特許第6584973号(P6584973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6584973
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】平面アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20190919BHJP
   H01Q 1/08 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   H01Q1/12 B
   H01Q1/08
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-17548(P2016-17548)
(22)【出願日】2016年2月1日
(65)【公開番号】特開2017-139533(P2017-139533A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2018年8月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中本 正樹
(72)【発明者】
【氏名】北村 洋一
(72)【発明者】
【氏名】片平 謙吾
【審査官】 倉本 敦史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−333234(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0098727(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−1/52
H01Q 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部と、
前記支持部に対して第一の軸線の周りに回転可能に支持された第一可動部と、
前記第一可動部に対して前記第一可動部の主面に沿って延びる第二の軸線の周りに回転可能に支持された第二可動部と、
前記第二可動部に対して前記第二可動部の厚さ方向に沿って延びる第三の軸線の周りに回転可能に支持され、外面に通過凹部を有する第三可動部と、
前記第三可動部に支持されたアンテナ部と、
前記第一可動部と前記第三可動部とを電気的に接続し、かつ、前記第三可動部に対する接続箇所と前記第一可動部との離間距離が、前記第三の軸線と前記第一可動部との離間距離に比べて大きくなる姿勢を第三可動部がとるときに、前記第三の軸線に垂直な面に投射した配線形状がS字形となり、少なくとも一部が前記通過凹部の内部を通過可能な接続用配線と、を備える平面アンテナ装置。
【請求項2】
前記接続用配線は、前記第三可動部に対する接続箇所と前記第一可動部との離間距離が、前記第三の軸線と前記第一可動部との離間距離に比べて大きくなる姿勢を第三可動部がとるときに、
前記第一可動部から前記第三可動部に向けて、前記接続用配線の長さ方向に交差する第一方向に凸状とされた第一湾曲部と、前記第一方向とは反対の第二方向に凸状とされ、少なくとも一部が前記通過凹部の内部を通過する第二湾曲部とをこの順に有する、請求項1に記載の平面アンテナ装置。
【請求項3】
前記第一可動部および前記第三可動部に対する前記接続用配線の接続箇所に、前記接続用配線が挿通されることによって前記接続用配線の配線方向を規制する筒状の規制部材が設けられている、請求項1または2に記載の平面アンテナ装置。
【請求項4】
前記第三可動部に、前記接続用配線を把持することにより位置決めするクランプ部が設けられている、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の平面アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、平面アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信衛星を介して通信する通信システムは、地震等の災害の影響を受けにくい。このため、この通信システムは災害時にも利用可能であることから様々な検討が行われている。この種の通信システムとしては、例えばVSAT(Very Small Aperture Terminal)システムがある。
【0003】
VSATシステムにおいて、通信衛星と通信制御を行う平面アンテナ装置は、例えば設置面に置かれる支持部と、互いに回動可能な第一〜第三可動部と、第三可動部に支持されたアンテナ部とを有する。アンテナ部は、第一〜第三可動部の回動により姿勢を調整することができる。第一可動部と第三可動部とは、接続ケーブル(接続用配線)によって電気的に接続される。前記接続ケーブルはアンテナ部の姿勢に応じて配線形態が変化する。
