(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベース部材として、複数の格納物を格納可能な格納部を備えると共に、前記車輪付可動機構として、前記複数の格納物を格納した状態で、前記第1位置と前記第2位置との間を移動可能な格納物運搬台車を備えた、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の車輪付可動機構ガイド装置と、
前記格納部と、前記第1位置に位置する前記格納物運搬台車との間で少なくとも一方に向けて前記格納物を搬送するピッカーと、
を備える物品格納設備。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態に係る車輪付可動機構ガイド装置及びこれを備える物品格納設備について説明する。ここでは、物品格納設備が、物品として図書を格納すると共に、当該図書を貸出のために取扱う図書取扱装置である例で説明する。
【0021】
{1.図書取扱装置の全体構成について}
<全体構成について>
図1は図書取扱装置10を示す概略斜視図であり、
図2は図書取扱装置10を示す概略側面図であり、
図3は図書取扱装置10を示す概略平面図であり、
図4は図書取扱装置10の内部構造を示す概略正面図である。
【0022】
この図書取扱装置10は、図書館等に設置される装置であり、ここでは、格納された複数の図書の中から利用者により選択された図書を自動的に貸出す装置である。貸出された図書は、別途設けられた返却ボックス又は有人のカウンターに返却される。もっとも、本図書取扱装置10も、図書の返却を受付けて、その内部に自動に格納する装置として用いることもできる。
【0023】
すなわち、本図書取扱装置10は、利用者による図書の貸出指示に応じて当該装置に格納されている図書を利用者に自動で貸出すことができる装置である。利用者による図書の貸出指示は、本図書取扱装置10に設置された貸出受付部70等によってなされる。
【0024】
図書取扱装置10は、ここでは、格納部30と、ピッカー40と、取出口機構部100と、格納物運搬台車としての入庫台車130と、貸出受付部70と、制御部80(
図27参照)とを備える。
【0025】
図書取扱装置10の四方及び上方は、パネル22によって囲われている。ここでは、図書取扱装置10のうち格納部30と、ピッカー40と、取出口機構部100の一部とが、四方及び上方をパネル22で囲われた閉鎖空間内に配置されている。また、取出口機構部100の他の一部と貸出受付部70とが、パネル22の外を臨むように配設されている。以降、図書取扱装置の内部とは、パネル22の内部を指すものとする。図書取扱装置10の内部はパネル22により関係者以外の立ち入りが制限されている。また、入庫台車130は、図書取扱装置10の内外に出入り可能に配置されている。
【0026】
本図書取扱装置10においては、図書200は、図書収納用フォルダ210に収納された状態で格納及び搬送される。
【0027】
すなわち、図書200は、図書収納用フォルダ210に収納された状態で、格納部30に格納されている(
図2において一部の図書収納用フォルダ210に図書200を収納した状態を図示)。そして、利用者が貸出受付部70を通じて所望の図書200の貸出しを指示すると、ピッカー40は、所望の図書200を収納した図書収納用フォルダ210を、取出口機構部100内の待機位置R(
図3参照)に向けて搬送する。取出口機構部100では、図書収納用フォルダ210から外部に図書200を取出可能な状態で、図書収納用フォルダ210が支持される。そして、利用者は、取出口機構部100において、図書収納用フォルダ210を図書取扱装置10内に残したまま、当該図書収納用フォルダ210から図書200を取出す。これにより、利用者に対して、所望の図書を自動で貸出せるようになっている。
【0028】
また、入庫台車130は、例えば、図書200を収納したフォルダ210を、本図書取扱装置10内に格納する際に用いられる。
【0029】
すなわち、入庫台車130は、複数の図書収納用フォルダ210を格納した状態で走行可能に構成されている。そして、図書200を収納した図書収納用フォルダ210を、入庫台車130に格納した状態で、当該入庫台車130を、図書取扱装置10内に入れる。この状態で、ピッカー40が、入庫台車130に格納された図書収納用フォルダ210を、格納部30の空き格納位置に向けて搬送することによって、図書を収納した図書収納用フォルダ210が格納部30に格納される。本図書取扱装置10のうち入庫台車130が設けられた部分に車輪付可動機構ガイド装置が設けられる。この車輪付可動機構ガイド装置については、後で詳述する。
【0030】
制御部80は、上記各動作を含む本図書取扱装置10の各動作を制御可能に構成されている。制御部80は、パネル22内に設けられていてもよいし、パネル22外に設けられていてもよい。
【0031】
<図書取扱装置における図書の流れについて>
上記図書取扱装置10における図書200の流れについて説明しておく。
【0032】
まず、複数の図書200が、それぞれ別々の図書収納用フォルダ210に収納された状態で、格納部30内に格納されている。
【0033】
図書200の貸出し時においては、貸出しを望む利用者が、上記貸出受付部70を通じて、貸出しを望む図書200の特定情報及び貸出指示を入力する。すると、制御部80の制御下、ピッカー40が当該図書200を収納する図書収納用フォルダ210を待機位置Rに向けて搬送する。待機位置Rは、取出口機構部100内において利用者がアクセス可能な位置である。これにより、利用者は、待機位置Rの図書収容用フォルダ210から図書200を取出し、当該図書200を借出すことができる。
【0034】
図書200の返却時においては、利用者は、図書200を、別途設けられた返却ボックス又は有人のカウンターに返却する。返却された図書200の格納部30への格納は次のようになされる。
【0035】
すなわち、図書館の館員等の作業者により、返却された図書200の汚損状況、破損状況の確認等がなされる。この後、作業者は、必要に応じて、図書200の修理、補修等を行い、図書200を図書収納用フォルダ210に収納し、図書収納用フォルダ210を入庫台車130に格納する。そして、入庫台車130を図書取扱装置10内に入れる。すると、ピッカー40が、図書200を収納した図書収納用フォルダ210を、格納部30のうち空きとなった箇所に搬送して、格納する。これにより、図書200が図書収納用フォルダ210に収納された状態で、格納部30に格納され、次の貸出しに供される。
【0036】
{2.各部構成について}
図書取扱装置及び図書返却装置の各部構成について説明する。
【0037】
<図書>
図5に示すように、図書200には、自己の識別符号を記録したタグ202が設けられている。タグ202は、図書のうち、表紙、裏表紙及び背表紙の少なくとも1つに取付けられるとよい。
【0038】
タグ202としては、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリと、外部と電磁波(電波)等を通じて外部の無線読取装置等との間で無線通信可能な通信部とを備えたRFID(Radio Frequency Identifier)等を用いることができる。上記不揮発性メモリには、当該図書を識別するための識別符号が記憶されている。そして、タグ202が、無線読取装置等からの識別符号問合信号に応じて、自己の識別符号を含む応答信号を送信することで、無線読取装置等かタグ202の識別符号を読取ることができる。この識別符号が制御部80に与えられることにより、制御部80は、図書200を識別することができる。
【0039】
もっとも、図書200に付されるタグは、上記例に限られない。例えば、タグとして、磁気によって自己の識別符号を記録したもの(磁気バーコード等)、一次元又は二次元の図形の形状でデータを記録したもの(バーコード又はQRコード(登録商標)等)が採用されてもよい。この際に、読取装置は、タグに準拠したものが用いられればよいが、タグと読取装置とは、非接触で識別符号を読取可能であるものが好ましい。
【0040】
ここでは、タグとして、RFIDタグが採用されているため、読取装置としては、タグと非接触で無線通信を行うものが用いられる。
【0041】
<図書収納用フォルダ>
図6は図書収納用フォルダ210(以下、単にフォルダと称する)を示す概略側面図であり、
図7はフォルダ210を示す概略正面図であり、
図8はフォルダ210を示す概略平面図であり、
図9は
図8のIX−IX線概略断面図である。なお、各図の側面において開口した領域には、網点が付されている。
【0042】
図書収納用フォルダ210は、図書200を内部に収納した状態で、格納部30に格納可能に、また、ピッカー40により搬送可能に構成されている。
【0043】
フォルダ210は、物品としての図書200を収納可能に構成されている。具体的には、図書収納用フォルダ210は、フォルダ本体部222と、付勢部226、227と、被保持部228とを備える。
【0044】
フォルダ本体部222は、図書200を収納可能な筒状に形成されている。ここでは、フォルダ本体部222は、底部223と、一対の側面部224とを備える。
【0045】
底部223は、樹脂等によって形成されており、細長い板状に形成されている。底部223の両端部は、外方に向けて徐々に幅狭になる形状に形成されている。また、底部223の上面には、その両端側の段部223S1,223S2を介して凹む載置凹部223aが形成されている。そして、図書200を底部223上に載置する際に、上記載置凹部223a内に収容することによって、図書200がフォルダ210から脱落することが抑制される。特に、図書200の下部の背表紙側の部分を、一方側の段部223S1に当接させるようにしつつ、図書200を載置凹部223a上に載置することによって、図書200のサイズに拘らず、本フォルダ210における図書200の背表紙の位置を一定にすることができる(
