特許第6585152号(P6585152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585152
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】導電性膜を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 5/12 20060101AFI20190919BHJP
   B05D 3/12 20060101ALI20190919BHJP
   H01B 1/20 20060101ALI20190919BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20190919BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20190919BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20190919BHJP
   H01B 13/00 20060101ALN20190919BHJP
【FI】
   B05D5/12 B
   B05D3/12 Z
   H01B1/20 A
   H01B1/00 H
   H01B5/14 A
   B05D7/24 303G
   !H01B13/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-242315(P2017-242315)
(22)【出願日】2017年12月19日
(62)【分割の表示】特願2016-159535(P2016-159535)の分割
【原出願日】2012年6月27日
(65)【公開番号】特開2018-75565(P2018-75565A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2017年12月19日
(31)【優先権主張番号】61/504,021
(32)【優先日】2011年7月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/530,814
(32)【優先日】2011年9月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317001367
【氏名又は名称】カンブリオス フィルム ソリューションズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン チェニツカ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ウエストウォーター
【審査官】 横島 隆裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−119142(JP,A)
【文献】 特表2009−505358(JP,A)
【文献】 特表2010−525526(JP,A)
【文献】 特開2002−156825(JP,A)
【文献】 特開2006−071781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00−7/26
H01B 1/00−1/24、5/00−5/16、
13/00−13/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性膜を形成する方法であって、前記方法は、
複数の導電性ナノ構造体および流体担体を有し、第1の寸法および前記第1の寸法に対して横向きの第2の寸法を有する湿潤膜を形成する工程と、
前記第2の寸法に沿って前記湿潤膜にわたって気流を適用し、それによって、前記湿潤膜における前記導電性ナノ構造体のうちの少なくともいくつかが再配向される工程と、を含み、
前記気流の速度は0.1m/s〜10m/sであり、
前記導電性ナノ構造体はアスペクト比が10より大きい構造体であり、
前記導電性ナノ構造体はナノチューブである、
方法。
【請求項2】
