(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0001】
本発明は、医学の分野にある。より具体的には、本発明は、糖尿病及び肥満の治療の分野にあり、グルカゴン(Gcg)受容体及びグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)受容体の両方を刺激する化合物に関する。Gcg受容体及びGLP−1受容体の両方の活性を調節するようにアミノ酸修飾が導入された、オキシントモジュリン/グルカゴン類似体が、特に提供される。
【0002】
過去数十年間、糖尿病の有病率は上昇し続けている。2型真性糖尿病(T2D)は、全ての糖尿病の約90%を占める糖尿病の最も一般的な形態である。T2Dは、インスリン耐性によって引き起こされる高い血糖値を特徴とする。T2Dの現在の標準治療は、利用可能な経口及び注射用血糖降下薬とともに、食事制限及び運動を含む。それにも関わらず、T2Dを有する多くの患者の制御は依然として不十分なままである。制御されない糖尿病は、患者の罹患率及び死亡率に影響を与えるいくつかの病態をもたらす。糖尿病患者の死亡の主要な原因は、心血管系合併症である。2型糖尿病の主な危険因子のうちの1つは、肥満である。大部分のT2D患者(約90%)は、過体重または肥満である。体脂肪蓄積の低下は、高血糖症及び心血管事故を含む肥満関連併存症の改善をもたらすことが実証されている。したがって、より良好な疾患管理のために、グルコース制御及び体重減少において有効な療法が必要とされる。
【0003】
プレプログルカゴンに由来するいくつかのペプチド及びその類似体、特に、Gcg、GLP−1、及びオキシントモジュリン(OXM)が、T2D及び肥満の治療のための治療薬として提案されている。プレプログルカゴンは、組織中で差次的に処理されて、Gcg、GLP−1、グルカゴン様ペプチド−2(GLP−2)、及びオキシントモジュリン(OXM)を含む、いくつかの構造的に関連したプログルカゴン由来ペプチドを形成する、158アミノ酸長前駆体ポリペプチドである。これらの分子は、グルコース恒常性、インスリン分泌、胃排出、及び腸管成長、ならびに食物摂取の制御を含む、多様な生理学的機能に関与する。
【0004】
Gcgは、プレプログルカゴンのアミノ酸53〜81に対応する29アミノ酸長ペプチドである。OXMは、37アミノ酸長ペプチドであり、オクタペプチドカルボキシ末端伸張を有するGcgの完全な29アミノ酸配列(プレプログルカゴンのアミノ酸82〜89であり、「介在ペプチド1」またはIP−1と呼ばれる)で構成される。GLP−1の主要な生物活性断片(GLP−1
7−36)は、プレプログルカゴンのアミノ酸98〜127に対応する、30アミノ酸長のC末端がアミド化されているペプチドとして生成される。
【0005】
Gcgは、肝細胞上のGcg受容体に結合し、糖原分解を通して肝臓に(グリコーゲンの形態で貯蔵されている)グルコースを放出させることによって、血糖値の維持を助ける。これらの貯蔵が枯渇するにつれて、Gcgは肝臓を刺激して、糖新生によって追加のグルコースを合成させる。このグルコースは、血流へと放出され、低血糖症の発症を予防する。
【0006】
GLP−1は、Gcgと比較して異なる生物活性を有する。その作用としては、インスリン合成及び分泌の刺激、Gcg分泌の阻害、ならびに食物摂取の阻害が挙げられる。GLP−1は、糖尿病患者において高血糖症を減少させることが示されている。エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、及びデュラグルチドを含むいくつかのGLP−1アゴニストは、ヒトにおけるT2Dの治療での使用が承認されている。そのようなGLP−1アゴニストは、体重に対して有利な効果を有し、低血糖症の危険性はなく、糖血症の制御において有効である。しかしながら、用量依存的な胃腸系の副作用ために、体重減少は中程度である。
【0007】
OXMは、栄養摂取に比例して、小腸のL細胞からGLP−1とともに放出される。OXMは、Gcg受容体及びGLP−1受容体の両方を活性化し、GLP−1受容体よりもGcg受容体に対してわずかにより高い効力を有する。それらのそれぞれの受容体に対しては、天然Gcg及びGLP−1よりも効力が少ない。ヒトGcgもまた、両方の受容体を活性化することができるが、GLP−1受容体よりもGcg受容体に対して強い優先度を有する。GLP−1は、Gcg受容体を活性化することができない。OXMは、食物摂取及び体重の制御に関与する。それは、ヒトにおいて食欲を抑制し、食物摂取を阻害することが示されている。過体重及び肥満対象での4週間の研究において、1日3回のOXMの摂食前皮下投与は、プラセボ群における0.5kgと比較して、2.3kgの体重減少を引き起こした。この試験において、(エキセナチド及びリラグルチドなどの)GLP−1系療法に関連する最も一般的な副作用である悪心は、頻度がより低かった。より短い別の研究において、OXMは、過体重及び肥満対象においてカロリー摂取を低下させ、活性関連エネルギー消費を増加させることが示された。
【0008】
これらのデータは、OXMが耐容性が良い抗糖尿病/肥満剤であるという潜在性を有することを示唆する。しかしながら、OXMは、商業的に実行可能な治療剤への開発にとっていくつかの問題を呈する。内在性OXMは、その小さなサイズのために、急速な腎臓クリアランスに供されるだけでなく、ジペプチジルペプチダーゼIV及び他のペプチダーゼによってインビボで素早く分解される。したがって、改善された代謝安定性及び減少したクリアランス率で、Gcg受容体及びGLP−1受容体を活性化するペプチドを特定することが望ましい。
【0009】
安定性を改善するためにアミノ酸置換を有し、クリアランスを減速させるために追加の修飾(ペグ化または脂質化など)を有するOXMペプチドが、当該技術分野において開示されている。他のペプチドが、Gcg受容体及びGLP−1受容体に結合し、それらを活性化し、体重増加を抑制すると述べられている(例えば、WO2011/075393A2及びWO2012/177444A2を参照されたい)。
【0010】
Gcg受容体及びGLP−1受容体の両方を刺激する様々なペプチドの利用可能性にも関わらず、化合物の効力及びインスリン分泌活性が、糖尿病、好ましくはT2D、及び関連する障害に対する有効な治療を提供するように最適化されている、Gcg受容体(Gcg−R)/GLP−1受容体(GLP−1−R)活性の比率を有する、より強力、安定、長時間作用性、かつ/または耐容性が良い化合物に対する必要性が存在している。特に、体重を減少させる、バランスの取れたGcg−R/GLP−1−R共アゴニスト活性の比率を有する化合物に対する必要性が存在している。また、ヒトにおける潜在的な1日1回、隔週、1週間に1回、または1月に1回の投薬を支持する、バランスの取れたGcg−R/GLP−1−R共アゴニスト活性の比率を有する化合物を提供する必要性が存在している。したがって、本発明は、糖尿病、肥満、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、及び/または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の有効な治療の提供を探究する。
【0011】
一態様において、本発明は、以下の式の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する:
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Xaa28−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(式中、
Xaa2は、Aibであり、
Xaa28は、GluまたはSerであり、
20位のLysは、(i)直接結合または(ii)20位のLysとC14−C24脂肪酸との間のリンカーを介して、Lysの側鎖のε−アミノ基とC14−C24脂肪酸との結合によって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、任意にアミド化されている(配列番号2))。
【0012】
別の態様において、本発明は、以下の式の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する:
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Glu−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、(i)直接結合または(ii)20位のLysとC14−C24脂肪酸との間のリンカーを介して、Lysの側鎖のε−アミノ基とC14−C24脂肪酸との結合によって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、任意にアミド化されている(配列番号3))。
【0013】
更に別の態様において、本発明は、以下の式の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する:
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Ser−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(式中、
Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、(i)直接結合または(ii)20位のLysとC14−C24脂肪酸との間のリンカーを介して、Lysの側鎖のε−アミノ基とC14−C24脂肪酸との結合によって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、任意にアミド化されている(配列番号4))。
【0014】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩の好ましい一態様において、20位のLysは、20位のLysとC14−C24脂肪酸との間のリンカーを介して、C14−C24脂肪酸との結合によって化学修飾されている。
【0015】
更に好ましくは、リンカーは、以下からなる群より選択される:
(a)以下の式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレート
【化1】
(式中、mは、1〜12の任意の整数であり、nは、1〜12の任意の整数であり、pは、1または2である)、
(b)アルギニン(Arg)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン(Gln)、グルタミン酸(Glu)、ヒスチジン(His)、リジン(Lys)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、シトルリン(Cit)、オルニチン(Orn)、サルコシン(Sar)、グリシン(Gly)、γ−アミノ酪酸(γ−Abu)、及びγ−グルタミン酸(γ−Glu)からなる群から選択されるアミノ酸、
(c)Ala−Ala、β−Ala−β−Ala、Glu−Glu、Gly−Gly、Leu−Leu、Ser−Ser、Thr−Thr、γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu、γ−Glu−Glu、γ−Abu−γ−Abu、6−アミノヘキサン酸−6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸−5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸−7−アミノヘプタン酸、及び8−アミノオクタン酸−8−アミノオクタン酸からなる群から選択されるジペプチド、
(d)Ala−Ala−Ala、β−Ala−β−Ala−β−Ala、Glu−Glu−Glu、γ−Glu−γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu−γ−Glu、γ−Glu−γ−Glu−Glu、γ−Glu−Glu−γ−Glu、Gly−Gly−Gly、Gly−Gly−Ser、Ser−Gly−Gly、Gly−Ser−Gly、Gly−Gly−Glu、Glu−Gly−Gly、Gly−Glu−Gly、Gly−Gly−γ−Glu、γ−Glu−Gly−Gly、Gly−γ−Glu−Gly、Leu−Leu−Leu、及びγ−Abu−γ−Abu−γ−Abuからなる群から選択されるトリペプチド、
(e)(Gly−Gly−Ser)
q(Gly−Gly−Gly−Ser)
r及び(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)
r、(6−アミノヘキサン酸)
s、(5−アミノ吉草酸)
s、(7−アミノヘプタン酸)
s、及び(8−アミノオクタン酸)
s(式中、qは、2〜5の任意の整数であり、rは、1〜3の任意の整数であり、sは、4〜15の任意の整数である)からなる群から選択されるポリペプチド、ならびに
(f)(a)で定義される式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートが、以下の(i)〜(iv)から選択されるポリペプチドと結合している、結合リンカー:
(i)Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、His、Lys、Ser、Thr、Cit、Orn、Sar、Gly、γ−Abu、及びγ−Gluからなる群から選択されるアミノ酸、
(ii)Ala−Ala、β−Ala−β−Ala、Glu−Glu、Gly−Gly、Leu−Leu、Ser−Ser、Thr−Thr、γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu、γ−Glu−Glu、γ−Abu−γ−Abu、6−アミノヘキサン酸−6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸−5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸−7−アミノヘプタン酸、及び8−アミノオクタン酸−8−アミノオクタン酸からなる群から選択されるジペプチド、
(iii)Ala−Ala−Ala、β−Ala−β−Ala−β−Ala、Glu−Glu−Glu、γ−Glu−γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu−γ−Glu、γ−Glu−γ−Glu−Glu、γ−Glu−Glu−γ−Glu、Gly−Gly−Gly、Gly−Gly−Ser、Ser−Gly−Gly、Gly−Ser−Gly、Gly−Gly−Glu、Glu−Gly−Gly、Gly−Glu−Gly、Gly−Gly−γ−Glu、γ−Glu−Gly−Gly、Gly−γ−Glu−Gly、Leu−Leu−Leu、及びγ−Abu−γ−Abu−γ−Abuからなる群から選択されるトリペプチド、または
(iv)(Gly−Gly−Ser)
q(Gly−Gly−Gly−Ser)
r及び(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)
r、(6−アミノヘキサン酸)
s、(5−アミノ吉草酸)
s、(7−アミノヘプタン酸)
s、及び(8−アミノオクタン酸)
s(式中、qは、2〜5の任意の整数であり、rは、1〜3の任意の整数であり、sは、4〜15の任意の整数である)からなる群から選択されるポリペプチド。
【0016】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩の好ましい一態様において、リンカーは、以下の式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートである
【化2】
(式中、mは、1〜12の任意の整数であり、nは、1〜12の任意の整数であり、pは、1または2である)。
【0017】
好ましくは、式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートにおいて、nは、1、2、3、4、5、または6であり、mは1であり、pは1である。
【0018】
更に好ましくは、好ましくは、式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートにおいて、nは2であり、mは1であり、pは1である。
【0019】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩の更なる好ましい一態様において、リンカーは、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、His、Lys、Ser、Thr、Cit、Orn、Sar、Gly、γ−Abu、及びγ−Gluからなる群から選択されるアミノ酸である。
【0020】
好ましくは、アミノ酸は、γ−Gluである。
【0021】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩の依然更なる好ましい一態様において、リンカーは、Ala−Ala、β−Ala−β−Ala、Glu−Glu、Gly−Gly、Leu−Leu、Ser−Ser、Thr−Thr、γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu、γ−Glu−Glu、γ−Abu−γ−Abu、6−アミノヘキサン酸−6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸−5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸−7−アミノヘプタン酸、及び8−アミノオクタン酸−8−アミノオクタン酸からなる群から選択されるジペプチドである。
【0022】
好ましくは、ジペプチドは、γ−Glu−γ−Gluである。
【0023】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩の依然更なる好ましい一態様において、リンカーは、Ala−Ala−Ala、β−Ala−β−Ala−β−Ala、Glu−Glu−Glu、γ−Glu−γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu−γ−Glu、γ−Glu−γ−Glu−Glu、γ−Glu−Glu−γ−Glu、Gly−Gly−Gly、Gly−Gly−Ser、Ser−Gly−Gly、Gly−Ser−Gly、Gly−Gly−Glu、Glu−Gly−Gly、Gly−Glu−Gly、Gly−Gly−γ−Glu、γ−Glu−Gly−Gly、Gly−γ−Glu−Gly、Leu−Leu−Leu、及びγ−Abu−γ−Abu−γ−Abuからなる群から選択されるトリペプチドである。
【0024】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩の依然更なる好ましい一態様において、リンカーは、(Gly−Gly−Ser)
q(Gly−Gly−Gly−Ser)
r及び(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)
r、(6−アミノヘキサン酸)
s、(5−アミノ吉草酸)
s、(7−アミノヘプタン酸)
s、及び(8−アミノオクタン酸)
s(式中、qは、2〜5の任意の整数であり、rは、1〜3の任意の整数であり、sは、4〜15の任意の整数である)からなる群から選択されるポリペプチドである。
