特許第6585211号(P6585211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585211
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】電子素子のための材料
(51)【国際特許分類】
   C07D 311/82 20060101AFI20190919BHJP
   C07D 311/96 20060101ALI20190919BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20190919BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20190919BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   C07D311/82CSP
   C07D311/96
   C07D405/12
   C09K11/06 690
   H05B33/14 B
   H05B33/22 D
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】88
(21)【出願番号】特願2018-40815(P2018-40815)
(22)【出願日】2018年3月7日
(62)【分割の表示】特願2015-541029(P2015-541029)の分割
【原出願日】2013年10月18日
(65)【公開番号】特開2018-138544(P2018-138544A)
(43)【公開日】2018年9月6日
【審査請求日】2018年4月5日
(31)【優先権主張番号】12007665.8
(32)【優先日】2012年11月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597035528
【氏名又は名称】メルク パテント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】テレサ・ムジカ−フェルナウド
(72)【発明者】
【氏名】エルビラ・モンテネグロ
(72)【発明者】
【氏名】フランク・フォゲス
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス・バレンティン・クロエベル
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ストエッセル
【審査官】 松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/051232(WO,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0007390(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C09K
H01L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物;
【化1】
式(I)
ここで、
Aは、以下の式(A−II)であり;
【化2】
式中、
は、1以上の基Rにより置換されてよい6〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい6〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
Yは、単結合から選ばれ;
kは、0または1であり;
mは、0または1であり;
ここで、基Aは、で標識された結合を介して、式(I)の化合物の残部に結合し;
Eは、単結合であり;
Xは、Oであり;
Zは、出現毎に同一であるか異なり、Cあり、ここで、Aがそれに結合する場合は、ZはCであり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(上記言及した基は、夫々1以上の基Rにより置換されてよい。)または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜0個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(上記言及した基は、夫々1以上の基Rにより置換されてよい。)または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、C、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または、520個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
iは、0または1である。
【請求項2】
添え字mは、0であることを特徴とする、請求項記載の化合物。
【請求項3】
式(I)の化合物は、式(I-1)、(I-2)、(I-5)または(I-6)の一つであることを特徴とする、請求項1または2記載の化合物
【化3】
式中、生じる記号は、請求項1または2で定義されるとおりである。
【請求項4】
基本構造が、有機金属求核剤のカルボニル基上への付加により製造されることを特徴とする、請求項1〜何れか1項記載の化合物の製造方法。
【請求項5】
ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーへの結合が、RまたはRにより置換されている式(I)中の任意の所望の位置に位置していてよい、請求項1〜何れか1項記載の一以上の式(I)の化合物を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマー。
【請求項6】
請求項1〜何れか1項記載の少なくとも一つの式(I)または請求項記載の少なくとも一つのポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーと少なくとも一つの溶媒を含む調合物。
【請求項7】
請求項1〜何れか1項記載の式(I)の化合物の電子素子での使用。
【請求項8】
請求項1〜何れか1項記載の少なくとも一つの式(I)の化合物を含む電子素子。
【請求項9】
有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(OLEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)から選ばれることを特徴とする請求項記載の電子素子。
【請求項10】
式(I)の化合物が、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔注入層に、または発光層に存在することを特徴とする請求項記載の有機エレクトロルミッセンス素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、以下の式(I)のキサンテン基本構造を有する化合物に関する。本出願は、さらに、式(I)の化合物の製造方法とその化合物の電子素子での使用に関する。