前記導電性ナノ構造体はアスペクト比が50より大きい構造体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導電性ナノ構造体はアスペクト比が100より大きい構造体である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記導電性ナノ構造体は500nmよりも長い構造体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記導電性ナノ構造体は1μmよりも長い構造体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記導電性ナノ構造体は10μmよりも長い構造体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記気流を適用した後に、前記湿潤膜を乾燥させて前記導電性膜を与える工程をさらに含む、請求項1に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2011年7月1日に出願された米国仮特許出願第61/504,021号および2011年9月2日に出願された米国仮特許出願第61/530,814号の利益を、米国特許法§119(e)の下で主張し、これらの出願はその全体が本明細書において参照として援用される。
【背景技術】
【0002】
導電性ナノ構造体は、それらのサブミクロンの寸法のために、薄い導電性膜を形成することが可能である。多くの場合、薄い導電性膜は光学的に透明であり、「透明導体」とも称される。同時係属の、共有されている米国特許出願第11/504,822号、第11/871,767号、および第11/871,721号は、金属ナノワイヤなどの異方性導電性ナノ構造体を相互接続させることによって形成された透明導体を記載している。ナノ構造体系透明導体は、平面パネルディスプレイおよびタッチスクリーンを含めたエレクトロクロミックディスプレイにおける薄膜トランジスタに連結された透明電極などとして特に有用である。さらに、ナノ構造体系透明導体は、カラーフィルタおよび偏光子におけるコーティングなどとしても適切である。上記同時係属出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
導電性膜またはナノ構造体ネットワーク層を作製するために、ナノ構造体の液体分散系を基板に堆積させ、続いて、乾燥または硬化プロセスを行うことができる。液体分散系は、「インク組成物」または「インク配合物」とも称される。インク組成物は、典型的には、ナノ構造体(例えば、金属ナノワイヤ)および流体担体(または分散剤)を含む。場合による剤、例えば、バインダ、粘度調整剤、および/または界面活性剤が、ナノ構造体の分散および/または基板におけるナノ構造体の固定を促進するために存在していてもよい。
【0004】
ナノ構造体ネットワーク層の薄膜は、インク堆積に続き、分散剤が少なくとも部分的に乾燥または蒸発された後に形成される。ナノ構造体ネットワーク層は、このようにナノ構造体を含み、ナノ構造体は、ランダムに分布され、互いに、ならびに、例えば、バインダ、粘度調整剤、および界面活性剤を含むインク組成物の他の不揮発性成分と相互接続する。
【0005】
上記に引用された、共有されている米国特許出願第11/504,822号に開示されているように、ロールツーロールウェブコーティングは、透明導体の製作のためのそのような溶液系堆積(コーティング)プロセスと適合する。特に、ウェブコーティングは、可撓性基板(「ウェブ」)において実質的に均一かつ再現可能な導電性膜を製造する。適切なロールツーロール堆積プロセスとして、限定されないが、スロットダイ、グラビア、リバースグラビア、マイクログラビア、リバースロール、およびマイヤーバーを挙げることができる。導電性膜の均一性および再現性をさらに高める必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
1つの実施形態は、導電性膜を形成する方法であって
複数の導電性ナノ構造体および流体担体を有するコーティング溶液を与える工程、
機械方向にウェブを移動させる工程、
移動するウェブにコーティング溶液を堆積することによって湿潤膜を形成する工程であって、湿潤膜が、機械方向に平行に延在する第1の寸法および機械方向に対して横向きの第2の寸法を有する工程、
第2の寸法に沿って湿潤膜にわたって気流を適用し、それによって、湿潤膜における導電性ナノ構造体のうちの少なくともいくつかが再配向される工程、ならびに
湿潤膜を乾燥させて導電性膜を与える工程
を含む方法を提供する。
【0007】
別の実施形態は、上記方法によって形成された導電性膜であって、第1の寸法に沿った第1のシート抵抗(RMD)および第2の寸法に沿った第2のシート抵抗(RTD)が導電性膜における所定の位置で測定される場合、第2のシート抵抗と第1のシート抵抗との比(RTD/RMD)は、シート抵抗の異方性を定義し、異方性は、2未満、または1.5未満、または1.4未満、または1.2未満である、導電性膜を提供する。
【0008】
さらに別の実施形態は、導電性膜であって、異方性が第2の寸法にわたって複数の位置で測定されて、最大異方性および最小異方性を与え、最大異方性と最小異方性との間の差が、最小異方性の25%未満、20%未満、または15%未満、または10%未満、または5%未満である、導電性膜を提供する。
