特許第6585107号(P6585107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585107
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】動物侵入防止柵、及び、設置方法
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/30 20110101AFI20190919BHJP
   E04H 17/08 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   A01M29/30
   E04H17/08
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-35482(P2017-35482)
(22)【出願日】2017年2月27日
(65)【公開番号】特開2018-139523(P2018-139523A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2018年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】300082140
【氏名又は名称】エコ ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 文博
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−133185(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第0872178(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 − 99/00
E04H 17/08
E04H 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に立てた状態で配置され、可撓性を有する複数本の線状材をねじり合わせて構成した隔網材と、
棒状であり、設置面に立てた状態の前記隔網材を設置面に固定する固定材と
を有し、
前記固定材は、前記隔網材の一部に接触した状態で設置面に配置され、
前記隔網材は、前記固定材と接触する位置から設置面と接触する位置までの範囲において、線状材の長さ方向に曲げ撓ませた状態で設置面に配置され、かつ、設置面の形状に沿うよう、該隔網材の端部を設置面に接触させている
動物侵入防止柵。
【請求項2】
前記隔網材の上方において、該隔網材の設置面と接触する端部とは他方の端部に連続して配置した隔て材
をさらに有する
請求項1に記載の動物侵入防止柵。
【請求項3】
前記隔網材の他方の端部に連続して設けられ、該隔網材の線状材の長さ方向と異なる方向に突出して設けた鍔部
をさらに有する
請求項2に記載の動物侵入防止柵。
【請求項4】
複数本の線状材をねじり合わせて構成した隔網材を設置面に立てる工程と、
立てた状態の前記隔網材を棒状の固定材で設置面に固定する工程と
を有し、
前記固定する工程において、設置面に立てた状態の前記隔網材は、前記固定材と接触する位置から設置面と接触する位置までの範囲において、該隔網材の線状材の長さ方向に曲げ撓ませた状態で設置面に配置され、かつ、設置面の形状に沿うよう、該隔網材の端部を設置面に接触させている
設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物侵入防止柵、及び、設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、人や動物の侵入を防止するための侵入防止柵であって、上記侵入防止柵は、保護地及び上記保護地以外の非保護地とを隔てるように互いに間隔を空けて設置された支柱と、上記支柱間に架設されるパネル体とを備え、上記パネル体は、上記支柱における保護地側に設けられ、上記パネル体の下端から保護地に向けて折り曲げられて延長されている下端延長部と、上記下端延長部の下部延長端から下方に向けて突出されている差込部とを有し、上記差込部は、その先端が地面に差し込まれていることを特徴とする侵入防止柵が開示されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、フェンス用格子金網を支柱に取り付けて成る格子形フェンスであって、前記フェンス用格子金網は、少なくとも2 本の線材を相互に捻って形成され平行に配置された複数の縦格子材と、前記縦格子材の捻りの一つへ通されて平行に支持された複数の横線材とで構成されており、前記横線材が支柱に固定具で支持されて、縦格子材の下端は、地面にハの字形状に埋め込まれることを特徴とする格子形フェンスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−93113号公報
