(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1、2に記載されるように、飲料を充填後に容器を加温する方法では、加温器などの設備が大掛かりで設置スペースの確保の課題があり、また、メンテナンスに時間や手間を要するといった課題が生じていた。
【0009】
この点、非特許文献1で提案された技術によれば、充填前に熱交換器にて飲料を加温することから、特許文献1、2に記載されるような充填後の加温の設備を不要とすることができる。しかしながら、具体的にどのような方法で充填前の加温を行うかについては、検討がなされていなかった。
【0010】
そこで、発明者らは鋭意検討を重ね、安定して結露発生を抑制することができ、長時間連続的に製造が続けられる新規な充填システムを実現することを課題とし、本発明を完成するに至った。
【0011】
加えて、新規な充填システムを実施するに際し、関連するパラメータを管理する必要があることを見出した。即ち、結露発生の抑制と関連して調整すべきパラメータを特定し、当該パラメータを管理することで、結露発生を抑制しつつ、最適な飲料充填を行うことを実現することを課題として見出した。
【0012】
本発明は以上の課題を見出し、新規な充填システム、及び、充填方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0014】
即ち、請求項1に記載のごとく、
発泡性飲料を加温して設定充填温度まで昇温させる熱交換器と、
前記熱交換器にて加温された発泡性飲料を容器に充填する充填機と、
発泡性飲料を充填した容器の搬送経路の環境露点温度を計測する露点計測手段と、
を備える発泡性飲料の充填システムであって、
前記環境露点温度と前記設定充填温度の差を測定温度差として算出し、
前記環境露点温度が、前記設定充填温度よりも高く、
かつ、前記測定温度差が許容温度差を超えて大きくなった場合には、
前記設定充填温度を自動的に高い値に変更し、
前記環境露点温度が、前記設定充填温度よりも低い場合には、
前記設定充填温度を自動的に前記環境露点温度よりも低い値に変更し、
かつ、変更後において前記測定温度差を許容温度差の範囲内に収める
ものであり、
前記設定充填温度は、複数の規定値とする
ものであり、
前記発泡性飲料は、ビール類飲料であって、
前記充填機は、容器に充填される発泡性飲料の充填量が設定可能に構成され、
前記設定充填温度の設定に応じて前記充填量が調整される
ものであり、
前記充填量の調整は、
設定充填温度の変動に伴うフォーミング量の変化に応じた入味量の変動を抑えるために、
設定充填温度が高く設定されると、前記充填機での充填量の設定値が高く設定されるように行われる、
発泡性飲料の充填システムとする。
【0017】
また、請求項
2に記載のごとく、
前記発泡性飲料は、ビール類飲料であって、
前記充填機は、容器に充填する際のカウンタープレッシャー値が設定可能に構成され、
前記設定充填温度の設定に応じて前記カウンタープレッシャー値が調整される。
【0018】
また、請求項
3に記載のごとく、
前記発泡性飲料は、ビール類飲料であって、
前記充填機は、容器
への飲料の充填前に容器内の空気を炭酸ガスに置換する工程に要するフラッシング時間が設定可能に構成され、
前記設定充填温度の設定に応じて前記フラッシング時間が調整される、こととする。
前記設定充填温度の設定に応じて前記カウンタープレッシャー値が調整される。
【0019】
また、請求項
4に記載のごとく、
発泡性飲料の充填方法であって、
熱交換器にて発泡性飲料を加温して設定充填温度まで昇温させ、加温された発泡性飲料を充填機にて容器に充填することとし、
発泡性飲料を充填した容器の搬送経路の環境露点温度と、前記設定充填温度の差を測定温度差として算出し、
前記環境露点温度が、前記設定充填温度よりも高く、
かつ、前記測定温度差が許容温度差を超えて大きくなった場合には、
前記設定充填温度を自動的に高い値に変更し、
前記環境露点温度が、前記設定充填温度よりも低い場合には、
前記設定充填温度を自動的に前記環境露点温度よりも低い値に変更し、
かつ、変更後において前記測定温度差を許容温度差の範囲内に収める
ものであり、
前記設定充填温度は、複数の規定値とする
ものであり、
前記発泡性飲料は、ビール類飲料であって、
前記設定充填温度の設定に応じて充填量を調整する
ものであり、
前記充填量の調整は、
設定充填温度の変動に伴うフォーミング量の変化に応じた入味量の変動を抑えるために、
設定充填温度が高く設定されると、前記充填機での充填量の設定値が高く設定されるように行われる、