【0009】
さらなる実施形態は、導電性膜を形成する方法であって
複数の導電性ナノ構造体および流体担体を有する湿潤膜を形成する工程であって、湿潤膜が第1の寸法および第1の寸法に対して横向きの第2の寸法を有する工程、ならびに
第2の寸法に沿って湿潤膜にわたって気流を適用し、それによって、湿潤膜における導電性ナノ構造体のうちの少なくともいくつかが再配向される工程
を含む方法を提供する。
【0010】
さらに別の実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含む導電性膜であって、導電性膜の第1の寸法が、導電性膜の第2の寸法に垂直であり、第1の寸法に沿った第1のシート抵抗(RMD)および第2の寸法に沿った第2のシート抵抗(RTD)が導電性膜における所定の位置で測定され、第2のシート抵抗と第1のシート抵抗との比(RTD/RMD)は、シート抵抗の異方性を定義し、異方性は、2未満、または1.5未満、または1.4未満、または1.2未満である、導電性膜を提供する。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
導電性膜を形成する方法であって:
複数の導電性ナノ構造体および流体担体を有するコーティング溶液を与える工程;
機械方向にウェブを移動させる工程;
前記移動するウェブに前記コーティング溶液を堆積することによって湿潤膜を形成する工程であって、前記湿潤膜は、前記機械方向に平行に延在する第1の寸法および前記機械方向に対して横向きの第2の寸法を有する工程;
前記第2の寸法に沿って前記湿潤膜にわたって気流を適用し、それによって、前記湿潤膜における前記導電性ナノ構造体のうちの少なくともいくつかが再配向される工程;ならびに
前記湿潤膜を乾燥させて前記導電性膜を与える工程
を含む方法。
(項目2)
前記湿潤膜を形成する工程が、前記移動するウェブ上にリザーバから前記コーティング溶液を連続的に加圧する工程を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記湿潤膜を形成する工程が、スロットダイコーティングを含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記気流が、前記湿潤膜が前記機械方向に沿って進むときに連続的に適用される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記気流が、前記コーティング溶液を堆積した後に30秒以内適用される、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記気流が、前記移動するウェブの一方側に沿ってエア源から生じる、項目1〜5のいずれかに記載の方法。
(項目7)
前記気流が、前記移動するウェブに架かりかつ前記機械方向に垂直に延在するエアチャネルから生じる、項目1〜5のいずれかに記載の方法。
(項目8)
前記コーティング溶液が、複数の銀ナノワイヤ、粘度調整剤、および水を含む、項目1〜7のいずれかに記載の方法。
(項目9)
項目1〜8のいずれかに記載の方法によって作製された導電性膜。
(項目10)
前記第1の寸法に沿った第1のシート抵抗(RMD)および前記第2の寸法に沿った第2のシート抵抗(RTD)が前記導電性膜における所定の位置で測定される場合に、前記第2のシート抵抗と前記第1のシート抵抗との比(RTD/RMD)は、前記シート抵抗の異方性を定義し、前記異方性は、2未満、または1.5未満、または1.4未満、または1.2未満である、項目9に記載の導電性膜。
(項目11)
前記異方性が、1〜1.5の範囲、または1.2〜1.5の範囲、または1.4〜1.5の範囲にある、項目10に記載の導電性膜。
(項目12)
前記異方性が、前記第2の寸法にわたって複数の位置で測定されて最大異方性および最小異方性を与え、前記最大異方性と前記最小異方性との間の差が、前記最小異方性の25%未満である、項目10に記載の導電性膜。
(項目13)
前記最大異方性と前記最小異方性との間の差が、前記最小異方性の20%未満、または15%未満、または10%未満、または5%未満である、項目12に記載の導電性膜。
(項目14)
導電性膜を形成する方法であって:
複数の導電性ナノ構造体および流体担体を有する湿潤膜を形成する工程であって、前記湿潤膜は第1の寸法および前記第1の寸法に対して横向きの第2の寸法を有する工程;ならびに
前記第2の寸法に沿って前記湿潤膜にわたって気流を適用し、それによって、前記湿潤膜における前記導電性ナノ構造体のうちの少なくともいくつかが再配向される工程
を含む方法。
(項目15)
