特許第6584847号(P6584847)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6584847
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】無洗米
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20190919BHJP
【FI】
   A23L7/10 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-145935(P2015-145935)
(22)【出願日】2015年7月23日
(65)【公開番号】特開2017-23069(P2017-23069A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】515201752
【氏名又は名称】株式会社神明きっちん
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤尾 益人
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 伸哉
【審査官】 西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−130841(JP,A)
【文献】 国際公開第00/070965(WO,A1)
【文献】 特開2009−247343(JP,A)
【文献】 特開2011−182709(JP,A)
【文献】 特開昭59−120064(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2005−0103427(KR,A)
【文献】 特開2005−040074(JP,A)
【文献】 特開2011−115112(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0507953(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/00−7/104
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
FSTA/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米の表面に食用油脂及び粉末状食品がコーティングされてなる無洗米であって、
該食用油脂が米油、米胚芽油、菜種油、及びオリーブオイルからなる群から選択される少なくとも1種であり、
該粉末状食品が、ユーグレナ、クロレラ、抹茶、緑茶、ココア、紫芋、ケール、アシタバ、大麦若葉、トマト、かぼちゃ、にんじん、ほうれん草、一味唐辛子、めかぶ、カプサイシン、ウコン、食用炭、植物発酵糖脂質、及びグルコマンナンからなる群から選択される少なくとも1種である、
無洗米
【請求項2】
以下の工程を含む、米の表面に食用油脂及び粉末状食品がコーティングされてなる無洗米の製造方法:
(A1) 無洗米と食用油脂とを混合する工程、及び
(A2) 工程A1で得られた無洗米と粉末状食品とを混合する工程
該食用油脂が米油、米胚芽油、菜種油、及びオリーブオイルからなる群から選択される少なくとも1種であり、
該粉末状食品が、ユーグレナ、クロレラ、抹茶、緑茶、ココア、紫芋、ケール、アシタバ、大麦若葉、トマト、かぼちゃ、にんじん、ほうれん草、一味唐辛子、めかぶ、カプサイシン、ウコン、食用炭、植物発酵糖脂質、及びグルコマンナンからなる群から選択される少なくとも1種である
【請求項3】
以下の工程を含む、米の表面に食用油脂及び粉末状食品がコーティングされてなる無洗米の製造方法:
(B1) 無洗米と食用油脂及び粉末状食品の混合物とを混合する工程
該食用油脂が米油、米胚芽油、菜種油、及びオリーブオイルからなる群から選択される少なくとも1種であり、
該粉末状食品が、ユーグレナ、クロレラ、抹茶、緑茶、ココア、紫芋、ケール、アシタバ、大麦若葉、トマト、かぼちゃ、にんじん、ほうれん草、一味唐辛子、めかぶ、カプサイシン、ウコン、食用炭、植物発酵糖脂質、及びグルコマンナンからなる群から選択される少なくとも1種である
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無洗米に関する。さらに、本発明は、粉末状食品がコーティングされた無洗米の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無洗米は、研ぎ洗いをする必要が無く、水を加えて炊くだけで食べられるように加工された米である。無洗米は、従来の精米と異なり、表面に付着したぬかが予め除去されている。無洗米の生産量は上昇傾向にある。無洗米のメリットとしては、調理の簡易化、とぎ汁が出ないため環境負荷が小さい、水溶性栄養成分の損失防止、節水などが挙げられる。無洗米のぬかの除去方法としては、水洗い乾燥法・湿式法、乾式法、BG製法、NTWP製法などがある。
