特許第6585171号(P6585171)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6585171波長ビーム結合レーザシステムのための光学相互結合軽減システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585171
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】波長ビーム結合レーザシステムのための光学相互結合軽減システム
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/022 20060101AFI20190919BHJP
   H01S 3/10 20060101ALI20190919BHJP
   H01S 5/40 20060101ALI20190919BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   H01S5/022
   H01S3/10 Z
   H01S5/40
   G02B5/00 Z
【請求項の数】24
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-523959(P2017-523959)
(86)(22)【出願日】2015年12月10日
(65)【公表番号】特表2017-539083(P2017-539083A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(86)【国際出願番号】US2015064891
(87)【国際公開番号】WO2016094609
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2017年5月2日
(31)【優先権主張番号】62/089,839
(32)【優先日】2014年12月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514134192
【氏名又は名称】テラダイオード, インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ビアン
【審査官】 高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06665471(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0262938(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0208361(US,A1)
【文献】 特表2012−508453(JP,A)
【文献】 米国特許第06192062(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0193974(US,A1)
【文献】 特開平11−068233(JP,A)
【文献】 特開平06−242332(JP,A)
【文献】 特開2008−129295(JP,A)
【文献】 特開2000−321470(JP,A)
【文献】 特開平05−313080(JP,A)
【文献】 特開2010−205926(JP,A)
【文献】 特開平09−184932(JP,A)
【文献】 特開2004−311994(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0196824(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00−3/02,3/04−3/0959,
3/098−3/102,3/105−3/131,
3/136−3/213,3/23−5/50
G02B 6/02−6/036,6/10,6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザシステムであって、
複数のビームエミッタのアレイであって、前記複数のビームエミッタのそれぞれがビームを発する、複数のビームエミッタのアレイと、
分散要素に向かって前記ビームを集束させるための集束光学部と、
前記集束されたビームを受容して分散させ、これにより、多波長ビームを形成するための分散要素と、
前記多波長ビームを受容するための光ファイバであって、前記光ファイバは、(i)前記多波長ビームを受容し、前記分散要素に向かって戻るように前記多波長ビームの第1の部分を反射し、複数の波長から成る出力ビームとして前記多波長ビームの第2の部分を透過させるためのコアであって、前記コアは、部分反射表面を有する、コアと、(ii)前記コアを囲繞するクラッディングであって、前記多波長ビームに対する1%未満の反射率を有するクラッディングとを備える、光ファイバと
を備える、レーザシステム。
【請求項2】
前記コアの一部は、前記クラッディングから突出している、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項3】
前記光ファイバは、前記コアの前記部分反射表面において、前記コアの直径が前記多波長ビームの直径未満であるように、位置付けられている、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項4】
前記光ファイバの前記クラッディングを覆って配置された反射防止コーティングをさらに備える、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項5】
前記光ファイバの前記コアの少なくとも一部の周囲に配置されたモードストリッパをさらに備え、前記モードストリッパは、前記クラッディングの材料内で移動する光を除去するように構成されている、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項6】
前記多波長ビームの相互結合を低減させながら、前記多波長ビームを受容して透過させるための相互結合軽減システムをさらに備え、前記相互結合軽減システムは、レンズを備える無限焦点望遠鏡である、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項7】
前記光ファイバの前記コアの前記部分的反射表面は、前記相互結合軽減システムによって透過させられる前記多波長ビームのレイリー範囲内に配置されている、請求項に記載のレーザシステム。
【請求項8】
前記相互結合軽減システムの少なくとも一部は、前記分散要素によって透過させられる前記多波長ビームのレイリー範囲内に配置されている、請求項に記載のレーザシステム。
【請求項9】
前記相互結合軽減システムは、第1の焦点距離を有する第1のレンズと、第2の焦点距離を有する第2のレンズとを備え、前記第1のレンズは、前記第2のレンズの光学的に上流に配置されている、請求項に記載のレーザシステム。
【請求項10】
前記第1の焦点距離は、前記第2の焦点距離より少なくとも2倍大きい、請求項に記載のレーザシステム。
【請求項11】
前記第1の焦点距離は、前記第2の焦点距離より少なくとも7倍大きい、請求項に記載のレーザシステム。
【請求項12】
前記第1のレンズは、前記分散要素によって透過させられる前記多波長ビームのレイリー範囲内に配置されている、請求項に記載のレーザシステム。
【請求項13】
前記光ファイバの前記コアの前記部分的反射表面は、前記第2のレンズによって透過させられる前記多波長ビームのレイリー範囲内に配置されている、請求項に記載のレーザシステム。
【請求項14】
前記第1のレンズと前記第2レンズとの間の光学距離は、前記第1の焦点距離および前記第2の焦点距離の合計とほぼ等しい、請求項に記載のレーザシステム。
【請求項15】
レーザシステムであって、
複数のビームエミッタのアレイであって、前記複数のビームエミッタのそれぞれがビームを発する、複数のビームエミッタのアレイと、