【0025】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩の依然更なる好ましい一態様において、リンカーは、以下の式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレート
【化3】
(式中、mは、1〜12の任意の整数であり、nは、1〜12の任意の整数であり、pは、1または2である)
が、以下の(i)〜(iv)のいずれかと結合している結合リンカーである:
(i)Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、His、Lys、Ser、Thr、Cit、Orn、Sar、Gly、γ−Abu、及びγ−Gluからなる群から選択されるアミノ酸、
(ii)Ala−Ala、β−Ala−β−Ala、Glu−Glu、Gly−Gly、Leu−Leu、Ser−Ser、Thr−Thr、γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu、γ−Glu−Glu、γ−Abu−γ−Abu、6−アミノヘキサン酸−6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸−5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸−7−アミノヘプタン酸、及び8−アミノオクタン酸−8−アミノオクタン酸からなる群から選択されるジペプチド、
(iii)Ala−Ala−Ala、β−Ala−β−Ala−β−Ala、Glu−Glu−Glu、γ−Glu−γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu−γ−Glu、γ−Glu−γ−Glu−Glu、γ−Glu−Glu−γ−Glu、Gly−Gly−Gly、Gly−Gly−Ser、Ser−Gly−Gly、Gly−Ser−Gly、Gly−Gly−Glu、Glu−Gly−Gly、Gly−Glu−Gly、Gly−Gly−γ−Glu、γ−Glu−Gly−Gly、Gly−γ−Glu−Gly、Leu−Leu−Leu、及びγ−Abu−γ−Abu−γ−Abuからなる群から選択されるトリペプチド、または
(iv)(Gly−Gly−Ser)
q(Gly−Gly−Gly−Ser)
r及び(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)
r、(6−アミノヘキサン酸)
s、(5−アミノ吉草酸)
s、(7−アミノヘプタン酸)
s、及び(8−アミノオクタン酸)
s(式中、qは、2〜5の任意の整数であり、rは、1〜3の任意の整数であり、sは、4〜15の任意の整数である)からなる群から選択されるポリペプチド。
【0026】
好ましくは、式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートにおいて、nは、1、2、3、4、5、または6であり、mは1であり、pは1である。
【0027】
更に好ましくは、好ましくは、式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートにおいて、nは2であり、mは1であり、pは1である。
【0028】
依然更に好ましくは、アミノ酸は、γ−Gluである。
【0029】
依然更に好ましくは、ジペプチドは、γ−Glu−γ−Gluである。
【0030】
本発明の化合物の好ましい一態様において、リンカーは、([2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γ−Glu)
tであり、式中、tは、1または2である。
【0033】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩の依然更なる好ましい一態様において、C14−C24脂肪酸は、飽和一塩基酸または飽和二塩基酸である。
【0034】
好ましくは、脂肪酸は、ミリスチン酸(テトラデカン酸)(C14一塩基酸)、テトラデカン二酸(C14二塩基酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)(C16一塩基酸)、ヘキサデカン二酸(C16二塩基酸)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸)(C17一塩基酸)、ヘプタデカン二酸(C17二塩基酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)(C18一塩基酸)、オクタデカン二酸(C18二塩基酸)、ノナデシル酸(ノナデカン酸)(C19一塩基酸)、ノナデカン二酸(C19二塩基酸)、アラカジン酸(arachadic acid)(エイコサン酸)(C20一塩基酸)、エイコサン二酸(C20二塩基酸)、ヘンイコシル酸(ヘンエイコサン酸)(C21一塩基酸)、ヘンエイコサン二酸(C21二塩基酸)、ベヘン酸(ドコサン酸)(C22)、ドコサン二酸(C22二塩基酸)、リグノセリン酸(テトラコサン酸)(C24一塩基酸)、及びテトラコサン二酸(C24二塩基酸)からなる群から選択される飽和一塩基酸または飽和二塩基酸である。
【0035】
依然更に好ましくは、C14−C24脂肪酸は、ミリスチン酸である。
【0036】
依然更に好ましくは、C14−C24脂肪酸は、テトラデカン二酸である。
【0037】
依然更に好ましくは、C14−C24脂肪酸は、パルミチン酸である。
【0038】
依然更に好ましくは、C14−C24脂肪酸は、ヘキサデカン二酸である。
【0039】
依然更に好ましくは、C14−C24脂肪酸は、ステアリン酸である。
【0040】
依然更に好ましくは、C14−C24脂肪酸は、オクタデカン二酸である。
【0041】
依然更に好ましくは、C14−C24脂肪酸は、ノナデカン二酸である。
【0042】
依然更に好ましくは、C14−C24脂肪酸は、アラカジン酸である。
【0043】
依然更に好ましくは、C14−C24脂肪酸は、エイコサン二酸である。
【0044】
依然更に好ましくは、C14−C24脂肪酸は、ドコサン二酸である。
【0045】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩の依然更なる好ましい一態様において、C末端アミノ酸は、アミド化されている。
【0046】
更なる一態様において、本発明は、以下の式の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する:
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Glu−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(式中、Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lysの側鎖のε−アミノ基と([2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γ−Glu)−CO−(CH
2)
16CO
2Hとの結合によって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている(配列番号5))。
【0047】
更なる一態様において、本発明は、以下の式の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する:
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Glu−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(式中、Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lysの側鎖のε−アミノ基と([2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γ−Glu)−CO−(CH
2)
18CO
2Hとの結合によって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている(配列番号6))。
【0048】
更なる一態様において、本発明は、以下の式の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する:
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Ser−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(式中、Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lysの側鎖のε−アミノ基と([2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γ−Glu)
2−CO−(CH
2)
16CO
2Hとの結合によって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている(配列番号7))。
【0049】
更なる一態様において、本発明は、以下の式の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する:
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Ser−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(式中、Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lysの側鎖のε−アミノ基と([2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γ−Glu)
2−CO−(CH
2)
18CO
2Hとの結合によって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている(配列番号8))。
【0050】
更なる一態様において、本発明は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0051】
更なる一態様において、本発明は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤及び他の治療成分とともに含む、医薬組成物を提供する。
【0052】
依然更なる一態様において、本発明は、治療を必要とする対象において2型糖尿病を治療する方法であって、有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0053】
依然更なる一態様において、本発明は、治療を必要とする対象において肥満を治療する方法であって、有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0054】
依然更なる一態様において、本発明は、治療を必要とする対象におおて非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を治療する方法であって、有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0055】
依然更なる一態様において、本発明は、治療を必要とする対象において非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療する方法であって、有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0056】
依然更なる一態様において、本発明は、対象において非治療的体重減少を引き起こす方法であって、有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩の投与を含む、方法を提供する。
【0057】
依然更なる一態様において、本発明は、療法において使用するための、本発明の化合物を提供する。
【0058】
依然更なる一態様において、本発明は、2型糖尿病の治療において使用するための、本発明の化合物を提供する。
【0059】
依然更なる一態様において、本発明は、肥満の治療において使用するための、本発明の化合物を提供する。
【0060】
依然更なる一態様において、本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の治療において使用するための、本発明の化合物を提供する。
【0061】
依然更なる一態様において、本発明は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療において使用するための、本発明の化合物を提供する。
【0062】
依然更なる一態様において、本発明は、2型糖尿病の治療用の薬物を製造するための、本発明の化合物の使用を提供する。
【0063】
依然更なる一態様において、本発明は、肥満の治療用の薬物を製造するための、本発明の化合物の使用を提供する。
【0064】
依然更なる一態様において、本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の治療用の薬物を製造するための、本発明の化合物の使用を提供する。
【0065】
依然更なる一態様において、本発明は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療用の薬物を製造するための、本発明の化合物の使用を提供する。
【0066】
依然更なる一態様において、本発明は、以下の式の中間体化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する:
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Xaa28−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(式中、Xaa2は、Aibであり、
Xaa28は、GluまたはSer(配列番号9)であり、
C末端アミノ酸は、任意にアミド化されている)。
【0067】
好ましくは、本発明は、以下の式の中間体化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する:
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Glu−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(式中、Xaa2は、Aibであり、
C末端アミノ酸は、任意にアミド化されている(配列番号10))。
【0068】
更に好ましくは、本発明は、以下の式の中間体化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する:
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Ser−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(式中、Xaa2は、Aibであり、
C末端アミノ酸は、任意にアミド化されている(配列番号11))。
【0069】
依然更なる一態様において、本発明は、以下の式:
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Xaa28−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(式中、Xaa2は、Aibであり、
Xaa28は、GluまたはSerであり、
20位のLysは、(i)直接結合または(ii)20位のLysとC14−C24脂肪酸との間のリンカーを介して、Lysの側鎖のε−アミノ基とC14−C24脂肪酸との結合によって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、任意にアミド化されている(配列番号2))の化合物、またはその薬学的に許容される塩を製造する方法であって、
(i)以下の式:
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Xaa28−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(式中、Xaa2は、Aibであり、
Xaa28は、GluまたはSerであり、
C末端アミノ酸は、任意にアミド化されている(配列番号9))
の中間体化合物を、任意にリンカーを介して、中間体化合物の20位のLysの側鎖のε−アミノ基をC14−C24脂肪酸と結合させることによって修飾するステップを含む、方法を提供する。
【0070】
好ましくは、中間体化合物の20位のLysは、20位のLysとC14−C24脂肪酸との間のリンカーを介して、C14−C24脂肪酸との結合によって修飾される。
【0071】
依然更なる一態様において、本発明は、上述の方法によって製造される化合物を提供する。
【0072】
本発明の化合物は、GLP−1受容体及びGcg受容体の両方に結合し、それらを活性化することができる。本発明の化合物は、過体重及び肥満対象において食物摂取の減少を引き起こすことができる。本発明の化合物は、野生型ヒトOXMに対して、優れた体重減少効果を提供する潜在性を有する。
【0073】
本発明の化合物は、T2D及び/または関連する代謝障害を有する対象においてグルコース耐性及び脂質プロファイルを改善することができ、野生型ヒトOXMよりも有効に改善することができる。
【0074】
本発明の化合物の具体的な利点は、(エキセナチド及びリラグルチドなどの)GLP−1療法に一般的に関連する悪心などの副作用の頻度が、減少または排除され得ることである。したがって、本発明の化合物は、GLP−1療法と比較して、減少した副作用を有し得る。
【0075】
本発明の化合物は、脂肪酸と結合したポリペプチドを含む。脂肪酸は、それらのアルブミン結合モチーフを通して、血漿半減期を伸張することによって、ペプチドの薬物動態を改善し、クリアランス率を減少させることができる。本発明の化合物は、野生型ヒトOXMと比較して、改善された薬物動態プロファイルを呈することが予想される一方で、改善の大きさは、予測することができない。本発明者らは、本発明の化合物中の脂肪酸、及び任意にリンカーの、長さ、組成、及び位置が、1日1回、隔週、1週間に1回、または1月に1回の投薬を支持する、望ましい薬物動態プロファイルを有する化合物をもたらすことを発見した。
【0076】
改善された薬物動態プロファイルに加えて、本発明者らはまた、本発明の化合物中の脂肪酸、及び任意にリンカーの、長さ、組成、及び位置が、Gcg−R/GLP−1−R共アゴニスト活性の比率の最適化にとって非常に重要であることも発見した。
【0077】
野生型ヒトOXMは、GLP−1−R及びヒトGcg−Rで全有効性及び効力を有する。野生型ヒトOXMのアミノ酸配列を、以下に提供する。
His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr−Lys−Arg−Asn−Arg−Asn−Asn−Ile−Ala(配列番号1)
【0078】