【0003】
このような無洗米に対して各種の機能性を付与することにより、高付加価値化された無洗米が提案されている(例えば、特許文献1−3)。
【0004】
特許文献1では、無洗米に接着剤としての蜂蜜を先ず付加した上で、各種粉末飲食材を混ぜることにより得られる、粉末飲食材と蜂蜜とで覆われた無洗米について報告されている。また、特許文献1では、熱に弱いミネラルやビタミンなどの栄養分が炊飯熱で破壊されることを減少させるために、食塩や澱粉などの熱破壊減少剤を更に当該無洗米に混入させることも開示されている。ここで、粉末飲食材としては、粉末にした海藻、薬草、果実、栄養材、美容材などが挙げられている。
【0005】
特許文献2では、粘着性がある蜂蜜を表面に塗布した無洗米に、乾燥した飲食材の微粉末を接着した微粉飲食材のコーティング米を、一般の無洗米と混ぜ合わせた混合無洗米が報告されている。また、粘着材として、蜂蜜の代わりに、カロリーが低く、ミネラルやビタミンが豊富で粘着性があるメープルシロップに代表されるシロップを使用することも開示されている。このように、一般の無洗米と混ぜ合わせることで、炊飯時に米に色素分が吸収されたり、分解されたりすることで色が消え、白いご飯となることが記載されている。
【0006】
特許文献3では、植物ステロール類と卵黄リポタンパク質との複合体及びデキストリンがコーティングされていることを特徴とする無洗米が報告されている。植物ステロール類は、血中の総コレステロール濃度及び低密度タンパク質−コレステロール濃度を低下させることが知られており、特許文献3の方法によれば、炊飯後も植物ステロール類がコーティングされ、しかも舌触りのよい米飯が得られることが開示されている。
【0007】
特許文献1及び2では、粉末状の食品を無洗米に接着させる結着材として蜂蜜やシロップを利用することが開示されているのみであって、それ以外の結着材の使用については言及されていない。
【0008】
特許文献3は、粉末状の食品を無洗米に接着させるような技術を開示するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008-200023号公報
【特許文献2】特開2009-247343号公報
【特許文献3】特開2007-300813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、コーティング性及び炊飯後の状態が共に良好な、粉末状食品がコーティングされた無洗米、及び当該粉末状食品がコーティングされた無洗米の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、結着剤として、米油、菜種油、オリーブオイル、ごま油などの食用油脂を使用して、無洗米に粉末状食品を接着させることにより、コーティング性及び炊飯後の状態が共に優れた、粉末状食品がコーティングされた無洗米が得られるという知見を得た。
【0012】
本発明は、これら知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次の粉末状食品がコーティングされてなる無洗米、米の表面に粉末状食品がコーティングされてなる無洗米の製造方法等を提供するものである。
【0013】
項1.米の表面に食用油脂及び粉末状食品がコーティングされてなる無洗米。
項2.前記食用油脂が植物油である、項1に記載の無洗米。
項3.前記食用油脂が米油、米胚芽油、菜種油、オリーブオイル、ごま油、コーン油、紅花油、大豆油、綿実油、パーム油、パーム核油、落花生油、ひまわり油、ヤシ油、亜麻仁油、紫蘇油、グレープシードオイル、及びサラダ油からなる群から選択される少なくとも1種である、項1に記載の無洗米。
項4.前記粉末状食品が、ユーグレナ、クロレラ、抹茶、緑茶、ココア、紫芋、ケール、アシタバ、大麦若葉、トマト、かぼちゃ、にんじん、ほうれん草、一味唐辛子、めかぶ、カプサイシン、ウコン、食用炭、植物発酵糖脂質、及びグルコマンナンからなる群から選択される少なくとも1種である、項1〜3のいずれか一項に記載の無洗米。
項5.以下の工程を含む、米の表面に食用油脂及び粉末状食品がコーティングされてなる無洗米の製造方法:
(A1) 無洗米と食用油脂とを混合する工程、及び
(A2) 工程A1で得られた無洗米と粉末状食品とを混合する工程。
項6.以下の工程を含む、米の表面に食用油脂及び粉末状食品がコーティングされてなる無洗米の製造方法:
(B1) 無洗米と食用油脂及び粉末状食品の混合物とを混合する工程。
