(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラは、ショベルの姿勢に関する情報である、前記掘削アタッチメントの角度に関する情報、ショベルの傾斜角度に関する情報、及び、前記下部走行体に対する前記上部旋回体の旋回角度に関する情報に基づき、ショベルの掘削作業中に掘削対象から受ける掘削反力によってショベルが引き摺られないように前記アームシリンダの圧力を制御する、
請求項1乃至3の何れかに記載のショベル。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係るショベルを示す側面図である。
【0014】
ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはバケット6が取り付けられている。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、掘削アタッチメントを構成し、油圧シリンダであるブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、且つエンジン等の動力源が搭載される。
【0015】
図2は、
図1のショベルの駆動系の構成例を示すブロック図である。
図2において、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは太実線、パイロット油圧ラインは破線、電気駆動・制御系は一点鎖線でそれぞれ示されている。
【0016】
機械式駆動部としてのエンジン11の出力軸には、油圧ポンプとしてのメインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されている。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。また、パイロットポンプ15には、パイロット油圧ライン25を介して操作装置26が接続されている。また、メインポンプ14は、ポンプ1回転当たりの吐出流量がレギュレータ13によって制御される可変容量型油圧ポンプである。
【0017】
コントロールバルブ17は、ショベルにおける油圧系の制御を行う装置である。下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、旋回油圧モータ21等の油圧アクチュエータは、高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17に接続されている。
【0018】
操作装置26は、油圧アクチュエータを操作するための装置であり、レバー及びペダルを含む。操作装置26は、パイロット油圧ライン27及び28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29にそれぞれ接続されている。圧力センサ29は、電気系の駆動制御を行うコントローラ30に接続されている。
【0019】
コントローラ30は、ショベルの駆動制御を行う主制御部である。本実施例では、コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータである。コントローラ30は、例えば、各種制御に対応するプログラムをROMから読み出してRAMに展開し、各種制御に対応する処理をCPUに実行させる。
【0020】
圧力センサ31は、油圧シリンダの油室における作動油の圧力を検出するセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0021】
姿勢センサ32は、ショベルの姿勢を検出するセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0022】
図3は、
図1のショベルに搭載される掘削支援システム100の構成例を示す概略図である。
図3では、
図2と同様に、高圧油圧ラインが太実線で示され、パイロット油圧ラインが破線で示され、電気駆動・制御系が一点鎖線で示される。また、
図3は、ブーム上げ操作及びアーム閉じ操作を含む複合掘削操作が行われているときの状態を示す。
【0023】
掘削支援システム100は、操作者によるショベルを用いた掘削作業のための操作を支援するシステムである。本実施例では、掘削支援システム100は、主に、圧力センサ29A、29B、コントローラ30、圧力センサ31A〜31C、姿勢センサ32A〜32E、表示装置33、音声出力装置34、及び電磁比例弁41、42を含む。
【0024】
圧力センサ29Aは、圧力センサ29の1つであり、操作装置26であるアーム操作レバー26Aの操作状態を検出し、検出結果をコントローラ30に対して出力する。
【0025】
圧力センサ29Bは、圧力センサ29の1つであり、操作装置26であるブーム操作レバー26Bの操作状態を検出し、検出結果をコントローラ30に対して出力する。
【0026】
圧力センサ31Aは、圧力センサ31の1つであり、アームシリンダ8のロッド側油室8Rにおける作動油の圧力を検出し、検出結果をコントローラ30に対して出力する。本実施例では、ロッド側油室8Rは、アーム5が閉じる際の収縮側油室に相当する。
【0027】
圧力センサ31Bは、圧力センサ31の1つであり、ブームシリンダ7のロッド側油室7Rにおける作動油の圧力を検出し、検出結果をコントローラ30に対して出力する。本実施例では、ロッド側油室7Rは、ブーム4が上昇する際の収縮側油室に相当する。また、ブームシリンダ7のボトム側油室7Bは、ブーム4が上昇する際の伸長側油室に相当する。
【0028】
圧力センサ31Cは、圧力センサ31の1つであり、アームシリンダ8のボトム側油室8Bにおける作動油の圧力を検出し、検出結果をコントローラ30に対して出力する。本実施例では、ボトム側油室8Bは、アーム5が閉じる際の伸長側油室に相当する。
【0029】
アーム角度センサ32Aは、姿勢センサ32の1つであり、例えばポテンショメータであって、ブーム4に対するアーム5の開閉角度(以下、「アーム角度」とする。)を検出し、検出結果をコントローラ30に対して出力する。
【0030】
ブーム角度センサ32Bは、姿勢センサ32の1つであり、例えばポテンショメータであって、上部旋回体3に対するブーム4の俯仰角度(以下、「ブーム角度」とする。)を検出し、検出結果をコントローラ30に対して出力する。
【0031】
