特許第6584842号(P6584842)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6584842-画像形成装置 図000002
  • 特許6584842-画像形成装置 図000003
  • 特許6584842-画像形成装置 図000004
  • 特許6584842-画像形成装置 図000005
  • 特許6584842-画像形成装置 図000006
  • 特許6584842-画像形成装置 図000007
  • 特許6584842-画像形成装置 図000008
  • 特許6584842-画像形成装置 図000009
  • 特許6584842-画像形成装置 図000010
  • 特許6584842-画像形成装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6584842
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20190919BHJP
   G02B 26/12 20060101ALI20190919BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20190919BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20190919BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   G02B26/10 F
   G02B26/12
   B41J2/47 101D
   H04N1/113
   G03G15/04 111
【請求項の数】5
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-135549(P2015-135549)
(22)【出願日】2015年7月6日
(65)【公開番号】特開2017-16063(P2017-16063A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 隆宏
【審査官】 鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−064768(JP,A)
【文献】 特開2006−017947(JP,A)
【文献】 特開平11−157128(JP,A)
【文献】 特開2010−039155(JP,A)
【文献】 特開2006−259749(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0062495(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10 − 26/12
B41J 2/47
H04N 1/113
G03G 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムを露光する光走査ビームを反射するミラーと、
前記ミラーを支持するハウジングと、
前記ハウジングに回転可能に設けられ、前記ミラーの第1端部において、前記ミラーと当接する第1回転カムと、
前記ミラーを前記第1回転カムに向かって押圧する第1押圧部と、
前記第1回転カムと共に回転する第1凹凸部と、
前記第1回転カムの回転軸方向から見て、前記第1回転カムの回転軸線と、前記第1回転カムと前記ミラーとの当接位置と、を通る直線上の位置を除く位置で前記第1凹凸部と係合し、係合時に前記第1回転カムの回転運動を阻止可能かつ前記第1回転カムを回転駆動不能な第1係合部と、
を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1凹凸部は、
ギヤ歯形を備える
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ハウジングに固定され、前記第1凹凸部に向かって前記第1係合部を付勢する弾性部を備える
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1回転カムの回転軸方向から見て、前記第1係合部と前記第1凹凸部との係合位置と前記第1回転カムの回転軸線とを結ぶ線と、前記第1回転カムの回転軸線と前記当接位置とを結ぶ線との交差角が、45°以上、135°以下となるように、前記第1凹凸部と前記第1係合部との係合位置が設けられる
請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ハウジングに回転可能に設けられ、前記ミラーの端部のうち、前記第1端部と反対側の第2端部において、前記ミラーと当接する第2回転カムと、
前記ミラーを前記第2回転カムに向かって押圧する第2押圧部と、
前記第2回転カムと共に回転する第2凹凸部と、
前記第2回転カムの回転軸方向から見て、前記第2回転カムの回転軸線と、前記第2回転カムと前記ミラーとの当接位置と、を通る直線上の位置を除く位置で前記第2凹凸部と係合し、係合時に前記第2回転カムの回転運動を阻止可能かつ前記第2回転カムを回転駆動不能な第2係合部と、
を備える
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーによって画像形成を行う画像形成装置がある。画像形成装置は、光走査ビームを感光体ドラムに照射することによって感光体ドラム上に静電潜像を形成する。画像形成装置は、静電潜像を現像してトナー像を形成する。
例えば、フルカラー画像を形成する画像形成装置は、複数の感光体ドラムを持つ。画像形成装置は、各感光体ドラム上に、それぞれ光走査ビームを照射する。各感光体ドラム上のトナー像は、各感光体ドラム間の相対位置を正確に位置合わせする必要がある。特に、光走査ビームの走査位置が平行でない場合、画像品質が劣化するおそれがある。
画像形成装置は、光走査ビームを反射するミラーの調整機構を持つ。ミラーの調整機構は、押圧部から押圧力を受けるミラーを支持する。ミラーの調整機構は、ミラーを支持する突起部の位置を変える機構を持つ。ミラーの調整機構は、突起部の位置を変える機構として回転カムと、回転カムの位置を固定する係合部を持つ場合がある。係合部は、回転カムを付勢する。回転カムは、ミラーおよび付勢された係合部から押圧される。
回転カムは、調整時に押圧力に抗して回転させる必要がある。回転カムは、押圧力を受けるため回転しにくい。回転カムを無理に回転させると、係合部等が塑性変形するおそれがある。係合部等が塑性変形すると、回転カムの調整位置が狂ってしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−145914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ミラーの調整が容易であって、かつ調整位置がずれにくい画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の画像形成装置は、ミラーと、ハウジングと、第1回転カムと、第1押圧部と、第1凹凸部と、第1係合部とを持つ。ミラーは、感光体ドラムを露光する光走査ビームを反射する。ハウジングは、ミラーを支持する。第1回転カムは、ハウジングに回転可能に設けられる。さらに第1回転カムは、ミラーの第1端部において、ミラーと当接する。
第1押圧部は、ミラーを第1回転カムに向かって押圧する。第1凹凸部は、第1回転カムと共に回転する。第1係合部は、第1凹凸部と係合し、係合時に前記第1回転カムの回転運動を阻止可能かつ前記第1回転カムを回転駆動不能である。さらに第1係合部は、第1回転カムの回転軸方向から見て、第1回転カムの回転軸線と、第1回転カムとミラーとの当接位置と、を通る直線上の位置を除く位置にある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の画像形成装置の全体構成例を示す断面の模式図。
図2】実施形態の画像形成装置のレーザ走査ユニットの構成例を示す斜視の模式図。
図3】実施形態の画像形成装置のミラーの第1端部の支持形態の例を示す斜視の模式図。