図9参照)。これにより、利用者が、フォルダ210から図書200を取出しやすくなる。
【0046】
側面部224は、樹脂等により形成されており、側面本体部224aと、側面本体部224aの上端部に設けられた天井部224bとを備える。
【0047】
側面本体部224aは、平板状に形成されている。天井部224bは、側面本体部224aの上端縁部からその一方主面側(フォルダ本体部222の内向き)に延出する部分と、その部分の先端部から上方に延出する部分とを含む形状に形成されている。
【0048】
そして、一対の側面部224の側面本体部224aの下部を、底部223の両側部に嵌め込み構造、接着剤等によって固定すると共に、一対の側面本体部224aの上側の天井部224bを突合わせることによって、両端が開口した直方体筒状(ここでは、上下方向に扁平な直方体筒状)をなすフォルダ本体部222が構成される。
【0049】
また、フォルダ本体部222を側面視した状態において、その両側開口縁部、すなわち、側面本体部224aの両端側縁部には、上下方向中央部で凹む凹部224gが形成されている。一方の凹部224gの最も凹んだ部分は、段部223S1の位置を越えている。このため、上記したように、図書200の下部の背表紙側の部分を、一方側の段部223S1に当接させるようにしつつ、図書200を底部223上に載置した状態において、図書200のうち背表紙側の一部は、当該一方の凹部224gで外部に露出している。このため、利用者は、図書200のうち一方の凹部224gで外部に露出した部分を掴んで、図書200をフォルダ210から容易に取出すことができる。
【0050】
なお、側面本体部224aには、その変形を抑制するためのリブ224cが形成されている。
【0051】
付勢部226、227は、一対の側面部224のそれぞれに一体形成された部分である。
【0052】
付勢部226、227は、側面部224の内向き面から突出し、フォルダ本体部222の内部に収納された図書200の表紙又は裏表紙を押さえる。
【0053】
ここでは、付勢部226は、側面部224の中央部に設けられており、付勢部227は、付勢部226よりも下方でかつ段部223S1に近い位置に設けられている。また、各付勢部226、227は、側面部224の内向き面から図書200を取出す方向(
図6、
図8及び
図9において右方向)に向って延びつつ、徐々にフォルダ本体部222の幅方向中央部に向けて突出するように延在している。これにより、図書200をフォルダ本体部222に対して、上記図書200の取出し方向とは逆側の開口(
図6、
図8及び
図9において左側開口)から図書200を収納する際には、当該図書200が両側の付勢部226及び両側の付勢部227を開きつつ、それらの間に収納することができる。また、図書200をフォルダ本体部222から取出す際には、付勢部226、227が図書200に引っ掛かったりすることなく、円滑に図書200を取出すことができる。
【0054】
また、各付勢部226、227の先端部は、側面本体部224aの延在方向に沿うように延出しており、各付勢部226、227が図書200に対してなるべく大きい接触面積で接触するようになっている。これにより、付勢部226、227と図書200との接触による、図書200のダメージが抑制される。
【0055】
被保持部228は、フォルダ本体部222の上方外側に設けられており、格納部30及びピッカー40等に吊し掛け可能に構成されている。
【0056】
具体的には、被保持部228は、樹脂等によって形成された細長い棒状の部材であり、上記一対の天井部224bの上端縁部に取付けられている。被保持部228の幅寸法は、一対の天井部224bの上端縁部の厚み寸法よりも大きい。従って、フォルダ210を正面視すると、被保持部228は、一対の天井部224bの上端部よりも両側外方に張出している。そして、この被保持部228が格納部30に配設された隣り合うハンガー36の対向するレール37に引っ掛かることで被保持部228が格納部30に吊し掛けられる。
【0057】
また、被保持部228には、取出口機構部100の係止部材が係脱する位置決用凹部229が形成されている。ここでは、被保持部228のうち図書200の背表紙が配設される端部側の位置に形成されている。位置決用凹部229は、図書収納用フォルダ210の上側に向いて開口する凹形状に形成されている。ここでは、位置決用凹部229は、図書200の背表紙側では、垂直に立上がるように形成されており、その反対側では上方に向けて徐々に外側に向う斜め傾斜形状に形成されている。取出口機構部100内において、フォルダ210が待機位置Rに位置する状態で、取出口機構部100に設けられた係止部材が位置決用凹部229に係止することで、フォルダ210が待機位置Rにて一定位置に保たれる。
【0058】
図10は、他の図書収納用フォルダ210Bを示す側面図である。
【0059】
この図書収納用フォルダ210Bの高さ寸法は、上記図書収納用フォルダ210の高さ寸法よりも小さい。より具体的には、この図書収納用フォルダ210Bの上部構造は、上記図書収納用フォルダ210Aの上部構造と同じであり、上記被保持部228と同様構成を備えている。もっとも、フォルダ本体部222Bの高さ寸法は、上記フォルダ本体部222の高さ寸法よりも小さい。また、この図書収納用フォルダ210Bでは、上下方向において1箇所にだけ付勢部226Bが設けられている。この図書収納用フォルダ210Bは、専ら小さいサイズの図書200を収納するために用いられる。
【0060】
本図書取扱装置10では、図書収納用フォルダ210、210Bの上部を吊し掛けたり、スライド移動させたりして、図書収納用フォルダ210、210Bを格納又は移動させるため、図書収納用フォルダ210、210Bの上部構成(被保持部228)が共通構成であれば、それらの高さ寸法が異なっていても、問題なく取扱うことができる。
【0061】
なお、格納部30において、高さ寸法が比較的大きい図書収納用フォルダ210と、高さ寸法が比較的小さい図書収納用フォルダ210Bについては、段を分けて格納することが好ましい。これにより、図書収納用フォルダ210Bを格納する段の格納高さ寸法を小さくすることができ、限られた格納スペースに、図書収納用フォルダ210、210Bを効率よく格納できる。
【0062】
以下の説明では、図書収納用フォルダ210、210Bの高さ寸法の大小を区別せず、図書収納用フォルダ210を取扱うものとして説明する。
【0063】
<格納部及びピッカーについて>
図11はピッカー40及び格納部30を示す概略側面図であり、
図12は格納部30の一部を示す概略正面図であり、
図13はピッカー40の一部を示す正面図である。
【0064】
図2〜
図4、
図11〜
図13に示すように、格納部30は、図書取扱装置10においてパネル22によって外部から遮断された空間内に配設されている。また、ピッカー40は、図書取扱装置10においてパネル22によって外部から遮断された空間内に配設されており、格納部30に対してフォルダ210を出し入れ可能に構成されている。
【0065】
格納部30は、複数のフォルダ210のそれぞれに図書200を収納した状態で、複数のフォルダ210を格納可能に構成されている。
【0066】
より具体的には、格納部30は、フレーム部32と、複数のハンガー36とを備える。
【0067】
フレーム部32は、互いに間隔を空けて対向する一対の側壁部33aと、一対の側壁部33a間を結ぶように配設された横支持棒33bとを備える。
【0068】
横支持棒33bは、一対の側壁部33a間に掛渡すように、上下方向に間隔をあけて複数箇所に配設されている。また、上下方向における各箇所において、2つの横支持棒33bが間隔を空けて配設されている。
【0069】
ハンガー36は、長尺状のレール37と、当該レール37を横支持棒33bに対して支持するブラケット部38とを備える。
【0070】
2つのブラケット部38は、上下方向において所定高さ位置の2つの横支持棒33bのそれぞれに垂下状に固定されている。レール37は、2つのブラケット部38の下端部に固定されている。これにより、レール37が横支持棒33bに対して直交する姿勢でかつ水平姿勢で支持されている。
【0071】
複数のハンガー36は、横支持棒33bに対して等間隔で並列状に支持されている。隣り合うハンガー36の対向するレール37間には、隙間が形成されている。この隙間の幅寸法は、フォルダ210の天井部224bの上端部の幅寸法と同じかそれよりも大きく、且つ、被保持部228の幅寸法よりも小さく設定されている。また、隙間の高さ寸法は、フォルダ210の天井部224bの上端部の幅寸法と同じかそれよりも大きく設定されている。そして、ハンガー36のレール37の長手方向一方側から他方側に向けて、隣り合う一対のハンガー36の対向するレール37間にフォルダ210の天井部224bの上端部を挿通すると共に、その一対のレール37上にフォルダ210の被保持部228をスライド挿入することで、ハンガー36に対してフォルダ210を一定位置に格納することができる。すなわち、複数のハンガー36は、フォルダ210を吊し掛け可能に構成されている。
【0072】
なお、ここでは、格納部30は、後述するピッカー40のレール41を挟んで互いに対向する位置に2つ設けられている。もっとも、格納部30は、レール41の一側にのみ設けられていてもよい。
【0073】