バケット角度センサ32Cは、姿勢センサ32の1つであり、例えばポテンショメータであって、アーム5に対するバケット6の開閉角度(以下、「バケット角度」とする。)を検出し、検出結果をコントローラ30に対して出力する。
【0032】
旋回角度センサ32Dは、姿勢センサ32の1つであり、下部走行体1に対する上部旋回体3の旋回角度を検出し、検出結果をコントローラ30に対して出力する。
【0033】
傾斜角度センサ32Eは、姿勢センサ32の1つであり、水平面に対するショベルの接地面の傾斜角度を検出し、検出結果をコントローラ30に対して出力する。
【0034】
表示装置33は、各種情報を表示するための装置であり、例えば、ショベルの運転室に設置される液晶ディスプレイである。表示装置33は、コントローラ30からの制御信号に応じて掘削支援システム100に関する各種情報を表示する。
【0035】
音声出力装置34は、各種情報を音声出力するための装置であり、例えば、ショベルの運転室に設置されるスピーカである。音声出力装置34は、コントローラ30からの制御信号に応じて掘削支援システム100に関する各種情報を音声出力する。
【0036】
電磁比例弁41は、コントロールバルブ17の1つであるアーム切換弁17Aとアーム操作レバー26Aとの間のパイロット油圧ライン上に配置される弁である。そして、電磁比例弁41は、コントローラ30からの制御電流に応じてアーム切換弁17Aにおけるアーム閉じ操作用パイロットポートにかかるパイロット圧を制御する。本実施例では、電磁比例弁41は、制御電流を受けない場合に、一次側圧(アーム操作レバー26Aが出力するアーム閉じ操作用のパイロット圧)と二次側圧(アーム閉じ操作用パイロットポートにかかるパイロット圧)とが同じになるように構成される。また、電磁比例弁41は、コントローラ30からの制御電流が増大するにつれて、二次側圧が一次側圧よりも小さくなるように構成される。
【0037】
電磁比例弁42は、コントロールバルブ17の1つであるブーム切換弁17Bとブーム操作レバー26Bとの間のパイロット油圧ライン上に配置される弁である。そして、電磁比例弁42は、コントローラ30からの制御電流に応じてブーム切換弁17Bにおけるブーム上げ操作用パイロットポートにかかるパイロット圧を制御する。本実施例では、電磁比例弁42は
、コントローラ30からの制御電流
に応じてブーム上げ操作用パイロットポートにかかるパイロット圧を増大させる。
【0038】
コントローラ30は、各種センサ29A、29B、31A〜31C、32A〜32Eの出力を得て、各種機能要素による演算を行い、その演算結果を表示装置33、音声出力装置34、及び電磁比例弁41、42に対して出力する。
【0039】
各種機能要素は、掘削操作検出部300、姿勢検出部301、許容最大圧力算出部302、ブームシリンダ圧制御部303、アームシリンダ圧制御部304を含む。
【0040】
掘削操作検出部300は、掘削操作が行われたことを検出する機能要素である。本実施例では、掘削操作検出部300は、アーム閉じ操作及びブーム上げ操作を含む複合掘削操作が行われたか否かを検出する。具体的には、掘削操作検出部300は、ブーム上げ操作が検出され、ブームシリンダ7のロッド側油室7Rの圧力が所定値α以上であり、且つ、アームシリンダ8のボトム側油室8Bの圧力からロッド側油室8Rの圧力を差し引いた圧力差が所定値β以上の場合に、複合掘削操作が行われたことを検出する。また、掘削操作検出部300は、アーム閉じ操作が検出されたことを追加的な条件として複合掘削操作が行われたことを検出してもよい。なお、掘削操作検出部300は、圧力センサ29A、29B、31A〜31Cの出力に加え、或いはそれらに代えて、姿勢センサ32等の他のセンサの出力を用いて複合掘削操作が行われたか否かを検出してもよい。
【0041】
また、掘削操作検出部300は、アーム閉じ操作を含むアーム掘削操作が行われたか否かを検出してもよい。具体的には、掘削操作検出部300は、アーム閉じ操作が検出され、ブームシリンダ7のロッド側油室7Rの圧力が所定値α以上であり、且つ、アームシリンダ8のボトム側油室8Bの圧力からロッド側油室8Rの圧力を差し引いた圧力差が所定値β以上の場合に、アーム掘削操作が行われたことを検出する。なお、アーム掘削操作は、アーム閉じ操作のみの単独操作、アーム閉じ操作とブーム上げ操作又はブーム下げ操作との組み合わせである複合操作、アーム閉じ操作とバケット閉じ操作との組み合わせである複合操作を含む。
【0042】
姿勢検出部301は、ショベルの姿勢を検出する機能要素である。本実施例では、姿勢検出部301は、ブーム角度、アーム角度、バケット角度、傾斜角度、及び、旋回角度をショベルの姿勢として検出する。具体的には、姿勢検出部301は、姿勢センサ32A〜32Cの出力に基づいてブーム角度、アーム角度、バケット角度を検出する。また、姿勢検出部301は、姿勢センサ32Dの出力に基づいて旋回角度を検出する。また、姿勢検出部301は、姿勢センサ32Eの出力に基づいて傾斜角度を検出する。なお、姿勢検出部301によるショベルの姿勢の検出についてはその詳細を後述する。
【0043】
許容最大圧力算出部302は、掘削作業中の機体の意図しない動きを防止するために把握しておく必要がある、各種油圧シリンダにおける作動油の許容最大圧力を算出する機能要素である。本実施例では、許容最大圧力算出部302は、掘削作業中の機体の浮き上がりを防止するために把握しておく必要がある、ブームシリンダ7のロッド側油室7Rの許容最大圧力を算出する。この場合、ブームシリンダ7のロッド側油室7Rの圧力がその許容最大圧力を超えることは、ショベルの機体が浮き上がるおそれがあることを意味する。また、許容最大圧力算出部302は、掘削作業中に機体が掘削地点のほうに引き摺られるのを防止するために把握しておく必要がある、アームシリンダ8のボトム側油室8Bの許容最大圧力を算出する。この場合、アームシリンダ8のボトム側油室8Bの圧力がその許容最大圧力を超えることは、ショベルの機体が掘削地点のほうに引き摺られるおそれがあることを意味する。なお、許容最大圧力算出部302による許容最大圧力の算出についてはその詳細を後述する。
【0044】
ブームシリンダ圧制御部303は、掘削作業中の機体の意図しない動きを防止するためにブームシリンダ7における作動油の圧力を制御する機能要素である。本実施例では、ブームシリンダ圧制御部303は、ショベルの機体の浮き上がりを防止するために、ブームシリンダ7のロッド側油室7Rにおける作動油の圧力を許容最大圧力以下に制御する。具体的には、ブームシリンダ圧制御部303は、複合掘削動作が行われている場合に、ロッド側油室7Rの圧力が上昇して許容最大圧力以下の所定圧力に達すると、電磁比例弁42に対して制御電流を出力する。そして、ブームシリンダ圧制御部303は、
