(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6584989
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】ヒューマンエラーを防止したハイセキュリティーデータ消去装置
(51)【国際特許分類】
G11B 5/024 20060101AFI20190919BHJP
【FI】
G11B5/024 F
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-63394(P2016-63394)
(22)【出願日】2016年3月28日
(65)【公開番号】特開2017-182847(P2017-182847A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】500340990
【氏名又は名称】アドバンスデザイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103148
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 輝美
(72)【発明者】
【氏名】本田 正
【審査官】
中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−081906(JP,A)
【文献】
特開2015−062148(JP,A)
【文献】
特開2007−026535(JP,A)
【文献】
特開2009−104684(JP,A)
【文献】
特開昭60−129909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の一面に対面する位置に設けられ、該記録媒体に付された情報を読み取る情報読取部と、
前記記録媒体の磁気データを消去する磁気データ消去部と、を備え、
該磁気データ消去部は前記情報読取部の次工程の位置に配設され、人が介在できない装置構造であり、前記情報読取部によって情報が読み取られた直後に連続して該記録媒体の磁気データの消去処理を行うことを特徴とするヒューマンエラーを防止したハイセキュリティーデータ消去装置。
【請求項2】
記録媒体の二面以上に対面する位置に設けられ、該記録媒体に付された情報を読み取る情報読取部と、
前記記録媒体の磁気データを消去する磁気データ消去部と、を備え、
該磁気データ消去部は前記情報読取部の次工程の位置に配設され、人が介在できない装置構造であり、前記情報読取部によって情報が読み取られた直後に連続して該記録媒体の磁気データの消去処理を行うことを特徴とするヒューマンエラーを防止したハイセキュリティーデータ消去装置。
【請求項3】
前記記録媒体を物理的に破壊する物理的破壊部を更に備え、前記磁気データ消去部によって磁気データが消去された直後の前記記録媒体に対して、物理的な破壊を行うことを特徴とする請求項1、又は2に記載のヒューマンエラーを防止したハイセキュリティーデータ消去装置。
【請求項4】
前記記録媒体の一面、又は二面以上に対面する位置に設けられ情報読取部は、前記記録媒体に付されたバーコードの情報を読み取ることを特徴とする請求項1、2、又は3に記載のヒューマンエラーを防止したハイセキュリティーデータ消去装置。
【請求項5】
前記磁気データ消去部による前記記録媒体の磁気データの消去は、磁気コイルによる着磁処理によって行うことを特徴とする請求項1、2、3、又は4に記載のヒューマンエラーを防止したハイセキュリティーデータ消去装置。
【請求項6】
前記データ消去処理が正確に行われた記録媒体と、エラーとなった記録媒体の排出口を切換る排出方向切換部を更に備え、前記記録媒体を区別して排出することを特徴とする請求項1、2、3、4、又は5に記載のヒューマンエラーを防止したハイセキュリティーデータ消去装置。
【請求項7】
前記記録媒体の破壊は該記録媒体に一定の変形を施し、データ消去に使用する装置の識別を可能にすることを特徴とする請求項3、4、5、又は6に記載のヒューマンエラーを防止したハイセキュリティーデータ消去装置。
【請求項8】
前記記録媒体はハードディスク(HDD)であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、又は7に記載のヒューマンエラーを防止したハイセキュリティーデータ消去装置。
【請求項9】
記録媒体の一面に対面する位置に設けられ、該記録媒体に付された情報を読み取る情報読取部と、