【0002】
本出願の意味での電子は、機能性材料として有機半導体材料を含むいわゆる有機電子素子の意味で使用される。また、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)と以下に言及される他の電子素子の意味で使用される。
【0003】
有機半導体材料が機能性材料として用いられるOLEDの構造は、たとえば、US 4539507、US 5151629、EP0676461およびWO98/27136に記載されている。一般的に、用語OLEDは、有機材料を含み、電圧の印加により発光する電子素子の意味で使用される。
【0004】
電子素子、特に、OLEDの場合、特性データ、特に、寿命、効率と駆動電圧を改善することにかなりの関心がある。この点に関して、全体として満足できる解決策は未だ発見されていない。
【0005】
電子素子の特性データに関する重要な作用は、たとえば、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層と発光層等の正孔輸送機能を有する層によって果たされる。
【0006】
正孔輸送特性を有する新規な材料が、この目的のために引き続き探求されている。それらは、純粋物質として、さらなる材料と組み合わせて、主成分としてまたは副成分として前記層中で用いられることができる。
【0007】
正孔注入層、正孔輸送層および電子ブロック層においては、正孔輸送特性を有する材料は、典型的には純粋物質として用いられる。しかしながら、それらは、ドープされたさらなる材料との混合物として、そのような層中で用いられることもできる。発光層、特に、燐光発光層中で、正孔輸送特性を有する材料は、さらなる材料、たとえば、エミッター材料と組み合わせて、層の主成分の一つ(マトリックス材料、ホスト材料)として、多くの場合用いられる。
【0008】
前述の層中で正孔輸送特性を有する材料として、トリアリールアミンを用いることが、先行技術から知られている。これらは、たとえば、JP1995/053955、WO2006/123667およびJP2010/222268に記載されたとおりのモノトリアリールアミン、たとえば、US 7504163またはUS 2005/0184657に記載されたとおりのビス-もしくは他のオリゴアミンであり得る。
OLEDのための正孔輸送特性を有する材料としてのトリアリールアミン化合物の公知例は、とりわけ、トリス-p-ビフェニルアミン、N,N'-ジ-1-ナフチル-N,N'-ジフェニル-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン(NPB)および4,4',4"-トリス-(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)である。
【0009】
先行技術は、OLEDにおける燐光エミッターのためのマトリックス材料としてのアリール基により置換されたキサンテン化合物を開示する((US7014925)。
【0010】
先行技術は、さらに、キサンテン基本構造を有し、アリールアミノ基をもつ化合物を開示する。たとえば、JP2009-191232は、OLEDにおける発光化合物として、キサンテンアリールアミン化合物を開示する。さらに、CN101440082は、OLEDにおける発光層での機能性材料として用いられるキサンテンジアミン化合物を開示する。
【0011】
驚くべきことに、電子素子での優れた性能データが、単一のアリールアミノ基を含む、以下に定義されるとおりの式(I)のキサンテン化合物を使用して達成することができることが、今回、見出された。
【0012】
したがって、本発明は、式(I)の化合物に関し;
【化1】
【0013】
式(I)
ここで、
Aは、1以上の基Rにより随意に置換されてよいアリールアミノ基または1以上の基Rにより随意に置換されてよいカルバゾール基であり;
Eは、単結合であり;
Xは、OまたはSであり;
Zは、出現毎に同一であるか異なり、CRまたはNであり、ここで、Aがそれに結合する場合は、ZはCであり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、C(=O)R、CN、Si(R、N(R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基Rにより置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH基は、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、C=O、C=NR、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、NR、P(=O)(R)、-O-、-S-、SOもしくはSOで置き代えられてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、IもしくはCNで置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造または、1以上の基Rにより置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり;ここで、2個以上の基Rは、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、C(=O)R、CN、Si(R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基Rにより置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH基は、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、C=O、C=NR、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、NR、P(=O)(R)、-O-、-S-、SOもしくはSOで置き代えられてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、IもしくはCNで置き代えられてよい。