図4図3におけるB視図。
図5図3におけるA視図。
図6図5におけるC−C断面図。
図7図5におけるD−D断面図。
図8】実施形態の画像形成装置のミラーの第2端部の支持形態の例を示す断面の模式図。
図9】実施形態の画像形成装置の作用を示す平面視の模式図。
図10】比較例の画像形成装置の作用を示す平面視の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の画像形成装置を、図面を参照して説明する。なお、各図において、同一構成については同一の符号を付す。
図1は、実施形態の画像形成装置100の全体構成例を示す断面の模式図である。
【0008】
図1に示すように、実施形態の画像形成装置100は、コントロールパネル1、スキャナ部2、プリンタ部3、シート供給部4、搬送部5、および制御部6を持つ。
【0009】
コントロールパネル1は、操作者からの入力を受け付ける。画像形成装置100はこの入力によって動作する。
スキャナ部2は、複写対象物の画像情報を読み取る。スキャナ部2は、読み取った画像情報をプリンタ部3に出力する。
プリンタ部3は、スキャナ部2が読み取る画像情報または外部からの画像情報に基づいて、トナー等を含む現像剤により出力画像(以下、トナー像という)を形成する。
プリンタ部3は、トナー像をシートSの表面上に転写する。プリンタ部3は、シートSの表面上のトナー像に熱と圧力をかけてトナー像をシートSに定着する。
【0010】
シート供給部4は、プリンタ部3がトナー像を形成するタイミングに合わせて、シートSを1枚ずつ、プリンタ部3に供給する。シート供給部4は、複数の給紙カセット20A、20B、20Cを持つ。各給紙カセット20A、20B、20Cは、それぞれに予め設定するサイズおよび種類のシートSを収納する。各給紙カセット20A、20B、20Cは、それぞれピックアップローラ21A、21B、21Cと、給紙ローラ22A、22B、22Cと、を持つ。各ピックアップローラ21A、21B、21Cは、各給紙カセット20A、20B、20CからシートSを1枚ずつ取り出す。取り出されたシートSは、給紙ローラ22A、22B、22Cによって、搬送部5に移動される。
【0011】
搬送部5は、搬送ローラ23と、レジストローラ24とを持つ。搬送部5は、シート供給部4から供給されるシートSをレジストローラ24へ搬送する。プリンタ部3がトナー像をシートSに転写するタイミングに応じて、レジストローラ24はシートSを搬送する。
搬送ローラ23は、シートSの搬送方向における先端をレジストローラ24のニップNに突き当てる。搬送ローラ23は、シートSを撓ませることにより搬送方向でのシートSの先端の位置を整える。
レジストローラ24は、シートSの先端をニップNにおいて整合する。レジストローラ24は、シートSを後述する転写部28側に搬送する。
【0012】
次に、プリンタ部3の詳細構成を説明する。
プリンタ部3は、画像形成部25Y、25M、25C、25K、レーザ走査ユニット10、中間転写ベルト27、転写部28、定着器29、および転写ベルトクリーニングユニット31を持つ。
【0013】
画像形成部25Y、25M、25C、25Kは、トナー像を中間転写ベルト27上に形成する。
画像形成部25Y、25M、25C、25Kは、それぞれ感光体ドラム25y、25m、25c、25kを持つ。画像形成部25Y、25M、25C、25Kは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を感光体ドラム25y、25m、25c、25kに形成する。
感光体ドラム25y、25m、25c、25kは、互いに間をあけて平行に配置される。感光体ドラム25y、25m、25c、25kの各中心軸線は、同一の水平面上に配置される。感光体ドラム25y、25m、25c、25kの各中心軸線は、プリンタ部3におけるシートSの搬送方向と直交する。
【0014】
感光体ドラム25y、25m、25c、25kのそれぞれの周囲には、周知の帯電器、現像器、転写ローラ、クリーニングユニット、および除電器が位置する。転写ローラは、感光体ドラムと対向する。転写ローラと感光体ドラムとの間には、後述する中間転写ベルト27が挟まれる。帯電器および現像器の下方には、レーザ走査ユニット10が位置する。
【0015】
レーザ走査ユニット10は、感光体ドラム25y、25m、25c、25kの各表面にレーザビームL1、L2、L3、L4(光走査ビーム)を照射する。レーザ走査ユニット10には、後述する制御部6からイエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの画像情報が供給される。
レーザビームL1、L2、L3、L4は、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの各画像情報に基づいて変調される。
レーザビームL1、L2、L3、L4は、それぞれ感光体ドラム25y、25m、25c、25kの表面において、感光体ドラム25y、25m、25c、25kの長手方向に延びる線上に走査する。
感光体ドラム25y、25m、25c、25kの表面を走査するレーザビームL1、L2、L3、L4は、露光部分を除電する。レーザビームL1、L2、L3、L4は、画像情報に応じて感光体ドラム25y、25m、25c、25kの表面に静電潜像を形成する。
レーザ走査ユニット10の詳細構成は、後述する。
【0016】
中間転写ベルト27は、無端ベルトである。中間転写ベルト27は、内周面に複数のローラが当接する。複数のローラは、中間転写ベルト27に張力を付与する。中間転写ベルト27は、楕円形に張架される。支持ローラ28aは搬送部5の近傍で中間転写ベルト27の内周面に当接する。転写ベルトローラ32が中間転写ベルト27の内周面に当接する。転写ベルトローラ32と支持ローラ28aとは、対向して配置する。
支持ローラ28aは、後述する転写部28の一部をなす。
転写ベルトローラ32は、中間転写ベルト27を回転駆動する。
【0017】
中間転写ベルト27の図示下面側には、転写ローラを除く画像形成部25Y、25M、25C、25Kがこの順に配置される。画像形成部25Y、25M、25C、25Kは、転写ベルトローラ32と支持ローラ28aとの間の領域で、互いに間をあけて配置される。
【0018】
画像形成部25Y、25M、25C、25Kの各現像器は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを含む現像剤を収容する。各現像器は、それぞれ感光体ドラム25y、25m、25c、25k上の静電潜像を現像する。この結果、感光体ドラム25y、25m、25c、25k上にはトナー像が形成される。
画像形成部25Y、25M、25C、25Kの各転写ローラは、それぞれ感光体ドラム25y、25m、25c、25kの表面のトナー像を中間転写ベルト27上に転写(1次転写)する。
各転写ローラには、1次転写位置にトナー像が到達すると転写バイアスが与えられる。
画像形成部25Y、25M、25C、25Kの各クリーニングユニットは、1次転写後の感光体ドラムの表面の未転写トナーを掻き取るなどして除去する。
画像形成部25Y、25M、25C、25Kの各除電器は、クリーニングユニットを通過した感光体ドラムの表面に光を照射する。各除電器は、それぞれ感光体ドラム25y、25m、25c、25kを除電する。
【0019】
転写部28は、支持ローラ28aと、2次転写ローラ28bとを持つ。2次転写ローラ28bと支持ローラ28aとは、中間転写ベルト27を挟持する。この挟持された中間転写ベルト27と2次転写ローラ28bの間を、シートSは搬送される。2次転写ローラ28bおよび中間手転写ベルト27が互いに当接する位置は、2次転写位置である。
転写部28は、中間転写ベルト27上のトナー像を2次転写位置においてシートSの表面上に転写する。転写部28は、転写バイアスを2次転写位置に与える。転写部28は、転写バイアスにより中間転写ベルト27上のトナー像をシートSに転写する。
【0020】
定着器29は、シートSに熱と圧力とを与える。定着器29は、熱と圧力とによってシートSに転写されたトナー像を定着させる。