ブーム上げ操作用パイロットポートにかかるパイロット圧を増大させる。その結果、ロッド側油室7Rからタンクに流出する作動油の流量が増大し、ロッド側油室7Rの圧力が低下する。また、ブーム4の上昇速度が増大する。このようにして、ブームシリンダ圧制御部303は、ロッド側油室7Rの圧力を所定圧力未満にし、ロッド側油室7Rの圧力が許容最大圧力を超過するのを防止し、ショベルの機体が浮き上がるのを防止する。
【0045】
また、ブームシリンダ圧制御部303は、電磁比例弁42に対して制御電流を出力した場合には、表示装置33及び音声出力装置34の少なくとも一方に制御信号を出力する。そして、ブームシリンダ圧制御部303は、ブーム上げ操作用パイロットポートにかかるパイロット圧を自動調整した旨を表すテキストメッセージを表示装置33に表示させる。また、ブームシリンダ圧制御部303は、その旨を表す音声メッセージや警報音を音声出力装置34から音声出力させる。操作者によるブーム操作レバー26Bを用いたブーム上げ操作に調整が加えられていることを操作者に伝えるためである。
【0046】
アームシリンダ圧制御部304は、掘削作業中の機体の意図しない動きを防止するためにアームシリンダ7における作動油の圧力を制御する機能要素である。本実施例では、アームシリンダ圧制御部304は、ショベルの機体の浮き上がりを防止するために、アームシリンダ8のボトム側油室8Bにおける作動油の圧力を許容最大圧力以下に制御する。具体的には、アームシリンダ圧制御部304は、複合掘削動作が行われている場合に、ボトム側油室8Bの圧力が上昇して許容最大圧力以下の所定圧力に達すると、電磁比例弁41に対して制御電流を出力する。そして、アームシリンダ圧制御部304は、電磁比例弁41の一次側圧(アーム操作レバー26Aが出力するアーム閉じ操作用のパイロット圧)よりも二次側圧(アーム閉じ操作用パイロットポートにかかるパイロット圧)を小さくする。その結果、メインポンプ14からボトム側油室8Bに流入する作動油の流量が減少し、ボトム側油室8Bの圧力が低下する。また、アーム5の閉じ速度が低下する。このようにして、アームシリンダ圧制御部304は、ボトム側油室8Bの圧力を所定圧力未満にし、ボトム側油室8Bの圧力が許容最大圧力を超過するのを防止し、ショベルの機体が浮き上がるのを防止する。また、アームシリンダ圧制御部304は、必要に応じて、メインポンプ14からボトム側油室8Bに流入する作動油の流量が消失するまで電磁比例弁41の二次側圧を小さくしてもよい。すなわち、操作者によるアーム閉じ操作が行われている場合であってもアーム5の閉じ動作を停止させてもよい。ショベルの機体が浮き上がるのを確実に防止するためである。
【0047】
また、アームシリンダ圧制御部304は、ショベルの機体が掘削地点のほうに引き摺られるのを防止するために、アームシリンダ8のボトム側油室8Bにおける作動油の圧力を許容最大圧力以下に制御する。具体的には、アームシリンダ圧制御部304は、アーム掘削作業が行われている場合に、ボトム側油室8Bの圧力が上昇して許容最大圧力以下の所定圧力に達すると、電磁比例弁41に対して制御電流を出力する。その結果、メインポンプ14からボトム側油室8Bに流入する作動油の流量が減少し、ボトム側油室8Bの圧力が低下する。また、アーム5の閉じ速度が低下する。このようにして、アームシリンダ圧制御部304は、ボトム側油室8Bの圧力を所定圧力未満にし、ボトム側油室8Bの圧力が許容最大圧力を超過するのを防止し、ショベルの機体が掘削地点のほうに引き摺られるのを防止する。また、アームシリンダ圧制御部304は、必要に応じて、メインポンプ14からボトム側油室8Bに流入する作動油の流量が消失するまで電磁比例弁41の二次側圧を小さくしてもよい。すなわち、操作者によるアーム閉じ操作が行われている場合であってもアーム5の閉じ動作を停止させてもよい。ショベルの機体が掘削地点のほうに引き摺られるのを確実に防止するためである。
【0048】
また、アームシリンダ圧制御部304は、ブームシリンダ圧制御部303と同様、電磁比例弁41に対して制御電流を出力した場合には、表示装置33及び音声出力装置34の少なくとも一方に制御信号を出力する。操作者によるアーム操作レバー26Aを用いたアーム閉じ操作に調整が加えられていることを操作者に伝えるためである。
【0049】
次に、
図4を参照しながら、姿勢検出部301によるショベルの姿勢の検出、及び、許容最大圧力算出部302による許容最大圧力の算出について説明する。なお、
図4は、複合掘削操作による掘削が行われる際にショベルに作用する力の関係を示す概略図である。
【0050】
ここでは、最初に、掘削作業中に機体が浮き上がるのを防止するための制御に関するパラメータについて説明する。
【0051】
図4において、点P1は、上部旋回体3とブーム4との連結点を示し、点P2は、上部旋回体3とブームシリンダ7のシリンダとの連結点を示す。また、点P3は、ブームシリンダ7のロッド7Cとブーム4との連結点を示し、点P4は、ブーム4とアームシリンダ8のシリンダとの連結点を示す。また、点P5は、アームシリンダ8のロッド8Cとアーム5との連結点を示し、点P6は、ブーム4とアーム5との連結点を示す。また、点P7は、アーム5とバケット6との連結点を示し、点P8は、バケット6の先端を示す。なお、
図4は、説明の明瞭化のため、バケットシリンダ9の図示を省略している。
【0052】
また、
図4は、点P1及び点P3を結ぶ直線と水平線との間の角度をブーム角度θ1とし、点P3及び点P6を結ぶ直線と点P6及び点P7を結ぶ直線との間の角度をアーム角度θ2とし、点P6及び点P7を結ぶ直線と点P7及び点P8を結ぶ直線との間の角度をバケット角度θ3として示す。
【0053】
さらに、
図4において、距離D1は、機体の浮き上がりが発生するときの回転中心RCとショベルの重心GCとの間の水平距離、すなわち、ショベルの質量M及び重力加速度gの積である重力M・gの作用線と回転中心RCとの間の距離を示す。そして、距離D1と重力M・gの大きさとの積は、回転中心RC周りの第1の力のモーメントの大きさを表す。
【0054】
また、
図4において、距離D2は、回転中心RCと点P8との間の水平距離、すなわち、掘削反力F
Rの鉛直成分F
R1の作用線と回転中心RCとの間の距離を示す。そして、距離D2と鉛直成分F