分散要素に向かって前記ビームを集束させるための集束光学部と、
前記集束されたビームを受容して分散させ、これにより、多波長ビームを形成するための分散要素と、
前記多波長ビームの相互結合を低減させながら、前記多波長ビームを受容して透過させるための相互結合軽減システムであって、前記相互結合軽減システムは、レンズを備える無限焦点望遠鏡である、相互結合軽減システムと、
前記相互結合軽減システムの光学的に下流に配置され、前記多波長ビームを受容するための光ファイバであって、前記光ファイバは、コアと、前記コアを囲繞するクラッディングとを含み、前記クラッディングの表面は、前記ビームから外れる逸脱光が反射されて戻ることを防止するための反射防止コーティングでコーティングされている、光ファイバと、
前記光ファイバの前記コア内に配置されたファイバブラッグ格子であって、前記ファイバブラッグ格子は、前記多波長ビームを受容し、前記相互結合軽減システムに向かって戻るように前記多波長ビームの第1の部分を反射し、複数の波長から成る出力ビームとして前記多波長ビームの第2の部分を透過させる、ファイバブラッグ格子と
を備える、レーザシステム。
【請求項16】
前記光ファイバの少なくとも一部の周囲に配置されたモードストリッパをさらに備え、前記モードストリッパは、前記クラッディングの材料内で移動する光を除去するように構成されている、請求項15に記載のレーザシステム。
【請求項17】
前記ファイバブラッグ格子は、前記相互結合軽減システムによって透過させられる前記多波長ビームのレイリー範囲内に配置されている、請求項15に記載のレーザシステム。
【請求項18】
前記相互結合軽減システムの少なくとも一部は、前記分散要素によって透過させられる前記多波長ビームのレイリー範囲内に配置されている、請求項15に記載のレーザシステム。
【請求項19】
前記相互結合軽減システムは、第1の焦点距離を有する第1のレンズと、第2の焦点距離を有する第2のレンズとを備え、前記第1のレンズは、前記第2のレンズの光学的に上流に配置されている、請求項15に記載のレーザシステム。
【請求項20】
前記第1の焦点距離は、前記第2の焦点距離より少なくとも2倍大きい、請求項19に記載のレーザシステム。
【請求項21】
前記第1の焦点距離は、前記第2の焦点距離より少なくとも7倍大きい、請求項19に記載のレーザシステム。
【請求項22】
前記第1のレンズは、前記分散要素によって透過させられる前記多波長ビームのレイリー範囲内に配置されている、請求項19に記載のレーザシステム。
【請求項23】
前記ファイバブラッグ格子は、前記第2のレンズによって透過させられる前記多波長ビームのレイリー範囲内に配置されている、請求項19に記載のレーザシステム。
【請求項24】
前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間の光学距離は、前記第1の焦点距離および前記第2の焦点距離の合計とほぼ等しい、請求項19に記載のレーザシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2014年12月10日に出願された米国仮特許出願第62/089,839号の利益、およびそれに対して優先権を主張する。上記出願の全ての開示内容は、参照することによって本明細書において援用される。
【0002】
(技術分野)
種々の実施形態では、本発明は、レーザシステム、具体的には、ビームエミッタの間の光学相互結合を軽減するためのシステムを組み込む、波長ビーム結合レーザシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
高出力レーザシステムは、溶接、切断、穿孔、および材料加工等の異なる用途のホストに利用される。そのようなレーザシステムは、典型的には、そこからのレーザ光が光ファイバ(または単純に「ファイバ」)の中へ結合される、レーザエミッタと、ファイバから処理される加工対象物上にレーザ光を集束させる光学システムとを含む。光学システムは、典型的には、高品質レーザビーム、または同等に、最低ビームパラメータ積(BPP)を伴うビームを生成するように設計される。BPPは、レーザビームの発散角度(半角)およびその最も狭い点(すなわち、ビームウェスト、最小スポットサイズ)におけるビームの半径の積である。BPPは、レーザビームの品質と、それがどれだけ良好に小さいスポットに集束されることができるかを定量化し、典型的には、ミリメートル・ミリラジアン(mm−mrad)の単位で表される。ガウスビームは、パイによって除算されるレーザ光の波長によって求められる、可能な限り最も低いBPPを有する。同一の波長における理想ガウスビームのBPPに対する実際のビームのBPPの比は、M、またはビーム品質の波長非依存性尺度である「ビーム品質係数」で表され、「最良」品質は、1という「最低」ビーム品質係数に対応する。
【0004】
波長ビーム結合(WBC)は、レーザダイオードバー、ダイオードバーのスタック、または1もしくは2次元アレイに配列される他のレーザからの出力電力および輝度を拡大縮小するための技法である。WBC方法は、エミッタのアレイの一方または両方の次元に沿ってビームを組み合わせるように開発されてきた。典型的WBCシステムは、多波長ビームを形成するように分散要素を使用して組み合わせられる、1つ以上のダイオードバー等の複数のエミッタを含む。WBCシステム内の各エミッタは、個別に共振し、ビーム結合次元に沿って分散要素によってフィルタ処理される、共通部分反射出力結合器からの波長特異的フィードバックを通して安定させられる。例示的WBCシステムは、それぞれの開示全体が参照することによって本明細書に組み込まれる、2000年2月4日に出願された米国特許第6,192,062号、1998年9月8日に出願された米国特許第6,208,679号、2011年8月25日に出願された米国特許第8,670,180号、および2011年3月7日に出願された米国特許第8,559,107号で詳述される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,192,062号明細書
【特許文献2】米国特許第6,208,679号明細書
【特許文献3】米国特許第8,670,180号明細書
【特許文献4】米国特許第8,559,107号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
種々のWBC技法が、多くの異なる用途のための高出力レーザを形成するために利用されてきた。しかしながら、ビームエミッタの間の光学相互結合が、準最適輝度を有する従来のWBCシステムをもたらし得る。したがって、WBCレーザシステムのための相互結合軽減配列の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要約)
本発明の実施形態によると、波長ビーム結合(WBC)レーザシステムは、多波長ビームを形成するように組み合わせられる、複数のエミッタ(または「ビームエミッタ」)、例えば、ダイオードバーまたはダイオードバーの個々のダイオードエミッタを特色とする。レーザシステムの中の各エミッタは、個別に共振し、ビーム結合次元に沿って分散要素(例えば、回折格子、分散プリズム、グリズム(プリズム/格子)、透過格子、またはエシェル格子)によってフィルタ処理される、共通部分反射出力結合器からの波長特異的フィードバックを介して、安定させられる。有利なこととして、フィードバックビームの間のクロストークは、非スリットベースの相互結合軽減光学システムを使用して軽減される。種々の実施形態では、相互結合軽減システムまたはその少なくとも一部は、分散要素によって透過させられる多波長ビームのレイリー範囲内に位置付けられ、出力結合器は、相互結合軽減システム(またはその少なくとも一部)によって透過させられる多波長ビームのレイリー範囲内に位置付けられる。このようにして、本発明の実施形態によるレーザシステムは、高い輝度および高い電力を有する、多波長出力ビームを生成する。