また、フレーム部32には、上記ハンガー36からフォルダ210を格納可能な高さ寸法以上離れた位置に棚段34が設けられている。ハンガー36に吊し掛けられたフォルダ210の底部は、棚段34に接するか又は棚段34の上面から隙間(通常は僅かな隙間)をあけて対向している。棚段34上には、隣合うハンガー36間に位置して、フォルダガイド35が設けられている。フォルダガイド35は、樹脂等により形成された長尺部材であり、棚段34の手前側(ピッカー40の走行エリア側)からその反対の奥側に向けて延在するように設けられている。また、フォルダガイド35は、棚段34の手前側に向うに従って徐々に薄くなるように形成されており、従って、フォルダガイド35の両側面は、棚段34の手前側に向うに従ってハンガー36の中心から外側に向うように傾斜している。
【0074】
そして、フォルダ210をハンガー36にスライド挿入する際に、フォルダ210の下部がその両側のフォルダガイド35によって案内される。また、フォルダ210がハンガー36に吊し掛けられた状態で、フォルダ210の下部が2つのフォルダガイド35間に挟まれ、その横揺れが抑制されている。これにより、格納部30に振動等が加わった場合に、フォルダ210の揺れが抑制され、もって、フォルダ210からの図書200の脱落等が抑制される。
【0075】
また、格納部30のうち取出口機構部100が設けられる位置には、ハンガー36、棚段34等が省略され、その位置に取出口機構部100が配設されている。同様に、格納部30のうち貸出受付部70が設けられる位置には、ハンガー36、棚段34等が省略され、その位置に貸出受付部70が設けられている。
【0076】
ピッカー40は、格納部30と取出口機構部100との間で少なくとも一方に向けてフォルダ210を搬送可能に構成されている。ここでは、図書取扱装置10を想定しているため、ピッカー40は、複数のフォルダ210を、格納部30から選択的に取出して、取出口機構部100側の待機位置Rに向けて搬送可能に構成されている。また、ここでは、ピッカー40は、入庫台車130に格納されたフォルダ210を格納部30まで搬送可能に構成されている。
【0077】
より具体的には、ピッカー40は、レール41と、走行機構部42と、昇降機構部43と、回転支持機構部44と、フォルダ出入ユニット45とを備える。
【0078】
レール41は、間隔を空けて対向配置された格納部30間において、床上に直線状に配設されている。
【0079】
走行機構部42は、車輪、当該車輪を正逆両方向に回転駆動する走行回転駆動部等を備えており、当該走行回転駆動部の駆動によって、上記レール41を往復走行可能に構成されている。走行機構部42がレール41に沿って走行することによって、ハンガー36の並列方向におけるフォルダ出入ユニット45の位置が調整される。
【0080】
昇降機構部43は、フォルダ出入ユニット45を昇降移動させるように構成されている。このような昇降機構部43としては、例えば、回転支持機構部44を、走行機構部42上に立設された支柱によって昇降移動可能に支持し、支柱の上下端部に設けられた一対の歯車に環状ベルト(環状チェーン等)を巻掛け、搬送ユニットを一対の歯車体間で環状ベルトに連結し、一方の歯車体をモータ等の昇降回転駆動部で回転させることで、環状ベルトを回転させて、フォルダ出入ユニット45を昇降移動させる構成を採用することができる。昇降機構部としては、上記の他、リニアモータを用いた構成であってもよいし、つり合いおもりを用いたトラクション式の機構において滑車部分をモータで駆動して搬送ユニットを昇降させる構成であってもよい。
【0081】
回転支持機構部44は、上記昇降機構部43によって昇降駆動可能に支持されている。回転支持機構部44は、昇降機構部43の支柱より外方に突出するように片持ち状に支持された長尺状に形成されている。その先端部にフォルダ出入ユニット45が回転可能に支持されている。回転支持機構部44は、フォルダ出入ユニット45を回転駆動するモータ等の回転駆動部を有しており、フォルダ出入ユニット45を、レール41の一側の格納部30に対向させる姿勢とレール41の他側の格納部30に対向させる姿勢との間で回転駆動可能(つまり、180度正逆両方向に回転駆動可能)に構成されている(
図3及び
図4参照、なお、
図4ではフォルダ出入ユニット45の回転途中の状態を示している)。
【0082】
フォルダ出入ユニット45は、格納部30、入庫台車130及び取出口機構部100に対して、フォルダ210を出し入れ可能に構成されている。
【0083】
すなわち、フォルダ出入ユニット45は、ユニットケース46と、フォルダ移載機構部48とを備える。
【0084】
ユニットケース46は、両端が開口した箱状に形成されており、上記回転支持機構部44の先端部において、鉛直方向に沿った軸周りに回転可能に支持されている。
【0085】
このユニットケース46内に、フォルダ移載機構部48が組込まれている。
【0086】
ユニットケース46内には、ブラケット47aを介して一対のレール47が支持されている。一対のレール47は、ユニットケース46内の上部に近い位置に設けられている。一対のレール47間には、フォルダ210の天井部224bの上端部を挿通可能な隙間が形成されている。そして、天井部224bの上端部を一対のレール47の一端側からそれらの間に配設すると共にその上方に被保持部228を配設した状態で、フォルダ210のフォルダ本体部222がユニットケース46内に格納される。
【0087】
フォルダ移載機構部48は、外部とユニットケース46との間でフォルダ210を出し入れ可能に構成されている。
【0088】
より具体的には、フォルダ移載機構部48は、出入移動機構部48aと把持部48bとを備える。
【0089】
把持部48bは、一対の把持爪部48b1と、電磁アクチュエータ等により構成され、当該一対の把持爪部48b1を開閉駆動する開閉駆動部48b2とを備える。そして、開閉駆動部48b2の駆動によって一対の把持爪部48b1を開閉駆動することによって、一対の把持爪部48b1がフォルダ210の被保持部228を掴んだ状態と、掴むのを解除した状態とに切替駆動することができる。
【0090】
出入移動機構部48aは、把持部48bを、ユニットケース46の一方側開口とその奥側とを結ぶ方向に移動駆動可能に構成されている。この出入移動機構部48aは、リニアモータ等のリニアアクチュエータ等により構成されている。出入移動機構部48aは、ユニットケース46内の上部等に、レール47の延在方向に沿って取付けられている。
【0091】
そして、出入移動機構部48aの駆動によって、把持部48bを、ユニットケース46の一方側の開口から突出させて格納部30等に格納されたフォルダ210の被保持部228の一端部を把持可能な位置と、ユニットケース46内に格納されたフォルダ210の被保持部228の一端部を把持可能な位置と、そのさらに外方に退避した位置との間で移動駆動することができる。
【0092】
なお、このフォルダ出入ユニット45には、図書200のタグ202を読取る読取装置49a及び格納部30又は入庫台車130でのフォルダ210の有無を検出するフォルダ検出部49bが設けられている。
【0093】
読取装置49aは、RFIDタグとしてのタグ202と無線通信可能な装置であり、ユニットケース46の一方側板に取付けられている。そして、読取装置49aがユニットケース46内に配設された図書200のタグ202を読取るようになっている。
【0094】
また、フォルダ検出部49bは、反射式の光センサ等によって構成されている。フォルダ検出部49bは、本フォルダ移載機構部48が格納部30又は入庫台車130に対向して配設された状態で、その検出光がその対向部分で保持されるフォルダ210の被保持部228の一端部に向けて照射される位置及び姿勢で、ユニットケース46に取付けられている。そして、本フォルダ移載機構部48が格納部30又は入庫台車130に対向する、ある位置に配設された状態で、前記検出光の反射光の有無によって、当該位置におけるフォルダ210の有無を検出できるようになっている。そして、当該フォルダ210が存在する位置にユニットケース46を対向させた状態で、上記出入移動機構部48aによって格納部30又は入庫台車130から当該ユニットケース46内にフォルダ210を移載することができる。或は逆に、当該フォルダ210が存在しない位置にユニットケース46を対向させた状態で、上記出入移動機構部48aによってユニットケース46から格納部30又は入庫台車130にフォルダ210を移載することができる。
【0095】
また、
図11、
図13〜
図15に示すように、このピッカー40内に、横揺れ防止ガイド機構50が設けられている。
【0096】
横揺れ防止ガイド機構50は、ユニットケース46内のフォルダ210を両側から挟む位置に設けられた一対のガイド部52と、一対のガイド部52の少なくとも一方をそれらの近接退避方向に付勢するガイド付勢部54とを備える。そして、ユニットケース46内にフォルダ210が配設された状態で、一対のガイド部52がフォルダ210の両側面に接触又は近接配置され、これにより、フォルダ210の揺れを抑制する。また、一対のガイド部52の少なくとも一方がそれらの近接退避方向に付勢されているため、ユニットケース46に対してフォルダ210が斜め姿勢で収容される途中、又は、斜め姿勢で取出される途中で、フォルダ210が斜め姿勢となることを許容し、もって、格納部30からピッカー40へ又はピッカー40から取出口機構部100へ、円滑にフォルダ210を移載することができるようになっている。
【0097】
より具体的には、一対の基部58が、ユニットケース46の両側内面のそれぞれの高さ方向中間部に取付けられている。基部58は、長尺状に形成され、フォルダ210の収容方向(レール47の延在方向)に沿って設けられている。
【0098】