R1の大きさとの積は、回転中心RC周りの第2の力のモーメントの大きさを表す。なお、掘削反力F
Rは、鉛直軸に対して掘削角度θを形成し、掘削反力F
Rの鉛直成分F
R1は、F
R1=F
R・cosθで表される(記号「・」は「×」(乗算記号)を表す。)。また、掘削角度θは、ブーム角度θ1、アーム角度θ2、及びバケット角度θ3に基づいて算出される。
【0055】
また、
図4において、距離D3は、点P2及び点P3を結ぶ直線と回転中心RCとの間の距離、すなわち、ブームシリンダ7のロッド7Cを引っ張り出そうとする力F
Bの作用線と回転中心RCとの間の距離を示す。そして、距離D3と力F
Bの大きさとの積は、回転中心RC周りの第3の力のモーメントの大きさを表す。
【0056】
また、
図4において、距離D4は、掘削反力F
Rの作用線と点P6との間の距離を示す。そして、距離D4と掘削反力F
Rの大きさとの積は、点P6周りの第1の力のモーメントの大きさを表す。
【0057】
また、
図4において、距離D5は、点P4及び点P5を結ぶ直線と点P6との間の距離、すなわち、アーム5を閉じるアーム推力F
Aの作用線と点P6との間の距離を示す。そして、距離D5とアーム推力F
Aの大きさとの積は、点P6周りの第2の力のモーメントの大きさを表す。
【0058】
ここで、掘削反力F
Rの鉛直成分F
R1が回転中心RC周りにショベルを浮き上がらせようとする力のモーメントの大きさと、ブームシリンダ7のロッド7Cを引っ張り出そうとする力F
Bが回転中心RC周りにショベルを浮き上がらせようとする力のモーメントの大きさとを置き換え可能であると仮定する。この場合、回転中心RC周りの第2の力のモーメントの大きさと回転中心RC周りの第3の力のモーメントの大きさとの関係は以下の(1)式で表される。
F
R1・D2=F
R・cosθ・D2=F
B・D3・・・(1)
また、アーム推力F
Aが点P6周りにアーム5を閉じようとする力のモーメントの大きさと、掘削反力F
Rが点P6周りにアーム5を開こうとする力のモーメントの大きさとはつり合うものと考えられる。この場合、点P6周りの第1の力のモーメントの大きさと点P6周りの第2の力のモーメントの大きさとの関係は以下の(2)式及び(2)'式で表される。なお、記号「/」は「÷」(除算記号)を表す。
F
A・D5=F
R・D4・・・(2)
F
R=F
A・D5/D4・・・(2)'
また、(1)式及び(2)式より、ブームシリンダ7のロッド7Cを引っ張り出そうとする力F
Bは、以下の(3)式で表される。
F
B=F
A・D2・D5・cosθ/(D3・D4)・・・(3)
さらに、
図4のX−X断面図で示すように、ブームシリンダ7のロッド側油室7Rに面するピストンの環状受圧面積を面積A
Bとし、ロッド側油室7Rにおける作動油の圧力を圧力P
Bとすると、ブームシリンダ7のロッド7Cを引っ張り出そうとする力F
Bは、F
B=P
B・A
Bで表される。したがって、(3)式は、以下の(4)式及び(4)'式で表される。
P
B=F
A・D2・D5・cosθ/(A
B・D3・D4)・・・(4)
F
A=P
B・A
B・D3・D4/(D2・D5・cosθ)・・・(4)'
ここで、機体が浮き上がる際の、ブームシリンダ7のロッド7Cを引っ張り出そうとする力F
Bを力F
BMAXとすると、重力M・gが機体を浮き上がらせないようにする回転中心RC周りの第1の力のモーメントの大きさと、力F
BMAXが機体を浮き上がらせようとする回転中心RC周りの第3の力のモーメントの大きさとはつり合うものと考えられる。この場合、それら2つの力のモーメントの大きさの関係は以下の(5)式で表される。
M・g・D1=F
BMAX・D3・・・(5)
また、このときのブームシリンダ7のロッド側油室7Rにおける作動油の圧力を、機体の浮き上がりを防止するために用いる許容最大圧力(以下、「浮き上がり防止用許容最大圧力」とする。)P
BMAXとすると、浮き上がり防止用許容最大圧力P
BMAXは、以下の(6)式で表される。
P
BMAX=M・g・D1/(A
B・D3)・・・(6)
また、距離D1は定数であり、距離D2〜D5は、掘削角度θと同様、掘削アタッチメントの姿勢、すなわち、ブーム角度θ1、アーム角度θ2、及びバケット角度θ3に応じて決まる値である。具体的には、距離D2は、ブーム角度θ1、アーム角度θ2、及びバケット角度θ3に応じて決まり、距離D3は、ブーム角度θ1に応じて決まり、距離D4は、バケット角度θ3に応じて決まり、距離D5は、アーム角度θ2に応じて決まる。
【0059】
その結果、許容最大圧力算出部302は、姿勢検出部301が検出するブーム角度θ1と(6)式とを用いて浮き上がり防止用許容最大圧力P
BMAXを算出することができる。
【0060】
また、ブームシリンダ圧制御部303は、ブームシリンダ7のロッド側油室7Rにおける圧力P
Bを浮き上がり防止用許容最大圧力P
BMAX以下の所定圧力に維持することによってショベルの機体の浮き上がりを防止することができる。具体的には、ブームシリンダ圧制御部303は、圧力P
Bが所定圧力に達した場合に、ロッド側油室7Rからタンクに流出する作動油の流量を増大させ、圧力P
Bを低下させる。圧力P
Bの低下は、(4)'式が示すように、アーム推力F
Aの低下をもたらし、さらには、(2)'式が示すように、掘削反力F
Rの低下、ひいてはその鉛直成分F
R1の低下をもたらすためである。
【0061】
また、回転中心RCの位置は、旋回角度センサ32Dの出力に基づいて決定される。例えば、下部走行体1と上部旋回体3との間の旋回角度が0度の場合には、下部走行体1が接地面と接触する部分のうちの後端が回転中心RCとなり、下部走行体1と上部旋回体3との間の旋回角度が180度の場合には、下部走行体1が接地面と接触する部分のうちの前端が回転中心RCとなる。また、下部走行体1と上部旋回体3との間の旋回角度が90度又は270度の場合には、下部走行体1が接地面と接触する部分のうちの側端が回転中心RCとなる。
【0062】
次に、掘削作業中に機体が掘削地点のほうに引き摺られるのを防止するための制御に関するパラメータについて説明する。
【0063】
掘削作業中に機体を水平方向に動かそうとする力の関係は、以下の(7)式で表される。
μ・N≧F
R2・・・(7)
なお、静止摩擦係数μは、ショベルの接地面の静止摩擦係数を表し、垂直抗力Nは、ショベルの重力M・gに対する垂直抗力を表し、力F
R2は、ショベルを掘削地点のほうに引き摺ろうとする掘削反力F
Rの水平成分F
