特許第6584997号(P6584997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6584997
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 1/00 20060101AFI20190919BHJP
【FI】
   F24C1/00 370B
   F24C1/00 370Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-82636(P2016-82636)
(22)【出願日】2016年4月18日
(65)【公開番号】特開2017-194174(P2017-194174A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2018年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】三宅 一也
(72)【発明者】
【氏名】武井 保
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 紀子
(72)【発明者】
【氏名】奥野 勉
(72)【発明者】
【氏名】初川 嘉一
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−042104(JP,A)
【文献】 特開2000−337635(JP,A)
【文献】 特開2005−155916(JP,A)
【文献】 実開昭52−111883(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにより熱風ファンを回転駆動させて、本体に設けた調理室内に熱風を供給する熱風ユニットを備え
前記調理室の室外下方に前記モータを配置した加熱調理器において、
前記調理室の室外奥方に前記熱風ファンを配置し、
前記熱風ファンを軸支する支持体を前記調理室に取付け固定し、
前記支持体は、前記調理室より下方に延びた脚部を備え、
該脚部は、前記本体の内部で、前記本体の底面を形成する底板に載せられており、前記調理室が前記脚部により前記底板から浮いた状態で支持されることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記支持体に回転検知手段を固定したことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記熱風ファンと前記モータとの間をプーリーとベルトとによる伝達機構で連結し、
前記伝達機構は、前記ベルトの張力を調節する補助プーリーを備えて構成されることを特徴とする請求項1または2記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理室内に熱風を供給して被調理物を加熱調理する熱風ユニットを備えた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の加熱調理器として、例えば特許文献1には、本体の内部を調理室と加熱室で区画し、加熱室内に熱風ヒータと熱風ファンとを設けて、熱風ヒータを通電しながら熱風モータにより熱風ファンを回転駆動させることにより、調理室内に熱風を循環供給する熱風循環方式のオーブンレンジが開示されている。
【0003】
また別の特許文献2には、調理室内への熱風の循環供給を行なうために、調理室の奥壁の室外側に、熱風モータや熱風ファンや熱風ヒータを含む熱風ユニットを備えた加熱調理器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−224658号公報
【特許文献2】特開2011−58751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1,2の加熱調理器は、熱風ファンの駆動源となる熱風モータが、本体の外部にあるか否かの違いはあるものの、何れも調理室の奥壁の室外側に熱風ユニットを設けて、そこから調理室内に向けて熱風を供給する構成となっている。しかし、熱風ユニットが付加される分、加熱調理器としての奥行き寸法が必然的に大きくなってしまい、製品のコンパクト化を実現できない。
【0006】
また、オーブンレンジのような加熱調理器では、製品の買い替え率が9割以上に達しているものの、今置かれている場所に置けないと、新たな製品を購入できないという課題がある。
【0007】
この点について、オーブンレンジの置き場所を調査したところ、一般的な置き場所はレンジ台の上やキッチンボードの中段で、全体の8割以上を占めており、何れの場合も買い替えの際には奥行き方向の制限が最も厳しいことがわかった。図8は、製品の奥行き寸法に対するキッチンボードへの設置率(キッチンボードへ設置できる割合)をグラフにしたものであるが、製品の奥行き寸法が430mmの場合は、キッチンボードへの設置率が45%に留まるのに対して、製品の奥行き寸法が400mm以下になると、キッチンボードへの設置率が80%以上となって、約1.8倍に飛躍的に向上する。このことから、製品の奥行き寸法が400mm以下になれば、今ある場所に製品を無理なく設置でき、製品の買い替えが促進されると考えられる。