前記記録媒体の磁気データを消去する磁気データ消去部と、を備えたデータ消去装置であって、
該磁気データ消去部は前記情報読取部の次工程の位置に配設され、人が介在できない装置構造であり、前記情報読取部によって情報が読み取られた直後に連続して該記録媒体の磁気データの消去処理を行うことを特徴とするデータ消去方法。
【請求項10】
記録媒体の二面以上に対面する位置に設けられ、該記録媒体に付された情報を読み取る情報読取部と、
前記記録媒体の磁気データを消去する磁気データ消去部と、を備えたデータ消去装置であって、
該磁気データ消去部は前記情報読取部の次工程の位置に配設され、人が介在できない装置構造であり、前記情報読取部によって情報が読み取られた直後に連続して該記録媒体の磁気データの消去処理を行うことを特徴とするデータ消去方法。
【請求項11】
前記記録媒体を物理的に破壊する物理的破壊部を更に備え、前記磁気データ消去部によって磁気データが消去された直後の前記記録媒体に対して、物理的な破壊を行うことを特徴とする請求項9、又は10に記載のデータ消去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスク(HDD)や磁気テープ等の磁気記録媒体に記録された磁気データを消去するデータ消去装置であり、特にヒューマンエラーを防止したハイセキュリティーなデータ消去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、企業や個人で使用したハードディスク等の磁気記録媒体を廃棄する場合、記録媒体に記録された情報を第三者に知られないため、例えばコンピュータに接続した状態で、オペレーティングシステムからフォーマット処理を行い、磁気データの情報を消去している。
【0003】
しかし、上記消去方法では、ハードディスク内の磁気情報の配置等を管理する管理領域のみを消去し、実際の磁気情報はディスク上に残る。そこで、例えば磁気記録媒体に電磁石により生成された磁力を与え、磁気記録媒体に記録されている情報を消去する方法が行われている。
【0004】
特許文献1は、廃棄する磁気ディスク装置に記録されたデータの漏洩防止のため、データ消去を簡単な操作で行うデータ消去装置の発明であり、磁気ディスク装置に対して磁界を付与し、データ消去を行うデータ消去装置を開示する。
【0005】
また、ハードディスクに限らず、磁気テープに記録されたデータを消去する際にも、磁気テープに磁界を付与してデータの消去を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−66439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ハードディスクに限らず、磁気テープにおいても、データの漏洩防止のためデータ消去を確実に行う必要があり、データ消去が不完全なハードディスクや磁気テープを確実に区別する必要がある。例えば、作業者の不注意によって磁気データの消去処理が完了していない記録媒体を誤って消去処理が完了したものと判断する場合もある。また、データ消去が完了していない記録媒体のシリアルナンバーを誤って記録する場合もある。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、磁気消去を行なう記録媒体のシリアルナンバー等の読み取り処理と、当該記録媒体に対する磁気データの消去処理とを人が介在できない構造の装置によって自動的に一連の作業によって行い、ヒューマンエラーを無くしたハイセキュリティーなデータ消去装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は第1の発明によれば、記録媒体の一面又は二面以上に対面する位置に設けられ、該記録媒体に付された情報を読み取る情報読取部と、前記記録媒体の磁気データを消去する磁気データ消去部と、を備え、該磁気データ消去部は前記情報読取部の次工程の位置に配設され、人が介在できない装置構造であり、前記情報読取部によって情報が読み取られた直後に連続して該記録媒体の磁気データの消去処理を行うことを特徴とするヒューマンエラーを防止したハイセキュリティーデータ消去装置を提供することによって達成できる。
【0010】