R2を表す。また、摩擦力μ・Nは、ショベルを静止させようとする最大静止摩擦力を表し、掘削反力F
Rの水平成分F
R2が最大静止摩擦力μ・Nを上回ると、ショベルは、掘削地点のほうに引き摺られる。なお、静止摩擦係数μは、ROM等に予め記憶される値であってもよく、各種情報に基づいて動的に算出されるものであってもよい。本実施例では、静止摩擦係数μは、入力装置(図示せず。)を介して操作者が選択する予め記憶された値である。操作者は、接地面の状態に応じて複数レベルの摩擦状態(静止摩擦係数)から所望の摩擦状態(静止摩擦係数)を選択する。
【0064】
ここで、掘削反力F
Rの水平成分F
R2は、F
R2=F
R・sinθで表され、また、(2)'式より、掘削反力F
Rは、F
R=F
A・D5/D4で表されるため、(7)式は、以下の(8)式で表される。
μ・M・g≧F
A・D5・sinθ/D4・・・(8)
また、
図4のY−Y断面図で示すように、アームシリンダ8のボトム側油室8Bに面するピストンの円状受圧面積を面積A
Aとし、ボトム側油室8Bにおける作動油の圧力を圧力P
Aとすると、アーム推力F
Aは、F
A=P
A・A
Aで表される。そのため、(8)式は、以下の(9)式で表される。
P
A≦μ・M・g・D4/(A
A・D5・sinθ)・・・(9)
ここで、(9)式の右辺と左辺が等しいときのアームシリンダ8のボトム側油室8Bにおける作動油の圧力P
Aは、機体が掘削地点のほうに引き摺られるのを回避可能な許容最大圧力、すなわち、機体が掘削地点のほうに引き摺られるのを防止するために用いる許容最大圧力(以下、「引き摺られ防止用許容最大圧力」とする。)P
AMAXに相当する。
【0065】
以上の関係より、許容最大圧力算出部302は、姿勢検出部301が検出するブーム角度θ1、アーム角度θ2、及びバケット角度θ3と、(9)式とを用いて引き摺られ防止用許容最大圧力P
AMAXを算出することができる。
【0066】
また、アームシリンダ圧制御部304は、アームシリンダ8のボトム側油室8Bにおける圧力P
Aを引き摺られ防止用許容最大圧力P
AMAX以下の所定圧力に維持することによってショベルの機体が掘削地点のほうに引き摺られるのを防止することができる。具体的には、アームシリンダ圧制御部304は、圧力P
Aが所定圧力に達した場合に、メインポンプ14からボトム側油室8Bに流入する作動油の流量を減少させ、圧力P
Aを低下させる。圧力P
Aの低下は、アーム推力F
Aの低下をもたらし、さらには、掘削反力F
Rの水平成分F
R2の低下をもたらすためである。
【0067】
次に、
図5を参照して、掘削支援システム100がショベルの機体の浮き上がりを防止しながら複合掘削作業を支援する処理(以下、「第1複合掘削作業支援処理」とする。)について説明する。なお、
図5は、第1複合掘削作業支援処理の流れを示すフローチャートであり、掘削操作システム100のコントローラ30は、所定周期で繰り返しこの第1複合掘削作業支援処理を実行する。
【0068】
最初に、コントローラ30の掘削操作検出部300は、ブーム上げ操作及びアーム閉じ操作を含む複合掘削操作中であるか否かを判定する(ステップS1)。具体的には、掘削操作検出部300は、圧力センサ29Bの出力に基づいてブーム上げ操作中であるか否かを検出する。そして、ブーム上げ操作中であることを検出した場合、掘削操作検出部300は、圧力センサ31Bの出力に基づいて、ブームシリンダ7のロッド側油室7Rの圧力を取得する。また、掘削操作検出部300は、圧力センサ31A、31Cの出力に基づいて、アームシリンダ8のボトム側油室8Bの圧力からロッド側油室8Rの圧力を差し引いた圧力差を算出する。そして、掘削操作検出部300は、ロッド側油室7Rの圧力が所定値α以上であり、且つ、算出した圧力差が所定値β以上の場合に、複合掘削操作中であると判定する。
【0069】
掘削操作検出部300が複合掘削操作中でないと判定した場合(ステップS1のNO)、コントローラ30の姿勢検出部301は、今回の第1複合掘削作業支援処理を終了させる。
【0070】
一方、掘削操作検出部300が複合掘削操作中であると判定した場合(ステップS1のYES)、姿勢検出部301は、ショベルの姿勢を検出する(ステップS2)。具体的には、姿勢検出部301は、アーム角度センサ32A、ブーム角度センサ32B、及びバケット角度センサ32Cの出力に基づいて、ブーム角度θ1、アーム角度θ2、及びバケット角度θ3を検出する。掘削アタッチメントに作用する力の作用線と所定の回転中心との間の距離をコントローラ30の許容最大圧力算出部302が導出できるようにするためである。
【0071】
その後、許容最大圧力算出部302は、姿勢検出部301の検出値に基づいて、浮き上がり防止用許容最大圧力を算出する(ステップS3)。具体的には、許容最大圧力算出部302は、上述の(6)式を用いて浮き上がり防止用許容最大圧力P
BMAXを算出する。
【0072】
その後、許容最大圧力算出部302は、算出した浮き上がり防止用許容最大圧力P
BMAX以下の所定圧力を目標ブームシリンダ圧P
BTとして設定する(ステップS4)。具体的には、許容最大圧力算出部302は、浮き上がり防止用許容最大圧力P
BMAXから所定値を差し引いた後の値を目標ブームシリンダ圧P
BTとして設定する。
【0073】
その後、コントローラ30のブームシリンダ圧制御部303は、ブームシリンダ7のロッド側油室7Rにおける作動油の圧力P
Bを監視する。そして、複合掘削作業が進むにつれて圧力P
Bが上昇して目標ブームシリンダ圧P
BTに達した場合(ステップS5のYES)、ブームシリンダ圧制御部303は、ブーム切換弁17Bを制御してブームシリンダ7のロッド側油室7Rの圧力P
Bを低減させる(ステップS6)。具体的には、ブームシリンダ圧制御部303は、電磁比例弁42に対して制御電流を供給し、ブーム上げ操作用パイロットポートにかかるパイロット圧を増大させる。そして、ブームシリンダ圧制御部303は、ロッド側油室7Rからタンクに流出する作動油の量を増大させることによって、ロッド側油室7Rの圧力P
Bを低減させる。その結果、ブーム4の上昇速度が増大することで掘削反力F
Rの鉛直成分F
R1が減少し、ショベルの機体の浮き上がりが防止される。
【0074】
その後、コントローラ30のアームシリンダ圧制御部304は、ブームシリンダ7のロッド側油室7Rにおける作動油の圧力P
Bの監視を継続する。そして、ブーム4の上昇速度を増大させたにもかかわらず圧力P