前記気流を適用した後に、前記湿潤膜を乾燥させて前記導電性膜を与える工程をさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記湿潤膜が、移動する基板に連続的に形成され、前記移動する基板が、前記第1の寸法に沿って進む、項目14〜15のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記湿潤膜が、スロットダイコーティングによって形成される、項目14〜16のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
前記湿潤膜が進むときに前記気流が連続的に適用される、項目14〜17のいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
項目14〜18のいずれかに記載の方法によって作製された導電性膜。
(項目20)
複数の導電性ナノ構造体を含む導電性膜であって、
前記導電性膜の第1の寸法は、前記導電性膜の第2の寸法に垂直であり、前記第1の寸法に沿った第1のシート抵抗(RMD)および前記第2の寸法に沿った第2のシート抵抗(RTD)は、前記導電性膜における所定の位置で測定され、前記第2のシート抵抗と前記第1のシート抵抗との比(RTD/RMD)は、前記シート抵抗の異方性を定義し、前記異方性は、2未満、または1.5未満、または1.4未満、または1.2未満である、導電性膜。
(項目21)
前記異方性が、1〜1.5の範囲、または1.2〜1.5の範囲、または1.4〜1.5の範囲にある、項目20に記載の導電性膜。
(項目22)
前記異方性が、前記第2の寸法にわたって複数の位置で測定されて最大異方性および最小異方性を与え、前記最大異方性と前記最小異方性との間の差が、前記最小異方性の25%未満である、項目20に記載の導電性膜。
(項目23)
前記最大異方性と前記最小異方性との間の差が、前記最小異方性の20%未満、または15%未満、または10%未満、または5%未満である、項目22に記載の導電性膜。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、シート抵抗の異方性を低減するためのクロスウェブ気流の基本概念 を示す。
図2図2は、位置の関数としての異方性の低減を実証する(サンプルAは、クロ スウェブ気流を使用して製作され、サンプルBは、クロスウェブ気流なしで製作され た比較サンプルである)。
図3図3Aおよび3Bは、クロスウェブ気流(A)なしで、およびクロスウェブ 気流(B)によって堆積されたナノワイヤの顕微鏡写真を示す。
図4図4は、チャネリング装置としてエアダクトを使用するクロスウェブ気流の 模式的実施である。
図5図5は、湿潤膜の全幅にわたって実質的に均一量の気流を与えるエアダクト の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
ロールツーロールコーティングプロセスにおいて、塗装基板が進む方向は、本明細書では機械方向(「MD」)と称される。MDに対して横向きの(すなわち、直角)方向は、クロスウェブまたは横方向(「TD」)と称される。ナノワイヤのインク組成物のロールツーロール堆積の間、堆積されたナノワイヤが、横方向と比較したとき機械方向に配列する傾向が増加する場合があることが観察された。配列におけるそのような変動は、横方向と比較して機械方向におけるナノワイヤの接続性の範囲をより長くする場合がある。これは、透明導体シート抵抗に異方性を生じさせることができ、そのようなシート抵抗は、横方向(RTD)におけるよりも機械方向(RMD)においてより低い。
【0013】
本明細書では、ナノワイヤ溶液の堆積直後にクロスウェブ気流を適用することによってRMDとRTDと間の差を減少させるためのポスト堆積処理が提供される。ナノワイヤ配列で観察される異方性は、コーティングプロセスの間、コーティングビーズにおけるまたはスロットダイにおけるせん断によるナノワイヤの優先的な配列によって引き起こされると考えられる。
【0014】
MDにおけるナノワイヤの優先的な配列の低減は、堆積自体の間にこの異方性に対処するよりもむしろ、湿潤膜の堆積後、および該膜が層流を可能にするのにさらに十分に流動性であるときに達成することができる。図1に示すように、湿潤膜またはコーティング(10)は機械方向(30)において移動するウェブ(20)において形成される。湿潤膜が乾燥または硬化する前に、気流(40)が、機械方向(30)に対して実質的に横方向にエア供給(50)(例えば、エアナイフ)から適用される。気流は、堆積の間に生じる場合があるナノワイヤのあらゆる優先的な配列を低減または排除することができることが観察された。湿潤膜にわたる層流は、ナノワイヤのある程度の再配列、特に、機械方向(すなわち、層流に垂直)に沿って予め配列されたものをもたらすと考えられる。