【0008】
種々の実施形態では、相互結合軽減システムは、第1および第2の光学要素(例えば、レンズ)を含み、または本質的にそれらから成り、第1の光学要素の焦点距離は、第2の光学要素の焦点距離より大きい(またはさらに実質的に大きい)。そのような実施形態では、第1の光学要素は、分散要素によって透過させられる多波長ビームのレイリー範囲内に位置付けられてもよく、出力結合器は、第2の光学要素によって透過させられる多波長ビームのレイリー範囲内に位置付けられてもよい。
【0009】
種々の実施形態では、光学相互結合はまた、個々のビームエミッタに後方反射し得る迷波長の後方反射を最小限にする、工学的出力結合器の使用を介して、低減させられ、または実質的に排除される。そのような出力結合器は、本明細書に説明される他の相互結合軽減システムとともに、またはそれを伴わずに利用されてもよい。種々の実施形態では、部分反射出力結合器は、多波長ビームのみを妨害するように定寸されて位置付けられる反射防止コーティングを、部分的反射部分以外の領域中でその表面上に組み込む。部分的反射部分は、出力結合器の残りの部分から突出してもよく、または部分的反射部分は、残りの部分と実質的に同一平面上にあり得る。
【0010】
本発明の種々の実施形態では、出力結合器は、光ファイバを含み、または本質的にそれから成ってもよく、そのコアは、多波長ビームのみを妨害するように定寸されて位置付けられる。コアの表面は、部分的に反射性であり得、および/またはコアは、ビームのフィードバック有効化反射を提供するように、その内側にファイバブラッグ格子を含んでもよい。光ファイバのクラッディングは、そこから起因する迷反射および光学相互結合を防止するように、反射防止コーティングでコーティングされてもよい。端部キャップが、例えば、環境保護のために、および/またはファイバの端部における電力密度を低減させるように、光ファイバを覆って存在し得る。種々の実施形態では、光ファイバは、不要な光のモードが光ファイバ内で伝搬することを実質的に排除するモードストリッパを組み込み、および/またはそれと併せて利用されてもよい。
【0011】
本発明の実施形態は、多波長出力ビームを光ファイバの中へ結合する。種々の実施形態では、光ファイバは、単一のコアを囲繞する複数のクラッド層、単一のクラッド層内の複数の離散コア領域(もしくは「コア」)、または複数のクラッド層によって囲繞される複数のコアを有する。種々の実施形態では、出力ビームは、切断、溶接等の用途のために加工対象物に送達されてもよい。
【0012】
本明細書で、「光学要素」とは、電磁放射線を再指向し、反射し、屈曲し、または任意の他の様式で光学的に操作する、レンズ、鏡、プリズム、格子、および同等物のうちのいずれかを指し得る。本明細書で、ビームエミッタ、エミッタ、またはレーザエミッタ、もしくはレーザは、電磁ビームを生成するが、自己共振である場合もあり、そうではない場合もある、半導体要素等の任意の電磁ビーム生成デバイスを含む。これらはまた、ファイバレーザ、ディスクレーザ、非ソリッドステートレーザ、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)等も含む。概して、各エミッタは、後反射表面と、少なくとも1つの光学利得媒体と、前反射表面とを含む。光学利得媒体は、電磁スペクトルの任意の特定の部分に限定されないが、可視光、赤外線、および/または紫外線であり得る、電磁放射線の利得を増加させる。エミッタは、複数のビームを放出するように構成されるダイオードバー等の複数のビームエミッタを含んでもよい、または本質的にそれらから成ってもよい。本明細書の実施形態で受容される入力ビームは、当技術分野で公知である種々の技法を使用して組み合わせられる、単波長または多波長ビームであってもよい。
【0013】
以下の一般説明で説明されるもの等のレーザダイオードアレイ、バー、および/またはスタックは、本明細書に説明される革新の実施形態と関連して使用されてもよい。レーザダイオードは、概して、1次元行/アレイ(ダイオードバー)または2次元アレイ(ダイオードバースタック)において、個別に、もしくはグループでパッケージ化されてもよい。ダイオードアレイスタックは、概して、ダイオードバーの垂直スタックである。レーザダイオードバーまたはアレイは、概して、同等の単一広域ダイオードよりも実質的に高い電力および費用効果を達成する。高出力ダイオードバーは、概して、比較的不良なビーム品質を伴って数十ワットを生成する、広域エミッタのアレイを含有し、より高い電力にもかかわらず、輝度は、多くの場合、広域レーザダイオードのものより低い。高出力ダイオードバーは、数百または数千ワットの極めて高い電力の生成のための高出力積層ダイオードバーを生産するように積み重ねられてもよい。レーザダイオードアレイは、自由空間の中へ、ファイバの中へビームを発するように構成されてもよい。ファイバ結合ダイオードレーザアレイは、便宜的に、ファイバレーザおよびファイバ増幅器のためのポンプ源として使用されてもよい。
【0014】
ダイオードレーザバーは、広域エミッタの1次元アレイを含有する、または代替として、例えば、10〜20個の狭小ストライプエミッタを含有するサブアレイを含有する、あるタイプの半導体レーザである。広域ダイオードバーは、典型的には、例えば、約1μm×100μmの寸法をそれぞれ有する、例えば、19〜49個のエミッタを含有する。1μm寸法または速軸に沿ったビーム品質は、典型的には、回折制限される。100μm寸法または遅軸もしくはアレイ寸法に沿ったビーム品質は、典型的には、何回も回折制限される。典型的には、商業用途のためのダイオードバーは、約1〜4mmのレーザ共振器長を有し、幅が約10mmであり、数十ワットの出力電力を生成する。殆どのダイオードバーは、780〜1070nmの波長領域中で動作し、(ネオジムレーザをポンピングするための)808nmおよび(Yb:YAGをポンピングするための)940nmの波長が、最も顕著である。915〜976nmの波長範囲は、エルビウムでドープした、またはイッテルビウムでドープした高出力ファイバレーザおよび増幅器をポンピングするために使用される。
【0015】
ダイオードスタックは、単純に、非常に高い出力電力を送達することができる、複数のダイオードバーの配列である。ダイオードレーザスタック、マルチバーモジュール、または2次元レーザアレイとも呼ばれ、最も一般的なダイオードスタック配列は、効果的に縁エミッタの2次元アレイである、垂直スタックの配列である。そのようなスタックは、ダイオードバーを薄いヒートシンクに取り付け、ダイオードバーおよびヒートシンクの周期的アレイを得るよう、これらのアセンブリを積み重ねることによって加工されてもよい。また、水平ダイオードスタック、および2次元スタックもある。高いビーム品質のために、ダイオードバーは、概して、可能な限り相互と近くなるはずである。一方で、効率的な冷却は、バーの間に搭載されるヒートシンクのある最小厚さを必要とする。ダイオードバー間隔の本トレードオフは、単一のダイオードバーよりはるかに低い、垂直方向へのダイオードスタックのビーム品質(後に、その輝度)をもたらす。しかしながら、例えば、異なるダイオードスタックの出力の空間インターリービングによって、偏波結合によって、または波長多重化によって、本問題を有意に軽減するためのいくつかの技法がある。種々のタイプの高出力ビームシェーパおよび関連デバイスが、そのような目的で開発されてきた。ダイオードスタックは、極めて高い出力電力(例えば、数百または数千ワット)を提供してもよい。
【0016】