平面アンテナ装置では、通信品質の低下を防ぐため、接続ケーブルにかかるストレスを小さくすることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−277984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、アンテナ部の姿勢によらず、接続用配線にかかるストレスを小さくすることができる平面アンテナ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の平面アンテナ装置は、支持部と、第一可動部と、第二可動部と、第三可動部と、アンテナ部と、接続ケーブルとを持つ。第一可動部は、前記支持部に対して第一の軸線の周りに回転可能に支持されている。第二可動部は、前記第一可動部に対して前記第一可動部の主面に沿って延びる第二の軸線の周りに回転可能に支持されている。第三可動部は、前記第二可動部に対して前記第二可動部の厚さ方向に沿って延びる第三の軸線の周りに回転可能に支持され、外面に通過凹部を持つ。アンテナ部は、前記第三可動部に支持されている。接続用配線は、前記第一可動部と前記第三可動部とを電気的に接続する。接続用配線は、前記第三可動部に対する接続箇所と前記第一可動部との離間距離が、前記第三の軸線と前記第一可動部との離間距離に比べて大きくなる姿勢を第三可動部がとるときに、前記第三の軸線に垂直な面に投射した配線形状がS字形となる。接続用配線は、少なくとも一部が前記通過凹部の内部を通過可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態の平面アンテナ装置を背面側から見た斜視図。
図2】一実施形態の平面アンテナ装置を、アンテナ部等の部材を外した状態で前面側から見た斜視図。
図3】一実施形態の平面アンテナ装置を、アンテナ部等の部材を外した状態で前面側から見た斜視図。
図4】一実施形態の平面アンテナ装置の第三可動部を示す平面図。
図5】一実施形態の平面アンテナ装置の第三可動部を示す側面図。
図6】一実施形態の平面アンテナ装置の第一の接続部の平面図。
図7】一実施形態の平面アンテナ装置の接続ケーブルの断面図。
図8】一実施形態の平面アンテナ装置を畳んだ状態の斜視図。
図9】一実施形態の平面アンテナ装置を設置した状態の図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の平面アンテナ装置を、図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本実施形態の平面アンテナ装置を背面側から見た斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の平面アンテナ装置1は、支持部10と、第一可動部30と、第二可動部40と、第三可動部65と、アンテナ部70と、接続ケーブル80(接続用配線)と、を備えている。
【0010】
支持部10は、概略円板状の支持部本体11と、支持部本体11に回転可能に設けられた3つの支持脚12とを有している。
支持脚12は、支持部本体11に対して、第一の軸線C1に平行な回転軸(図示略)の周りに回転可能に取り付けられている。支持部10は、平面アンテナ装置1を設置する設置面に置かれる。第一の軸線C1は支持部本体11の厚さ方向に平行である。なお、第一の軸線C1は、支持部10(支持部本体11)の厚さ方向に延びる。
平面アンテナ装置1は、第一の軸線C1に平行に見たときに、支持脚12が第一可動部30から突出する突出位置(図1参照)と、支持脚12が、第一可動部30の輪郭内に配置される収納位置とを切替え可能である。支持脚12を突出位置とすることで、平面アンテナ装置1が幅方向Y1に傾くのを抑えることができる。
【0011】
第一可動部30は、扁平な箱状の筐体31と、筐体31の表面に設けられた案内部32と、を有する。
第一可動部30は、第三可動部65から送られた信号(例えば高周波信号)を必要に応じて変換し、その信号をコンピュータ等に送る機能、および、コンピュータ等から送られた信号を必要に応じて変換し、その信号(例えば高周波信号)を第三可動部65に送る機能を有する。第一可動部30は、筐体31内に、例えばIF回路部、変復調部などを有する。第一可動部30は、いわゆるIDU(In Door Unit)部である。
【0012】