【0015】
このように、1つの実施形態は、導電性膜を形成する方法であって
(a)複数の導電性ナノ構造体および流体担体を有するコーティング溶液を与える工程、
(b)機械方向にウェブを移動させる工程、
(c)移動するウェブにコーティング溶液を堆積することによって湿潤膜を形成する工程であって、湿潤膜が、機械方向に平行に延在する第1の寸法および機械方向に対して横向きの第2の寸法を有する工程、
(d)第2の寸法に沿って湿潤膜にわたって気流を適用し、それによって、湿潤膜における導電性ナノ構造体のうちの少なくともいくつかが再配向される工程、ならびに
(e)湿潤膜を乾燥させて導電性膜を与える工程
を含む方法を提供する。
【0016】
種々の実施形態において、堆積ステップは、移動するウェブ上にリザーバからのコーティング溶液を連続的に加圧する(すなわち、スロットダイ法による)工程を含む。
【0017】
さらなる種々の実施形態において、気流は、湿潤膜が機械方向に沿って進むときに連続的に適用される。好ましくは、気流は、湿潤膜が堆積された直後に適用されて、湿潤膜が、導電性ナノ構造体がそれら自身を再配向することを可能にするのに十分に流動性であることを確実にする。堆積と気流との間の時間間隔は、流体担体の揮発性および量にある程度まで依存する。水性コーティング溶液について、気流は、堆積から5秒以内、または10秒以内、または20秒以内、または30秒以内に開始するべきである。気流時に、膜がいかなる有意な乾燥も受けず、したがって、ナノワイヤが外部手段によってさらに再配向され得ることが重要である。
【0018】
気流は、当業者に公知の任意の手段によって供給され得る。典型的には、気流源は、例えば、移動するウェブの一方の側に位置するエアナイフ、または移動するウェブ上に架かるエアチャネルもしくはダクトであってもよい。図2〜5にも示されているが、気流源は、湿潤膜の全幅にわたって(すなわち、第2の寸法に沿って)均一な気流を与えるように設計されていてよい。湿潤膜は、ひいては全体に乾燥させられる。
【0019】
ポスト堆積処理なしでは、シート抵抗(MDシート抵抗に対するTDシート抵抗の比として定義されている)の異方性は、2と高い場合がある。本開示による種々の実施形態では、シート抵抗の異方性は、2未満、または1.5未満、または1.4未満、または1.2未満であり得る。
【0020】
エア供給に近位側の層流は、この位置でのより多い気流により、エア供給からより遠い側部の位置での層流よりも典型的には強い。その結果、図2のグラフで見られるように、ナノワイヤの配列に対する層流の影響もより明白になり得る。図2は、サンプルA(クロスウェブ気流なし)およびサンプルB(クロスウェブ気流あり)における測定の位置の関数としてのシート抵抗の異方性を示す。右側(エア供給に近位)の異方性は、2から1.2に減少した。左側(エア供給からより遠い)では、低減は、2から1.4までだけであった。
【0021】
図2に示されるような設定において、標準エアナイフは、塗膜にわたって気流を生成するために好ましくは使用される。より具体的には、およそ15cm×xxx1cmの矩形開口部によってチャネリングされているブロワを、塗膜の縁からおよそ0.5mm〜10mmの塗膜のレベルで置いた。気流速度は、0.1m/s〜10m/sであり、好ましくは約1m/sであった。塗膜の幅は30cmであった。図2のグラフで示すように、塗膜の異方性は、2以上から1.5以下に低減されて、わずか1.5の異方性を備えた透明導電性の銀ナノワイヤを製造した。
【0022】
図3Aおよび図3Bは、ナノワイヤの微視的配列によって証明される層流の影響を説明する。図3Aは、気流処理なしでの導電性膜でのナノワイヤ配列を示す。示されるように、気流処理を受けていない、より多くのナノワイヤが、機械方向(MD)に配列されて、せん断による優先的な配列を示している。層流を受けたナノワイヤについては、図3Bに示されるように、ナノワイヤの再配列により、優先的な配列についての証拠はほとんどない。
【0023】
このように、さらなる実施形態は、導電性膜であって、第1の寸法(すなわち、機械方向)に沿った第1のシート抵抗および第2の寸法(すなわち、横方向)に沿った第2のシート抵抗が、導電性膜における所定の位置で測定される場合、第2のシート抵抗と第1のシート抵抗との比は、シート抵抗の異方性を定義し、ここで、異方性は、2未満、または1.5未満、または1.4未満、または1.2未満、または1〜1.5の範囲、または1.2〜1.5の範囲、または1.4〜1.5の範囲である、導電性膜を提供する。
【0024】