本発明の特定の化合物は、バランスの取れたGcg−R/GLP−1−R共アゴニスト活性の比率を有する。本明細書で使用される場合、バランスの取れたGcg及びGLP−1活性とは、1:1のGLP−1/Gcg、2:1のGLP−1/Gcg、3:2のGLP−1/Gcg、1:2のGLP−1/Gcg、または2:3のGLP−1/Gcgなどの、1:1に近い、インビトロ結合アッセイにおいてGcg受容体及びGLP−1受容体に対する親和性を有する化合物を指す。本発明者らが実行した研究は、脂肪酸の長さ、組成、及び位置が、本発明の化合物の血漿半減期、物理的安定性、溶解度、及びインビボ安定性に影響を与えるだけでなく、本発明の化合物の特徴である、バランスの取れたGcg−R/GLP−1−R共アゴニスト活性の比率を達成するためにも非常に重要であることを明らかにした。
【0079】
ペプチドと脂肪酸との結合は、薬物動態プロファイルの改善及び/またはバランスの取れたGcg−R/GLP−1−R共アゴニスト活性の比率に関して利点を有する一方で、Gcg受容体またはGLP−1受容体のいずれかの結合界面との干渉の潜在性が存在するため、本化合物が、活性を失い得ることもまた予想されるだろう。しかしながら、20位のリジン残基と脂肪酸との結合が、両方の受容体で、他の位置のアミノ酸が脂肪酸と結合している場合よりも大きな程度まで、インビトロ及びインビボで活性を保持することが見出されている。
【0080】
更に、主張される化合物中、野生型ヒトOXMと比較して、いくつかのアミノ酸置換は、Gcg−R及び/またはGLP−1−Rへの効力を強化し、それにより、Gcg−R/GLP−1−R共アゴニスト活性の適切な比率を維持しながら、脂肪酸との結合による効力減少を相殺することができる。ある特定のタンパク質中の1つのアミノ酸残基の置換は、タンパク質全体の特徴に影響を与える可能性があること、ならびに全体的な効果は、薬理学的効力及び/または薬学的安定性にとって有益または有害であり得ることに留意することが重要である。特定のアミノ酸置換は効力を増加させ得るが、分子の安定性に対して有害な影響を有する可能性があり、逆もまた真である。野生型ヒトOXM(配列番号1)と比較して、本発明の化合物中のアミノ酸置換は、S2Aib、S16E、R17K、R18K、Q20K、D21E、Q24E、M27L、N28EまたはN28S、及びT29Gを含む。加えて、OXMのC末端配列KRNRNNIAは、GPSSG C末端配列で置換されている。
【0081】
S2Aib置換は、ペプチダーゼ、特にジペプチジルペプチダーゼIVによる分解からペプチドを保護する。S16E、R17K、R18K、及びQ20K置換は、インビトロアッセイ及びインビボ動物モデルにおいて、本発明の化合物の効力を改善することができる。D21E及びQ24E置換は、本発明の化合物の安定性を改善し、インビトロ活性を調節することができる。M27L置換は、メチオニン残基の酸化からペプチドを保護することができる。N28E置換は、その置換を含む化合物の溶解度を改善することができる。N28S置換もまた、その置換を含む化合物の溶解度を改善することができるが、その程度はN28E置換と同一ではない。しかしながら、N28S置換を含む化合物の溶解度は、適切なリンカーの選択によって改善することができる。28位のアスパラギン残基の置換は、この位置での脱アミド化の発生の可能性を回避する。
【0082】
OXMのC末端配列KRNRNNIAの残基の除去は、溶解度を改善することができ、これはアルギニン残基の除去に起因するものである。本発明者らは、(i)C末端配列を有さない化合物、(ii)GPSSG C末端配列を有する化合物、及び(iii)GPSSGAPPPS C末端配列を有する化合物を評価した。驚くべきことに、野生型ヒトOXM、C末端配列を有さない化合物、及びGPSSGAPPPS C末端配列を有する化合物と比較して、GPSSG C末端配列を有する特定の化合物が、動物モデルにおいて改善されたインビボ効力を呈することが見出された。GPSSG C末端配列はまた、野生型ヒトOXM及びC末端配列を有さない化合物と比較して、本発明に従う化合物の安定性及び溶解度を改善した。
【0083】
したがって、本発明の化合物は、別々にまたはともに、効力を改善することができるだけでなく、物理的安定性及び溶解度特徴の改善、ならびにインビボ安定性の増加も提供することができる、アミノ酸置換を含有する。
【0084】
本発明の化合物のいくつかの態様において、C14−C24脂肪酸は、リンカーを介して、リジンの側鎖のε−アミノ基に結合しており、リンカーは、以下からなる群より選択される:
(a)以下の式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレート
【化4】
(式中、mは、1〜12の任意の整数であり、nは、1〜12の任意の整数であり、pは、1または2である)、
(b)Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、His、Lys、Pro、Ser、Thr、Cit、Orn、Sar、Gly、γ−Abu、及びγ−Gluからなる群から選択されるアミノ酸、
(c)Ala−Ala、β−Ala−β−Ala、Glu−Glu、Gly−Gly、Leu−Leu、Pro−Pro、Ser−Ser、Thr−Thr、γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu、γ−Glu−Glu、γ−Abu−γ−Abu、6−アミノヘキサン酸−6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸−5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸−7−アミノヘプタン酸、及び8−アミノオクタン酸−8−アミノオクタン酸からなる群から選択されるジペプチド、
(d)Ala−Ala−Ala、β−Ala−β−Ala−β−Ala、Glu−Glu−Glu、γ−Glu−γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu−γ−Glu、γ−Glu−γ−Glu−Glu、γ−Glu−Glu−γ−Glu、Gly−Gly−Gly、Gly−Gly−Ser、Ser−Gly−Gly、Gly−Ser−Gly、Gly−Gly−Glu、Glu−Gly−Gly、Gly−Glu−Gly、Gly−Gly−γ−Glu、γ−Glu−Gly−Gly、Gly−γ−Glu−Gly、Leu−Leu−Leu、Pro−Pro−Pro、及びγ−Abu−γ−Abu−γ−Abuからなる群から選択されるトリペプチド、
(e)(Gly−Gly−Ser)
q(Gly−Gly−Gly−Ser)
r及び(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)
r、(6−アミノヘキサン酸)
s、(5−アミノ吉草酸)
s、(7−アミノヘプタン酸)
s、及び(8−アミノオクタン酸)
s(式中、qは、2〜5の任意の整数であり、rは、1〜3の任意の整数であり、sは、4〜15の任意の整数である)からなる群から選択されるポリペプチド、ならびに
(f)(a)で定義される式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートが、以下の(i)〜(iv)のいずれかと結合している結合リンカー:
(i)Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、His、Lys、Pro、Ser、Thr、Cit、Orn、Sar、Gly、γ−Abu、及びγ−Gluからなる群から選択されるアミノ酸、
(ii)Ala−Ala、β−Ala−β−Ala、Glu−Glu、Gly−Gly、Leu−Leu、Pro−Pro、Ser−Ser、Thr−Thr、γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu、γ−Glu−Glu、γ−Abu−γ−Abu、6−アミノヘキサン酸−6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸−5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸−7−アミノヘプタン酸、及び8−アミノオクタン酸−8−アミノオクタン酸からなる群から選択されるジペプチド、
(iii)Ala−Ala−Ala、β−Ala−β−Ala−β−Ala、Glu−Glu−Glu、γ−Glu−γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu−γ−Glu、γ−Glu−γ−Glu−Glu、γ−Glu−Glu−γ−Glu、Gly−Gly−Gly、Gly−Gly−Ser、Ser−Gly−Gly、Gly−Ser−Gly、Gly−Gly−Glu、Glu−Gly−Gly、Gly−Glu−Gly、Gly−Gly−γ−Glu、γ−Glu−Gly−Gly、Gly−γ−Glu−Gly、Leu−Leu−Leu、Pro−Pro−Pro、及びγ−Abu−γ−Abu−γ−Abuからなる群から選択されるトリペプチド、または
(iv)(Gly−Gly−Ser)
q(Gly−Gly−Gly−Ser)
r及び(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)
r、(6−アミノヘキサン酸)
s、(5−アミノ吉草酸)
s、(7−アミノヘプタン酸)
s、及び(8−アミノオクタン酸)
s(式中、qは、2〜5の任意の整数であり、rは、1〜3の任意の整数であり、sは、4〜15の任意の整数である)からなる群から選択されるポリペプチド。
【0085】
本発明の化合物の好ましい態様において、リンカーは、式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレート、または結合リンカーであって、式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートが、上記に定義されるアミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、もしくはポリペプチドと結合しており、nが、1、2、3、4、5、または6であり、mが、1であり、pが、1である、結合リンカーである。
【0086】
本発明の化合物のより好ましい態様において、リンカーは、式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレート、または結合リンカーであって、式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートが、上記に定義されるアミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、もしくはポリペプチドと結合しており、nが、2であり、mが、1であり、pが、1である、結合リンカーである。
【0087】
式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートリンカー、または結合リンカーであって、式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートが、上記に定義されるアミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、もしくはポリペプチドと結合している、結合リンカーは、構造[−O−CH2−CH2−]
m(式中、mは、1〜12の整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12))を含む、小ポリエチレングリコール部分(PEG)を含む。そのような小PEGは、本明細書において「ミニPEG」と呼ばれる。好ましい態様において、ミニPEGは、式I:
【化5】
(式中、mは、1〜12の任意の整数であり、nは、1〜12の任意の整数であり、pは、1または2である)の構造を有する。好ましくは、ミニPEGは、式I(式中、nは、1、2、3、4、5、または6であり、mは、1であり、pは、1である)の構造を有する。更に好ましくは、ミニPEGは、式I(式中、nは、1であり、mは、1であり、pは、1である)の構造を有する。ミニPEGでアミノ酸をアシル化で使用するための好適な試薬は、Peptides International(Louisville,KY)及びChemPep,Inc.(Wellington,FL)などの販売会社から市販されている。また、ミニPEGでアミノ酸をアシル化するための好適な技術は、本明細書に記載されている(実施例1〜4を参照されたい)。
【0088】
式IのミニPEGは、アミン官能基及びカルボキシル官能基を含む官能化ミニPEGである。カルボキシル官能基は、リジンの側鎖のε−アミノ基と反応して、アミド結合を形成する。アミン官能基は、脂肪酸のカルボキシル基と反応する。したがって、配列番号2のペプチドの20位のリジンは、式IのミニPEGを介して、C14−C24脂肪酸に結合されている。
【0089】
あるいは、式IのミニPEGが、結合リンカーの一部である(すなわち、式IのミニPEGが、上記に定義されるアミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、またはポリペプチドに結合している)場合、式IのミニPEGのアミン官能基は、アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、またはポリペプチドの官能基と反応する。アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、またはポリペプチドの更なる官能基は、脂肪酸のカルボキシル基と反応する。したがって、配列番号2のペプチドの20位のリジンは、上記に定義される結合リンカーを介して、C14−C24脂肪酸に結合されている。
【0090】
式IのミニPEGの親水性の性質は、式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレート、または結合リンカーであって、式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートが、上記に定義されるアミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、もしくはポリペプチドと結合している、結合リンカーを含むリンカーを含む、本発明の化合物の溶解度を増加させる役割を果たす。
【0091】
式IのミニPEGを含む好ましいリンカーとしては、([2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2及び8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
リンカーはまた、リジンの側鎖のε−アミノ基とC14−C24脂肪酸との間に位置する単一アミノ酸であってもよい。いくつかの好ましい態様において、アミノ酸は、親水性アミノ酸である。好適なアミノ酸としては、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、His、Lys、Pro、Ser、Thr、Cit、Orn、Sar、Gly、γ−Abu、及びγ−Gluが挙げられる。
【0093】
より好ましい態様において、アミノ酸は、γ−Gluである。
【0094】
あるいは、リンカーは、Ala−Ala、β−Ala−β−Ala、Glu−Glu、Gly−Gly、Leu−Leu、Pro−Pro、Ser−Ser、Thr−Thr、γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu、γ−Glu−Glu、γ−Abu−γ−Abu、6−アミノヘキサン酸−6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸−5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸−7−アミノヘプタン酸、及び8−アミノオクタン酸−8−アミノオクタン酸からなる群から選択されるジペプチドである。
【0095】
更なる代替的な一態様において、ジペプチドの各アミノ酸は、ジペプチドの他のアミノ酸と同一であっても、それとは異なってもよく、Ala、β−Ala、Glu、Gly、Leu、Pro、Ser、Thr、γ−Glu、γ−Abu、6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸、及び8−アミノオクタン酸からなる群から独立して選択され得る。
【0096】
より好ましい態様において、リンカーは、γ−Glu−γ−Gluである。
【0097】
いくつかの態様において、リンカーは、トリペプチドであり、トリペプチドのアミノ酸は、Ala、β−Ala、Glu、Gly、Leu、Pro、Ser、Thr、γ−アミノ酪酸(γ−Abu)、γ−グルタミン酸(γ−Glu)、6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸、及び8−アミノオクタン酸からなる群から独立して選択される。
【0098】
好ましい態様において、リンカーは、Ala−Ala−Ala、β−Ala−β−Ala−β−Ala、Glu−Glu−Glu、γ−Glu−γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu−γ−Glu、γ−Glu−γ−Glu−Glu、γ−Glu−Glu−γ−Glu、Gly−Gly−Gly、Gly−Gly−Ser、Ser−Gly−Gly、Gly−Ser−Gly、Gly−Gly−Glu、Glu−Gly−Gly、Gly−Glu−Gly、Gly−Gly−γ−Glu、γ−Glu−Gly−Gly、Gly−γ−Glu−Gly、Leu−Leu−Leu、Pro−Pro−Pro、及びγ−Abu−γ−Abu−γ−Abuからなる群から選択されるトリペプチドである。
【0099】
いくつかの態様において、リンカーは、(Gly−Gly−Ser)
q(Gly−Gly−Gly−Ser)
r及び(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)
r、(6−アミノヘキサン酸)
s、(5−アミノ吉草酸)
s、(7−アミノヘプタン酸)
s、及び(8−アミノオクタン酸)
s(式中、qは、2〜5の任意の整数であり、rは、1〜3の任意の整数であり、sは、4〜15の任意の整数である)からなる群から選択されるポリペプチドである。
【0100】
好ましい一態様において、リンカーは、結合リンカーであり、以下の式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレート
【化6】
(式中、mは、1〜12の任意の整数であり、nは、1〜12の任意の整数であり、pは、1または2である)
は、上記に定義されるアミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、もしくはポリペプチドと結合している。
【0101】
好ましい一態様において、結合リンカーのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートは、([2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2または8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸である。
【0102】
より好ましい一態様において、リンカーは、([2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γ−Glu)
t((AEEA)
2−−(γ−Glu)
