特許第6585138号(P6585138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6585138ナビゲーションシステム受信機におけるクロックドリフトプロファイル判定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585138
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】ナビゲーションシステム受信機におけるクロックドリフトプロファイル判定
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/23 20100101AFI20190919BHJP
   G01S 19/35 20100101ALI20190919BHJP
【FI】
   G01S19/23
   G01S19/35
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-207857(P2017-207857)
(22)【出願日】2017年10月27日
(62)【分割の表示】特願2014-538977(P2014-538977)の分割
【原出願日】2012年10月25日
(65)【公開番号】特開2018-36274(P2018-36274A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2017年11月6日
(31)【優先権主張番号】13/280,524
(32)【優先日】2011年10月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】カーティク ラマスブラマニアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャワハルラル タングドゥ
【審査官】 東 治企
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−171499(JP,A)
【文献】 特開平06−235761(JP,A)
【文献】 特表2004−514877(JP,A)
【文献】 特表2009−533661(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0094861(US,A1)
【文献】 特開2008−070244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 19/00−19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーションシステム受信機に統合され得るドリフトプロファイル判定テスト回路であって、
信号源からのテスト信号の受信したサンプルで動作可能であり、少なくとも1つの連続波(CW信号である前記テスト信号基づいて受信機のクロックに関連付けられる初期周波数オフセットを提供するように構成される、周波数検出モジュールと、
前記周波数検出モジュールと結合され、且つ、前記受信機クロックに関連付けられる前記初期周波数オフセットを用いて時間に関連して前記テスト信号のパラメータを追跡するように構成される追跡ユニットであって、前記パラメータが前記受信機クロックに対応するドリフトプロファイルに関連付けられる、前記追跡ユニットと、
を含む、回路。
【請求項2】
請求項1に記載のドリフトプロファイル判定テスト回路であって、
前記周波数検出モジュールが、前記テスト信号のサンプルを受信し、前記テスト信号の周波数ドメイン表示を計算するように構成されるFFTモジュールを更に含む、回路。
【請求項3】
請求項1に記載のドリフトプロファイル判定テスト回路であって、
前記パラメータが前記少なくとも1つのCW信号の周波数と位相との少なくとも1つであり、前記追跡ユニットが周波数ロックループと位相ロックループとの1つである、回路。
【請求項4】
請求項1に記載のドリフトプロファイル判定テスト回路であって、
前記周波数検出モジュールが、周波数ドメイン表示における前記少なくとも1つのCW信号に関連付けられるピークを検出するように構成され、
前記初期周波数オフセットが、前記少なくとも1つのCW信号に関連付けられる前記検出されたピークと前記少なくとも1つのCW信号の予期されるピークとに基づいて計算される、回路。
【請求項5】
請求項1に記載のドリフトプロファイル判定テスト回路であって、
前記周波数検出モジュールと前記追跡ユニットとに結合される制御ロジックであって、前記初期周波数オフセットを計算するために前記周波数検出モジュールを制御し、前記受信機クロックに関連付けられる前記ドリフトプロファイルの判定を促進させるために、時間に関連して前記少なくとも1つのCW信号の前記周波数と前記位相との少なくとも1つを追跡するために前記追跡ユニットを制御する、ように構成される、前記制御ロジックを更に含み、