)または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または、1以上の基Rにより置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり;ここで、2個以上の基Rは、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、C(=O)R、CN、Si(R、N(R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々1以上の基Rにより置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH基は、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、C=O、C=NR、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、NR、P(=O)(R)、-O-、-S-、SOもしくはSOで置き代えられてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、IもしくはCNで置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造または、1以上の基Rにより置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり;ここで、2個以上の基Rは、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族有機基であって、さらに、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく;ここで、2個以上の置換基Rは、たがいに結合してよく、および環を形成してよく;
iは、0または1であり;
nは、出現毎に同一であるか異なり、0または1であり、ここで、全ての添え字nの合計は、1である。
【0014】
以下の定義と説明が適用される。
【0015】
本発明の意味でのアリール基は、6〜60個の芳香族環原子を含み;本発明の意味でのヘテロアリール基は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1個は、ヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、OおよびSから選ばれる。これが、基本的な定義である。他の選好が、たとえば、存在する芳香族環原子もしくはヘテロ原子の数に関して本発明の説明において示されるならば、これらが適用される。
【0016】
ここで、アリール基もしくはヘテロアリール基は、簡単な芳香族環すなわちベンゼン、または、簡単な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジンもしくはチオフェン等、または、縮合(縮合環)芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環状基、たとえば、ナフタレン、フェナントレン、キノリンもしくはカルバゾールの何れかの意味で使用される。
本発明の意味での縮合芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環状基は、互いに縮合した二以上の単純芳香族もしくは複素環式芳香族環から成る。
【0017】
アリールもしくはヘテロアリール基は、各場合に、上記言及した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンズフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6, 7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナンスロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3, 4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基の意味で使用される。
【0018】
本発明の定義にしたがうアリールオキシ基は、酸素を介して結合する上記記載のとおりのアリール基の意味で使用される。同様の定義が、ヘテロアリール基にあてはまる。
【0019】
本発明の意味での芳香族環構造は、環構造中に6〜60個のC原子を含む。本発明の意味での複素環式芳香族環構造は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1個はヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、必ずしもアリールもしくはヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、加えて、複数のアリールもしくはヘテロアリール基は、たとえば、sp混成のC、Si、NあるいはO原子、sp混成のCあるいはN原子もしくはsp混成のC原子のような非芳香族単位(好ましくは、H以外の原子は、好ましくは、10%より少ない)により連結されていてもよい構造の意味で使用される。このように、たとえば9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等のような構造も、二個以上のアリール基が、たとえば、直鎖あるいは環状アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基により、もしくはシリル基により連結される構造であるから、本発明の意味での芳香族環構造の意味で使用される。さらに、たとえば、ビフェニル、テルフェニルもしくはジフェニルトリアジン等の二個以上のアリールもしくはヘテロアリール基が、単結合を介して互いに結合する構造も、本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の意味で使用される。
【0020】
5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンズフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、クアテルフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス-もしくはトランス-インデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1, 2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールまたはこれらの基の組み合わせから誘導される基の意味で使用される。
【0021】