転写ベルトクリーニングユニット31は、中間転写ベルト27の外側に配置される。転写ベルトクリーニングユニット31は、転写ベルトローラ32に対向する。転写ベルトクリーニングユニット31は中間転写ベルト27を挟む。転写ベルトクリーニングユニット31は、中間転写ベルト27の表面のトナーを掻き取る。転写ベルトクリーニングユニット31は、掻き取ったトナーを廃トナータンクに回収する。
【0021】
プリンタ部3は、反転ユニット30を持つ。反転ユニット30は、反転したシートSをレジストローラ24の手前の搬送ガイド内に、再度、搬送する。反転ユニット30は、裏面に画像を形成するためにシートSを反転させる。
制御部6は、画像形成装置100の各装置部分の制御を行う。
【0022】
ここで、レーザ走査ユニット10の主要部の構成について説明する。
図2は、実施形態の画像形成装置100のレーザ走査ユニット10の構成例を示す斜視の模式図である。図3は、実施形態の画像形成装置100のミラーの第1端部E1の支持形態の例を示す斜視の模式図である。図4は、図3におけるB視図である。図5は、図3におけるA視図である。図6は、図5におけるC−C断面図である。図7は、図6におけるD−D断面図である。図8は、実施形態の画像形成装置100のミラーの第2端部E2の支持形態の例を示す断面の模式図である。
【0023】
図2に示すように、レーザ走査ユニット10は、ハウジング11と、レーザユニット17Y、17M、17C、17Kと、書き込み光学系18と、を持つ。図2に示すレーザ走査ユニット10は、上部のカバーを取り外した状態を示す。
以下では、レーザ走査ユニット10における方向および相対位置を説明する場合、画像形成装置100への組付時のレーザ走査ユニット10の配置に基づいて説明する。図2におけるレーザ走査ユニット10は、画像形成装置100に組み立てられた際の配置における斜視図である。
【0024】
レーザ走査ユニット10における方向を説明する場合、図2に示すX方向、Y方向、Z方向を用いる場合がある。
X方向は、感光体ドラム25y、25m、25c、25k上におけるレーザビームL1、L2、L3、L4の理想的な走査線が延びる方向である。X方向は、感光体ドラム25y、25m、25c、25kの回転軸が延びる方向に一致する。
Y方向は、水平面において、X方向と直交する方向である。
Z方向は鉛直方向である。Z方向は、X方向およびY方向に直交する。
法線がX方向に延びる仮想平面をYZ平面という場合がある。法線がY方向に延びる仮想平面をZX平面という場合がある。法線がZ方向に延びる仮想平面をXY平面という場合がある。
【0025】
ハウジング11は、レーザユニット17Y、17M、17C、17Kと、書き込み光学系18と、を一定の位置関係に固定する。ハウジング11は、図示略のカバーに覆われる。ハウジング11の上部を覆うカバーには、レーザビームL1、L2、L3、L4を透過させる開口が形成される。
レーザユニット17Y、17M、17C、17Kは、それぞれレーザダイオード(以下、LDという)と、各LDの駆動回路と、を持つ。レーザユニット17Y、17M、17C、17Kで発生されたレーザ光は、後述する書き込み光学系18のコリメータレンズによって平行ビームとされる。レーザユニット17Y、17M、17C、17Kは、ハウジング11のX方向における一方の側面に固定される。
【0026】
書き込み光学系18は、ハウジング11に固定される。書き込み光学系18は、周知のコリメータレンズ、シリンドリカルレンズ、ポリゴンモータ、fθレンズ、および複数のミラー、を持つ。
レーザユニット17Y、17M、17C、17Kの各LDで発生したレーザ光は、各コリメータレンズで平行ビームとされる。
以下、書き込み光学系18における各光路について簡単に説明する。各光路は、ハウジング11上のレイアウトが異なるのみで、略同様である。そこで、特に特定のレーザビームの光路に言及する場合以外は符号を省略する。
各レーザビームの光軸に直交する断面における方向を説明する場合に、主走査方向および副走査方向を用いる場合がある。主走査方向は、ポリゴンモータにおけるポリゴンミラーの回転によってレーザビームが移動する方向である。副走査方向は、主走査方向に直交する方向である。
各レーザビームの像面における主走査方向はX方向である。各レーザビームの像面における副走査方向はY方向である。
【0027】
シリンドリカルレンズは、レーザユニットからの各レーザビームを後述するポリゴンモータのポリゴンミラー上で副走査方向に結像する。シリンドリカルレンズは、レーザユニットとポリゴンモータとの間に配置される。
ポリゴンモータは、Z方向に延びる回転軸と、回転軸に固定された周知のポリゴンミラーを持つ。ポリゴンミラーは、ポリゴンモータで回転されることによって、各レーザビームを偏向走査する。
各レーザビームは、ポリゴンミラーで反射されると、副走査方向に発散する。
fθレンズは、ポリゴンミラーで反射される各レーザビームをそれぞれ感光体ドラム上で結像する。fθレンズはfθ特性を持つ。fθレンズは、ポリゴンモータによって等角度走査される各レーザビームを像面で等速走査させる。
【0028】
ポリゴンモータとfθレンズとの間、およびfθレンズと感光体ドラムとの間には、X方向に延びる複数のミラーが位置する。各ミラーは、各レーザビームを適宜方向に反射する。各ミラーは、各レーザビームを各感光体ドラム上に導く。
本実施形態では、各光路には、それぞれ4枚のミラーが配置される。これらのミラーは、ポリゴンミラー側から感光体ドラム側に向かって、第1ミラー、第2ミラー、第3ミラー、および第4ミラーという。
特に図示しないが、本実施形態では、レーザビームL1、L2(図1参照)の光路における第1ミラーと第2ミラーとは共通である。レーザビームL3、L4(図1参照)の光路における第1ミラーと第2ミラーとは共通である。
【0029】
図2において、第4ミラー12Y(ミラー)は、図示略のレーザビームL1をレーザ走査ユニット10の上側に反射する。第4ミラー12Yは、レーザビームL1を図示略の感光体ドラム25yに導く。
第3ミラー13Mは、図示略のレーザビームL2を第3ミラー13Mの下側に反射する。第3ミラー13Mは、レーザビームL2を、後述する第4ミラー12M(ミラー、図4参照)に導く。
図2では図示略の第4ミラー12M(ミラー)は、図示略のレーザビームL2をレーザ走査ユニット10の上側に反射する。第4ミラー12Mは、レーザビームL2を図示略の感光体ドラム25mに導く。
第4ミラー12C(ミラー)は、レーザビームL3をレーザ走査ユニット10の上側に反射する。第4ミラー12Cは、レーザビームL3を図示略の感光体ドラム25cに導く。
第4ミラー12K(ミラー)は、図示略のレーザビームL4をレーザ走査ユニット10の上側に反射する。第4ミラー12Kは、レーザビームL4を図示略の感光体ドラム25kに導く。
【0030】
第4ミラー12Y(12M、12C、12K)は、互いに略平行(平行の場合を含む)に延びて、ハウジング11に固定される。第4ミラー12Y(12M、12C、12K)はX方向に延びる。
第4ミラー12Y(12M、12C、12K)は、長手方向においてレーザユニット17Y(17M、17C、17K)寄りの第1端部E1では、短手方向に離間した2点で支持される。
第4ミラー12Y(12M、12C、12K)は、長手方向において第1端部E1と反対側の第2端部E2では、短手方向における中央部の1点で支持される。
【0031】
第4ミラー12Kは、第1端部E1において、第1回転カム14Aと、ハウジング11における突起部(図示略)とによって下方から支持される。第4ミラー12Kは、第2端部E2において、第2回転カム14Bによって下方から支持される。
第4ミラー12Yは、第1端部E1において、第1回転カム14Aと、ハウジング11における突起部(図示略)とによって下方から支持される。第4ミラー12Yは、第2端部E2において、ハウジング11における突起部(図示略)によって下方から支持される。
第4ミラー12Cは、図2では図示略の第1回転カム14A等によって、第4ミラー12Yと同様に支持される。