ある側面では、本発明の実施形態は、それぞれがビームを発する、ビームエミッタのアレイ(例えば、1次元アレイまたは2次元アレイ)と、分散要素に向かってビームを集束させるための集束光学部と、集束されたビームを受容して分散させ、それによって多波長ビームを形成するための分散要素と、多波長ビームを受容するための光ファイバとを含み、または本質的にそれらから成る、レーザシステムを特色とする。光ファイバは、コアであって、コアは、(i)多波長ビームを受容し、分散要素に向かって戻るようにその第1の部分を反射し、複数の波長から成る出力ビームとしてその第2の部分を透過させ、コアは、部分反射表面を有する、コアと、(ii)コアを囲繞する、1%未満の多波長ビームに対する反射率を有するクラッディングとを含み、または本質的にそれらから成る。
【0017】
本発明の実施形態は、種々の組み合わせのうちのいずれかで、以下のうちの1つ以上を含んでもよい。コアの一部は、クラッディングから突出してもよい。コアの表面は、クラッディングの表面と実質的に同一平面上にあり得る。光ファイバは、コアの部分反射表面において、コアの直径(または他の横寸法、例えば、幅)が多波長ビームの直径(または他の横寸法、例えば、幅)未満であるように、位置付けられてもよい。コアの直径は、多波長ビームの直径と実質的に等しく、またはそれを上回り得る。端部キャップは、光ファイバに取り付けられ、コアの部分反射表面の光学的に上流に配置されてもよい。反射防止コーティングは、光ファイバのクラッディングを覆って配置されてもよい。モードストリッパは、光ファイバのコアの少なくとも一部の周囲に配置されてもよい。モードストリッパは、光ファイバのクラッディングの少なくとも一部の周囲に配置されてもよい。集束光学部は、1つ以上の円筒レンズ、1つ以上の球面レンズ、1つ以上の球面鏡、および/もしくは1つ以上の円筒鏡を含み、または本質的にそれらから成ってもよい。分散要素は、回折格子(例えば、透過回折格子または反射回折格子)を含み、または本質的にそれから成ってもよい。
【0018】
レーザシステムは、多波長ビームの相互結合を低減させながら、多波長ビームを受容して透過させるための相互結合軽減システムを含んでもよい。光ファイバのコアの部分的反射表面は、相互結合軽減システムによって透過させられる多波長ビームのレイリー範囲内に配置されてもよい。相互結合軽減システムの少なくとも一部は、分散要素によって透過させられる多波長ビームのレイリー範囲内に配置されてもよい。相互結合軽減システムは、無限焦点であり得る。相互結合軽減システムは、無限焦点望遠鏡を含み、または本質的にそれから成ってもよい。相互結合軽減システムは、第1の焦点距離を有する第1の光学要素と、第2の焦点距離を有する第2の光学要素とを含み、または本質的にそれらから成ってもよい。第1の光学要素は、第2の光学要素の光学的に上流に配置されてもよい。第1の焦点距離は、第2の焦点距離より少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、少なくとも10倍、または少なくとも100倍大きくあり得る。第1および第2の光学要素のそれぞれは、レンズ(例えば、円筒レンズまたは球面レンズ)を含み、または本質的にそれから成ってもよい。第1の光学要素は、分散要素によって透過させられる多波長ビームのレイリー範囲内に配置されてもよい。光ファイバのコアの部分的反射表面は、第2の光学要素によって透過させられる多波長ビームのレイリー範囲内に配置されてもよい。第1の光学要素と第2の光学要素との間の光学距離は、第1および第2の焦点距離の合計とほぼ等しくあり得る。
【0019】
別の側面では、本発明の実施形態は、それぞれがビームを発する、ビームエミッタのアレイと、分散要素に向かってビームを集束させるための集束光学部と、集束されたビームを受容して分散させ、それによって多波長ビームを形成するための分散要素と、多波長ビームの相互結合を低減させながら、多波長ビームを受容して透過させるための相互結合軽減システムと、相互結合軽減システムの光学的に下流に配置される、多波長ビームを受容するための光ファイバと、光ファイバ内に配置されるファイバブラッグ格子であって、ファイバブラッグ格子は、多波長ビームを受容し、相互結合軽減システムに向かって戻るようにその第1の部分を反射し、複数の波長から成る出力ビームとしてその第2の部分を透過させる、ファイバブラッグ格子とを含み、または本質的にそれらから成る、レーザシステムを特色とする。
【0020】
本発明の実施形態は、種々の組み合わせのうちのいずれかで、以下のうちの1つ以上を含んでもよい。端部キャップは、光ファイバに取り付けられ、ファイバブラッグ格子の光学的に上流に配置されてもよい。集束光学部は、1つ以上の円筒レンズ、1つ以上の球面レンズ、1つ以上の球面鏡、および/もしくは1つ以上の円筒鏡を含み、または本質的にそれらから成ってもよい。分散要素は、回折格子(例えば、透過回折格子または反射回折格子)を含み、または本質的にそれから成ってもよい。モードストリッパは、光ファイバのコアの少なくとも一部の周囲に配置されてもよい。ファイバブラッグ格子は、相互結合軽減システムによって透過させられる多波長ビームのレイリー範囲内に配置されてもよい。相互結合軽減システムの少なくとも一部は、分散要素によって透過させられる多波長ビームのレイリー範囲内に配置されてもよい。相互結合軽減システムは、無限焦点であり得る。相互結合軽減システムは、無限焦点望遠鏡を含み、または本質的にそれから成ってもよい。相互結合軽減システムは、第1の焦点距離を有する第1の光学要素と、第2の焦点距離を有する第2の光学要素とを含み、または本質的にそれらから成ってもよい。第1の光学要素は、第2の光学要素の光学的に上流に配置されてもよい。第1の焦点距離は、第2の焦点距離より少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、少なくとも10倍、または少なくとも100倍大きくあり得る。第1および第2の光学要素のそれぞれは、レンズ(例えば、円筒レンズまたは球面レンズ)を含み、または本質的にそれから成ってもよい。第1の光学要素は、分散要素によって透過させられる多波長ビームのレイリー範囲内に配置されてもよい。ファイバブラッグ格子は、第2の光学要素によって透過させられる多波長ビームのレイリー範囲内に配置されてもよい。第1の光学要素と第2の光学要素との間の光学距離は、第1および第2の焦点距離の合計とほぼ等しくあり得る。
【0021】
これらおよび他の目的は、本明細書に開示される本発明の利点および特徴とともに、以下の説明、添付図面、および請求項の参照を通して、明白となるであろう。さらに、本明細書に説明される種々の実施形態は、相互排他的ではなく、種々の組み合わせおよび順列で存在し得ることを理解されたい。本明細書で使用されるように、「実質的に」および「約」という用語は、±10%、いくつかの実施形態では、±5%を意味する。「本質的に〜から成る」という用語は、本明細書で別様に定義されない限り、機能に寄与する他の材料を除外することを意味する。それでもなお、そのような他の材料が、集合的または個別に、微量で存在し得る。本明細書では、「放射線」および「光」という用語は、別様に指示されない限り、同義的に利用される。本明細書では、「下流」または「光学的に下流」という用語は、第1の要素に遭遇した後に光ビームが衝打する第2の要素の相対配置を示すために利用され、第1の要素は、第2の要素の「下流」または「光学的に下流」にある。本明細書では、2つの構成要素の間の「光学距離」は、光ビームによって実際に移動される2つの構成要素の間の距離であり、光学距離は、例えば、鏡からの反射、または構成要素のうちの一方から他方まで移動する光によって受けられる伝搬方向の他の変化による、2つの構成要素の間の物理的距離と等しくあり得るが、必ずしもその必要はない。
例えば本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
レーザシステムであって、
それぞれがビームを発する、ビームエミッタのアレイと、
分散要素に向かって前記ビームを集束させるための集束光学部と、