本発明の目的のために、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基は、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH基は、基の定義の元で上記言及した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはオクチニルの意味で使用される。1〜40個のC原子を有するアルコキシもしくはチオアルキル基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオル、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオの意味で使用される。
【0022】
二個以上の基が、互いに環を形成してもよいという表現は、本説明の目的のために、特に、二個の基が化学結合により互いに結合する意味で使用される。これは、以下のスキームにより図解される。
【化2】
【0023】
しかしながら、さらに、上記言及した表現は、二個の基の一つが水素である場合には、第二の基は、水素原子が結合した位置で結合して環を形成する意味で使用される。これは、以下のスキームにより図解される。
【化3】
【0024】
添え字nとiに関して、添え字が0であるならば、関連する基は存在しない。たとえば、i=0に対して、基Eは、存在せず、その結果、2つの芳香族6員環は、単結合を介して結合せず、フルオレン環構造を形成しない。
【0025】
本発明の目的のために、基Aとしてのアリールアミノ基は、少なくとも一つのアリールもしくはヘテロアリール基が3価の窒素原子に結合する基の意味で使用される。如何にして基がさらに構築されるか、または、どのようなさらなる基を含むかは、定義に重要ではない。
【0026】
基Aは、好ましくは、アリールアミノ基であり、1以上の基Rにより随意に置換されてよい。
【0027】
基Aとしてのアリールアミノ基は、以下の式(A−1)を含み、ここで、Arは、置換されたもしくは置換されない任意の所望のアリールもしくはヘテロアリール基であり、破線は、任意の所望の置換基への結合である。
【化4】
【0028】
化合物の残部へのアリールアミノ基の結合に関して、この基は、窒素原子を介して、または任意の所望の置換基を介して、または窒素原子に結合するアリールもしくはヘテロアリール基を介して直接結合してよい。
【0029】
基Aとしてのアリールアミノ基の前記窒素原子は、アミノ窒素原子である。前記アリールもしくはヘテロアリール基とは別に、アルキルもしくはアルケニル基等の任意の所望のさらなる置換基が、窒素原子に結合してよい。しかしながら、好ましくは、アリールもしくはヘテロアリール基のみが結合する。窒素原子に結合する基は、たとえば、ジヒドロアクリジン基の場合に、環の構成成分であってよい。しかしながら、これは、好ましくは、そうではない。
【0030】
本出願の意味でのアリールアミノ基は、窒素原子に結合するアリールもしくはヘテロアリール基の数に応じて(1,2または3)、モノアリールアミノ基、ジアリールアミノ基またはトリアリールアミノ基であることができる。
【0031】
基Aとしてのアリールアミノ基は、好ましくは、上記式(A−1)の単一の単位のみを含む。特に、好ましくは、単一のアミノ基のみを含む。非常に、特に、好ましくは、単一の窒素原子のみを含む。
【0032】
本出願の目的のために、基Aとしてのカルバゾール基は、カルバゾール基を含む任意の所望の基の意味で使用される。本出願の意味での、カルバゾール基は、芳香族6員環の1以上の炭素原子が、窒素原子により置き代えられたカルバゾール基の意味でも使用される。さらに、5員カルバゾール環は、拡張され、6員環を形成し、その結果、メチレン、シリレン、酸素もしくは硫黄ブリッジが、窒素原子の反対側に配置されたカルバゾール基の意味でも使用される。前者の場合、これは、たとえば、ジヒドロアクリジンとも呼ばれる単位をもたら。さらに、カルバゾール基は、インデノカルバゾールもしくはインドロカルバゾール等の縮合基を含むカルバゾール基の意味でも使用される。
【0033】
〜Rに関しては、以下の一般的定義が適用される:
は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(上記言及した基は、夫々1以上の基Rにより置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH基は、-C≡C-、-RC=CR-、Si(R、C=O、C=NR、-NR-、-O-、-S-、-C(=O)O-もしくは-C(=O)NRで置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、2個以上の基Rは、たがいに結合してよく、および環を形成してよい。
【0034】
は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(上記言及した基は、夫々1以上の基Rにより置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH基は、-C≡C-、-RC=CR-、Si(R、C=O、C=NR、-NR-、-O-、-S-、-C(=O)O-もしくは-C(=O)NRで置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、2個以上の基Rは、たがいに結合してよく、および環を形成してよい。
【0035】
は、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(上記言及した基は、夫々1以上の基Rにより置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH基は、-C≡C-、-RC=CR-、Si(R、C=O、C=NR、-NR-、-O-、-S-、-C(=O)O-もしくは-C(=O)NRで置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基Rにより置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、2個以上の基Rは、たがいに結合してよく、および環を形成してよい。
【0036】
式(I)中で、Xは、好ましくは、Oである。この好ましい態様は、好ましくは、式(I)中の全ての好ましい態様、特に、Aの好ましい態様と基R〜Rとを組み合わされるべきである。
【0037】
芳香族環中の3つを超えない基Zは、Nであることが好ましい。芳香族環中の2つを超えない隣接する基Zは、Nであることが、さらに好ましい。芳香族環毎の1つを超えない基Zは、Nであることが好ましい。
【0038】
Zは、一般的にCRであることが好ましく、AがZに結合する場合、基ZはCである。
【0039】
式(I)の化合物は、好ましくは、14を超える芳香族環原子を有する縮合アリール基を含まず、特に、好ましくは、10を超える芳香族環原子を有する縮合アリール基を含まない。
【0040】