図2では図示略の第4ミラー12Mは、図2では図示略の第1回転カム14A等によって、第4ミラー12Yと同様に支持される。
【0032】
第1回転カム14Aによる第4ミラーの支持形態は、第4ミラー12Y、12M、12C、12Kのいずれにおいても同様である。以下では、第1回転カム14Aが第4ミラー12Mを支持する場合の例で説明する。
図3図7に示すように、第4ミラー12Mの第1端部E1には、押えバネ16(第1押圧部)と、第1回転カム14Aと、が当接する。
第4ミラー12Mは、ハウジング11の内部で水平に延びる板状部11G上に、反射面12aが上側を向く姿勢で配置される。
図6に示すように、支持突起11Cと、第1回転カム14Aとは、第1端部E1における第4ミラー12Mの裏面12bを下方から支持する。
第4ミラー12Mにおける短手方向における側面12cは、支持突起11Cの近傍に形成された係止突起11Dに係止される。
【0033】
支持突起11Cは、板状部11Gから上方に突出する。支持突起11Cの突出方向における先端部は、第4ミラー12Mの裏面12bと点接触(点P2参照)するように丸められている。支持突起11Cは、後述するように第4ミラー12Mをあおり調整する際の支点になる。
本実施形態では、図5に示すように、点P1、P2を結ぶ仮想直線は、Z方向から見ると、Y方向に延びている。本実施形態では、点P1、P2を結ぶ仮想直線は、Z方向から見ると、後述する第1回転カム14Aの回転軸線となる中心軸線O14Aを通る。
【0034】
図6に示すように、係止突起11Dは、板状部11Gから上方にから突出する。係止突起11Dの突出方向における先端部は、第4ミラー12Mの側面12cと点接触(点P3参照)するように丸められている。係止突起11Dは、後述するように、第4ミラー12Mをあおり調整する第4ミラー12Mの短手方向における移動を規制する。
【0035】
図3図4に示すように、押えバネ16は、金属板を折り曲げて形成された板バネである。押えバネ16は、第4ミラー12Mの上方から反射面12aを押さえる。押えバネ16の形状は、弾性力によって、第4ミラー12Mを付勢できれば特に限定されない。
本実施形態では、押えバネ16は、一例として、基端部16bと、中間湾曲部16cと、先端板状部16aと、を持つ。基端部16b、中間湾曲部16c、および先端板状部16aは、この順に接続される。
【0036】
基端部16bは、ハウジング11から上側に突出する係止部11eを挟持するようにコ字状(U字状)に折り曲げた部分である。
基端部16bを係止部11eに固定する方法は特に限定されない。例えば、基端部16bは、係止部11eにねじ止めされてもよい。
本実施形態では、基端部16bには、図示略の係止孔が設けられる。ハウジング11の係止部11eには、この係止孔に係合する図示略の係合突起が突出する。基端部16bの係止孔に係止部11eの係合突起に挿入すると、係止部11eに対する基端部16bの位置が固定される。
【0037】
中間湾曲部16cは、係止部11eと第4ミラー12Mの長手方向における端面12e(図4参照)との間に挿入可能なU字状の湾曲部である。
【0038】
先端板状部16aは、中間湾曲部16cから二条に分岐される。先端板状部16aは、第4ミラー12Mの反射面12aに向かって折り曲げられる。各先端板状部16aの先端には、半球状の凸部16d(図6参照)が設けられる。先端板状部16aは、各凸部16dによって、反射面12aに当接する。
【0039】
押えバネ16は、基端部16bが係止部11eに係止されると、凸部16dが、反射面12aに当接する。このとき、中間湾曲部16cおよび先端板状部16aは、自然状態からたわむ。この弾性変形によって発生する弾性復元力は、凸部16dから第4ミラー12Mに作用する。押えバネ16は、第4ミラー12Mの反射面12aを、第4ミラー12Mの裏面12bに向かって押圧する。
【0040】
図6に示すように、第1回転カム14Aは、第1軸部14aと、第2軸部14eと、第1カム部14cと、第1凹凸部14dと、を持つ。
【0041】
第1軸部14aは、第1回転カム14Aの第1端部e1に形成される。第1軸部14aは、中心軸線O14A(回転軸線)に沿って延びる。本実施形態では、中心軸線O14Aは、Z方向に延びる。
第1軸部14aの中心には、調整治具係合穴14bが第1軸部14aと同軸に延びる。調整治具係合穴14bは、第1回転カム14Aにおける第1端部e1から反対側の第2端部e2に向かって延びる。
調整治具係合穴14bの形状は、挿入する調整治具の形状に応じて適宜の形状を採用することができる。例えば、本実施形態では、調整治具が先端部に六角キーを持つ。調整治具係合穴14bは、六角キーと係合する六角穴を持つ。
【0042】
第2軸部14eは、第1軸部14aの端部から第1回転カム14Aの第2端部e2まで延びる。第2軸部14eは、第1軸部14aと同軸に延びる円柱状の軸部である。第2軸部14eの外径は、第1軸部14aの外径よりも小さい。
第1軸部14aと第2軸部14eとの間には段部14gが形成される。段部14gは、中心軸線O14Aと直交する平面である。
【0043】
第2軸部14eは、ハウジング11から支持突起11Cと同方向に突出したボス部11Aの中心の軸受部11aに、上方から挿入される。
軸受部11aは、ボス部11AをZ方向に貫通する円孔である。軸受部11aの内径は、第2軸部14eを回転可能に嵌合できるように、第2軸部14eよりも大径である。
ボス部11Aの突出方向における端面であるスラスト受け面11bは、第1回転カム14Aにおける段部14gと摺動可能に当接する。
ハウジング11において、ボス部11Aの突出方向と反対方向には、ボス部11Aと同軸のボス部11Bが突出する。
ボス部11Bの内部には、軸受部11aが貫通している。ボス部11Bの突出高さの寸法は、第2軸部14eを軸受部11aの内部に収容できる寸法とする。
【0044】
第2軸部14eの中心には、調整治具係合穴14fが第2軸部14eと同軸に延びる。調整治具係合穴14fは、第1回転カム14Aにおける第2端部e2から第1端部e1に向かって延びる。
調整治具係合穴14fの形状は、挿入する調整治具の形状に応じて適宜の形状を採用することができる。例えば、本実施形態では、調整治具が先端部に六角キーを持つ。よって調整治具係合穴14fは、六角キーと係合する六角穴を持つ。
【0045】
調整治具係合穴14fは、調整治具係合穴14bと同一形状でもよいし、異なる形状でもよい。
本実施形態では、一例として、調整治具係合穴14fの穴径(六角穴の内接円径)が、調整治具係合穴14bの穴径よりも小さい。
調整治具係合穴14fは、調整治具係合穴14bの内部に貫通してもよいし、貫通しなくてもよい。図6には、一例として、調整治具係合穴14fが、調整治具係合穴14bに貫通しない場合の例を示す。
【0046】
第1カム部14cは、第1軸部14aにおいて、段部14gの近傍の外周部から外側に延ばされる。
図5に、第1回転カム14Aの回転軸方向(Z方向)から見た第1カム部14cの外形を示す。第1カム部14cの外形は、中心軸O14Aからの半径が中心軸線O14Aを中心として渦巻線状に変化する。
図6に示すように、中心軸O14Aを含む断面では、第1カム部14cの外周部は、円弧状に丸められている。第1カム部14cは、丸められた部位において第4ミラー12Mの裏面12bと点接触する。裏面12bと第1カム部14cとの接触点を点P1で表す。
【0047】
第1カム部14cは、軸受部11aによって、中心軸線O14A回りに回転可能に支持される。
第1カム部14cが中心軸線O14A回りに回転する際に、第1カム部14c上で、裏面12bと当接する点を連ねると、図5に二点鎖線で示す曲線PaPbPcになる。
点Paは、中心軸O14Aからの距離rが最小値rminとなる点である。
点Pcは、中心軸O14Aからの距離rが最大値rmax(ただし、rmax>rmin)となる点である。
点Pbは、中心軸O14Aからの距離rが(rmin+rmax)/2となる点である。
例えば、点Pbにおける回転角を0とし、回転角θの正方向を図示反時計回りに定める。点aにおける回転角を−θa(ただし、θa>0)、点Pcにおける回転角を+θc(ただし、θc>0)とする。
