(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力操作に応じて相対的に移動する第1の部材と第2の部材と、磁界に応じて粘性が変化する磁気粘性流体と、前記磁気粘性流体に作用する磁界を発生させる磁界発生部とを備える入力装置の制御方法であって、
前記第1の部材は、固定下面を有する第1の固定ヨーク部材と、固定上面を有する第2の固定ヨーク部材と、を備え、
前記第2の部材は、前記第1の部材と前記第2の部材との相対的な移動方向に対して垂直な方向に並べられた第1の面および第2の面を有する回転ヨークを備え、前記回転ヨークは、前記固定下面と前記固定上面との間に配設され、前記第1の面と前記固定下面との間、及び前記第2の面と前記固定上面との間にそれぞれ隙間を有し、
前記第2の部材が、前記第1の部材に対して相対的に回転し、
前記磁界発生部は、前記第1の固定ヨーク部材の前記第1の面の方向に開口した環状空洞に前記第1の面に対向して配設され、
前記隙間に前記第1の部材と前記第2の部材との回転の中心軸に沿った成分が前記回転の中心軸に直交する方向の成分に比べて大きくなるように前記磁界を発生させて、前記隙間の少なくとも一部に存在する前記磁気粘性流体の粘性を変化させる
入力装置の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1の実施形態に係る入力装置100について説明する。
図1は、入力装置100を、回転の中心軸101に沿った平面で切断して、中心軸101に直交する方向から見た断面図である。
図2は、入力装置100の分解斜視図である。
図3は、
図1の入力装置100の領域102の部分拡大図である。
図1から
図3において、説明の便宜上、中心軸101に沿って上下方向を規定しているが、実際の使用時における方向を制限するものではない。半径方向とは、中心軸101から、中心軸101に直交する方向に離れる方向を指す。
【0023】
入力装置100は、
図1に示すように、中心軸101を中心として相対的に両方向に回転移動する第1の部材200と第2の部材300とを備え、さらに、球状部材410と環状軸受420とを備える。入力装置100は、さらに、
図3に示すように、磁気粘性流体500を備える。
【0024】
まず、第1の部材200の構造について説明する。第1の部材200は、第1の固定ヨーク210と第2の固定ヨーク220と磁界発生部230と環状部材240と上部ケース250と下部ケース260とを含む。
【0025】
第1の固定ヨーク210は、略円柱形であり、中心軸101を中心とした円筒形の固定内面211をもつ。固定内面211は、第1の固定ヨーク210を中心軸101方向に貫通している。固定内面211は、中心軸101に直交する平面に沿った断面が略円形である。固定内面211は、上下方向の位置に応じて直径が様々である。
【0026】
第1の部材200は、環状空洞212をもつ。環状空洞212は、中心軸101に直交する断面において、内周と外周とが中心軸101上に中心をもつ同心円である。環状空洞212は、上方と半径方向外側と半径方向内側とが閉じているが、下方に開口している。
環状空洞212内には、
図2に示すような磁界発生部230が配設されている。磁界発生部230は、環状空洞212の形状に近い形状をもつ、磁界発生部230は、中心軸101の周りを回るように巻き付けられた導線を含むコイルである。磁界発生部230には、図示しない経路で交流電流が供給される。磁界発生部230に交流電流が供給されると、磁界が発生する。
【0027】
図3に示すように、第1の固定ヨーク210は、固定下面213をもつ。固定下面213の大部分が、上下方向に直交する平面に略平行である。
【0028】
図1に示すように第1の固定ヨーク210の下方に配設された第2の固定ヨーク220は、略円柱形である。
図3に示すように第2の固定ヨーク220は、固定上面221をもつ。固定上面221の大部分が、上下方向に直交する平面に略平行である。
図1に示すように固定上面221には、中心軸101を囲む環状の溝222が設けられている。溝222は、上方に開口している。
図3に示す固定上面221の中央には、
図1に示すように第1の軸受223が設けられている。第1の軸受223は、上側で球状部材410を回転自在に受容する。
【0029】
図3に示すように、第1の固定ヨーク210の固定下面213と第2の固定ヨーク220の固定上面221とは、略平行であり、固定下面213と固定上面221との間に隙間が形成されている。