筐体31は、底板31aと、側板31b,31bと、端板31c,31cと、天板31dとを有する直方体である。底板31aは長方形である。側板31b,31bは、底板31aの長辺である側縁に立設されている。端板31c,31cは、底板31aの短辺である端縁に立設されている。天板31dは底板31aと同じ形状とされている。
筐体31の厚さ方向は第一の軸線C1と平行とされている。X1は底板31aおよび天板31dの長手方向である。Y1は底板31aおよび天板31dに沿う面内(例えば表面31d1に沿う面内)にあって長手方向X1に直交する幅方向である。
【0013】
筐体31は、支持部10に対して第一の軸線C1の周りに回転可能に支持されている。筐体31を第一の軸線C1に平行に見たときに、支持部10は底板31aの長手方向X1の中央よりも第一の端部31a1寄りに位置する。
【0014】
図2は、平面アンテナ装置1を、アンテナ部70等の部材を外した状態で前面側から見た斜視図である。
図2に示すように、底板31aの長手方向X1の第一の端部31a1に設けられた端板31c(端板31c1)には、接続ケーブル80が挿通する挿通孔35が形成されている。
挿通孔35は、端板31c1の幅方向Y1の中央よりも第一の端部31e1寄りの位置に形成されている。
端板31c1の外面には、挿通孔35を通る接続ケーブル80が挿通するL字筒状の屈曲管36(規制部材)が設けられている。屈曲管36は、基部36aと、延出部36bとを有する。基部36aは、端板31c1の外面から長手方向X1に沿って端板31c1から離れる方向に延出する。延出部36bは、基部36aの先端から幅方向Y1に沿って第二の端部31e2に近づく方向に延出する。
【0015】
筐体31には屈曲管36が設けられているため、接続ケーブル80が屈曲管36に挿通されることによって、接続ケーブル80を延出部36bに沿って幅方向Y1に向けることができる。そのため、接続ケーブル80を好適な配線形態(例えばS字状の形態)にするのが容易であり、接続ケーブル80にストレスが加えられるのを回避できる。
【0016】
図1に戻り、底板31aの長手方向X1の第二の端部31a2に設けられた端板31c(端板31c2)には、入出力用の端子部25が設けられている。端子部25は、ケーブルD1を介して図示しないコンピュータに接続される。平面アンテナ装置1は、このコンピュータにより制御される。
天板31dの表面31d1には、端板31c2に近い位置に、表示部24が設けられている。表示部24は、電界強度の測定結果等を表示する。
【0017】
図6は、平面アンテナ装置1の第一の接続部の平面図である。
図6に示すように、支持部10と第一可動部30とは、例えば、第一の接続部(接続部)37により接続されている。第一の接続部37は、例えば支持部10の支持部本体11に取付けられた円筒状の内筒37aと、第一可動部30に取付けられた円筒状の外筒37bとを有している。外筒37bは、内筒37aと同軸であり、内筒37aを囲んでいる。第一の接続部37は、第一の軸線C1上に設けられている。公知のベアリング機構等により、外筒37bは、内筒37aに対して内筒37aの周方向にのみ移動可能である。
【0018】
図1に示すように、案内部32は、台部33と、一対のレール部34とを有する。台部33は、天板31dの長手方向X1に沿う長方形の板状体であり、天板31dの表面31d1(主面)に設けられている。レール部34は、台部33の表面に長手方向X1に沿って設けられている。一対のレール部34は、幅方向Y1に間隔をおいて設けられている。
【0019】
第二可動部40は、概略、板状に形成された可動部本体41と、送風部42とを有する。
可動部本体41は、主板部41aと、主板部41aの幅方向の側縁に、主板部41aの内面41a1側に突出して設けられた側板41b,41bとを有している。
主板部41aは、矩形状(詳しくは長方形)に形成されている。側板41bには、長手方向の第一の端部41b1よりも第二の端部41b2側に離れた位置に、貫通孔41cが形成されている。
【0020】
側板41bの第一の端部41b1は、第一可動部30の台部33の第一の端部33aに対して、軸部材43を介して回転可能に連結されている。これによって、第二可動部40は、第一可動部30に対して、筐体31の天板31dの表面31d1に平行な第二の軸線C2の周りに回転可能となる。第二の軸線C2は、幅方向Y1に沿う。
送風部42は、主板部41aの内面41a1に設けられている。
【0021】
第二可動部40の側板41bの貫通孔41cには、リンク部材45の第一の端部45aが回動可能に接続されている。リンク部材45の第二の端部45bは、第一可動部30のレール部34上の走行体46に回動可能に接続されている。
