特許第6584849号(P6584849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6584849
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】電気部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/28 20060101AFI20190919BHJP
   H01F 38/30 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   H01F27/28 104
   H01F38/30
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-147301(P2015-147301)
(22)【出願日】2015年7月27日
(65)【公開番号】特開2017-28179(P2017-28179A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】長屋 実
【審査官】 田中 崇大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−304024(JP,A)
【文献】 特開2010−119003(JP,A)
【文献】 実開平06−082575(JP,U)
【文献】 国際公開第2015/182118(WO,A1)
【文献】 実開平06−079115(JP,U)
【文献】 国際公開第2013/119229(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F5/00−5/06
17/00−21/12
27/00
27/02
27/06
27/08
27/23
27/26−27/30
27/32
27/36
27/42
30/00−38/12
38/16
38/20−38/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のコアと、当該コアに巻回された導体で構成される巻線とを備えた電気部品であって、
前記導体としての配線が形成されて前記コアの内側に挿通させた状態で配置された第1のプリント基板と、前記導体としての配線が形成されて前記コアの外側に配置された第2のプリント基板と、前記各プリント基板の前記各配線を接続する接続部とを備え、
前記各配線によって前記巻線が構成されると共に、
前記接続部は、前記第1のプリント基板における前記配線の両端部にそれぞれ接続されて当該第1のプリント基板に固定された一対の第1のコネクタと、前記各第1のコネクタと連結可能に前記第2のプリント基板における前記配線の両端部にそれぞれ接続されて当該第2のプリント基板に固定された一対の第2のコネクタとを備えている電気部品。
【請求項2】
前記第1のプリント基板に固定された前記各第1のコネクタの当該第1のプリント基板上における離間距離と、前記第2のプリント基板に固定された前記各第2のコネクタの当該第2のプリント基板上における離間距離とが互いに等しくなるように、当該各第1のコネクタが当該第1のプリント基板に固定され、かつ当該各第2のコネクタが当該第2のプリント基板に固定されている請求項1記載の電気部品。
【請求項3】
前記第1のプリント基板および前記第2のプリント基板がそれぞれ長方形の板状に形成されている請求項1または2記載の電気部品。
【請求項4】
前記巻線としての一次巻線および二次巻線を備えて電流を検出可能に構成され、
前記一次巻線および前記二次巻線の少なくとも一方が前記各配線によって構成されている請求項1から3のいずれかに記載の電気部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状のコアと、コアに巻回された導体で構成される巻線とを備えた電気部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電気部品として、下記特許文献1に開示された昇圧型スイッチング電源装置に用いられているカレントトランス(電流検出手段)が知られている。この種のカレントトランスは、一般的に、環状のコアに導線を巻回して巻線(一次巻線および二次巻線)を形成して製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−224841号公報(第6−9頁、第9図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のカレントトランスには、以下の問題点がある。すなわち、従来のカレントトランスは、環状のコアに導体を巻回して巻線を形成して製造される。このため、従来のカレントトランスには、環状のコアに導線を巻回する工程が煩雑であることから、製作に手間がかかり、製造効率が悪いという問題点が存在する。