(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585184
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】光共振層を有するOLED素子及びその製造方法とディスプレイ
(51)【国際特許分類】
H05B 33/12 20060101AFI20190919BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20190919BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20190919BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20190919BHJP
H05B 33/24 20060101ALI20190919BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20190919BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20190919BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20190919BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
H05B33/12 B
H01L27/32
H05B33/10
H05B33/14 A
H05B33/12 E
H05B33/24
H05B33/22 Z
G02B5/20 101
G09F9/30 365
G09F9/30 349B
G09F9/30 349Z
G09F9/00 338
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-552206(P2017-552206)
(86)(22)【出願日】2015年12月14日
(65)【公表番号】特表2018-506837(P2018-506837A)
(43)【公表日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】CN2015097230
(87)【国際公開番号】WO2016107398
(87)【国際公開日】20160707
【審査請求日】2017年6月28日
(31)【優先権主張番号】201410846639.1
(32)【優先日】2014年12月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】504337718
【氏名又は名称】北京維信諾科技有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】515179314
【氏名又は名称】昆山工研院新型平板顕示技術中心有限公司
【氏名又は名称原語表記】KUNSHAN NEW FLAT PANEL DISPLAY TECHNOLOGY CENTER CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】李 梦真
(72)【発明者】
【氏名】劉 嵩
(72)【発明者】
【氏名】高 松
(72)【発明者】
【氏名】敖 偉
(72)【発明者】
【氏名】周 斯然
【審査官】
大竹 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−010020(JP,A)
【文献】
特開2007−115626(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0251051(US,A1)
【文献】
特開2011−165664(JP,A)
【文献】
特開2014−120476(JP,A)
【文献】
特開2010−080423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
H05B 33/10
H05B 33/12
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
R副画素、G副画素、B副画素及びW副画素を形成するように白色OLEDとカラーフィルタフィルムとを含む、光共振層を有するOLED素子であって、
白色OLEDとカラーフィルタフィルムとの間に、G副画素のみに対応する領域に光共振層が設置され、
前記光共振層の厚さにより、反射電極から媒質層の各界面までの光路長が干渉増強の関係式は、
L=(2n+1)λ/4
[式中、Lは、反射電極から媒質層のある界面までの光路長であり、nは、自然数であり、λは、フィルタリングされた光の中心波長である。]
を満たす
ことを特徴とする光共振層を有するOLED素子。
【請求項2】
前記光共振層は、少なくとも第1の媒質層と第2の媒質層とを含む複合媒質層であり、第1の媒質層が前記カラーフィルタフィルムに近く、第2の媒質層が第1の媒質層上に位置し、第1の媒質層の屈折率が第2の媒質層よりも高い