前記追跡ユニットが、前記ドリフトプロファイルを判定するために所定の時間インタバルの間に前記周波数と前記位相との少なくとも1つを追跡するように構成される、回路。
【請求項6】
請求項1に記載のドリフトプロファイル判定テスト回路であって、
前記受信機クロック源が、温度補償水晶発振器(TCXO)クロックと結晶発振器との1つである、回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は概して、ナビゲーションシステム受信機におけるクロックドリフトプロファイル判定に関連する。
【背景技術】
【0002】
全地球測位システム(GPS)受信機、GLONASS(Globalnaya Navigatsionnay Sputnikovaya Sistema)受信機、及びGalileo(商標)受信機などのナビゲーションシステム受信機のオペレーションは、これらの受信機に対する位置を演算するため、幾つかの衛星とこれらの受信機との間で範囲測定が成され得るようにナビゲーション衛星信号を取得及び捕捉することである。このようなナビゲーションシステム受信機は、クロックドリフトの影響を非常に受け易く、従って、ナビゲーションシステム受信機におけるクロックドリフトに関連付けられるクロックの特徴付け(characterization)が、ナビゲーションシステム受信機を電子デバイスプラットフォームに統合する間又はその後に重要となる。
【発明の概要】
【0003】
ナビゲーションシステム受信機における受信機クロックのドリフトプロファイルを判定するためのテスト回路及び方法が開示される。一実施例において、ナビゲーションシステム受信機は、クロック源とテスト回路とを含む。クロック源は、ナビゲーションシステム受信機に対し受信機クロックを生成するように構成される。テスト回路は、テスト回路により受信したテスト信号の検出及び追跡に基づいて受信機クロックに関連付けられるドリフトプロファイル(即ち、時間にわたりクロック周波数がどのように変化するかのプロファイル)の判定を促進させるように構成される。テスト信号は少なくとも一つの連続波(CW)信号を含む。
【0004】
幾つかの実施例において、テスト回路は周波数検出モジュールを含む。周波数検出モジュールは、テスト信号の受信したサンプルで動作可能であり、受信機クロックに関連付けられる初期周波数オフセットを計算するためテスト信号の周波数ドメイン表示を提供するように構成される。テスト回路はまた、受信機クロックに関連付けられる初期周波数オフセットを用いて時間に関連してテスト信号の周波数又は位相パラメータを追跡するための追跡ユニットも含む。追跡されたパラメータは、受信機クロックに関連付けられるドリフトプロファイルの判定を促進させるために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、一実施例に従ったナビゲーションシステム受信機のブロック図である。
【0006】
図2図2は、一実施例に従ったナビゲーションシステム受信機において用いられるドリフトプロファイル判定テスト回路のブロック図である。
【0007】
図3図3は、時間にわたる典型的なドリフトプロファイルの例示のプロットである。
【0008】
図4図4は、一実施例に従った、ナビゲーションシステム受信機における受信機クロックドリフトの判定を促進させるための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例示のシナリオに従い、GPS受信機などのナビゲーションシステム受信機はクロックドリフトの影響を非常に受け易く、従って、GPS受信機を電子デバイスプラットフォームに統合する間、受信機クロックドリフトの特徴付け及び/又は判定が重要である。約10〜20パーツ・パー・ビリオン/秒(ppb/s)の小さなドリフトであっても、高感度GPS受信機において著しい性能劣化(例えば、感度損失)を引き起こす恐れがある。受信したGPS信号強度は非常に弱く、受信機は、情報を回復させるため数ミリ秒又は数秒までわたる長い期間の間、相関及び累算のプロセスを介して、信号を処理する必要がある。この理由のため、受信機クロックにおける小さなドリフトであっても性能劣化を引き起こす恐れがある。従って、ドリフトプロファイルを特徴付ける/判定すること、及び電子デバイスプラットフォームにおけるGPS受信機の基板レイアウトを最適化すること、又は他の対策を講じることが重要である。
【0010】
また、一例のシナリオにおいて、ナビゲーションシステム受信機は、温度補償水晶発振器(TCXO)をクロック源として用いるように構成され、ナビゲーションシステム受信機の性能は、温度依存性残存エラーを被る。従って、TCXOクロックドリフト、TCXO選択、配置、及び配路の特徴付けなどの要因は、GPS受信機を電話プラットフォームなどの電子デバイスプラットフォームに統合する間考慮する上で重要となる。このようなTCXOドリフトは、変調アナライザ又はスペクトルアナライザなどの外部機器を用いることにより特徴付けされる。これらの機器は、受信機クロックドリフトを分析するためナビゲーションシステム受信機に接続される。しかし、これらの機器は、典型的にサイズが非常に小さい最終フォームファクタ電話プラットフォームにおいて用いることが難しく、受信機クロックドリフトのこのような特徴付けには時間及び労力がかかる。更に、このような特徴付けは、ナビゲーションシステム受信機の工場製造段階の間、又はベンチ特徴付けなどの段階の間達成することが困難である。