【0030】
図2に示すように環状部材240は、略円筒形であり、
図1に示すように第1の固定ヨーク210と第2の固定ヨーク220との間の空間を半径方向外側から密閉する。
【0031】
図1に示すように上部ケース250は、第1の固定ヨーク210と第2の固定ヨーク220と環状部材240との、上側と半径方向外側とを覆う。上部ケース250と第1の固定ヨーク210とは、複数のネジ270で固定されている。上部ケース250は、中心軸101を含む領域に略円柱形の貫通孔251をもつ。貫通孔251は、上部ケース250を上下方向に貫通している。固定内面211に囲まれた空間と、貫通孔251内の空間とは、上下方向に連通している。
【0032】
下部ケース260は、第1の固定ヨーク210と第2の固定ヨーク220と環状部材240とを下方から覆う。下部ケース260と上部ケース250と第2の固定ヨーク220とは、複数のネジ270で固定されている。
【0033】
次に、第2の部材300の構造について説明する。第2の部材300は、シャフト部310と回転ヨーク320とを含む。
【0034】
シャフト部310は、中心軸101に沿って長尺であり、半径方向の直径の異なる複数の円柱が上下方向に一体的に連結された形状をもつ。シャフト部310は、第1の固定ヨーク210の固定内面211と上部ケース250の貫通孔251とに囲まれた空間に存在する部分と、上部ケース250より上方に突出した部分とをもつ。
シャフト部310は、上部ケース250より上方の上端付近において、半径方向の外周面の一部に、中心軸101に沿った平面311をもつ。平面311付近に、適宜、入力操作に必要な部材、すなわち、シャフト部310を回転させるのに必要な部材が搭載される。
【0035】
第1の固定ヨーク210の上端付近には、第1の固定ヨーク210の固定内面211とシャフト部310との間に環状軸受420が設けられている。環状軸受420は、第1の固定ヨーク210とシャフト部310との滑らかな回転を実現する。
シャフト部310の下端には、下方を臨む第2の軸受312が設けられている。第2の軸受312は、下方に配設される球状部材410を回転自在に受容する。球状部材410を第1の軸受223と第2の軸受312とで上下方向において挟むことにより、シャフト部310と第2の固定ヨーク220とが相対的に滑らかに回転する。
【0036】
環状軸受420より下方では、
図3に示すように、シャフト部310の半径方向外側の回転外面313が、第1の固定ヨーク210の固定内面211に近接している。シャフト部310が第1の固定ヨーク210に対して相対的に回転するとき、回転外面313と固定内面211との距離は、中心軸101に直交する平面内で見ると略一定に保たれる。
【0037】
図3に示すように回転ヨーク320は、上下方向に直交する平面に略平行な、回転上面321と回転下面322とをもつ円盤形状の部材である。回転上面321は上方を臨み、回転下面322は下方を臨む。
回転ヨーク320は、第1の固定ヨーク210と第2の固定ヨーク220との間の空間に配設されている。回転上面321と第1の固定ヨーク210の固定下面213との間に、隙間が存在する。
さらに、回転下面322と第2の固定ヨーク220の固定上面221との間に、隙間が存在する。回転ヨーク320が第1の固定ヨーク210及び第2の固定ヨーク220に対して相対的に回転するとき、回転上面321と固定下面213との間の上下方向の距離は、略一定に保たれ、回転下面322と固定上面221との間の上下方向の距離は、略一定に保たれる。
【0038】
図1に示すように回転ヨーク320には、中心軸101付近に、回転ヨーク320を上下に貫通した貫通孔323が設けられている。
回転ヨーク320の貫通孔323内に、シャフト部310の下端が配設されており、回転ヨーク320とシャフト部310とは、
図2に示す複数のネジ330で固定されている。そのため、シャフト部310と回転ヨーク320とが、一体となって回転する。
【0039】
第1の固定ヨーク210と第2の固定ヨーク220と回転ヨーク320との少なくとも1つが、磁性体で形成されていることが好ましい。磁性体を使用することで、磁界発生部230から発生する磁界が強くなるので、省電力化できる。
【0040】
図3に示すように、シャフト部310の回転外面313と第1の固定ヨーク210の固定内面211とに半径方向に挟まれた隙間には、磁気粘性流体500が存在する。