基Aは、好ましくは、以下の式(A−II)であり:
【化5】
【0041】
式中、
は、出現毎に同一であるか異なり、C=O、Si(R、PR、P(=O)(R)、O、S、SO、SO、1〜20個のC原子を有するアルキレン基、2〜20個のC原子を有するアルケニレン基もしくはアルキニレン基(上記言及した基中の1以上のCH基は、-C=O、C=NR、C=O-O、C=O-NR、Si(R、NR、P(=O)(R)、O、S、SOもしくはSOで置き代えられてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、FもしくはCNで置き代えられてよい。)または、1以上の基Rにより置換されてよい6〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい6〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
Yは、単結合、BR、C(R、C(R-C(R、Si(R、Si(R-Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、C(=O)N(R)、O、S、S=O、SOおよびNRから選ばれ;
kは、0、1、2または3であり;
mは、0または1であり;
ここで、基Aは、で標識された結合を介して、式(I)の化合物の残部に結合する。
【0042】
式(A−II)中のLは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、Si(RO、S、1〜10個のC原子を有するアルキレン基、2〜10個のC原子を有するアルケニレン基もしくはアルキニレン基(上記言及した基中の1以上のCH基は、Si(R、OもしくはSOで置き代えられてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、FもしくはCNで置き代えられてよい。)または、1以上の基Rにより置換されてよい6〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。
【0043】
は、特に、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい6〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。Lは、非常に、特に、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよいフェニル、ビフェニル、ナフチル、テルフェニル、フルオレニル、スピロビフルオレニル、インデノフルオレニル、カルバゾール、ジベンゾフランまたはジベンゾチオフェンである。
【0044】
式(A−II)中のkは、さらに好ましくは、0または1、特に、好ましくは、0である。
【0045】
式(A−II)中のmは、さらに好ましくは、0または1であり、すなわち、2つの基Arは、互いに結合しない。
【0046】
式(A−II)中のArは、さらに好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい6〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。これらの中で、非常に、特に、好ましいものは、1以上の基Rにより置換されてよいフェニル、ビフェニル、ナフチル、テルフェニル、フルオレニル、スピロビフルオレニル、インデノフルオレニル、カルバゾール、ジベンゾフランまたはジベンゾチオフェンである。
【0047】
式(A−II)中のYは、さらに好ましくは、単結合、C(R、O、SおよびNRから選ばれる。Yは、特に、好ましくは、単結合である。
【0048】
特に、好ましい基Aは、式(A−II−1)〜(A−II−50)である。
【化6-1】
【化6-2】
【化6-3】
【化6-4】
【化6-5】
【化6-6】
【化6-7】
【化6-8】
【0049】
式中、基は、上記定義のとおり、全ての遊離位置で1以上の基Rにより置換されてよい。Rは、それらの好ましい態様にしたがって、ここで定義されることが好ましい。
【0050】
以下の式(I−num)中の可能な結合位置は、番号により示される。
【化7】
【0051】
上記番号付けにしたがい、基Aが、位置2、4、2'、4'、5、7、5'または7'で結合することが好ましい。基Aは、特に、好ましくは、2、2'、7または7'の位置で結合する。ここで、iは0または1であり得る。ここで、さらに、Xは、好ましくは、Oである。
【0052】
したがって、式(I)の化合物の好ましい態様は、式(I−1)〜(I−8)の一つであり;
【化8】
【0053】
式中、生じる記号は、上記定義されるとおりである。
【0054】
上記示される可変基の好ましい態様は、式(I−1)〜(I−8)の化合物にあてはまる。ZはCRであることが。これらの化合物に対して、特に、好ましい。Aに対して、これらの化合物は、上記定義のとおり、式(A−II)であることが、さらに、特に、好ましい。
【0055】
式(I−1)の化合物の特に好ましい態様は、以下の表に示される式(I−1−1)〜(I−8−50)の構造である。
【0056】
それらは、式(I−1)〜(I−8)の基本構造から選ばれる基本構造と式(A−II−1)〜(A−II−50)の好ましい態様から選ばれる基Aとから成る。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【0057】
上記示された可変基の好ましい態様が、特に、ZおよびR〜Rのそれらが、表に示される、特に、好ましい態様にあてはまる。
【0058】
式(I)の化合物の明確な例が、以下の表に示される。
【化9-1】
【化9-2】
【化9-3】
【化9-4】
【化9-5】
【化9-6】
【化9-7】
【化9-8】
【化9-9】
【化9-10】
【化9-11】
【化9-12】
【0059】
本発明による化合物は、先行技術から知られたプロセス、たとえば、ハロゲン化、有機金属付加反応、ブッフバルトカップリングおよびスズキカップリングにより、合成することができる。
【0060】
スキーム1〜3は、本発明の化合物の調製のために可能な合成経路を示す。それらは、本発明を当業者に説明するために役立ち、制限するものと見なされるべきではない。当業者はその一般的専門知識の範囲内で示された合成経路を変形し、より有利であるようであれば、全く異なる経路を開発することができるであろう。
【0061】
スキーム1は、ジアリールキサンテン基本構造(式(I)中で添え字i=0)を有する本発明の化合物の調製のための好ましい合成経路を示す。
【0062】