曲線PaPbPc上の任意の点pにおける中心軸線O14Aからの距離rpを、rp=r(θ)(ただし、−θa≦θ≦+θc)と表すと、関数r(θ)はθに関する単調増加関数である。
点Pcでは、rp=rmaxである。点Pcからさらに回転角θが増えると、距離rpは徐々に減少する。点Paでは、rp=rminである。
【0048】
第1凹凸部14dは、第1回転カム14Aにおいて、中心軸線O14Aを中心とする円周上に形成される。第1凹凸部14dは、後述するストッパ15と係合可能である。
第1凹凸部14dにストッパ15が係合すると、第1回転カム14Aの回転位置が固定される。
第1凹凸部14dは、第1回転カム14Aにおいて、第1カム部14cを除くいずれの部位に形成されてもよい。本実施形態では、一例として、第1カム部14cの第2端部e2寄りに隣接して形成される(図6図7参照)。
【0049】
第1凹凸部14dの形状は、後述するストッパ15によって、周方向に離間した複数の位置で係合できる適宜の凹凸形状を採用することができる。第1凹凸部14dは、周方向において凸部と凹部とが交互に形成される。
係合位置の間隔は、後述する第4ミラー12Mのあおり調整に必要な回転位置の分解能が得られれば、特に限定されない。
ただし、後述するストッパ15との係合を解除するための力を抑制するためには、凸部の形状は、頂部に向かって漸次すぼまる山形とするとよい。凹部の形状は、底部に向かって漸次すぼまる谷形とするとよい。
本実施形態では、第1凹凸部14dの形状は、一例として、適宜モジュールのギヤ歯形が連続的に形成された平歯車状の形状を採用している。
【0050】
図5に示すように、ハウジング11には、ストッパ15が配置される。ストッパ15は、第1回転カム14Aの第1凹凸部14dと係合する。ストッパ15は、第1回転カム14Aの回転位置を固定する。
ストッパ15は、係合部15b(第1係合部)、弾性支持部15a(弾性部)、ベース部15c、および係止ピン15dを持つ。
本実施形態では、ストッパ15の材質は、一例として、合成樹脂である。ただし、ストッパ15の材質は、金属、あるいは金属と合成樹脂の複合材料でもよい。
【0051】
係合部15bは、第1凹凸部14dの凹部に係合する。本実施形態では、第1凹凸部14dは平歯車歯形である。係合部15bは、第1凹凸部14dと同じモジュールの平歯車歯形を持つ。
【0052】
弾性支持部15aは、係合部15bを、係合位置と係合解除位置との間で往復可能に支持する。
係合位置とは、第1回転カム14Aの第1凹凸部14dに、係合部15bがバックラッシ無しで係合する位置である。
係合解除位置とは、係合部15bが、第1凹凸部14dにおける凹部から抜けて、第1凹凸部14dとの周方向における係合が解除される位置である。
弾性支持部15aは、少なくとも係合位置から係合解除位置に移動する際には、弾性変形する。
ただし、弾性支持部15aは、係合位置において弾性変形していてもよい。この場合、弾性支持部15aは、弾性復元力によって係合部15bを中心軸線O14Aに向けて付勢する。
【0053】
本実施形態では、弾性支持部15aは、J字状の部材である。弾性支持部15aは、アーム部15fと、係止部15gと、湾曲部15hとを持つ。
アーム部15fは、外力が作用しない自然状態で真直に延びる。
係止部15gは、アーム部15fよりも短く延ばされた板状部である。係止部15gは、アーム部15fと平行である。
湾曲部15hは、アーム部15fおよび係止部15gとの端部を接続する。
係止部15gには、アーム部15fと反対側の表面に係止面15eが形成される。
係止面15eは、ストッパ15をハウジング11に組み立てた状態で、ストッパ15の回り止めを行う。
【0054】
本実施形態の係合部15bは、アーム部15fの長手方向において湾曲部15hと反対側の端部に形成される。さらに、本実施形態の係合部15bは、アーム部15fの厚さ方向における表面において係止部15gと反対側となる表面に形成される。
以下では、アーム部15fの長手方向において湾曲部15hと反対側の端部を、アーム部15fの先端部という場合がある。アーム部15fの長手方向において湾曲部15h側の端部を、アーム部15fの基端部という場合がある。
【0055】
図7に示すように、ベース部15cは、ストッパ15をハウジング11上に載置するための板状部である。ベース部15cの第1面15i(図7における図示上面)には、弾性支持部15aの湾曲部15hおよび係止部15gが形成される。第1面15iは、ベース部15cにおける板厚方向における一方の表面である。
湾曲部15hに接続するアーム部15fは、第1面15i上の湾曲部15hからベース部15cの外方に延びる。
ベース部15cの第2面15j(図7における図示下面)には、係止ピン15dが突出する。第2面15jは、ベース部15cにおける板厚方向における他方の表面である。
【0056】
ハウジング11の板状部11Gには、台座部11Eと、係止突起11Fとが形成される。台座部11Eと、係止突起11Fとは、ストッパ15をハウジング11に組み立てるために用いられる。
台座部11Eは、ストッパ15のベース部15cを載置する。台座部11Eは、板状部11Gから上側に突出する。図5に示すように、台座部11Eの平面視形状は円形である。
台座部11Eの中心部には、挿入孔11dがZ方向に貫通する。
係止ピン15dは、挿入孔11dに挿入される。挿入孔11dは、ストッパ15の係止ピン15dが回転可能に嵌合する。
ベース部15cの第2面15jは、台座部11Eの上部に形成されたスラスト受け面11cと密着する。
挿入孔11dに係止ピン15dが挿入された状態では、アーム部15fは、第1回転カム14Aの第1凹凸部14dと対向する高さに保持される。
【0057】
図7に示すように、台座部11Eの近傍の板状部11Gには、係止突起11Fが上側に突出している。係止突起11Fは、台座部11Eのスラスト受け面11cよりも高い。係止突起11Fの側面には、係止面11fが形成される。係止面11fは、挿入孔11dに係止ピン15dが挿入されたストッパ15の係止面15eを係止する。係止面11fは、本実施形態では、YZ平面に平行な平面である。
挿入孔11dの中心軸線からの係止面11fまでの距離は、ストッパ15における係止ピン15dの中心軸線O15からの係止面15eまでの距離に等しい。
係止面11fにストッパ15の係止面15eが係止されると、係止部15gは、YZ平面と平行な姿勢を取る。係止部15gによって、ストッパ15は中心軸線O15を中心として、図5における図示時計回り方向に回り止めされる。
ストッパ15のアーム部15fは、少なくとも基端部ではYZ平面と平行な姿勢を取る。
この状態で、係合部15bは、第1回転カム14Aの第1凹凸部14dに係合する。本実施形態では、係合部15bは、第1回転カム14Aの中心軸線O14AとX方向において対向する。
【0058】
このような係合位置において、アーム部15fは、先端部までY方向に延びていてもよい。あるいはアーム部15fの先端部は、X方向において第1凹凸部14dと反対側にたわんでいてもよい。
アーム部15fが先端部までY方向に延びている場合には、アーム部15fが弾性変形していない。弾性支持部15aは係合部15bを第1凹凸部14dに向けて付勢しない。
本実施形態では、一例として、アーム部15fは、アーム部15fの先端部がX方向において第1凹凸部14dと反対側にたわむ形状に形成される。すなわち、ストッパ15の組み付け状態において、中心軸線O14Aとアーム部15fとの距離は、第1凹凸部14dの外径よりも小さい。この場合、アーム部15fは、弾性変形する。アーム部15fは、先端部における係合部15bを第1凹凸部14dに向けて付勢する。
アーム部15fのたわみ量は、後述する調整作業のしやすさを考慮して決める。
【0059】
以上、第4ミラー12Mの第1端部E1における支持形態を説明した。
第4ミラー12Mの第2端部E2における支持形態は、図示略の突起部によって1点支持される点が第1端部E1と異なる。
第2端部E2における裏面12bは、1つの突起部によって支持される。ただし、突起部による支持位置は(当接位置)、裏面12bの短手方向における中心部でもよい。突起部の支持位置は、短手方向における端部寄りでもよい。