走行体46は、第一可動部30のレール部34に沿って走行可能であり、レール部34の長さ方向の任意の位置でレール部34に対して位置決めすることができる。
【0022】
このように構成された第一可動部30、第二可動部40、リンク部材45、および走行体46は、レール部34に沿って走行体46を移動させることで、第一可動部30に対する第二可動部40の第二の軸線C2の周りの角度である支持角度θを調節することができる。
第二の軸線C2は、軸部材43の中心軸線となる。なお、第二の軸線C2は、筐体31の天板31dの表面31d1に沿って延びる。
【0023】
第一可動部30および走行体46には、仰角調節部50が係合している。
仰角調節部50は、調節部本体51と、雄ネジ部を有する軸状部材52と、軸状部材52の端部に設けられたハンドル55とを備えている。
調節部本体51は、台部33の長手方向X1の任意の位置で台部33に対して位置決め可能である。軸状部材52の雄ネジ部は、調節部本体51に形成された挿通孔51aに形成された雌ネジに螺合する。
【0024】
ハンドル55を軸状部材52の軸線の周りに回転させることで、軸状部材52は、調節部本体51に対して軸状部材52の長手方向に移動する。軸状部材52の長手方向の位置を変化させると、その位置に応じて走行体46の長手方向X1の位置を調整することができる。そのため、前述の支持角度θを任意の角度に調節することができる。
【0025】
第二可動部40と第三可動部65とは、前述の第一の接続部37と同様に構成された第二の接続部(接続部)60により接続されている。第二の接続部60は、第二可動部40の厚さ方向に平行な第三の軸線C3上に設けられている。これにより、第三可動部65は、第二可動部40に対して第三の軸線C3の周りに回転可能となる。
【0026】
第三可動部65は、扁平な箱状の筐体66を有する。
第三可動部65は、アンテナ部70から送られた信号を必要に応じて変換し、その信号(例えば高周波信号)を第一可動部30に送る機能、および、第一可動部30から送られた信号(例えば高周波信号)を必要に応じて変換し、その信号をアンテナ部70に送る機能を有する。第三可動部65は、筐体66内に、例えばRF回路部などを有する。第三可動部65は、いわゆるODU(Out Door Unit)部である。
【0027】
図4および図5に示すように、筐体66は、底板66aと、側板66b1,66b2と、端板66c1,66c2と、天板66dとを有する。底板66aは長方形である。側板66b1,66b2は、底板66aの長辺である側縁に立設されている。端板66c1,66c2は、底板66aの短辺である端縁に立設されている。
筐体66の厚さ方向は第三の軸線C3と平行とされている。X2は底板66aおよび天板66dの長手方向である。Y2は底板66aに沿う面内にあって長手方向X2に直交する幅方向である。
図1に示すように、第二可動部40は、筐体66の天板66dの表面66d1に接続されている。なお、第三の軸線C3は、第二可動部40の厚さ方向に延びる。
【0028】
図4および図5に示すように、筐体66の天板66dの表面66d1(外面)には、第一の端部66e1を含む部分に、通過凹部67が形成されている。通過凹部67は、筐体66の厚さ方向に凹状に形成されている。通過凹部67の深さは、接続ケーブル80の少なくとも一部が通過可能となるように定められている。通過凹部67の深さは、例えば接続ケーブル80の外径と同じまたはこれより深くすることができる。通過凹部67の深さは、接続ケーブル80の外径より小さくてもよい。
【0029】
図4に示すように、通過凹部67は、第三の軸線C3に平行に見たときに、第一の端部66e1を含む長手方向X2の長さL1の範囲の矩形領域である主凹部67aと、主凹部67aの内壁面67a1に形成された側凹部67bとを有する。側凹部67bは、内壁面67a1の幅方向Y2の一方側の端部を含む位置に、第二の端部66e2に向けて凹状に形成されている。
側凹部67bが形成された幅方向Y2の端部は、挿通孔68を有する側板66b1と同じ側の端部である。
【0030】
図5に示すように、筐体66の側板66b1には、接続ケーブル80が挿通する挿通孔68が形成されている。挿通孔68は、側板66b1の長手方向X2の中央よりも第二の端部66e2寄りの位置に形成されている。
図4に示すように、側板66b1の外面には、挿通孔68を通る接続ケーブル80が挿通するL字筒状の屈曲管81(規制部材)が設けられている。屈曲管81は、基部81aと、延出部81bとを有する。基部81aは、側板66b1の外面から幅方向Y2に沿って側板66b1から離れる方向に延出する。延出部81bは、基部81aの先端から長手方向X2に沿って第一の端部66e1に近づく方向に延出する。