発泡性飲料の充填方法、とする。
【0022】
また、請求項
5に記載のごとく、
前記発泡性飲料は、ビール類飲料であって、
前記設定充填温度の設定に応じて充填時のカウンタープレッシャー値を調整する
、こととする。
【0023】
また、請求項
6に記載のごとく、
前記発泡性飲料は、ビール類飲料であって、
前記設定充填温度の設定に応じて
容器への飲料の充填前に容器内の空気を炭酸ガスに置換する工程に要するフラッシング時間を調整する
、こととする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、自動制御によって安定して結露発生を抑制することができ、長時間連続的に製造を続けることができる。また、熱交換器におけるエネルギーロスも低く抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、工場屋内において、発泡性飲料としてビールを充填する一実施形態を示すものであり、発泡性飲料を加温して設定充填温度T1まで昇温させる熱交換器10と、熱交換器10にて加温されたビールを容器50に充填する充填機20と、発泡性飲料を充填した容器50の搬送経路30の環境露点温度T2を計測する露点計測手段40と、充填システム1を構成している。
【0027】
図1において、ビールは、ろ過機3を通じてブライトビアタンク2へ供給され、その後、熱交換器10へと供給される。熱交換器10では、温水経路から供給される温水と、ビールとの間にて熱交換が行われるものであり、熱交換器10に入る前の約1℃のビールの温度は、熱交換器10を通過後に設定充填温度T1まで昇温されるようになっている。
【0028】
設定充填温度T1に昇温されたビールは、充填機20において容器50に充填され、容器50には所定量のビールが充填された状態となる。なお、充填機20は、周囲と隔離されて温度管理などがされた充填室21内に設置されており、充填室21から順次容器50が搬出される。また、本実施例では容器50は缶や瓶が想定されるが、ペットボトルなどの他の容器においても本発明を実施できる。
【0029】
充填室21から搬出された容器50は、トップチェイン(プラスチックトップチェインやステンレストップチェイン)などからなる搬送経路30を搬送され、入味量検査などの必要な処理を経て、最終的にケーサーにて段ボール箱などに収容されて出荷される。
【0030】
露点計測手段40では、搬送経路30の環境露点温度T2が計測される。環境露点温度T2は、熱交換器10の制御装置14に入力される。
【0031】
熱交換器10の制御装置14では、入力される環境露点温度T2に基づいて、内部の温水流量を調節するなどして熱交換量Mを調整し、熱交換後のビールが設定充填温度T1になるように自動制御する。
【0032】
また、熱交換器10の制御装置14では、測定温度差T3が計算される。この測定温度差T3は、環境露点温度T2と設定充填温度T1の差分である。
【0033】
また、熱交換器10の制御装置14には、予め、測定温度差T3と比較するための許容温度差T4が設定されている。この許容温度差T4は、例えば、「4℃」として設定される。この許容温度差T4は、搬送経路30において仮に結露が発生しても許容できるレベルを実現するいわば「安全値」「余裕値」である。
【0034】
この測定温度差T3に関し、
図2の状況Aに示すように、仮に、測定温度差T3が許容温度差T4よりも大きくなる状況、つまり、低い側の設定充填温度T1から高い側の環境露点温度T2に至るまでの温度差が大きく、ビール温度が環境露点温度T2よりもかなり低い状況では、結露が発生し易い状況となる。
【0035】
他方、
図2の状況Bに示すように、測定温度差T3が許容温度差T4よりも小さくなる状況、つまり、低い側の設定充填温度T1から高い側の環境露点温度T2に至るまでの温度差が小さく、ビール温度が環境露点温度T2よりもそれほど低くない状況では、結露が発生し難い状況となる。
【0036】
そして、以上の測定温度差T3と許容温度差T4の関係に基づき、熱交換器10の制御装置14では、以下の例に示す制御を実施する。
【0037】
<制御1>
この制御1では、
図2の状況Aに示すように、環境露点温度T2が設定充填温度T1よりも高く、かつ、測定温度差T3が許容温度差T4を越えて大きくなった場合には、設定充填温度T1を自動的に高い値に変更し、状況Bを実現する。
【0038】
より具体的に説明すると、状況Aでは、環境露点温度T2が設定充填温度T1よりも高い状況であり、容器内のビール温度が環境露点温度T2よりも低ければ低いほど結露が発生し易い状況である。そして、測定温度差T3が許容温度差T4を超えて大きくなる、即ち、ビール温度が環境露点温度Tよりもかなり低い温度となると、結露が発生し易くなる。