項7.米の表面に米油がコーティングされてなる無洗米。
【発明の効果】
【0014】
本発明の無洗米は、水を加えて炊飯するだけでコーティングされた粉末状食品の機能が付与されることになるので、取扱いが簡便である。
【0015】
本発明の粉末状食品がコーティングされた無洗米は、粉末状食品が米の表面に均一にコーティングされ、炊飯後にも米全体に粉末状食品が付着しているという優れた特性を有している。
【0016】
また、本発明の製造方法によれば、粉末状食品を米の表面に均一にコーティングできる上、得られた粉末状食品がコーティングされた無洗米は、炊飯後にも米全体に粉末状食品が付着している。
【0017】
本発明の米油がコーティングされた無洗米は、玄米のような不利益がなく、栄養価が高められている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0019】
本発明の無洗米は、米の表面に食用油脂及び粉末状食品がコーティングされてなることを特徴とする。
【0020】
本発明で使用する米は、日本型米、インド型米、及びジャワ型米のいずれであってもよいが、好ましくは日本型米である。また、本発明で使用する米としては、例えば、水稲、陸稲、うるち米、もち米、軟質米、硬質米、新米、古米などを挙げることができるが、特に制限されず、いずれのものも使用できる。また、米の品種についても、特に制限されず、例えば、コシヒカリ、ササニシキ、日本晴、あきたこまち、ひとめぼれ、きらら397、ゆめぴりか、ななつぼし、ミルキークイーン、ヒノヒカリ、はえぬき、キヌヒカリ、ほしのゆめ、つがるロマンなどを使用できる。本発明において米は、1種又は2種以上を組み合わせ使用することができる。
【0021】
本発明における無洗米としては、表面に付着したぬかが予め除去されたものであり、調理の際に研ぎ洗いをする必要が無いものであって、一般的に無洗米と称されるものであれば、特に制限無く使用できる。無洗米のぬかの除去方法も特に制限されず、水洗い乾燥法・湿式法、乾式法、BG製法、NTWP製法などのいずれの方法により製造されたものであってもよい。
【0022】
本発明で使用する食用油脂としては、本発明の効果が得られるものであれば特に制限無く使用できるが、好ましくは、植物油である。当該植物油としては、例えば、米油(米ぬか油)、米胚芽油、菜種油、オリーブオイル、ごま油、コーン油、紅花油、大豆油、綿実油、パーム油、パーム核油、落花生油、ひまわり油、ヤシ油、亜麻仁油、紫蘇油、グレープシードオイル、サラダ油などを挙げることができ、好ましくは、米油、米胚芽油、菜種油、ごま油、オリーブオイルなどであり、特に好ましくは、米油、米胚芽油、菜種油、オリーブオイルなどである。米油、米胚芽油、菜種油、及びオリーブオイルは、米の味に影響を与えない点で、食味にも優れている。本発明において食用油脂は、1種又は2種以上を組み合わせ使用することができる。
【0023】
本発明における食用油脂の使用量は、無洗米1 gあたり、通常0.0001〜0.1 g、好ましくは0.005〜0.008 gである。
【0024】
本発明で使用する粉末状食品としては、粉末状のものであって、本発明の効果が得られるものであれば特に制限無く使用できるが、例えば、ユーグレナ、クロレラ、スピルリナなどの微生物類;抹茶、緑茶、ココア、コーヒー等の飲料類;紫芋(紅芋)、ケール、アシタバ、大麦若葉、ゴーヤ、トマト、かぼちゃ、にんじん、ほうれん草、ウコン、一味唐辛子等の野菜類;めかぶ、ワカメ、昆布、海苔、ひじき、もずくなどの海藻類;カプサイシン、ビタミン、ミネラル等のサプリメント類;食用炭;植物発酵糖脂質;グルコマンナン;果物類;スパイス;ハーブなどが挙げられる。中でも、好ましくは、ユーグレナ、クロレラ、抹茶、緑茶、ココア、紫芋、ケール、アシタバ、大麦若葉、トマト、かぼちゃ、にんじん、ほうれん草、一味唐辛子、めかぶ、カプサイシン、ウコン、食用炭、植物発酵糖脂質、グルコマンナンなどである。ここで列挙されている食品類は、形態について明記されていなくとも、粉末状のものを意味していることとする。本発明において粉末状食品は、1種又は2種以上を組み合わせ使用することができる。
【0025】
粉末状食品の製造は、例えば、食品を凍結乾燥、加熱乾燥、天日乾燥などにより乾燥した後に、公知の手段により粉砕することにより行うことができる。
【0026】
本発明における粉末状食品の使用量は、無洗米1 gあたり、通常0.0001〜0.1 g、好ましくは0.003〜0.005 gである。
【0027】
本発明の食用油脂及び粉末状食品がコーティングされてなる無洗米は、以下の工程を含む方法により製造することができる。
(A1) 無洗米と食用油脂とを混合する工程、及び
(A2) 工程A1で得られた無洗米と粉末状食品とを混合する工程。