【特許文献2】特開2006−122047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、設置面の形状に応じて配置することにより、動物の侵入を効率的に防止できる動物侵入防止柵を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る動物侵入防止柵は、設置面に立てた状態で配置され、可撓性を有する複数本の線状材をねじり合わせて構成した隔網材と、棒状であり、設置面に立てた状態の前記隔網材を設置面に固定する固定材とを有し、前記固定材は、前記隔網材の一部に接触した状態で設置面に配置され、前記隔網材は、線状材の長さ方向に曲げ撓ませた状態で設置面に配置され、かつ、設置面の形状に沿うよう、該隔網材の端部を設置面に接触させている。
【0007】
好適には、前記隔網材の上方において、該隔網材の設置面と接触する端部とは他方の端部に連続して配置した隔て材をさらに有する。
【0008】
好適には、前記隔網材の他方の端部に連続して設けられ、該隔網材の線状材の長さ方向と異なる方向に突出して設けた鍔部をさらに有する。
【0009】
本発明に係る設置方法は、複数本の線状材をねじり合わせて構成した隔網材を設置面に立てる工程と、立てた状態の前記隔網材を棒状の固定材で設置面に固定する工程とを有し、前記固定する工程において、設置面に立てた状態の前記隔網材は、該隔網材の線状材の長さ方向に曲げ撓ませた状態で設置面に配置され、かつ、設置面の形状に沿うよう、該隔網材の端部を設置面に接触させている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、設置面の形状に応じて配置することにより、動物の侵入を効率的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1におけるフェンス1の構成を説明する図である。
図2図1に例示するフェンス1の構成をより詳細に説明するZ部拡大図である。
図3】隔網材30の構成を説明する図である。
図4】実施例1におけるフェンス1の設置方法(S10)を説明するフローチャートである。
図5】実施例1におけるフェンス1の設置方法を説明する図ある。
図6】実施例2におけるフェンス2の構成を説明する図である。
図7図6に例示するフェンス2の構成をより詳細に説明するX部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。ただし、本発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0013】
まず、実施例1のフェンス1の構成を説明する。
図1は、実施例1におけるフェンス1の構成を説明する斜視図である。
図1に例示するように、フェンス1は、隔網材30、固定杭40、支持材50、及び、結束具60を含み構成されている。フェンス1は、例えば、人為的な掘削、埋戻し、又は、盛り土等を行っていない、自然に形成されたままの地盤である設置面に設置される。そのため、フェンス1は、凹凸のある設置面や傾斜のある設置面に配置される。なお、図1に例示するフェンス1は、フェンス1の一部であり、隔網材30は幅方向に連続している。
【0014】
図2は、図1に例示するフェンス1の構成をより詳細に説明するZ部拡大図である。
図2に例示するように、隔網材30は、固定杭40により、鉛直方向に設置面に立てた状態で固定されている。具体的には、隔網材30は、設置面の表面の凹凸形状に沿うよう、隔網材30の端部(下端部38)を設置面に接触させた状態で固定されている。
なお、フェンス1は、本発明に係る動物侵入防止柵の一例である。
【0015】
図3は、隔網材30の構成を説明する図である。
図3に例示するように、隔網材30は、可撓性を有する複数本の線状材32をねじり合せて構成されている網材である。隔網材30は、複数本の線状材32を回ねじり合せることにより、例えば、菱形形状、又は、六角形状の網目を備えている。本実施例1の隔網材30は、六角形状の網目を備えている。本例の隔網材30は、既定の間隔で配列された線状材32Aと線状材32Bとを互いに複数回ねじり合わせ、ねじり31を形成している。これにより、隔網材30の網目は、六角形状となっている。
また、線状材32は、可撓性を有する線材である。具体的には、線状材32は、手の力で撓ませ、手を離すと撓ませる前の形状に復元する硬さを有する線材である。線状材32は、金属、合成樹脂、又は、これらの組み合わせにより構成されている。線状材32は、金属により形成される場合、例えば、アルミニウム合金、鉄またはステンレス鋼により形成される。また、線状材32は、合成樹脂により形成される場合、例えば、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、又は、ポリエチレンナフタレート)より形成される。また、線状材32は、金属と合成樹脂との組み合わせにより構成される場合、例えば、鉄またはステンレス鋼の線材にポリエステル樹脂を被覆して構成される。