【0039】
この状況Aになった場合には、
図1に示される制御装置14は熱交換器10における熱交換量Mを増加し、設定充填温度T1を自動的に高い値に変更し、測定温度差T3が許容温度差T4の範囲内に収まる状況B(
図2)を実現する。即ち、熱交換器10においてビール温度がより昇温させ、充填後のビール温度と環境露点温度T2との差を少なくすることで、結露の発生を抑制するものである。
【0040】
また、設定充填温度T1については、予め規定された複数の規定値(温度帯)Tz1,Tz2・・・から選定されるものであり、
図2の状況Aに示すように、設定充填温度T1がTz1であった場合に、状況Bに示すように、設定充填温度T1を一つ高いTz2に設定し直すことにより、測定温度差T3を許容温度差T4の範囲内に収めるようにする。この規定値Tz1等は、例えば、13℃,18℃,22℃,24℃とされる。
【0041】
なお、設定充填温度T1の値を上げすぎても熱交換器10におけるエネルギーロスを来たすため、設定充填温度T1を一つ高い規定値に変更することで、無駄な熱交換を防ぐことが可能となる。
【0042】
また、以上に説明した内容において、規定値Tz1等をより細かい設定にすることによれば、リアルタイムに近い制御を実現することができ、このような設定は、各製造現場において任意に設定することができる。
【0043】
なお、
図2においては絶対温度軸を表示しており、環境露点温度T2と測定温度差T3は逐次変動するものであり、規定値Tz1,Tz2と許容温度差T4は予め設定されるものであり、設定充填温度T1は状況に応じて設定変更されるものである。
【0044】
<制御2>
この制御2では、
図3の状況Cに示すように、環境露点温度T2が設定充填温度T1よりも低い場合には、設定充填温度T1を環境露点温度T2よりも自動的に低い値に変更し、かつ、変更後において測定温度差T3を許容温度差T4の範囲内に収める状況Dを実現する。
【0045】
より具体的に説明すると、状況Cでは、環境露点温度T2が設定充填温度T1よりも低い状況であり、容器内のビール温度が環境露点温度T2よりも高く結露が発生し難い状況である。
【0046】
この状況Cでは、ビールを無駄に加熱しているものであるから、熱交換器10における熱交換量Mを減少させ、設定充填温度T1を自動的に環境露点温度T2よりも低い値に変更する。ただし、設定充填温度T1を低くし過ぎることでビール温度が環境露点温度と比較して低くなりすぎてしまうと結露が発生し易くなる。
【0047】
そこで、設定充填温度T1を低くしつつ、設定充填温度T1の変更後において測定温度差T3を許容温度差T4の範囲内に収めるようにする。これによれば、設定充填温度T1を低くした場合であっても、結露の発生を抑制することができる。
【0048】
より具体的には、設定充填温度T1について、
図3の状況Cに示すように、設定充填温度T1がTz3であった場合に、状況Dに示すように、設定充填温度T1を一つ低いTz2に設定し直すことにより、設定充填温度T1を環境露点温度T2よりも低くするとともに、測定温度差T3を許容温度差T4の範囲内に収めるようにする。
【0049】
以上のように制御することにより、結露の発生を抑制しながらも、ビールを無駄に加熱するこがなく、熱交換器10におけるエネルギーロスを低減することができる。
【0050】
<制御3>
上述の制御1,2により、常温充填において結露の発生を抑制することが可能となった。この常温充填を実現するための過程において、設定充填温度T1に応じて充填量を調整する必要があることを見出した。なお、本明細書中、「充填量」とは充填機において充填する液量の設定値であり、「入味量」とは容器に充填されている実際の液量のことをいう。
【0051】
具体的に説明すると、設定充填温度T1(充填温度)を高くするとビール温度が高くなるため、充填時に容器の開放部分に生じるフォーミング量(泡量)が多くなる。これにより、ガッシングを行うと、より多くのフォーミング(泡)が吹き飛ばされ、入味量が少なくなる(入味ロス量が多くなる)。従って、充填する量はより多めに設定する必要がある。なお、ガッシングとは、例えば、缶ビールの製造において、シーマーでの巻締工程(缶蓋を取り付ける工程)の直前に、缶空寸部の空気を炭酸ガスに置換する工程であり、この際に、フォーミング(泡)が吹き飛ばされるものである。
【0052】