Bがさらに上昇して浮き上がり防止用許容最大圧力P
BMAXに達した場合(ステップS7のYES)、アームシリンダ圧制御部304は、アーム切換弁17Aを制御してアームシリンダ8のボトム側油室8Bの圧力P
Aを低減させる(ステップS8)。具体的には、アームシリンダ圧制御部304は、電磁比例弁41に対して制御電流を供給し、アーム閉じ操作用パイロットポートにかかるパイロット圧を減少させる。そして、アームシリンダ圧制御部304は、メインポンプ14Lからボトム側油室8Bに流入する作動油の量を減少させることによって、ボトム側油室8Bの圧力P
Aを低減させる。その結果、アーム5の閉じ速度が低下することで掘削反力F
Rの鉛直成分F
R1が減少し、ショベルの機体の浮き上がりが防止される。なお、アーム5の閉じ速度を低下させたにもかかわらず圧力P
Bが浮き上がり防止用許容最大圧力P
BMAXを下回らない場合、アームシリンダ圧制御部304は、メインポンプ14Lからボトム側油室8Bに流入する作動油の量を消失させてもよい。この場合、アーム5の動きが停止することで掘削反力F
Rの鉛直成分F
R1が消失し、ショベルの機体の浮き上がりが防止される。
【0075】
なお、ステップS5において、圧力P
Bが目標ブームシリンダ圧P
BT未満に留まる場合(ステップS5のNO)、ブームシリンダ圧制御部303は、ブームシリンダ7のロッド側油室7Rの圧力P
Bを低減させることなく、今回の第1複合掘削作業支援処理を終了させる。ショベルの機体を浮き上がらせるおそれがないためである。
【0076】
同様に、ステップS7において、圧力P
Bが浮き上がり防止用許容最大圧力P
BMAX未満に留まる場合(ステップS7のNO)、アームシリンダ圧制御部304は、アームシリンダ8のボトム側油室8Bの圧力P
Aを低減させることなく、今回の第1複合掘削作業支援処理を終了させる。ショベルの機体を浮き上がらせるおそれがないためである。
【0077】
以上の構成により、掘削支援システム100は、複合掘削作業中にショベルの機体が浮き上がるのを防止することができる。そのため、ショベルの機体が浮き上がる寸前のところでの、機体重量を効率的に利用した複合掘削作業を実現できる。また、浮き上がったショベルの姿勢を元に戻すための操作を不要にする等、作業効率を向上させることができ、ひいては、燃費の低減、機体故障の防止、操作者の操作負担の軽減を実現できる。
【0078】
また、掘削支援システム100は、操作者によるブーム操作レバー26Bを用いたブーム上げ操作に調整を加えることによって複合掘削作業中にショベルの機体が浮き上がるのを防止する。そのため、操作者は、ブーム操作レバー26Bを操作していないにもかかわらずブーム4が上昇するといった違和感を抱くこともない。
【0079】
また、掘削支援システム100は、ブーム上げ操作に調整を加えてもなお機体の浮き上がりを回避できないと判断した場合に、操作者によるアーム閉じ操作に調整を加えることによって機体が浮き上がるのを防止する。このように、掘削支援システム100は、2段階の浮き上がり防止対策を用いることによって、機体重量を最大限に利用した複合掘削作業を実現しながら、機体の浮き上がりを確実に防止することができる。
【0080】
次に、
図6を参照して、掘削支援システム100が、ショベルの機体が掘削地点のほうに引き摺られるのを防止しながらアーム掘削作業を支援する処理(以下、「アーム掘削作業支援処理」とする。)について説明する。なお、
図6は、アーム掘削作業支援処理の流れを示すフローチャートであり、掘削操作システム100のコントローラ30は、所定周期で繰り返しこのアーム掘削作業支援処理を実行する。
【0081】
最初に、コントローラ30の掘削操作検出部300は、アーム閉じ操作を含むアーム掘削操作中であるか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、掘削操作検出部300は、圧力センサ29Aの出力に基づいてアーム閉じ操作中であるか否かを検出する。そして、アーム閉じ操作中であることを検出した場合、掘削操作検出部300は、圧力センサ31A、31Cの出力に基づいて、アームシリンダ8のボトム側油室8Bの圧力からロッド側油室8Rの圧力を差し引いた圧力差を算出する。そして、掘削操作検出部300は、算出した圧力差が所定値γ以上の場合に、アーム掘削操作中であると判定する。
【0082】
掘削操作検出部300がアーム掘削操作中でないと判定した場合(ステップS11のNO)、コントローラ30の姿勢検出部301は、今回のアーム掘削作業支援処理を終了させる。
【0083】
一方、掘削操作検出部300がアーム掘削操作中であると判定した場合(ステップS11のYES)、姿勢検出部301は、ショベルの姿勢を検出する(ステップS12)。具体的には、姿勢検出部301は、アーム角度センサ32A、ブーム角度センサ32B、及びバケット角度センサ32Cの出力に基づいて、ブーム角度θ1、アーム角度θ2、及びバケット角度θ3を検出する。コントローラ30の許容最大圧力算出部302が、掘削角度θ、距離D4、距離D5等を導出できるようにするためである。
【0084】
その後、許容最大圧力算出部302は、姿勢検出部301の検出値に基づいて、引き摺られ防止用許容最大圧力を算出する(ステップS13)。具体的には、許容最大圧力算出部302は、上述の(9)式を用いて引き摺られ防止用許容最大圧力P
AMAXを算出する。
【0085】
その後、許容最大圧力算出部302は、算出した引き摺られ防止用許容最大圧力P
AMAX以下の所定圧力を目標アームシリンダ圧P
ATとして設定する(ステップS14)。本実施例では、許容最大圧力算出部302は、引き摺られ防止用許容最大圧力P
AMAXを目標
アームシリンダ圧P
ATとして設定する。
【0086】
その後、コントローラ30のアームシリンダ圧制御部304は、アームシリンダ8のボトム側油室8Bにおける作動油の圧力P
Aを監視する。そして、アーム掘削作業が進むにつれて圧力P
Aが上昇して目標アームシリンダ圧P
ATに達した場合(ステップS15のYES)、アームシリンダ圧制御部304は、アーム切換弁17Aを制御してアームシリンダ8のボトム側油室8Bの圧力P
Aを低減させる(ステップS16)。具体的には、アームシリンダ圧制御部304は、電磁比例弁41に対して制御電流を供給し、アーム閉じ操作用パイロットポートにかかるパイロット圧を減少させる。そして、アームシリンダ圧制御部304は、メインポンプ14Lからボトム側油室8Bに流入する作動油の量を減少させることによって、ボトム側油室8Bの圧力P