また、上記課題は第2の発明によれば、前記記録媒体を物理的に破壊する物理的破壊部を更に備え、前記磁気データ消去部によって磁気データが消去された直後の前記記録媒体に対して、物理的な破壊を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、磁気データの消去を確実に行うことができ、ヒューマンエラーを無くしたデータ消去装置を提供することができる。また、データ消去中にエラーが発生した場合、これを検知し、エラーが発生した磁気記録媒体を区別して収納することができ、磁気データの消去が確実に行われた磁気記録媒体とエラーが発生した磁気記録媒体を正確に区別することができる。さらに、磁気記録媒体の両面の情報を読み取る、例えば2台のCCDカメラ等を備えることによって、磁気記録媒体の何れの記録された媒体情報であっての確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態のデータ消去装置の外観図である。
【
図2】第1の実施形態のデータ消去装置を上方より視た状態の図であり、操作表示部の構成図である。
【
図3】データ消去装置の操作表示部に設けられたハードディスク投入部の蓋を開いた状態を示す図である。
【
図4】第1の実施形態のデータ消去装置の内部構造を示す模式図である。
【
図5】磁気データ消去部の模式図であり、着磁装置の内部構造を説明する図である。
【
図6】第1の実施形態のデータ消去装置によるデータ消去処理を説明する図である。
【
図7】第2の実施形態のデータ消去装置の内部構造を示す模式図である。
【
図8】第2の実施形態のデータ消去装置によるデータ消去処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施形態)
先ず第1の実施形態について説明する。
図1は第1の実施形態のヒューマンエラーを防止したハイセキュリティーデータ消去装置(以下、単にデータ消去装置1で示す)であり、このデータ消去装置1の外観図を示す。本例のデータ消去装置1は、例えばハードディスク(HDD)等の磁気ディスク装置に記録された磁気データの消去を行う構成であり、内部に詳しく後述するスキャナー部2と磁気データ消去部3を備える。
【0014】
データ消去装置1の上面には、操作表示部4及びHDD投入部5が設けられ、HDD投入部5の上面には開閉可能な蓋6が設けられている。また、操作表示部4には電源スイッチ8、電源ランプ9、エラー表示ランプ10、液晶ディスプレイ11が配設されている。尚、
図2はデータ消去装置1の上面図であり、
図1を上方(
図1に示すa方向)から視た図である。
【0015】
電源スイッチ8は本例のデータ消去装置1の電源投入を行なうスイッチであり、電源スイッチ8をオンすることによって、電源ランプ9が点灯し、本例のデータ消去装置1に電源供給が行われる。また、エラー表示ランプ10は、例えばハードディスク(HDD)に付されたバーコードの読み出し処理が不完全な場合や、ハードディスク(HDD)の磁気消去処理が不完全な場合等にエラー表示を行う。また、液晶ディスプレイ11には、上記エラー表示ランプ10が点灯した際のエラー情報等の表示が行なわれる。
【0016】
蓋6には取手7が設けられ、例えば作業者がこの取手7を握って
図2の矢印方向に蓋6を開けることによって、HDD投入部5を開放する。
図3はデータ消去装置1の蓋6を開けた状態を示す図であり、HDD投入部5が表出される。
【0017】
尚、
図1に示す装置下方の開口部13は本例のデータ消去装置1によって磁気データが消去されたハードディスク(HDD)が排出される排出口である。また、上記開口部13に対向するデータ消去装置1の裏面側には後述する開口部14が設けられ、磁気データの消去処理の際、エラーとなったハードディスク(HDD)が排出される。
【0018】
図4は本例のデータ消去装置1の内部構造を示す図である。データ消去装置1の内部はスキャナー部2、磁気データ消去部3、ハードディスク(HDD)の排出方向切換部12で構成されている。
【0019】
スキャナー部2は前述のHDD投入部5の直下に位置し、投入されたハードディスク(HDD)のバーコードを読み取る。具体的にはハードディスク(HDD)に表面又は裏面に付されたバーコードを、例えばCCDカメラで撮影し、撮像データからバーコードの情報を読み取る。この為、スキャナー部2にはハードディスク(HDD)の表面又は裏面に付されたバーコードを読み取る為のCCDカメラ15a、15bが配設されている。本例では上記のように2台のカメラを配設することによって、バーコードの読み取りミスを防止する。
【0020】