tとも呼ばれる)(式中、tは、1または2である)を含む。リンカー中の脂肪酸及びガンマ−グルタミン酸は、アルブミン結合剤としての役割を果たし、インビボで長時間作用性の化合物を生成する潜在性を提供する。最も好ましい態様において、本発明の化合物は、リジンの側鎖のε−アミノ基と([2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γ−Glu)
t−CO−(CH
2)
d−CO
2H(式中、tは、1または2であり、dは、16または18である)との結合によって化学修飾されている20位のリジンを含む。
【0103】
実施例1〜4の化学構造に示されるように、[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチルの第1の単位は、リジンの側鎖のε−アミノ基に連結する。その後、[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチルの第2の単位は、[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチルの第1の単位のアミノ基に結合する。その後、γ−Gluの第1の単位が、側鎖のγ−カルボキシル基を通して、[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチルの第2の単位のアミノ基に結合する。t=2であるとき、γ−Gluの第2の単位は、側鎖のγ−カルボキシル基を通して、γ−Gluの第1の単位のα−アミノ基に結合する。最後に、脂肪酸が、γ−Gluの第1(t=1であるとき)または第2(t=2であるとき)の単位のα−アミノ基に結合する。
【0104】
リンカーが、上記に定義されるアミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、またはポリペプチドであるとき、アミノ酸、またはジペプチド、トリペプチド、もしくはポリペプチドの少なくとも1つのアミノ酸が、親水性アミノ酸であることが好ましい。
【0105】
同様に、リンカーが結合リンカーであり、以下の式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレート
【化7】
(式中、mは、1〜12の任意の整数であり、nは、1〜12の任意の整数であり、pは、1または2である)
が、上記に定義されるアミノ酸、ジペプチド、トリペプチド、またはポリペプチドと結合しているとき、アミノ酸またはアミノ酸/ジペプチド/トリペプチド/ポリペプチドの少なくとも1つのアミノ酸が、親水性アミノ酸であることが好ましい。
【0106】
好適なアミノ酸としては、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、His、Lys、Pro、Ser、Thr、Cit、Orn、Sar、Gly、γ−Abu、及びγ−Gluが挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
本発明者らは、リンカー中の1つ以上の親水性アミノ酸の存在が、配列番号1のペプチドにおけるアミノ酸置換の結果として通常発生が予想され得る、溶解度の減少を補償することを発見した。例えば、リンカーが([2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γ−Glu)
t(式中、tは、1または2である)を含む実施形態において、配列番号1のペプチドのXaa28は、セリンまたはグルタミン酸であり得る。配列番号2のペプチドの28位でのグルタミン酸の選択は、そのような化合物の溶解度を改善する。配列番号2のペプチドの28位でのセリンの選択は、28位にグルタミン酸残基を有することによってのみ異なる化合物と比較して、そのような化合物の溶解度を減少させることが予想され得る。しかしながら、上述のリンカー(すなわち、tは、2である)中の第2のγ−Gluアミノ酸は、この予想される溶解度の減少を補償する。
【0108】
本発明の化合物は、直接結合またはリンカーのいずれかによって、リジンの側鎖のε−アミノ基に化学結合しているC14−C24脂肪酸を利用する。本明細書で使用される場合、「C14−C24脂肪酸」という用語は、14〜24個の炭素原子を有するカルボン酸を意味する。本明細書での使用に好適なC14−C24脂肪酸は、飽和一塩基酸または飽和二塩基酸であり得る。「飽和」によって、脂肪酸が炭素−炭素二重または三重結合を含有しないことが意味される。
【0109】
化合物及び本明細書に開示されるそれらの使用に好適である、具体的な飽和C14−C24脂肪酸の例としては、ミリスチン酸(テトラデカン酸)(C14一塩基酸)、テトラデカン二酸(C14二塩基酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)(C16一塩基酸)、ヘキサデカン二酸(C16二塩基酸)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸)(C17一塩基酸)、ヘプタデカン二酸(C17二塩基酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)(C18一塩基酸)、オクタデカン二酸(C18二塩基酸)、ノナデシル酸(ノナデカン酸)(C19一塩基酸)、ノナデカン二酸(C19二塩基酸)、アラカジン酸(エイコサン酸)(C20一塩基酸)、エイコサン二酸(C20二塩基酸)、ヘンイコシル酸(ヘンエイコサン酸)(C21一塩基酸)、ヘンエイコサン二酸(C21二塩基酸)、ベヘン酸(ドコサン酸)(C22)、ドコサン二酸(C22二塩基酸)、リグノセリン酸(テトラコサン酸)(C24一塩基酸)、及びテトラコサン二酸(C24二塩基酸)(これらの分岐または置換誘導体を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
本発明の化合物の好ましい態様において、C14−C24脂肪酸は、飽和C14一塩基酸、飽和C14二塩基酸、飽和C16一塩基酸、飽和C16二塩基酸、飽和C18一塩基酸、飽和C18二塩基酸、飽和C19二塩基酸、飽和C20一塩基酸、飽和C20二塩基酸、飽和C22二塩基酸、ならびにこれらの分岐及び置換誘導体からなる群から選択される。
【0111】
本発明の化合物のより好ましい態様において、C14−C24脂肪酸は、ミリスチン酸、テトラデカン二酸、パルミチン酸、ヘキサデカン二酸、ステアリン酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、アラカジン酸、エイコサン二酸、及びドコサン二酸からなる群から選択される。
【0112】
好ましくは、C14−C24脂肪酸は、オクタデカン二酸またはエイコサン二酸である。
【0113】
本発明者らは、脂肪酸の位置が、所望されるGcg−R/GLP−1−R共アゴニスト活性の比率を有する化合物を達成する上で非常に重要であることを見出した。脂肪酸の長さ及び組成は、化合物の血漿半減期、インビボ動物モデルにおける化合物の効力に影響を与え、化合物の溶解度及び安定性にもまた影響を与える。配列番号2で定義されるペプチドの、C14−C24飽和脂肪一塩基酸または二塩基酸への結合は、望ましい血漿半減期、インビボ動物モデルにおける望ましい効力を呈し、所望される溶解度及び安定性特徴も持つ、化合物をもたらす。ミリスチン酸テトラデカン二酸、パルミチン酸、ヘキサデカン二酸、ステアリン酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、アラカジン酸、エイコサン二酸、及びドコサン二酸は、特に好ましい脂肪酸である。
【0114】
特に、20位のリジン残基の配列番号2で定義されるペプチドと、オクタデカン二酸またはエイコサン二酸との結合は、(i)所望されるGcg−R/GLP−1−R共アゴニスト活性の比率を達成することができ、(ii)インビボ動物モデルにおいて効力を改善することができ、かつ/または(iii)物理的安定性及び溶解度特徴を改善することができる、化合物をもたらす。
【0115】
本発明の化合物は、好ましくは、非経口経路(例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、または経皮)によって投与される医薬組成物として製剤化される。
【0116】
本発明の化合物は、典型的には、非経口投与されるだろう。非経口投与としては、例えば、筋肉内、静脈内、皮下、皮内、または腹腔内注射などの全身投与が挙げられる。好ましい投与経路は、皮下注射である。本発明の化合物は、2型糖尿病、肥満、NAFLD、及び/またはNASHを治療するための医薬組成物の一部として、許容される薬学的担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせて対象に投与される。医薬組成物は、本発明の化合物が、亜鉛などの二価金属カチオンと錯体化されるものなどの、溶液または懸濁液であってもよい。本発明の化合物はまた、凍結乾燥または噴霧乾燥などによって固体製剤に製剤化されてもよく、これがその後、投与前に好適な希釈剤溶液中で再構成される。好適な薬学的担体は、ペプチドまたはペプチド誘導体と相互作用しない不活性成分を含有し得る。非経口投与に好適な薬学的担体としては、例えば、滅菌水、生理食塩水、静菌食塩水(約0.9%mg/mlのベンジルアルコールを含有する食塩水)、リン酸緩衝食塩水、ハンクス液、及び乳酸リンゲル液などが挙げられる。好適な賦形剤のいくつかの例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、トレハロース、ソルビトール、及びマンニトール、ならびにフェノール及びm−クレゾールなどの保存剤が挙げられる。
【0117】
Remington:The Science and Practice of Pharmacy(D.B.Troy,Editor,21st Edition,Lippincott,Williams&Wilkins,2006)に記載されるものなどの標準薬学的製剤技術が、用いられてもよい。あるいは、本発明の化合物は、頬側、経口、経皮、経鼻、または肺を通した投与のために製剤化されてもよい。
【0118】
本発明の化合物は、いくつかの無機及び有機酸のうちのいずれとも反応して、薬学的に許容される酸付加塩を形成し得る。薬学的に許容される塩及びそれらを調製するための一般的な方法論は、当該技術分野において周知である。例えば、P.Stahl,et al.Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,2nd Revised Edition(Wiley−VCH,2011)を参照されたい。本発明の薬学的に許容される塩としては、トリフルオロ酢酸塩、塩酸塩、及び酢酸塩が挙げられる。
【0119】
本発明の化合物を、糖尿病、特に2型糖尿病の治療に用いてもよい。本発明の化合物による治療から恩恵を受け得る追加の対象としては、耐糖能障害または空腹時血糖異常を有する者、体重がその対象の身長及び体格にとっての標準体重を約25%以上上回る対象、1人以上の2型糖尿病を有する親を有する対象、妊娠糖尿病を有したことのある対象、ならびに内在性インスリン分泌の低下から生じるものなどの代謝障害を有する対象が挙げられる。本発明の化合物は、耐糖能障害を有する対象が2型糖尿病の発症へと進むのを予防するため、膵臓β細胞変質を予防するため、β細胞増殖を引き起こすため、β細胞機能を改善するため、休止β細胞を活性化するため、β細胞への細胞の分化を促進するため、β細胞複製を刺激するため、及びβ細胞アポトーシスを阻害するために使用することができる。本発明の方法において、本発明の化合物を使用して治療または予防することができる他の疾患及び病態としては、若年発症成人型糖尿病(MODY)(Herman,et al.,Diabetes43:40,1994)、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)(Zimmet,et al.,Diabetes Med.11:299,1994)、耐糖能障害(IGT)(Expert Committee on Classification of Diabetes Mellitus,Diabetes Care22(Supp. 1):S5,1999)、空腹時血糖異常(IFG)(Charles,et al.,Diabetes40:796,1991)、妊娠糖尿病(Metzger,Diabetes,40:197,1991)、代謝X症候群、脂質異常症、高血糖症、高インスリン血症、高トリグリセライド血症、及びインスリン耐性が挙げられる。
【0120】
本発明の化合物はまた、本発明の方法において、糖尿病の二次的原因の治療にも使用することができる(Expert Committee on Classification of Diabetes Mellitus,Diabetes Care22(Supp. l):S5,1999)。そのような二次的原因としては、グルココルチコイド過多、成長ホルモン過多、褐色細胞腫、及び薬物性糖尿病が挙げられる。糖尿病を引き起こし得る薬物としては、ピリミニル、ニコチン酸、グルココルチコイド、フェニトイン、甲状腺ホルモン、β−アドレナリン系薬剤、α−インターフェロン、及びHIV感染の治療に使用される薬物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
本発明の化合物は、食物摂取の抑制及び肥満の治療に有効であり得る。
【0122】
「有効量」の本発明の化合物は、対象への投与時に許容できない副作用を引き起こすことなく、所望される治療的及び/または予防的効果をもたらす量である。「所望される治療的効果」は、以下、1)疾患または病態に関連する症状(複数可)の寛解、2)疾患または病態に関連する症状の発症の遅延、3)治療不在時と比較した寿命の延長、及び4)治療不在時と比較したより大きな生活の質のうちの1つ以上を含む。例えば、T2Dの治療のための「有効量」の本発明の化合物は、治療不在時よりも大きな血糖濃度の制御をもたらし、それにより、網膜症、神経障害、または腎臓疾患などの糖尿病合併症の発症の遅延をもたらす量である。例えば、耐糖能障害または空腹時血糖異常を有する対象における2型糖尿病の予防のための「有効量」の本発明の化合物は、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、インスリン、及び/またはビスグアニジンなどの抗高血糖薬による治療を必要とする血糖値上昇の発症を、治療不在時と比較して、遅延させる量である。
【0123】
対象に投与される「有効量」の本発明の化合物はまた、疾患の種類及び重症度、ならびに対象の特徴(一般的な健康、年齢、性別、体重、及び薬物に対する耐性など)に依存するだろう。対象の血糖を正常化するのに有効な本発明の化合物の用量は、いくつかの要因に依存し、その中には、対象の性別、体重及び年齢、血糖制御不能の重症度、投与経路及び生物学的利用率、ペプチドの薬物動態プロファイル、効力、ならびに製剤が非限定的に含まれる。
【0124】
本発明の特定の化合物は一般に、幅広い投与量範囲にわたって有効である。例えば、1週間に1回の投薬の投与量は、1人1週間当たり約0.05〜約30mgの範囲内であり得る。本発明の特定の化合物は、1日1回投薬されてもよい。加えて、本発明の特定の化合物は、隔週、1週間に1回、または1月に1回投薬されてもよい。
【0125】
「対象」は、哺乳動物、好ましくはヒトであるが、伴侶動物(例えば、イヌ及びネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、及びウマなど)、ならびに実験動物(例えば、ラット、マウス、及びモルモットなど)を含む動物であってもよい。
【0126】
本明細書で使用される場合、「治療すること(treating)」または「治療すること(to treat)」という用語は、既存の症状もしくは障害の進行または重症度を制限、減速、停止、または反転させることを含む。
【0127】
「血漿半減期」という用語は、関連する化合物のうちの半分が血漿から排除されるのに必要とされる時間を指す。代替的に使用される用語は、「排出半減期」である。血漿半減期または排出半減期の文脈において使用される、「伸張した」または「より長い」という用語は、同等の条件下で決定される、基準分子(例えば、ペプチド、野生型ヒトOXM、またはセマグルチドの非脂肪酸結合形態)の半減期と比較して、本発明の化合物の半減期の有意な増加が存在することを示す。
【0128】
クリアランスは、薬物を循環から排除する身体の能力の尺度である。例えば、薬物に対する修飾のためにクリアランスが低下するにつれて、半減期は増加することが予想されるだろう。しかしながら、この相反関係は、分布容積が変化しない場合にのみ正確である。末端対数−線形半減期(T
1/2)と、クリアランス(C)と、分布容積(V)との間の有用なおよその関係は、等式:T
1/2≒0.693(V/C)によって得られる。クリアランスは、どれほどの薬物が除去されているかは示さないが、むしろ、排出を説明するために薬物が完全になくならなくてはならない血液または血漿などの生物流体の容積を示す。クリアランスは、時間単位当たりの容積として表される。
【0129】
本明細書で使用される場合、「親水性」という用語は、水分を容易に吸収し、水と容易に相互作用する強極性基を有することができる特性を指す。
【0130】
本明細書で使用される場合、「セマグルチド」は、ペプチド主鎖及びCAS登録番号910463−68−2に見出される全体的な化合物構造を有する、化学合成されたGLP−1類似体を指す。
【0131】
本発明のアミノ酸配列は、20個の天然に存在するアミノ酸の標準的な1文字または3文字のコードを含有する。加えて、「Aib」は、アルファアミノイソ酪酸であり、「Abu」は、アミノ酪酸であり、「Orn」は、オルニチンであり、「Sar」は、サルコシンである。
【0132】
本明細書で使用される場合、「C末端アミノ酸」という用語は、遊離カルボキシル基を含有するペプチドの配列中の最後のアミノ酸を指す。本発明の化合物のC末端アミノ酸は、34位のGlyである。
【0133】
本発明はまた、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩の合成に有用な、新規の中間体及び方法も包含する。本発明の中間体及び化合物は、当該技術分野において既知である様々な手順によって調製することができる。特に、化学合成を使用する方法が、以下の実施形態で説明される。記載される経路のそれぞれのための具体的な合成ステップが、本発明の化合物、またはその塩を調製するために、異なる方法で組み合わされてもよい。試薬及び出発材料は、当業者にとって容易に入手可能である。これらの実施形態は、決して本発明の範囲を制限することが意図されないことが理解される。
【0134】
実施例1
HXaa2QGTFTSDYSKYLDEKKAKEFVEWLLEGGPSSG
(式中、Xaa2は、Aibであり、
20位のKは、Kの側鎖のε−アミノ基と([2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γGlu)
1−CO−(CH
2)
16−CO
2Hとの結合を通して化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、C末端一級アミドとしてアミド化されている(配列番号5))。
【化8】
【0135】
上記の図は、残基Aib2及びK20のアミノ酸の構造が拡張されているこれらの残基を除いて、標準的な1文字のアミノ酸コードを使用して、配列番号5の化合物(以下「化合物1」と呼ぶ)の構造を描写する。
【0136】
化合物1のペプチド構成成分は、Symphony12チャネル多重ペプチド合成機(Protein Technologies,Inc.Tucson,AZ)によって、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)/tert−ブチル(t−Bu)の化学構造を使用して、自動化固相合成によって合成される。