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、製造工程を簡略化し得る電気部品を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の電気部品は、環状のコアと、当該コアに巻回された導体で構成される巻線とを備えた電気部品であって、前記導体としての配線が形成されて前記コアの内側に挿通させた状態で配置された第1のプリント基板と、前記導体としての配線が形成されて前記コアの外側に配置された第2のプリント基板と、前記各プリント基板の前記各配線を接続する接続部とを備え、前記各配線によって前記巻線が構成されると共に、前記接続部は、前記第1のプリント基板における前記配線の両端部にそれぞれ接続されて当該第1のプリント基板に固定された一対の第1のコネクタと、前記各第1のコネクタと連結可能に前記第2のプリント基板における前記配線の両端部にそれぞれ接続されて当該第2のプリント基板に固定された一対の第2のコネクタとを備えている。
【0007】
また、請求項2記載の電気部品は、請求項1記載の電気部品において、前記第1のプリント基板に固定された前記各第1のコネクタの当該第1のプリント基板上における離間距離と、前記第2のプリント基板に固定された前記各第2のコネクタの当該第2のプリント基板上における離間距離とが互いに等しくなるように、当該各第1のコネクタが当該第1のプリント基板に固定され、かつ当該各第2のコネクタが当該第2のプリント基板に固定されている。
【0008】
また、請求項3記載の電気部品は、請求項1または2記載の電気部品において、前記第1のプリント基板および前記第2のプリント基板がそれぞれ長方形の板状に形成されている。
【0009】
また、請求項4記載の電気部品は、請求項1から3のいずれかに記載の電気部品において、前記巻線としての一次巻線および二次巻線を備えて電流を検出可能に構成され、前記一次巻線および前記二次巻線の少なくとも一方が前記各配線によって構成されている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1から3記載の電気部品によれば、コアの内側に挿通させた第1のプリント基板と、コアの外側に配置された第2のプリント基板と、各プリント基板の各配線を接続する接続部とを備えたことにより、各配線を接続することで巻線を形成することができる。このため、この電気部品によれば、被覆導線をコアに巻回して巻線を形成する工程と比較して、容易にしかも短時間で巻線を形成することができる結果、製造工程を十分に簡略化することができる。
【0011】
た、第1のプリント基板の配線に接続された一対の第1のコネクタと、第2のプリント基板の配線に接続されて第1のコネクタと連結可能な一対の第2のコネクタとを備えたことにより、第1のコネクタと第2のコネクタとを連結させるだけで、各配線を接続させることができる。このため、この電気部品によれば、さらに容易にしかもさらに短時間で巻線を形成することができるため、製造工程をさらに簡略化することができる。
【0012】
た、各コネクタを各プリント基板にそれぞれ固定したことにより、例えば、下側に位置させた一方のプリント基板の両端部にそれぞれ固定されている2つのコネクタに向けて、他方のプリント基板の両端部にそれぞれに固定されている2つのコネクタを同時に押し付けることで、2つのコネクタと2つのコネクタとを一度に連結させることができるため、製造工程を一層簡略化することができる。
【0013】
また、請求項4記載の電気部品によれば、巻線としての一次巻線および二次巻線の少なくとも一方を各プリント基板の各配線によって構成することにより、電流を検出可能な電気部品における2つの巻線の少なくとも一方を容易にしかも短時間で形成することができる結果、その分、その電気部品の製造工程を十分に簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】電流検出素子1の斜視図である。
図2】プリント基板12およびコネクタ14a,14bの平面図である。
図3】プリント基板13およびコネクタ15a,15bの平面図である。
図4】電流検出素子1の製造方法を説明する第1の説明図である。
図5】電流検出素子1の製造方法を説明する第2の説明図である。
図6】電流検出素子1の製造方法を説明する第3の説明図である。
図7】電流検出素子1の製造方法を説明する第4の説明図である。
図8】電流検出素子1の製造方法を説明する第5の説明図である。
図9】電流検出素子1の製造方法を説明する第6の説明図である。
図10】電流検出素子1の製造方法を説明する第7の説明図である。
図11】巻線17の構成を概念的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、電気部品の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0016】
最初に、電気部品の一例としての図1に示す電流検出素子1の構成について、図面を参照して説明する。電流検出素子1は、測定装置に組み込まれて(同図に示す測定装置の筐体100に取り付けられて)検出対象の電流を検出する素子であって、同図に示すように、コア11、プリント基板12、プリント基板13、コネクタ14a,14b(以下、区別しないときには「コネクタ14」ともいう)、コネクタ15a,15b(以下、区別しないときには「コネクタ15」ともいう)および巻線16を備えて構成されている。