【0028】
工程A1における混合の方法は、無洗米の表面に食用油脂がある程度均一にコーティングできる方法であれば特に限定されず、いずれの方法も使用することができる。また、混合する際には、食用油脂に無洗米を加えてもよいし、無洗米に食用油脂を加えてもよい。混合比としては、無洗米:食用油脂が重量比で、通常1:0.0001〜0.1 、好ましくは1:0.005〜0.008である。
【0029】
工程A2における混合の方法は、無洗米の表面に粉末状食品がある程度均一にコーティングできる方法であれば特に限定されず、いずれの方法も使用することができる。また、混合する際には、粉末状食品に無洗米を加えてもよいし、無洗米に粉末状食品を加えてもよい。混合比としては、無洗米:粉末状食品が重量比で、通常1:0.0001〜0.1 、好ましくは1:0.003〜0.005である。
【0030】
本発明の食用油脂及び粉末状食品がコーティングされてなる無洗米は、以下の工程を含む方法により製造することもできる。
(B1) 無洗米と食用油脂及び粉末状食品の混合物とを混合する工程。
【0031】
工程B1で使用する食用油脂と粉末状食品との混合物は、予め食用油脂と粉末状食品とを混合して作製しておく。混合の方法は、食用油脂と粉末状食品とを混合できる方法であれば特に限定されず、いずれの方法も使用することができる。混合比としては、食用油脂:粉末状食品が重量比で、通常1:0.1〜1、好ましくは1:0.45〜0.75である。
【0032】
工程B1における混合の方法は、無洗米の表面に上記混合物がある程度均一にコーティングできる方法であれば特に限定されず、いずれの方法も使用することができる。また、混合する際には、上記混合物に無洗米を加えてもよいし、無洗米に上記混合物を加えてもよい。混合比としては、無洗米:混合物が重量比で、通常1:0.001〜0.1、好ましくは1:0.0097〜0.0117である。
【0033】
本発明の粉末状食品がコーティングされた無洗米は、一般的な炊飯器を使用した通常の方法により炊くことが可能である。本発明で使用するのは、無洗米であるので米を研ぐ必要がなく、水を加えてそのまま炊くことができるので、コーティングされた粉末状食品が除去されることがない。
【0034】
このように、本発明の無洗米は、水を加えて炊飯するだけでコーティングされた粉末状食品の機能が付与されることになるので、取扱いが簡便である。
【0035】
本発明では、粉末状食品の結着剤として食用油脂を使用することで、無洗米の表面に粉末状食品を均一にコーティングすることが可能である(「コーティング性」に優れる)。また、本発明の粉末状食品がコーティングされた無洗米を炊飯することで、炊飯後の米全体に粉末状食品が付着した状態となる(「炊飯後の状態」に優れる)。このように、本発明の無洗米は、コーティング性及び炊飯後の状態が共に優れている。
【0036】
本発明の無洗米の他の態様は、米の表面に米油がコーティングされてなることを特徴とする。この態様では、粉末状食品はコーティングされず、米油のみが米の表面にコーティングされる。
【0037】
使用する無洗米、米油の使用量、米油のコーティング方法などは前述するものと同様である。
【0038】
本発明の米油がコーティングされた無洗米は、一般的な炊飯器を使用した通常の方法により炊くことが可能である。本発明で使用するのは、無洗米であるので米を研ぐ必要がなく、水を加えてそのまま炊くことができるので、コーティングされた米油が除去されることがない。
【0039】
米油は、米ぬかから溶剤抽出される液状油であり、オリザノール(oryzanol)やビタミンEなどが含まれている。オリザノールは、成長促進などの生理効果、皮膚疾患の治癒などの薬理効果、抗酸化及び防かび防腐効果などが知られており、ビタミンEは抗酸化作用が知られている。
【0040】
玄米は、米ぬかを含むので、白米と比べて栄養価が高い一方で、消化が悪い、白米と比べて食味に劣るなどの欠点がある。後述する試験例で示すように、無洗米を米油でコーティングすることにより、オリザノールやビタミンEなどの成分の原料を増加させることができる。そのため、無洗米に対して米油をコーティングすることで、玄米のような不利益がなく、白米の栄養価を高めることができる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。しかし、本発明はこれら実施例等になんら限定されるものではない。
【0042】
材料
以下に実施例において使用した材料を示す。
無洗米:自社工場での無洗米加工製品
ユーグレナ:株式会社ユーグレナ
抹茶粉末:料理用抹茶、株式会社寿老園
クロレラ微細粉末:株式会社ユーグレナ
ココア:ミルクココア、イオン株式会社
紫芋粉:紫いも粉、火乃国食品工業株式会社
トマト:まるごとトマト、こだま食品株式会社