【0031】
筐体66には屈曲管81が設けられているため、接続ケーブル80が屈曲管81に挿通されることによって、接続ケーブル80を延出部81bに沿って長手方向X2に向けることができる。そのため、接続ケーブル80を好適な配線形態(例えば図2に示すS字状の形態)にするのが容易であり、接続ケーブル80にストレスが加えられるのを回避できる。
【0032】
側板66b1の長手方向X2の中央付近には、接続ケーブル80を把持するクランプ部82が設けられている。クランプ部82は、一対の把持体82a,82aによって接続ケーブル80を挟み込んで把持することができる。
筐体66には、接続ケーブル80の長さ方向の位置が屈曲管81とは異なる位置にクランプ部82が設けられているため、接続ケーブル80長さ方向に異なる複数箇所で接続ケーブル80の配線方向を規制することができ、接続ケーブル80を好適な配線形態にするのが容易となる。
【0033】
図7は、接続ケーブル80の断面図である。
図7に示すように、接続ケーブル80は、例えば配線88と、配線88を収容する保護チューブ83とを備えた構成とすることができる。配線88は、例えば同軸ケーブルである。配線88は、高周波信号を伝送可能であることが好ましい。保護チューブ83は、例えばコルゲートチューブである。
【0034】
図2および図3は、平面アンテナ装置1を、アンテナ部70等の部材を外した状態で前面側から見た図である。
図2および図3に示すように、接続ケーブル80は、第一可動部30と第三可動部65とを電気的に接続する。接続ケーブル80の一端部は、第一可動部30の内部に達している。接続ケーブル80は、挿通孔35を通って第一可動部30の筐体31の外に導出され、屈曲管36に挿通している。接続ケーブル80は、第三可動部65に設けられたクランプ部82を経て屈曲管81に挿通し、挿通孔68を通って筐体66の内部に達している。
【0035】
図2では、接続ケーブル80は、第三可動部65の天板66dの表面66d1に沿う面(第三の軸線C3に垂直な面)に投射した配線形状がS字形である。
詳しくは、接続ケーブル80は、第一可動部30から第三可動部65に向けて、接続ケーブル80の長さ方向に交差する第一方向R1に凸状とされた第一湾曲部85と、第一方向R1とは反対の第二方向R2に凸状とされた第二湾曲部86とをこの順に有する。
【0036】
図2では、第三可動部65は、第一の端部66e1が、第一可動部30の端板31c1の幅方向Y1の中央よりも第一の端部31e1寄りに位置している。この第三可動部65の姿勢を、第一の傾斜姿勢という。
第三可動部65が第一の傾斜姿勢にあるときには、第三可動部65に対する接続ケーブル80の接続箇所87と第一可動部30との離間距離は、第三の軸線C3と第一可動部30との離間距離に比べて大きい。ここでいう離間距離は、第一可動部30からの高さ方向の距離(第一可動部30の表面31d1を含む平面との高低差)である。高さ方向は、長手方向X1および幅方向Y1に垂直な方向である。
接続ケーブル80は、第二湾曲部86が通過凹部67の内部を通っている。そのため、接続ケーブル80には配線のための十分なスペースが確保されることから、第三可動部65に対する接続箇所87が第一可動部30から離れた位置にあるにもかかわらず、接続ケーブル80に無理な力が加えられることはない。
【0037】
筐体66には、第三可動部65に対する接続ケーブル80の接続箇所87と同じ側に側凹部67bが形成されているため、接続ケーブル80の配線のためのスペースをさらに大きく確保できる。
【0038】
図3では、第三可動部65は、第一の端部66e1が、第一可動部30の端板31c1の幅方向Y1の中央よりも第二の端部31e2寄りに位置している。この第三可動部65の姿勢を、第二の傾斜姿勢という。
第三可動部65が第二の傾斜姿勢にあるときには、図2に示す第一の傾斜姿勢に比べて、接続箇所87は第一可動部30に近い位置にある。そのため、接続ケーブル80には十分な余長が確保される。よって、この場合も、接続ケーブル80に無理な力が加えられることはない。
【0039】
図1および図8に示すように、一対のアンテナ部70,70は板状に形成され、図示しない基板を用いて電磁波の送信と受信を行うことができる。
第三可動部65の筐体66と一対のアンテナ部70とは、トルクヒンジ71を介して接続されている。トルクヒンジ71としては、例えば筐体66とアンテナ部70との間に発生するトルクを調節することで、一対のアンテナ部70の位置を同一平面上に配置された状態(開いた状態)に仮に保持することができる。