MD(RMD)およびTD(RTD)に沿ったシート抵抗は、例えば、大きさが各5cm×5cmの数枚(peaces)の塗膜を最初に切り取り、2点式プローブによって測定することによって測定され得る。典型的には、2点式プローブは、2.5cm間隔で置かれている2種類の導電性ゴム(各2.5cmの長さ)を有する。当業者によって容易に認識されるように、他の寸法も適切である。
【0025】
図2および3は、ウェブの幅にわたるすべての点で異方性のより均一な低減を誘導するために、クロスウェブの流れにウェブの全体の幅にわたり一定の気流速度を与えるある利点があり得ることも示す。
【0026】
このように、さらなる実施形態では、異方性は、第2の寸法にわたって複数の位置で測定されて、最大異方性および最小異方性を与え、最大異方性と最小異方性との間の差は最小異方性の25%未満である。他の実施形態では、該差は、最小異方性の20%未満、または15%未満、または10%未満、または5%未満である。
【0027】
図4に示されているのは、クロスウェブ気流をチャネリングして一定速度の気流を作り出すことを助けるがウェブには触れないダクト装置(100)の概略設計である。示されるように、湿潤膜(80)は、機械方向(70)に移動しているウェブ(60)に、スロットダイの堆積(90)によって形成される。湿潤膜(80)が乾燥または硬化する前に、気流(110)は、機械方向(70)に対して実質的に横向きの方向にエアダクト(100)から適用される。ダクトは、ウェブに直接触れるべきではなく、湿潤コーティングの損傷または阻害を回避する。ダクトとウェブとの間に気密シールを設置することが不可能であるため、いくらかの空気が失われる場合がある。この損失を補正するために、ダクトの断面が入口より出口においてより小さくなるように、ダクトを変更することができる。
【0028】
ダクトは、ウェブコーティングラインにおけるローラに接近して、またはローラ間の平面領域に接近して置かれてよい。ダクトは、任意の適切な剛性材料(例えば、アルミニウム)から製作されていてよい。好ましくは、ダクトは、幅およそ2.5cm、高さ1cmであり、塗膜の幅に及ぶ。ダクトは、半円形断面、正方形断面、矩形断面、または他の形状の断面を有することができる。ダクトの底縁は、塗膜の上面から約0.1mm〜約10mmに好ましくは置かれる。図4に示されるように、ダクトは、塗膜の縁の近くのダクトの開口部で空気供給源に連結され得る。クロスフローエア源は、ブロワ、エアコンプレッサ、または他のクロスフローエア源であり得る。
【0029】
剛性ダクトを使用する場合に塗膜の全幅にわたってより一定の気流を維持するために、ダクトの内部の体積は、その長さに沿って徐々に低減されてもよい。この構造の1つの実施形態が図5に示されており、これは、本開示による剛性ダクト100の1つの実施形態の側面図である。示されるように、ダクトの断面積は、ダクトの近位エア供給端120からダクトの遠位端140に向けて低減される。エア供給端120は、移動するエア供給に好ましくは連結されており、ダクト160の上方傾斜面は閉鎖され、ダクトの下方面(180)はコーティング膜(図示せず)に開口しており、ダクトの下を通る。
【0030】
より一般的に言えば、シート抵抗での潜在的異方性は、異方性を生じさせる特定の要因にかかわらず、気流を伴う方法によって軽減または排除され得る。したがって、さらなる実施形態は、導電性膜を形成する方法であって、
(a)複数の導電性ナノ構造体および流体担体を有する湿潤膜を形成する工程であって、湿潤膜が第1の寸法および第1の寸法に対して横向きの第2の寸法を有する工程、ならびに
(b)第2の寸法に沿って湿潤膜にわたって気流を適用し、それによって、湿潤膜における導電性ナノ構造体のうちの少なくともいくつかが再配向される工程
を含む方法を提供する。
【0031】
種々のさらなる実施形態では、該方法は、気流を適用した後に、湿潤膜を乾燥させて導電性膜を与えるステップをさらに含む。
【0032】
より具体的な実施形態では、湿潤膜は、移動する基板に連続的に形成され、移動する基板は、第1の寸法に沿って進む。特に好ましい実施形態では、湿潤膜は、ロールツーロールプロセスにおけるスロットダイコーティングによって形成される。
【0033】
さらなる実施形態では、気流は、湿潤膜が進むときに連続的に適用される。
【0034】
このように形成された導電性膜は、異方性が本明細書で定義されるように2未満であることを特徴とする。より具体的な実施形態では、異方性は、1.5未満、または1.4未満、または1.2未満、または1〜1.5の範囲、または1.2〜1.5の範囲、または1.4〜1.5の範囲である。
【0035】