【0011】
幾つかの実施例において、ナビゲーションシステム受信機は、同じ電子的プラットフォームにおいて、例えば、ワイヤレスLAN、ブルートゥース、及び同様のもの等、他のトランシーバに近接している。これらの他のトランシーバのオペレーションは、加熱効果に起因して電子的プラットフォームにおける急速な温度変化となり得、これは、ナビゲーションシステム受信機の性能に影響を与える恐れのあるクロックドリフトとなる。従って、他のトランシーバとのナビゲーションシステム受信機の種々の同時オペレーションのシナリオ下でクロックドリフトプロファイルを特徴付ける/判定することが重要である。
【0012】
この技術の種々の実施例は、現在得ることのできない利点を提供することに加えて、上記の及び他の制約を克服するために受信機クロックに関連付けられるドリフトを特徴付ける/判定することができるナビゲーションシステム受信機においてテスト回路を統合するための解決策を提供する。例えば、種々の実施例は、ナビゲーションシステム受信機における受信機クロックに関連付けられるドリフトプロファイルを判定するために用いられ得るテスト回路を包含するナビゲーションシステム受信機を提供する。この技術の種々の実施例が、図1図4に関連して本明細書に開示されている。
【0013】
図1は、一実施例に従った、受信機クロックのドリフトプロファイルの判定を促進させることが可能な例示のナビゲーションシステム受信機100のブロック図である。ナビゲーションシステム受信機100は、全地球航法衛星システム(GNSS)システムなどのナビゲーション衛星から、位置、タイミング、及び他のナビゲーション情報を受け取ることができる。ナビゲーションシステム受信機100の例は、これらに限らないが、全地球測位システム(GPS)受信機、GLONASS(Globalnaya Navigatsionnay Sputnikovaya Sistema)受信機、Galileo(商標)受信機、及び他のナビゲーションシステム受信機を含む。受信機100の図の詳細は単に例示の目的で提供されており、他の実施例が、一層少ない又は一層多い構成要素、及び対応する相互接続を含み得ることに留意されたい。
【0014】
アンテナ105が、GPS、GLONASS、Galileo、及び同様のものなど、1つ又は複数の衛星システムのGNSS衛星から複数の衛星信号を受信するように構成される。例示の一実施例において、フロントエンド処理ブロック110が、GPS又はGalileoなどの符号分割多元接続(CDMA)で、及びGNSS衛星信号の一種であるGLONASSなどの周波数分割多重化(FDM)で動作するように設計され得る。一実施例に従って、全ての衛星信号の組み合わせが、「受信した信号」又は「無線周波数(RF)信号」と呼ばれる。アンテナ105は、RF信号をフロントエンド処理ブロック110に提供するように構成される。フロントエンド処理ブロック110は種々の方式で構成される。フロントエンド処理ブロック110は、一例として示されており、図1に示す構成要素より多くの構成要素及びそれらの他の相互接続を含み得る。この実施例において、フロントエンド処理ブロック110は、RF信号を増幅するアンテナ105からの信号にアクセスするように構成されるRF増幅器115を含む。一例において、RF増幅器115は低ノイズ増幅器とし得る。幾つかの実施例において、RF増幅器115は、マッチングネットワークブロック(図示せず)と共に表面音響波(SAW)フィルタなどの高性能フィルタを介してアンテナ105から信号を受け取る。
【0015】
フロントエンド処理ブロック110は、RF信号のキャリア周波数を一層低い周波数(例えば、中間周波数(IF))まで下げるため1つ又は複数のレベルのダウンコンバージョンを実行するように構成される。例えば、受信機100は、RF信号をIF信号に変換するように構成されるミキサー120を含む。ミキサー120は、RF信号をIF信号に変換するため局部発振器(LO)/位相ロックループ(PLL)125からの信号を用いる。LO/PLL125は典型的に、クロック源130からのクロック信号を受け取り、ミキサー120に供給される局部発振器信号を生成する。クロック源130の例には、これらに限らないが、温度補償水晶発振器(TCXO)、結晶発振器、又はナビゲーションシステム受信機100内部の発振器に結合される結晶が含まれる。フィルタ135がIF信号をフィルタし、これはIF増幅器140により更に増幅される。一実施例において、IF増幅器140の出力はアナログデジタルコンバータ(ADC)145に供給される。ADC145は、受信したIF信号をデジタルサンプルに変換するように構成される。