回転ヨーク320の回転上面321と第1の固定ヨーク210の固定下面213とに上下方向を挟まれた隙間に、磁気粘性流体500が存在する。
さらに、回転ヨーク320の回転下面322と第2の固定ヨーク220の固定上面221とに上下方向を挟まれた隙間にも、磁気粘性流体500が存在する。必ずしも全ての隙間が磁気粘性流体500で埋められていなくてもよい。例えば、磁気粘性流体500は、回転上面321側と回転下面322側とのいずれか一方のみに存在していてもよい。磁気粘性流体500は、薄い膜状に回転ヨーク320と固定ヨーク210,220に接して広がっている。
【0041】
磁気粘性流体500は、磁界が印加されると、粘度が変化する物質である。本実施形態の磁気粘性流体500は、ある範囲において磁界の強さが大きくなるほど粘度が大きくなる。
図4Aに示すように磁気粘性流体500には数多くの粒子510が含まれる。
粒子510は、例えば、フェライト粒子である。粒子510の直径は、例えば、マイクロメートル台であり、100ナノメートルであってもよい。粒子510は、重力で沈殿しにくい物質であることが望ましい。磁気粘性流体500は、粒子510の沈殿を防ぐカップリング材520を含むことが望ましい。
【0042】
まず、
図1に示す磁界発生部230に電流が流れていない第1の状態について検討する。第1の状態では、磁界発生部230から磁界が発生していないので、
図3に示す磁気粘性流体500に磁界が印加されていない。
図4Aに示すように、磁気粘性流体500に磁界が印加されていないと、粒子510はランダムに分散している。従って、第1の部材200と第2の部材300とが、大きな抵抗力を受けずに相対的に回転する。すなわち、シャフト部310を手で操作する操作者が、あまり抵抗力を感じない。
【0043】
次に、
図1に示す磁界発生部230に電流が流れている第2の状態について検討する。第2の状態では、磁界発生部230の周囲に磁界が発生しているので、
図3に示す磁気粘性流体500に磁界が印加される。
図4Bに示すように、磁気粘性流体500に磁界が印加されると、矢印で示す磁界の方向に沿って粒子510が直線状に連結する。連結した粒子510をせん断するには大きな力が必要となる。
特に、磁界に直交する方向に沿った動きに対する抵抗力が大きいので、第1の部材200と第2の部材300との相対的な移動方向に直交する方向の成分が大きくなるように磁界を発生させることが好ましい。磁界に対して傾斜した方向の動きに対しても、磁気粘性流体500はある程度の抵抗力を示す。
【0044】
第2の状態では、
図1に示す回転ヨーク320と第1の固定ヨーク210及び第2の固定ヨーク220との間の隙間に、中心軸101に沿った成分をもつ磁界が発生する。
図4Bに示すように磁気粘性流体500の粒子510が、上下方向または上下方向に対して傾いた方向に連結するので、第1の部材200と第2の部材300とが相対的に回転しにくくなる。
すなわち、第1の部材200と第2の部材300との相対的な移動とは反対方向に抵抗力が生じる結果、シャフト部310を手で操作する操作者が抵抗力を感じる。シャフト部310から半径方向外側に円盤状に広がった回転ヨーク320を使用しているので、シャフト部310だけの場合に比べると大面積に磁気粘性流体500を塗布することができる。磁気粘性流体500の面積が広いほど、抵抗力の制御幅が広い。
【0045】
さらに、第2の状態では、シャフト部310と第1の固定ヨーク210との間の隙間に存在する磁気粘性流体500にも磁界が印加される。磁界の半径方向の成分が大きいほど、シャフト部310と第1の固定ヨーク210との抵抗力は強くなる。
本実施形態では、磁界の中の、中心軸101に直交する半径方向の成分は小さいが、それでも、ある程度の抵抗力は感じられる。回転ヨーク320の上下に磁気粘性流体500を配置せずに、シャフト部310の周辺に磁気粘性流体500を配置すると、より小さな面積で抵抗力を制御できる。
【0046】
図5は、一実験例のグラフであり、磁界発生部230に流す電流と、シャフト部310が受けるトルクとの関係を示す。トルクは、抵抗力に相当する。
図5に示すように、磁界発生部230に流す電流を強くすると、磁界が大きくなるので、第1の部材200と第2の部材300との間の抵抗力が大きくなる。磁界発生部230に流す電流を弱くすると、磁界が小さくなるので、第1の部材200と第2の部材300との間の抵抗力が小さくなる。
【0047】
