特許第6585155号(P6585155)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585155
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】冷却方法および冷却施設
(51)【国際特許分類】
   B21B 1/02 20060101AFI20190919BHJP
   B21B 3/00 20060101ALI20190919BHJP
   B21B 45/02 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   B21B1/02 D
   B21B3/00 J
   B21B45/02 320B
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-503588(P2017-503588)
(86)(22)【出願日】2015年7月10日
(65)【公表番号】特表2017-521260(P2017-521260A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】FR2015051915
(87)【国際公開番号】WO2016012691
(87)【国際公開日】20160128
【審査請求日】2018年2月6日
(31)【優先権主張番号】1401679
(32)【優先日】2014年7月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515327177
【氏名又は名称】コンステリウム ヌフ ブリザック
【氏名又は名称原語表記】Constellium Neuf Brisach
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】デュウー,ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】マグナン,ブリューノ
(72)【発明者】
【氏名】ベロ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ロシュ,ジョセ
(72)【発明者】
【氏名】オクチュリエ,ピエール
【審査官】 河口 展明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−146375(JP,A)
【文献】 特開昭53−142954(JP,A)
【文献】 特開平01−011002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 1/00−11/00
B21B 47/00−99/00
B21B 45/00−45/08
C22F 1/04−1/057
C21D 1/00,9/663−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ250mmから800mm、幅1000mmから2000mm、および長さ2000mmから8000mmの寸法のアルミニウム合金製圧延厚板の、合金に応じて450℃から600℃の間に含まれる温度での前記厚板の冶金学的均質化熱処理後かつその熱間圧延前の冷却方法であって、30℃から150℃の値の冷却が、150℃/hから500℃/hの速度で実行され、その均質化温度から冷却された厚板の全体に渡る温度差が40℃未満であり、冷却が以下の少なくとも二つの段階で行われることを特徴とする、冷却方法:
第一の散水段階であって、この間、厚板が、加圧冷却用液体またはミストの散水用ノズルまたは噴霧ノズルのランプを有する室内で冷却され、該ランプが、前記厚板の上方および下方の二つの大きい面に散水するように、前記小室の上部と下部に分けて配置されている段階、
トンネル内で、厚板の大きさおよび冷却の値に応じて2分から30分の継続時間で、静止空気による温度均一化を行う補足段階
【請求項2】
散水段階および温度均一化段階が、非常に厚い厚板の場合において、また80℃を超える平均総冷却について、繰り返されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項3】
冷却用液体が、ミスト内も含めて、水であることを特徴とする、請求項またはに記載の方法。
【請求項4】
厚板のの300mmから600mmに位置する端部が、可逆式熱間圧延の際の厚板の進入に有利な特徴である高温の端部を保持するように、厚板の他の部分ほどには冷却されないことを特徴とする、請求項1からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
端部の冷却が、散水用ノズルまたは噴霧ノズルのランプの始動または停止によって調整されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項6】
端部の冷却が、遮蔽物の存在によって調整されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項7】
温度均一化段階ではなく、散水段階が繰り返されること、また厚板の端の300mmから600mmに位置する端部が、少なくとも散水小室のうちの一つ内で厚板の他の部分とは違った仕方で冷却されることを特徴とする、請求項からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