【0137】
合成樹脂は、0.3〜0.4meq/gの置換での、1%のDVB架橋ポリスチレン(Fmoc−Rink−MBHA Low Loading樹脂、100−200メッシュ、EMD Millipore,Temecula,CA)からなる。標準側鎖保護基は、次の通り、Trp及びLysに関しては、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc);Asp及びGluに関しては、tert−ブチルエステル(OtBu);Ser、Thr、及びTyrに関しては、tBu;ならびにGlnに関しては、トリフェニルメチル(Trt)であり、N−α−Fmoc−N−ε−4−メチルトリチル−L−リジン(Fmoc−Lys(Mtt)−OH)を、配列番号3の20位のリジンに使用し、N
α,N
(im)−ジ−Boc−L−ヒスチジン(Boc−His(Boc)−OH)を、1位のヒスチジンに使用した。各カップリングステップ(2回×7分間)前に、ジメチルホルムアミド(DMF)中の20%のピペリジンを使用して、Fmoc基を除去した。等しいモル比のFmocアミノ酸(EMD Millipore,Temecula,CA)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)、及びOxyma(Oxyma Pure,Iris Biotech,Marktredwitz,Germany)を使用して、理論的ペプチド負荷を9倍のモル過剰で、かつDMF中0.18Mの最終濃度で、全ての標準的アミノ酸カップリングを1時間実行した。
【0138】
2つの例外は、二重カップリング(2回×1時間)されている配列番号5の3位のグルタミン残基、及びOxymaの代わりに1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)を使用して、6倍のモル過剰で18時間カップリングした配列番号5の1位のヒスチジン残基である。直鎖ペプチドの合成の完了後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コック(Biotage,Charlotte,NC)を備えた、25mLの使い捨てフリット状ポリプロピレンシリンジ(Torviq,Niles,MI)に樹脂を移し、DCM中の20%のヘキサフルオロイソプロパノール(Oakwood Chemicals,West Columbia,SC)による3回(2回×10分間及び1回×45分間)の処理を使用して、配列番号5の20位のリジン上の4−メチルトリチル(Mtt)保護基をペプチド樹脂から選択的に除去して、20位のリジンの遊離εアミンを曝露し、それを更なる反応に利用可能にした。
【0139】
[2−(2−(Fmoc−アミノ)エトキシ)エトキシ]酢酸(Fmoc−AEEA−OH)(ChemPep,Inc.Wellington,FL、3時間のカップリング時間について、3倍の過剰のアミノ酸(AA):1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム−3−オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU):N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)[1:1:5mol/mol])の2回の連続カップリングを実行し、その後、Fmoc−グルタミン酸α−t−ブチルエステル(Fmoc−Glu−OtBu)(Ark Pharm,Inc.Libertyville IL、3時間のカップリング時間について、3倍の過剰のAA:HATU:DIPEA[1:1:5mol/mol])をカップリングすることによって、脂肪酸−リンカー部分の後続の結合を達成する。いずれの場合も、Fmoc部分は、上述のように除去される。最後に、モノ−OtBu−オクタデカン二酸(WuXi AppTec,Shanghai,China)を、3倍の過剰の酸:HATU:DIPEA(1:1:5mol/mol)を使用して、樹脂に18時間にわたってカップリングする。
【0140】
合成が完了した後、ペプチド樹脂を、ジクロロメタン(DCM)、ジエチルエーテルで洗浄し、シリンジに5分間真空吸引を適用することによって完全に空気乾燥させる。乾燥樹脂を、切断カクテル(トリフルオロ酢酸(TFA):アニソール:水:トリイソプロピルシラン、88:5:5:2v/v)によって室温で2時間処理して、ペプチドを固体支持体から遊離させ、全ての側鎖保護基を除去する。樹脂を濾過して取り除き、未希釈のTFAで2回洗浄し、合わせた濾液を低温ジエチルエーテルで処理して、粗ペプチドを沈殿させる。その後、ペプチド/エーテル懸濁液を4000rpmで遠心分離して固体ペレットを形成し、上清を傾瀉し、固体ペレットをエーテルで更に2回粉砕し、真空中で乾燥させる。粗ペプチドを20%のアセトニトリル/水中で可溶化し、3つの異なる緩衝系を使用して、アセトニトリル及び水の直線勾配を有するC8分取カラム(Luna21×250mm、Phenomenex,Torrance,CA)により、RP−HPLCによって精製する。
1)水中0.1Mの酢酸アンモニウム、pH5.0、
2)水中0.1%のTFA、及び
3)水中5%の酢酸
【0141】
最終主要生成物プールの後続の凍結乾燥は、凍結乾燥されたペプチド酢酸塩をもたらす。
【0142】
本質的に上述のように実行した合成において、化合物1の純度は、分析的RP−HPLCを使用して評価され、97%超であると見出される。
【0143】
分析的エレクトロスプレーMSによって、分子量を決定する。化合物1の分子量は、4535.0ダルトンであると計算される一方で、観察された畳み込みを解いた平均分子量は、4535.0ダルトンであると決定され、以下のイオンが観察された。1512.3(M+3H)、1134.3(M+4H)、908(M+5H)。
【0144】
実施例2
HXaa2QGTFTSDYSKYLDEKKAKEFVEWLLEGGPSSG
(式中、Xaa2は、Aibであり、
20位のKは、Kの側鎖のε−アミノ基と([2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γGlu)
1−CO−(CH
2)
18−CO
2Hとの結合を通して化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、C末端一級アミドとしてアミド化されている(配列番号6))。
【化9】
【0145】
上記の図は、残基Aib2及びK20のアミノ酸の構造が拡張されているこれらの残基を除いて、標準的な1文字のアミノ酸コードを使用して、配列番号6の化合物(以下「化合物2」と呼ぶ)の構造を描写する。
【0146】
実施例1のようにモノ−OtBu−オクタデカン二酸ではなく、3倍の過剰のAA:HATU:DIPEA(1:1:5mol/mol)を使用して、モノ−OtBu−エイコサン二酸(WuXi AppTec,Shanghai,China)が樹脂に18時間にわたってカップリングされることを除いて、実施例1にあるように化合物2を合成する。
【0147】
化合物2の分子量は、4563.1ダルトンであると計算される一方で、観察された畳み込みを解いた平均分子量は、4562.9ダルトンであると決定され、以下のイオンが観察された。1521.7(M+3H)、1141.3(M+4H)、913.5(M+5H)。
【0148】
実施例3
HXaa2QGTFTSDYSKYLDEKKAKEFVEWLLSGGPSSG
(式中、Xaa2は、Aibであり、
20位のKは、Kの側鎖のε−アミノ基と([2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γGlu)
2−CO−(CH
2)
16−CO
2Hとの結合を通して化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、C末端一級アミドとしてアミド化されている(配列番号7))。
【化10】
【0149】
上記の図は、残基Aib2及びK20のアミノ酸の構造が拡張されているこれらの残基を除いて、標準的な1文字のアミノ酸コードを使用して、配列番号7の化合物(以下「化合物3」と呼ぶ)の構造を描写する。
【0150】
追加のFmoc−Glu−OtBu部分がリンカー合成サイクルに追加されることを除いて、実施例1にあるように化合物3を合成する。
【0151】
化合物3の分子量は、4622.1ダルトンであると計算される一方で、観察された畳み込みを解いた平均分子量は、4621.9ダルトンであると決定され、以下のイオンが観察された。1541.3(M+3H)、1156.2(M+4H)、925.2(M+5H)。
【0152】
実施例4
HXaa2QGTFTSDYSKYLDEKKAKEFVEWLLSGGPSSG
(式中、Xaa2は、Aibであり、
20位のKは、Kの側鎖のε−アミノ基と([2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γGlu)
2−CO−(CH
2)
18−CO
2Hとの結合を通して化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、C末端一級アミドとしてアミド化されている(配列番号8))。
【化11】
【0153】
上記の図は、残基Aib2及びK20のアミノ酸の構造が拡張されているこれらの残基を除いて、標準的な1文字のアミノ酸コードを使用して、配列番号8の化合物(以下「化合物4」と呼ぶ)の構造を描写する。
【0154】
実施例1で使用されるモノ−OtBu−オクタデカン二酸ではなく、3倍の過剰のAA:HATU:DIPEA(1:1:5mol/mol)を使用して、モノ−OtBu−エイコサン二酸(WuXi AppTec,Shanghai,China)が樹脂に18時間にわたってカップリングされることを除いて、実施例1にあるように化合物4を合成する。加えて、追加のアミノ酸Fmoc−Glu−OtBu部分がリンカー合成サイクルに追加される。
【0155】
ペプチドの分子量は、4650.1ダルトンであると計算される一方で、観察された畳み込みを解いた平均分子量は、4650.1ダルトンであると決定され、以下のイオンが観察された。1550.7(M+3H)、1163.3(M+4H)、930.8(M+5H)。
【0156】
物理的特徴
粘度
本発明の化合物の粘度を、以下の設定を有するRheosense mVroc Viscometerにおいて測定する。
(a)シリンジサイズ: 500μLのシリンジ
(b)流量: 100μL/分の流量
(c)平均温度: 25℃
(d)せん断速度: 1934s−1
【0157】
乾燥粉末(化合物)を量り分け、濁った沈殿物として水に溶解させ、1NのNaOHで約pH8.0に滴定する。溶液を超音波処理し、ペプチドが溶解するまで手でかき混ぜる。試料を滅菌濾過する(0.22μmのPVDFフィルタ)。その後、試料をUV−Visによって分析して、原液濃度を評価する。3回×10mMのTris(pH8.0)緩衝液中m−クレゾールを使用して、10mMのTris+3mg/mLのm−クレゾール(pH8.0)中約10重量mg/mLのペプチドの最終濃度まで、溶液を最終濃度に希釈する。粘度分析の直前に、試料を0.22μmのフィルタを通して濾過した。25μLの試料を除去して、分析の前後の濃度をRP−HPLCによって検証する。
【0158】
水及び緩衝液対照試料は、各試料が分析される前後に測定する。各試料の分析の間に、機器を(3回×)緩衝液で洗浄する。試料を個々のシリンジに充填し、分析する。システムとの平衡化を可能にするために、第1の測定は最終計算には含めない。その後、試料を3連で分析する(n=3)。
【0159】
化合物1〜4の粘度を、本質的にこのアッセイに記載されるように測定した。化合物1〜4の粘度データを、表1にまとめる。
【表1】
【0160】
溶解度
本発明の化合物の溶解度を、Agilent1100HPLC、Agilent1200HPLC、及びNanodrop2000において測定する。以下のHPLCカラムを使用する。
(a)RP−HPLC:Waters Symmetry Shield C18、3.6um、4.6×100mm
(b)HPLC−SEC:Tosoh Biosciences、TSK2000
SWXL7.8cm×30mm
【0161】
全てのペプチド濃度を、以下において10mg/mLにする。
(a)10mMのTris(pH8.0)+3mg/mLのm−クレゾール
(b)10mMのTris(pH8.0)+3mg/mLのm−クレゾール+150mMのNaCl
(c)10mMのTris(pH8.0)+3mg/mLの(m−クレゾール)+0.02%のTween−20
(d)PBS(pH7.4)
【0162】
10mMのTris(pH8.0)中に溶解した5mLの10mg/mLのペプチドを、Amicon−ultra3kDa MWCOデバイスを使用して約20mg/mLに濃縮する。Millivex0.22μMフィルタ(PVDF膜)を使用して、溶液を濾過し、NanoDrop分光計によって最終濃度を測定する。この原液を使用して、3×m−クレゾール、10×NaCl、及び100×Tween−20原液を使用して上述の最終状態を製剤化する。5mg/mLで直接溶解させ、Amicon−ultra3kDa MWCOデバイスを使用して濃縮することによって、10mg/mLのPBS溶液もまた調製する。
【0163】
各溶液を4℃の冷蔵庫内に1週間置き、RP−HPLCによる分析をして濃度を評価し、HPLC−SECによる分析をしてHMW種形成を評価する。分析は、T−0週目及びT−1週目に完了した。
【0164】
化合物1〜4の溶解度を、本質的にこのアッセイに記載されるように測定した。化合物1〜4の溶解度データを、表2(a)〜(d)にまとめる。
【表2a】
【表2b】
【表2c】
【表2d】
【0165】
インビトロ機能
組み換えヒトGcg受容体(hGcg−R)及びヒトGLP−1受容体(hGLP−1−R)への、化合物1〜4の結合親和性
シンチレーション近接アッセイ(SPA)法、及びhGcg−RまたはhGLP−1−Rを過剰発現する、293HEK安定トランスフェクト細胞から調製された膜を使用する、放射性リガンド競合結合アッセイを実行して、化合物1〜4の平衡解離定数(K
i)を決定した。実験プロトコル及び結果を、以下に記載する。
【0166】
hGLP−1R結合アッセイ
GLP−1受容体結合アッセイは、組み換えhGLP−1Rを過剰発現する293HEK細胞から単離した、クローン化hGLP−1−R(Graziano MP,Hey PJ,Borkowski D,Chicchi GG,Strader CD,Biochem Biophys Res Commun.196(1):141−6,1993)を使用する。hGLP−1R cDNAを、発現プラスミドphD(Trans−activated expression of fully gamma−carboxylated recombinant human protein C,an antithrombotic factor.Grinnell,B.W.,Berg,D.T.,Walls,J.and Yan,S.B.Bio/Technology5:1189−1192,1987)へとサブクローニングする。このプラスミドDNAを、293HEK細胞へとトランスフェクトし、200μg/mLのハイグロマイシンで選択する。
【0167】
接着培養物に由来する細胞を使用して、粗血漿膜を調製する。50mMのTris HCl(pH7.5)及びRoche Complete(商標)プロテアーゼ阻害剤(EDTA含有)を含有する低張緩衝液中、細胞を氷上で溶解させる。Teflon(登録商標)内筒を備えた、ガラス製Potter−Elvehjemホモジナイザーを使用して、細胞懸濁液を25回撹乱する。ホモジネートを4℃、1100×gで10分間遠心分離する。上清を回収し、氷上で貯蔵する一方で、ペレットを低張緩衝液中に再懸濁し、再ホモジナイズする。混合物を1100×gで10分間遠心分離する。第2の上清を第1の上清と合わせ、35000×g、4℃で1時間遠心分離する。プロテアーゼ阻害剤を含有する均質化緩衝液中に膜ペレットを再懸濁し、液体窒素中で急速凍結し、使用するまで−80℃の冷凍庫内でアリコートとして貯蔵する。
【0168】
GLP−1を、I−125−ラクトペルオキシダーゼ手順によって放射ヨウ素標識し、Perkin−Elmer(NEX308)で逆相HPLCによって精製する。特異的活性は、2200Ci/mmolである。I−125 GLP−1材料中の高プロパノール含有量のために、飽和結合の代わりに相同競合によって、K
D決定を実行する。K
Dを1.24nMであると推定し、試験した全ての化合物のK
i値の計算に使用する。
【0169】
小麦胚芽凝集素(WGA)ビーズ(Perkin Elmer)を有するシンチレーション近接アッセイ(SPA)形式を使用して、受容体結合アッセイを実行する。結合緩衝液は、25mMの4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)(pH7.4)、2.5mMのCaCl
2、1mMのMgCl
2、0.1%(w/v)のバシトラシン(Affymetrix)、0.003%(w/v)のポリエチレンソルビタンモノラウレート(TWEEN(登録商標)−20)、及びRoche Complete(商標)プロテアーゼ阻害剤(無EDTA)を含有する。GLP−1をDMSO中に0.339mg/mL(0.1mM)で溶解させ、100μLのアリコートで、−20℃の凍結状態で貯蔵する。GLP−1アリコートを希釈し、1時間以内に結合アッセイに使用する。ペプチド類似体をジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解させ、100%のDMSO中で3倍に段階希釈する。次に、45μLのアッセイ結合緩衝液または未標識のGLP−1対照(0.25μM最終で非特異的結合(NSB))を含有する、Corning(登録商標)3632底部透明アッセイプレートに、5μLの段階希釈した化合物またはDMSOを移す。その後、50μLのhGLP−1R膜(0.5μg/ウェル)、50μLのI−125 GLP−1(0.15nM最終)、及び50μLのWGAビーズ(150μg/ウェル)を添加し、プレートを密封し、プレートシェーカー(設定6)で1分間混合する。室温で12時間の設定時間後、PerkinElmer Trilux MicroBeta(登録商標)シンチレーション計数器でプレートを読み取る。
【0170】
結果を、化合物の存在下での特異的I−125−GLP−1結合のパーセントとして計算する。I−125−GLP−1の特異的結合パーセント対添加した化合物の濃度の非線形回帰によって、化合物の絶対IC
50濃度を導出する。チェン−プルソフ等式(Cheng,Y.,Prusoff,W.H.,Biochem.Pharmacol.22,3099−3108,(1973))を使用して、IC
50濃度をK
iに変換する。
【0171】
hGLP−1−Rでの、化合物1〜4、ヒトGcg、及びヒトGLP−1(7−36)NH
2のK
iを、以下の表3に示す。複製の数(n)を括弧内に示す。(>)の修飾語は、阻害%が50%に到達せず、K
iの計算値を試験した最高濃度を使用して得ていることを示す。n=1/nは、全ての値が>の符号を有する場合、平均が計算されず、示される値が最高の計算値であることを示す。
【表3】
【0172】
hGcg−R結合アッセイ