一方、設定充填温度T1(充填温度)を低くするとビール温度が低くなるため、充填時に容器の開放部分に生じるフォーミング量(泡量)が少なくなる。これにより、ガッシングを行っても、吹き飛ばされるフォーミング量(泡量)は少なくなる。従って、充填する量はより少なめに設定する必要がある。
【0053】
そして、上述した制御1,2を自動で行うと設定充填温度T1が自動で変更されるため、充填量についても自動でコントロールすることが重要になる。そこで、
図4に示すような相関関係に基づいて、設定充填温度T1(充填温度)に応じて充填量の値を調整することとした。
【0054】
図4に示す相関関係では、設定充填温度T1(充填温度)を高くした場合には、充填機での充填量の設定値が高く設定されることを意味している。このことを実現するために、
図1において、充填機20の制御装置24は、熱交換器10の制御装置14で設定される設定充填温度T1に応じて、充填量を調整する制御を実施する。
【0055】
以上の制御3を実施することにより、充填後の容器内の入味量を規定値により近づけることが可能となり、また、入味量を安定させることが可能となる。なお、充填量の調整の具体的な方法は、充填機の仕様によっても異なるが、例えば、電磁流量計の充填量設定値の調整などが考えられる。
【0056】
<制御4>
上述の制御1,2により、常温充填において結露の発生を抑制することが可能となった。この常温充填を実現するための過程において、設定充填温度T1に応じて容器に充填する際のカウンタープレッシャー値(充填時の炭酸ガスの背圧)を調整する必要があることを見出した。カウンタープレッシャー値は入味量や製品中のガスボリュームに影響するため、最適な値に設定する必要がある。
【0057】
まず、設定充填温度T1(充填温度)を高くするとビール温度が高くなるため、充填されるビールの飽和ガス圧が高くなる。このため、カウンタープレッシャー値も高くする必要がある。
【0058】
一方、設定充填温度T1(充填温度)を低くするとビール温度が低くなるため、充填されるビールの飽和ガス圧が低くなる。このため、カウンタープレッシャー値も低くする必要がある。
【0059】
上述した制御1,2を自動で行うと設定充填温度T1が自動で変更されるため、カウンタープレッシャー値についても自動でコントロールすることが重要である。そこで、
図5に示すような相関関係に基づいて、設定充填温度T1(充填温度)に応じてカウンタープレッシャー値を調整することとした。
【0060】
図5に示す相関関係では、設定充填温度T1(充填温度)を高くした場合には、カウンタープレッシャー値が高く設定されることを意味している。このことを実現するために、
図1において、充填機20の制御装置24は、熱交換器10の制御装置14で設定される設定充填温度T1に応じて、カウンタープレッシャー値を調整する制御を実施する。
【0061】
以上の制御4を実施することにより、充填後の容器内の入味量や製品中のガスボリュームを規定値により近づけることが可能となり、また、入味量や製品中のガスボリュームを安定させることが可能となる。
【0062】
<制御5>
上述の制御1,2により、常温充填において結露発生を抑制することが可能となった。この常温充填を実現するための過程において、設定充填温度T1に応じてフラッシング時間(フラッシングを行う時間)を調整する必要があることを見出した。
【0063】
ここで、フラッシングとは、充填機にて容器内の空気を炭酸ガスに置換する工程のことをいい、フラッシング時間は炭酸ガスのロスに影響するため、最適な値に設定する必要があることを見出した。なお、充填の際には所定のカウンタープレッシャー値(充填時の炭酸ガスの背圧)に設定した炭酸ガスを用いた充填がなされるが、この充填の際に用いる炭酸ガスと、フラッシングの際に用いる炭酸ガスは、共通のガス供給源から供給されるものが用いられる。
【0064】
以下具体的に説明すると、まず、設定充填温度T1(充填温度)を高くするとビール温度が高くなるため、充填時に容器の開放部分に生じるフォーミング量(泡量)が多くなる。このため、充填機においては、このフォーミング量(泡量)を抑制するためにカウンタープレッシャー値を高める設定がなされるが、これと同時に、フラッシングの際に用いる炭酸ガスの圧力も高くなる。カウンタープレッシャーとフラッシングに用いる炭酸ガスは共通のガス供給源から供給されるためである。このような状況になった際には、炭酸ガスの圧力が高くなっているため、フラッシング時間は短くて済むことになる。
【0065】