第2端部E2において裏面12bと当接する突起部は、支持突起11Cと同様に板状部11Gから突出して形成された突起部でもよい。第2端部E2において裏面12bと当接する突起部は、突出高さを変えた後、突出高さを固定することができてもよい。
ただし、第4ミラー12Mの第2端部E2は、後述する第4ミラー12Kと同様、第2回転カム14Bによって支持されてもよい。
【0060】
第2端部E2において、第4ミラー12Mの反射面12aは、図示略の適宜の押圧部によって裏面12b側に押圧される。第2端部E2における押圧部は、第1端部E1におけると同様の押えバネ16を用いてもよい。
第4ミラー12Mの側面12cは、第1端部E1における係止突起11Dと同様の突起部によって、同様に係止される。
【0061】
次に、第2回転カム14Bによる第4ミラー12Kの第2端部E2における支持形態について説明する。
図8に示すように、第2回転カム14Bによる支持形態では、上述した第1回転カム14Aによる支持形態において、支持突起11Cを削除する。さらに、第2回転カム14Bによる支持形態では、第1回転カム14Aを第2回転カム14Bに代える。第4ミラー12Kの反射面12aは、上述した第1回転カム14Aによる支持形態と同様、押えバネ16(第2押圧部)によって押圧される。
図8では図示を省略するが、第2回転カム14Bには、上述した第1回転カム14Aによる支持形態と同様、ストッパ15の係合部15b(第2係合部)が係合される。
以下、上述した第1回転カム14Aによる支持形態と異なる点を中心に説明する。
【0062】
第2回転カム14Bは、第2回転カム14Bの中心軸線O14Bに沿って、第1回転カム14Aと同様の第1軸部14aと、第2軸部14eとを持つ。第1軸部14a、第2軸部14eには、第1回転カム14Aと同様に調整治具係合穴14b、14fが形成される。
第2回転カム14Bは、第1回転カム14Aの第1カム部14c、第1凹凸部14dに代えて、第2カム部14h、第2凹凸部14iを持つ。
板状部11Gには、第4ミラー12Kの第2端部E2の近傍において、上記と同様の、ボス部11A、11B、および軸受部11aが形成される。
第2回転カム14Bは、第2軸部14eを軸受部11aに挿入することによって、ハウジング11に組み付けられる。
【0063】
第2カム部14hは、裏面12bの短手方向における中心部における点P4において当接する。点P4は、第4ミラー12Kの第2端部E2における第4ミラー12Kとの当接部である。
第2カム部14hの第1軸部14aにおける軸方向の形成位置は、第1カム部14cの形成位置と異なる。
第2カム部14h上で裏面12bと当接する点を連ねると、中心軸線O14B回りの回転角θに応じて、中心軸線O14Bからの距離Rpが変化する曲線が描かれる。
距離Rpは、例えば、Rp=R(θ)と表すことができる。ここで、θは、第1カム部14cにおける関数r(θ)と同様の回転角を表す。
関数R(θ)は、第1カム部14cにおける関数r(θ)と同じでもよい。関数R(θ)は、第1カム部14cにおける関数r(θ)と、異なっていてもよい。
関数R(θ)が、関数r(θ)と異なる場合、例えば、同じ回転角当たりのRpの変化量を、調整感度の必要に応じて変えてもよい。
関数R(θ)が、関数r(θ)と異なる場合、例えば、Rpの最大値Rmaxと、最小値Rminとは、それぞれ、rmax、rminと異なっていてもよい。あるいは、Rmax−Rmin≠rmax−rminとしてもよい。
【0064】
第2凹凸部14iは、第2カム部14hの形状あるいは大きさに応じて、第1凹凸部14dと異なるピッチ円径を持つようにしてもよい。本実施形態では、第2凹凸部14iは、第1凹凸部14dと同様のモジュールを持つ平歯車歯形で構成される。
ストッパ15の係合部15bは、第2凹凸部14iにも係合することができる。本実施形態において、第2凹凸部14iと係合するストッパ15の係合部15bは、第2係合部を構成する。
【0065】
次に、画像形成装置100の動作について、図1を参照して説明する。
画像形成装置100では、コントロールパネル1または外部から制御部6に対して画像形成を行う指令が入力される。制御部6は、プリンタ部3に画像形成を開始させる。プリンタ部3は、適宜のサイズのシートSをシート供給部4からレジストローラ24に供給する。
プリンタ部3は、レーザ走査ユニット10によって、感光体ドラム25y、25m、25c、25kに潜像を形成する。すなわち、各レーザユニットが画像情報に基づいて変調されたレーザビームL1、L2、L3、L4を出射する。
レーザビームL1、L2、L3、L4は、書き込み光学系18によって集光される。レーザビームL1、L2、L3、L4は、書き込み光学系18の作用によって、感光体ドラム25y、25m、25c、25kの表面を走査する(図1参照)。
【0066】
こうして、感光体ドラム25y、25m、25c、25kに、各画像情報に対応した静電潜像が形成される。
画像形成部25Y、25M、25C、25Kは、感光体ドラム25y、25m、25c、25kに形成されたそれぞれの静電潜像をそれぞれの現像器によって現像する。感光体ドラム25y、25m、25c、25kの表面には、静電潜像に対応するトナー像が形成される。
【0067】
各トナー像は、各転写ローラによって、中間転写ベルト27に1次転写される。このとき、転写タイミングは、画像形成部25Y、25M、25C、25Kの配置位置に応じて適宜ずらされる。各トナー像は、中間転写ベルト27の移動とともに、色ずれを起こすことなく順次重ね合わされる。各トナー像は転写部28に送られる。
転写部28に到達するトナー像は、レジストローラ24から転写部28まで給送されたシートSに2次転写される。2次転写されたトナー像は、定着器29によってシートSに定着される。トナー像が定着されたシートSは、画像形成装置100の外部に排出される。
転写部28によって、シートS上に転写できない転写残トナーは、転写ベルトクリーニングユニット31によって掻き取られる。中間転写ベルト27は再使用可能にクリーニングされる。
以上で、1枚のシートSに対する画像形成が終了する。
【0068】
画像形成装置100において、レーザビームL1、L2、L3、L4は、それぞれの光路上の光学部品に製作誤差または配置誤差がなければ、目標の走査線上を走査する。しかし、光学部品の製作誤差または配置誤差は完全にはなくせない。レーザビームL1、L2、L3、L4の走査線は、目標の走査位置からずれる場合がある。
画像形成装置100では、少なくともレーザ走査ユニット10を組み立てる際に、レーザビームL1、L2、L3、L4の走査線を目標の位置に合わせる調整が行われる。
【0069】
レーザビームL1、L2、L3、L4の走査線を目標の位置に合わせるには、第4ミラー12Y、12M、12C、12Kの傾斜角度が調整される。
本実施形態では、レーザビームL1、L2、L3、L4の走査線の走査方向における走査位置を調整する「あおり調整」が行われる。
あおり調整では、各第1端部E1の第1回転カム14Aを用いて、YZ平面における各第4ミラーの傾斜角度が調整される。
目標の走査線に対する走査線の平行ずれは、制御部6が行う潜像形成のタイミング制御によって修正される。
【0070】
本実施形態では、レーザビームL1、L2、L3、L4の走査線の傾きを調整する「傾き調整」が行われる。
傾き調整では、第4ミラー12Kの第2端部E2の第2回転カム14Bを用いて、ZX平面における第4ミラー12Kの傾斜角度が調整される。レーザビームL4の走査線の傾きは、レーザビームL1、L2、L3の走査線の傾きの調整基準となる。
レーザビームL1、L2、L3の走査線の傾き調整は、第4ミラー12Y、12M、12Cの第2端部E2における突起部の突出高さを変えること等によって行われる。
【0071】
まず、第1回転カム14Aを用いたあおり調整の動作について、第4ミラー12Mの例で説明する。
図9は、実施形態の画像形成装置の作用を示す平面視の模式図である。図10は、比較例の画像形成装置の作用を示す平面視の模式図である。
【0072】