したがって、1つの実施形態は、複数の導電性ナノ構造体を含む導電性膜であって、導電性膜の第1の寸法が、導電性膜の第2の寸法に垂直であり、第1の寸法に沿った第1のシート抵抗(RMD)および第2の寸法に沿った第2のシート抵抗(RTD)が導電性膜における所定の位置で測定され、第2のシート抵抗と第1のシート抵抗との比(RTD/RMD)は、シート抵抗の異方性を定義し、異方性は、2未満、または1.5未満、または1.4未満、または1.2未満である、導電性膜を提供する。
【0036】
種々の他の実施形態では、異方性が第2の寸法にわたって複数の位置で測定されて最大異方性および最小異方性を与え、最大異方性と最小異方性との間の差が、最小異方性の25%未満、または20%未満、または15%未満、または10%未満、または5%未満である。
【0037】
種々の成分がより詳細に以下に記載される。
【0038】
導電性ナノ構造体
一般的に言えば、本明細書で記載されている透明導体は、導電性ナノ構造体の薄い導電性膜である。透明導体では、1つ以上の電気的導電性パスが、ナノ構造体間の連続的な物理的接触によって確立される。ナノ構造体の導電性ネットワークは、十分なナノ構造体が存在して電気的パーコレーション閾値に達するときに形成される。したがって、電気的パーコレーション閾値は重要な値であり、それより上では長い範囲の接続性が達成され得る。
【0039】
本明細書で使用されるとき、「導電性ナノ構造体」または「ナノ構造体」は、電気的導電性のナノサイズ構造体を一般に称し、その少なくとも1つの寸法は、500nm未満、より好ましくは250nm、100nm、50nm、または25nm未満である。
【0040】
ナノ構造体は、任意の形状または幾何学的形状を有し得る。ある実施形態では、ナノ構造体は等方に成形されている(すなわち、アスペクト比=1)。典型的な等方性ナノ構造体はナノ粒子を含む。好ましい実施形態では、ナノ構造体は異方的に成形されている(すなわち、アスペクト比≠1)。本明細書で使用されるとき、「アスペクト比」は、ナノ構造体の長さと幅(または直径)との間の比を称する。異方性ナノ構造体は、典型的には、その長さに沿って縦軸を有する。例示的な異方性ナノ構造体として、本明細書で定義されるように、ナノワイヤおよびナノチューブが挙げられる。
【0041】
ナノ構造体は、中実または中空であり得る。中実ナノ構造体として、例えば、ナノ粒子およびナノワイヤが挙げられる。「ナノワイヤ」は、このように、中実異方性ナノ構造体を称する。典型的には、各ナノワイヤは、アスペクト比(長さ:直径)が10より大きく、好ましくは50より大きく、より好ましくは100より大きい。典型的には、ナノワイヤは、500nmより長く、1μmより長く、または10μmより長い。
【0042】
中空ナノ構造体として、例えば、ナノチューブが挙げられる。典型的には、ナノチューブは、アスペクト比(長さ:直径)が10より大きく、好ましくは50より大きく、より好ましくは100より大きい。典型的には、ナノチューブは、500nmより長く、1μmより長く、または10μmより長い。
【0043】
ナノ構造体は、任意の電気的導電性材料から形成され得る。最も典型的には、導電性材料は金属である。金属材料は、元素金属(例えば、遷移金属)または金属化合物(例えば、金属酸化物)であり得る。金属材料は、バイメタル材料または金属合金でもあり得、2種以上の金属を含む。適切な金属として、限定されないが、銀、金、銅、ニッケル、金メッキ銀、プラチナ、およびパラジウムが挙げられる。導電性材料は、炭素または黒鉛(炭素の同素体)などの非金属でもあり得る。
【0044】
導電性膜
導電性膜は、溶液系アプローチによって、基板にインク組成物を堆積することによって湿潤膜として最初に形成され、インク組成物は、複数のナノ構造体と、流体担体とを含む。湿潤膜の流体担体(揮発性成分)が全体に乾燥するときに、導電性膜が形成される。導電性膜は、ランダムに分布され、互いに相互接続されたナノ構造体を含む。ナノ構造体の数がパーコレーション閾値に達するとき、薄膜は電気的導電性である。したがって、別途特定されない限り、本明細書で使用されるとき、「導電性膜」は、例えば、以下:粘度調整剤、界面活性剤、および腐食防止剤;の1つ以上を含むインク組成物の不揮発性成分のいずれかと合わされたネットワーク状のパーコレーションナノ構造体から形成されたナノ構造体ネットワーク層を称する。
【0045】
分散系用の流体担体は、水、アルコール、ケトン、またはその組み合わせであってよい。例示的なアルコールとして、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール、ジアセトンアルコール(DAA)、またはIPAとDAAとの組み合わせを挙げることができる。例示的なケトンとして、メチルエチルケトン(MEK)およびメチルプロピルケトン(MPK)を挙げることができる。
【0046】