【0008】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、製品のコンパクト化を実現して、今ある場所に製品を無理なく設置できる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、モータにより熱風ファンを回転駆動させて、本体に設けた調理室内に熱風を供給する熱風ユニットを備え前記調理室の室外下方に前記モータを配置した加熱調理器において、前記調理室の室外奥方に前記熱風ファンを配置し、前記熱風ファンを軸支する支持体を前記調理室に取付け固定し、前記支持体は、前記調理室より下方に延びた脚部を備え、該脚部は、前記本体の内部で、前記本体の底面を形成する底板に載せられており、前記調理室が前記脚部により前記底板から浮いた状態で支持されるものである。
【0010】
また本発明は、前記支持体に回転検知手段を固定したものである。
【0011】
また本発明は、前記熱風ファンと前記モータとの間をプーリーとベルトとによる伝達機構で連結し、前記伝達機構は、前記ベルトの張力を調節する補助プーリーを備えて構成される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、熱風ファンを回転駆動させるモータを、調理室の室外奥方にではなく室外下方に配置することで、熱風ユニットを備えた構成でありながら、加熱調理器の奥行き寸法を抑制することができる。そのため、製品のコンパクト化を実現して、今ある場所に製品を無理なく設置できる。また、本来は熱風ファンを軸支するために、調理室に取付け固定された支持体の脚部を利用して、加熱調理器の底面から浮かせた状態で調理室を支持することが可能となり、調理室の自重の影響を受けずにモータを設置できる。
【0014】
請求項2の発明によれば、支持体に回転検知手段を固定することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、プーリーとベルトとによる伝達機構を用いて、加熱調理器の奥行き寸法を増やさずに、モータの駆動力を熱風ファンへ簡単に伝達することが可能となる。また、補助プーリーがベルトの張力を適切に調節することで、モータの低振動化や静音化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第一実施形態を示すオーブンレンジの外観斜視図である。
図2】同上、扉を開けた時の正面前方から見た図である。
図3】同上、側面から見た縦断面図である。
図4】同上、キャビネットやオーブン後板を外した状態の本体後方から見た図である。
図5】同上、キャビネットを外した状態の本体の正面図である。
図6】同上、熱風ユニットや伝達機構を示す背面図である。
図7】同上、変形例として補助プーリーを備えた伝達機構とその周辺の構成を示す要部図面である。
図8】製品の奥行き寸法に対するキッチンボードへの設置率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明における好ましい加熱調理器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、これらの全図面にわたり、共通する部分には共通する符号を付すものとする。
【0019】
図1図7は、本発明の加熱調理器をオーブンレンジに適用した一実施形態を示している。先ず基本的な構成を説明すると、1は略矩形箱状に構成される本体で、この本体1は、製品となるオーブンレンジの外郭を覆う部材として、金属製のキャビネット2を備えている。また3は、本体1の前面に設けられる開閉自在な扉である。
【0020】
扉3の上部には、縦開きの扉3を開閉するときに手をかける開閉操作用のハンドル4を備えており、扉3の下部には、表示や報知や操作のための操作パネル部5を備えている。操作パネル部5は、調理の設定内容や進行状況などを表示する表示手段6の他に、加熱調理に関する各種の操作入力を可能にする操作手段7が配設される。扉3の内部で操作パネル部5の後側には、図示しないが、表示手段6や操作手段7などの制御を行なうために、操作パネルPC(印刷回路)板が配置される。
【0021】
本体1の左右側面と上面を形成するキャビネット2は、本体1ひいてはオーブンレンジの底面を形成するオーブン底板11を覆うように、本体1の前面を形成するオーブン前板12と、本体1の後面を形成するオーブン後板13との間に設けられる。また本体1には、加熱調理すべき被調理物Sを内部に収容する調理室14と、調理室14の温度を検知する温度検知素子たるサーミスタ15が設けられる。調理室14の前面はオーブン前板12に達していて、被調理物Sを出し入れするのに開口しており、この開口を扉3で開閉する構成となっている。
【0022】