Gcg受容体結合アッセイは、組み換えhGcg−Rを過剰発現する293HEK細胞から単離した、クローン化hGcg−R(Lok,S,et. al.,Gene140(2),203−209(1994))を利用する。hGcg−R cDNAを、発現プラスミドphD(Trans−activated expression of fully gamma−carboxylated recombinant human protein C,an antithrombotic factor.Grinnell,B.W.,et. al.,Bio/Technology5:1189−1192(1987))へとサブクローニングする。このプラスミドDNAを、293HEK細胞へとトランスフェクトし、200μg/mLのハイグロマイシンで選択する。
【0173】
接着培養物に由来する細胞を使用して、粗血漿膜を調製する。50mMのTris HCl(pH7.5)及びRoche Complete(商標)プロテアーゼ阻害剤(EDTA含有)を含有する低張緩衝液中、細胞を氷上で溶解させる。Teflon(登録商標)内筒を備えた、ガラス製Potter−Elvehjemホモジナイザーを使用して、細胞懸濁液を25回撹乱する。ホモジネートを4℃、1100×gで10分間遠心分離する。上清を回収し、氷上で貯蔵する一方で、ペレットを低張緩衝液中に再懸濁し、再ホモジナイズする。混合物を1100×gで10分間遠心分離する。第2の上清を第1の上清と合わせ、35000×g、4℃で1時間遠心分離する。プロテアーゼ阻害剤を含有する均質化緩衝液中に膜ペレットを再懸濁し、液体窒素中で急速凍結し、使用するまで−80℃の冷凍庫内でアリコートとして貯蔵する。
【0174】
Gcgを、I−125−ラクトペルオキシダーゼ手順によって放射ヨウ素標識し、Perkin−Elmer(NEX207)で逆相HPLCによって精製する。特異的活性は、2200Ci/mmolである。I−125 Gcg材料中の高プロパノール含有量のために、飽和結合の代わりに相同競合によって、K
D決定を実行する。K
Dを3.92nMであると推定し、試験した全ての化合物のK
i値の計算に使用する。
【0175】
小麦胚芽凝集素(WGA)ビーズ(Perkin Elmer)を有するシンチレーション近接アッセイ(SPA)形式を使用して、受容体結合アッセイを実行する。結合緩衝液は、25mMのHEPES(pH7.4)、2.5mMのCaCl
2、1mMのMgCl
2、0.1%(w/v)のバシトラシン(Affymetrix)、0.003%(w/v)のポリエチレンソルビタンモノラウレート(TWEEN(登録商標)−20)、及びRoche Complete(商標)プロテアーゼ阻害剤(無EDTA)を含有する。GcgをDMSO中に3.48mg/mL(1mM)で溶解させ、100μLのアリコートで、−20℃の凍結状態で貯蔵する。Gcgアリコートを希釈し、1時間以内に結合アッセイに使用する。ペプチド類似体をDMSO中に溶解させ、100%のDMSO中で3倍に段階希釈する。次に、45μLのアッセイ結合緩衝液または未標識のGcg対照(1μM最終でNSB)を含有する、Corning(登録商標)3632底部透明アッセイプレートに、5μLの段階希釈した化合物またはDMSOを移す。その後、50μLのhGcg−R膜(0.5μg/ウェル)、50μLのI−125 Gcg(反応中0.15nM最終)、及び50μLのWGAビーズ(150μg/ウェル)を添加し、プレートを密封し、プレートシェーカー(設定6)で1分間混合する。室温で12時間の設定時間後、PerkinElmer Trilux MicroBeta(登録商標)シンチレーション計数器でプレートを読み取る。
【0176】
結果を、化合物の存在下での特異的I−125−Gcg結合のパーセントとして計算する。I−125−Gcgの特異的結合パーセント対添加した化合物の濃度の非線形回帰によって、化合物の絶対IC
50濃度を導出する。チェン−プルソフ等式)Cheng,Y.,Prusoff,W.H.,Biochem.Pharmacol.22,3099−3108,(1973))を使用して、IC
50濃度をK
iに変換する。 hGcg−Rでの、化合物1〜4、ヒトGcg、及びヒトGLP−1(7−36)NH
2のK
iを、以下の表4に示す。複製の数(n)を括弧内に示す。(>)の修飾語は、阻害%が50%に到達せず、K
iの計算値を試験した最高濃度を使用して得ていることを示す。n=1/2は、全ての値が>の符号を有する場合、平均が計算されず、示される結果値が最高の計算値であることを示す。
【表4】
【0177】
機能的hGLP−1−R及びhGcg−Rアッセイ
HEK−293クローン細胞株を発現するhGLP−1−R及びhGcg−Rにおける、機能的活性を決定する。実験プロトコル及び結果を、以下に記載する。
【0178】
40μlのアッセイ容積中、1×GlutaMAX(商標)(0.85%のNaCl中のL−アラニル−L−グルタミンジペプチド、Gibcoカタログ番号35050)、0.25%のFBS(透析ウシ胎仔血清、Gibcoカタログ番号26400)、0.05%のFraction V BSA(ウシアルブミンFraction V、Gibcoカタログ番号15260)、250μMのIBMX(3−イソブチル−1−メチルキサンチン)、及び20mMのHEPES[N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N′−(2−エタンスルホン酸)、HyCloneカタログ番号SH30237.01]で補助した、DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle Medium、Gibcoカタログ番号31053)中のペプチドで、細胞株を過剰発現する各受容体を処理する。室温で60分間のインキュベーション後、結果として得られる細胞内cAMP(アデノシン3’,5’−環状一リン酸)の増加を、CisBio cAMP Dynamic2HTRF Assay Kit(62AM4PEJ)を使用して定量的に決定する。細胞溶解緩衝液(20μl)中のcAMP−d2結合体、その後、これもまた細胞溶解緩衝液(20μl)中の抗体抗cAMP−Eu
3+−クリプテートを添加することによって、細胞内のcAMPレベルを検出する。結果として得られる競合アッセイを、室温で少なくとも60分間インキュベートし、その後、PerkinElmer Envision(登録商標)機器(320nmでの励起ならびに665nm及び620nmでの発光)を使用して検出する。Envision単位(665nm/620nmでの発光*10,000)は存在するcAMPの量に反比例し、cAMP標準曲線を使用して、これを1ウェル当たりのnM cAMPに変換する。各ウェル内で生成したcAMPの量(nM)を、10nMのヒトGLP−1(7−36)NH
2または10nMのヒトGcgのいずれかについて観察された最大反応のパーセントに変換する。
【0179】
4パラメータロジスティック方程式(Genedata Screener(登録商標))に当てはめた、最大反応パーセント対添加したペプチドの濃度を使用して、非線形回帰分析によって、相対EC
50値及び最高パーセント(E
max)を導出する。
【0180】
化合物1〜4、ヒトGLP−1(7−36)NH
2、ヒトGcg、及び野生型ヒトOXMの機能的データを、以下の表5に示す。EC
50の平均を幾何平均±平均値の標準誤差(SEM)として表し、複製の数(n)を括弧内に示す。E
maxの平均を、加算平均±標準誤差として表す。NDは、アゴニスト活性が検出されなかったことを示す。示される全ての値は、三(3)桁の有効数字までである。
【表5】
【0181】
膵島細胞腺腫細胞株INS1 832−3内のラットGLP−1−Rの機能的活性化
ラット膵臓ベータ細胞株INS1 832−3細胞を使用して、内在性GLP−1受容体でcAMP生成を刺激することに対する化合物1〜4の機能的活性を決定する。37℃、5%のCO
2のインキュベーター内で、10%のウシ胎仔血清、10mMのHEPES、1mMのピルビン酸ナトリウム、2mMのL−グルタミン、50μMの2−メルカプトエタノール、及び100U/mlのペニシリン/100μg/mlのストレプトマイシンで補助した、RPMI1640培地(HyClone、カタログ番号SH30027)中で細胞を維持し、1週間に2回通過させる。
【0182】
アッセイの実行には、Enzyme Free Cell Stripperを使用して培養フラスコから細胞を脱離させることが必要であり、室温、1000rpmで5分間の遠心分離によって、ペレット化する。細胞ペレットを、11.2mMのグルコース及び0.1%のBSAで補助したアール平衡塩類溶液(EBSS)中に再懸濁する。密度1×10
6/mlの40μlの細胞懸濁液を、96ウェルの半面積黒色プレート(Costar3875)上に置き、回収及び飢餓のために、37℃、5%のCO
2のインキュベーター内で2時間インキュベートする。100%のDMSO中、100倍の最終試験濃度で試験化合物の段階希釈物を調製し、11.2mMのグルコース、0.1%のBSA、及び1.25mMのIBMX(Sigma I−7816)で補助したEBSS中で、更に20倍に希釈する。2時間の飢餓の後、10μlの5×化合物希釈物を細胞プレート(n=2)に添加することによって細胞を化合物で処理し、37℃、5%のCO
2のインキュベーター内で30分間インキュベートする。
【0183】
HTRF cAMPアッセイキット(Cisbio)を使用してcAMP濃度を測定し、細胞溶解緩衝液(20μl)中のcAMP−d2結合体、その後、これもまた細胞溶解緩衝液(20μl)中の抗体抗cAMP−Eu
3+−クリプテートを、プレートの細胞に添加する。結果として得られる競合アッセイを、室温で少なくとも60分間インキュベートし、後続して、PerkinElmer Envision(登録商標)機器(320nmでの励起ならびに665nm及び620nmでの発光)を使用して検出する。Envision単位(665nm/620nmでの発光*10,000)は存在するcAMPの量に反比例し、cAMP標準曲線を使用して、これを1ウェル当たりのnM cAMPに変換する。
【0184】
cAMP標準曲線を使用して、各ウェル内のcAMPの濃度(nM)を計算し、曲線当てはめのために、300nMで天然GLP−1ペプチドについて観察された最大反応のパーセントに変換した。
【0185】
4パラメータロジスティック方程式(GraphPad Prism(バージョン6.05)ソフトウェア)に当てはめた、最大反応パーセント対添加したペプチドの濃度を使用して、非線形回帰分析によって、相対EC
50値及び最高パーセント(%E
max)を導出する。アッセイを2連のプレートで実行する。複製の数(n)を括弧内に示す。
【0186】
野生型ヒトOXM、セマグルチド、ならびに化合物1及び2のEC
50及び%E
maxを、本質的に上述のように計算した。これらの化合物のEC
50及び%E
maxデータを、表6に提供する。更に、化合物1及び2は、用量依存的様式でcAMP生成を増加させた(データ示さず)。
【表6】
【0187】
初代ヒト肝細胞内のhGcg−Rの機能的活性化
初代ヒト肝細胞を使用して、内在性Gcg受容体でcAMP生成を刺激することに対する化合物の機能的活性を決定する。
ヒト初代肝細胞のバイアルを、液体窒素タンク内で凍結する。取り外し時、37℃の温度を有する水浴中で直ちにバイアルを解凍する。その後、細胞懸濁液を、50mlのCHRM(Gibco/Life Technologiesカタログ番号CM7000Cryopreserved Hepatocyte Recovery Medium)に移す。
【0188】
細胞懸濁液を1,000×gで10分間遠心分離する。吸引によってCHRMを除去した後、細胞ペレットを5mlのプレーティング培地中に再懸濁する。CM3000Supplement Packsの全含有物を500mlのWilliams Media(Gibco/Life Technologies)に添加し、その後、0.22μmの膜を通して滅菌濾過することによって、プレーティング培地を調製する。
【0189】
細胞密度を血球計数器で計数し、100μlの細胞懸濁液を100μlのトリパンブルー(HyClone Trypan Blue0.04%、カタログ番号SV30084.01)に添加する。細胞懸濁液をプレーティング培地中に更に希釈して、1ml当たり0.8×10
6個の細胞の最終細胞密度にする。65mlのプレーティング培地を、コラーゲンコーティングされた96ウェルプレート(Corning BioCoat、カタログ番号354649、ロット番号22314033)の各ウェルに添加する。その後、65mlの細胞懸濁液を、コラーゲンコーティングされた96ウェルプレートの各ウェルに添加して、1ウェル当たり50,000個の細胞の最終細胞密度にする。細胞プレートを、37℃、5%のCO
2のインキュベーター内で3〜4時間インキュベートする。
【0190】
3〜4時間のインキュベーションの後、培地を吸引し、100mlの維持培地と交換する。CM4000Supplement Packsの全含有物を500mlのWilliams Media(Gibco/Life Technologies)に添加し、その後、0.22μmの膜を通して滅菌濾過することによって、維持培地を調製する。細胞プレートを、cAMPアッセイの準備のために、37℃、5%のCO
2インキュベーターに一晩戻す。
【0191】
アッセイの準備のために、化合物1及び2ならびに野生型ヒトOXMを、10個の濃度のために、化合物アッセイ緩衝液(20mMのHEPES及び1%の熱失活FBSを含有するHBSS)中で3倍の段階希釈に供する。
【0192】
細胞プレートをインキュベーターから取り外し、穏やかな吸引によって、細胞単層を撹乱することなく培地を除去する。40μlの細胞アッセイ緩衝液及び40μlの試験溶液(すなわち、化合物アッセイ緩衝液中に希釈された、化合物1、化合物2、または野生型ヒトOXM)を細胞プレートに添加し、穏やかに撹拌しながら室温で1時間インキュベートすることによって、細胞を処理する。
【0193】
HTRF cAMPアッセイキット(Cisbio)を使用してcAMP濃度を測定し、細胞溶解緩衝液(40μl)中のcAMP−d2結合体、その後、これもまた細胞溶解緩衝液(40μl)中の抗体抗cAMP−Eu
3+−クリプテートを、プレートの細胞に添加する。結果として得られる競合アッセイを、室温で少なくとも60分間インキュベートし、その後、PerkinElmer Envision(登録商標)機器(320nmでの励起ならびに665nm及び620nmでの発光)を使用して検出する。Envision単位(665nm/620nmでの発光*10,000)は存在するcAMPの量に反比例し、cAMP標準曲線を使用して、これを1ウェル当たりのnM cAMPに変換する。
【0194】
cAMP標準曲線を使用して、各ウェル内のcAMPの濃度(nM)を計算し、曲線当てはめのために、飽和C18脂肪酸(二塩基酸)に結合しているGcg類似体について観察された最大反応のパーセントに変換する。
【0195】
4パラメータロジスティック方程式(GraphPad Prism(バージョン6.05)ソフトウェア)に当てはめた、最大反応パーセント対添加したペプチドの濃度を使用して、非線形回帰分析によって、相対EC
50値及び最高パーセント(%E
max)を導出する。
【0196】
化合物1及び2、ならびに野生型ヒトOXMのEC
50及び%E
maxを、本質的に上述のように計算した。これらの化合物のEC
50及び%E
maxデータを、表7に提供する。更に、化合物1及び2は、用量依存的様式でcAMP生成を増加させた(データ示さず)。複製の数(n)を括弧内に示す。
【表7】
【0197】
薬物動態
カニクイザルにおける薬物動態
本発明の化合物のインビボ薬物動態特性を、カニクイザルを使用して実証する。
【0198】
50nmole/kgまたは250nmole/kgの単回静脈内または皮下用量によって、化合物を投与する。投与量の4、8、12、24、48、72、96、120、144、168、192、240、288、208、480、576、及び672時間後に、各動物から血液を回収する。
【0199】
LC/MS法によって、化合物の血漿濃度を決定する。簡潔には、アセトニトリルを使用して、100%のサル血漿(25μl)から本発明の化合物を抽出する。化合物を液体層内に配置して遠心分離すると、2つの異なる層が形成される。80μlのアリコートの上清を96ウェルプレートに移し、150μlの水及び25μlのギ酸で希釈した。希釈した試料(10μl)を、Supelco Analytical Discovery BIO Wide Pore C5−3(5cm×1mm、3μmカラム)上に注射した。カラム流出液を、検出及び定量化のためにThermo Q−Exactive質量分析計へと配向する。
【0200】
このアッセイについて本質的に上述のように実行した実験において、カニクイザルに、0.20mL/kgの容積で、40mMのTris HCl(pH8.0)中の単回皮下(50nmole/kg)用量の化合物1を投与した。用量の2(静脈内のみ)、7、12、24、48、72、96、120、168、192、240、336、480、576、及び672時間後に、各動物から血液を回収した。
【0201】
他のカニクイザルに、0.20mL/kgの容積で、40mMのTris HCl(pH8.0)中の単回静脈内(50nmole/kg)または皮下(50もしくは250nmole/kg)用量の化合物2を投与した。用量の2(静脈内のみ)、7、12、24、48、72、96、120、168、192、240、336、480、576、及び672時間後に、各動物から血液を回収した。
【0202】
化合物1のデータを表9に提供し、化合物2のデータを表10に提供する。
【0203】
化合物1は、50nmol/kgの皮下用量の約12時間後に、平均最高血漿濃度に到達した。平均半減期は57時間であり、平均クリアランスは2.16mL/時/kgである(表8)。
【0204】
化合物2は、50nmol/kgの皮下用量の約24時間後に、平均最高血漿濃度に到達した。平均半減期は122時間であり、平均クリアランスは0.55mL/時/kgである(表9)。
【表8】
【表9】
【0205】
インビボ研究
DIOマウスにおける経口グルコース耐性試験(OGTT)
食事性肥満(DIO)マウスモデルは、インスリン耐性のモデルである。Taconic Biosciencesからの生後5〜6ヶ月の雄のDIOマウス(C57BL/6)を、この研究に使用する。12時間の明/暗サイクル(光は06:00点灯)ならびに食餌及び水の自由摂取を有する、温度制御(24℃)した施設内に、動物を個々に収容する。施設に対する順化期間は、2週間である。研究の前日、動物を、それらの体重に基づいて無作為に群に分ける。同日の午後、清潔なケージ内で動物を絶食させ、ビヒクル(40mMのTris−HCl、pH8.0)または試験物品を皮下注射によって投薬する。翌朝、ペプチド注射の16時間後、絶食体重を得て、グルコース用量を計算する。血液試料を取得して、ゼログルコース時間を測定する。その後、動物にグルコースの経口胃管栄養(2g/kg)を与える。経口グルコースの15、30、60、及び120分後、血糖計を介して2回のグルコース読み取りを得た。2回のグルコース読み取りの平均を各時点で報告し、曲線下面積を計算する。JMP6によるダネット比較を有するANOVAを使用して、統計を分析し、有意性をp≦0.05でビヒクルに対して表す。
【0206】
このアッセイにおいて本質的に上述のように実行した実験において、化合物2は、耐性試験中、グルコースの用量依存的低下を示し、グルコースAUCは、試験した3つ全ての用量(1、3、及び10nmol/kg)で低下した(表10)。
【表10】