界面活性剤は、ナノ構造体および/または光散乱材料の凝集を低減する働きをする。適切な界面活性剤の代表的な例として、ZONYL(登録商標)界面活性剤などのフルオロ界面活性剤が挙げられ、ZONYL(登録商標)FSN、ZONYL(登録商標)FSO、ZONYL(登録商標)FSA、ZONYL(登録商標)FSH(DuPont Chemicals、デラウェア州ウィルミントン)およびNOVEC(商標)(3M、ミネソタ州セントポール)が挙げられる。他の例示的な界面活性剤として、アルキルフェノールエトキシレート系の非イオン界面活性剤が挙げられる。好ましい界面活性剤として、例えば、TRITON(商標)(×100、×114、×45)などのオクチルフェノールエトキシレート、およびTERGITOL(商標)(Dow Chemical Company、ミシガン州ミッドランド)などのノニルフェノールエトキシレートが挙げられる。さらなる例示的な非イオン界面活性剤として、DYNOL(登録商標)(604、607)(Air Products Chemicals,Inc.、ペンシルベニア州アレンタウン)およびn−ドデシルβ−D−マルトシドなどのアセチレン系界面活性剤が挙げられる。
【0047】
粘度調整剤は、基板にナノ構造体を固定するバインダとして働く。適切な粘度調整剤の例として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
【0048】
特定の実施形態において、コーティング溶液中の粘度調整剤に対する界面活性剤の重量比は、好ましくは、約80:1〜約0.01:1の範囲にあり;導電性ナノ構造体に対する粘度調整剤の重量比は、好ましくは、約5:1〜約0.000625:1の範囲にあり;界面活性剤に対する導電性ナノ構造体の重量比は、好ましくは、約560:1〜約5:1の範囲にある。コーティング溶液の成分の比は、使用される基板および適用方法に依存して変更されてよい。コーティング溶液のための好ましい粘度範囲は、約1cPと100cPとの間である。
【0049】
導電性膜の電気的導電率は、「シート抵抗」によってしばしば測定され、それは、オーム/□(または「オーム/sq」)によって表わされる。シート抵抗は、少なくとも、表面負荷密度、ナノ構造体のサイズ/形状、およびナノ構造体構成成分の固有の電気的特性の関数である。本明細書で使用されるとき、薄膜は、それがわずか10オーム/sqのシート抵抗を有すると、導電性であると考えられる。好ましくは、シート抵抗は、わずか10オーム/sq、3,000オーム/sq、1,000オーム/sq、または350オーム/sq、または100オーム/sqである。典型的には、金属ナノ構造体によって形成された導電性ネットワークのシート抵抗は、10オーム/sq〜1000オーム/sq、100オーム/sq〜750オーム/sq、50オーム/sq〜200オーム/sq、100オーム/sq〜500オーム/sq、100オーム/sq〜250オーム/sq、10オーム/sq〜200オーム/sq、10オーム/sq〜50オーム/sq、または1オーム/sq〜10オーム/sqの範囲にある。本明細書で記載されている光電気デバイスについて、シート抵抗は、典型的には、20オーム/□未満、または15オーム/□未満、または10オーム/□未満である。
【0050】
光学的に、ナノ構造体系透明導体は、可視領域(400nm〜700nm)において高い光透過率を有する。典型的には、透明導体は、光透過率が可視領域において70%より高く、またはより典型的には85%より高い場合には、光学的にクリアであると考えられる。より好ましくは、光透過率は、90%より高く、93%より高く、または95%より高い。別途特定されない限り、本明細書で使用されるとき、導電性膜は、光学的に透明である(例えば、透過率が70%より高い)。したがって、用語、透明導体、透明導電性膜、層またはコーティング、導電性膜、層またはコーティング、および透明電極が交換可能に使用される。
【0051】
この明細書で参照されたおよび/または出願データシートに列挙された上記米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物のすべては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0052】
前述から、本発明の特定の実施形態は、説明目的で本明細書に記載されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の変更がなされてよいことが理解される。
従って、本発明は、添付の特許請求の範囲によることを除いて限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5