調理室14を形成する周壁は、天井壁14aと、底壁14bと、左側壁14cと、右側壁14dと、奥壁14eとからなる。調理室14の奥壁14eは、その中央に吸込み口16を備えており、吸込み口16の周囲には複数の熱風吹出し口17を備えている。また、調理室14の上壁面となるドーム状の天井壁14aに対向して、本体1の上部には、調理室14の上方から被調理物Sを輻射加熱するグリル用の上ヒータ18が設けられ、本体1の底部には、調理室14内に電波であるマイクロ波を供給するために、マグネトロンを含むマイクロ波発生装置19が設けられる。これにより、上ヒータ18への通電に伴う熱放射によって、調理室14内に収容した被調理物Sを上方向からグリル加熱し、またマイクロ波発生装置19への通電動作により、調理室14内に収容した被調理物Sにマイクロ波を放射して、被調理物Sをレンジ加熱する構成となっている。
【0023】
調理室14の左側壁14cと右側壁14dには、調理室14の内部に金属製の角皿21を吊設状態で収納保持するために、左右一対の棚支え22を上下二段に備えている。ここで使用する角皿21は、上面を開口した有底凹状で、その他は無孔に形成される収容部21Aと、収容部21Aの上端より外側水平方向に延設するフランジ部21Bとにより構成される。またフランジ部21Bには、角皿21を通して熱風の流通を可能にする通気孔21Cが開口形成される。図2では、調理室14の内部で下段の棚支え22に角皿21のフランジ部21Bを載せて、収容部21Aに被調理物Sを載せた状態を示しているが、調理に応じて角皿21を上段の棚支え22にだけ載せたり、2枚の角皿21を上段と下段の棚支え22に各々載せたりしてもよく、角皿21に代えて別な焼き網(図示せず)などの付属品を収納保持することもできる。
【0024】
24は、本体1の内部において、調理室14の室外後方から下方にかけて具備されるオーブン加熱用の熱風ユニットである。この熱風ユニット24は、奥壁14eに取付けられる凸状のケーシング26と、空気を加熱する熱風ヒータ27と、調理室14内に加熱した空気を送り込んで循環させる熱風ファン28と、熱風ファン28を所定方向に回転させる電動の熱風モータ29と、熱風モータ29からの駆動力を熱風ファン28に伝達する伝達機構30と、により概ね構成される。奥壁14eとケーシング26との間の内部空間として、調理室14の室外後方に形成された加熱室31には、熱風ヒータ27と熱風ファン28がそれぞれ配設される一方で、本体1の内部に形成された調理室14とオーブン底板11との間の下部空間32には、熱風モータ29が配設される。そして、熱風ユニット24全体を後側外方から覆うように、本体1の後部にオーブン後板13が配設される。
【0025】
本実施形態の熱風ファン28は、軸方向に取り入れた空気を、回転時の遠心力によって、軸方向と直角な放射方向に吐き出すいわゆる遠心ファンとして設けられており、管状の熱風ヒータ27は熱風ファン28の放射方向を取り囲んで配置される。発熱部でもある熱風ヒータ27は、例えばシーズヒータ、マイカヒータ、石英管ヒータやハロゲンヒータなどを用いる。前述した吸込み口16や熱風吹出し口17は、調理室14と加熱室31との間を連通する通風部として機能するものである。
【0026】
そして本実施形態では、熱風モータ29への通電に伴い熱風ファン28が回転駆動すると、調理室14の内部から吸込み口16を通して吸引された空気が、熱風ファン28の放射方向に吹出して、通電した熱風ヒータ27により加熱され、熱風吹出し口17を通過して、調理室14内に熱風が供給される。これにより、調理室14の内外で熱風を循環させる経路が形成され、調理室14内の被調理物Sを熱風コンベクション加熱する。また、角皿21の周囲にスリット状の通気孔21Cを設けることで、例えば上下2段の棚支え22に各々角皿21を各々載せて、熱風ユニット24を利用したオーブン加熱調理を行なった場合でも、各角皿21の通気孔21Cを通して調理室14内で熱風が上下に循環するため、被調理物Sとなる食品を前後左右から包み込んで焼き上げることが可能になる。
【0027】
さらに、調理室14の左側壁14cには、蒸気発生装置(図示せず)に連通する蒸気噴出孔33が設けられる。これにより、蒸気発生装置の動作中は、蒸気噴出口33から調理室14の内部に飽和蒸気や過熱蒸気が供給され、調理室14内に入れられた被調理物Sのスチーム調理を行なう構成となっている。
【0028】
次に、オーブンレンジの細部構成について説明すると、熱風ファン28は、その回転軸となるシャフト34を中心として、シャフト34の周囲に複数枚のブレード35を放射状に配置して構成される。シャフト34の基端は、本体1の後方に向けて加熱室31の外方へ突出しており、ここに従動側のプーリー36Bが取付け固定される。また熱風モータ29には、本体1の後方に向けて突出する回動可能なモータ軸37に、主動側のプーリー36Aが取付け固定される。これらのプーリー36A,36Bの間には無端状のベルト38が懸架され、プーリー36A,36Bとベルト38からなる伝達機構30が、熱風ファン28と熱風モータ29とを連結する構成となっている。図示しないが、ベルト38の断面は例えば矩形状や台形状の他、様々な形状とすることができる。
【0029】
