を外容器に押し付けるようにし、また、内容器が横方向へ動かないようにすることにより、外容器と蓋体の内部で内容器を充分な固定力を以て固定または実質的に固定することができる。
【0022】
(8)本発明は、収容部と、該収容部の外周部に複数設けられている第1の係合要素とを有する外容器と、第2の係合要素を有し、前記外容器の収容部に、前記第2の係合要素を前記第1の係合要素に対応させ、周方向に全周にわたり並べて、前記第2の係合要素が前記第1の係合要素より高くなるようにして収容される複数の内容器と、前記外容器に被着可能で、前記外容器の第1の係合要素および前記内容器の第2の係合要素に対し同時に係合する第3の係合要素を周方向へ複数有しており、中心部に前記各内容器の浮き上がりを止める中浮止め部を有する蓋体とを備える容器セットである。
【0023】
本発明によれば、外容器に複数の内容器を周方向に並べて収容し、各内容器を覆うように、蓋体を外容器に被着することで、外容器と蓋体の内部で各内容器を固定することができる。すなわち、蓋体を外容器に被着する際、蓋体の第3の係合要素を内容器の第2の係合要素と外容器の第1の係合要素に対し、同時に係合させ、斜めに架け渡すようにして、内容器を外容器に押し付けるようにする。
なお、この場合の「係合」とは、必ずしも係合要素が互いに強く密着するように接して行われるものではなく、多少隙間も生じるような、やや緩く接する場合も含むものである。
【0024】
これにより、内容器と外容器が相互にずれないように、あるいは内容器が外容器の周方向へ動かないようにすることができる。また、蓋体の中心部に設けてある中浮止め部によって、各内容器の浮き上がりを止めることができる。このように、外容器と蓋体の内部で内容器を充分な固定力を以て固定または実質的に固定することができる。
【0025】
本明細書及び特許請求の範囲にいう「被着」の用語は、被せて固着する意味で使用している。
また、「複数の花弁を有する花」とは、例えば桜の花、梅の花、ハナニラ、あるいはツルハナナスなどであるが、これらに限定するものではなく、その他の花を象った形状とすることもできる。また、星形多角形など、幾何的な各種形状を象ったものでもよい。
【0026】
内容器の形状は、径大な頭部と先が細くなった尾部を有する、いわゆる水滴型、あるいは勾玉型に限定されるものではなく、三角形などの各種多角形状、直線部と曲線部を組み合わせた各種形状、あるいは定形でない異形状など、外容器の収容部に周方向へ並べることができるものであれば、様々な形状に形成できる。また、内容器の個数も特に限定せず、適宜設定ができる。
【0027】
また、スペース効率をよくする上では、あるいは各内容器を安定させる上では、内容器の形状を、各内容器を並べたときに互いに隙間なく密着できる形状とするのが好ましいが、隙間を設けてもよく、限定はされない。なお、外容器に各内容器の位置を決めるための突起、突条、凹部などの位置決めのための各種要素を設けてもよい。
【0028】
第1、第2の係合要素と第3の係合要素は、例えば凹部(凹溝など)と凸部(凸条など)のように、互いに容易に係合させることができ、係合の解除も容易にできるものであれば、その構造を限定するものではなく、上記の他、公知の各種構造を採用することもできる。
【0029】
(作用)
本発明の容器セットの作用を説明する。
まず、複数の花弁を有する花を象った形状の外容器の収容部に、頭部と尾部を有する複数の内容器を、各張出部に頭部を対応させるように、また、尾部先端を外容器の中心に位置させるようにして、各内容器を外容器の周方向に全周にわたり並べて収容する。なお、各内容器には、料理などの内容物が入れられる。
【0030】
そして、各内容器を覆うように、または内包するように、蓋体を外容器に対し被着する。このとき、蓋体の第3の係合要素を各内容器の第2の係合要素と外容器の第1の係合要素に対し、同時に係合させ、斜めに架け渡すようにすることにより、蓋体は、外容器に向かう力のベクトルによって、各内容器を外容器に押し付ける。この押し付け力は、蓋体が準剛性または可撓性を有している材料で形成されていることによって、その反発力でより効果的に作用する。