【0016】
受信機100は、位置信号処理ロジック150及びプロセッサ160を更に含み、これらは、RF信号内で搬送される情報及びデータビットを抽出するために、デジタル化されたベースバンド信号を処理するように構成される。一実施例において、位置信号処理ロジック150は、プロセッサ160として具現化され得るか、又はプロセッサ160内に統合され得る。プロセッサ160は、処理効率を増大させるためのキャッシュなど、内部又は外部メモリを有し得る。プロセッサ160は、多数のメモリユニット(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、又は他の種類のメモリ)及び入力/出力サブシステムなど、幾つかの他の構成要素にインタフェースされ得るが、説明を簡潔にするため、これらの構成要素は図示しない。これらのメモリは、天体暦(ephemeris)データ、暦(almanac)データ、最後の既知の場所、及び同様のものなどの位置決め関連情報をストアするため、プロセッサ160により用いられる。メモリは更に、プロセッサ160により実行されるべきプログラム命令をストアするようにも構成され得る。プロセッサ160は更に、外部デバイスと通信するため入力/出力サブシステムに動作可能に接続又は結合される。
【0017】
この技術のこの実施例において、受信機100はテスト回路170を含む。一実施例において、テスト回路170は、オンボード設計として実装されるか又はナビゲーションシステム受信機100に内蔵される。代替として、テスト回路170は代わりに、ナビゲーションシステム受信機100と結合され得るか、又はナビゲーションシステム受信機100に接続され得る。
【0018】
テスト回路170は、テスト信号を受信するように、及びテスト信号の検出及び追跡に基づいて受信機クロックに関連付けられるドリフトの判定を促進させるように構成される。一実施例において、テスト信号は、正弦波信号など、少なくとも一つの連続波(CW)信号を含む。CW信号は、受信機100と通信可能に結合される外部信号源から受信される。幾つかの実施例において、テスト信号は、その信号がアンテナ105によりピックアップされるように、信号源からナビゲーションシステム受信機100に放射される。別の実装において、テスト信号は、有線接続を介して直接的にフロントエンド処理ブロック110に接続される。
【0019】
幾つかの実施例において、テスト回路170は、フロントエンド処理ブロック110の出力からテスト信号のサンプルを受け取る。例えば、テスト回路170は、ADC145の出力と結合されるか又はADC145の出力に接続される。テスト回路170は、CW信号を含むテスト信号のサンプルを受け取るように構成される。テスト回路170は更に、テスト信号の受信したサンプルに基づいて受信機クロックに関連付けられる初期周波数オフセットを判定するように構成される。このような一実施例において、テスト回路170は、初期周波数オフセットを判定するように構成される周波数検出モジュールを含む。一実施例において、周波数検出モジュールは、テスト信号の周波数ドメイン表示を得るためテスト信号のサンプルの高速フーリエ変換(FFT)を実行する。その後、テスト信号の周波数ドメイン表示におけるCW信号に関連付けられるピークが検出される。テスト回路170は更に、初期周波数オフセットを用いてCW信号のパラメータを追跡するように構成される。例えば、テスト回路170は、適切な構成要素又は回路要素を用いてCW信号の周波数及び位相の少なくとも1つを追跡するように構成される。適切な構成要素又は回路要素は、これらに限らないが、周波数ロックループ(FLL)及び/又は位相ロックループ(PLL)を含む。テスト回路170は更に、受信機クロックに関連付けられるドリフトプロファイルを判定するためパラメータの追跡された情報を外部ホストに供給するように構成される。例えば、CW信号の周波数は、特定の期間の間周期的にレポートされ、時間にわたる周波数のこのレポートは、受信機クロック(例えば、TCXOクロック)に関連付けられるドリフトプロファイルを表す。別の実施例において、時間にわたりレポートされた周波数は、受信機クロックに関連付けられるドリフトプロファイルの判定のため外部ホストに供給される。
【0020】
テスト回路170は、電子的要素及び回路の相互接続、及び特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサユニット、特定目的チップ、及び同様のものなどのモジュールとして実装され得る。テスト回路170の例示の一実施例を図2に関連して更に詳細に説明する。
【0021】