第一の散水工程が、末端なく、すなわち厚板の連続散水で行われ、続いて、第一の温度均一化段階なしで、一対のランプの末端を用いた第二の散水工程が行われ、こうして、厚板の熱平衡に必要な最終均一化段階の継続時間を著しく減らすことが可能になることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項9】
厚板の長手方向の温度均一性が、散水装置に対する厚板の相対的な動き、つまり固定された散水装置に直面した厚板の進行または往復運動、またはその逆、によって改善されることを特徴とする、請求項からのいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
厚板が、散水小室内で水平に進行し、またその進行速度が、20mm/s以上、すなわち1.2m/min以上であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項11】
厚板の横手方向の温度均一性が、ノズルまたは噴霧ノズルの作動/停止による厚板の幅における散水の調整によって、または前記散水の遮蔽によって保証されることを特徴とする、請求項から10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一つに記載の方法の実施のための設備であって、以下を有することを特徴とする設備:
加圧冷却用液体またはミストの散水用ノズルまたは噴霧ノズルのランプを備える散水小室であって、該ランプが、前記厚板の上方および下方の二つの大きい面に散水するように、前記小室の上部および下部に配置されている散水小室、
散水小室から出たところにある静止空気での均一化トンネルであって、トンネル内で、中心部が厚板の表面を温めることによる、前記厚板における熱の拡散による厚板の温度均一化を可能にする均一化トンネル。
【請求項13】
以下を特徴とする、請求項12に記載の設備:
散水小室の冷却用液体またはミストのノズルが、角度が45°と60°との間に含まれるフルコーン噴射を生成すること、
下方ノズルの軸が、通常は、下表面に向けられること、
上方ノズルランプが、厚板の進行方向において対になっていること、
同じ一対において、上方ランプが:
−対になった二つのノズルランプの噴射が、互いに向かい合うように方向づけられる
−噴射が、厚板の上表面で通常の縁を有する
−対になった二つのランプの噴射の重なり部分が、各噴射の幅の1/3と2/3との間に含まれる
−このように形成される二つの噴射の外見が、M字型の輪郭となること、
上方および下方ノズルランプの組が、上方と下方の散水長さがほぼ等しくまた真向いとなるように、ほぼ真向いに配置されること。
【請求項14】
冷却用液体が、設備の下に位置するコンテナ内に散水後に回収され、再利用され、また熱的に調整されることを特徴とする、請求項12または13に記載の設備。
【請求項15】
散水小室および均一化トンネルである設備の全体が、オートマトンでコード化される熱モデルによって制御され、熱モデルが、散水小室の始まりの温度測定によって見積もられる温度に応じて、また出口のターゲット温度、すなわち熱間圧延の始まりの温度に応じて、設備の調節を決定することを特徴とする、請求項12から14のいずれか一つに記載の設備の使用。
【請求項16】
以下の過程を有することを特徴とする、請求項15に記載の設備の使用:
−設備の入口での、厚板の中心の決定の過程
−厚板の上表面の温度の測定の過程
−作動されるランプ数の決定、端で作動されるノズル数の決定、散水小室内の厚板の進行速度の決定、散水ランプの始動および停止の決定を含む、入口の温度および出口のターゲット温度すなわち厚板のターゲット冷却温度に応じた散水小室の調節および均一化トンネル内での保持時間の、熱モデルを使った、オートマトンによる計算の過程
−オートマトンの計算にしたがった上方および下方の散水を伴う散水小室内での厚板の進行の過程
−散水小室から均一化トンネルの方への厚板の移動の過程
−オートマトンによって決定される継続時間の間の均一化トンネル内での厚板の保持の過程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金製のスラブまたは厚板の圧延の分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、均質化作業と熱間圧延作業との間の、とりわけ迅速かつ均一で再現性のある厚板の冷却方法に関する。
【0003】
本発明はまた、前記方法の実施を可能にする設備または施設にも関している。
【背景技術】
【0004】
鋳造後のアルミニウム合金製圧延厚板の加工は、熱間圧延の前に、冶金学的均質化熱処理を必要とする。この熱処理は、熱間圧延温度よりも高い、合金のソルバスに近い温度で行われる。均質化温度と熱間圧延温度との間の開きは、合金に応じて、30℃と150℃との間である。厚板はしたがって、均質化炉からのその取出しと、その熱間圧延との間に、冷却されなければならない。生産性の理由にせよ金属組織の理由にせよ、完成したシート上の特定の表面欠陥をとりわけ回避するために、均質化炉からのその取出しと熱間圧延機との間での厚板の迅速な冷却を実現可能にすることが非常に望ましい。
【0005】
厚板のこの望まれる冷却速度は、150℃/hと500℃/hとの間に含まれる。
【0006】