図9に示すように、本実施形態では、ストッパ15の係合部15bが第1回転カム14Aの第1凹凸部14dに係合している。係合部15bが係合解除位置に移動しない限り、第1回転カム14Aは中心軸線O14A回りに回転することはない。
図6に示すように、第4ミラー12Mの裏面12bは、第1カム部14c、支持突起11Cと、それぞれ点P1、P2の2点で当接する。第4ミラー12Mの反射面12aは、押えバネ16によって裏面12b側に押圧されている。
第4ミラー12Mの反射面12aのYZ平面における傾斜角度は、点P1,P2を結ぶ直線の傾斜角度で決まる。
第1回転カム14Aが回転中心軸線O14A回りに回転すると、点P1のY方向における位置が変化する。例えば、中心軸線O14Aから点P1までの距離rpが増大(減少)すると、水平面に対する反射面12aの傾斜角度が増大(減少)する。
【0073】
本実施形態において、第1回転カム14Aを回転するには、調整者が図示略の調整治具を調整治具係合穴14bまたは調整治具係合穴14f(図6参照)に係合する。調整者は調整治具を中心軸線O14A回りに回転する。例えば、図9において反時計回りに調整治具を回転する。このとき、係合部15bには、係合部15bが接触する調整治具係合穴14bの歯から押圧力Fが作用する。
【0074】
押圧力Fによって、アーム部15fの基端部には、図示時計回りのモーメントが作用する。押圧力Fによるモーメントを受けて、アーム部15fはXY平面内で図示時計回り方向にたわむ。第1回転カム14Aには、アーム部15fのたわみによる弾性復元力が、抵抗力として加わる。調整者が抵抗力を上回る力で回転を続けることによって、さらにアーム部15fはたわむ。
係合部15bは、第1凹凸部14dとの接触面に沿って矢印a方向に移動する。係合部15bの頂部が、第1凹凸部14dの歯形の頂部に達すると、係合部15bによる周方向における係合が解除される。このとき、係合部15bによる周方向における反力は頂部同士の接触による摩擦力のみとなる。係合部15bからの抵抗力は係合位置よりも格段に減少する。調整者は、第1回転カム14Aをさらに図示時計回りに回転することができる。
【0075】
このようにして、係合部15bは第1凹凸部14dの凸部の頂部を乗り越える。係合部15bは、第1凹凸部14dの凹部に対向する。このとき、係合部15bは、アーム部15fによって中心軸線O14Aに向かって付勢されている。係合部15bは、第1凹凸部14dの凹部に侵入する。係合部15bは、第1凹凸部14dにおいて、回転開始時の係合位置の凹部の隣の凹部に係合する。
このようにして、第1回転カム14Aは、第1凹凸部14dの1ピッチ分だけ、図示時計回りに回転する。
調整者は、このような回転動作を繰り返すことによって、第1回転カム14Aの回転位置を位置合わせすることができる。第1回転カム14Aの回転位置は、第1凹凸部14dにおける凸部または凹部のピッチ単位で位置合わせすることができる。
調整者が調整治具の回転を停止すると、係合部15bは最も近い第1凹凸部14dの凹部における係合位置に移動する。係合位置において係合した係合部15bによって、第1回転カム14Aの回転位置が固定される。
図示時計回りの動作を説明したが、反時計回りの動作も同様である。
【0076】
図6に示すように、第1回転カム14Aが回転される間、第1回転カム14Aは、点P1において、YZ平面内で押圧力fを受ける。
押圧力fのY方向成分は、第1回転カム14AをY方向において係合部15b側に押圧する力である。押圧力fのY方向成分によって、第1回転カム14Aの第1凹凸部14dは、第2軸部14eと軸受部11aとの間の隙間の範囲で係合部15b側に移動する。
第1回転カム14Aを円滑に回転して調整を行うには、第2軸部14eの外径を軸受部11aの内径よりも小径にする必要がある。第2軸部14eと軸受部11aとの間には、必ず隙間ができる。
【0077】
押圧力fのZ方向成分は、第1回転カム14Aを図示時計回りに回転させるモーメントを形成する。押圧力fのZ方向成分によるモーメントによって、第1カム部14cは図示時計回りに回転する。第1カム部14cは、第2軸部14eと軸受部11aとの間の隙間の範囲で回転する。
この結果、第1カム部14cは、点P1では、押圧力fが作用しない場合よりも図示下方に沈んでいる。第1カム部14cは、中心軸線O14Aを挟んで点P1と対向する点Q1では、押圧力fが作用しない場合よりも図示上方に浮き上がる。
【0078】
点P1、Q1の下方の第1凹凸部14dの位置も、点P1、Q1と同様に、Z方向に移動している。
第1凹凸部14dのZ方向の移動量の大きさは、中心軸線O14AからのX方向の距離に比例して増大する。Z方向の移動量の大きさは、点P1、Q1の下方において最大となる。
図9に示すように、Z方向から見て、中心軸線O14A(第1回転カムの回転軸線)と点P1(当接位置)とを結ぶ直線を直線LYとする。
Z方向から見て、中心軸線O14Aを通り、直線LYと直交する直線を直線LXとする。
第1凹凸部14dが位置する円周上で、係合部15bが係合する位置q(係合位置)の方位を、直線LYにおける点Q1側から測った中心角φ(ただし、0°≦φ≦180°)の大きさで表す。中心角φは図示時計回りおよび図示反時計回りのいずれの方向に測られてもよい。中心角φは、Z方向から見て、位置qと中心軸線O14Aとを結ぶ線と、直線LYとの交差角である。
位置qは、Z方向から見て、第1凹凸部14dのピッチ円と係合部15bの歯形の中心線との交点である。
第1凹凸部14dのZ方向の移動量の大きさは、φ=0°とφ=180°で最大になる。
第1凹凸部14dのZ方向の移動量の大きさは、φ=90°で最小になる。
本実施形態では、係合部15bが直線LX上で係合するため、位置qの方位は、φ=90°である。
【0079】
例えば、図10に示す比較例のように、ストッパ15を配置する場合を考える。
この比較例では、係合部15bが、第1回転カム14Aの回転軸方向から見て中心軸線O14Aと、第1回転カム14Aにおける第4ミラー12Mとの当接部(点P1)と、を通る直線LY上の位置に配置される。中心軸線O14Aは、第1回転カム14Aの回転軸線である。
【0080】
この比較例では、係合部15bは、点Q1の下方において係合する。比較例の係合部15bが第1凹凸部14dと係合する位置qの方位は、φ=0°である。
この場合、比較例の第1凹凸部14dは、設計上の係合部15bとの係合位置よりZ方向にずれている。第1凹凸部14dのZ方向における位置ずれ量は最大である。
係合部15bと第1凹凸部14dとは設計上の当接面からずれる。係合部15bと第1凹凸部14dとは、互いに斜めに噛み合う。このような噛み合いによって、第1回転カム14Aを回転する際の係合部15bからの抵抗力が増大する。調整者は第1回転カム14Aを回転させにくくなる。
調整者がこの状態において、抵抗力に抗して第1回転カム14Aをさらに回転させると、係合部15bと第1凹凸部14dとが互いに傷つく可能性がある。さらに、係合部15bと第1凹凸部14dとが塑性変形する可能性がある。さらに、第1凹凸部14dからアーム部15fに作用する外力によって、アーム部15fが塑性変形する可能性がある。
第1凹凸部14dまたはストッパ15に塑性変形等の損傷が発生すると、正常な係合が保てなくなる。ストッパ15は、第1回転カム14Aの調整時の位置を保持できなくなる。
【0081】
さらに、上記比較例では、第1凹凸部14dが設計上の位置よりもZ方向に移動している。係合部15bと第1凹凸部14dとの噛み合い量は、設計上の噛み合い量よりも少ない。
この結果、係合部15bは第1凹凸部14dから外れやすい。係合部15bが第1凹凸部14dから外れると、正常な係合が保てなくなる。ストッパ15は、第1回転カム14Aの調整時の位置を保持できなくなる。
【0082】
さらに、比較例の場合には、押圧力fのY方向成分によって、第1回転カム14Aが係合部15bに向かって押圧される。この結果、第1回転カム14Aを回転させるために必要な力がさらに大きくなるという問題もある。
【0083】
図9に示すように、本実施形態では、係合部15bは、直線LYと直交する直線LX上で、第1凹凸部14dと係合する。直線LX上では、押圧力fを受けても第1凹凸部14dのZ方向の移動量は最小である。