図6は、入力装置100の制御系統のブロック図である。入力装置100は、検出部610と制御部620とを更に備える。検出部610は、機械的、電磁的、光学的またはその他の方法によって、第1の部材200と第2の部材300との相対的な位置を検出する。検出部610は、例えば、ロータリーエンコーダーである。
【0048】
制御部620は、検出部610によって検出される位置に応じて、磁界発生部230で発生させる磁界の強さを制御する。制御部620は、磁界発生部230に流す電流を制御することにより、磁気粘性流体500に印加される磁界の強さを制御する。
制御部620は、例えば、中央演算処理装置と記憶装置とを含み、記憶装置に記憶されたプログラムを中央演算処理装置で実行することにより制御を実行する。制御部620は、例えば、第1の部材200と第2の部材300との相対的な角度が所定の範囲内であるときに磁界を強くし、所定の範囲外であるときに磁界を弱くする。
検出部610によって検出される位置と磁界の強さとの関係は、計算によって算出されてもよいし、予め表によって指定されていてもよく、他の方法によって指定されてもよい。
【0049】
なお、検出部610は、第1の部材200と第2の部材300との相対的な速度を検出するものであってもよく、相対的な加速度を検出するものであってもよく、第1の部材200と第2の部材300との相対的な関係を示す他の測定値を検出するものであってもよい。制御部620は、速度、加速度、他の測定値または他の入力に応じて磁界を変化させてもよい。
【0050】
図7は、制御部620による制御方法のフロー図である。まず、ステップ710において、制御部620は、検出部610によって検出される測定値を取得する。本実施形態では、測定値は、第1の部材200と第2の部材300との相対的な位置である。
次に、ステップ720において、制御部620は、予め記憶された、測定値と磁界発生部230に流す電流との関係に基づいて、磁界発生部230で発生させる磁界を制御する。必要に応じてステップ710とステップ720とが繰り返される。
【0051】
本実施形態の入力装置100によれば、第1の部材200と第2の部材300との相対的な回転に対する抵抗力を制御する際に磁気粘性流体500を使用するので、従来のようにモーターを使用する場合に比べて小型となり、従来のように固体の摩擦力を使用する場合に比べて静かに操作感触を生み出すことができる。
【0052】
本実施形態の入力装置100によれば、位置、速度、加速度またはその他の測定値に基づいて磁界を変化させることにより、様々な操作感触を作り出すことができる。なお、磁界発生部230は、複数存在してもよいし、本実施形態とは異なる位置に異なる方向の磁界を発生させるものであってもよい。
また、本実施例では磁界発生部230に交流電流を供給する例で説明したが、直流電流であっても良い。直流電流では、電流の大きさに応じた一定の
抵抗力を操作者に与えることができ、電流の大きさを変えることでリニアに
抵抗力の強さを変化させることができる。一方、交流電流では、その波形に応じて、発生する磁界の大きさに規則的な強弱をつけることができ、操作者に対して規則的な強弱をもつ
抵抗力を操作感触として与えることができる。そのため、操作感触として規則的な強弱をもつ
抵抗力を発生させたいとき、直流電流では電流の大きさを大きくしたり小さくしたりを繰り返すような制御を行う必要があるが、交流電流にすればそのような制御をすることなく容易に規則的な強弱をもつ
抵抗力を発生させることができる。
【0053】
図8は、第2の実施形態に係る入力装置800である。
図8は、入力装置800を中心軸801を通る平面で切断したときの断面を示す。説明の便宜上、中心軸801に沿って上下方向を規定しているが、実際の使用時における方向を制限するものではない。
半径方向とは、中心軸801から、中心軸801に直交する方向に離れる方向を指す。入力装置800は、中心軸801を中心として相対的に両方向に回転移動する第1の部材810と第2の部材820とを備え、さらに、環状軸受830と磁気粘性流体860とを備える。
【0054】
第1の部材810は、第1の固定ヨーク811と第2の固定ヨーク812と第3の固定ヨーク813と磁界発生部814と環状部材815と蓋部816と端部軸受817とを含む。
【0055】
第1の固定ヨーク811は、下方の外側に中心軸801上に中心をもつ環状の切り欠き840が設けられている。切り欠き840には磁界発生部814が配設されている。