尚、CCDカメラ15a、15bを駆動する際には、不図示のランプが点灯し、バーコードを含むハードディスク(HDD)の両面の情報が撮影され、不図示のサーバに撮像情報が転送される。サーバ側では得られたバーコードの情報に基づいてデータ消去を行うハードディスク(HDD)の機種名やシリアルナンバー、使用するファームウエア等の情報を取得する。
【0021】
また、スキャナー部2には投入されたハードディスク(HDD)を保持する為、ストパー16が設けられ、バーコードの読み取り処理の間スキャナー部2に投入されたハードディスク(HDD)を保持する。
【0022】
次に、磁気データ消去部3はスキャナー部2によってバーコードが読み取られ、機種名やシリアルナンバー等の情報が取得されたハードディスク(HDD)の磁気データを消去する機能を有し、着磁コイル17によって覆われた中空部18を備える。
図5は磁気データ消去部3の模式図であり、着磁コイル17の一部を省略して示す。着磁コイル17は多数の巻線で構成され、巻線の両端には不図示の電力供給回路から電源供給が行われる。
【0023】
すなわち、ハードディスク(HDD)が投入される中空部18には着磁コイル17によって所定強度の磁界が形成され、例えば同図の正面から裏面に向かって、又は裏面から正面に向かって、磁界が形成される。尚、磁気データ消去部3には放熱板19が設けられ、着磁コイル17に発生する熱を逃がす。
【0024】
また、磁気データ消去部3にもスキャナー部2と同様、投入されたハードディスク(HDD)を保持する為、スットパー20が設けられ、上記着磁コイル17による着磁処理の間、中空部18に位置するハードディスク(HDD)を保持する。
【0025】
排出方向切換部12は、磁気データ消去部3から排出されたハードディスク(HDD)の排出方向を切り換える装置であり、磁気データ消去部3から排出されるハードディスク(HDD)を排出口13又は14に導く。例えば、排出口13は磁気データの消去処理が確実に行われたハードディスク(HDD)を排出する開口部であり、磁気データの消去処理が確実に行われたハードディスク(HDD)を排出口13に導く。一方、排出口14はエラーが発生したハードディスク(HDD)を排出する開口部であり、排出方向切換板24によってエラーとなったハードディスク(HDD)を排出口14に導く。
【0026】
尚、排出方向切換部12の切換処理は排出方向切換板24の回転軸の設けられたステッピングモータ25を所定角度回転させることによって排出方向切換板24の位置を、例えば実線位置から点線位置、又は点線位置から実線位置に切り換える。
【0027】
次に、上記構成の本例のデータ消去装置1の操作処理を以下に説明する。
先ず、電源スイッチ8をオンし、本例のデータ消去装置1に電源供給を行い、電源ランプ9の点灯を確認する。次に、取手7を持って蓋6を開き、データ消去装置1の上面に設けられたHDD投入部5を開放する。そして、HDD投入部5から磁気消去を行うハードディスク(HDD)を投入する。上記操作によって、投入されたハードディスク(HDD)はスキャナー部2のストッパー16で保持され、例えば
図6に示すAの状態に保持される。
【0028】
スキャナー部2にハードディスク(HDD)が保持されると、直ちに2台のCCDカメラ15a、15bが駆動し、ハードディスク(HDD)の両面を撮影し、撮像画像がサーバに送られ、ハードディスク(HDD)に付されたバーコードの情報が読み取られる。本例の装置では2台のCCDカメラ15a、15bによってハードディスク(HDD)の両面の撮像画像を取得するので、ハードディスク(HDD)の何れの面にバーコードが付されていても確実にバーコードの情報を取得することができる。
【0029】
上記処理によってハードディスク(HDD)に付されたバーコードの情報が読み取られ、当該ハードディスク(HDD)の機種名やシリアルナンバー等の情報が取得される。そして、上記処理が終了すると、ストッパー16が駆動し、ハードディスク(HDD)を磁気データ消去部3に落下させる。すなわち、ストッパー16が点線矢印方向に回動し、ハードディスク(HDD)を磁気データ消去部3に送る。
【0030】
尚、スキャナー部2におけるバーコードの読み取り処理が不完全な場合、エラーが発生したものと判断して当該ハードディスク(HDD)を排出口14から排出する。この場合、直ちにストッパー16及び20を開放し、更に前述の排出方向切換部12に設けられた排出方向切換板24を同図の点線位置に回動し、エラーが発生したハードディスク(HDD)を排出口14からエラー収納用スッタッカ23に収納する。
【0031】