前記集束されたビームを受容して分散させ、それによって多波長ビームを形成するための分散要素と、
前記多波長ビームを受容するための光ファイバであって、前記光ファイバは、(i)コアであって、前記コアは、前記多波長ビームを受容し、前記分散要素に向かって戻るように前記多波長ビームの第1の部分を反射し、複数の波長から成る出力ビームとして前記多波長ビームの第2の部分を透過させ、前記コアは、部分反射表面を有する、コアと、(ii)前記コアを囲繞する、1%未満の前記多波長ビームに対する反射率を有するクラッディングとを備える、光ファイバと
を備える、レーザシステム。
(項目2)
前記コアの一部は、前記クラッディングから突出している、項目1に記載のレーザシステム。
(項目3)
前記光ファイバは、前記コアの前記部分反射表面において、前記コアの直径が前記多波長ビームの直径未満であるように、位置付けられている、項目1に記載のレーザシステム。
(項目4)
前記光ファイバに取り付けられ、前記コアの前記部分反射表面の光学的に上流に配置されている、端部キャップをさらに備える、項目1に記載のレーザシステム。
(項目5)
前記光ファイバの前記クラッディングを覆って配置された反射防止コーティングをさらに備える、項目1に記載のレーザシステム。
(項目6)
前記光ファイバの前記コアの少なくとも一部の周囲に配置されたモードストリッパをさらに備える、項目1に記載のレーザシステム。
(項目7)
前記多波長ビームの相互結合を低減させながら、前記多波長ビームを受容して透過させるための相互結合軽減システムをさらに備える、項目1に記載のレーザシステム。
(項目8)
前記光ファイバの前記コアの前記部分的反射表面は、前記相互結合軽減システムによって透過させられる前記多波長ビームのレイリー範囲内に配置されている、項目7に記載のレーザシステム。
(項目9)
前記相互結合軽減システムの少なくとも一部は、前記分散要素によって透過させられる前記多波長ビームのレイリー範囲内に配置されている、項目7に記載のレーザシステム。
(項目10)
前記相互結合軽減システムは、無限焦点望遠鏡を備える、項目7に記載のレーザシステム。
(項目11)
前記相互結合軽減システムは、第1の焦点距離を有する第1の光学要素と、第2の焦点距離を有する第2の光学要素とを備え、前記第1の光学要素は、前記第2の光学要素の光学的に上流に配置されている、項目7に記載のレーザシステム。
(項目12)
前記第1の焦点距離は、前記第2の焦点距離より少なくとも2倍大きい、項目11に記載のレーザシステム。
(項目13)
前記第1の焦点距離は、前記第2の焦点距離より少なくとも7倍大きい、項目11に記載のレーザシステム。
(項目14)
前記第1および第2の光学要素のそれぞれは、レンズを備える、項目11に記載のレーザシステム。
(項目15)
前記第1の光学要素は、前記分散要素によって透過させられる前記多波長ビームのレイリー範囲内に配置されている、項目11に記載のレーザシステム。
(項目16)
前記光ファイバの前記コアの前記部分的反射表面は、前記第2の光学要素によって透過させられる前記多波長ビームのレイリー範囲内に配置されている、項目11に記載のレーザシステム。
(項目17)
前記第1の光学要素と前記第2の光学要素との間の光学距離は、前記第1および第2の焦点距離の合計とほぼ等しい、項目11に記載のレーザシステム。
(項目18)
レーザシステムであって、
それぞれがビームを発する、ビームエミッタのアレイと、
分散要素に向かって前記ビームを集束させるための集束光学部と、
前記集束されたビームを受容して分散させ、それによって多波長ビームを形成するための分散要素と、
前記多波長ビームの相互結合を低減させながら、前記多波長ビームを受容して透過させるための相互結合軽減システムと、
前記相互結合軽減システムの光学的に下流に配置されている、前記多波長ビームを受容するための光ファイバと、
前記光ファイバ内に配置されたファイバブラッグ格子であって、前記ファイバブラッグ格子は、前記多波長ビームを受容し、前記相互結合軽減システムに向かって戻るように前記多波長ビームの第1の部分を反射し、複数の波長から成る出力ビームとして前記多波長ビームの第2の部分を透過させる、ファイバブラッグ格子と
を備える、レーザシステム。
(項目19)
前記光ファイバに取り付けられ、前記ファイバブラッグ格子の光学的に上流に配置されている、端部キャップをさらに備える、項目18に記載のレーザシステム。
(項目20)
前記光ファイバの少なくとも一部の周囲に配置されたモードストリッパをさらに備える、項目18に記載のレーザシステム。
(項目21)
前記ファイバブラッグ格子は、前記相互結合軽減システムによって透過させられる前記多波長ビームのレイリー範囲内に配置されている、項目18に記載のレーザシステム。
(項目22)
前記相互結合軽減システムの少なくとも一部は、前記分散要素によって透過させられる前記多波長ビームのレイリー範囲内に配置されている、項目18に記載のレーザシステム。
(項目23)
前記相互結合軽減システムは、無限焦点望遠鏡を備える、項目18に記載のレーザシステム。
(項目24)
前記相互結合軽減システムは、第1の焦点距離を有する第1の光学要素と、第2の焦点距離を有する第2の光学要素とを備え、前記第1の光学要素は、前記第2の光学要素の光学的に上流に配置されている、項目18に記載のレーザシステム。
(項目25)
前記第1の焦点距離は、前記第2の焦点距離より少なくとも2倍大きい、項目24に記載のレーザシステム。
(項目26)
前記第1の焦点距離は、前記第2の焦点距離より少なくとも7倍大きい、項目24に記載のレーザシステム。
(項目27)
前記第1および第2の光学要素のそれぞれは、レンズを備える、項目24に記載のレーザシステム。
(項目28)
前記第1の光学要素は、前記分散要素によって透過させられる前記多波長ビームのレイリー範囲内に配置されている、項目24に記載のレーザシステム。
(項目29)
前記ファイバブラッグ格子は、前記第2の光学要素によって透過させられる前記多波長ビームのレイリー範囲内に配置されている、項目24に記載のレーザシステム。
(項目30)
前記第1の光学要素と前記第2の光学要素との間の光学距離は、前記第1および第2の焦点距離の合計とほぼ等しい、項目24に記載のレーザシステム。
【0022】
図面では、類似参照記号は、概して、異なる図の全体を通して同一の部品を指す。また、図面は、必ずしも一定の縮尺ではなく、代わりに、概して、本発明の原理を例証することに重点が置かれている。以下の説明では、以下の図面を参照して、本発明の種々の実施形態が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1Aは、本発明の実施形態による、非ビーム結合次元における波長ビーム結合(WBC)方法の概略図である。図1Bは、本発明の実施形態による、ビーム結合次元における波長ビーム結合(WBC)方法の概略図である。
図2図2は、本発明の実施形態による、光学相互結合軽減システムを組み込むWBCレーザシステムの概略図である。
図3図3は、本発明の実施形態による、WBCレーザシステムのための例示的光学相互結合軽減システムの概略図である。
図4図4は、本発明の実施形態による、WBCレーザシステムのための光学相互結合軽減システムおよび出力結合器の概略図である。
図5図5は、本発明の実施形態による、WBCレーザシステムのための光学要素および出力結合器の概略図である。
図6図6−8は、本発明の実施形態による、WBCレーザシステムのための出力結合器として利用される、光ファイバの部分の概略図である。
図7図6−8は、本発明の実施形態による、WBCレーザシステムのための出力結合器として利用される、光ファイバの部分の概略図である。
図8図6−8は、本発明の実施形態による、WBCレーザシステムのための出力結合器として利用される、光ファイバの部分の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(詳細な説明)