ここで図2を参照すると、ドリフトプロファイル判定テスト回路200が一実施例に従って示されている。ドリフトプロファイル判定テスト回路200(以降では「テスト回路200」と称する)が、一実施例に従ったテスト回路170の一例である。例示の一実装に従って、テスト回路200は、ナビゲーションシステム受信機(例えば、GPS受信機)の内蔵構成要素とし得る。幾つかの例示の実施例において、テスト回路200は、個別の個体とし得、ナビゲーションシステム受信機の受信機クロックに関連付けられるドリフトプロファイルの判定を促進させるためナビゲーションシステム受信機に結合され得る。テスト回路200に示す構成要素の幾つかは、任意選択とし得、その機能は、他の構成要素により、例えば、単独で又は共同して、実行され得る。
【0022】
テスト回路200は、テスト信号245(正弦波信号など、少なくとも1つのCW信号を含む)をテスト回路200に供給するように構成される信号源240に通信可能に結合されるか又は信号源240に関連付けられる。1つの形式において、信号源240は、有線接続を用いてテスト信号をテスト回路200に供給する。他の形式において、信号源240はテスト信号を放射し、アンテナ105などのアンテナがテスト信号を受け取ることができ、テスト信号は、フロントエンド処理ブロック(フロントエンド処理ブロック110参照)による処理の後、テスト回路200にフィードされる。
【0023】
テスト回路200は、テスト信号の受信したサンプルを収集するように構成されるバッファ205を含む。バッファ205は、任意のメモリ又はデータストレージ手法を備えて実装され得る。例えば、テスト信号のサンプルをストアすることが可能な一連のレジスタが、サンプルバッファ205を実装するために用いられ得る。図2に示す実施例において、テスト回路200は、バッファ205と通信可能に結合される又はバッファ205に接続される周波数検出モジュール210を含む。一実施例において、周波数検出モジュール210はFFTモジュールを含む。FFTモジュールは、バッファ205からテスト信号のサンプルを受け取るように構成される。幾つかの実施例において、バッファ205は、任意選択とし得、テスト信号のサンプルは、周波数検出モジュール210に直接的にフィードされる。
【0024】
周波数検出モジュール210(具体的には、周波数検出モジュール210内に存在するFFTモジュール)は、時間ドメインにある受信した信号(例えば、CW信号を含むテスト信号)に対応する周波数ドメイン表示(例えば、周波数ドメイン信号)を生成するためFFTを実行するように構成される。FFTは、離散フーリエ変換(DFT)又は逆変換を実行するための効率的なアルゴリズムである。信号分析において、時間ドメインは、時間に関連する物理的信号の変化を記載するために用いられ、周波数ドメインは、周波数に関連する物理的信号の変化を記載するために用いられる。周波数検出モジュール210は、その出力をテスト信号の周波数ドメインデータとして提供するためテスト信号のFFTを実行する。一実施例において、テスト信号(例えば、CW信号)における注入されたトーンが、周波数検出モジュール210により検出される。一実施例において、CW信号の注入されたトーンは、FFTモジュール210の出力におけるピークに基づいて検出される。一実施例において、FFTモジュール210の出力における検出されたピークの中心周波数が、CW信号の周波数を提供する。
【0025】
周波数検出モジュール210は、CW信号に対し受信機クロックに関連付けられる初期周波数オフセットを計算するように構成される。1つの形式において、初期周波数オフセットは、CW信号の検出されたピークとCWトーンのピークの予期される位置に基づいて計算される。例えば、テスト信号におけるCW信号の周波数は既に分かっており、ピークの予期される位置が判定され得る。一実施例において、周波数検出モジュール210は、CW信号のピークの予期される位置とCWトーンのピークの検出された位置との差を計算するように構成され、計算された差は初期周波数オフセットである。図2に示す実施例において、テスト回路200は、周波数検出モジュール210の出力を受信するように構成される制御ロジック215を含む。
【0026】
代替の実施例において、周波数検出モジュール210は、受信したCW信号の連続するサンプル間の位相差を見ることによるなど、他の手段を介して(FFTを用いずに)初期周波数オフセットを計算する。
【0027】
テスト回路200は、受信機クロックに関連付けられるドリフトプロファイルを判定するために用いられるCW信号の周波数及び位相の少なくとも1つなどのパラメータを追跡するための追跡ユニット220を含む。追跡ユニット220の例はFLL又はPLLである。FLLなどの追跡ユニット220は、周波数検出モジュール210及び制御ロジック215と結合されるか又はこれらに接続される。
【0028】