伝達機構30はその他に、熱風ファン28のシャフト34を所定の位置で軸支するための支持体41を備えている。支持体41は、ベルト38の側部を取り囲んでケーシング26の後外面に取付け固定され、熱風ファン28のシャフト34や熱風モータ29のモータ軸37が挿通するケース部材42と、シャフト34を回動可能に支持するのに、プーリー36Bを部分的に覆ってケース部材42に取付け固定されたホルダー部材43と、により構成される。特に本実施形態のケース部材42は、調理室14の底壁14bより下方に延びた脚部44を一体的に形成しており、脚部44の底面を本体1のオーブン底板11上に載せて、調理庫14の後部を脚部44で支えることで、熱風モータ29を収容し得る程の大きさの下部空間32が、調理室14とオーブン底板11との間に形成される。またケース部材42には、熱風ファン28の回転速度を検知するために、プーリー36Aに近接配置された非接触の検知センサ45が配設される。
【0030】
図4に示すように、熱風ファン28のシャフト34は、伝達機構30により調理室14の奥壁14eのほぼ中央に配置される一方で、熱風モータ29とそのモータ軸37は、調理室14の底壁面となる底壁14bよりも下方一側に偏って配置され、ケース部材42はシャフト34とモータ軸37とを結ぶ直線上に沿って設けられる。このように、熱風ファン28と熱風モータ29は、本体1の内部で離れた位置に設けられているが、プーリー36A,36Bとベルト38とを組み合わせた伝達機構30によって、熱風モータ29からの回転駆動力を熱風ファン28に円滑に伝えることができる。また、熱風モータ29を調理室14より十分に離すことで、調理室14からの熱影響を防ぐことができる。
【0031】
図7は、伝達機構30に補助プーリー47A,47Bを備えた変形例を示している。同図において、補助プーリー47A,47Bは、熱風モータ29側に取付けたプーリー36Aの近傍にあって、プーリー36Aに巻き掛けられるベルト38の範囲を増加させるように設けられる。ここでは、2個の補助プーリー47A,47Bを設けているが、何れか一方のみであってもよく、また熱風ファン28側のプーリー36Bの近傍にも同様の補助プーリーを設けてもよい。何れにせよ、こうした補助プーリー47A,47Bがベルト38の張力を適切に調節し、プーリー36A,36Bとベルト38との間の滑りを防止することで、熱風モータ29の低振動化や静音化を実現できる。
【0032】
次に、本実施形態におけるオーブンレンジの各部寸法について説明する。図3に示すように、本実施形態では熱風ファン28の駆動源となる熱風モータ29を、調理室14の室外奥方にではなく室外下方に、且つモータ軸37の先端部以外がケース部材42から後方に突出しないように配置されている。これにより、扉3の前端から本体1の後端となるオーブン後板13の後端までの製品の奥行き寸法Dを400mm以下の399mmに薄型化することができ、市販される80%以上のキッチンボードに、本実施形態のオーブンレンジを無理なくそのまま設置できる。しかも、ハンドル4を含めた奥行き寸法Dhを440mmにすることで、例えば奥行き寸法が450mm程度の家具であってもハンドル4が出っ張らず、扉付きの収納家具であっても、扉にハンドル4が当たることなく製品を設置できる。
【0033】
また本実施形態では、本体1の下部空間32で、マイクロ波発生装置19などの他の部品に熱風モータ29が干渉しないように、これらの部品と熱風モータ29とを水平方向に並べて配置することで、本体1の下端から上端までの製品の高さ寸法Hを388mmに抑えている。したがって、製品の奥行き寸法D,Dhのみならず高さ寸法Hを含めて、製品のコンパクト化を実現できる。
【0034】
さらに、オーブンレンジの幅寸法Wは図1に示すように489mmであり、総庫内容量30Lでは、調理室14の間口幅寸法Wmが図2に示すように415mmとなっている。これにより、調理室14内に大きな皿をそのまま入れたり、耐熱ボウルや2つの皿を余裕で入れたりすることができる。また、調理室14内の最大高さ寸法Hmは241mmで、下段の棚支え22に角皿21を載せたときに、角皿21の収容部21Aから天井壁14aまでの高さが約200mmとなっており、例えば図2に示すようなシフォンケーキの被調理物Sを調理室14内で角皿21に載せたときに、被調理物Sの上に十分なスペースを確保でき、熱風ユニット24でオーブン加熱する場合に、被調理物Sへの熱のまわりが良く、ムラを少なく焼き上げることが可能になる。
【0035】
その他、上記構成のオーブンレンジについてその作用を説明すると、予め調理室14内に被調理物Sを入れた状態で、ハンドル4を手で握りながら扉3を閉め、操作手段7により調理メニューを選択操作した後に調理開始を指示すると、図示しない制御手段の記憶部に組み込まれたプログラムに従って、選択した調理メニューに対応して生成された制御信号が所定のタイミングで出力され、被調理物Sが加熱調理される。ここで、例えばオーブン加熱の調理メニューを選択した場合、制御手段からの制御信号によって熱風ヒータ27と熱風モータ29が各々通電され、熱風モータ29のモータ軸37に発生した回転力が、伝達機構30を通して熱風ファン28のシャフト34に伝達する。