一対のアンテナ部70は、主面70aが対向するように配置された閉状態と、図1に示すように互いの主面70aが同一面上に配置されて広げられた開状態とに切替え可能である。
各アンテナ部70は、補助配線部72により第三可動部65に接続されている。
【0040】
次に、以上のように平面アンテナ装置1を設定する手順について説明する。
図9は、平面アンテナ装置1を設置した状態の図である。
図9に示すように、例えば被災地等の目的地D10に、天面が水平になるように支持台D12を設置する。一対の支持脚12を突出させ、支持台D12の天面に平面アンテナ装置1の支持部10を置く。
目的地D10の緯度及び経度、目的とする通信衛星D20の位置等から、方位角(AZ)、仰角(EL)、及び偏波角(POL)を求めておく。
【0041】
仰角を概略設定し、一対のアンテナ部70を閉状態から開状態にする。一対のアンテナ部70と第三可動部65の筐体66とはトルクヒンジ71を介して接続されているため、各アンテナ部70が開状態で仮保持される。
【0042】
例えば、方位磁石等を用いて東南の方向を検出し、平面アンテナ装置1を東南の方向に向ける。コンピュータと平面アンテナ装置1とをケーブルD1を介して接続する。平面アンテナ装置1を起動する。
コンピュータを操作して、一対のアンテナ部70で受信した電波の、第一可動部30で測定された電界強度を表示部24に表示する。表示部24に表示される電界強度を確認しながら、支持部10に対する第一可動部30の第一の軸線C1の周りの角度、すなわち方位角を、電界強度が高くなるように調節する。
【0043】
第二可動部40に対して第三可動部65を第三の軸線C3の周りに回転させ、偏波角を調節する。
このように設定した平面アンテナ装置1を用いて、通信衛星D20と通信する。
【0044】
本実施形態の平面アンテナ装置1によれば、支持部10に対して第一可動部30が回転可能であり、第一可動部30に対して第二可動部40が回転可能であり、第二可動部40に対して第三可動部65が回転可能である。さらに、一対のアンテナ部70は閉状態と開状態とに切替え可能である。
畳んだ状態の平面アンテナ装置1は設定した状態の平面アンテナ装置1に比べて外形が小さいため、平面アンテナ装置1を容易に持ち運ぶことができる。
畳んだ状態の平面アンテナ装置1を展開するとともに方位角、仰角、及び偏波角を調節することで、平面アンテナ装置1を組み立てる必要がなく、平面アンテナ装置1を容易に設定することができる。
【0045】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、接続ケーブル80は、第三可動部65に対する接続箇所87と第一可動部30との離間距離が、第三の軸線C3と第一可動部30との離間距離に比べて大きくなる姿勢を第三可動部65がとるときに(図2参照)、接続ケーブル80は、配線形状がS字形であって通過凹部67の内部を通過可能である。
接続ケーブル80には、通過凹部67によって、配線のための十分なスペースが確保されることから、第三可動部65に対する接続箇所87が第一可動部30から離れた位置にあるにもかかわらず、接続ケーブル80に無理な力が加えられることはない。
接続ケーブル80は、第三可動部65に対する接続箇所87が第一可動部30に近くなる姿勢を第三可動部65がとるときには(図3参照)、接続ケーブル80には十分な余長が確保される。よって、この場合も、接続ケーブル80に無理な力が加えられることはない。
したがって、アンテナ部70の姿勢によらず、接続ケーブル80にかかるストレスを小さくすることができ、通信品質の低下を防ぐことができる。
また、接続ケーブル80にかかるストレスを小さくできるため、短い接続ケーブル80を使用できる。そのため、接続ケーブル80が長い場合に生じる問題、例えば損失(信号レベルの低下)等を回避できる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0047】
1…平面アンテナ装置、10…支持部、30…第一可動部、31d1…表面(主面)、36…屈曲管(規制部材)、40…第二可動部、65…第三可動部、66d1…第三可動部の筐体の天板の表面(外面)、67…通過凹部、70…アンテナ部、80…接続ケーブル(接続用配線)、81…屈曲管(規制部材)、82…クランプ部、85…第一湾曲部、86…第二湾曲部、87…接続箇所(第三可動部に対する接続箇所)、C1…第一の軸線、C2…第二の軸線、C3…第三の軸線、R1…第一方向、R2…第二方向
図1
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図9