一方、バーコードの情報が正常に読み取られ、磁気データ消去部3に送られたハードディスク(HDD)は、磁気データ消去部3の下部に設けられたストッパー20によって停止し、磁気データ消去部3の中空部18に保持される。
図6に示すBはこの状態を示す。
ハードディスク(HDD)が上記位置に保持されると、不図示の電力供給回路から着磁コイル17に電流が流れ、着磁コイル17によって中空部18に磁界が形成される。この磁界によってハードディスク(HDD)は着磁され、磁気データが消去される。
【0032】
このようにして磁気データが消去されたハードディスク(HDD)は、以後ストッパー20が駆動し、当該ハードディスク(HDD)を排出方向切換部12に送る。この時、排出方向切換板24は同図に実線で示す位置に回動し、ハードディスク(HDD)を排出口13から正常なハードディスク(HDD)を収納するスタッカ22に排出する。
【0033】
尚、磁気データ消去部3において装置の故障や磁気データの消去処理が不完全な場合、エラーが発生したものと判断して当該ハードディスク(HDD)を排出口14に導く。すなわち、この場合ストッパー20を直ちに開放し、更に排出方向切換部12に設けられた排出方向切換板24を同図の点線位置に回動し、エラーが発生したハードディスク(HDD)を排出口14からエラー収納用スッタッカ23に排出する。
【0034】
以上のように、本例のデータ消去装置1を使用したハードディスク(HDD)の磁気データの消去処理は、バーコードからのハードディスク(HDD)の情報の読み取りと、当該ハードディスク(HDD)の消去処理を自動的に連続した一連の作業によって行うことができ、処理中での人の介在を無くし、ヒューマンエラーを防止して確実な磁気データの消去を行うことができる。すなわち、HDD投入部5からデータ消去装置1内に投入されたハードディスク(HDD)はデータが消去され排出口13からスタッカ22に排出されるまで、装置内で自動的にデータの消去処理が行われ、途中で作業者が介在する余地がなく、確実なデータの消去処理を行うことができる。
【0035】
また、作業中エラーが発生した場合には、前述のように自動的にストッパー16、20や、排出方向切換板24が駆動し、エラー用のスタッカ23に当該ハードディスク(HDD)を排出することができ、磁気データの消去処理が不完全な記録媒体を確実に排除することができる。
(第2の実施形態)
【0036】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図7は本例の実施形態を説明する図であり、データ消去装置27の内部構成を示す。尚、本例のデータ消去装置27は前述のデータ消去装置1と比較して、ハードディスク(HDD)を物理的に変形(破壊)する装置が追加された構成である。具体的には前述の磁気データ消去部3の下方に物理的破壊部28が設けられ、磁気データが消去されたハードディスク(HDD)に対して変形や穴あけ等の物理的は破壊処理を施す。以下、具体的に説明する。
【0037】
尚、前述の第1の実施形態で説明したスキャナー部2と磁気データ消去部3の構成については本例においても同様であり、以下では物理的破壊部28について説明する。
【0038】
図7に示すように、物理的破壊部28は前述の磁気データ消去部3の直下に設けられ、磁気データ消去部3によって磁気消去が行われたハードディスク(HDD)が送られてくる。本例の物理的破壊部28においても下部にハードディスク(HDD)を保持するストッパー29が設けられ、ハードディスク(HDD)を保持する。
【0039】
物理的破壊部28の一方の側面には先端形状がV字型である押圧部30が設けられ、不図示の油圧系統によって矢印方向に押圧可能に構成されている。一方、上記V字型の押圧部30の対面には真ん中に凹部が形成された押え板31が配設され、V字型の押圧部30と凹部が形成された押え板31によってハードディスク(HDD)に変形を加える構成である。
【0040】
図8は本例の物理的破壊部28にハードディスク(HDD)が送られた状態を示す図であり、ハードディスク(HDD)はストッパー29によって物理的破壊部28の位置に保持される。
図8に示すCはこの状態を示す。
【0041】
この状態で不図示の油圧系統を駆動し、V字型の押圧部30を矢印方向に押圧し、対面する凹部が形成された押え板31によってハードディスク(HDD)を挟持し、ハードディスク(HDD)を変形させ、ハードディスク(HDD)を物理的に破壊する。このハードディスク(HDD)の変形(破壊)処理が完了すると、V字型の押圧部30を元の位置に戻し、ストッパー29を駆動して破壊されたハードディスク(HDD)を排出方向切換部12に送る。この時、排出方向切換板24は実線位置に切り換わっており、排出口13からスタッカ22に排出される。