【0017】
コア11は、例えばパーマロイ等の磁性材料を用いて、図1に示すように円環状に形成されている。
【0018】
プリント基板12は、第1のプリント基板に相当し、図2に示すように、基板21および5本の配線22a〜22e(以下、区別しないときには「配線22」ともいう)を備えている。なお、図2では、プリント基板12およびコネクタ14a,14bをプリント基板12の上面21a(図1参照)側から見た状態で図示している。また、プリント基板12は、図1に示すように、コア11の内側に挿通させた状態で配設される。基板21は、絶縁材料を用いて、図1,2に示すように、一方の端部12aが幅広の略長方形の板状に形成されている。また、図2に示すように、基板21の端部12aには、検出対象の電流を入出力するためのスルーホール23a,23bが設けられている。
【0019】
配線22は、図2に示すように、基板21の一面(この例では、下面21b(図1参照))に形成されている。この場合、このプリント基板12では、図2に示すように、配線22aにおける一方の端部(プリント基板12の端部12a側の端部)が、同図における上向きに傾斜する形状に形成されて、スルーホール23aに接続されている。また、配線22a〜22eにおける他方の端部(同図に示すプリント基板12の端部12b側の端部)が、配線22同士の間隔に相当する長さ(各配線22の配列ピッチの1ピッチ分)だけ同図における下向きに傾斜する形状に形成されている。また、このプリント基板12では、同図に示すように、各配線22の直線部分が、基板21の幅方向(同図における上下方向)の中心部よりも幅方向の一方側(同図における上側)に、各配線22同士の間隔に相当する長さ分だけ全体として偏った位置に形成されている。
【0020】
これらの配線22は、プリント基板13における後述する配線32と共に、コア11に巻回される導体として機能し、配線32と共に巻線17(一次巻線に相当する:図11参照)を形成する。なお、配線22は、基板21の上面21aに形成されていてもよいし、基板21の内部に形成(内装)されていてもよい。また、基板21の上面21a、下面21bおよび内部において配線22が多層に形成されていてもよい。また、端部が傾斜した(屈曲した)形状の配線22に限定されず、曲線状の配線22や直線状の配線22が形成されていてもよい。さらに、配線22の本数も5本に限定されず、任意の本数の配線22が形成されているプリント基板12を用いることができる。
【0021】
プリント基板13は、第2のプリント基板に相当し、図3に示すように、基板31および直線状の5本の配線32a〜32e(以下、区別しないときには「配線32」ともいう)を備えている。なお、図3では、プリント基板12およびコネクタ15a,15bをプリント基板13の上面31a(図1参照)側から見た状態で図示している。また、プリント基板13は、図1に示すように、コア11の外側(同図では、コア11の下方)に配設される。基板31は、絶縁材料を用いて、図1,2に示すように、長方形の板状に形成されている。配線32a〜32eは、図2に示すように、基板31の一面(この例では、上面31a)に形成されている。これらの配線32は、プリント基板12の配線22と共に電流検出素子1の巻線17を構成する(図11参照)。なお、配線32は、基板31の下面31b(図1参照)されていてもよいし、基板31の内部に形成(内装)されていてもよい。また、基板31の上面31a、下面31bおよび内部において配線32が多層に形成されていてもよい。また、直線状の配線32に限定されず、曲線状の配線32や屈曲した形状の配線32が形成されていてもよい。さらに、配線32の本数も5本に限定されず、任意の本数の配線32が形成されているプリント基板13を用いることができる。
【0022】
コネクタ14a,14bは、第1のコネクタに相当し、図1,2に示すように、プリント基板12の端部12a,12bにおける基板21の下面21bにそれぞれ固定されている。また、図2に示すように、コネクタ14a,14bには、複数(この例では、配線22,32の数と同じ5個)の端子41a〜41eおよび端子41f〜41j(以下、区別しないときには「端子41」ともいう)がそれぞれ設けられている。この場合、同図に示すように、コネクタ14aの端子41a〜41dは、プリント基板12の配線22b〜22eにおける一方の端部にそれぞれ接続され、端子41eは、プリント基板12のスルーホール23bに接続されている。また、コネクタ14bの端子41f〜41jは、プリント基板12の配線22a〜22eにおける他方の端部にそれぞれ接続されている。
【0023】