250mmと800mmの間のような、アルミニウム合金製の圧延厚板の分厚さを考慮すると、空冷はとりわけ時間がかかる。600mmの厚さの厚板の空冷速度は、静止空気または自然対流下での40℃/hと、送風または強制対流下での100℃/hとの間に含まれる。
【0007】
空冷ではしたがって、望まれる冷却速度に達することはできない。
【0008】
液体またはミスト(空気と液体の混合物)による冷却は、明らかにより迅速であり、というのも、HTC(熱伝達係数)の呼称で当業者に公知の、液体またはミストと金属厚板の高温の表面との間の熱伝達率の値が、空気と厚板との間のこの同じ率の値を明らかに超えるからである。
【0009】
単独のまたはミスト内の選択される液体は、例えば水であり、またこの場合、理想的には純水である。このように、HTC率は、水と高温の厚板との間では2000W/(m2・K)と20000W/(m2・K)との間に含まれるが、一方、空気と高温の厚板との間では10W/(m2・K)と30W/(m2・K)との間に含まれる。
【0010】
反面、液体またはミストによる冷却は、通常は、厚板において大きな温度勾配を必然的に発生させる:
−ビオ無次元数は、冷却の温度均一性を示す。これは、物体の内部熱抵抗(伝導による内部熱移動)と、その表面熱抵抗(対流および放射による熱移動)の比率に相当する。
【0011】
【数1】
【0012】
HTCは、流体と厚板との間の熱伝達率であり、
Dは、系の代表長さであり、ここでは厚板の半分の厚みである、
λは、金属の熱伝導率であり、例えば、アルミニウム合金については、160W/(m2・K)である。
【0013】
もしBi<<1ならば、系はほとんど等温であり、冷却は均一になされる。
【0014】
もしBi>>1ならば、系は熱的に非常に不均一であり、よって厚板は大きな温度勾配の源である。
【0015】
600mmの厚さの厚板について、ビオ数は以下に相当する:
−静止空気または送風による冷却について0.02と0.06との間。ビオ数は1と比べて小さく、厚板は等温に冷却される。
−水による冷却について4と40との間。ビオ数は1と比べて大きく、厚板は、その厚みにおいて非常に不均一に冷却される。
【0016】
この不均一性はまた、厚板の大きい面よりも冷える稜および縁の影響により、厚板の幅においても必然的に現れる。
【0017】
この不均一性はまた、角を構成する三つの面にしたがって冷える角の影響により、厚板の長さにおいても必然的に現れる。
【0018】
温度不均一性は、液体またはミストによる冷却の重大な障害である。温度不均一性は、後続の方法すなわち熱間圧延について問題を生じさせるだけでなく、製品、すなわち高い機械的性質を有するロールまたはシートの形で販売されるアルミニウム合金の最終品質についても潜在的に有害でもある。
【0019】
従来技術で公知の装置は、この冷却の不均一性を制限しようと努めてはいない。
【0020】
とりわけヘビーシートのための、従来技術で公知の冷却用液体による冷却方法は、容器の中への浸漬によってか、あるいは散水チャンバーの中への通過によって作用を及ぼすが、製品の熱平衡を制御するに至る特別な注意は払われていない。
【0021】
このように、これらの方法では:
−冷却される厚板内の均一温度場を得ることもできないし、
−厚い厚板ごとの冷却の再現性を保証することもできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、従来技術の厚い厚板の冷却方法に関連した重大な欠点全体を改めることおよび以下を保証することを目的とする:
−少なくとも150℃/hの速度での、迅速また首尾一貫した冷却、すなわち、およそ450℃から600℃の温度からの30℃から150℃の冷却
−厚板の全体において均一でかつ制御された温度場
−厚い厚板ごとの完全な再現性の確保。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、厚さ250mmから800mm、幅1000mmから2000mm、および長さ2000mmから8000mmの典型的な寸法のアルミニウム合金製圧延厚板の、合金に応じて450℃から600℃の間に典型的には含まれる温度での前記厚板の冶金学的均質化熱処理後かつその熱間圧延前の冷却方法であって、30℃から150℃の値の冷却が、150℃/hから500℃/hの速度で実行され、その均質化温度から冷却された厚板の全体に渡る温度差が40℃未満であることを特徴とする冷却方法を対象としている。
【0024】
温度差は、厚板の体積の全体に渡って測定される温度間の最大差、あるいはまたDTmaxを意味する。
【0025】
有利には、冷却は少なくとも二つの段階で行われる:
第一の散水段階であって、この間、厚板が、加圧冷却用液体またはミストの散水用ノズルまたは噴霧ノズルのランプ(ramp)を有する室内で冷却され、該ランプが、前記厚板の上方および下方の二つの大きい面に散水するように、前記小室の上部と下部に分けて配置されている段階、
反射内壁トンネル内で、厚板の大きさおよび冷却の値に応じて2分から30分の継続時間で、静止空気による温度均一化を行う補足段階。
【0026】
典型的には、この継続時間は、ほぼ500℃からの、およそ150℃の完全冷却についておよそ30分であり、またおよそ30℃の冷却について数分である。
【0027】
本発明の一変形例によると、散水段階および温度均一化段階は、非常に厚い厚板の場合において、また80℃を超える平均総冷却について、繰り返される。