【0036】
伝達機構30は、モータ軸37と共に主動側のプーリー36Aが回転すると、ベルト38が走行して従動側のプーリー36Bひいてはシャフト34を回転させるもので、調理室14の室外下方に配置された熱風モータ29から、調理室14の室外後方の離れた位置にある熱風ファン28に向けて、簡単な構造でありながら円滑に回転駆動力を伝達させることができる。また、図7に示すような補助プーリー47A,47Bで、プーリー36Aに巻き掛けられるベルト38の範囲を増加させるように、ベルト38を外側から押し付けるのが好ましい。それにより、プーリー36A,36Bとベルト38との間の滑りを防止して、熱風モータ29の低振動化や静音化を実現できる。
【0037】
こうして熱風ファン28が加熱室31の内部で回転すると、その速度は検知センサ45により制御手段に取り込まれると共に、調理室14から吸込み口16を通して加熱室31に吸込んだ空気を、通電した熱風ヒータ27側に送り出し、ここで加熱された空気が熱風吹出し口17を通して調理室14に熱風として供給されることで、調理室14内の被調理物が熱風コンベクション加熱される。
【0038】
また本実施形態では、支持体41を構成するケース部材42の脚部44を、本体1の内部でオーブン底板11上に載せることで、ケーシング26を含む調理室14を支持体41により所定の高さに保持している。これにより、調理室14とオーブン底板11との間に所定の下部空間32を形成して、その下部空間32に調理室14の自重の影響を受けることなく熱風モータ29を設置できる。また、調理室14の室外後方において、ケース部材42は伝達機構30を取り囲むように設けられているので、そのケース部材42にファンホルダー部材43や検知センサ45を支障なく取付け固定することができる。
【0039】
以上のように、本実施形態の加熱調理器は、モータである熱風モータ29により熱風ファン28を回転駆動させて、本体1に設けた調理室14内に熱風を循環供給する熱風ユニット24を備えたオーブンレンジであって、特に本体1の内部で、調理室14の室外下方に形成した下部空間32に、熱風モータ29を配置している。
【0040】
この場合、熱風ファン28を回転駆動させる熱風モータ29を、調理室14の室外奥方にではなく室外下方に配置することで、熱風ユニット24を備えた構成でありながら、加熱調理器となるオーブンレンジの奥行き寸法Dを抑制することができる。そのため、製品のコンパクト化を実現して、今ある場所に製品を無理なく設置できる。
【0041】
また本実施形態では、調理室14の室外奥方に熱風ファン28を配置し、熱風ファン28を軸支する支持体41を、調理室14の奥壁14eにケーシング26を介して取付け固定し、この支持体41が調理室14より下方に延びた脚部44を備え、脚部44は、本体1の内部で当該本体1の底面を形成する底板となるオーブン底板11に載せられており、調理室14が脚部44によりオーブン底板11から浮いた状態で支持されている。
【0042】
この場合、本来は熱風ファン28を軸支するために、調理室14に取付け固定された支持体41の脚部44を利用して、オーブンレンジの底面となるオーブン底板11から浮かせた状態で、調理室14を支持することが可能となり、調理室14の自重の影響を受けずに熱風モータ29を設置できる。
【0043】
また本実施形態では、熱風ファン28と熱風モータ29との間を、プーリー36A,36Bとベルト38とによる伝達機構30で連結し、この伝達機構30はベルト38の張力を調節する補助プーリー47A,47Bを備えて構成される。
【0044】
この場合、プーリー36A,36Bとベルト38とによる伝達機構30を用いて、オーブンレンジの奥行き寸法Dを増やさずに、熱風モータ29の駆動力を熱風ファン28へ簡単に伝達することが可能となる。また、補助プーリー47A,47Bがベルト38の張力を適切に調節することで、熱風モータ29の低振動化や静音化を実現できる。
【0045】
また本実施形態では、熱風モータ29を調理器14の室外下方に配置することで、奥行き寸法Dが400mm以下に形成される。図8のグラフでも示したように、加熱調理器となるオーブンレンジの奥行き寸法Dを400mm以下とすることにより、レンジ台やキッチンボードへの設置率を飛躍的に向上させることができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、伝達機構30や支持体41などの構成は、本実施形態で示したものに限定されず、同様の機能を達成できれば適宜修正や変更が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 本体
11 オーブン底板(底板)
14 調理室
24 熱風ユニット
28 熱風ファン
29 熱風モータ(モータ)
30 伝達機構
36A,36B プーリー
38 ベルト
41 支持体
44 脚部
45 検知センサ(回転検知手段)
47A,47B 補助プーリー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8