コネクタ15a,15bは、第2のコネクタに相当し、図1に示すように、プリント基板13の端部13a,13bにおける基板31の上面31aにそれぞれ固定されている。また、図3に示すように、コネクタ15a,15bには、複数(この例では、配線22,32の数と同じ5個)の端子51a〜51eおよび端子51f〜51j(以下、区別しないときには「端子51」ともいう)がそれぞれ設けられている。この場合、同図に示すように、コネクタ15aの端子51a〜51eは、プリント基板13の配線32a〜32eにおける一方の端部(プリント基板13の端部13a側の端部)にそれぞれ接続されている。また、コネクタ15bの端子51f〜51jは、プリント基板13の配線32a〜32eにおける他方の端部(プリント基板13の端部13b側の端部)にそれぞれ接続されている。
【0024】
また、コネクタ14,15は、接続部に相当し、図1に示すように、互いに連結可能に構成されている。また、コネクタ14,15は、連結状態において各端子41,51が互いに接続され、これによってプリント基板12の各配線22とプリント基板13の各配線32とを接続する。
【0025】
巻線16は、二次巻線に相当し、図1に示すように、導体としての被覆導線61をコア11に巻回することによって形成されている。
【0026】
次に、電流検出素子1の製造方法(組み立て方法)の一例について、図面を参照して説明する。
【0027】
まず、図4,5に示すように、コア11に被覆導線61を巻回することによって巻線16を形成する。なお、以下の説明において、コア11に巻線16を形成したものを本体部50ともいう。
【0028】
次いで、プリント基板12の端部12a,12bにコネクタ14a,14bをそれぞれ固定すると共に、プリント基板13の端部13a,13bにコネクタ15a,15bをそれぞれ固定する(図1参照)。
【0029】
続いて、図6に示すように、電流検出素子1を組み込む(取り付ける)測定装置の筐体100の底面にスペーサ101(一例として、4つのスペーサ101:図1も参照)を取り付ける。次いで、図6に示すように、基板31の上面31a(配線32が形成されている面)を上向きにした状態で、プリント基板13の端部13a,13bを各スペーサ101に固定する。これにより、プリント基板13が筐体100に固定される。
【0030】
続いて、図6に示すように、プリント基板13の中央部に絶縁部材102を接着剤等を用いて固定する。次いで、図7に示すように、絶縁部材102の上に本体部50を接着剤等を用いて固定する。
【0031】
続いて、図8に示すように、基板21の下面21bを下向きにした状態で、プリント基板12の一方の端部(端部12aまたは端部12b)およびその端部に固定されているコネクタ14を本体部50の内側(コア11の内側)に挿通させる。次いで、図9,10に示すように、コネクタ14aとコネクタ15aとを連結させると共に、コネクタ14bとコネクタ15bとを連結させる。
【0032】
この際に、各コネクタ14,15の連結によって各コネクタ14,15の各端子41,51が接続される。具体的には、図11に示す接続形態で端子41,51が接続される。この場合、この電流検出素子1では、上記したように、プリント基板12の各配線22と各端子41とが図2に示す接続形態で接続され、プリント基板13の各配線32と各端子51とが図3に示す接続形態で接続されている。このため、図11に示すように、各端子41,51に接続されている各配線22,32が、各端子41,51を介して1本に繋がった状態で接続される。また、上記したように、プリント基板12の各配線22の直線部分が、基板21の幅方向の中心部よりも幅方向の一方側に、各配線22同士の間隔に相当する長さ分だけ全体として偏った位置に形成されている(図2参照)。このため、この電流検出素子1では、図11に示すように、各配線22,32をコイル状(螺旋状)に1本に繋げることができる。これにより、同図に示すように、配線22,32およびコネクタ14,15の各端子41,51によってコア11を巻回する一次巻線として機能する巻線17が形成される。
【0033】
この場合、この電流検出素子1では、コア11の内側を挿通させたプリント基板12の各配線22と、コア11の外側に配置したプリント基板13の各配線32とを接続することで巻線17を形成することができる。このため、この電流検出素子1では、被覆導線をコア11に巻回して一次巻線を形成する工程と比較して、容易にしかも短時間で一次巻線として機能する巻線17を形成することができる。この結果、この電流検出素子1では、製造工程を十分に簡略化することが可能となっている。
【0034】
また、この電流検出素子1では、プリント基板12の配線22に接続されたコネクタ14と、プリント基板13の配線32に接続されたコネクタ15とを連結させるだけで、各配線22,32を接続させることができる。したがって、この電流検出素子1では、さらに容易にしかもさらに短時間で巻線17を形成することができるため、製造工程をさらに簡略化することが可能となっている。
【0035】
また、この電流検出素子1では、プリント基板12,13にコネクタ14,15が固定されているため、例えば、図8に示すように、下側に位置するプリント基板13に固定されている2つのコネクタ15に向けて、プリント基板12に固定されている2つのコネクタ14を同時に押し付けることで、2つのコネクタ14と2つのコネクタ15とを一度に連結させることができる。このため、この電流検出素子1では、製造工程を一層簡略化することが可能となっている。