【0031】
また、上記係合により、各内容器と外容器が相互にずれないように、あるいは各内容器が外容器の周方向へ動かないようにすることができる。更に、蓋体の中心部に設けてある中浮止め部によって、各内容器の尾部の浮き上がりを止めることができる。
【0032】
これにより、外容器と蓋体の内部で内容器を充分な固定力を以て固定または実質的に固定することができ、例えば搬送する際の振動や衝撃で内容器の位置がずれて隣り合う他の内容器に縁部が乗り上げて内容物がこぼれたり、接触により耳障りな音がしたり、あるいは内容器が材質によっては接触部分が欠けてしまうなどの不都合が起こるおそれがない。なお、蓋体は、各内容器を取り出す場合など、必要に応じて外容器から取り外すことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、容器セットにおいて内容器を充分な固定力を以て固定し、例えば搬送する際の振動や衝撃で内容器の位置がずれて隣り合う他の内容器に縁部が乗り上げて内容物がこぼれたり、接触により耳障りな音がしたり、あるいは接触部分が欠けてしまうなどの不都合が起こらないようにした容器セットおよび容器セットにおいて内容器を固定する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明に係る容器セットの構成を示す分解斜視図である。
図2】容器セットの蓋体の一部を切り欠き、P1部分の拡大図をあわせて示した平面視説明図である。
図3】容器セットの側面視説明図である。
図4図2におけるB−B断面図を示し、P2部分の拡大図をあわせて示した説明図である。
図5】内容器蓋を被せた内容器を示し、(a)は平面視説明図、(b)は(a)におけるC−C断面説明図、(c)は(a)におけるD−D断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明を図面に示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
図1ないし図5を参照する。
容器セットAは、何れも合成樹脂製の外容器1、五つの内容器2および蓋体3を備えている。容器セットAは、例えば総菜を販売する店において複数種の総菜(料理)を彩りよく、見栄えがするように詰めるための容器として利用される。
【0036】
(外容器1)
外容器1は、平面視でいわゆる桜の花を象った浅い皿状に形成されており、本実施の形態では、白色に彩色された不透明体である。すなわち、外容器1の外周部には、外容器1と平行に、かつ放射状に張り出し、縁の形状がほぼ半円状の張出部10が五箇所に形成されている。また、外容器1は、外周部の厚みより太くなるよう縁取られた上縁部11が、全周にわたり同じ高さとなるように形成されている。
【0037】
外容器1の内部側は、上縁部11に沿う一定幅の部分において内方へ向け徐々に深くなり、内部側のほとんどの部分で平坦(平板状)となる収容部12となっている。そして、各張出部10の外周部の中央部には、第1の係合要素である平面視でほぼV字形状の係合凹部13が形成されている。また、外容器1の底面(下面)には、外容器1の上縁部11の形状と相似形状でやや小さい台部14(図3図4参照)が突出して設けられている。
【0038】
(内容器2)
内容器2は、本実施の形態では五個で編成されている。内容器2は、平面視において径大でほぼ丸い頭部20と、これと連続する先が細くなった尾部21で構成され、尾部21が一方へ曲げられている、いわゆる勾玉(まがたま)型の比較的剛性の高い容器である。内容器2は、外周部の厚みよりやや太くなるよう縁取られた上縁部22が、全周にわたり設けられている。上縁部22は、上下に緩やかに、かつ不規則に波打つ形状である(特に図5を参照)。
これにより、後述のように出来上がった内容器2は、いわば二枚貝の貝殻の一枚を象ったような独特の形の容器となるので、特に各内容器が外容器に並んで収まったときには、容器として、従来にない斬新な外観を生じさせることができる。
【0039】