なお、本実施例1の線状材32は、合成樹脂であるポリエステル樹脂により形成されている。線状材32は、ポリエステル樹脂のモノフィラメントである。
また、線状材32の太さは、例えば5mm以下の太さであり、好ましくは、2mm以上4mm以下である。なお、本実施例1の線状材32の太さは、約3mmである。
このように、隔網材30は、手の力で撓ませ、手を離すと撓ませる前の形状に復元する硬さの線条材を複数本ねじり合わせて構成れている。また、隔網材30は、合成樹脂の線状材で構成されているため、金属製に比べて重量も軽く、丸めて人力で持ち運ぶことができる。また、隔網材30は、合成樹脂の線状材で構成されているため、金属のように、錆等の腐食が生じないため耐久性に優れている。また、隔網材30は、六角形の網目を備えた網材であるため、一カ所の線状材32が破断しても連続的に破網が起きにくい。なお、本実施例1の隔網材30は、例えば粕谷製網株式会社製の高耐久STKネットである。
【0016】
また、隔網材30は、図1に例示するように、任意の幅の大きさに形成された複数の隔網材30の一部(隔網材30A〜30G)を、隔網材30の幅方向に互いに接続し一体的に構成されている。本例の隔網材30は、例えば、高さ1.2mm、幅2mの大きさに形成された隔網材30の一部(隔網材30A〜30G)を、隔網材30の幅方向に互いに接続し構成されている。隔網材30は、隣り合う位置にある隔網材30の一部と、隔網材30の他の一部とを互いに重ねた状態で、重ねた部分を結束し接続してもよいし、隣り合う位置にある隔網材30の一部の端部と、隔網材30の他の一部の端部とを突き合わせた状態で、突き合わせた各端部を結束し接続してもよい。なお、本実施例の隔網材30は、突き合わせた隔網材の各端部を結束し接続している。例えば、隔網材30Bに着目すると、隔網材30Bの両端部は、隔網材30Bの隣り合う位置にある隔網材30Aの端部、及び、隔網材30Cの端部にそれぞれ突き合せ、突き合せた各端部を結束し接続されている。隔網材30Bは、例えば結束具60により突き合せた部分を部分的に結束し接続されてもよいし、接続用線材(不図示)により突き合せた部分の網目を編むよう突き合せた端部を全体的に接続されてもよい。ここで、接続用線材とは、例えば、隔網材30の線状材32と実質的に同様の線材であり、ポリエステル樹脂のモノフィラメントである。このように、隔網材30は、隔網材30A〜30Gの幅方向の長さをそれぞれ無駄なく接続することができる。一方、隔網材30は、隔網材30A〜30Gの一部を重ねて接続することにより、隔網材30A〜30Gの幅方向の重ねた範囲の長さが短くなる。よって、隔網材30は、互いに突き合わせ隔網材30A〜30Gの各端部を接続することが好ましい。なお、本例の隔網材30は、接続用線材を用いて隔網材30A〜30Gの各端部を互いに接続し構成されている。
このように、隔網材30は、隔網材30の幅方向に連続するよう構成されている。
【0017】
また、隔網材30は、図2に例示するように、固定杭40により、設置面に立てた状態で固定されている。具体的には、隔網材30は、設置面の表面の凹凸形状に沿うよう、隔網材30の端部(下端部38)を設置面に接触させた状態で固定されている。さらに、隔網材30は、固定杭40により、隔網材30を線状材32に長さ方向(言い換えると、、隔網材30の高さ方向)に一部を撓ませた状態で設置面に固定されている。具体的には、隔網材30は、隔網材30における固定杭40と接触する位置から設置面と接触する位置(下端部38)までの範囲において、曲げ撓ませた状態で設置面に固定されている。
【0018】
図1及び図2に例示するように、固定杭40は、棒状であり、隔網材30を設置面に固定する杭である。固定杭40の一方の端部は、図2に例示するように、フック状に形成されてる。固定杭40は、一方の端部をフック状に形成することにより、隔網材30の線状材32に接触させて引っ掛けることができる。一方、固定杭40の他方の端部は、徐々に細く鋭く形成されている。固定杭40は、他方の尖端により、設置面に打ちこみ設けることができる。
固定杭40は、図1に例示するように、一方の端部に隔網材30を引っ掛けた状態で、他方の端部を設置面に打設されている。これにより、固定杭40は、設置面に隔網材30を設置面に固定することができる。このとき、固定杭40は、隔網材30を線状材32に長さ方向(言い換えると、、隔網材30の高さ方向)に撓ませた状態で固定している。
また、固定杭40は、既定の間隔をあけて複数配置されている。固定杭40は、例えば、40cm以上60cm以下の間隔をあけて複数配置されている。本実施例1の固定杭40は、50cmの間隔で等間隔に複数配置されている。