カプサイシン:一味唐辛子、イオン株式会社(すりつぶして使用)
米油:米油、築野食品工業株式会社
菜種油:油っこくない炒め油1/2ハーフ、日清オイリオグループ株式会社
オリーブオイル:オリーブオイル、株式会社J−オイルミルズ
ごま油:かどやの純正ごま油、かどや製油株式会社
みりん:本みりん、イオン株式会社
料理酒:料理酒、キング醸造株式会社
酢:やさしいお酢、株式会社ミツカン
【0043】
実施例1
(コーティング方法1)
米油1 gと以下の粉末状食品0.6 gとを混合した後に、これを無洗米150 gと混合して米油と粉末状食品がコーティングされた無洗米を得た。
【0044】
(コーティング方法2)
米油1 gと無洗米150 gとを混合して無洗米に米油をコーティングした後、これに粉末状食品0.6 gをまぶして米油と粉末状食品がコーティングされた無洗米を得た。
【0045】
(粉末状食品)
1:ユーグレナ+抹茶粉末+クロレラ微細粉末(ユ+抹+ク)重量比3:2:1
2:ココア
3:紫芋粉
4:トマト
5:カプサイシン(一味唐辛子をすりつぶした粉末)
【0046】
実施例2
米油を菜種油に変更した以外は実施例1と同様にして菜種油と粉末状食品がコーティングされた無洗米を得た。
【0047】
実施例3
米油をオリーブオイルに変更した以外は実施例1と同様にしてオリーブオイルと粉末状食品がコーティングされた無洗米を得た。
【0048】
実施例4
米油をごま油に変更した以外は実施例1と同様にしてごま油と粉末状食品がコーティングされた無洗米を得た。
【0049】
比較例1
米油をみりんに変更した以外は実施例1と同様にしてみりんと粉末状食品がコーティングされた無洗米を得た。
【0050】
比較例2
米油を料理酒に変更した以外は実施例1と同様にして料理酒と粉末状食品がコーティングされた無洗米を得た。
【0051】
比較例3
米油を酢に変更した以外は実施例1と同様にして酢と粉末状食品がコーティングされた無洗米を得た。
【0052】
試験例1
実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた粉末状食品がコーティングされた無洗米について粉末状食品のコーティング性を目視により観察し、以下の基準により評価を行った。結果を表1及び2に示す。
<コーティング性>
○:均一に粉末状食品がコーティングされている。
△:不均一に粉末状食品がコーティングされている。
×:粉末状食品がほとんどコーティングされていない。
【0053】
さらに、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた粉末状食品がコーティングされた無洗米を炊飯し、炊飯後の状態を目視により観察し、以下の基準により評価を行った。結果を表3及び4に示す。
<炊飯後の状態>
○:米全体に粉末状食品が付着している。
△:粉末状食品が取れている箇所がある。
×:ほとんど粉末状食品が取れている。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
表1〜4の結果から、結着剤としてみりん、料理酒又は酢を使用した場合と比べて、食用油脂を使用した場合の方が、コーティング性及び炊飯後の状態ともに良好な結果が得られた。そのため、粉末状食品を無洗米にコーティングする場合には、食用油脂を結着剤として好適に使用することができる。
【0059】
炊飯後の米の食味としては、米油、菜種油、及びオリーブオイルを使用した場合は、これらの油の味は感じられなかった。しかしながら、ごま油を使用した場合はごま油の香りが残っており、みりんを使用した場合はみりんの味と臭いが残っていた。
【0060】
試験例2
無洗米、米油を使用して粉末状食品(ユーグレナ+抹茶粉末+クロレラ微細粉末)をコーティングした無洗米(実施例1)、及び実施例1の方法に従い米油のみをコーティングした無洗米の各々についてHPLC(高速液体クロマトグラフィー)法によりオリザノール及びビタミンE(α−トコフェロール)の含有量を分析した。結果を表5に示す。
【0061】
表5から、無洗米に米油をコーティングすることにより、白米との比較でオリザノールの含量の上昇が見られ、無洗米に見えられないビタミンEも検出された。この結果から、無洗米に米油のコーティングを施すことにより栄養価が高くなることが分かる。
【0062】
オリザノールは、成長促進などの生理効果、皮膚疾患の治癒などの薬理効果、抗酸化及び防かび防腐効果などが知られており、ビタミンEは抗酸化作用が知られている。玄米は、白米と比べて栄養価が高い一方で、消化が悪い、白米と比べて食味に劣るなどの欠点がある。無洗米に対して米油をコーティングすることで、玄米のような不利益がなく、白米の栄養価を高めることができた。
【0063】
【表5】