【実施例】
【0035】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において使用した各種特性の評価方法は下記のとおりであり、得られた物性を以下の表1に示す。
【0036】
1.平均単糸繊度(dtex)
不織布のCD方向に5等分して1cm角の試験片を採取し、キーエンス社製マイクロスコープVHX−700Fで繊維の直径を各20点ずつ測定し、その平均値を算出した。
【0037】
2.目付(g/m
2)
JIS−L1906に準じ、MD方向20cm×CD方向5cmの試験片を不織布のCD方向に採取位置が均等になるように5枚採取して質量を測定し、その平均値を単位面積あたりの重量に換算して目付(g/m
2)として求めた。
【0038】
3.引張強度(N/5cm)、引張伸度(%)、タフネス指標
JIS L−1906に準じ、CD方向均等になる様に、CD方向5cm、MD方向20cmの試験片を不織布のCD方向に採取位置が均等になるように5枚採取して、引張試験機で、つかみ間隔10cm、引張速度30cm/分で測定した。MD方向各5点の試料を測定し、測定値を平均して引張強度と引張伸度を算出した。タフネス指数は以下の式(1):
タフネス指数=引張強度(N/5cm)×引張伸度(%)/目付(g/m
2) ...式(1)
により算出した。
【0039】
4.二酸化炭素発生量抑制剤の平均粒子径
粒度分布計(Particle Sizing System Co.製 NICOMP 380ZLS型)を用いて測定した。
【0040】
5.二酸化炭素発生量抑制剤の分散性
凝集する目安として剤粒子の大きさは400nm以上とし、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡 S-5500(株式会社 日立ハイテクノロジーズ社製)明視野STEMにて20000倍率の繊維断面を観察した。400nm以上のサイズの塊が無ければ分散性を「良」、あれば「悪」として評価した。
【0041】
6.二酸化炭素発生量抑制効果
<低温熱分解物の調製>
一般的な自治体焼却炉で使用されているストーカ炉を想定し、各実施例で得られた二酸化炭素発生量抑制不織布と、二酸化炭素発生量抑制を含有しないポリオレフィン不織布とをTG/DTA装置で雰囲気ガス窒素/空気、測定範囲30〜400℃、昇温速度10℃/分、ガス流量200mL/分条件で処理し低温熱分解物を得た。
<不織布の二酸化炭素発生量抑制効果の測定>上記で調製した熱分解物10mgをJIS−K7217に準じ、空気下800℃で10分間燃焼させ、その際に発生した二酸化炭素を、熱伝導度検出器を備えたガスクロマトグラフで定量測定した。二酸化炭素発生量抑制剤を含有しないポリオレフィン不織布から発生した二酸化炭素量と各実施例で得られた不織布から発生した二酸化炭素量との差の割合から二酸化炭素削減効果を算出した。
【0042】
〔実施例1〕
MFRが60g/10分(JIS−K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のポリプロピレン樹脂に平均粒子径200nmのアルミノケイ酸ナトリウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で(ポリプロピレン樹脂に対し)0.03重量%になる様に添加した。この二酸化炭素発生量抑制剤を添加したポリプロピレン樹脂をスパンボンド法により、単孔吐出量0.88g/min・Hole、紡糸温度215℃で押出し、このフィラメント群をエアジェットによる高速気流牽引装置を使用して牽引し、移動捕集面に向けて押し出し、平均単糸繊度2.45dtexの不織布ウェブを得た。
【0043】
次いで、得られたウェブを、フラットロールとエンボスロール(パターン仕様:直径0.425mm円形、千鳥配列、横ピッチ2.1mm、縦ピッチ1.1mm、圧着面積率6.3%)の間に通して温度140℃と線圧35kgf/cmで繊維同士を接着し、目付20g/m
2のスパンボンド不織布を得た。
【0044】
〔実施例2〕
平均粒子径200nmのアルミノケイ酸ナトリウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で0.09重量%となる様に、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.45dtex、目付20g/m
2のスパンボンド不織布を得た。
【0045】
〔実施例3〕
平均粒子径200nmのアルミノケイ酸ナトリウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で0.15重量%となる様に、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.00dtex、目付20g/m
2のスパンボンド不織布を得た。
【0046】
〔実施例4〕
平均粒子径200nmのアルミノケイ酸ナトリウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で0.30重量%となる様に、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.45dtex、目付20g/m
2のスパンボンド不織布を得た。
【0047】
〔実施例5〕
平均粒子径200nmのアルミノケイ酸ナトリウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で0.15重量%となる様に、実施例1と同様にして平均単糸繊度3.00dtex、目付20g/m
2のスパンボンド不織布を得た。
【0048】
〔実施例6〕
平均粒子径200nmのアルミノケイ酸ナトリウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で0.15重量%となる様に、実施例1と同様にして平均単糸繊度1.40dtex、目付30g/m
2のスパンボンド不織布を得た。
【0049】
〔実施例7〕
平均粒子径200nmのアルミノケイ酸ナトリウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で0.15重量%となる様に、実施例1と同様にして平均単糸繊度0.07dtex、目付20g/m
2のスパンボンド不織布を得た。
【0050】
〔実施例8〕
平均粒子径200nmのアルミノケイ酸ナトリウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で0.15重量%となる様に、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.45dtexの不織布ウェブを得た。次いで得られた不織布ウェブを、フラットロールとエンボスロール(パターン仕様:直径0.425mm円形、千鳥配列、横ピッチ2.1mm、縦ピッチ1.1mm、圧着面積率6.3%)の間に通して温度137℃と線圧15kgf/cmで繊維同士を接着し、目付8g/m