磁界発生部814は、中心軸801の周りを回るように切り欠き840に巻き付けられた導線を含むコイルを含む。磁界発生部814には、図示しない経路で交流電流が供給される。第1の固定ヨーク811の上方の一部が、円盤状の蓋部816で覆われている。
【0056】
第2の固定ヨーク812は、第1の固定ヨーク811の下方に設けられている。第1の固定ヨーク811と第2の固定ヨーク812とは、一体となって略円筒状の外形を作り、内部に磁界発生部814を閉じ込めている。第2の固定ヨーク812は、固定下面841をもつ。固定下面841の大部分が、中心軸801に直交する平面に略平行である。
第1の固定ヨーク811と第2の固定ヨーク812と蓋部816とには、中心軸801に沿った貫通孔を画定する固定内面842が設けられている。固定内面842の中心軸801に直交する断面は、上下方向のいずれの位置においても概ね円形であり、上下方向の位置に応じて直径が一定ではない。第1の固定ヨーク811と第2の固定ヨーク812とは、複数のネジ843で固定されている。
【0057】
第3の固定ヨーク813は、固定上面844をもつ。固定上面844の大部分が、中心軸801に直交する平面に略平行である。すなわち、第2の固定ヨーク812の固定下面841と第3の固定ヨーク813の固定上面844とは大部分が略平行である。
固定下面841と固定上面844との間には、上下方向の間隔が略一定の隙間が存在する。第3の固定ヨーク813の中央には、貫通孔845が設けられている。貫通孔845内の空間は、固定内面842により画定される空間と上下方向に連通している。貫通孔845には、下方から端部軸受817がネジ構造を使用してはめ込まれている。
【0058】
環状部材815は、略円筒形であり、第2の固定ヨーク812と第3の固定ヨーク813との間の空間を半径方向外側から密閉する。環状部材815の半径方向内側に設けられたネジ構造が、第2の固定ヨーク812及び第3の固定ヨーク813の半径方向外側に設けられたネジ構造と係合することにより、第2の固定ヨーク812と第3の固定ヨーク813とが固定される。
【0059】
第2の部材820は、シャフト部821と回転ヨーク822とを含む。
【0060】
シャフト部821は、中心軸801に沿って長尺である。中心軸801に直交する断面で見たとき、上下いずれの位置でもシャフト部821の大部分は、中心軸801上に中心をもつ様々な直径をもつ円である。シャフト部821は、第1の部材810内に存在する部分と、第1の部材810から上方に突出した部分とをもつ。シャフト部821の上端付近には、適宜、入力操作に必要な部材、すなわち、シャフト部821を回転させるのに必要な部材が搭載される。
【0061】
第1の固定ヨーク811の上端付近には、第1の固定ヨーク811とシャフト部821との間に環状軸受830が設けられている。環状軸受830は、第1の固定ヨーク811とシャフト部821との滑らかな回転を実現する。シャフト部821の下端には、下方に突出した半球部851が設けられている。端部軸受817の上面は、シャフト部821の半球部851を回転自在に受容する構造をもつ。シャフト部821は、半球部851を端部軸受817に当接させながら滑らかに回転する。
【0062】
回転ヨーク822は、回転上面853と回転下面854とをもつ円盤形状の部材である。回転上面853と回転下面854とは、上下方向に直交する平面に略平行である。回転上面853は上方を臨み、回転下面854は下方を臨む。回転ヨーク822は、第2の固定ヨーク812と第3の固定ヨーク813との間の空間に配設されている。
回転上面853と第2の固定ヨーク812の固定下面841との間には隙間が存在し、回転下面854と第3の固定ヨーク813の固定上面844との間には隙間が存在する。回転ヨーク822が第2の固定ヨーク812及び第3の固定ヨーク813に対して相対的に回転するとき、回転上面853と固定下面841との間の上下方向の距離は、略一定に保たれ、回転下面854と固定上面844との間の上下方向の距離は、略一定に保たれる。
【0063】
回転ヨーク822は、中心軸801付近に上方に突出した隆起部855が設けられている。隆起部855には、回転ヨーク822を上下に貫通した貫通孔が設けられている。回転ヨーク822の貫通孔に、シャフト部821の下端が通されており、回転ヨーク822とシャフト部821とは、複数のネジで固定されている。そのため、シャフト部821と回転ヨーク822とが、一体となって回転する。
【0064】