一実施例において、制御ロジック215は、計算された初期周波数オフセットで、FLLなどの追跡ユニット220を初期化するように、及びCW信号の周波数を追跡するためFLLにCW信号上の追跡ループを実行させるように構成される。同様に、追跡ユニット220がPLLである実施例において、制御ロジック215は、CW信号の位相を追跡するためPLLにCW信号上の追跡ループを実行させる。一実施例において、制御ロジック215は、所定の時間インタバルの間、FLL/PLLにCW信号を追跡させる。別の実施例において、制御ロジック215は、受信機クロック(例えば、TCXOクロック)の判定のためCW信号の周波数/位相を周期的にレポートする。時間にわたる周波数及び/又は位相のレポートは、TCXOクロックのドリフトプロファイルを表す。更に別の実施例において、受信機クロックに関連付けられるドリフトプロファイルは、パーツ・パー・ミリオン(ppm)又はパーツ・パー・ビリオン(ppb)で測定される。ここで、単一パーツ・パー・ミリオンは、その公称周波数が1メガヘルツ(MHz)であるTCXOクロックの周波数の1ヘルツ(Hz)の周波数ドリフトを表し、単一パーツ・パー・ビリオンは、1MHzの公称周波数を有するTCXOクロックに対する1mHz(ミリヘルツ)のドリフトを表す。
【0029】
幾つかの実施例において、制御ロジック215は、時間に関連したパラメータの追跡された情報を受信することができるホストプロセッサ250に通信可能に接続されるか又はホストプロセッサ250に関連付けられるように構成される。そのような実施例では、ホストプロセッサ250は、追跡されたパラメータに基づいて受信機クロックに関連付けられるドリフトプロファイルを判定するように構成される。幾つかの実施例において、制御ロジック215はテスト回路200に存在せず、制御ロジック215の機能はホストプロセッサ250によって実行される。これらの実施例において、ホストプロセッサ250は、周波数検出モジュール210及び追跡ユニット215と直接的に結合されるか又は周波数検出モジュール210及び追跡ユニット215に接続される。幾つかの実施例において、テストモードがホストプロセッサ250からソフトウェアメッセージを介して指令され、これが、CW信号を追跡するためナビゲーションシステム受信機内のテスト回路200を起動させ、追跡された情報は、受信機クロック(例えば、TCXOクロック)に関連付けられるドリフトプロファイルを判定するためホストプロセッサ250により受信される。時間にわたる典型的なドリフトプロファイルの例示的図面を図3に示す。ここで図3を参照すると、10秒期間にわたるクロックの周波数ドリフトの一例がppbで示されている。プロット302は、時間軸で(X軸)及びppbでの周波数ドリフトで(Y軸)示される、ドリフトプロファイルを表す。
【0030】
再び図2を参照すると、追跡ユニット220がFLL及びPLLの例で説明していることに留意されたい。しかし、このような説明は一例として示される。実際、追跡ユニットは、FLL及びPLLに限定されず、追跡ユニットの種々の可能な構成が実装され得る。更に、追跡ユニット220、周波数検出モジュール210、及び制御ロジック215は、コンピュータプログラム命令を備えた又は備えない、ASIC、FPGA、デジタルシグナルプロセッサユニット、特定目的チップ、及び同様のものうちの任意のもの又はそれらの組み合わせを用いて実装され得る。
【0031】
図4は、この技術の一実施例において、ナビゲーションシステム受信機における受信機クロックのドリフトプロファイルの判定が促進される方式を示すフローチャートである。例示の目的のため、このフローチャートは、図1及び図2のデバイス及び構成要素に関連して、及び受信機クロックに関連付けられるドリフトプロファイルの判定を促進させるためテスト回路を含むナビゲーションシステム受信機に関連して説明する。しかし、本明細書に記載の種々の特徴は、他の環境において及び他の構成要素を用いて実装され得る。また、このフローチャートにおける工程は例示の目的のため特定のシーケンスにおいて説明している。工程の異なるシーケンスを用いる代替の実施例も、この技術の幾つかの側面の趣旨及び範囲から逸脱することなく実装され得る。
【0032】
402で、方法400は、ナビゲーションシステム受信機においてテスト信号のサンプルを受け取ることを含む。一実施例において、テスト信号は少なくとも一つのCW信号を含む。図2に関連して説明するように、テスト信号は、外部信号源から直接有線接続を介して受信されるか、又は放射として受信される。別の実施例において、テスト信号は、ナビゲーションシステム受信機(例えば、GPS受信機)に結合されるか又はそれに関連付けられるRFアンテナにより、又は有線接続により受信される。一実施例において、CW信号は、正弦波信号であり、中心周波数を有する。
【0033】