Aを低減させる。その結果、アーム5の閉じ速度が低下することで掘削反力F
Rの水平成分F
R2が減少し、ショベルの機体が掘削地点のほうに引き摺られるのが防止される。
【0087】
なお、アーム5の閉じ速度を低下させたにもかかわらず、圧力P
Aが、引き摺られ防止用許容最大圧力P
AMAXを下回らない場合、アームシリンダ圧制御部304は、メインポンプ14Lからボトム側油室8Bに流入する作動油の量を消失させてもよい。この場合、アーム5の動きが停止することで掘削反力F
Rの水平成分F
R2が消失し、ショベルの機体が掘削地点のほうに引き摺られるのが防止される。
【0088】
なお、ステップS15において、圧力P
Aが目標アームシリンダ圧P
AT未満に留まる場合(ステップS15のNO)、アームシリンダ圧制御部304は、アームシリンダ8のボトム側油室8Bの圧力P
Aを低減させることなく、今回のアーム掘削作業支援処理を終了させる。ショベルの機体が引き摺られるおそれがないためである。
【0089】
以上の構成により、掘削支援システム100は、アーム掘削作業中にショベルの機体が掘削地点のほうに引き摺られるのを防止することができる。そのため、ショベルの機体が引き摺られる寸前のところでの、機体重量を効率的に利用したアーム掘削作業を実現できる。また、引き摺られたショベルの姿勢を元に戻すための操作を不要にする等、作業効率を向上させることができ、ひいては、燃費の低減、機体故障の防止、操作者の操作負担の軽減を実現できる。
【0090】
次に、
図7を参照して、掘削支援システム100が、ショベルの機体が浮き上がること、及び、ショベルの機体が掘削地点のほうに引き摺られることを防止しながら複合掘削作業を支援する処理(以下、「第2複合掘削作業支援処理」とする。)について説明する。なお、
図7は、第2複合掘削作業支援処理の流れを示すフローチャートであり、掘削操作システム100のコントローラ30は、所定周期で繰り返しこの複合掘削作業支援処理を実行する。
【0091】
最初に、コントローラ30の掘削操作検出部300は、ブーム上げ操作及びアーム閉じ操作を含む複合掘削操作中であるか否かを判定する(ステップS21)。具体的には、掘削操作検出部300は、圧力センサ29Bの出力に基づいてブーム上げ操作中であるか否かを検出する。そして、ブーム上げ操作中であることを検出した場合、掘削操作検出部300は、圧力センサ31Bの出力に基づいて、ブームシリンダ7のロッド側油室7Rの圧力を取得する。また、掘削操作検出部300は、圧力センサ31A、31Cの出力に基づいて、アームシリンダ8のボトム側油室8Bの圧力からロッド側油室8Rの圧力を差し引いた圧力差を算出する。そして、掘削操作検出部300は、ロッド側油室7Rの圧力が所定値α以上であり、且つ、算出した圧力差が所定値β以上の場合に、複合掘削操作中であると判定する。
【0092】
掘削操作検出部300が複合掘削操作中でないと判定した場合(ステップS21のNO)、コントローラ30の姿勢検出部301は、今回の第2複合掘削作業支援処理を終了させる。
【0093】
一方、掘削操作検出部300が複合掘削操作中であると判定した場合(ステップS21のYES)、姿勢検出部301は、ショベルの姿勢を検出する(ステップS22)。具体的には、姿勢検出部301は、アーム角度センサ32A、ブーム角度センサ32B、及びバケット角度センサ32Cの出力に基づいて、ブーム角度θ1、アーム角度θ2、及びバケット角度θ3を検出する。コントローラ30の許容最大圧力算出部302が、掘削角度θ、距離D3、距離D4、距離D5等を導出できるようにするためである。
【0094】
その後、許容最大圧力算出部302は、姿勢検出部301の検出値に基づいて、浮き上がり防止用許容最大圧力及び引き摺られ防止用許容最大圧力を算出する(ステップS23)。具体的には、許容最大圧力算出部302は、上述の(6)式を用いて浮き上がり防止用許容最大圧力P
BMAXを算出し、且つ、上述の(9)式を用いて引き摺られ防止用許容最大圧力P
AMAXを算出する。
【0095】
その後、許容最大圧力算出部302は、算出した浮き上がり防止用許容最大圧力P
BMAX以下の所定圧力を目標ブームシリンダ圧P
BTとして設定する(ステップS24)。具体的には、許容最大圧力算出部302は、浮き上がり防止用許容最大圧力P
BMAXから所定値を差し引いた後の値を目標ブームシリンダ圧P
BTとして設定する。
【0096】
その後、コントローラ30のブームシリンダ圧制御部303は、ブームシリンダ7のロッド側油室7Rにおける作動油の圧力P
Bを監視する。そして、複合掘削作業が進むにつれて圧力P
Bが上昇して目標ブームシリンダ圧P
BTに達した場合(ステップS25のYES)、ブームシリンダ圧制御部303は、ブーム切換弁17Bを制御してブームシリンダ7のロッド側油室7Rの圧力P
Bを低減させる(ステップS26)。具体的には、ブームシリンダ圧制御部303は、電磁比例弁42に対して制御電流を供給し、ブーム上げ操作用パイロットポートにかかるパイロット圧を増大させる。そして、ブームシリンダ圧制御部303は、ロッド側油室7Rからタンクに流出する作動油の量を増大させることによって、ロッド側油室7Rの圧力P
Bを低減させる。その結果、ブーム4の上昇速度が増大することで掘削反力F
Rの鉛直成分F
R1が減少し、ショベルの機体の浮き上がりが防止される。
【0097】
その後、コントローラ30のアームシリンダ圧制御部304は、ブームシリンダ7のロッド側油室7Rにおける作動油の圧力P
Bの監視を継続する。そして、ブーム4の上昇速度を増大させたにもかかわらず圧力P
Bがさらに上昇して浮き上がり防止用許容最大圧力P
BMAXに達した場合(ステップS27のYES)、アームシリンダ圧制御部304は、アーム切換弁17Aを制御してアームシリンダ8のボトム側油室8Bの圧力P
Aを低減させる(ステップS28)。具体的には、アームシリンダ圧制御部304は、電磁比例弁41に対して制御電流を供給し、アーム閉じ操作用パイロットポートにかかるパイロット圧を減少させる。そして、アームシリンダ圧制御部304は、メインポンプ14Lからボトム側油室8Bに流入する作動油の量を減少させることによって、ボトム側油室8Bの圧力P
Aを低減させる。その結果、アーム5の閉じ速度が低下することで掘削反力F
Rの鉛直成分F
R1が減少し、ショベルの機体の浮き上がりが防止される。なお、アーム5の閉じ速度を低下させたにもかかわらず圧力P