一対のガイド部52が、上記一対の基部58のそれぞれに対して、ユニットケース46内のフォルダ210に対して接近離隔方向(幅方向)に移動可能に支持されている。ここでは、基部58に、フォルダ210の収容方向に沿って間隔をあけて複数(ここでは、2つ)の支持棒57が突設されている。そして、各支持棒57がガイド部52に挿通自在かつ抜止め状に嵌め込まれることで、一対のガイド部52が接近離隔方向に移動可能に支持されている。
【0099】
また、各支持棒57に、コイルバネによって構成されるガイド付勢部54が外嵌めされている。ガイド付勢部54は、基部58とガイド部52との間で圧縮状態で介在している。このガイド付勢部54により、ガイド部52がフォルダ210に向けて付勢されている。
【0100】
ガイド部52には、ユニットケース46のうちフォルダ210が出し入れされる開口側に向けて徐々に外向き傾斜するガイド面52aが形成されている。また、ガイド部52の延在方向中間部のうちフォルダ210側に向く面は、当該フォルダ210の出し入れ方向に沿って鉛直方向に沿って延在する押え面52bに形成されている。
【0101】
そして、
図14に示すように、ユニットケース46内にフォルダ210が収容された状態では、一対のガイド部52の押え面52bがフォルダ210の外向き両面に接触し、又は、近接して配置され、これにより、フォルダ210の横揺れを抑制している。
【0102】
また、格納部30からピッカー40にフォルダ210が移載される際、格納部30側のレール37と、ピッカー40側のレール47とがある程度正確に対向する位置関係にあると、格納部30側のフォルダ210は、そのまま真っ直ぐ引出され、一対のガイド部52間の隙間に入り込む。
【0103】
これに対して、格納部30からピッカー40にフォルダ210が移載される際、仮に、格納部30側のレール37と、ピッカー40側のレール47とがずれた位置関係にあると、
図15に示すように、フォルダ210は、一方側のガイド部52のガイド面52aに接触する。これにより、一方側のガイド部52のうち格納部30に近い側の端部がガイド付勢部54の付勢力に抗して押され斜め姿勢となる。この状態で、フォルダ210が一対のガイド部52の間に向けて引込まれる。やがて、フォルダ210が格納部30側から取出され、レール37及びフォルダガイド35による規制状態を脱すると、ガイド付勢部54の付勢力により、一対のガイド部52が元の並行状態に戻り、それらの間にフォルダ210が配設される。そして、一対のガイド部52により、フォルダ210の横揺れが抑制された状態となる。
【0104】
なお、一対のレール47のうち格納部30側の端部は、格納部30側に向けて徐々に開くように形成されているため、フォルダ210は、レール37からレール47側に向けて問題なく移し替えられる。
【0105】
なお、一対のガイド部52は、フォルダ210の下部近くにもうけられていてもよい。高さ寸法が比較的小さいフォルダ210Bをガイドできるようにするためには、高さ寸法が比較的大きいフォルダ210の上下方向中間部をガイドするとよい。
【0106】
<取出口機構部について>
図16は取出口機構部100を示す概略斜視図である。
図1、
図3及び
図16に示すように、本取出口機構部100は、一方の格納部30の外側部分に設けられたパネル22に形成された開口22hを通じて、当該一方の格納部30のうちハンガー36が省略された部分に配設される。そして、格納部30に格納されたフォルダ210がピッカー40によって取出口機構部100に向けて搬送される。利用者は、取出口機構部100に搬送されたフォルダ210から図書200を取出すことができる。取出口機構部100に対して、空のフォルダ210が搬送され、利用者が、借出していた図書200を当該フォルダ210に返却するようにしてもよい。
【0107】
ここでは、2つの取出口機構部100が設けられているが、取出口機構部100は1つのみ設けられていてもよいし、3つ以上設けられていてもよい。
【0108】
取出口機構部100は、取出口機構本体部110と、仕切パネル102とを備える。
【0109】
取出口機構本体部110の一主面(外側を向く面)に仕切パネル102が取付られる。取出口機構部100が格納部30に組込まれた状態で、仕切パネル102は、パネル22の開口22hを閉じるように配設される。これにより、仕切パネル102は、取出口機構部100内の取扱媒体支持部側の待機空間とその隣の外側空間とを仕切る。ここで、取扱媒体支持部側の待機空間は、パネル22内の空間であり、ピッカー40からフォルダ210を搬送可能な空間である。外側空間は、パネル22外の空間であり、利用者が存在することができる空間である。
【0110】
仕切パネル102には、待機位置R(
図3参照)にて支持されたフォルダ210と対向する位置で図書200が通過可能な通過口104が形成されている。通過口104は、縦長な方形開口形状に形成されている。通過口104の高さ寸法は、高さ寸法が大きいフォルダ210Aの開口の高さ寸法と同じ程度に設定されていることが好ましい。これにより、利用者は、通過口104を通じて、フォルダ210A内に収納された図書200をそのままの姿勢で外部に取出すことができる。勿論、上下方向の高さ寸法が小さいフォルダ210B内に収納された図書200についても、利用者は、通過口104を通じて外部に取出すことができる。
【0111】
好ましくは、通過口104の高さ寸法及び幅寸法の少なくとも一方は、フォルダ210Aの高さ寸法又は幅寸法よりも小さく設定される。これにより、フォルダ210Aは、通過口104を通じて外部に取出されなくなる。より好ましくは、通過口104の幅寸法が、フォルダ210A、210Bの幅寸法よりも小さく設定される。これにより、フォルダ210A、210Bの両方は、通過口104を通じて外部に取出されなくなる。
【0112】
取出口機構本体部110は、本体ユニット114と、扉112と、扉112を開閉駆動する扉開閉機構部117とを備える。
【0113】
本体ユニット114は、本体ケース115と、一対のガイドレール116とを備える。
【0114】
本体ケース115内には、待機位置支持レール(図示省略)が設けられている。待機位置支持レールは、上記ハンガー36と同様構成とされている。そして、ピッカー40から送られたフォルダ210が当該待機位置支持レールに吊下げ状態で支持されることによって、フォルダ210が本本体ケース115内に待機支持される。本体ケース115のうち仕切パネル102側に向く正面パネルには、通過口が形成されている。この通過口は、上記通過口104と同様に図書200が通過可能な大きさ及び形状に形成されており、仕切パネル102に形成された通過口104と同じ位置に形成されている。従って、本体ユニット114内に支持された図書200は、通過口104を通じて外部に取出される。
【0115】
扉112は、本体ケース115の両側部に設けられた一対のガイドレール116によって上下移動可能に支持されている。扉112が上方に移動した状態では、扉112は、通過口104を閉じる閉位置に位置しており、扉112が下方に移動した状態では、扉112は、通過口104を開放させる開位置に位置している。
【0116】
扉112は、本体ケース115の一方側の側部に設けられた扉開閉機構部117によって開閉駆動される。扉開閉機構部117は、上下方向に間隔をあけて設けられた一対の回転体118(例えば、歯車)に環状体119(例えば、環状ベルト)が巻掛けられた構成とされている。また、一方の回転体118がモータ等の回転駆動部118aによって正逆両方向に回転駆動される。また、環状体119のうち一対の回転体118を通過する中間部に、扉112の一方側の側部が連結されている。そして、回転駆動部118aの駆動によって環状体119を正逆両方向に回転させることによって、扉112が上記閉位置と開位置との間で移動駆動される。
【0117】
ここで、上記扉112の開閉動作を説明しておく。
【0118】
扉112が閉位置に位置する状態では、扉112は、通過口104の全体を覆っている。このため、利用者は、本体ユニット114内にはアクセスできない状態となっている(
図16参照)。この状態から扉112が開位置に向けて下降移動すると、通過口104の全体が外方に臨むようになる。これにより、利用者は、待機位置Rに支持されたフォルダ210に収納された図書200を取出して利用できる。
【0119】
なお、上記取出口機構本体部110の側方位置には、貸出受付部70が設けられている。貸出受付部70は、本図書取扱装置10に対する図書200の貸出し指令を受付ける装置である。
【0120】
ここでは、貸出受付部70は、表示部及び入力受付部としての機能を備えるタッチパネル装置72と、カードリーダ74とを備える。
【0121】
カードリーダ74は、各利用者に付与された図書館利用者カード等を読取る装置である。カードリーダ74が当該図書館利用者カードを読取ることによって、利用者が設備の利用権限があるかどうか等を判断することができる。
【0122】
タッチパネル装置72のタッチパネル装置には、貸出しを受付けるための諸画面が表示される。例えば、利用者の判別後、当該利用者に貸出し予約がなされている場合には、当該貸出し予約された図書200を表示し、貸出し指示を受付ける。なお、予約は、事前にインターネット回線等を介して受付けることができようにするとよい。また、例えば、利用者の判別後、格納された図書200のリストの表示又は図書200の検索画面等を表示し、当該表示に基づいて貸出しを望む図書200の指示を受付ける。
【0123】
<入庫台車及び車輪付可動機構ガイド装置について>
この物品格納設備としての図書取扱装置10は、車輪付可動機構としての入庫台車130を、ベース部材としての格納部30に対してガイドする車輪付可動機構ガイド装置120を備えている。
図17及び
図18は車輪付可動機構ガイド装置120を示す概略斜視図である。
図17は入庫台車130が格納部30に近い第1位置P1に位置する状態を示しており、