側面および実施形態は、概して、外部空洞を使用して、レーザ源を高出力および高輝度に拡大縮小すること、具体的には、1次元または2次元レーザ源の両方を使用する、外部空洞ビーム結合のための方法および装置に関する。一実施形態では、外部空洞システムは、1次元または2次元レーザ要素と、光学システムと、分散要素と、部分反射要素とを含む。光学システムは、2つの基本機能を果たす、1つ以上の光学要素である。第1の機能は、ビーム結合次元に沿った全てのレーザ要素を分散要素上に重ね合わせることである。第2の機能は、非ビーム結合次元に沿った全ての要素が出力結合器と垂直に伝搬していることを確実にすることである。種々の実施形態では、光学システムは、可能な限り少しの損失を導入する。したがって、これら2つの機能は、全てのレーザ要素のための単一の共振空洞を可能にするであろう。
【0025】
別の実施形態では、WBC外部空洞システムは、波長が安定した1次元または2次元レーザ要素と、光学システムと、分散要素とを含む。一意の波長を伴う1次元または2次元波長安定化レーザ要素は、波長チャープ体積ブラッグ格子、分布フィードバック(DFB)レーザ要素、または分布ブラッグ反射器(DBR)レーザ要素からのフィードバックとともに、レーザ要素等の種々の手段を使用して達成されることができる。ここで、光学システムの主要機能は、全てのビームを分散要素上に重ね合わせることである。波長安定化レーザ要素の外部に出力結合器鏡がないとき、非ビーム結合次元に沿って平行ビームを有することは、あまり重要ではない。側面および実施形態はさらに、非常に低い出力電力から数百ならびに数メガワットさえもの出力電力までの重複または同軸ビームを生成する、高出力および/または高輝度多波長外部空洞レーザに関する。
【0026】
本発明の実施形態は、WBCレーザシステム内の非起源エミッタからの非意図的および/または望ましくないフィードバックの量を軽減する。例えば、2つの個々のビームエミッタが共通部分反射鏡(出力結合器等)を共有する、WBCシステムでは、一方のエミッタからのフィードバック光が他方のエミッタに入射する可能性がある。「非起源」エミッタからのこの望ましくないフィードバック(または「クロストーク」もしくは「相互結合」)は、システムの効率を低減させる。本明細書に説明されるアプローチおよび実施形態は、低速発散次元(または「方向」)、高速発散次元、または他のビーム結合次元に沿って、1および2次元ビーム結合システムを適用してもよい。本用途の目的で、発せられたビームは、一方の寸法が、ほぼまたは完全に回折制限される一方で、他方の次元が、何回も回折制限される、プロファイルを有する。これを説明する別の方法は、軸および/または次元に関し得る。例えば、出力ビームは、低速および高速発散軸または次元を有してもよい。
【0027】
別の光学要素の焦点距離と比較して、1つの光学要素の焦点距離を参照するときに、実質的により大きいという用語を使用するとき(f1>>f2)、少なくとも2、3、4、5、7倍またはそれを上回ることを理解されたい。例えば、f1の焦点距離が、100mmまたはそれを上回り得る一方で、f2の焦点距離は、50mmまたはそれ未満である。別の実施例では、f1の焦点距離が、200mmまたはそれを上回り得る一方で、f2は、20mmまたはそれ未満である。「角度フィルタ」という用語は、フィードバックビームのための規定開口数を生成する、複数の光学要素を指す。本開口数のサイズは、許容フィードバックを、最初に発せられたビームに対応するもののみに限定する。すなわち、角度フィルタは、隣接する、または近くの発せられたビームが、元のエミッタの中へ戻ること(すなわち、クロストーク)を防止する。エミッタの安定化は、明確に異なる波長に狭小された各エミッタによって受容されるフィードバックを指す。これは、エミッタに特定の波長を播種し、発せられたビームの一部をエミッタの中へ戻るよう再指向させ、フィードバックとしてエミッタの中へ指向される明確に異なる波長を生成するように、途中に光学格子を配置すること等のフィードバックに干渉することの形態であってもよい。多くの場合、フィードバックは、元の発光領域に向かって戻るように反射され、そこで、元のエミッタの光学利得媒体部分の中へ戻るように進入することに先立って、分散要素または回折格子を通過する。いくつかのWBC実施形態では、フィードバック源は、フィードバックを複数のエミッタに提供する、共通反射表面であってもよく、フィードバックビームのそれぞれは、特定の波長に個別に同調される。
【0028】
図1A−1Bは、後方反射表面104と、例えば、2つ以上のダイオードエミッタ105を伴う利得媒体106と、前方反射表面108と、結合光学部110と、分散要素112と、部分反射出力結合器114とを有する、1次元ビームエミッタ102(例えば、ダイオードバー)を含み、または本質的にそれらから成る、外部空洞1次元(1−D)WBCシステムを図示する。本実施形態では、結合光学部またはレンズ110が、ダイオードバー102の前方反射表面108から離れた焦点距離120aに配置される一方で、レンズ110の背面または反対側には、分散要素112が、焦点距離120bを離して配置される。出力結合器114は、分散要素112からある距離に配置され、分散要素112に向かって戻るように生成されたビーム(フィードバック116)の一部を反射する。
【0029】
本実施形態では、結合レンズ110の配置が、2つの機能を達成する。第1の機能は、全てのダイオード要素からの全ての主光線を分散要素112上に重ね合わせることである。第2の機能は、両方の軸において各ビームを平行にすることである。図1Aおよび1Bは、非ビーム結合次元130像(図1A)およびビーム結合次元140像(図1B)の概略図を図示する。エミッタ102は、複数のエミッタ(例えば、ダイオードエミッタ)105と、後方反射表面104と、利得媒体106と、前面/ファセット108とを含み、または本質的にそれらから成る。
【0030】
WBC共振器では、隣接エミッタが相互と光学的に相互結合することが可能である。これは、出力ビーム品質を深刻に劣化させ得る。図2は、それらの垂直軸上主光線260aおよび260b(実線として示される)を、それらを分散要素(例えば、回折格子)212の中心の上に集束させるレンズ210に送る、2つの隣接エミッタ202aおよび202bを伴うWBC共振器の概略図である。そこから、両方の主光線は、格子212と部分反射結合器214との間のありとあらゆるレンズまたは光学要素を表す、相互結合軽減光学部250を通って、同一の軸240に沿って伝搬するように、独自の一意の波長において回折される。次いで、両方の光線は、それら自体の上へ戻るように部分的に反射され、それぞれのエミッタの中へ自己結合するように後方に伝搬する。図2の鎖線261aおよび261bは、2つのエミッタの間の光学相互結合をもたらすであろう、主光線を示し、すなわち、1つのエミッタから発散する主光線は、別のエミッタの中へ戻るように結合する。
【0031】
以下のパラメータは、以下のように定義される。
d=2つのエミッタの間の距離(軸の上方および下方で+/−(d/2)だけ対称に変位させられる)
【化1】
=偏差角(エミッタにおける実線の主光線と点線の主光線との間の角度)
【化2】
=WBC方向へのエミッタの半発散遠視野角
【化3】
=エミッタからレンズL1までの距離
【化4】
=レンズL1の焦点距離
【0032】
図2では、格子は、垂直入射において機能した場合のように示されている。ここでは、本システムは、入射角および回折角が等しい(かつゼロではない)、リトロー構成で動作していることが仮定される。リトロー構成では、入射角のわずかな変化が、回折角の等しい変化によって一次に合致させられる。次いで、広がった概略図では、リトローにおいて動作する任意の光線は、格子を通ってまっすぐ伝搬すると考えられるであろう。中心光線202c(2つのエミッタ202aおよび202bの中間で仮想エミッタから発散するであろう光線)のみが、リトローにおいて自己結合することが明確である。