404において、方法400は、テスト信号の受信したサンプルに基づいて受信機クロックの初期周波数オフセットを判定することを含む。一実施例において、初期周波数オフセットは、ブロック406、408、及び410によって判定される。406において、方法400は、テスト信号に対応する検出可能周波数ピークを含む周波数ドメイン表示にアクセスすることを含む。周波数ドメイン表示は、テスト信号のFFTを実行することにより得られる。408において、方法400は、それぞれ、ピークの予期される位置と検出された位置を反映する、第1及び第2の値にアクセスすることを含む。第1の値は、CW信号に対応するピークの予期される位置に対応する。CW信号の周波数が既知であるため、ピークの予期される位置は、既に分かっており、アクセスされる。第2の値は、周波数ドメイン表示におけるCW信号に対応するピークの検出された位置に対応する。410において、方法400は、CW信号に対し受信機クロックに関連付けられる初期周波数オフセットを判定することを含む。初期周波数オフセットは、第1及び第2の値間の差に基づいて判定される。例えば、一実施例において、初期周波数オフセットは、CW信号のピークの予期される位置とCW信号ピークの検出された位置との差として計算される。
【0034】
412において、方法400は、初期周波数オフセットを用いてCW信号のパラメータを追跡することを含む。パラメータは、CW信号の周波数及び位相の少なくとも1つである。例えば、図2に関連して説明するように、CW信号の周波数及び/又は位相は、FLL及び/又はPLLにより追跡される。一実施例において、初期周波数オフセットもパラメータであり、これも追跡される。ここで、初期周波数オフセットの追跡とは、受信したCW信号から周波数オフセットを周期的に判定することを指す。幾つかの実施例において、周波数オフセットは、所定の又はカスタマイズされた非周期的インタバルでも判定される。
【0035】
更に、414において、方法400は、CW信号のパラメータの追跡に基づいて受信機クロックに関連付けられるドリフトプロファイルの判定を促進させることを含む。例えば、CW信号の周波数は、時間に関連して、例えば所定のインタバルで、追跡される。CW信号の追跡された周波数は、受信機クロック(例えば、TCXOクロック)に関連付けられるドリフトプロファイルを判定する/特徴付けるため時間に関連してレポートされる。幾つかの実施例において、周波数及び位相などのパラメータの追跡された値は、ホストプロセッサ110などの外部処理/演算デバイスに供給される。これらの実施例において、時間に関連するパラメータの追跡された値は、受信機クロックに関連付けられるドリフトプロファイルを判定するためホストプロセッサ110により用いられる。
【0036】
414において、方法400は、初期周波数オフセットの追跡に基づいて受信機クロックに関連付けられるドリフトプロファイルの判定を促進させる。初期周波数オフセットは、受信したCW信号から周波数オフセットを周期的に判定することにより時間にわたって追跡され、受信機クロックに関連付けられるドリフトプロファイルは、追跡された周波数オフセット値によって判定される。周波数オフセットの追跡された値は、受信機クロックに関連付けられるドリフトプロファイルを判定するためにこれらの値を用いるホストプロセッサ110などの外部処理/演算デバイスに供給される。
【0037】
以下に記載する特許請求の範囲、その解釈又は適用をいかなる方式においても制限することなく、本明細書に開示する例示の実施例の1つ又は複数の利点は、ナビゲーションシステム受信機に統合され得るテスト回路を提供することである。種々の実施例は、テスト回路がデバイスプラットフォームに既に統合されているため、シンプルでユーザに使いやすい方式で、TCXOクロックなどの受信機クロックのドリフトプロファイルの判定を促進させる。種々の実施例は、高価で嵩張る外部機器を含まず、そのためコンパクトなフォームファクタ電話プラットフォームに関連付けられる困難性を有さない。この技術の種々の実施例により、工場製造テスト及びベンチ特徴付けなどの段階中のドリフトプロファイルの判定が可能となる。ホストプロセッサからのソフトウェアメッセージを介してテストモードが指令され、これは、受信機クロックに関連付けられるドリフトプロファイルをレポートするためナビゲーションシステム受信機におけるテスト回路を起動させる。このようなプロセスは、工場製造段階中ナビゲーションシステム受信機の大量テストのためにスケーリング可能である。この技術の種々の実施例は、ナビゲーションシステム受信機の設計段階において助けとなる。例えば、受信機クロックに関連付けられる判定されたドリフトが、対応するナビゲーションシステム受信機の性能に影響を与え得る或る限界を超える場合、緩和措置が取られ得る。このような緩和措置は、これらに限らないが、基板設計最適化、TCXO配置変更、及び熱的シールディングを含む。この技術に関連して提供されるテスト回路及び方法は、クロックドリフトのこのような判定を促進させる。
【0038】
当業者であれば、本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得ること、及び多くの他の実施例が可能であることが分かるであろう。

図1
図2
図3
図4