請求項1に記載の光共振層を有するOLED素子。
【請求項3】
前記第2の媒質層の屈折率が1〜1.6である
請求項2に記載の光共振層を有するOLED素子。
【請求項4】
第1の媒質層の屈折率が、第2の媒質層の屈折率よりも少なくとも0.2高い
請求項2または3に記載の光共振層を有するOLED素子。
【請求項5】
前記第1の媒質層の厚さが10〜150nmであり、前記第2の媒質層の厚さが300nm以下である
請求項2に記載の光共振層を有するOLED素子。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の光共振層を有するOLED素子を備える
ことを特徴とするディスプレイ。
【請求項7】
R副画素、G副画素、B副画素及びW副画素を形成するように白色OLEDとカラーフィルタフィルムとを含む、光共振層を有するOLED素子の製造方法であって、
基板洗浄を行い、基板上にTFTアレイを作製するステップと、
カラーフィルタフィルムを作製するステップと、
カラーフィルタフィルム上に平坦層を作製するステップと、
G副画素のみに対応する領域の平坦層上に光共振層を作製するステップと、
光共振層上に透明電極を作製するステップと、
白色OLED素子を作製するステップと、
パッケージして、表示装置の作製を完成させるステップと、を有し、
前記光共振層の厚さにより、反射電極から媒質層の各界面までの光路長が干渉増強の関係式は、
L=(2n+1)λ/4
[式中、Lは、反射電極から媒質層のある界面までの光路長であり、nは、自然数であり、λは、フィルタリングされた光の中心波長である。]
を満たす
ことを特徴とする光共振層を有するOLED素子の製造方法。
【請求項8】
G副画素に対応する領域に光共振層を作製するステップであって、
厚さが10〜150nmの第1の媒質層を作製することと、
第1の媒質層上に厚さが0〜300nmの第2の媒質層を作製することと、を有する
請求項7に記載のOLED素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OLED表示技術分野に関し、具体的には、光共振層を有するOLED素子及びその製造方法、並びにこのようなOLED素子を含むディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の進歩につれて、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display,LCD)は、小体積、軽量などの利点により、従来の体積が膨大な陰極線ディスプレイ(Cathode Ray Tube,CRT)を徐々に取り代わって、ディスプレイ、ノートパソコン、フラットテレビ、デジタルカメラ等の電子製品に広く使用されている。
【0003】
LCDは、バックライト光源として発光ダイオード(Light Emitting Diode,LED)が必要される。しかしながら、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode,OLED)ディスプレイは、バックライトモジュールが不要であるため、薄型のディスプレイにより適切であり、また、視野角制限がない利点を有するので、従来のCRT及びLCDを取り代わっていく傾向がある。
OLEDディスプレイは、RGBディスプレイ及び白色OLED+CF(Color Filter,カラーフィルタフィルム)などの形式がある。そのうち、白色OLED+CFは、大寸法で高解像度を実現できる表示技術である。しかし、白色光はCFを透過した後に光の大部分が損失し、表示画面の消費電力が非常に高くなってしまう。かつ、CFの色域が低く、特に緑色光の彩度が低く、表示効果も良くない。如何に光利用率を向上させて消費電力を低下させるかという課題の解決は、白色OLED+CF技術において急務となっている。
【0004】
この課題を解決するために、従来技術において、RGBWの4つの画素を用いて消費電力を低下させる、白色画素を増加する解決手段があり、量子ドット光変換層を用いて変換効率を向上させる手段もある。しかし、これらの手段がいずれも理想的ではない。従来技術において、一括した光散乱層を用いた技術的解決手段もあるが、このような手段において一部の光周波数帯域の抽出効果が明らかではない。従来技術において、さらにR/G/B副画素のためにそれぞれ異なる光共振層を用いる技術的手段があるが、このような技術的手段は、プロセス難易度が高く、かつ、コストが高く、商業化されにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術課題は、発光効率が高く、色域が広く、コストが低い、光共振層を有するOLED素子及びその製造方法、並びにこのようなOLED素子を含むディスプレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術課題を解決するために、本発明は、R副画素、G副画素、B副画素及びW副画素を形成するように白色OLEDとカラーフィルタフィルムとを含み、少なくとも白色OLEDとカラーフィルタフィルムとの間の、G副画素に対応する領域に光共振層が設置されている、光共振層を有するOLED素子を提供する。