内容器2は、上縁部22の平面視形状とほぼ相似形状で、かつ小さな底部23を有しており(図2図5など参照)、その底面(下面)には、底部23とほぼ同じ形状の台部24(図5参照)が突出して設けられている。内容器2の周壁25は、上縁部22から底部23の外周部へ向け窄まるように傾斜して形成されており、内容器2は、やや深い容器である。また、内容器2の頭部20にあたる外周部のほぼ中央部には、第2の係合要素である平面視でほぼV字形状の係合凹部26が形成されている。
【0040】
また、各内容器2は、半透明体であり、それぞれ異なる色に彩色され、色分けされている。各内容器2の色は、本実施の形態では、薄黄色、薄桃色、薄青色、薄緑色および薄灰色の五色であるが、この組合せに限定されるものではなく、その他の様々な色の組合せを採用することができる。なお、内容器2は、透明体であってもよく、これを内容器2の編成に加えたり、あるいは内容器2の全部に所定の色で同色に彩色したりしたものを使用した編成としてもよい。
【0041】
各内容器2は、後述するように外容器1の収容部12に収容される。各内容器2は、収容部12に、尾部21先端を中心として頭部20を各張出部10に対応させ、周方向に全周にわたり、ほぼ隙間なく並べて収容されている。この収容状態では、五色のカラフルな編成の各内容器2が見た目に色あざやかで華やかな外観を生じさせることができる。また、蓋体3が透明であるため、後述のように蓋体3を被着したときも、各内容器2が外部から見えるので、同様に華やかな容器セットとなり、内容器2の内容物である料理などを引き立てる様々な演出が可能になる。
【0042】
また、図5に示すように、本実施の形態では、内容器2に被着する内容器蓋27を備えている。内容器蓋27は、準剛性または可撓性を有する透明な合成樹脂で形成されている。内容器蓋27の下縁部270は、内容器2の上縁部22の波打つ形状に沿うように、かつ上縁部22に上側から嵌めて下側から係合することができるように構成されている。なお、内容器蓋27の外面側の下縁部270寄りの複数箇所には、図示は省略しているが、内容器蓋27を重ね合わせたときの密着を防止するスペーサーが設けられている。
【0043】
内容器蓋27は、本実施の形態では、内部空間を確保するため、比較的高い構造としているが、これに限定はされない。内容器蓋は、外容器1に対し後述する蓋体3を被着したときに、蓋体3に干渉しないように、つまり蓋体3を被着するのに支障がないように、上面を平坦に形成するなど、より低い構造とすることもできる。なお、内容器蓋27は、容器セットAから蓋体3を取り外した後も、外容器1から取り出した、料理などの内容物を入れた各内容器2を密閉することができるので、衛生的に取り扱うことが可能になる。
【0044】
(蓋体3)
蓋体3は、準剛性または可撓性を有する透明な合成樹脂で形成されている。蓋体3は、上記外容器1と同様に、平面視で桜の花を象った形状であり、蓋体3と平行に、かつ放射状に張り出し、縁の形状がほぼ半円状の張出部30が五箇所に形成されている。蓋体3の上部形状は、各張出部30に連続する平坦部31となっており、その中心には各内容器2の尾部21先端部の浮き上がりを止める中浮止め部32が形成されている。
【0045】
中浮止め部32は、平坦部31の中心上面から下方へ凹むように、底のある筒状に形成されている(図1図4参照)。なお、中浮止め部32の横断面形状は、各張出部30に合わせて桜の花様であるが、これに限定されるものではなく、後述するように、各内容器2の尾部21の先端部を浮き上がらないようにまとめて止めることができる大きさ、形状であればよい。
【0046】
また、蓋体3の下縁部、すなわち各張出部30の下縁部34には、各張出部30をつなぐように、補強部である補強縁33が全周にわたり形成されている(図1ないし図4参照)。補強縁33は、下縁部34において各張出部30に対応する先端縁よりやや張り出すように、かつ各張出部30の間では、平面視でV字状に凹んだ空間部分を補うように形成されている。なお、補強縁33には、多数の凹凸330が密集して設けられており、これにより補強縁33および蓋体3の下縁部34の剛性および強度を高めている。
【0047】