【0042】
尚、何らかの原因によって物理的破壊部28によるハードディスク(HDD)の破壊処理が不充分な場合、排出方向切換板24を点線位置に移動させ、ストッパー29を開いて排出口14からエラー用スタッカ23に当該ハードディスク(HDD)を排出させる。
【0043】
以上のように処理することによって、本例の物理的破壊部28を含むデータ消去装置27によれば、スタッカ22に排出されるハードディスク(HDD)には一定の変形(破壊)が施された状態であり、ハードディスク(HDD)のデータ消去が確実に行われると共に、データの消去が行われたハードディスク(HDD)の確認を目視で容易に行うことができる。
【0044】
また、例えば前述のV字型の押圧部30の先端を加工することによってハードディスク(HDD)の折り曲げ部に特徴を持たせ、スタッカ22に排出されるハードディスク(HDD)が本実施例のデータ消去装置27を使用して磁気消去が行われたものであるとの証明とすることもできる。
【0045】
さらに、V字型の押圧部30の先端を加工することによってハードディスク(HDD)の折り曲げ部に特定のマークを記録し、より確実に本実施例のデータ消去装置27を使用して磁気消去が行われた証明とする構成としてもよい。
【0046】
また、上記第2の実施形態のデータ消去装置27では物理的破壊部28を配設しており、この物理的破壊部28を使用して確実に磁気データの消去を行い、かつハードディスク(HDD)が変形(破壊)していることが、磁気データの消去が確実に行われた証明でもある。したがって、スキャナー部2又は磁気データ消去部3における処理の際、エラーとなったハードディスク(HDD)に対して物理的破壊部28による変形(破壊)処理を行うことなく、スタッカ22に排出することによって、変形(破壊)処理が施されていないハードディスク(HDD)をエラーと判定するように判断してもよい。
このように構成することによって、エラーのハードディスク(HDD)を収納するスタッカ23を省略することもできる。
【0047】
尚、上記第1、第2の実施形態の説明では、データ消去装置1又は27による磁気データの消去をハードディスク(HDD)で説明したが、ハードディスク(HDD)に限定される訳ではなく、磁気テープ等の磁気データが記憶された他の記録媒体に対しても同様に実施することができる。
【0048】
また、上記第1、第2の実施形態の説明ではスキャナー部2において2台のCCDカメラ15a、15bを使用してバーコードの情報を取得したが、ハードディスク(HDD)等の記録媒体の両面の情報を取得できる情報読み取り装置であれば、他の情報読取装置でも同様に使用することができる。
【0049】
また、スキャナー部2において読み取る記録媒体の情報は二次元バーコードや他の記録方法によって記録媒体に付された対応の情報であってもよい。
さらに、磁気データ消去部3についても本例の構成に限る訳ではなく、更に物理的破壊部28についても本例の構成に限る訳ではなく、種々の変形が可能である。
【0050】
また、上記第1の実施形態の説明ではスキャナー部2と磁気データ消去部3を使用して記録媒体の磁気データの消去を行い、第2の実施形態では物理的破壊部28を追加して確実に記録媒体の磁気データの消去を行う構成としたが、更に第3の実施形態として、スキャナー部2と物理的破壊部28を組み合わせたデータ消去装置の構造としてもよい。この場合、スキャナー部2による記録媒体の情報取得後、当該記録媒体を変形(破壊)して磁気データの消去を物理的に行う構造となる。
【符号の説明】
【0051】
1・・・データ消去装置
2・・・スキャナー部
3・・・磁気データ消去部
4・・・操作表示部
5・・・HDD投入部
6・・・蓋
7・・・取手
8・・・電源スイッチ
9・・・電源ランプ
10・・エラー表示ランプ
11・・液晶ディスプレイ
12・・ハードディスク(HDD)の排出方向切換部
13、14・・排出口
15a、15b・・CCDカメラ
16・・ストッパー
17・・着磁コイル
18・・中空部
19・・放熱板
20・・ストッパー
22・・スタッカ
23・・エラー収納用スタッカ
24・・排出方向切換板
25・・ステッピングモータ
27・・データ消去装置
28・・物理的破壊部
29・・ストッパー
30・・先端形状がV字型である押圧部
31・・凹部が形成された押え板