【0007】
さらに、前記光共振層は、少なくとも第1の媒質層と第2の媒質層とを含む複合媒質層であり、第1の媒質層が前記カラーフィルタフィルムに近く、第2の媒質層が第1の媒質層上に位置しており、ただし、第1の媒質層の屈折率が第2の媒質層よりも高い。
さらに、前記第2の媒質層の屈折率が1〜1.6である。
さらに、第1の媒質層の屈折率が、第2の媒質層の屈折率よりも少なくとも0.2高い。
さらに、前記光共振層の厚さにより、反射電極から媒質層の各界面までの光路長は、干渉増強の関係式L=(2n+1)λ/4[式中、Lは、反射電極から媒質層のある界面までの光路長であり、nは、自然数であり、λは、フィルタリングされた光の中心波長である。]を満たす。
【0008】
さらに、前記第1の媒質層の厚さが10〜150nmであり、前記第2の媒質層の厚さが0〜300nmである。
さらに、前記白色OLEDとカラーフィルタフィルムとの間の、R副画素、B副画素及びW副画素に対応する領域のいずれか1つまたは任意の組み合わせに光共振層が設けられている。
【0009】
本発明は、さらに、上述した光共振層を有するOLED素子を含むディスプレイを提供する。
【0010】
本発明は、さらに、
基板洗浄を行い、基板上にTFTアレイを作製するステップと、
カラーフィルタフィルムを作製するステップと、
カラーフィルタフィルム上に平坦層を作製するステップと、
G副画素に対応する領域の平坦層上に光共振層を作製するステップと、
光共振層上に透明電極を作製するステップと、
白色OLED素子を作製するステップと、
パッケージして、表示装置の作製を完成させるステップと、
を含む、光共振層を有するOLED素子の製造方法を提供する。
さらに、G副画素に対応する領域に光共振層を作製するステップであって、
厚さが10〜150nmの第1の媒質層を作製することと、
第1の媒質層上に厚さが0〜300nmの第2の媒質層を作製することと、
を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明は下記の利点を有する。
本発明は、光共振層を有するOLED素子を提供し、光共振層を設置することにより、低色域のカラーフィルタフィルムを用いても、色度に優れ、効率が高い単色光をフィルタリングすることができ、特に従来の白色OLED+CF技術において表示品質が低い課題を解決している。また、本発明が提供するOLED素子も消費電力を大幅に低減させ、かつFMM(Fine Metal Mask,高精度メタルマスク)の使用が不要であり、プロセスコストを低減させている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】光共振層を有するOLED素子の第1の実施形態の構造概略説明図
【
図2】光共振層を有するOLED素子の第2の実施形態の構造概略説明図
【
図3】光共振層を有するOLED素子の第3の実施形態の構造概略説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、当業者が本発明をよりよく理解して実施可能となるように図面及び具体的な実施例を組み合わせて本発明をさらに説明するが、本発明は、挙た実施例に制限されない。
本発明に係る光共振層を有するOLED素子は、R副画素(赤副画素)、G副画素(緑副画素)、B副画素(青副画素)及びW副画素(白副画素)を形成するように白色OLEDとカラーフィルタフィルム(CF)とを含み、白色OLEDとCFとの間の、G副画素に対応する領域に光共振層が設置されている。
【0014】
光共振層は、第1の媒質層と第2の媒質層とを含む複合媒質層であってもよく、第1の媒質層がカラーフィルタフィルムに近く、第2の媒質層が第1の媒質層上に位置しており、第1の媒質層の屈折率が第2の媒質層よりも高い。
好ましくは、第2の媒質層の屈折率が1〜1.6であり、第1の媒質層の屈折率が、第2の媒質層の屈折率よりも少なくとも0.2高い。
【0015】
光共振層の厚さにより、反射電極から媒質層の各界面までの光路長が下記の干渉増強の関係式を満たす。
L=(2n+1)λ/4
[式中、Lは、反射電極から媒質層のある界面までの光路長であり、nは、自然数であり、λは、フィルタリングされた光の中心波長である。]
【0016】
一般的に、第1の媒質層の厚さが10〜150nm間にあり、前記第2の媒質層の厚さが0〜300nm間にある。第2の媒質層の厚さが0であると、光共振層が単層構造であり、すなわち、光共振層が第1の媒質層のみから構成されることを表す。この時、第1の媒質層の屈折率が、それと接触する白色OLEDの透明電極の屈折率よりも高い。
また、白色OLEDとCFとの間の、R副画素、B副画素及びW副画素に対応する領域に光共振層が設置されてもよい。つまり、G副画素以外、必要に応じて、その他の色の副画素のために光共振層を配置してもよい。R副画素、B副画素及びW副画素に対応する領域のうち、いずれか1つに光共振層を設置してもよいし、任意の2つの領域に光共振層を設置してもよい。もちろん、3つの領域のいずれにも光共振層を設置してもよい。その他の色の副画素の光共振層は、G副画素の光共振層と同じであっても異なっていてもよい。