【0207】
ストレプトゾトシン(STZ)で治療したDIOマウスにおけるOGTT
STZで治療したマウスモデルは、初期糖尿病のモデルである。Taconic Biosciencesからの生後5〜6ヶ月の雄のDIOマウス(C57BL/6)を、この研究に使用する。12時間の明/暗サイクル(光は6:00点灯)ならびに食餌及び水の自由摂取を有する、温度制御(24℃)した施設内に、動物を個々に収容する。2週間の施設に対する順化後、火曜日及び金曜日に、マウスに50mg/kgのSTZを腹腔内注射する。注射の2週間後、09:00に180〜300mg/dLのグルコースレベルを有する動物を、OGTT研究のために選択する。研究の前日、動物を、体重及びそれらのグルコースレベルに基づいて無作為に群に分ける。食餌除去の直前(16:00)に、動物にビヒクルまたは試験物品を皮下注射によって注射する。翌朝08:00に、化合物注射の16時間後、血液試料を取得して、ゼログルコース時間を測定する。動物に2g/kgのグルコースの経口用量を与える。経口グルコース負荷の15、30、60、及び120分後、グルコースを測定する。JMP6によるダネット比較を有するANOVAを使用して、統計を分析する。有意性をp≦0.05でビヒクルに対して表す。
【0208】
このアッセイにおいて本質的に上述のように実行した実験において、化合物2は、耐性試験中、グルコース変動の用量依存的低下を示した。グルコースAUCは、試験した3つ全ての用量(1、3、及び10nmol/kg)で低下した(表11)。
【表11】
【0209】
DIOマウスにおける血糖制御
Taconic Biosciencesからの生後5〜6ヶ月の雄のDIOマウス(C57BL/6)を、この研究に使用する。12時間の明/暗サイクル(光は6:00点灯)ならびに食餌及び水の自由摂取を有する、温度制御(24℃)した施設内に、動物を個々に収容する。2週間の施設に対する順化後、マウスを、それらの体重及び血糖に基づいて無作為に治療群に分ける(n=7/群)。マウスに、ビヒクルまたは化合物(25nmol/kg)を一度皮下注射する。注射の2及び8時間後、ならびにその後4日間、1日1回08:00に血糖を監視する。ペプチド注射の44及び78時間後、OGTTを実行する。JMP6によるダネット比較を有するANOVAを使用して、統計を分析する。有意性をp≦0.05でビヒクルに対して表す。
【0210】
このアッセイにおいて本質的に上述のように実行した実験において、化合物2及び化合物4で治療したマウスは、最大注射の96時間後まで、ビヒクル対照よりも低いグルコースを有した。化合物2及び化合物4で治療したマウスは、OGTTを実行した場合、経口グルコース負荷後の両方の時点で、より低いグルコース変動を有した。
【0211】
化合物1及び化合物3は、最大72時間血糖を低下させた(表12)。化合物1及び化合物3で治療したマウスは、経口グルコース負荷後、ペプチド注射の44時間後に、より低いグルコース変動を有した(表13)。
【表12】
【表13】
【0212】
DIOマウスにおける慢性治療
DIOマウスにおいて、食物摂取及び体重/体脂肪に対する影響を評価する。Taconic Biosciencesからの生後5〜6ヶ月のDIOマウス(C57BL/6)を、この研究に使用する。12時間の明/暗サイクル(光は6:00点灯)ならびに食餌及び水の自由摂取を有する、温度制御(24℃)した施設内に、動物を個々に収容する。マウスを施設に2週間順化させる。研究開始の前日、Echo Medical System(Houston,TX)機器を使用して、核磁気共鳴(NMR)によって体脂肪量を測定する。マウスを、それらの体重及び体脂肪量に基づいて無作為に治療群に分けて、各群が類似した開始平均体重及び体脂肪量を有するようにする(N=7/群)。15日間3日に1回、8〜10amの間に、自由摂取マウスに、ビヒクル(40mMのTris−HCl、pH8.0)、試験化合物、または陽性対照セマグルチドを皮下(SC)注射によって投与する。1、4、7、10、及び13日目に皮下注射を行う。研究を通して、各注射の直前に体重及び食物摂取を測定する。体重の変化パーセントを以下のように計算する。
【数1】
【0213】
研究の完了時、NMRによって総体脂肪量を再度測定する。JMP6によるダネット比較を有するANOVAを使用して、統計を分析する。有意性をp≦0.05でビヒクルに対して表す。
【0214】
このアッセイにおいて本質的に上述のように実行した実験において、以下の表14に示されるように、化合物1〜4は、食物摂取及び体重/体脂肪を減少させる。
【表14】
【0215】
DIOマウスにおける急性治療
体重減少とは独立して、本発明の化合物の治療に関与する代謝経路を調査するために、DIOマウス(C57BL/6)において化合物を急性的に試験する。使用したマウスは、生後3〜4ヶ月であり、少なくとも4週間高脂肪食を与えている。12時間の明/暗サイクル(光は6:00点灯)ならびに食餌及び水の自由摂取を有する、温度制御(24℃)した施設内に、動物を個々に収容する。研究の前日の16:00に、マウスにビヒクルまたは試験化合物を皮下注射によって投与した。16時間後に動物を屠殺して、心臓穿刺を介して血液を回収した。JMP6のダネット比較を有するANOVAを使用して、統計を分析する。有意性をp≦0.05でビヒクルに対して表す。
【0216】
このアッセイにおいて本質的に上述のように実行した実験において、化合物1〜3は、表15に示されるように、血清コレステロール及びPCSK9レベルを低下させ、FGF−21レベルを増加させる。対照的に、セマグルチドでの治療は、血清コレステロール及びPCSK9レベルを低下させず、FGF−21レベルを増加させる。食物摂取は、全ての治療群において類似したレベルまで低下し、これは、コレステロール、PCSK9、及びFGF−21の変化が食物摂取とは独立していることを示し得る。
【表15】
【0217】
DIOマウスにおけるエネルギー消費に対する影響
この研究において、45〜50gの体重の、生後7〜8ヶ月の雄のDIOマウス(C57BL/6)を使用して、エネルギー代謝に対する本発明の化合物の影響を評価する。12時間の明/暗サイクル(光は22:00点灯)ならびに食餌(TD95217)(Teklad)及び水の自由摂取を有する、温度制御(24℃)した施設内に、動物を個々に収容する。2週間の施設に対する順化後、マウスを、体重に基づいて無作為に治療群に分けて、各群が類似した開始平均体重を有するようにする(N=6/群)。8日間の順化の間、動物をPhenoMaster/LabMaster熱量計(TSE Systems,Chesterfield,MO)内に置く。15日間3日に1回、暗サイクルの開始の30〜90分前に、ビヒクル(40mMのTris HCl緩衝液、pH8.0、10ml/kg)、試験物品(15nmol/kg)、またはセマグルチド(60nmol/kg)を、自由摂食DIOマウスに皮下投与する。
【0218】
記載される間接熱量測定によって、開回路熱量測定システムを使用して熱及び呼吸商(RER)を測定する。RERは、生成したCO
2の容積(VCO
2)対消費されたO
2(VO
2)の容積の比率である。除脂肪体重を考慮して、熱を計算する。エネルギー消費は、kcal/kg/3日であり、1群当たり6匹のマウスの平均±平均値の標準誤差として表される。二元配置ANOVA、その後、チューキー多重比較試験によって、統計学的有意性を評価する。
【0219】
このアッセイにおいて本質的に上述のように実行した実験において、化合物1及び2で治療したマウスは、2週目からそれらの代謝率が増加し始め、表16に示される治療期間を通して効果を維持した。しかしながら、セマグルチドは、代謝率には影響を有さなかった。この代謝率の増加は、セマグルチドの投与と比較して、化合物1及び2の投与に伴って観察される追加の体重減少に寄与し得る。
【表16】
【0220】
アミノ酸配列
配列番号1(ヒトOXM)
His−Ser−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Ser−Arg−Arg−Ala−Gln−Asp−Phe−Val−Gln−Trp−Leu−Met−Asn−Thr−Lys−Arg−Asn−Arg−Asn−Asn−Ile−Ala
(HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNTKRNRNNIA)
配列番号2(人工配列)
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Xaa28−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(HXaa2QGTFTSDYSKYLDEKKAKEFVEWLLXaa28GGPSSG)
(式中、Xaa2は、Aibであり、
Xaa28は、Glu(E)またはSer(S)であり、
20位のLysは、(i)直接結合または(ii)20位のLysとC14−C24脂肪酸との間のリンカーを介して、Lysの側鎖のε−アミノ基とC14−C24脂肪酸との結合によって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、任意にアミド化されている)。
配列番号3(人工配列)
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Glu−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(HXaa2QGTFTSDYSKYLDEKKAKEFVEWLLEGGPSSG)
(式中、Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、(i)直接結合または(ii)20位のLysとC14−C24脂肪酸との間のリンカーを介して、Lysの側鎖のε−アミノ基とC14−C24脂肪酸との結合によって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、任意にアミド化されている)。
配列番号4(人工配列)
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Ser−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly(HXaa2QGTFTSDYSKYLDEKKAKEFVEWLLSGGPSSG)
(式中、Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、(i)直接結合または(ii)20位のLysとC14−C24脂肪酸との間のリンカーを介して、Lysの側鎖のε−アミノ基とC14−C24脂肪酸との結合によって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、任意にアミド化されている)。
配列番号5(人工配列)
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Glu−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(HXaa2QGTFTSDYSKYLDEKKAKEFVEWLLEGGPSSG)
(式中、Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lysの側鎖のε−アミノ基と([2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γ−Glu)−CO−(CH
2)
16CO
2Hとの結合によって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている)。
配列番号6(人工配列)
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Glu−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(HXaa2QGTFTSDYSKYLDEKKAKEFVEWLLEGGPSSG)
(式中、Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lysの側鎖のε−アミノ基と([2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γ−Glu)−CO−(CH
2)
18CO
2Hとの結合によって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている)。
配列番号7(人工配列)
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Ser−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(HXaa2QGTFTSDYSKYLDEKKAKEFVEWLLSGGPSSG)
(式中、Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lysの側鎖のε−アミノ基と([2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γ−Glu)
2−CO−(CH
2)
16CO
2Hとの結合によって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている)。
配列番号8(人工配列)
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Ser−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(HXaa2QGTFTSDYSKYLDEKKAKEFVEWLLSGGPSSG)
(式中、Xaa2は、Aibであり、
20位のLysは、Lysの側鎖のε−アミノ基と([2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γ−Glu)
2−CO−(CH
2)
18CO
2Hとの結合によって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、アミド化されている)。
配列番号9(人工配列)
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Xaa28−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(HXaa2QGTFTSDYSKYLDEKKAKEFVEWLLXaa28GGPSSG)
(式中、Xaa2は)、Aibであり、
Xaa28は、Glu(E)またはSer(S)であり、
C末端アミノ酸は、任意にアミド化されている)。
配列番号10(人工配列)
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Glu−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(HXaa2QGTFTSDYSKYLDEKKAKEFVEWLLEGGPSSG)
(式中、Xaa2は、Aibであり、
C末端アミノ酸は、任意にアミド化されている)。
配列番号11(人工配列)
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Ser−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
(HXaa2QGTFTSDYSKYLDEKKAKEFVEWLLSGGPSSG)
(式中、Xaa2は、Aibであり、
C末端アミノ酸は、任意にアミド化されている)。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 以下の式の化合物またはその薬学的に許容される塩:
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Xaa28−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
Xaa28は、GluまたはSerであり、
20位のLysは、(i)直接結合または(ii)前記20位のLysとC14−C24脂肪酸との間のリンカーを介して、前記Lysの側鎖のε−アミノ基と前記C14−C24脂肪酸との結合によって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、任意にアミド化されている(配列番号2)]。
[2] Xaa28がGluである、[1]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[3] Xaa28がSerである、[1]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[4] 前記20位のLysが、前記20位のLysとC14−C24脂肪酸との間のリンカーを介して、前記C14−C24脂肪酸との結合によって化学修飾されている、[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[5] 前記リンカーが、以下からなる群から選択される、[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩:
(a)以下の式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレート
【化12】
(式中、mは、1〜12の任意の整数であり、nは、1〜12の任意の整数であり、pは、1または2である)、
(b)アルギニン(Arg)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン(Gln)、グルタミン酸(Glu)、ヒスチジン(His)、リジン(Lys)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、シトルリン(Cit)、オルニチン(Orn)、サルコシン(Sar)、グリシン(Gly)、γ−アミノ酪酸(γ−Abu)、及びγ−グルタミン酸(γ−Glu)からなる群から選択されるアミノ酸、
(c)Ala−Ala、β−Ala−β−Ala、Glu−Glu、Gly−Gly、Leu−Leu、Pro−Pro、Ser−Ser、Thr−Thr、γ−グルタミン酸(γ−Glu)−γ−グルタミン酸(γ−Glu)、Glu−γ−グルタミン酸(γ−Glu)、γ−グルタミン酸(γ−Glu)−Glu、γ−アミノ酪酸(γ−Abu)−γ−アミノ酪酸(γ−Abu)、6−アミノヘキサン酸−6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸−5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸−7−アミノヘプタン酸、及び8−アミノオクタン酸−8−アミノオクタン酸からなる群から選択されるジペプチド、
(d)Ala−Ala−Ala、β−Ala−β−Ala−β−Ala、Glu−Glu−Glu、γ−Glu−γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu−γ−Glu、γ−Glu−γ−Glu−Glu、γ−Glu−Glu−γ−Glu、Gly−Gly−Gly、Gly−Gly−Ser、Ser−Gly−Gly、Gly−Ser−Gly、Gly−Gly−Glu、Glu−Gly−Gly、Gly−Glu−Gly、Gly−Gly−γ−Glu、γ−Glu−Gly−Gly、Gly−γ−Glu−Gly、Leu−Leu−Leu、Pro−Pro−Pro、及びγ−Abu−γ−Abu−γ−Abuからなる群から選択されるトリペプチド、