環状軸受830より下方では、シャフト部821及び隆起部855の半径方向外側の回転外面852が、固定内面842に近接している。シャフト部821が第1の固定ヨーク811及び第2の固定ヨーク812に対して相対的に回転するとき、回転外面852と固定内面842との距離は、中心軸801に直交する平面内で見ると略一定に保たれる。
【0065】
第1の固定ヨーク811と第2の固定ヨーク812と第3の固定ヨーク813と回転ヨーク822との少なくとも1つが、磁性体で形成されていることが好ましい。磁性体を使用することにより、磁界発生部814から発生する磁界が強くなるので、省電力化できる。
【0066】
回転外面852と固定内面842とに半径方向に挟まれた隙間には、磁気粘性流体860が存在する。回転ヨーク822の回転上面853と第2の固定ヨーク812の固定下面841とに上下方向を挟まれた隙間に、磁気粘性流体860が存在する。
さらに、回転ヨーク822の回転下面854と第3の固定ヨーク813の固定上面844とに上下方向を挟まれた隙間にも、磁気粘性流体860が存在する。必ずしも全ての隙間が磁気粘性流体860で埋められていなくてもよい。例えば、磁気粘性流体860は、回転上面853側と回転下面854側とのいずれか一方のみに存在していてもよい。磁気粘性流体860は、薄い膜状に回転ヨーク822と第2の固定ヨーク812と第3の固定ヨーク813とに接して広がっている。
【0067】
第1の部材810は、シャフト部821を半径方向外側から囲むように配設されたOリング846をさらに備える。
Oリング846は、回転外面852と固定内面842とに半径方向に挟まれた隙間をふさいでいる。シャフト部821とOリング846とは密閉を保ったまま相対的に回転可能である。Oリング846は、例えば、ゴム製である。
【0068】
本実施形態の入力装置800は、第1の実施形態の入力装置100と同様に制御可能であるので説明を省略する。
【0069】
本実施形態の入力装置800によれば、第1の部材810と第2の部材820との相対的な回転に対する抵抗力を制御する際に磁気粘性流体860を使用するので、従来のようにモーターを使用する場合に比べて小型となり、従来のように固体の摩擦力を使用する場合に比べて静かに操作感触を生み出すことができる。本実施形態の入力装置800によれば、Oリング846が設けられているので、磁気粘性流体860がOリング846より上方に流れるのを防ぐことができる。
【0070】
次に、
図9の部分拡大図を参照しながら、第3の実施形態の入力装置について説明する。本実施形態の入力装置は、
図1に示す第1の実施形態の入力装置100において、さらに
図9に示すカム部910と当接部材920と弾性部材930とを備える。
【0071】
図9のカム部910は、
図1の第1の部材200と第2の部材300との一方に設けられている。
図9の当接部材920及び弾性部材930は、
図1の第1の部材200と第2の部材300との他方に設けられている。カム部910には、所定の形状の凹凸が設けられている。
弾性部材930は、一端に固定された当接部材920をカム部910に向けて付勢する。カム部910が当接部材920及び弾性部材930に対して相対的に移動すると、当接部材920がカム部910の所定の形状に沿って移動する。弾性部材930は、例えば、巻きばね、板バネ、ゴム、ガススプリングなどであるが、これらに限られない。
【0072】
当接部材920が動くときに振動が発生する。
図6に示す制御部620は、当接部材920の振動を抑制するように、当接部材920が動くときに操作負荷が変動する。弾性部材930によってカム部910に与える与圧力が変化する為である。カムカーブによって発生する操作負荷変動に対して発生する振動(操作負荷変動)の抑制を行うように、磁界発生部230を制御して磁界を変化させる。例えば、検出部610で振動を検出して、磁界発生部230で発生させる磁界を変化させる。振動と磁界との関係は、予め記憶されていてもよく、計算式により算出されてもよく、その他の方法によって求められてもよい。例えば、検出部610で位置を検出して、位置に応じて、予め指定したパターンで磁界を変化させてもよい。また、カムカーブによって発生する一義的な負荷を操作に応じて負荷を増減可能な様に、磁界を変化させてもよい。
【0073】
本実施形態の入力装置によれば、第1の実施形態の入力装置100の効果に加えて、滑らかな操作感触を作り出すことができる。
【0074】
本発明は上述した実施形態には限定されない。すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。