反応性金属を使用する(たとえば、グリニャール法によるマグネシウム)または有機リチウム化合物を使用する2-ハロゲン置換ジアリールエーテル(A)の金属化と引き続くモノハロゲン化ベンゾフェノン(B)上への付加と引き続く中間体アルコラートの酸触媒環化は、対応するハロゲン置換キサンテン(C)をもたらす。こうして得られるハロゲン化物(C)は、当業者になじみ深い方法(スズキ、ネギシ、ヤマモト、グリニャール-クロス、スチル、ヘックカップリング等のC-Cカップリング、ブッフバルトもしくはウルマンカップリング等のC-Nカップリング)によって、本発明の化合物DとEにさらに変換することができる。
【化10】
【0063】
スキーム2は、如何にして、対応するスピロビフルオレニルキサンテン化合物(化合物HおよびI)をスキーム1で示されるジアリールキサンテンと同様に調製することができるかを示す。このために、フルオレン誘導体(化合物F)が、最初の工程で、カルボニル化合物上への付加と環化でのベンゾフェノン誘導体に代えて、用いられる。
【化11】
【0064】
本発明の化合物の調製のための別の好ましい合成経路が、スキーム3に示される。これは、特に、スピロビフルオレニルキサンテン誘導体を調製することを可能とする。
【0065】
合成経路は、反応性金属を使用する(たとえば、グリニャール法によるマグネシウム)または有機リチウム化合物を使用する2-ハロゲン置換ジアリール化合物(K)の金属化を含む。モノハロゲン化キサンテノン(J)上への付加と中間体アルコラートの酸触媒環化が、引き続き、実施される。対応するハロゲン置換スピロビフルオレニルキサンテン(L)がそれにより得られる。
【0066】
こうして生成したハロゲン化物(L)は、当業者になじみ深い方法(スズキ、ネギシ、ヤマモト、グリニャール-クロス、スチル、ヘックカップリング等のC-Cカップリング、ブッフバルトもしくはウルマンカップリング等のC-Nカップリング)により、引き続いて、さらに本発明の化合物(M)と(N)に変換することができる。
【化12】
【0067】
本発明の化合物の合成に用いられる出発化合物(たとえば、(A)、(B)、(F)と(K))のための合成経路は、当業者に知られている。ここで、カップリング反応は、好ましくは、ブッフバルトカップリングおよびスズキカップリングである。
【0068】
得られた化合物は、本発明の所望の化合物を得るために必要ならば、上記合成工程後に随意にさらに反応し、官能化することができる。
【0069】
したがって、本発明は、さらに、基本構造が、カルボニル基上への有機金属求核剤の付加により製造されることを特徴とする式(I)の化合物の製造方法に関する。
【0070】
ここで、カルボニル基は、好ましくは、ジアリールカルボニル基である。ここで、有機金属求核剤は、好ましくは、ジアリールエーテルまたはジアリールチオエーテルであり、特に、好ましくは、ジアリールエーテルである。
【0071】
アリールアミノ基は、好ましくは、カップリング反応、特に、好ましくは、ブッフバルトカップリングまたはスズキカップリングにより、さらなる工程に導入される。
【0072】
特に、正確な反応条件が示される詳細に説明される合成プロセスが、以下の例で示される。それらは、特定の例を通じて、上記示される一般的プロセスを補足する。
【0073】
上記記載の本発明の化合物、特に、臭素、沃素、塩素、ボロン酸もしくはボロン酸エステル等の反応性脱離基により置換された化合物は、対応するオリゴマー、デンドリマーまたはポリマーの調製のためのモノマーとして使用することができる。適切な反応性脱離基は、たとえば、臭素、沃素、塩素、ボロン酸、ボロン酸エステル、アミン、末端C-C二重結合もしくはC-C三重結合を含むアルケニルまたはアルキニル基、オキシラン、オキセタン、環化、たとえば、1,3-双極子環付加を受ける基、たとえば、ジエンもしくはアジド等、カルボン酸誘導体、アルコールおよびシランである。
【0074】
したがって、本発明は、さらに、一以上の式(I)の化合物を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーに関し、ここで、ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーへの結合(複数の結合)は、RもしくはRにより置換された式(I)中で任意の所望の位置に位置することができる。式(I)の化合物の結合に応じて、化合物は、オリゴマーもしくはポリマーの側鎖の構成部分または主鎖の構成部分である。本発明の意味でのオリゴマーは、少なくとも三個のモノマー単位から構築される化合物の意味で使用される。本発明の意味でのポリマーは、少なくとも10個のモノマー単位から構築される化合物の意味で使用される。本発明のポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーは、共役、部分共役もしくは非共役であってよい。本発明のオリゴマーまたはポリマーは、直鎖、分岐鎖もしくは樹状であってよい。直鎖状に結合した構造においては、式(I)の単位は、たがいに直接結合するか、または二価の基、たとえば、置換もしくは非置換アルキレン基により、ヘテロ原子により、または二価の芳香族もしくは複素環式芳香族基により、たがいに結合してよい。分岐および樹状構造においては、三個以上の式(I)の単位は、三価もしくは多価の基、たとえば、三価もしくは多価の芳香族もしくは複素環式芳香族基により結合してもよく、分岐もしくは樹状オリゴマーまたはポリマーを生じる。
【0075】
式(I)の化合物に対する上記記載したとおりの同じ選好が、オリゴマー、デンドリマーおよびポリマー中の式(I)の繰り返し単位にあてはまる。
【0076】
オリゴマーまたはポリマーの調製のために、本発明によるモノマーは、さらなるモノマーとホモ重合するか共重合する。適切で好ましいコモノマーは、フルオレン(たとえば、EP842208もしくはWO2002/22026にしたがう)、スピロビフルオレン(たとえば、EP707020、EP894107もしくはWO2006/061181にしたがう)、パラ-フェニレン(たとえば、WO1992/18552にしたがう)、カルバゾール(たとえば、WO2004/070772もしくはW02004/113468にしたがう)、チオフェン(たとえば、EP1028136にしたがう)、ジヒドロフェナントレン(たとえば、WO 2005/014689もしくはWO 2007/006383にしたがう)、cis-およびtrans-インデノフルオレン(たとえば、WO2004/041901もしくはWO2004/113412にしたがう)、ケトン(たとえば、WO2005/040302にしたがう)、フェナントレン(たとえば、WO2005/104264もしくはWO2007/017066にしたがう)または複数のこれらの単位から選ばれる。
ポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、また、さらなる単位、たとえば、ビニルトリアリールアミン(たとえば、WO2007/068325にしたがう)もしくは燐光金属錯体(たとえば、WO2006/03000にしたがう)等の発光(蛍光または燐光)単位および/または電荷輸送単位、特に、トリアリールアミン系のものを通常含む。
【0077】
本発明によるポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、有利な特性、特に、長い寿命、高い効率と良好な色座標を有する。
【0078】
本発明によるポリマーおよびオリゴマーは、一以上の型のモノマーの重合により一般的に調製され、少なくとも一つのモノマーは、ポリマー中に式(I)の繰り返し単位を生じる。適切な重合反応は、当業者に知られ、文献に記載されている。C-CまたはC-N結合を生じる、特に、適切で、好ましい重合反応は、以下のものである:
(A)スズキ重合;
(B)ヤマモト重合;
(C)スチル重合および
(D)ハートウイッグ-ブッフバルト重合。
【0079】
重合をこれらの方法により実行することができる方法と次いでポリマーを反応媒体から分離し、精製することができる方法は、当業者に知られており、文献、たとえば、WO 2003/048225、WO 2004/037887およびWO 2004/037887に詳細に記載されている。
【0080】
液相からの、たとえば、スピンコーティングによるまたは印刷プロセスによる本発明の化合物の加工のためには、本発明の化合物の調合物を必要とする。これらの調合物は、たとえば、溶液、分散液もしくはエマルジョンであり得る。この目的のためには、二以上の溶媒の混合物を使用することが好ましいかもしれない。適切で好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に、3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコンヌ、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、ブチルベンゾエート、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、エチルベンゾエート、インダン、メチルベンゾエート、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ−テル、トリプロピレングリコールジメチルエ−テル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタンもしくはこれら溶媒の混合物である。
【0081】
したがって、本発明は、さらに、少なくとも一つの式(I)の化合物または少なくとも一つの式(I)の単位を含む少なくとも一つのポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーと少なくとも一つの溶媒、好ましくは、有機溶媒を含む調合物、特に、溶液、分散液もしくはエマルジョンに関する。この型の溶液を調製することができる方法は、当業者に知られており、たとえば、WO 2002/072714、WO 2003/019694とそこに引用された文献に記載されている。
【0082】
本発明の化合物は、電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)での使用のために適している。化合物は、置換に応じて、種々の機能と層に使用される。
【0083】
したがって、本発明は、さらに、式(I)の化合物の電子素子での使用に関する。ここで、電子素子は、好ましくは、有機集積回路(OIC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機太陽電池(OSC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(OFQD)、発光電子化学電池(OLEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)から選ばれ、特に、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)から選ばれる。
【0084】
本発明は、さらに、既述のとおり、少なくとも一つの式(I)の化合物を含む電子素子に関する。ここで、好ましくは、電子素子は、上記言及した素子から選ばれる。
【0085】
特に、好ましくは、アノード、カソードと少なくとも一つの発光層を含む有機エレクトロルミッセンス素子(OLED)であり、ここで、少なくとも一つの有機層は、発光層、正孔輸送層または別の層であってよく、少なくとも一つの式(I)の化合物を含むことを特徴とする。
【0086】
カソード、アノードおよび発光層とは別に、有機エレクトロルミネセンス素子は、さらなる層を含んでよい。これらは、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、電子ブロック層、励起子ブロック層、中間層、電荷生成層(IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED (5), T. Matsumoto, T. Nakada, J.Endo, K. Mori, N. Kawamura, A. Yokoi, J.Kido, Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)および/または有機あるいは無機p/n接合を含んでもよい。しかしながら、これら層の夫々は、必ずしも存在する必要はなく、層の選択は使用される化合物と、特に、エレクトロルミネッセンス素子が蛍光であるか燐光であるかに常に依存することが指摘されねばならない。
【0087】
有機エレクトロルミッセンス素子の層配列は、好ましくは、以下である:アノード−正孔注入層−正孔輸送層−発光層−電子輸送層−電子注入層−カソード。
【0088】
前記層の全てが必ずしも存在する必要がないことおよび/またはさらなる層が追加的に存在してもよいことをここで、再度指摘する必要がある。
【0089】
本発明の有機エレクトロルミネセンス素子は、複数の発光層を含んでもよい。この場合に、これらの発光層は、特に、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光波長を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発し、青色もしくは黄色もしくはオレンジ色もしくは赤色発光することができる種々の発光化合物を、発光層に使用することができる。特に、好ましいものは、3層構造であり、すなわち、3個の発光層を有する構造であり、ここで、これらの層の少なくとも一つは、少なくとも一つの式(I)の化合物を含み、その3層は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。