図18は入庫台車130が格納部30から離れた第2位置P2に位置する状態を示している。
【0124】
この車輪付可動機構ガイド装置120は、格納部30と、入庫台車130と、伸縮ガイド部材140とを備える。
【0125】
格納部30は、入庫台車130が接近し又は遠ざかるように移動する対象となるベースとなる部分である。ここでは、間隔をあけて並列状に配置された2列の格納部30のうちそれぞれの列の一端側に設けられたものベース部材である。なお、ここでは、入庫台車130は、2列の格納部30のそれぞれに設けられているが、一方の列の格納部30のみに入庫台車130が設けられてもよい。
【0126】
入庫台車130は、本体部132と、本体部132の下部に設けられた車輪138とを備える。
【0127】
本体部132は、長方形板状の底板部132aと、長方形板状の天井部132bと、長方形板状の一対の側板部133とが、方形枠状をなすように連結された構成とされている。また、一対の側板部133には、底板部132aと天井部132bとの間に位置して、少なくとも1つ(ここでは3つ)の棚板134が取付けられている。各棚板134の下部に、上記ハンガー36と同様構成の支持部が並列状態で設けられている。これにより、各棚板134によって仕切られる空間のそれぞれに、フォルダ210が並列状に吊し掛けられた状態で保持される。
【0128】
また、底板部132aと天井部132bとの間であって各棚板134で仕切られる空間のそれぞれにおいて、一方の開口側に横棒状部135が設けられている。横棒状部135の両端部は、一対の側板部133に連結されている。また、横棒状部135は、底板部132aと天井部132bとの間であって各棚板134で仕切られる空間の上下方向中間位置に設けられている。この横棒状部135により、棚板134の下部に吊し掛けられたフォルダ210が抜落ちることが抑制されている。また、作業者が入庫台車130内のフォルダ210に図書200を格納する際(入庫作業時)に、図書200がフォルダ210を突抜けて脱落してしまうことも抑制される。
【0129】
図書200の挿入方向において、横棒状部135の位置を、フォルダ210の底部に設けた段部223S1の位置と合せることが好ましい(
図9参照)。すなわち、フォルダ210を入庫台車130に収納した状態で、フォルダ210は、ハンガー36と同様構成の支持部によって吊し掛けられた状態で支持される。フォルダ210の上部は、支持部の挿入方向奥側のストッパ等に当接することで一定位置に支持される。フォルダ210が入庫台車130内において上記所定位置に収納された状態で、図書200の挿入方向において、段部223S1が図書200に当接する位置と、横棒状部135が図書200に当接する位置とは同じに設定されることが好ましい。これにより、図書200を、入庫台車130に格納されたフォルダ210に挿入すると、図書200は、段部223S1及び横棒状部135に当時に当接する。このため、図書200をフォルダ210内の一定位置に正確かつ容易に収容させることができる。なお、横棒状部135と段部223S1の位置を、必ずしも正確に合わせる必要はなく、図書200がフォルダ210に挿入され、段部223S1に当接した際に、図書が段部223S1の箇所を軸として回転して脱落してしまうことを、横棒状部135で規制できる位置に備わっていればよい。
【0130】
車輪138は、本体部132の下部の複数位置(ここでは、4隅の位置)に設けられている。車輪138は、樹脂又は金属等によって形成された円状部材であり、本体部132の下部に回転可能に支持されている。そして、この車輪138が、下面(パネル22内における床面及びパネル22外の床面)を転がることで、入庫台車130が第1位置P1と第2位置P2との間で移動可能とされる。ここでは、上記パネル22内であって、一対の格納部30に隣接する位置に、入庫台車130を配設可能なスペースSPが設けられている。パネル22のうちスペースSPに隣接する部分には、開口22G1が設けられている。第1位置P1は、パネル22内において格納部30に隣接する位置である。入庫台車130が第1位置P1に位置する状態では、入庫台車130の一方の側面パネルが開口22G1を閉じている。この入庫台車130は、前記開口22G1を通じてパネル22によって囲まれる空間と外側との間で出し入れ可能とされる。第2位置P2は、第1位置P1よりも格納部30から遠くに放れた位置であり、開口22G1の外側側方位置である。第1位置P1において、入庫台車130からピッカー40にフォルダ210が移載される。また、第2位置P2において、作業者等により、フォルダ210が入庫台車130に格納される。なお、車輪は、球体が回転可能に支持された構成のものであってもよい。
【0131】
なお、スペースSPにおいて、入庫台車130の上方部分には、格納部30のハンガー36が設けられており、ここにも、フォルダ210が格納可能とされている。なお、
図2の右半部には、入庫台車130の内部及びその上側の格納部30が図示され、左半部には、格納部30のハンガー36が上下全体に亘って設けられた部分の内部を示している。
【0132】
伸縮ガイド部材140は、直線的に伸縮可能に構成された部材である。かかる伸縮ガイド部材140としては、ガイドレールに他の可動部材が移動可能に支持される構成、筒状部材に対して他の長尺部材が移動可能に嵌まる構成等によって、複数の長尺状部材が伸縮可能に連結された構成等を採用することができる。
【0133】
ここでは、入庫台車130の上側に2つの伸縮ガイド部材140が設けられている。伸縮ガイド部材140は、第1長尺部材141と、第2長尺部材142と、第3長尺部材143とを備える。第1長尺部材141に形成されたガイドレールに第2長尺部材142が嵌まり合って伸縮可能に支持され、第2長尺部材142に形成されたガイドレールに第3長尺部材143が嵌まり合って伸縮可能に支持されている。そして、第1長尺部材141から第2長尺部材142が伸び出ることができ、第2長尺部材142からさらに第3長尺部材143が伸び出ることができるようになっている。2つの伸縮ガイド部材140は、並列状に配設されており、最も内側に第3長尺部材143が設けられている。
【0134】
伸縮ガイド部材140の一端部はベース部材である格納部30に連結されている。ここでは、一対の伸縮ガイド部材140の第1長尺部材141の基端部が連結部148を介して格納部30の外面にネジ止等によって固定されている。これにより、伸縮ガイド部材140の一端部は、一定位置に固定されている。また、伸縮ガイド部材140の他端部は、入庫台車130の上部に連結されている。この伸縮ガイド部材140が直線状に伸縮することによって、入庫台車130は、第1位置P1と第2位置P2との間で直線的に移動するようにガイドされる。
【0135】
ところで、上記入庫台車130が走行する床の高さ位置が途中で変動する場合がある。例えば、本図書取扱装置10が設置される建物内のフロアにおいて、図書取扱装置10の外部にカーペット等が敷設され、パネル22内にはカーペットが敷設されない場合があり得る。この場合、入庫台車130が走行する床の高さ位置がカーペットの厚み分変動する。また、図書取扱装置10内のスペースSPの床上に、車輪138を直線的にガイドするガイドレールが形成されたガイド用の鉄板等が敷設される場合がある。この場合、入庫台車130が走行する床の高さ位置が鉄板の厚み分変動する。伸縮ガイド部材140は、例えば、直線的なレール又は直線的な筒部材内を可動部材が移動することで、直線的に伸縮するものであるところ、入庫台車130の走行中にその高さ位置が変動し、伸縮ガイド部材140の両端部の位置が変動してしまうと、一方の長尺部材に対して、他方の長尺部材が斜めに伸縮しようとする。このため、伸縮ガイド部材140に対して無理な力が作用する。このため、伸縮ガイド部材140が円滑に伸縮せず、入庫台車130を円滑に移動させることが困難となる。そこで、入庫台車130の上下位置の変動を吸収するため、次の構成が採用されている。
【0136】
図19は、連結凸部160と連結凹部150との分解斜視図であり、
図20は連結凸部160が連結凹部150に嵌まった状態を示す断面図である。
図17〜
図20に示すように、伸縮ガイド部材140の少なくとも一方側の端部と、その少なくとも一方側の端部の連結先となる連結対象部分とのいずれか一方に、上下方向に沿って延在する連結凸部160が形成されると共に、伸縮ガイド部材140の少なくとも一方側の端部と、その少なくとも一方側の端部の連結先となる連結対象部分とのいずれか他方に、連結凸部160がその延在方向に沿って移動可能に嵌る連結凹部150が形成されている。
【0137】
ここでは、伸縮ガイド部材140の一方側の端部は、格納部30に対して固定位置に連結されている。また、伸縮ガイド部材140の他方側の端部には、連結凹部150が形成され、当該伸縮ガイド部材140の他方側の端部の連結先となる入庫台車130の上部には、連結凸部160が設けられている。
【0138】
より具体的には、2つの伸縮ガイド部材140の他方側の端部において、入庫台車130の移動方向に沿って離れた位置に複数(ここでは2つ)の被連結部材152が設けられている。被連結部材152は、長尺ブロック状の部材であり、その一端部が一方の伸縮ガイド部材140の第3長尺部材143に連結固定され、その他端部が他方の伸縮ガイド部材140の第3長尺部材143に連結固定されている。被連結部材152は、樹脂で形成されていてもよいし、金属で形成されていてもよいし、それらの組合わせによって構成されていてもよい。
【0139】