一方、設定充填温度T1(充填温度)を低くするとビール温度が低くなるため、充填時に容器の開放部分に生じるフォーミング量(泡量)が少なくなる。このため、充填機においては、カウンタープレッシャー値を低くする設定がなされるが、これと同時に、フラッシングの際に用いる炭酸ガスの圧力も低くなる。カウンタープレッシャーとフラッシングに用いる炭酸ガスは共通のガス供給源から供給されるためである。このような状況になった際には、炭酸ガスによる置換を十分に行うために、フラッシング時間は長くする必要がある。
【0066】
そして、上述した制御1,2を自動で行うと設定充填温度T1が自動で変更されるため、フラッシング時間についても自動でコントロールすることが重要となる。そこで、
図6に示すような相関関係に基づいて、設定充填温度T1(充填温度)に応じてフラッシング時間の値を調整することとした。
【0067】
図6に示す相関関係では、設定充填温度T1(充填温度)を高くした場合には、充填機でのフラッシング時間が短く設定されることを意味している。このことを実現するために、
図1において、充填機20の制御装置24は、熱交換器10の制御装置14で設定される設定充填温度T1に応じて、フラッシング時間を調整する制御を実施する。
【0068】
以上の制御5を実施することにより、フラッシング時間の最適化を図ることができ、充填温度が高い場合には、フラッシング時間を短く設定することで使用する炭酸ガスのロスを減らすことができ、充填温度が低い場合には、フラッシング時間が長く設定されることで、炭酸ガスによる置換を確実に行うことができる。
【0069】
以上に述べた制御3,4,5は、制御1,2と組合せそれぞれ個別で実施してもよく、組み合わせて実施してもよい。
【0070】
以上のようにして本願発明を実施することができる。
即ち、
図1に示すように、
発泡性飲料を加温して設定充填温度T1まで昇温させる熱交換器10と、
熱交換器10にて加温された発泡性飲料を容器に充填する充填機20と、
発泡性飲料を充填した容器50の搬送経路30の環境露点温度T2を計測する露点計測手段40と、
を備える発泡性飲料の充填システム1であって、
環境露点温度T2と設定充填温度T1の差を測定温度差T3として算出し、
環境露点温度T2が、設定充填温度T1よりも高く、
かつ、測定温度差T3が許容温度差T4を超えて大きくなった場合には、
設定充填温度T1を自動的に高い値に変更し、
環境露点温度T2が、設定充填温度T1よりも低い場合には、
設定充填温度T1を自動的に環境露点温度T2よりも低い値に変更し、
かつ、変更後において測定温度差T3を許容温度差T3の範囲内に収めることとする。
【0071】
これにより、自動制御によって安定して結露発生を抑制することができ、長時間連続的に製造を続けることができる。また、熱交換器におけるエネルギーロスも低く抑えることができる。
【0072】
設定充填温度T1は、複数の規定値とする。
【0073】
これにより、設定充填温度T1の上げすぎによるエネルギーロスの発生を防止でき、また、設定充填温度T1の下げすぎによる結露発生を抑制できる。
【0074】
また、発泡性飲料は、ビール類飲料であって、充填機は、容器に充填される発泡性飲料の充填量が設定可能に構成され、設定充填温度T1の設定に応じて充填量が調整されることとする。
【0075】
また、発泡性飲料は、ビール類飲料であって、充填機は、容器に充填する際のカウンタープレッシャー値が設定可能に構成され、設定充填温度T1の設定に応じてカウンタープレッシャー値が調整されることとする。
【0076】
また、発泡性飲料は、ビール類飲料であって、充填機は、容器に充填する際のフラッシング時間が設定可能に構成され、設定充填温度T1の設定に応じてフラッシング時間が調整されることとする。
【0077】
以上の制御により、充填後の容器内の入味量を規定値により近づけることが可能となり、また、入味量を安定させることが可能となる。
【0078】
また、発泡性飲料の充填方法であって、熱交換器にて発泡性飲料を加温して設定充填温度まで昇温させ、加温された発泡性飲料を充填機にて容器に充填することとし、発泡性飲料を充填した容器の搬送経路の環境露点温度と、設定充填温度の差を測定温度差として算出し、環境露点温度が、設定充填温度よりも高く、かつ、測定温度差が許容温度差を超えて大きくなった場合には、設定充填温度を自動的に高い値に変更し、環境露点温度が、設定充填温度よりも低い場合には、設定充填温度を自動的に低い値に変更し、かつ、変更後において測定温度差を許容温度差の範囲内に収める、発泡性飲料の充填方法とする。
【0079】
これにより、自動制御によって安定して結露発生を抑制することができ、長時間連続的に製造を続けることができる。また、熱交換器におけるエネルギーロスも低く抑えることができる。