Bが浮き上がり防止用許容最大圧力P
BMAXを下回らない場合、アームシリンダ圧制御部304は、メインポンプ14Lからボトム側油室8Bに流入する作動油の量を消失させてもよい。この場合、アーム5の動きが停止することで掘削反力F
Rの鉛直成分F
R1が消失し、ショベルの機体の浮き上がりが防止される。
【0098】
なお、ステップS25において、圧力P
Bが目標ブームシリンダ圧P
BT未満に留まる場合(ステップS25のNO)、コントローラ30は、ブームシリンダ7のロッド側油室7Rの圧力P
Bを低減させることなく、処理をステップS29に進める。ショベルの機体を浮き上がらせるおそれがないためである。
【0099】
同様に、ステップS27において、圧力P
Bが浮き上がり防止用許容最大圧力P
BMAX未満に留まる場合(ステップS27のNO)、コントローラ30は、アームシリンダ8のボトム側油室8Bの圧力P
Aを低減させることなく、処理をステップS29に進める。ショベルの機体を浮き上がらせるおそれがないためである。
【0100】
その後、ステップS29において、許容最大圧力算出部302は、算出した引き摺られ防止用許容最大圧力P
AMAX以下の所定圧力を目標アームシリンダ圧P
ATとして設定する。具体的には、許容最大圧力算出部302は、引き摺られ防止用許容最大圧力P
AMAXを目標
アームシリンダ圧P
ATとして設定する。
【0101】
その後、コントローラ30のアームシリンダ圧制御部304は、アームシリンダ8のボトム側油室8Bにおける作動油の圧力P
Aを監視する。そして、複合掘削作業が進むにつれて圧力P
Aが上昇して目標アームシリンダ圧P
ATに達した場合(ステップS29のYES)、アームシリンダ圧制御部304は、アーム切換弁17Aを制御してアームシリンダ8のボトム側油室8Bの圧力P
Aを低減させる(ステップS30)。具体的には、アームシリンダ圧制御部304は、電磁比例弁41に対して制御電流を供給し、アーム閉じ操作用パイロットポートにかかるパイロット圧を減少させる。そして、アームシリンダ圧制御部304は、メインポンプ14Lからボトム側油室8Bに流入する作動油の量を減少させることによって、ボトム側油室8Bの圧力P
Aを低減させる。その結果、アーム5の閉じ速度が低下することで掘削反力F
Rの水平成分F
R2が減少し、ショベルの機体が掘削地点のほうに引き摺られるのが防止される。
【0102】
なお、アーム5の閉じ速度を低下させたにもかかわらず圧力P
Aが引き摺られ防止用許容最大圧力P
AMAXを下回らない場合、アームシリンダ圧制御部304は、メインポンプ14Lからボトム側油室8Bに流入する作動油の量を消失させてもよい。この場合、アーム5の動きが停止することで掘削反力F
Rの水平成分F
R2が消失し、ショベルの機体が掘削地点のほうに引き摺られるのが防止される。
【0103】
なお、ステップS30において、圧力P
Aが目標アームシリンダ圧P
AT未満に留まる場合(ステップS30のNO)、アームシリンダ圧制御部304は、アームシリンダ8のボトム側油室8Bの圧力P
Aを低減させることなく、今回の第2複合掘削作業支援処理を終了させる。ショベルの機体が引き摺られるおそれがないためである。
【0104】
また、ステップS24〜ステップS28におけるショベルの浮き上がりを防止するための一連の処理、及び、ステップS29〜ステップS31におけるショベルが引き摺られるのを防止するための一連の処理は順不同である。したがって、2つの一連の処理は、同時並行で実行されてもよく、ショベルが引き摺られるのを防止するための一連の処理が、ショベルの浮き上がりを防止するための一連の処理に先行して実行されてもよい。
【0105】
以上の構成により、掘削支援システム100は、複合掘削作業中にショベルの機体が浮き上がり或いは掘削地点のほうに引き摺られるのを防止することができる。そのため、ショベルの機体が浮き上がり或いは引き摺られる寸前のところでの、機体重量を効率的に利用した複合掘削作業を実現できる。また、浮き上がった或いは引き摺られたショベルの姿勢を元に戻すための操作を不要にする等、作業効率を向上させることができ、ひいては、燃費の低減、機体故障の防止、操作者の操作負担の軽減を実現できる。
【0106】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0107】
例えば、上述の実施例では、許容最大圧力算出部302、ブームシリンダ圧制御部303、アームシリンダ圧制御部304による演算は、ショベルの接地面が水平面であることを前提として行われる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。上述の実施例における各種演算は、ショベルの接地面が傾斜面であっても、傾斜角度センサ32Eの出力を追加的に考慮して適切に実行され得る。
【0108】
また、上述の実施例では、掘削支援システム100は、アーム閉じ操作及びブーム上げ操作を含む複合掘削操作中における機体の浮き上がりを防止する。具体的には、掘削支援システム100は、ブームシリンダ7のロッド側油室7Rの圧力が目標ブームシリンダ圧P
BTを上回った場合にブーム4を上昇させる。さらに、掘削支援システム100は、ロッド側油室
7Rの圧力が浮き上がり防止用許容最大圧力P
BMAXを上回った場合にアーム5の閉じ速度を遅くする。このようにして、掘削支援システム100は、アーム閉じ操作及びブーム上げ操作を含む複合掘削操作中における機体の浮き上がりを防止する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、掘削支援システム100は、バケット閉じ操作及びブーム上げ操作を含む複合掘削操作中における機体の浮き上がりを防止するように構成されてもよい。この場合、掘削支援システム100は、ロッド側油室7Rの圧力が目標ブームシリンダ圧P
BTを上回った場合にブーム4を上昇させる。さらに、掘削支援システム100は、ロッド側油室7Rの圧力が浮き上がり防止用許容最大圧力P
BMAXを上回った場合に、バケット6の閉じ速度を遅くする。このようにして、掘削支援システム100は、バケット閉じ操作及びブーム上げ操作を含む複合掘削操作中における機体の浮き上がりを防止してもよい。
【0109】
また、上述の実施例では、ブームシリンダ7、アームシリンダ8等の油圧シリンダは、エンジン駆動のメインポンプ14が吐出する作動油によって動かされるが、電動モータ駆動の油圧ポンプが吐出する作動油によって動かされてもよい。