【0036】
また、この電流検出素子1では、上記したようにプリント基板13をスペーサ101を介して筐体100に固定することで、電流検出素子1の製造が完了したときに、取り付け対象としての筐体100への電流検出素子1の取り付けを完了させることができる。つまり、電流検出素子1の製造と、取り付け対象への電流検出素子1の取り付けとを並行して行うことができる。このため、この電流検出素子1では、製造工程を簡略化することに加えて、取り付け対象に取り付ける工程も簡略化することが可能となっている。
【0037】
このように、この電流検出素子1によれば、コア11の内側に挿通させたプリント基板12と、コア11の外側に配置されたプリント基板13と、各プリント基板12,13の各配線22,32を接続するコネクタ14,15とを備えたことにより、各配線22,32を接続することで巻線17を形成することができる。このため、この電流検出素子1によれば、被覆導線をコア11に巻回して巻線17を形成する工程と比較して、容易にしかも短時間で巻線17を形成することができる結果、製造工程を十分に簡略化することができる。
【0038】
また、この電流検出素子1によれば、プリント基板12の配線22に接続されたコネクタ14と、プリント基板13の配線32に接続されてコネクタ14と連結可能なコネクタ15とを備えたことにより、コネクタ14とコネクタ15とを連結させるだけで、各配線22,32を接続させることができる。このため、この電流検出素子1によれば、さらに容易にしかもさらに短時間で巻線17を形成することができるため、製造工程をさらに簡略化することができる。
【0039】
また、この電流検出素子1によれば、各コネクタ14,15を各プリント基板12,13にそれぞれ固定したことにより、例えば、下側に位置させたプリント基板13に固定されている2つのコネクタ15に向けて、プリント基板12に固定されている2つのコネクタ14を同時に押し付けることで、2つのコネクタ14と2つのコネクタ15とを一度に連結させることができるため、製造工程を一層簡略化することができる。
【0040】
また、この電流検出素子1によれば、電流検出素子1に備えられる巻線16(二次巻線)および巻線17(一次巻線)のうちの巻線17(巻線16,17の少なくとも一方の一例)をプリント基板12,13の配線22,32で構成することにより、電流検出素子1における2つの巻線の少なくとも一方を容易にしかも短時間で形成することができる結果、その分、電流検出素子1の製造工程を十分に簡略化することができる。
【0041】
なお、電気部品の構成は、上記した電流検出素子1の構成には限定されない。例えば、コネクタ14,15をプリント基板12,13に固定した構成例について上記したが、コネクタ14,15をプリント基板12,13に固定することなく、プリント基板12,13の配線22,32とコネクタ14,15の端子41,51とをケーブルで接続した構成を採用することもできる。また、コネクタ14,15を用いることなく、プリント基板12,13の配線22,32を導線を用いて(例えば、導線を半田付けすることで)接続する構成を採用することもできる。
【0042】
また、筐体100に配設したスペーサ101を用いて筐体100にプリント基板13を固定することによって電流検出素子1を取付対象としての筐体100に固定する例について上記したが、接着剤による固定等の他の固定方法で電流検出素子1を筐体100(取付対象)に固定することもできる。また、絶縁部材102を介して本体部50をプリント基板13に固定する例について上記したが、絶縁部材等を介して本体部50とプリント基板12とを固定する構成を採用することもできる。また、電流検出素子1を製造しつつ筐体100に取り付ける(製造と取り付けとを並行して行う)例について上記したが、予め製造した電流検出素子1を筐体100に取り付けることができるのは勿論である。
【0043】
また、一次巻線および二次巻線を備えた電流検出素子1における一次巻線だけをプリント基板の配線で構成する例について上記したが、二次巻線だけをプリント基板の配線で構成したり、一次巻線および二次巻線の双方をプリント基板の配線で構成したりする構成を採用することもできる。
【0044】
また、それぞれ1枚のプリント基板12,13を用いて巻線を構成する例について上記したが、巻線を構成するプリント基板の数は、これに限定されず、任意の数のプリント基板を用いることができる。また、電流検出素子1に適用した例について上記したが、コアおよび巻線を有する他の電気部品(例えば、インダクタ)に適用することもできる。
【符号の説明】
【0045】
1 電流検出素子
11 コア
12,13 プリント基板
14a,14b,15a,15b コネクタ
16 巻線
17 巻線
22a〜22e,32a〜32e 配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11