(e)(Gly−Gly−Ser)q(Gly−Gly−Gly−Ser)r及び(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)r、(6−アミノヘキサン酸)s、(5−アミノ吉草酸)s、(7−アミノヘプタン酸)s、及び(8−アミノオクタン酸)s(式中、qは、2〜5の任意の整数であり、rは、1〜3の任意の整数であり、sは、4〜15の任意の整数である)からなる群から選択されるポリペプチド、ならびに
(f)前記(a)で定義される式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートが、以下の(i)〜(iv)のいずれかと結合している結合リンカー:
(i)Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、His、Lys、Pro、Ser、Thr、Cit、Orn、Sar、Gly、γ−Abu、及びγ−Gluからなる群から選択されるアミノ酸、
(ii)Ala−Ala、β−Ala−β−Ala、Glu−Glu、Gly−Gly、Leu−Leu、Pro−Pro、Ser−Ser、Thr−Thr、γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu、γ−Glu−Glu、γ−Abu−γ−Abu、6−アミノヘキサン酸−6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸−5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸−7−アミノヘプタン酸及び8−アミノオクタン酸−8−アミノオクタン酸からなる群から選択されるジペプチド、
(iii)Ala−Ala−Ala、β−Ala−β−Ala−β−Ala、Glu−Glu−Glu、γ−Glu−γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu−γ−Glu、γ−Glu−γ−Glu−Glu、γ−Glu−Glu−γ−Glu、Gly−Gly−Gly、Gly−Gly−Ser、Ser−Gly−Gly、Gly−Ser−Gly、Gly−Gly−Glu、Glu−Gly−Gly、Gly−Glu−Gly、Gly−Gly−γ−Glu、γ−Glu−Gly−Gly、Gly−γ−Glu−Gly、Leu−Leu−Leu、Pro−Pro−Pro、及びγ−Abu−γ−Abu−γ−Abuからなる群から選択されるトリペプチド、または
(iv)(Gly−Gly−Ser)q(Gly−Gly−Gly−Ser)r及び(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)r、(6−アミノヘキサン酸)s、(5−アミノ吉草酸)s、(7−アミノヘプタン酸)s、及び(8−アミノオクタン酸)s(式中、qは、2〜5の任意の整数であり、rは、1〜3の任意の整数であり、sは、4〜15の任意の整数である)からなる群から選択されるポリペプチド。
[6] 前記リンカーが、以下の式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートである
【化13】
(式中、mは、1〜12の任意の整数であり、nは、1〜12の任意の整数であり、pは、1または2である)、[5]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[7] 前記式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートにおいて、nが、1、2、3、4、5、または6であり、mが1であり、pが1である、[6]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[8] 前記式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートにおいて、nが2であり、mが1であり、pが1である、[6]もしくは[7]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[9] 前記リンカーが、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、His、Lys、Pro、Ser、Thr、Cit、Orn、Sar、Gly、γ−Abu、及びγ−Gluからなる群から選択されるアミノ酸である、[5]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[10] 前記アミノ酸が、γ−Gluである、[9]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[11] 前記リンカーが、Ala−Ala、β−Ala−β−Ala、Glu−Glu、Gly−Gly、Leu−Leu、Pro−Pro、Ser−Ser、Thr−Thr、γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu、γ−Glu−Glu、γ−Abu−γ−Abu、6−アミノヘキサン酸−6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸−5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸−7−アミノヘプタン酸、及び8−アミノオクタン酸−8−アミノオクタン酸からなる群から選択されるジペプチドである、[5]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[12] 前記ジペプチドが、γ−Glu−γ−Gluである、[11]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[13] 前記リンカーが、Ala−Ala−Ala、β−Ala−β−Ala−β−Ala、Glu−Glu−Glu、γ−Glu−γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu−γ−Glu、γ−Glu−γ−Glu−Glu、γ−Glu−Glu−γ−Glu、Gly−Gly−Gly、Gly−Gly−Ser、Ser−Gly−Gly、Gly−Ser−Gly、Gly−Gly−Glu、Glu−Gly−Gly、Gly−Glu−Gly、Gly−Gly−γ−Glu、γ−Glu−Gly−Gly、Gly−γ−Glu−Gly、Leu−Leu−Leu、Pro−Pro−Pro、及びγ−Abu−γ−Abu−γ−Abuからなる群から選択されるトリペプチドである、[5]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[14] 前記リンカーが、(Gly−Gly−Ser)q(Gly−Gly−Gly−Ser)r及び(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)r、(6−アミノヘキサン酸)s、(5−アミノ吉草酸)s、(7−アミノヘプタン酸)s、及び(8−アミノオクタン酸)s(式中、qは2〜5の任意の整数であり、rは1〜3の任意の整数であり、sは4〜15の任意の整数である)からなる群から選択されるポリペプチドである、[5]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[15] 前記リンカーが、以下の式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレート
【化14】
(式中、mは1〜12の任意の整数であり、nは1〜12の任意の整数であり、pは1または2である)が、以下の(i)〜(iv)のいずれかと結合している結合リンカーである、[5]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩:
(i)Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、His、Lys、Pro、Ser、Thr、Cit、Orn、Sar、Gly、γ−Abu、及びγ−Gluからなる群から選択されるアミノ酸、
(ii)Ala−Ala、β−Ala−β−Ala、Glu−Glu、Gly−Gly、Leu−Leu、Pro−Pro、Ser−Ser、Thr−Thr、γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu、γ−Glu−Glu、γ−Abu−γ−Abu、6−アミノヘキサン酸−6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸−5−アミノ吉草酸、7−アミノヘプタン酸−7−アミノヘプタン酸、及び8−アミノオクタン酸−8−アミノオクタン酸からなる群から選択されるジペプチド、
(iii)Ala−Ala−Ala、β−Ala−β−Ala−β−Ala、Glu−Glu−Glu、γ−Glu−γ−Glu−γ−Glu、Glu−γ−Glu−γ−Glu、γ−Glu−γ−Glu−Glu、γ−Glu−Glu−γ−Glu、Gly−Gly−Gly、Gly−Gly−Ser、Ser−Gly−Gly、Gly−Ser−Gly、Gly−Gly−Glu、Glu−Gly−Gly、Gly−Glu−Gly、Gly−Gly−γ−Glu、γ−Glu−Gly−Gly、Gly−γ−Glu−Gly、Leu−Leu−Leu、Pro−Pro−Pro、及びγ−Abu−γ−Abu−γ−Abuからなる群から選択されるトリペプチド、または
(iv)(Gly−Gly−Ser)q(Gly−Gly−Gly−Ser)r及び(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)r、(6−アミノヘキサン酸)s、(5−アミノ吉草酸)s、(7−アミノヘプタン酸)s、及び(8−アミノオクタン酸)s(式中、qは2〜5の任意の整数であり、rは1〜3の任意の整数であり、sは4〜15の任意の整数である)からなる群から選択されるポリペプチド。
[16] 式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートにおいて、nが、1、2、3、4、5、または6であり、mが1であり、pが1である、[15]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[17] 前記式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートにおいて、nが2であり、mが1であり、pが1である、[15]もしくは[16]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[18] 前記式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートがアミノ酸と結合しており、前記アミノ酸がγ−Gluである、[15]〜[17]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[19] 前記式Iのアミノポリエチレングリコールカルボキシレートがジペプチドと結合しており、前記ジペプチドがγ−Glu−γ−Gluである、[15]〜[17]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[20] 前記リンカーが、([2−(2−アミノエトキシ)−エトキシ]−アセチル)2−(γ−Glu)tである(式中、tは1または2である)、[15]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[21] tが1である、[20]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[22] tが2である、[20]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[23] 前記C14−C24脂肪酸が、飽和一塩基酸または飽和二塩基酸である、[1]〜[22]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[24] 前記脂肪酸が、ミリスチン酸(テトラデカン酸)(C14一塩基酸)、テトラデカン二酸(C14二塩基酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)(C16一塩基酸)、ヘキサデカン二酸(C16二塩基酸)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸)(C17一塩基酸)、ヘプタデカン二酸(C17二塩基酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)(C18一塩基酸)、オクタデカン二酸(C18二塩基酸)、ノナデシル酸(ノナデカン酸)(C19一塩基酸)、ノナデカン二酸(C19二塩基酸)、アラカジン酸(arachadic acid)(エイコサン酸)(C20一塩基酸)、エイコサン二酸(C20二塩基酸)、ヘンイコシル酸(ヘンエイコサン酸)(C21一塩基酸)、ヘンエイコサン二酸(C21二塩基酸)、ベヘン酸(ドコサン酸)(C22)、ドコサン二酸(C22二塩基酸)、リグノセリン酸(テトラコサン酸)(C24一塩基酸)、及びテトラコサン二酸(C24二塩基酸)からなる群から選択される飽和一塩基酸または飽和二塩基酸である、[23]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[25] 前記C14−C24脂肪酸がオクタデカン二酸である、[23]もしくは[24]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[26] 前記C14−C24脂肪酸がエイコサン二酸である、[23]もしくは[24]に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[27] C末端アミノ酸がアミド化されている、[1]〜[26]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[28] [1]〜[27]のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とを含む、医薬組成物。
[29] 治療を必要とする対象において2型糖尿病を治療する方法であって、有効量の[1]〜[27]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を前記対象に投与することを含む、方法。
[30] 治療を必要とする対象において肥満を治療する方法であって、有効量の[1]〜[27]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を前記対象に投与することを含む、方法。
[31] 治療を必要とする対象において非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を治療する方法であって、有効量の[1]〜[27]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を前記対象に投与することを含む、方法。
[32] 治療を必要とする対象において非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療する方法であって、有効量の[1]〜[27]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を前記対象に投与することを含む、方法。
[33] 対象において非治療的体重減少を引き起こす方法であって、有効量の[1]〜[27]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の投与を含む、方法。
[34] 療法において使用するための、[1]〜[27]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[35] 2型糖尿病の治療において使用するための、[1]〜[27]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[36] 肥満の治療において使用するための、[1]〜[27]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[37] 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の治療において使用するための、[1]〜[27]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[38] 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療において使用するための、[1]〜[27]のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
[39] 以下の式の中間体化合物、またはその薬学的に許容される塩:
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Xaa28−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
Xaa28は、GluまたはSerであり、
C末端アミノ酸は、任意にアミド化されている(配列番号9)]。
[40] Xaa28がGluである、[39]に記載の中間体化合物。
[41] Xaa28がSerである、[39]に記載の中間体化合物。
[42] 以下の式の化合物を製造する方法であって、
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Xaa28−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
Xaa28は、GluまたはSerであり、
20位のLysは、(i)直接結合または(ii)前記20位のLysとC14−C24脂肪酸との間のリンカーを介して、前記Lysの側鎖のε−アミノ基と前記C14−C24脂肪酸との結合によって化学修飾されており、
C末端アミノ酸は、任意にアミド化されている(配列番号2)]、前記方法は、
(i)以下の式:
His−Xaa2−Gln−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Tyr−Ser−Lys−Tyr−Leu−Asp−Glu−Lys−Lys−Ala−Lys−Glu−Phe−Val−Glu−Trp−Leu−Leu−Xaa28−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly
[式中、
Xaa2は、Aibであり、
Xaa28は、GluまたはSerであり、
C末端アミノ酸は、任意にアミド化されている(配列番号9)]
の中間体化合物を、任意にリンカーを介して、前記中間体化合物の20位の前記Lysの側鎖の前記ε−アミノ基をC14−C24脂肪酸と結合させることによって修飾するステップを含む、方法。
[43] 前記中間体化合物の前記20位のLysが、前記20位のLysとC14−C24脂肪酸との間のリンカーを介して、前記C14−C24脂肪酸との結合によって化学修飾される、[42]に記載の方法。
[44] [42]または[43]に記載の方法によって製造される化合物、またはその薬学的に許容される塩。