【0028】
最も一般には、冷却用液体は、ミスト内も含めて、水であり、また好ましくは純水である。
【0029】
一特定実施形態によると、厚板の頭部および脚部、すなわち典型的には端部の300mmから600mmは、可逆式熱間圧延の際の厚板の進入に有利な特徴である高温の脚部および頭部を保持するように、厚板の他の部分ほどには冷却されない。
【0030】
そのために、頭部および脚部の冷却は、散水用ノズルまたは噴霧ノズルのランプの始動または停止によってか、あるいは前記ノズルまたは噴霧ノズルによる散水を妨げるまたは減少させる遮蔽物の存在によって調整されることができる。
【0031】
また、温度均一化段階ではなく、散水段階は、繰り返されることができ、また厚板の頭部および脚部、すなわち典型的には端部の300mmから600mmは、少なくとも散水小室のうちの一つ内で厚板の他の部分とは違った仕方で冷却されることができる。
【0032】
この直前のオプションにかなう一つのバージョンによると、第一の散水工程は、末端なく行われ、すなわち図14でのような厚板の連続散水で行われ、続いて、第一の温度均一化段階なしで、図12でのような一対のランプの末端を用いた第二の散水工程が行われ、こうして、厚板の熱平衡に必要な最終均一化段階の継続時間を著しく減らすことが可能になる。
【0033】
本発明の好ましい一変形例によると、厚板の長手方向の温度均一性は、散水装置に対する厚板の相対的な動き、つまり固定された散水装置に直面した厚板の進行または往復運動、またはその逆に、厚板に対するノズルまたは噴霧ノズルの移動によって改善される。
【0034】
典型的には、厚板は、散水小室内で水平に進行し、またその進行速度は、20mm/s以上、すなわち1.2m/min以上である。
【0035】
さらに好ましくは、厚板の横手方向の温度均一性は、ノズルまたは噴霧ノズルの作動/停止による厚板の幅における散水の調整によって、または前記散水の遮蔽によって保証される。
【0036】
本発明はまた、上述のような方法の実施のための設備も対象とし、該設備は、加圧冷却用液体またはミストの散水用ノズルまたは噴霧ノズルのランプを備える散水小室であって、該ランプが、前記厚板の上方および下方の二つの大きい面に散水するように、前記小室の上部および下部に配置されている散水小室、
散水小室から出たところにある静止空気での均一化トンネルであって、内側で反射する材料製の内壁および屋根のトンネル内で、中心部が表面を温めることによる、前記厚板における熱の拡散による厚板の温度均一化を可能にする均一化トンネルを有する。
【0037】
一推奨実施形態によると:
冷却用液体またはミストのノズルは、角度が45°と60°との間に含まれるフルコーンスプレーまたはフルコーン噴射を生成し
下方ノズルの軸は、通常は、下表面に向けられる。
【0038】
好ましくは、上方ノズルランプは、厚板の進行方向において対になっている。同じ一対において、上方ランプは、以下となるように傾いている:
−対になった二つの上方ノズルランプの噴射が、互いに向かい合うように方向づけられる
−噴射が、厚板の上表面で通常の縁を有する
−二つの噴射の重なり部分が、各噴射の幅の1/3と2/3との間に含まれ、また推奨的にはほぼ半分となる
−このように形成される二つの噴射の外見が、M字型の輪郭となる。
【0039】
上方および下方ノズルランプの組は、上方と下方の散水長さがほぼ等しくまた真向いとなるように、ほぼ真向いに配置される。
【0040】
向かい合う上方ノズルを対にすることまた噴射のM字型の輪郭から、散水の長さは、上面に散水される液体またはミストを厚板の端の方へ導くことによって、その端で該液体またはミストが厚板の小さい面に接触することなく滝の形で排出され、このように厚板の長手方向および横手方向において温度が非常に均一の冷却を可能にする該液体またはミストの横方向への排出に有利に働くように調整される。
【0041】
単独のまたはミストの中に含まれる冷却用液体に関しては、該液体は、典型的には設備の下に位置するコンテナ内に回収され、再利用され、また熱的に調整されることができる。
【0042】
改良された一実施形態によると、散水小室および均一化トンネルである設備の全体は、オートマトンでコード化される熱モデルによって制御され、熱モデルは、散水小室の始まりの温度測定によって見積もられる温度に応じて、また出口のターゲット温度、一般に熱間圧延の始まりの温度に応じて、設備の調節を決定する。
【0043】
有利な一実施形態によると、設備の使用方法は、以下の過程を有する:
−設備の入口での、厚板の中心の決定の過程
−厚板の上表面の温度の測定の過程
−作動されるランプ数の決定、端で開かれるノズル数の決定、散水小室内の厚板の進行速度の決定、散水ランプの始動および停止の決定を含む、入口のターゲット温度および出口のターゲット温度すなわち厚板のターゲット冷却に応じた散水小室の調節の、および均一化トンネル内での保持時間の、熱モデルを使った、オートマトンによる計算の過程
−オートマトンの計算にしたがった上方および下方の散水を伴う散水小室内での厚板の進行の過程
−散水小室から均一化トンネルの方への厚板の移動の過程