被連結部材152の延在方向、すなわち、入庫台車130の移動方向に対して直交する幅方向に沿って、複数(ここでは2つ)の連結凹部150が形成されている。連結凹部150は、被連結部材152の上下方向に貫通する孔形状に形成されているが、連結凸部160が嵌り込む側とは反対側(上側)は閉じていてもよい。連結凹部150は、平面視において方形状孔に形成されている。連結凹部150を平面視した場合において、1組の対辺は、入庫台車130の移動方向に対して直交する幅方向に沿っており、他の一組の対辺は、入庫台車130の移動方向に沿っている。連結凹部150の開口縁部は、外側に向けて徐々に拡開するテーパ形状に形成されていることが好ましい(
図20参照)。
【0140】
また、入庫台車130の上部には、入庫台車130の移動方向に沿って離れた位置に複数(ここでは2つ)の連結部材162が設けられている。2つの連結部材162の中心間の間隔は、上記被連結部材152の中心間の間隔と同じである。連結部材162は、方形板状部分164に、複数(ここでは2つ)の連結凸部160が突設された構成とされている。2つの連結凸部160の中心間の間隔は、上記2つの連結凹部150の中心間の間隔と同じである。また、連結凸部160は、連結凹部150に嵌め込み可能で、かつ、連結凸部160の突出方向に沿って移動可能な形状に形成されている。ここでは、連結凸部160は、直方体状に形成されている。入庫台車130の移動方向に対して直交する幅方向において、連結凸部160の寸法は、連結凹部150の寸法と同じであるか小さく、好ましくは、小さい(僅かに小さい)。また、入庫台車130の移動方向においても、連結凸部160の寸法は、連結凹部150の寸法と同じであるか小さく、好ましくは、小さい(僅かに小さい)。ここでは、連結凸部160は、連結凹部150よりも小さく(僅かに小さく)、従って、連結凸部160が、連結凹部150に対して遊びを持たせた状態で嵌まっている。被連結部材152は、樹脂で形成されていてもよいし、金属で形成されていてもよいし、それらの組合わせによって構成されていてもよい。なお、連結凸部160の突出寸法は、格納部30に対する入庫台車130の上下位置の変動を考慮した上で、連結凸部160の少なくとも先端部が連結凹部150に嵌り込む状態が維持される大きさであればよい。ここでは、連結凸部160の突出寸法は、格納部30に対する入庫台車130の上下位置の変動を考慮した上で、連結凸部160の先端部が連結凹部150から突出せず、その内部に収る程度の大きさに設定されている。
【0141】
そして、入庫台車130側の2つの連結部材162の2つの連結凸部160が、伸縮ガイド部材140の他端部側の2つの被連結部材152の2つの連結凹部150に嵌まることで、連結凸部160が連結凹部150に嵌まる構成が、入庫台車130の移動方向に沿って複数箇所に設けられ、かつ、入庫台車130の移動方向に対して直交する幅方向においても複数箇所に設けられる。
【0142】
なお、ここでは、入庫台車130の下部にも、伸縮ガイド部材140が設けられている(
図17及び
図18でのみ図示)。入庫台車130の下側の伸縮ガイド部材140については、入庫台車130の上側の伸縮ガイド部材140と上下対称構成で設けることができる。
【0143】
車輪付可動機構ガイド装置120の動作を説明する。
【0144】
図20及び
図21は、入庫台車130が格納部30に近い第1位置P1に位置している状態を示している。この状態では、連結凸部160は、連結凹部150内にその下方から移動可能に嵌まっている。このため、伸縮ガイド部材140は、入庫台車130を直線的にガイドできる。
【0145】
図22及び
図23は、入庫台車130が第1位置P1から、格納部30から離れた第2位置P2に移動する途中状態を示している。ここで、第1位置P1には、入庫台車130をガイドするガイド板170(
図22及び
図24において図示)が敷設されており、従って、第1位置P1の床面の高さ位置は、第2位置P2の床面の高さ位置よりもガイド板170の厚み寸法分高いとする。すると、入庫台車130が第1位置P1から第2位置P2に移動する際、入庫台車130の移動方向先端部がガイド板170の厚み寸法分下がる。このため、入庫台車130は、移動方向先端側に向けて下向き傾斜する状態となる。すると、連結凹部150に対して連結凸部160が下降する。特に、入庫台車130の移動方向先端側の連結凸部160は、連結凹部150に対してより大きく下降する。また、連結凸部160が連結凹部150内で傾いた状態となる。連結凸部160は、連結凹部150に対して遊びをもって嵌まった状態となっているため、連結凸部160が傾いた状態であっても、当該連結凸部160は、連結凹部150内で上下移動することができる。この状態でも、連結凸部160は連結凹部150内に嵌まったままの状態であるため、伸縮ガイド部材140は、入庫台車130をガイドすることができる。
【0146】
図24及び
図25は、入庫台車130が第2位置P2に位置している状態を示している。この状態では、入庫台車130の全体がガイド板170から降りた状態となっている。このため、
図20及び
図21に示す状態と比較すると、連結凸部160は、ガイド板170の厚み寸法分、下がった位置に配設された状態となる。この状態でも、連結凸部160は連結凹部150内に嵌まったままの状態であるため、伸縮ガイド部材140は、入庫台車130をガイドすることができる。
【0147】
入庫台車130を第2位置P2から第1位置P1に移動させる際も、連結凸部160は連結凹部150内を上下移動しつつ当該連結凹部150に嵌まった状態に維持される。このため、入庫台車130を出庫及び入庫させる際に、当該入庫台車130を伸縮ガイド部材140によって直線的に移動するようにガイドすることができる。また、入庫台車130の上下移動に拘らず、伸縮ガイド部材140の他端部の位置はある程度一定の高さ位置に保たれる。このため、伸縮ガイド部材140の第1長尺部材141、第2長尺部材142、第3長尺部材143が一定の高さ位置で水平状態に保たれ、伸縮ガイド部材140を円滑に伸縮させることができる。結果、入庫台車130を円滑に入出庫させるように移動させることができる。
【0148】
上記例では、入庫台車130側に連結凸部160を設け、伸縮ガイド部材140側に連結凹部150を設けた例で説明したが、それとは逆に、入庫台車側に連結凹部を設け、伸縮ガイド部材側に連結凸部を設けてもよい。この場合、例えば、伸縮ガイド部材側に下向きに突出する連結凸部を設け、当該連結凸部を入庫台車側に設けられた連結凹部に上側から嵌め込むようにすることができる。
【0149】
また、上記例では、伸縮ガイド部材140の他端側に連結凹部150を設け、入庫台車130側に連結凸部160を設けた例で説明したが、
図26に示すように、伸縮ガイド部材140に対応する伸縮ガイド部材140Bの一端側に連結凹部150Bが形成された被連結部材152Bを設けると共に、ベース部材である格納部30側に連結凸部160Bが設けられた連結部材162Bを設けてもよい。
図26に示す例では、格納部30に連結部材162Bがネジ止等で固定され、当該連結部材162Bから下方に突設された連結凸部160Bが連結凹部150Bに上側から嵌め込まれている。また、伸縮ガイド部材140Bの他端部は、入庫台車130の上部にネジ止等によって一定位置に固定されている。
【0150】
本例においても、伸縮ガイド部材の他端部に連結凸部を設け、格納部側に連結凹部を設けてもよい。
【0151】
また、上記実施形態で説明した構成と、
図26で説明した構成とが組合わされ、伸縮ガイド部材の両端側に、連結凸部と連結凹部とが組合わされる構成が適用されてもよい。
【0152】
また、連結凹部に対して連結凸部が嵌り込む方向は任意である。連結凸部は、連結凹部に対して上側から嵌まってもよいし、下側から嵌まってもよい。
【0153】
<制御部のハードウエア構成について>
図27は、本図書取扱装置10の動作制御を司る制御部80を示すブロック図である。なお、ここでは、制御部80は、物理的に1つの制御部によって構成されている例で説明するが、物理的に別々の制御部が下記に説明する処理を分散して行う構成であってもよい。
【0154】
この制御部80は、CPU81、ROM82、RAM83、外部記憶装置84等がバスラインを介して相互接続されたコンピュータによって構成されている。ROM82は本コンピュータを起動させるための基本プログラム(BIOS)等を格納しており、RAM83はCPU81が所定の手順に従った処理を行う際の作業領域として供される。外部記憶装置84は、フラッシュメモリ或はハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成されている。
【0155】
外部記憶装置84には、OS(オペレーションシステム)84a、入出庫制御プログラム84b、図書管理データ84d等が格納されている。
【0156】
入出庫制御プログラム84bは、上記したように図書取扱装置10におけるフォルダ210の搬送処理を行うための手順を定めたものであり、この入出庫制御プログラム84bに記述された手順に従って、主制御部としてのCPU81が演算処理を行うことにより、フォルダ210の搬送処理がなされる。
【0157】
図書管理データ84dは、
図28に示すように、図書200の特定情報に対して、図書200の在庫の有無、在庫のある図書200の各位置、予約登録、貸出し中の図書200の借主、貸出し中の図書200の返却期限を対応付けたテーブルである。図書200の特定情報は、各図書200に割り与えられた固有の識別符号であり、通常、上記タグ202に付与された識別符号と同じである。この特定情報には、図書の題名、著作者等の図書情報も関連付けられているが、