【0017】
本発明に係る光共振層を有するOLED素子の製造方法は、
基板洗浄を行い、基板上にTFTアレイを作製するステップと、
カラーフィルタフィルムを作製するステップと、
カラーフィルタフィルム上に平坦層を作製するステップと、
G副画素に対応する領域の平坦層上に光共振層を作製するステップと、
光共振層上に透明電極を作製するステップと、
白色OLED素子を作製するステップと、
パッケージして、表示装置の作製を完成させるステップと、
を含む。
ただし、G副画素に対応する領域に光共振層を作製するステップは、
厚さが10〜150nmの第1の媒質層を作製することと、
第1の媒質層上に厚さが0〜300nmの第2の媒質層を作製することと、を含む。
【0018】
以下、具体的な実施例によって本発明を説明する。
第1の実施形態:
図1に示すように、本実施形態に係る光共振層を有するOLED素子は、基板を含み、基板上にTFTアレイ(図示せず)が設置されており、TFTアレイ上にカラーフィルタフィルム6が設けられており、白色OLEDから発光する白色光をフィルタリングして、R副画素、G副画素、B副画素及びW副画素を形成するようにカラーフィルタフィルム6がR、G、B、Wの4つの色に分けられている。必要に応じて、R副画素、G副画素、B副画素及びW副画素は異なる強度の光を発光することができ、R副画素、G副画素、B副画素及びW副画素から発光する光を混合させた後に所望の色を取得し、さらにカラー表示を実現する。複数個のOLED素子を所定の法則(例えば、アレイ)に従って配列した後、ケースなどの他の部材と係合して本発明のディスプレイを構成する。
【0019】
図1に示す実施形態において、カラーフィルタフィルム6上に平坦層5が設けられており、平坦層5上に光共振層4が設けられており、また、該光共振層4はG副画素に対応する領域のみに存在する。本実施形態において、該光共振層4が単層媒質構造であり、つまり、第1の媒質層のみが存在する。光共振層4上に透明電極3を作製し、光共振層4の屈折率が透明電極3の屈折率よりも高い。透明電極3上には白色OLED2と反射電極1とが設けられており、パッケージによってOLED素子を形成する。光共振層のない領域において隙間を充填するために充填層4’が設置されている。充填層4’の材料は平坦層5と同じであってもよい。
【0020】
本実施形態に係るOLED素子の製造方法は、下記の通りである。
1.基板洗浄を行い、基板上にTFTアレイを作製する。
2.カラーフィルタフィルム6を作製する。
3.カラーフィルタフィルム6上に平坦層5を作製する。
4.平坦層5上にG副画素に対応する領域に単層の光共振層4を作製し、その他の領域に充填層4’を作製する。
5.光共振層4及び充填層4’上に透明電極3を作製する。
6.透明電極3上に白色OLED2及び反射電極1を作製する。
7.パッケージして、第1の実施形態に係るOLED素子の製造を完成させる。
【0021】
第2の実施形態:
図2に示すように、本実施形態と第1の実施形態との相違点は、光共振層4が二層媒質構造であることにある。すなわち、第2の実施形態における光共振層4は第1の媒質層42と第2の媒質層41とを含む。
【0022】
本実施形態のOLED素子の製造方法は、下記の通りである。
1.基板洗浄を行い、基板上にTFTアレイを作製する。
2.カラーフィルタフィルム6を作製する。
3.カラーフィルタフィルム6上に平坦層5を作製する。
4.平坦層5上にG副画素に対応する領域に第1の媒質層42を作製し、第1の媒質層42上に第2の媒質層41を作製し、二層媒質構造の光共振層4の作製を完成させ、その他の領域に充填層4’を作製する。
5.光共振層4及び充填層4’上に透明電極3を作製する。
6.透明電極3上に白色OLED2及び反射電極1を作製する。
7.パッケージして、第2の実施形態に係るOLED素子の製造を完成させる。
【0023】
第3の実施形態:
図3に示すように、本実施形態と第1の実施形態との相違点は、G副画素領域に光共振層4が設けられていることを除き、R副画素領域にも光共振層4が設けられていることにある。かつ、2つの領域の光共振層4がともに二層媒質構造である。すなわち、第3の実施形態における光共振層4は第1の媒質層42と第2の媒質層41とを含む。また、G副画素領域の光共振層の材料がR副画素領域の光共振層と異なっている。
【0024】
本実施形態に係るOLED素子の製造方法は、下記の通りである。
1.基板洗浄を行い、基板上にTFTアレイを作製する。
2.カラーフィルタフィルム6を作製する。
3.カラーフィルタフィルム6上に平坦層5を作製する。
4.平坦層5上にG副画素及びR副画素のそれぞれに対応する領域に第1の媒質層42を作製し、第1の媒質層42上に第2の媒質層41を作製し、二層媒質構造の光共振層4の作製を完成させ、ただし、R副画素及びG副画素に対応する共振層の各媒質層の厚さがそれぞれR副画素及びG副画素からフィルタリングされた光干渉増強の厚さであり、その他の領域に充填層4’を作製する。