−オートマトンによって決定される継続時間の間の均一化トンネル内での厚板の保持の過程。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明による方法の、一つの工程での原理図を示している。厚板は、その均質化温度で均質化炉1から取り出される。厚板は、冷却機の方に移され、横方向に中心が決められ、次いでその表面温度が表面熱電対により、接触によって、または正確さでは劣るであろうが赤外線高温計を使って測定される(2)。熱モデルは、散水小室3の調節を決定する(作動されるランプ対の数および厚板の進行速度)。次いで厚板は、散水小室内で処理される。そこから出ると厚板は乾いており、均一化トンネル5の方に移され、熱モデルによってまたは受ける冷却の幅に応じて決定される継続時間の間保持される(4)。その後、厚板は、熱間圧延機6の方へ移される。
図2】本発明による方法の、二つのまたはそれ以上の工程での原理図を示している。ターゲット冷却幅が100℃を超えるとき、ただ一度の冷却機内通過のみでは、不十分であり得る。この場合、厚板は、まず、第一の散水小室3内で冷却される。次いで、中間均一化トンネル5内を通過してまたは通過せずに、厚板は、構成要素6、7および8から成る第二の冷却機内に移され、そこで散水小室ついで強制的に均一化トンネル8での完全なサイクルに付される。最後の均一化段階の継続時間は、材料つまり合金の熱拡散率、ターゲット冷却幅、および熱間圧延9の前のターゲット温度均一性の厳格さに依る。 多数の工程での冷却はまた、ただ一つだけの機械を用いて、相次ぐ通過によって実現されることもできる。
図3】側面から見た散水機の概略図であって、厚板は左から右へ進行する。該図は、側面から見た、厚板上の上面および下面に散水される液体またはミストの噴射の配置を示している。上方および下方の散水ランプは、厚板の厚みにおける優れた冷却均一性を保証するために、対になっておりまた組ごとに真向いにある。対になっている上方ランプは、向かい合うように方向づけされ、このことは散水される液体またはミストを厚板に対して横手方向へ排出することを保証する。下方ノズルの軸は厚板の下表面に通常は向けられ、液体は重力によって流れる。圧縮空気ランプ(1から4)は散水小室の端部を囲んでおり、厚板上の液体の、前記小室外へのあらゆる残留流出を避ける。
図4】厚板の上方から見た、上方液体噴射またはミスト噴射の影響を示している。向かい合う噴射の交わり部分での液体またはミストの表面流量の集中が注目される。この散水の仕組みは、表面流量の多いこの横断ラインに沿った、液体の排出に有利である。
図5】「アルミニウム協会」が該協会から定期的に発行されている「Registration Record Series」の中で定義する名称によるAA3104タイプの合金について、600mmの厚板の、散水機における一工程での40℃の平均冷却の場合において計算される熱動力学を示している。これは、厚板における最低温度Tmin、最高温度Tmaxおよび平均温度Tmoy、ならびに厚板の全体積における最大温度差(DTmax)の経時的な変化を示している。
図6】「アルミニウム協会」が該協会から定期的に発行されている「Registration Record Series」の中で定義する名称によるAA6016タイプの合金について、600mmの厚板の、散水機における二工程での130℃の平均冷却の場合において計算される熱動力学を示している。これは、厚板における最低温度Tmin、最高温度Tmaxおよび平均温度Tmoy、ならびに厚板の全体積における最大温度差(DTmax)の経時的な変化を同様に示している。
図7】散水ランプ上のノズルの位置の表示を伴う、散水機の横幅方向での散水形態または散水方法を示しており、散水機は正面から示される。この図は、厚板の幅において均一の温度プロフィルである。
図8】散水ランプ上のノズルの位置の表示を伴う、散水機の横幅方向での散水形態または散水方法を示しており、散水機は正面から示される。この図は、厚板の端の上での過剰な散水によって引き起こされる、低温の端での温度プロフィルである。
図9】散水ランプ上のノズルの位置の表示を伴う、散水機の横幅方向での散水形態または散水方法を示しており、散水機は正面から示される。この図は、厚板の端の上での散水の不足によって引き起こされる、高温の端での温度プロフィルである。
図10】厚さ600mmおよび幅1700mmのアルミニウム合金製の同じ厚板の散水幅の二つの形態または方法を示しており、左図は、横幅方向における、作動中の11個のノズルを伴う低温の端の温度プロフィル、右図は、作動中の9個のノズルを伴う高温の端の温度プロフィルである。
図11図10の二つの散水形態の温度プロフィルについての結果である(厚板の軸からの横幅方向における位置mに応じた温度℃)。
図12】散水開始形態例または方法例を示している。すなわち、厚板の長さ方向における温度プロフィルは、以下によって制御される:上方ランプの向かい合った取付けにより、厚板の長さ方向における流出がないこと、厚板の正確な位置でのランプの各組の散水の開始および停止。すなわちそれは散水末端の概念である。この図は、長さ方向における、高温の端部の温度プロフィルの管理に相当する。
図13】散水開始形態例または方法例を示している。すなわち、厚板の長さ方向における温度プロフィルは、以下によって制御される:上方ランプの向かい合った取付けにより、厚板の長さ方向における流出がないこと、厚板の正確な位置でのランプの各組の散水の開始および停止。すなわちそれは散水末端の概念である。この図は、長さ方向における、温暖な端部の温度プロフィルの管理に相当する。