【0019】
図1に例示するように、支持材50は、棒状であり、隔網材30の幅方向に、互いに間隔をあけて複数配置された棒材である。支持材50は、例えば、野生動物の衝突等により加えられる外力によって、設置面に立てた隔網材30が倒れないよう隔網材30を支持する。
支持材50は、隔網材30のシート面と接触した状態で設置面に配置されている。さらに、支持材50は、結束具60により、接触した状態の隔網材30と結束されている。このように、支持材50は、設置面に立てた状態の隔網材30を支持している。
また、支持材50は、例えば、隔網材30の幅方向に、例えば0.5m以上4m以下の間隔で複数配置されている。本実施例の支持材50は、約2mの間隔で等間隔に配置されている。
【0020】
結束具60は、既存の結束具であり、例えば、ワイヤー、紐、ロープ、縄、粘着シート、又は、結束ひも等の結束具である。結束具60は、例えば、隔網材30と支持材50とを固定する。結束具60は、支持材50の材軸方向に既定の間隔をあけて複数配置されている。
このように、フェンス1は、隔網材30、固定杭40、支持材50、及び、結束具60を含み構成されている。
【0021】
次に、実施例1のフェンス1の設置方法を説明する。
図4は、実施例1におけるフェンス1の設置方法(S10)を説明するフローチャートである。また、図5は、実施例1におけるフェンス1の設置方法を説明する図ある。
図4に例示するように、ステップ100(S100)において、まず、設置者は、隔網材30を構成する。
具体的には、設置者は、複数本の線状材32を捩じり合わせて隔網材30となる網材を形成する。
次に、設置者は、形成した網材を任意の大きさに切断する。設置者は、例えば、高さ1.2mm、幅2mの大きさに網材を切断し、隔網材30A〜30Gを成形する。
次に、設置者は、切断した網材(隔網材30A〜30G)を互いに接続し隔網材30を構成する。設置者は、幅2mの大きさに切断した隔網材30A〜30Gを互いに接続する。設置者は、隣り合う位置にある隔網材30A〜30Gの各端部をそれぞれ互いに突き合せ、突き合せた各端部の網目に接続用線材を通し編むことにより、隔網材30A〜30Gを互いに接続させ連続する隔網材30を構成する。
【0022】
ステップ105(S105)において、設置者は、隔網材30の幅方向に連続する隔網材30を設置面に立てた状態で設置面に固定する。
具体的には、まず、設置者は、立てた状態で隔網材30を設置面に配置する。このとき、隔網材30は、隔網材30の幅方向に連続するため自立することができる。
次に、設置者は、固定杭40を用いて設置面に立てた状態の隔網材30を設置面に固定する。設置者は、図5(A)に例示するように、立てた状態の隔網材30に固定杭40のフック状の端部を引っ掛け、隔網材30に引っ掛けた状態の固定杭40を設置面に打設する。このとき、設置者は、隔網材30の下端部38を設置面に接触させた状態で、設置面に固定杭40を打設する。さらに、設置者は、図5(B)に例示するように、隔網材30における固定杭40と接触する位置から設置面と接触する位置までの範囲において、線状材32の長さ方向に隔網材30を曲げ撓ませた状態となるよう、固定杭40を設置面に打設する。
設置者は、隔網材30の下端部38を設置面に接触させて設置面に配置することにより、隔網材30と設置面との隙間を減少させることができる。さらに、設置者は、隔網材30を曲げ撓ませて設置面に配置することにより、例えば、野生動物が隔網材30と設置面との間を広げるよう穴を掘った場合であっても、隔網材30を曲げ撓ませ後の状態から曲げ撓ませる前の状態に復元させ、穴の範囲を狭めることができる。
【0023】
ステップ110(S110)において、設置者は、隔網材30と接触する位置に支持材50を設置面に打設する。
具体的には、設置者は、隔網材30の幅方向に、約2mの間隔で等間隔に支持材50を設置面に打設する。設置者は、結束具60により、打設した支持材50と隔網材30とを結束する。
このように、設置者は、フェンス1を設置面に設置することができる。なお、実施例1におけるフェンス1の設置方法(S10)では、隔網材30と固定杭40とを設置面に固定した後に支持材50を設置面に打設したが、隔網材30と固定杭40とを設置面に固定する前に支持材50を設置面に打設してもよく、設置面の凹凸形状に合わせて適宜設置工程の順序を変更することができる。
【0024】
以上説明したように、本実施例1におけるフェンス1によれば、設置面の形状に沿うように隔網材30の下端部38を設置面に接触させ、かつ、隔網材30を曲げ撓ませて設置面に配置することにより、設置面と隔網材30との隙間を減少させることができる。よって、フェンス1は、野生動物の侵入を防止することができる。また、フェンス1は、隔網材30を曲げ撓ませて設置面に配置することにより、設置面に隔網材30の下端部38を食い込ませ設置面から外れにくくなる。