5.光共振層4及び充填層4’上に透明電極3を作製する。
6.透明電極3上に白色OLED2及び反射電極1を作製する。
7.パッケージして、第3の実施形態に係るOLED素子の製造を完成させる。
【0025】
本発明のOLED素子は、単色光の取出しを増強させ、消費電力を低下させているとともに、発色品質を向上させ、CFへの要求を低下させており、同時に蒸着精密マスクが不要である。
第1の媒質層材料としては、ITO、ZTO、TiO
2、SiN
x、NiO、MgO、SnO
3、ZnO、ZnSまたはZnSeなどから選択されてもよい。第2の媒質層材料としては、ITO、SiO
x、Al
2O
3またはZTOなどから選択されてもよい。
以下、実験データにより本発明の有益な効果を説明し、実験方法としては、本分野で通用される光効率測定方法を用いた。
比較例においては、媒質層材料がない。実験の結果、その緑色光効率が18.09cd/A,CIE(0.26,0.63)、赤色光効率が12.96cd/A,CIE(0.65,0.34)である。
【0026】
実施例1(その構造が
図1に示すように)においては、緑色光領域の第1の媒質層の材料としてはSiN
xが選択され、その厚さが10nmであり、第2の媒質層の厚さが0nmであり、すなわち、第1の媒質層のみを含有する単層媒質構造を用いた。実験の結果、その緑色光効率が23.54cd/A,CIE(0.24,0.65)である。緑色光効率も色度も改善され、その他の領域が比較例と同じである。
【0027】
実施例2(その構造が
図1に示すように)においては、緑色光領域の第1の媒質層の材料としてはSiN
xが選択され、その厚さが70nmであり、第2の媒質層の厚さが0nmであり、すなわち、第1の媒質層のみを含有する単層媒質構造を用いた。実験の結果、その緑色光効率が25.54cd/A,CIE(0.23,0.65)である。緑色光効率も色度も改善され、その他の領域が比較例と同じである。
【0028】
実施例3(その構造が
図1に示すように)においては、緑色光領域の第1の媒質層の材料としてはSiN
xが選択され、その厚さが150nmであり、第2の媒質層の厚さが0nmであり、すなわち、第1の媒質層のみを含有する単層媒質構造を用いた。実験の結果、その緑色光効率が28.54cd/A,CIE(0.23,0.64)である。緑色光効率も色度も改善され、その他の領域が比較例と同じである。
【0029】
実施例4(その構造が
図2に示すように)においては、緑色光領域の第1の媒質層の材料としてはSiN
xが選択され、その厚さが50nmであり、第2の媒質層の材料としてはSiO
xが選択され、その厚さが10nmである。実験の結果、その緑色光効率が25.54cd/A,CIE(0.23,0.64)である。緑色光効率も色度も改善され、その他の領域が比較例と同じである。
【0030】
実施例5(その構造が
図2に示すように)においては、緑色光領域の第1の媒質層の材料としてはSiN
xが選択され、その厚さが50nmであり、第2の媒質層の材料としてはSiO
xが選択され、その厚さが120nmである。実験の結果、その緑色光効率が34.9cd/A,CIE(0.21,0.69)である。緑色光効率も色度も改善され、その他の領域が比較例と同じである。
【0031】
実施例6(その構造が
図3に示すように)においては、緑色光領域の第1の媒質層の材料としてはSiN
xが選択され、その厚さが50nmであり、第2の媒質層の材料としてはSiO
xが選択され、その厚さが10nmである。実験の結果、その緑色光効率が25.54cd/A,CIE(0.23,0.64)である。赤色光領域の第1の媒質層の材料としてのSiN
xの厚さが50nmであり、第2の媒質層の材料としてのSiO
xの厚さが160nmである。実験の結果、その赤色光効率が16.16cd/A,CIE(0.66,0.34)である。緑色光、赤色光効率及び色度のいずれも改善され、その他の領域が比較例と同じである。
【0032】
実施例7(その構造が
図2に示すように)においては、緑色光領域の第1の媒質層の材料としてはSiN
xが選択され、その厚さが50nmであり、第2の媒質層の材料としてはSiO
xが選択され、その厚さが300nmである。実験の結果、その緑色光効率が27.3cd/A,CIE(0.25,0.67)である。緑色光効率も色度も改善され、その他の領域が比較例と同じである。
【0033】
上述した実施例は本発明を詳しく説明するために挙げられた好適な実施例に過ぎず、本発明の保護範囲がこれに限られない。当業者が本発明を基礎にして行った等価代替または変更は、いずれも本発明の保護範囲内にある。本発明の保護範囲は特許請求の範囲に準じる。
【符号の説明】
【0034】
1 反射電極
2 白色OLED
3 透明電極
4 光共振層
41 第2の媒質層
42 第1の媒質層
4’ 充填層
5 平坦層
6 カラーフィルタフィルム。