図28では、省略している図書200の各位置は、格納部30における図書200の位置を示す情報である。この位置を参照することによって、特定された図書200が格納部30においてどの位置に格納されているかを判別することができる。また、この位置を参照することによって、格納部30内における空き位置を特定することもできる。予約登録は、各図書200に対する予約者の有無を示す情報である。ある図書200に対する予約者が存在する場合には、その予約者の名称(或は予約者の識別情報)が登録されている。この情報を参照することによって、ある予約者に対する図書200の予約の有無が判別される。借主は、在庫が無い図書、すなわち、貸出し中の図書200の借主を特定する情報(氏名或は借主の識別符号等)である。また、返却期限は、貸出し中の図書200の返却期限である。この図書管理データ84dは、図書200が入庫台車130から格納部30に格納されたとき、図書200が貸し出されたときなどに生成、更新される。
【0158】
また、CPU81は、入出力インターフェース85を介して、ピッカー40、貸出受付部70、取出口機構部100等と通信可能に接続されている。
【0159】
なお、本制御部80が、通信インターフェースを介して外部の管理サーバに相互通信可能に接続され、当該外部の管理サーバに上記図書管理データ84dが格納されていてもよい。この場合に、利用者が、自己の端末装置等を通じて、公衆通信網等を介して管理サーバにアクセスし、当該端末から図書200の予約を行えるようにするとよい。
【0160】
{3.処理について}
次に、図書取扱装置10の処理について説明する。
【0161】
<入庫処理について>
図書取扱装置10に図書200を入庫する処理について
図29を参照して説明する。
【0162】
図書取扱装置10における入庫処理は、入庫台車130が図書取扱装置10内にセットされた状態で開始される。本入庫処理は、作業者が格納開始のボタンを押すこと、又は、ピッカー40が貸出動作を終了した後であって次の貸出動作指令がなされていない期間中等になされる。
【0163】
なお、本入庫処理がなされる前に、本図書取扱装置10を運用する作業者、準備作業を行う。準備作業として、空きフォルダ210内にタグ202付きの図書200を収納する作業、図書200が収められたフォルダ210を入庫台車130に格納する作業、及び、フォルダ210が格納された入庫台車130を図書取扱装置10内にセットする作業が設定されている。
【0164】
図書取扱装置10における入庫動作が開始されると、ステップS101において、制御部80は、ピッカー40に対して、入庫台車130にフォルダ210が有るか否かを確認するように指令を与える。ここでは、この確認は、ピッカー40が入庫台車130に対向する位置に移動すると共に、フォルダ出入ユニット45を入庫台車130におけるフォルダ210の格納位置のうちの1つに対向する位置に移動させ、この状態で、フォルダ検出部49bからの検出光の反射の有無を確認することで行われる。また、このフォルダ210の有無の確認は、フォルダ出入ユニット45を入庫台車130前で順次移動させることによって、当該入庫台車130におけるフォルダ210の各格納位置に対して順次なされる。そして、フォルダ210無し(入庫台車130においてフォルダ210無し)と判断された場合には、入庫処理を終了する。一方、フォルダ210有りと判断された場合には、ステップS102に進む。
【0165】
次ステップS102において、制御部80は、ピッカー40に対して、入庫台車130からフォルダ210を取込むように指令を与える。これにより、フォルダ出入ユニット45は、ステップS101においてフォルダ210有りと判断された位置からフォルダ210を取込む。
【0166】
次ステップS103において、制御部80は、ピッカー40に対して、取り込んだフォルダ210内の図書200のタグ202のデータを読取るように指令を与える。これにより、読取装置49aがタグ202との間で通信を行ってその図書200の識別符号を読取り、その識別符号を含む信号を制御部80に与える。
【0167】
次ステップS104において、格納部30における、フォルダ210の格納位置を決定する。格納位置は、上記格納部30における全ての格納位置において、
図28に示す図書管理データ84dを参照して、空き位置を特定し、当該空き位置のうちの一つを選ぶこと等によって決定される。
【0168】
次ステップS105において、制御部80は、ピッカー40に対して格納作業開始指令を与える。具体的には、制御部80は、ピッカー40に、ステップS104で決定された格納位置を伝え、この位置にフォルダ210を格納するように指令を出す。これを受けてピッカー40が格納位置までフォルダ210を搬送し、このフォルダ210を当該格納位置に格納する。
【0169】
そして、次ステップS106において、制御部80において、ピッカー40における格納作業終了信号に基づいて、ピッカー40による格納作業終了が確認されると、次ステップS107に進む。
【0170】
次ステップS107では、図書管理データ84dを更新する。すなわち、図書管理データ84dのうち格納完了した図書200を格納有りとして、格納位置を更新する。この後ステップS101に戻る。
【0171】
以降は、入庫台車130からフォルダ210がなくなるまでステップS101〜ステップS107を繰り返せば、入庫台車130における全てのフォルダ210を格納部30に格納することができる。
【0172】
なお、ステップS102とステップS103とS104とは、ステップS105が完了する前に行われればよく、順不同で構わない。例えば、入庫台車の所定位置の近傍に図書のタグを読み取る読み取り機が配設され、位置情報とタグとを同時に読み取るものであってもよいし、タグの情報を読み取ってから位置情報を読み取ってもよい。また、上述したようにステップS105の一部(例えば、入庫台車から搬送機構部に図書を格納する指令)は、ステップS102の後であって、ステップS103又はステップS104の前に行われることもあり得る。
【0173】
<貸出処理について>
図書取扱装置10から利用者に図書200を貸出す処理について
図30を参照して説明する。本処理は、利用者が図書取扱装置10に対して図書200を借りにきた場合に行われる処理である。
【0174】
なお、利用者には、予め図書館利用者カードが付与されているものとする。また、利用者は、公衆通信網等を通じて、本図書取扱装置10に格納された図書200の事前予約が可能であるとする。
【0175】
まず、ステップS201において、制御部80により、利用者データを取得できたか否かが判定される。ここで、図書200の貸出を希望する利用者が、図書館利用者カードをカードリーダ74に読み取らせると、利用者データが取得される。これにより、次ステップS202に進む。
【0176】
次ステップS202において、制御部80は、ステップS201で受信した利用者データの持ち主が利用権利を有しているかどうかを照合する。利用権利の有無は、予め作成された利用者リストと上記図書利用者カードに記録された利用者IDとを照合すること等によりなされる。利用権利を有していると判断された場合は、ステップS203に進み、利用権利を有していない場合は、ステップS208に進む。利用権利を有していない場合としては、利用者リストにおける利用者IDの利用可能期間が経過している場合等が想定される。
【0177】
ステップS208では制御部80からエラー信号が出力される。これにより、貸出受付部70に、「利用できません」等の表示がなされる。そして、処理を終了する。
【0178】
ステップS203に進んだ場合、貸出可能な図書予約データがあるかを照合する。具体的には、ステップS201で読み取った利用者データと図書管理データ84dとを照合し、利用者が予約してあり且つ在庫がある図書200を探し、あればステップS204に進み、無ければステップS209に進む。
【0179】
ステップS204において、制御部80は、予約された図書200の貸出指示の有無を確認する。例えば、予約され且つ在庫がある図書200を貸出受付部70の表示部に対象となる図書200を表示する。そして、利用者により当該図書200に対する貸出指示があるか否かが判断される。貸出指示が無いと判断された場合には、処理を終了する。一方、貸出指示有りと判断されると、ステップS205に進み、貸出処理を実行する。
【0180】
ステップS205は、制御部80が、利用者が受取りを希望した図書200が収納されフォルダ210を格納部30から待機位置Rに搬送するように、ピッカー40に指示を与える処理である。これにより、図書200が収納されたフォルダ210が、利用者によりその図書200を取出し可能な待機位置に搬送される。また、フォルダ210が待機位置に搬送された後、制御部80は、扉112を開く指示を与える。
【0181】
次ステップS206では、制御部80は、利用者が図書を受け取ったかどうかを判断する。ここでは、通過口104を通じて図書200を取り出したかどうかを判断する。具体的には、制御部80は、通過口104に設けられた光センサ等の取出検出部(図示省略)の検出信号に基づいて、通過口104を図書200が通過したか否かを判断する。利用者が図書を受け取ったと判断されると、扉112を閉じ、次ステップS207に進む。
【0182】
ステップS207において、制御部80は、図書管理データ84dを更新する。更新するデータとしては、例えば、図書管理データ84dのうち貸出が完了した図書200の在庫を無しに更新し、予約登録を無しにし、借主を記録し、当日の日付に貸出可能な期間を付加して返却期限を設定しこれを記録する。
【0184】
ステップS203において図書予約データが無かった場合における図書の選択貸出処理(ステップS209)について
図31を参照して説明する。
【0185】
この場合、ステップS211にいて、制御部80により、貸出希望指示の有無が判定される。この判定は、利用者による貸出受付部70への指示操作を通じてなされる。貸出希望指示が無いと判定されると、元のフローチャートに戻り処理を終了する。貸出希望有りと判断されると、ステップS212に進む。