蓋体3の下縁部34は、外容器1の上縁部11の形状に沿うように、かつ上縁部11に上側から嵌めて下側から係合することができるように構成されている。そして、各張出部30の外周部中央には、内面側に突出するように(外部からは凹溝に見える)、外容器1の係合凹部13に係合可能な第3の係合要素である係合凸部35が設けられている。
【0048】
なお、係合凸部35は、下縁部34から上記中浮止め部32方向へ平坦部31の先端部まで設けられており、外容器1と蓋体3の内部に収容されている各内容器2の係合凹部26にも係合するようになっている。更に、蓋体3には、各内容器2を外容器1に収容したときの頭部20の上縁部22の高さに合わせて、全周にわたり段部である外浮止め部36が形成されている(特に図4参照)。
【0049】
外浮止め部36は、本実施の形態では、上記係合凸部35のほぼ中間部分となる高さに位置している。外浮止め部36は、内容器2の係合凹部26と外容器1の係合凹部13に係合する係合凸部35とも相まって、各内容器2の浮き上がりをより確実に防止することができる。
なお、蓋体3の外面側の下縁部34寄りの複数箇所には、図示は省略しているが、蓋体3を重ね合わせたときの密着を防止するスペーサーが設けられている。
【0050】
(作用)
図1ないし図5を参照して、容器セットAの作用について説明する。
まず、容器セットAを構成する桜の花を象った形状の外容器1の収容部12に、頭部20と尾部21を有する複数の内容器2を、各張出部10に頭部20を対応させるように、また、尾部21先端を外容器1の中心に位置させるようにして、各内容器2を外容器1の周方向に全周にわたり並べて収容する。この収容状態では、各内容器2の係合凹部26は、外容器1の各係合凹部13より高い位置にある。なお、各内容器2には、例えば料理などの内容物が入れられている。
【0051】
そして、外容器1に並べられた各内容器2を覆うように、蓋体3を外容器1に被着する。ここで、蓋体3は、補強縁33によって剛性が高くなっており、強度も強くなっているので、変形しにくい。これにより、蓋体3に各内容器2の重さが作用したり、容器セットAに振動や衝撃などの外力が作用したりしても、蓋体3は外容器1から容易には外れることがない。
【0052】
また、蓋体3を外容器1に被着する際には、蓋体3の係合凸部35を各内容器2の係合凹部26と外容器1の係合凹部13に対し、同時に係合させ、斜めに架け渡すようにする。これにより、蓋体3は、外容器1に向かう力のベクトルによって、各内容器2を外容器1に押し付ける。この押し付け力は、蓋体3が準剛性または可撓性を有する合成樹脂で形成されていることによって、その反発力でより効果的に作用する。
【0053】
また、上記係合により、各内容器2と外容器1が相互にずれないように、あるいは各内容器2が外容器1の周方向へ動かないようにすることができる。更に、蓋体3の中心部に設けてある中浮止め部32によって、各内容器2の尾部21の浮き上がりをまとめて止めることができる。
【0054】
これにより、一体化された外容器1と蓋体3の内部で、各内容器2を充分な固定力を以て固定または実質的に固定することができ、例えば容器セットAを搬送する際の振動や衝撃で内容器2の位置がずれて隣り合う他の内容器2に縁部が乗り上げて内容物がこぼれることを防止できる。
【0055】
また、内容器をガラスや陶器などで形成しても、内容器2同士の接触により耳障りな音がしたり、あるいは接触部分が欠けたりするなどの不都合が起こるおそれがない。なお、蓋体3は、各内容器2を中から取り出す場合など、必要に応じて外容器1から取り外すことができるのはいうまでもない。
【0056】
本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
A 容器セット
1 外容器
10 張出部
11 上縁部
12 収容部
13 係合凹部
14 台部
2 内容器
20 頭部
21 尾部
22 上縁部
23 底部
24 台部
25 周壁
26 係合凹部
27 内容器蓋
270 下縁部
3 蓋体
30 張出部
31 平坦部
32 中浮止め部
33 補強縁
330 凹凸
34 下縁部
35 係合凸部
36 外浮止め部
図1
図2
図3
図4
図5