この結果、本実施形態では、上述した比較例に比べると、係合部15bと第1凹凸部14dとの噛み合いが滑らかである。上述した比較例に比べると、第1回転カム14Aを回転させる際のストッパ15からの抵抗力が小さい。
本実施形態では、係合部15b、アーム部15f、および第1凹凸部14dが、塑性変形等の損傷を起こしにくい。ストッパ15は、第1回転カム14Aの調整時の位置を保持できる。
【0084】
次に、第2回転カム14Bを用いた傾き調整の動作について説明する。
特に図示しないが、第4ミラー12Kの第1端部E1は、第1回転カム14Aおよび支持突起11Cと同様の図示略の突起部によって2点支持される。この2つの支持点を、第4ミラー12Mの場合と同様に、点P1、P2という。点P1、P2は、第1回転カム14Aおよび上記図示略の突起部と、第4ミラー12Kの第1端部E1とが当接する点である。
第4ミラー12Kの第2端部E2は、図8に示すように、第2回転カム14Bによって、点P4で1点支持される。点P4は、第2回転カム14Bと、第4ミラー12Kの第2端部E2とが当接する点である。
【0085】
調整者は、第2回転カム14Bを、上述した第1回転カム14Aとまったく同様にして、回転させることができる。
第2回転カム14Bを中心軸線O14B回りに回転させると、第2カム部14hの作用によって点P4がY方向に移動する。
第4ミラー12Kの側面12cは、係止突起11Dに係止されている。側面12cは、係止突起11Dに対して摺動可能である。
例えば、第2回転カム14Bの回転によって中心軸線O14Bから点P4までの距離Rpが増加する。点P4から裏面12bには押圧力gが作用する。押圧力gは、押えバネ16の押圧力Gに抗する。
押圧力gが、押圧力Gおよび側面12cに作用する摩擦力の合力を超えると、第4ミラー12Kは、矢印bの方向に移動する。このとき、第2カム部14hと裏面12bとの当接部である点P4は、裏面12bの短手方向において側面12c寄りに移動する。第4ミラー12Kは、点P4を通るYZ断面で見ると、第2カム部14hによって、図示上方に移動したのと同等である。
このとき、第4ミラー12KのYZ平面内における傾斜角度は、図示しない第1端部E1において、第1回転カム14Aの位置で決まる傾斜角度に等しい。
【0086】
上述の動作から分かるように、第4ミラー12Kは、第2回転カム14Bの回転によって、第1端部E1における図示略の点P1、P2を結ぶ直線を中心として回転される。第2回転カム14Bによる第4ミラー12Kの移動は、ZX平面における第4ミラー12Kの傾斜角度を変えることに相当する。
第2回転カム14Bによって第4ミラー12Kが移動すると、反射面12aにおけるレーザビームL4の反射位置が、第1端部E1から第2端部E2に向かって、漸次変化する。第4ミラー12Kにて反射されたレーザビームL4は、感光体ドラム25kの表面で副走査方向に移動する。副走査方向の移動量の大きさは、第1端部E1側から、第2端部E2側に向かうにつれて漸次大きくなる。この結果、第2回転カム14Bを回転することによって、感光体ドラム25k上での走査線の傾きの調整を行うことができる。
【0087】
第2回転カム14Bを用いた傾き調整において、ストッパ15の係合部15bは、第2係合部として第2凹凸部14iに係合する。第2凹凸部14iと係合する係合部15bの係合位置は、第1回転カム14Aにおけると同様の位置である。
第2回転カム14Bを用いた傾き調整におけるストッパ15の作用は、第1回転カム14Aを用いたあおり調整の場合とまったく同様である。
本実施形態では、第2回転カム14Bの回転時において、係合部15b、アーム部15f、および第2凹凸部14iが、塑性変形等の損傷を起こしにくい。ストッパ15は、第2回転カム14Bの調整時の位置を保持できる。
【0088】
本実施形態の画像形成装置100によれば、第1回転カム14Aの第1凹凸部14dおよび第2回転カム14Bの第2凹凸部14iがそれぞれ係合部15bによって係合される。
図9に示すように、第1凹凸部14d(第2凹凸部14i)と係合する係合部15bの係合位置は、第1凹凸部14d(第2凹凸部14i)上でφ=90°の方位の位置である。
本実施形態における位置qは、直線LY上の位置とは異なる。直線LYは、第1回転カム14A(第2回転カム14B)の回転軸線方向から見て、回転軸線と、第1回転カム14A(第2回転カム14B)におけるミラーとの当接部である点P1(P4)と、を通る直線である。
画像形成装置100はこのような係合部15bを持つ。画像形成装置100では、ミラーの調整が容易であって、かつ調整位置がずれにくい。
【0089】
以下、上述した実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態の説明では、係合部15bが、第1凹凸部14d(第2凹凸部14i)上でφ=90°の方位の位置である場合の例で説明した。しかし、係合部15bは、第1回転カム14A(第2回転カム14B)の回転軸方向から見て、直線LY上の位置を除く位置であれば、φ=90°方位の位置には限定されない。
φ=0°または180°の方位の位置を除けば、少なくとも第1凹凸部14d(第2凹凸部14i)のZ方向の移動量が最大となる位置を避けることができる。この場合、φ=0°または180°の方位の位置で係合する場合に比べて、よりミラーの調整が容易であって、かつ調整位置がずれにくい。
φの大きさは、90°に近いほど、ミラーの調整が容易であって、かつ調整位置がずれにくい。φの大きさは、例えば、0°<φ1≦φ≦φ2<180°の範囲で適宜設定することができる。例えば、φ1=45°、φ2=135°としてもよい。
例えば、第1凹凸部14d(第2凹凸部14i)のZ方向の移動量を最大値の半分にするには、φ1=60°、φ2=120°とすればよい。
【0090】
上記実施形態の説明では、第4ミラーのあおり調整と傾き調整を行う場合の例で説明した。しかし、あおり調整および傾き調整は、1つのミラーに対して、いずれか一方のみを行うようにしてもよい。
さらに、あおり調整および傾き調整の少なくとも一方を行うミラーは、画像形成装置100におけるすべてのミラーのうちから、必要に応じて選択することができる。例えば、光走査ビームの光路において、最も感光体ドラム側のミラーには限定されない。
【0091】
上記実施形態の説明では、第1凹凸部14dと第2凹凸部14iとを、同一モジュールの平歯車歯形で形成した例で説明した。この結果、ストッパ15は共通に使用できる。
しかし、第1凹凸部14dと第2凹凸部14iとの凸部または凹部のピッチは、それぞれ異なっていてもよい。凹凸形状として、平歯車歯形を用いる場合には、モジュールを買えてもよい。この場合、凹凸形状の相違に応じて、第1係合部と第2係合部との形状を互いに異ならせる。
【0092】
以上、説明した少なくともひとつの実施形態によれば、画像形成装置は、ハウジングに設けられ、第1回転カムの回転軸方向から見て、回転軸線と、第1回転カムにおけるミラーとの当接部と、を通る直線上の位置を除く位置で第1凹凸部と係合する第1係合部を持つことにより、ミラーの調整が容易であって、かつ調整位置がずれにくい画像形成装置を提供することができる。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0094】
10…レーザ走査ユニット,11…ハウジング,11C…支持突起,12a…反射面,12b…裏面,12Y、12M、12C、12K…第4ミラー(ミラー),14A…第1回転カム,14b、14f…調整治具係合穴,14B…第2回転カム,14c…第1カム部,14d…第1凹凸部,14h…第2カム部,14i…第2凹凸部,15…ストッパ,15a…弾性支持部,15b…係合部(第1係合部、第2係合部),15f…アーム部,16…押えバネ(第1押圧部、第2押圧部),25y、25m、25c、25k…感光体ドラム,100…画像形成装置,L1、L2、L3、L4…レーザビーム(光走査ビーム),O14A、O14B…中心軸線(回転軸線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10