【0186】
ステップS212において、制御部80は、貸出受付部70に図書選択画面を表示するよう指令を与える。これにより、貸出受付部70の表示部に、格納部30に格納された図書200の書籍名のリスト等、或は、図書200の検索画面等が表示される。
【0187】
次ステップS213において、利用者により、図書200の選択指示が入力されると、次ステップS214に進む。
【0188】
ステップS214は、上記ステップS205と同じ処理であり、ステップS216は、上記ステップS207と同じ処理である。
【0190】
上記ステップS205、S215の図書取出処理について
図32に示すフローチャートを参照して説明する。
【0191】
すなわち、貸出対象となる図書200が決った段階で本処理が実行される。
【0192】
まず、ステップS221において、制御部80は、図書管理データ84dを参照して、格納部30における選択された図書200の格納位置を取得する。
【0193】
次ステップS222において、制御部80は、ピッカー40に対して、図書200の格納位置を指定して取出開始指令を与える。これにより、ピッカー40は、指定された格納位置に向けて移動し、その格納位置に格納されたフォルダ210をフォルダ出入ユニット45に取込む。そして、ピッカー40は、フォルダ210を、待機位置Rに向けて搬送する。この後、制御部80から扉112を開くように指示を与える。すると、扉112が開き、利用者は、通過口104を通じて、フォルダ210内の図書200を取出せるようになる。
【0195】
なお、ステップS215において受取完了と判定された場合に、制御部80は、ピッカー40に対して、待機位置Rにあるフォルダ210を、入庫台車130の空き格納位置に移動させるように指令を与えるとよい。これにより、ピッカー40は、待機位置Rに向けて移動して、待機位置Rにある空きフォルダ210をフォルダ出入ユニット45内に取込む。この後、ピッカー40は、入庫台車130に向けて移動し、当該入庫台車130において空きとなっている格納位置をステップS101の処理と同様にして探す。そして、フォルダ出入ユニット45内の空きフォルダ210を、入庫台車130の空きとなった格納位置に移載する。これにより、作業員は、入庫台車130を取出すことによって、空きフォルダ210を容易に外部に取出すことができる。
【0196】
待機位置Rにおいて、空きとなったフォルダ210は、ピッカー40によって、格納部30のうちの空きとなった格納位置に搬送されてもよい。上記入庫台車130が図書取扱装置10外に移動している場合等には、空きとなったフォルダ210を一時的に格納部30に移載しておき、その後、入庫台車130が図書取扱装置10内に移動した状態で、作業員等による指示に応じて、格納部30に一時的に格納された空きフォルダ210を、ピッカー40によって、入庫台車130の空きとなった位置に搬送移動するようにするとよい。これにより、多数の空きフォルダ210を格納部30に格納しておくことができるため、入庫台車130におけるフォルダ210の格納可能数に限定されず、長期間の運用が可能となる。また、格納部30に格納された多数の空きフォルダ210を、まとめた作業時間で取出すことができるという利点もある。
【0197】
{4.効果等について}
以上のように構成された車輪付可動機構ガイド装置120及び図書取扱装置10によると、連結凸部160がその延在方向に沿って移動可能に連結凹部150に嵌まることによって、伸縮ガイド部材140の一端部が格納部30に連結され、或は、伸縮ガイド部材140の他端部が入庫台車130に連結されている。このため、入庫台車130が第1位置P1と第2位置P2との間を移動する際に、入庫台車130が上下に変位しても、伸縮ガイド部材140に無理な力が作用し難くなり、伸縮ガイド部材140は円滑に伸縮できる。これにより、入庫台車130を、伸縮ガイド部材140によって円滑にガイドできる。
【0198】
また、伸縮ガイド部材140は、入庫台車130の上部に連結されているため、入庫台車130の上部が左右に振れないようにガイドされる。これにより、入庫台車130が倒れ難くなる。特に、入庫台車130のフォルダ210の搭載量を増やすために、入庫台車130の段数を多くすると、入庫台車130の高さ寸法が大きくなり、倒れ易くなる。そこで、上記のように、伸縮ガイド部材140は、入庫台車130の上部に連結することで、入庫台車130でのフォルダ210の搭載量を増やしつつ、入庫台車130の倒れを抑制することができる。
【0199】
また、入庫台車130の上部に上向きに突設された連結凸部160が、伸縮ガイド部材140の連結凹部150に下側から嵌り込むため、伸縮ガイド部材140の他端部が垂下がったとしても入庫台車130の上部で受止めることができる。このため、伸縮ガイド部材140の垂下がりを簡易な構成で抑制できる。
【0200】
また、連結凸部160が連結凹部150に嵌り込む構成が、入庫台車130の移動方向において複数箇所に設けられているため、伸縮ガイド部材140の伸縮方向に対して入庫台車130をより確実に一定姿勢で保つことができ、入庫台車130をより確実に一定の姿勢で直線的に移動するようにガイドできる。
【0201】
もっとも、連結凸部160が連結凹部150に嵌り込む構成は、入庫台車130の移動方向において1箇所にのみ設けられていてもよい。
【0202】
また、連結凸部160が連結凹部150に嵌り込む構成が、入庫台車130の移動方向に対して直交する幅方向において複数箇所に設けられているため、伸縮ガイド部材140の伸縮方向に対して入庫台車130をより確実に一定姿勢で保つことができ、入庫台車130をより確実に一定の姿勢で直線的に移動するようにガイドできる。
【0203】
もっとも、連結凸部160が連結凹部150に嵌り込む構成は、入庫台車130の移動方向に対して直交する幅方向において1箇所にのみ設けられていてもよい。
【0204】
また、連結凸部160は、連結凹部150に対して遊びをもった状態で嵌り込んでいるため、入庫台車130の上下変位により、連結凸部160の延在方向に対して連結凹部150の延在方向が傾いても、連結凸部160が連結凹部150内を円滑に移動できる。
【0205】
{変形例}
なお、上記実施形態では、物品格納設備が、格納物として図書200を取扱うである図書取扱装置10である例で説明したが、フォルダ210内には、図書以外のCD(Compact Disc)、DVD(digital versatile disc/ digital video disc)等の光学記録媒体、ビデオテープ等が格納されてもよい。また、取扱媒体であるフォルダの形状は上記例に限られず、筺状物の一方主面のみが開口する又は開口可能な構成であってもよい。
【0206】
また、物品格納設備は、フォルダ210を介して図書200等を取扱う必要は無く、格納物を直接的に車輪付可動機構等の台車、ピッカー等で取扱う設備であってもよい。
【0207】
また、上記実施形態では、車輪付可動機構ガイド装置が、ピッカー等によって物品を格納する物品格納設備である例で説明したが、必ずしもそのような設備に組込まれる必要は無い。
【0208】
例えば、
図33に示すように、あるベース部材300に対して、車輪付可動機構310が、ベース部材300に近い第1位置とベース部材300から遠い第2位置との間で移動可能とされ、かつ、その車輪付可動機構310が伸縮ガイド部材340によってガイドされる構成において、伸縮ガイド部材340の少なくとも一方側の端部に、連結凸部が連結凹部に嵌り込む構成を採用することができる。ここでは、伸縮ガイド部材340の一端部がベース部材300に固定連結され、伸縮ガイド部材340の他端部に連結凹部350が形成され、車輪付可動機構310に連結凸部360が形成されている。そして、連結凸部360が連結凹部350に嵌まっており、伸縮ガイド部材340の直線的な伸縮によって、車輪付可動機構310が直線的に移動するようにガイドされている。
【0209】
ベース部材300は、第1位置に位置するベース部材300の周囲を囲むものであってもよいし、第1位置に隣接する板状又は直方体状のベースとなる部分であってもよい。車輪付可動機構310は、物品を格納及び取出し可能に格納した状態で移動するものであってもよいし(例えば、物品運搬用の台車、引出し等)、何らかの機械、又は、電子回路等が固定され、それへのメンテナンス用にベース部材300から引出される構成のものであってもよい。
【0210】
例えば、ベース部材300としては、机等の家具であることが想定され、車輪付可動機構310は、家具に対して引出及び格納可能に構成された車輪付の格納部(引出等)であることが想定される。なお、車輪付可動機構の4隅全体に車輪が設けられていることは必須ではない。例えば、車輪付可動機構の引出方向前方側のみに車輪が設けられ、車輪付可動機構の引出方向後方側部分は、ベース部材に設けられたレール等によって移動可能に支持されていてもよい。このような場合であっても、車輪付可動機構の引出方向前方側に設けられた車輪は、途中で高さが異なる面上を走行する可能性であるため、上記実施形態のように、上下の変位を吸収しつつガイドする構成は有効である。
【0211】
もちろん、上記伸縮ガイド部及び連結凸部が連結凹部に嵌り込む構成は、車輪付可動機構に対して、上部だけに設けられる構成である必要は無く、車輪付可動機構の上部及び下部、下部だけ、また、これらに追加又は代えて、上下中間位置(例えば、車輪付可動機構の側部又は中央等)に設けられてもよい。
【0212】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0213】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。