【0033】
図2の対称性は、主光線が一方のエミッタから出射して他方に戻る、一意の偏差角
【化5】
の分析において、2〜3の重要な単純化を可能にするため、意図的である。第1の対称性ベースの単純化は、逸脱(鎖線)主光線がその中心において結合器に衝打しなければならないことである。第2の単純化は、相互結合波長が2つの自己結合波長の平均でなければならないことである。これは、順に、上記のように、リトローにおいて自己結合するであろう、2つのエミッタの中間の仮想エミッタの波長であろう。したがって、図2の鎖線の主光線は、リトローにおける格子を横断しなければならず、示されるように、格子を通ってまっすぐ伝搬すると考えられるであろうことを意味する。本単純化を使用して、従来の「y/yバー」(主光線高さ/主光線傾斜)分析が、上の鎖線の主光線を追跡するために利用されてもよい。
上部エミッタから退出する:
【数1】
レンズL1に入射する:
【数2】
レンズL1から出射する:
【数3】
格子に入射し、出射する(鎖線の主光線が格子において方向を変化させないという上記の議論から想起されたい):
【数4】
【0034】
相互結合軽減光学部を通って伝搬することを伴う、結合器における計算を完成させるために、鎖線の主光線が、その中心において結合器に交差することを想起されたい。したがって、結合器における光線傾斜のみが、ゼロではなく、格子における光線高さおよび光線傾斜が両方とも、結合器における光線傾斜に比例しなければならないことに留意されたい。これは、格子における傾斜に対する高さの比が、定数でなければならないことを示唆する。そして、その定数を、相互結合軽減光学部によって判定されるように、格子からの結合器の有効距離の負数として、非常に直観的に解釈してもよい。換言すると、
【数5】
【化6】
は、格子を越えた(格子の右側の)結合器の有効距離である。
【0035】
実践では、
【化7】
は、光線追跡を用いて、または格子後レンズのy/yバー分析を用いてのいずれかで、計算されることができる。しかし、いずれの場合も、方程式9は、以下の結果を伴って、偏差角
【化8】
について方程式7および8を解くことを可能にする。
【数6】
【0036】
相互結合をもたらす偏差角
【化9】
が判定されているので、相互結合の量が計算されてもよい。相互結合の1つの合理的な定義は、自己結合強度の二乗の積分によって正規化される、自己結合強度および相互結合強度の積のエミッタにおける立体角上での積分である。その積分を計算することに先立って、対称性を単純化するという名目で、相互結合エミッタにおける出射および入射ビームが両方とも同等に逸脱すると仮定されることに、留意することが重要である。したがって、重複積分に関して、一方のビーム(自己結合ビーム)が逸脱させられておらず、他方のビーム(相互結合ビーム)が角度
【化10】
の2倍逸脱させられていると見なす。本段落を方程式形態にすると、以下を提供する。
【数7】
【0037】
(方程式11は、立体角上での2次元積分の代わりに、単一角度上での1次元積分を伴うことに留意されたい。これは、ビーム偏差に対して直角な方向への角度上での積分が、方程式11において比から脱落する定数を生じさせるためである。)方程式11は、以下を生じさせるように単純化されることができる。
【数8】
【0038】
要約すると、方程式10に従って、公知のパラメータに関して関連偏差角
【化11】
を計算してもよい。次いで、結果として生じる重複は、方程式12に従って計算されてもよい。これは、自己結合の場合に、結合器に完璧なウェストがあると仮定して、自己結合強度に対する相互結合強度の比を生じる。
【0039】
L1から1つの焦点距離の後方にエミッタを配置する通常の構成に完全にあるわけではないが、その付近にあるときに、相互結合に大きな影響を及ぼすという非常に興味深い可能性がある。エミッタをそこに正確に配置した場合には、方程式10の分母における第1項は、ゼロになり、方程式10は、以下に変換するであろう。
【数9】
方程式13を方程式12に導入すると、以下を生じさせる。
【数10】
【0040】
ここでは、d’は、近視野におけるエミッタ直径であり、Zrは、ビームのレイリー範囲である。したがって、相互結合を低減させるために、近視野曲線因子(d/d’)は、高くなるはずであり、格子と結合器との間の光路長は、長くなるはずであり、レイリー範囲は、短くなるはずである。典型的には、近視野曲線因子は、固定される。実施例として、WBCシステムが、20本のダイオードバーと、2000mmの焦点距離を有する変換レンズとを含むことが仮定される場合には、格子におけるビームサイズは、(20ミリラジアンの完全ビーム発散を仮定して)ほぼ40mmである。そのようなビーム(1μm波長および回折制限)のレイリー範囲は、約160mである。格子と出力結合器との間の距離は、相互結合軽減のためのレイリー範囲に匹敵するはずである。そのような長さは、WBCシステムを本質的に非実用的にするであろう。しかしながら、ビームが、格子と出力結合器との間で40倍縮小される場合、光路長は、160倍、または約1mまで短縮される。光路長のさらなる短縮は、ビームサイズのより大幅な縮小を使用して達成されてもよい。ビーム縮小は、レンズ、プリズム、または両方の組み合わせ等の種々の機構を使用して、達成されてもよい。空洞が性能の点で問題があるように、各エミッタの自己結合が劣化しないように、慎重な設計が考慮されなければならない。
【0041】
しかし、エミッタが本位置からわずかに外れている場合には、方程式10の分母における第1項は、実際に第2項を約分し、必要偏差角を無限にし、相互結合重複をゼロにすることができる。具体的には、これは、以下であるときに起こる。
【数11】
【0042】
換言すると、結合器までの有効距離
【化12】
が非常に大きいとき、方程式14は、相互結合を破壊するために、L1の前焦点からわずかに後方にエミッタを引くための潜在的方策を与える。
【0043】
図3は、図2のボックスによって図示される相互結合軽減システム250の一実施例を図示する。ここでは、光学要素302は、焦点距離F304を有するレンズであってもよい。第2の光学要素306もまた、レンズであり、焦点距離F308を有してもよい。302と306との間の距離は、正確に、またはおよそ焦点距離FおよびFの合計である。以前に議論されたように、Fに対するFの比(F/F)は、少なくとも2倍またはそれを上回ることが好ましい。システム250は、無限焦点伸縮式システムであってもよい。他の実施形態では、複数の光学要素が使用されてもよく、本システムの効果は、大きい比を有する無限焦点伸縮式システムの性質を依然として維持する。
【0044】
種々の実施形態では、分散要素(例えば、回折格子)から透過させられているビームのレイリー範囲内にレンズ302を配置する一方で、レンズ306から出て行くビームのレイリー範囲内に部分反射出力結合器または他の反射表面も配置することが望ましい。これらの位置内に、F>>F関係を有するレンズを適切に配置することによって、いかなる相互結合フィードバックも非発信エミッタまたは源に進入することも低減させ、ある場合には、排除するように、効果的なシステムが作成される。
【0045】