【0025】
また、フェンス1は、線状材32を捩じり合わせて隔網材30を構成している。これにより、設置者は、高低差のある設置面であっても、線状材32の長さ方向に隔網材30を変形させて、設置面に隔網材30を配置することができる。
また、フェンス1は、設置面に隔網材30の下端部38を接触させて隔網材30を配置している。これにより、設置者は、設置面を掘削することなくフェンス1を設置することができる。よって、設置者は、施工現場での施工時間を短縮することができる。
【実施例2】
【0026】
次に、実施例2のフェンス2の構成を説明する。なお、実施例2において、上記実施例1と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、実施例1と異なる部分のみを説明する。
図6は、実施例2におけるフェンス2の構成を説明する図である。
図7は、図6に例示するフェンス2の構成をより詳細に説明するX部拡大図である。
図6に例示するように、フェンス2は、隔網材30、固定杭40、支持材50、及び、結束具60に加えて、隔て材70をさらに含み構成されている。
【0027】
隔網材30は、隔て材70の下方に配置されている。隔網材30は、フェンス2の高さ(隔網材30の高さ寸法と隔て材70の高さ寸法との合計高さ)の半分以下の高さに配置される。隔網材30の高さは、例えば50cm以下であり、好ましくは20cm以上40cm以下の高さである。なお、本実施例の隔網材30の高さは、30cmである。
隔網材30は、隔網材30の下端部38と他方の端部(上端部39)に連続して設けられ、隔網材30の線状材32の長さ方向と異なる方向に突出して設けた鍔部33をさらに備えている。
鍔部33は、図7に例示するように、隔網材30の上端部39に設けられ、隔網材30のシート面より突出して設けた鍔である。鍔部33は、例えば、隔網材30の上端部39を折り曲げることにより形成されている。本実施例の鍔部33の幅寸法Tは、隔網材30の網目1つ分から網目2つ分、言い換えると、約3cm以上10cm以下の幅に形成されている。
また、鍔部33は、野生動物の侵入方向に対して、隔網材30のシート面から突出している。隔網材30のシート面に対する鍔部33の角度Rは、例えば、45度以上180度以下であり、本実施例の鍔部33の角度Rは90度である。
【0028】
図6に例示するように、隔て材70は、野生動物の侵入を防ぐ分隔部材であり、例えば、線材、網材、又は、シート材である。隔て材70は、線材である場合、線材を支持材50の間に複数張ることにより配置される。また、隔て材70は、網材及びシート材である場合、結束具60により支持材50に結束して配置される。なお、本実施例2の隔て材70は、網材ある。
隔て材70は、隔網材30の上方に配置されている。隔て材70は、隔網材30の設置面と接触する下端部38とは他方の上端部39に連続して配置されている。配置された隔て材70は、結束具60により支持材50に結束される。
隔て材70は、金属、合成樹脂、又は、これらの組み合わせにより構成されている。本例の隔て材70は、合成樹脂により形成される場合、例えば、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、又は、ポリエチレンナフタレート)より形成される。
このように、フェンス2は、隔網材30、固定杭40、支持材50、結束具60、及び、隔て材70を含み構成されている。なお、フェンス2は、本発明に係る動物侵入防止柵の一例である。
【0029】
以上説明したように、本実施例2におけるフェンス2は、フェンス2の下部に隔網材30を配置し、フェンス2の上部に隔て材70を配置することにより、隔網材30にて小型の野生動物(例えば、たぬき、イノシシ等)の侵入を防止し、隔て材70にて大型の野生動物(例えば、シカ等)の侵入を防止することができる。
また、フェンス2は、隔網材30の上端部39に鍔部33を野生動物の侵入方向に向けて備えることにより、侵入する大型の野生動物に鍔部33を接触させることができる。これにより、フェンス2は、大型の野生動物を忌避させることができる。
また、フェンス2は、隔網材30の上端部39に鍔部33を備えることにより、小型の野生動物の登り防止として機能する。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、これらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加等が可能である。
【符号の説明】
【0030】
1、2 フェンス
30 隔網材
32 線状材
33 鍔部
38 下端部
39 上端部
40 固定杭
50 支持材
60 結束具
70 隔て材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7