図14】散水開始形態例または方法例を示している。すなわち、厚板の長さ方向における温度プロフィルは、以下によって制御される:上方ランプの向かい合った取付けにより、厚板の長さ方向における極少量の流出があること、厚板の正確な位置でのランプの各組の散水の開始および停止。すなわちそれは散水末端の概念である。この図は、長さ方向における、低温の端部(1の流出を伴う)の温度プロフィルの管理に相当する。
図15】厚板の上述の端部の温度管理の三つの方法について、長手方向の温度プロフィルを示している(厚板の長さLにおける位置mに応じた温度℃)。この例において、厚板は600mmの厚さのAA6016タイプの合金製であり、その平均冷却は二工程で100℃であり、また温度均一化チャンバーでの時間は10分である。
図16】厚板の上述の端部の温度管理の方法について、熱間圧延の入口での、同じ例の3D視覚化での温度場を示しており、この図は高温の端部である。散水の開始方法により、厚板の長手方向の温度プロフィルを制御することが明らかに可能になることが分かる。
図17】厚板の上述の端部の温度管理の方法について、熱間圧延の入口での、同じ例の3D視覚化での温度場を示しており、この図は温暖な端部である。散水の開始方法により、厚板の長手方向の温度プロフィルを制御することが明らかに可能になることが分かる。
図18】厚板の上述の端部の温度管理の方法について、熱間圧延の入口での、同じ例の3D視覚化での温度場を示しており、この図は低温の端部である。散水の開始方法により、厚板の長手方向の温度プロフィルを制御することが明らかに可能になることが分かる。
図19図13にしたがって、厚板の端部にただ一つだけのランプの散水末端を用いて調節される散水機において一工程で、およそ50℃冷却される、厚さ600mmのAA6016タイプの合金製厚板の温度場を示している。この調節は、端部がわずかに高温になった、非常に均一の温度場に導き、このことは圧延に有利である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、主として、数分で30℃から150℃の、すなわち150℃/時間と500℃/時間の間に含まれる平均冷却速度での、冷却用液体またはミストを使った、アルミニウム合金の圧延厚板またはスラブの冷却方法にある。
【0046】
該冷却方法は、主に二つの段階から成る:
典型的には進行による、冷却用液体またはミストを使った、第一の段階である厚板の散水段階
第二の段階である、厚板の温度均一化段階。
【0047】
第一の散水段階の間、厚板は、典型的には水また好ましくは純水である加圧冷却用液体またはミストの散水用ノズルまたは噴霧ノズルを有する室内で冷却される。
【0048】
ノズルまたは噴霧ノズルは、厚板の二つの大きい面、すなわち上面および下面に散水するように、前記小室の上部と下部に分けて配置される。
【0049】
進行による方法のオプションにより、厚板と、一般に円筒形または円錐形ローラーから成るその置き台との間の接触に関連するホットスポットのリスクを制限することができる。
【0050】
厚板の平均冷却(ΔTmoy厚板)は、厚板の各切断面によって判断される散水継続時間によって調整される。
【0051】
この段階の間、厚板は、高いビオ数の値が原因で、その厚さにおいて熱的に非常に不均一である。
【0052】
厚板の幅における冷却均一性は、以下によって制御される:
a)作動されるノズルの数または遮蔽物の利用による、厚板の横幅方向における散水幅の調整
b)上面に散水される水の横方向への排出に有利に働く散水方法。すなわち、冷却用液体は、厚板の端の方に導かれて、前記厚板の小さい面に接触することなく滝の形で排出される。厚板の冷却は、したがって非常に均一になされる。この方法は実際には、とりわけ図3および図4で示されるように、向かい合って配置される二つのノズルランプを対にすることにある。
【0053】
厚板の長さにおける冷却均一性は、以下によって制御される:
c)厚板上の望まれる位置での散水ランプの始動による、または、改めて、遮蔽物の利用による、散水の始まりと終わりの調整。このように、厚板の頭部および脚部は、散水されないことが可能である。そのとき、高温の脚部および頭部の厚板が得られ、このことは可逆式熱間圧延の際の厚板の進入に有利である。
d)厚板の長さ方向における流出の大幅な減少。この非常に少量の流出は、本発明の上記の特徴b)により得られるものであり、厚板の上面に散水される冷却用液体の横方向への排出に有利に働く。
【0054】
散水段階はしたがって、厚板の三方向における温度不均一性を制限するために着想される。本発明はとりわけ、厚板の横幅方向および長さ方向における温度プロフィルを制御することを可能にし、このことは、これら二つの大きい寸法に沿った場合によっては起こり得る温度勾配が、短い時間で取り除くのが困難であり得ることから非常に評価できる。
【0055】
次に厚板の温度均一化段階が続く:
散水の後、厚板は、その環境で低い熱交換の構成において数分保持される。これらの温度条件は、30℃未満の冷却について数分での、また150℃の冷却について最大およそ30分での厚板の温度均一化を可能にする。この段階は、要求される温度均一性の仕様の達成に必要不可欠である。該段階により、大きい寸法の厚板上で40℃未満の温度差DTmaxを達成することができる。
【0056】