2のスパンボンド不織布を得た。
【0051】
〔実施例9〕
平均粒子径200nmのアルミノケイ酸ナトリウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で0.15重量%となる様に、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.45dtexの不織布ウェブを得た。次いで得られた不織布ウェブを、フラットロールとエンボスロール(パターン仕様:直径0.425mm円形、千鳥配列、横ピッチ2.1mm、縦ピッチ1.1mm、圧着面積率6.3%)の間に通して温度143℃と線圧15kgf/cmで繊維同士を接着し、目付60g/m
2のスパンボンド不織布を得た。
【0052】
〔実施例10〕
平均粒子径200nmのアルミノケイ酸ナトリウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で0.15重量%となる様に、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.45dtexの不織布ウェブを得た。次いで得られた不織布ウェブを、フラットロールとエンボスロール(パターン仕様:直径0.425mm円形、千鳥配列、横ピッチ2.1mm、縦ピッチ1.1mm、圧着面積率6.3%)の間に通して温度130℃と線圧15kgf/cmで繊維同士を接着し、目付20g/m
2のスパンボンド不織布を得た。
【0053】
〔実施例11〕
平均粒子径200nmの酸化マグネシウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で0.10重量%となる様に、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.45dtex、目付20g/m
2のスパンボンド不織布を得た。
【0054】
〔実施例12〕
平均粒子径200nmのチタン酸バリウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で0.10重量%となる様に、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.45dtex、目付20g/m
2のスパンボンド不織布を得た。
【0055】
〔実施例13〕
MFRが26g/10分(JIS−K7210に準じ、温度190℃、荷重2.16kgで測定)の高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂に平均粒子径200nmのアルミノケイ酸ナトリウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で0.10重量%となる様に添加し、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.45dtex、目付20g/m
2のスパンボンド不織布を得た。
【0056】
〔実施例14〕
平均粒子径150nmのアルミノケイ酸ナトリウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で0.09重量%となる様に、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.45dtex、目付20g/m
2のスパンボンド不織布を得た。
【0057】
〔実施例15〕
平均粒子径250nmのアルミノケイ酸ナトリウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で0.09重量%となる様に、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.45dtex、目付20g/m
2のスパンボンド不織布を得た。
【0058】
〔比較例1〕
平均粒子径200nmのアルミノケイ酸ナトリウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で0.02重量%となる様に、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.45dtex、目付20g/m
2のスパンボンド不織布を得た。以下の表1に実施例1〜15で得られた不織布の各種特性の評価結果とともに、比較例1で得られた不織布の各種特性の評価結果を示す。比較例1の二酸化炭素発生量抑制剤添加量0.02重量%では、二酸化炭素発生量削減効果が25%と低い値であった。
【0059】
〔比較例2〕
MFRが60g/10分(JIS−K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のポリプロピレン樹脂を使用し実施例1と同様にして平均単糸繊度2.45dtex、目付20g/m
2のスパンボンド不織布を得た。比較例2では二酸化炭素発生量抑制剤を添加していないため、抑制効果が発現しなかった。
【0060】
〔比較例3〕
平均粒子径200nmのアルミノケイ酸ナトリウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で0.35重量%となる様に、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.45dtex、目付20g/m
2のスパンボンド不織布を得たが、二酸化炭素発生量抑制剤の含有量が高すぎたため、紡糸時の糸切れが多く、品位の悪い不織布となった。
【0061】
〔比較例4〕
平均粒子径100nmのアルミノケイ酸ナトリウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で0.09重量%となる様に、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.45dtex、目付20g/m
2のスパンボンド不織布を得た。比較例4では二酸化炭素発生量抑制剤の平均粒子径が150nm未満であったため、二酸化炭素発生量抑制効果が33%と低い値であった。
【0062】
〔比較例5〕
平均粒子径400nmのアルミノケイ酸ナトリウムからなる二酸化炭素発生量抑制剤を純分で0.09重量%となる様に、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.45dtex、目付20g/m
2のスパンボンド不織布を得た。比較例5では二酸化炭素発生量抑制剤の平均粒子径が250nmを超えたため、紡糸時の糸切れが多く、品位の悪い不織布となった。
【0063】
【表1】