図4は、光学相互結合軽減システム(光学要素410、420を含み、または本質的にそれらから成ってもよい)が、不要なフィードバックをもたらし得る反射を最小限位するように設計される部分反射出力結合器430と併せて利用される、本発明の実施形態による、(WBCレーザシステムの一部であり得る)安定化システム400を図示する。示されるように、出力結合器430は、光学要素420からビームを受容するように定寸されて位置付けられる、部分反射ビーム受容部分434を含む。具体的には、ビーム受容部分434は、典型的には、それが受容するビームの直径(または他の横寸法)とほぼ同一のサイズの直径(または他の横寸法)を有する。出力結合器430の表面上でほぼ中心に置かれ得る、ビーム受容部分434は、受容されたビームの波長に対する1%未満の反射率を有する、非反射部分(または表面)432によって囲繞される。例えば、非反射部分432は、光学クロストークをもたらし得る、望ましくない後方反射を防止するように、反射防止コーティングでコーティングされてもよい。したがって、ビーム受容部分434の外側の出力結合器430に伝搬する、いかなる迷光も、WBCシステムのビームエミッタに戻るように反射されないであろう。ビーム受容部分434は、図4に示されるように、結合器430の表面の残りの部分から突出してもよく(すなわち、非反射部分432に対して上昇させられてもよく)、またはビーム受容部分434は、非反射部分432とほぼ同一平面上にあり得る。
【0046】
ビーム受容部分434は、関連エミッタからのビームの所望の波長安定化を提供するよう、約15%未満、例えば、約2%〜約10%の範囲内のビームの波長に対する反射率を有してもよい。受容されたビームの残りの部分は、出力結合器430を通過し、下流光学システム構成要素(例えば、光ファイバまたは加工対象物)に透過させられるであろうことが理解されるであろう。
【0047】
図5は、光学要素510(例えば、円筒または球面レンズ)が、単純に、ビームを部分反射出力結合器430上に集束させ、いかなる第2の平行光学要素もその間に存在しない、本発明の実施形態による、(WBCレーザシステムの一部であり得る)安定化システム500を図示する。このようにして、出力結合器430は、光学相互結合軽減システム(例えば、レンズ等の2つ以上の光学要素を含み、もしくは本質的にそれらから成るもの)を使用することなく、WBCレーザシステムで利用されてもよい。
【0048】
図6は、光学要素610が、部分反射出力結合器として動作する1つ以上の特徴を含む、光ファイバのコア650の中へ光を直接集束させる、WBCレーザシステム600の一部を図示する。示されるように、光ファイバはまた、コア650を囲繞するクラッディング640を有してもよく、典型的には、クラッディング640は、コア650内の光が閉じ込められるように、コア650のものより小さい屈折率を有する。コア650の端面は、クラッディングの端面642と実質的に同一平面上にあり得、またはコア650は、表面642からわずかに突出してもよい。波長安定化を提供するために、コア650の端面は、ビームの波長に対して部分的に反射性(例えば、約2%〜約10%反射性、または約4%〜約10%反射性)であり得る。種々の実施形態では、部分反射率は、コアの端面上のコーティングによって提供されてもよい。
【0049】
本発明の種々の実施形態では、部分反射コーティングの代わりに、またはそれに加えて、ファイバブラッグ格子654が、所望の部分反射率を提供するようにコア650内に提供されてもよい。当業者に公知であるように、ファイバブラッグ格子は、(例えば、コア650内の)ファイバの一部の屈折率の周期的変動を含み、または本質的にそれから成る。周期的変動は、例えば、受容されたビームの波長(または波長のうちの1つの)の約半分であってもよく、したがって、格子は、フレネル反射を含む。波長依存性および/または反射の規模は、特定の格子パターンまたはその屈折率変動によって選択されてもよい。種々の実施形態では、複数のファイバブラッグ格子654が、コア650内に配置されてもよく、各格子654は、異なる屈折率変動および/または波長選択性を有してもよい。
【0050】
種々の実施形態では、クラッディング640の表面642は、ビームから外れる任意の逸脱光が隣接エミッタまたはビームの中へ戻るように反射することを防止するよう、反射防止コーティングでコーティングされてもよい。例えば、表面642は、ビームの波長に対する1%未満の反射率を有するようコーティングされてもよい。
【0051】
図7は、光学要素710が光を光ファイバのコア650の中へ集束させる、(WBCレーザシステムの一部であり得る)波長安定化システム700を図示する。システム700では、端部キャップ720が、コア650(およびいくつかの実施形態ではクラッディング640の表面642)を覆って配置され、それと接触している。いくつかの実施形態では、端部キャップ720は、その間に屈折率整合材料を伴って、光ファイバに取り付けられる。他の実施形態では、光ファイバの少なくとも一部(例えば、コア650)が、端部キャップ720に直接融合させられる。図7に示されるように、端部キャップ720の存在は、より大きい直径(または幅)を有するときに、光ファイバと入射ビームとの間の有効界面(すなわち、ビームが端部キャップに入射する点)が、ビームを受容することを可能にし、それによって、光ファイバへの入射時にビームの電力密度を低減させる。端部キャップ720の存在はまた、熱、湿気、および/または他の環境汚染物質から光ファイバの他の部分を保護してもよい。
【0052】
図8は、光学要素810が光を光ファイバのコア650の中へ集束させる、(WBCレーザシステムの一部であり得る)波長安定化システム800を図示する。システム800は、ビームに対する光ファイバの純度および透過能力をさらに増加させるために、モードストリッパ820を組み込む。ビームが透過媒体を変化させると、光ファイバの中への種々の屈折率および光入射角が、クラッディングモード、すなわち、クラッディングの材料内で移動する光をもたらし得ることが理解されるであろう。本クラッディングモードは、そのような光が一次ビームの波長歪曲および汚染をもたらし得るため、望ましくない場合がある。当業者に公知であるように、モードストリッパ820は、クラッディング640のもの以上の(すなわち、それと等しいまたはそれを上回る)屈折率を有する材料を含み、本質的にそれから成り、またはそれから成ってもよい。このようにして、典型的には、クラッディング内でクラッディングモードとして伝搬し得る光は、好ましくは、モードストリッパに入射し、光ファイバから外に放射状に広がるであろう。種々の実施形態では、モードストリッパ820は、クラッディング640のものより大きい屈折率を有するであろう。図8に示されるように、屈折率整合材料830は、コア650(またはいくつかの実施形態ではクラッディング640)とモードストリッパ820との間に配置されてもよい。(本明細書で使用されるように、「屈折率整合材料」という用語は、2つの他の材料の間に配置され、2つの材料の屈折率の間である、または材料のうちの一方もしくは両方の屈折率とほぼ等しい屈折率を有する、材料を指す。)図8は、コア650を直接囲繞するものとしてモードストリッパ820を描写するが、種々の実施形態では、クラッディング640の少なくとも一部が、コア650とモードストリッパ820との間に配置される。
【0053】
前述の波長安定化システムのうちのいずれかでは、ビームは、所望のビーム品質を達成するように構成される光学および/または分散要素の追加を介して、種々の方法で操作され得ることが理解されるであろう。例えば、格子および/またはコリメータ等の光学要素が、WBCシステムならびに/もしくは安定化システムの中に存在し得る。また、所望の透過および所望の反射品質を達成するよう、格子、コーティング等を提供することを含むが、それに限定されない、任意の数の手段によって、部分反射要素は、部分反射性質を提供され得ることも理解されるであろう。
【0054】
本明細書で採用される用語および表現は、限定ではなく、説明の観点として使用され、そのような用語および表現の使用において、図示および説明される特徴またはその一部の均等物のいずれかを除外する意図はなく、種々の修正が、請求される本発明の範囲内で可能であることを認識されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8