本発明はまた、大きい冷却絶対値にも適合され得る。このように、望まれる厚板の平均冷却が典型的には80℃を超えるとき、「散水」段階と「均一化」段階のセットを複数回繰り返すことが可能であり、その際、各「散水−均一化」サイクルごとに、非常に厚い厚板の平均温度が減少する。
【0057】
このように記述される方法は、アルミニウム合金製の厚いスラブとりわけ圧延厚板の、迅速かつ制御された冷却を保証する。また該方法はロバストで、公知の局所的過冷却リスクを回避する。
【0058】
冷却機または冷却設備それ自体は、一方では典型的には水平で進行式の少なくとも一つの散水小室から、また他方では少なくとも一つの温度均一化トンネルから成る。
【0059】
散水小室により、先に記述された方法の段階1を実施することができる。
【0060】
この機械または設備における厚板の処理過程は、以下の通りである:
1)機械の入口での、厚板の中心の決定の過程
2)厚板の上表面の温度の測定の過程
3)作動されるノズルランプ数の決定、端で開かれるノズル数の決定、散水小室内の厚板の進行速度の決定、散水ランプの始動および停止の決定を含む、入口の温度および出口のターゲット温度すなわち厚板のターゲット冷却温度に応じた散水小室の調節の、および均一化トンネル内での保持時間の、熱モデルを使った、オートマトンによる計算の過程
4)オートマトンの計算にしたがった上方および下方の散水を伴う散水小室内での厚板の進行の過程。
【0061】
散水小室は、冷却用液体またはミストの加圧分配ノズルまたは噴霧ノズルを備えるランプから成る。
【0062】
冷却用液体またはミストが水である場合、水は、ノズルの汚れを避けるため、また水と厚板との間の熱移動の安定性を保証するために、理想的には純水であり、または少なくとも非常にきれいで無機物をほとんど含まない水である。散水機は有利には、とりわけ節約の理由で、散水機の下に配置される例えば回収用タンクを用いて、閉サイクルで機能し得る。
【0063】
冷却用液体またはミストの選択されたノズルは、角度が45°と60°との間の、フルコーンスプレーまたはフルコーン噴射を生成する(例においては、商標LECHLERの60°角度のフルコーンノズル)。下方のランプのノズルの軸は、通常は下表面に向けられる。上方のランプは対になっている。上方ランプの同じ一対において、ランプは、以下となるように傾いている:
−二つのランプの噴射が、互いに向かい合うように方向づけられる
−噴射が、厚板の上表面で通常の縁を有する
−二つの噴射の重なり部分が、噴射の幅の1/3と2/3との間に含まれ、また推奨的にはほぼ半分である
−このように形成される二つの噴射の外見が、したがってM字型の輪郭となる
−上方および下方ノズルランプの組が、上方と下方の散水長さがほぼ等しくまた真向いとなるように、ほぼ真向いに配置される。
【0064】
進行による処理の場合において、厚板の進行速度は、20mm/s以上、すなわち1.2m/min以上である。
【0065】
散水小室を出ると、厚板は、例えば無人搬送車を使って、単数または複数の均一化トンネル内に移される。トンネルの目的は、厚板と空気との間の熱移動を最大限減少させることであり、このことは、厚板のより優れた温度均一化に有利である。この温度均一化は、厚板における熱の拡散によって起こり、中心部が厚板の表面を温める。
【0066】
均一化トンネルは、理想的にはトンネルの内側で反射する材料製の垂直壁と屋根とから成る。
【0067】
該トンネルは、厚板の周りの通風を回避し、強制対流による熱移動がないことを保証する。しかも、該トンネルは、自然対流による熱移動を減少させ、また壁が反射性であるならば放射移動を制限する。
【0068】
最後に、散水小室と均一化トンネルとから成る冷却機または冷却設備は、機械のオートマトンでコード化される熱モデルによって制御される。熱モデルは、散水小室の始まりの温度または入口温度に応じて、また出口のターゲット温度、一般に圧延温度に応じて機械の調節を決定する。
【0069】
実施例
実施例1:AA3104タイプの合金製の厚板の40℃の均一冷却。
【0070】
図5は、「アルミニウム協会」が該協会から定期的に発行されている「Registration Record Series」の中で定義する名称によるAA3104タイプの合金製の厚板の40℃の冷却を示している。厚板の厚さは600mm、その幅は1850mm、またその長さは4100mmである。厚板は、600℃で均質化炉から取り出される。
【0071】
厚板の冷却方法は、図1に示される一工程式方法である。
【0072】
厚板は、180秒で冷却機の方に移される。この移動時間は、以下を含む:
−炉の出口と冷却機の入口との間の厚板の移動
−厚板の横方向の中心の決定
−厚板の上表面の温度の測定
−オートマトンによる冷却機(散水小室およびトンネル)の調節の計算時間。
【0073】
次いで厚板は、散水小室内を進行し、端部(頭部および脚部)を除いた厚板の各箇所は、46秒間の散水を受ける。散水表面流量は、厚板の二つの大きい面上で500l/(min・m2)である。散水末端は、図12に示されるように、一対のランプに調節される。散水小室から出ると、厚板は乾いており、均一化トンネルの方に30秒で移され、オートマトンにおいてコード化される熱モデルによって決定される継続時間、ここでは300秒すなわち5分の間保持される。その後、厚板は、熱間圧延機の方へ移されるが、そのときその温度均一性は、厚板全体に渡って40℃より良好である。
【0074】
厚板の表面温度は、およそ320℃に下がるが、一方、厚板の中心部は、散水段階の間ほぼ等温のままである。次いで、中心部と表面との間の熱拡散によって、中心部は表面に熱を譲り、厚板は熱的に均一化される。
【0075】
厚板における温度差(DTmax)は、散水段階の終わりで最大であり、その値はこの形状についておよそ280℃である。該温度差は、厚板の散水が終わると直ちに減少する。すなわち6分待つと(移動次いでトンネル内での均一化)、温度差DTmaxは40℃未満に減少する。
【0076】
実施例2:AA6016タイプの合金製の厚板の135℃の均一冷却。
【0077】
図6は、AA6016タイプの合金製の厚板の135℃の冷却を示している。厚板の厚さは600mm、その幅は1850mm、またその長さは4100mmである。厚板は、530℃で均質化炉から取り出される。
【0078】
厚板の冷却方法は、図2に示される二工程式方法である。
【0079】
厚板は、100秒で冷却機の方に移される。この移動時間は、以下を含む:
−炉の出口と冷却機の入口との間の厚板の移動
−厚板の横方向の中心の決定
−厚板の上表面の温度の測定
−オートマトンによる冷却機の調節の計算時間。
【0080】
次いで厚板は、散水小室内を進行し、端部(頭部および脚部)を除いた厚板の各箇所は、51秒間の散水を受ける。散水表面流量は、厚板の二つの大きい面上で800l/(min・m2)である。散水末端は、図13に示されるように、一つのランプに調節される。厚板は、散水小室から出ると、60秒で第二の散水小室の方へ移されるが、その際この実施例においては、オプションの中間均一化トンネルは経由しない。厚板はそのとき、第一の散水と同様である、第二の散水を受ける。すなわち、端部を除いた厚板の各箇所は、800l/(min・m2)の表面流量で、51秒の散水を受ける。厚板は、第二の散水小室から出ると、30秒で均一化トンネルの方へ移される。厚板は、均一化トンネル内で数分待つ。その後、厚板は、熱間圧延機の方へ移されるが、そのときその温度均一性は、厚板全体に渡って40℃より良好である。
【0081】
厚板の表面温度は、およそ60℃に下がる。厚板の中心部は、第一の散水段階の間中ほぼ等温のままであり、次いで第二の散水段階の間に冷える。次いで、中心部と表面との間の熱拡散によって、中心部は表面に熱を譲り、厚板は熱的に均一化される。
【0082】
厚板における温度差(DTmax)は、散水段階のそれぞれの終わりで最大であり、その値はこの形状についておよそ470℃である。該温度差は、厚板の散水が終わると直ちに減少する。すなわち、厚板の温度差DTmaxは、トンネル内で13分待つと55℃であり、またトンネル内で23分経過した後は40℃未満になる。
【0083】
実施例3:AA6016タイプの合金製の厚板の125℃の均一冷却。
【0084】
厚板の厚さは600mm、その幅は1850mm、またその長さは4100mmである。厚板は、530℃で均質化炉から取り出される。
【0085】
厚板の冷却方法は、図2に示される二工程式方法である。
【0086】
厚板は、100秒で冷却機の方に移される。この移動時間は、以下を含む:
−炉の出口と冷却機の入口との間の厚板の移動
−厚板の横方向の中心の決定
−厚板の上表面の温度の測定
−オートマトンによる冷却機の調節の計算時間。
【0087】
次いで厚板は、散水小室内を進行し、厚板の各箇所は、51秒の間の散水を受ける。散水表面流量は、厚板の二つの大きい面上で500l/(min・m2)である。図14に示されるように散水末端はない。厚板はしたがって、同一の仕方で全体に散水され、このことは低温の端部を伴う長手方向の温度プロフィルを生成する。厚板は、散水小室から出ると、60秒で第二の散水小室の方へ移されるが、その際この実施例においては、オプションの中間均一化トンネルは経由しない。厚板はそのとき、第一の散水とは異なる、第二の散水を受ける。厚板は、ただし今回は端部は除かれるが、500l/(min・m2)の表面流量で、51秒の第二の散水を受ける。散水末端は、図12に示されるように、一対のランプである。この調節は、低温の端部の温度プロフィルを修正することを目的とするものであり、このように第二の散水小室から出るときにほぼ平らな長手方向温度プロフィルが生成される。第二の散水小室から出ると、厚板は、30秒で均一化トンネルの方に移される。厚板は、均一化トンネル内で10分しか待たない。その後、厚板は、熱間圧延機の方へ移されるが、そのときその温度均一性は、厚板全体に渡って40℃より良好である。
【0088】
実施例3は、散水末端の適切な選択により、散水後の均一化の継続時間を著しく減らすことができることを示している。複数の工程を伴う冷却方法について、末端の選択は、工程ごとに異なり得る。2工程の冷却方法について、第一の工程で選択される末端は、第二の工程で選択される末端とは反対であることで利益をもたらす。最適化される仕方でまた2工程での冷却について、末端のない第一の工程(厚板の連続散水)とその後の一対のランプの末端を伴う第二の工程により、厚板の熱平衡に必要な均一化の継続時間を著しく減らすことができる。
【符号の説明】
【0089】
1 均質化炉
3 散水小室
5 均一化トンネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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