)。本発明の化合物は、代替として、および/または追加的に正孔輸送層中にまたは別の層中に存在してもよい。
【0090】
白色光の生成のためには、広い波長範囲で発光する個々に使用されるエミッター化合物が、色発光する複数のエミッター化合物に代えて適当であるかもしれないことに注意する必要がある。
【0091】
本発明にしたがうと、式(I)の化合物が、一以上のエミッターを含む電子素子で使用されることが好ましい。ここで、化合物は、種々の層中、好ましくは、正孔輸送層中に、電子ブロック層中に、正孔輸送層中にまたは発光層中に存在してよい。
【0092】
用語燐光発光エミッターは、典型的には、発光が、スピン禁制遷移、たとえば、励起三重項状態または比較的高いスピン量子数を有する状態、たとえば、五重項状態からの遷移により生じる化合物を包含する。
【0093】
適切な燐光発光エミッター(=三重項エミッター)は、特に、適切な励起により、好ましくは、可視域で発光する化合物であり、加えて、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、特に、好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子を含む。使用される燐光発光エミッターは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウム、白金または銅を含む化合物である。
【0094】
本発明の目的のためには、すべてのルミネッセントイリジウム、白金または銅錯体が、燐光化合物とみなされる。
【0095】
上記記載されたエミッターの例は、出願WO 00/70655、WO 01/41512、WO 02/02714、WO 02/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 05/033244、WO 05/019373およびUS2005/0258742により明らかにされている。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術にしたがって使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が適切である。当業者は進歩性を必要とすることなく、有機エレクトロルミネッセンス素子中で式(I)の化合物と組み合わせて更なる燐光錯体を使用することもできよう。
【0096】
適切な燐光発光エミッター化合物の例を、一般的に好ましい燐光発光エミッターを含む以下の表から得ることができる。
【0097】
しかしながら、式(I)の化合物を、本発明にしたがって、一以上の蛍光発光エミッターを含む電子素子で用いることもできる。
【0098】
本発明の好ましい一態様では、式(I)の化合物は、正孔輸送材料として用いられる。
そこで、化合物は、好ましくは、正孔輸送層、電子ブロック層または正孔注入層中で用いられる。
【0099】
本発明にしたがう正孔輸送層は、アノードと発光層との間に位置し、正孔輸送性を有する層である。
【0100】
本発明の意味での正孔注入層と電子ブロック層は、正孔輸送層の特定の態様の意味で使用される。アノードと発光層との間の複数の正孔輸送層の場合、正孔注入層は、アノードに直接隣接するかまたはアノードの単一の被覆にそこから分離されただけの正孔輸送層である。アノードと発光層との間の複数の正孔輸送層の場合、電子ブロック層は、アノード側の発光層に直接隣接する正孔輸送層である。
【0101】
式(I)の化合物が、正孔輸送層、正孔注入層もしくは励起子ブロック層中で正孔輸送材料として使用されるならば、化合物は、純粋材料として、すなわち層中で100%の割合で用いることができるか、または一以上のさらなる化合物と組み合わせて用いることができる。好ましい態様によれば、式(I)の化合物を含む有機層は、一以上のp-ドーパントを追加的に含む。本発明にしたがって用いられるp-ドーパントは、好ましくは、混合物中の一以上のその他の化合物を酸化することができる電子受容性化合物である。
【0102】
p-ドーパントの特に、好ましい態様は、WO2011/073149、EP1968131、EP2276085、EP2213662、EP17226022、EP2045848、DE102007031220、US8044390、US8057712、WO2009/003455、WO2010/094378、WO2011/120709、US2010/0096600およびWO2012/095143に開示された化合物である。
【0103】
本発明のさらに好ましい態様では、式(I)の化合物は、US2007/0092755に記載されたとおりのヘキサアザトリフェニレン誘導体と組み合わせて、正孔輸送材料として使用される。ここで、ヘキサアザトリフェニレン誘導体は、特に、好ましくは、別の層中で用いられる。
【0104】
本発明のさらなる一態様では、式(I)の化合物は、一以上のエミッター、好ましくは、燐光エミッターと組み合わせてマトリックス材料として用いられる。
【0105】
発光層中のマトリックス材料の割合は、この場合、蛍光発光層に対しては、50.0〜99.9体積%、好ましくは、80.0〜99.5体積%、特に、好ましくは、92.0〜99.5体積%であり、燐光発光層に対しては、85.0〜97.0体積%である。
【0106】
対応して、エミッターの割合は、蛍光発光層に対しては、0.1〜50.0体積%、好ましくは、0.5〜20.0体積%、特に、好ましくは、0.5〜8.0体積%であり、燐光発光層に対しては、3.0〜15.0体積%である。
【0107】
有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層は、また、複数のマトリックス材料(混合マトリックス系)および/または複数のエミッターを含んでもよい。
【0108】
本発明のさらに好ましい態様では、式(I)の化合物は、混合マトリックス系の成分として使用される。混合マトリックス系は、好ましくは、二または三種の異なるマトリックス材料、特に、好ましくは、二種の異なるマトリックス材料を含む。ここで、二種の材料の一つは、好ましくは、正孔輸送特性を有する材料であり、他方は電子輸送特性を有する材料である。しかしながら、混合マトリックス成分の所望の電子輸送および正孔輸送特性は、単一の混合マトリックス成分中で主としてまたは完全に結合されてもよく、さらなる混合マトリックス成が他の機能を果たす。ここで、二種の異なるマトリックス材料は、1:50〜1:1、好ましくは、1:20〜1:1、特に、好ましくは、1:10〜1:1、非常に、特に、好ましくは、1:4〜1:1の比で存在してよい。混合マトリックス系は、好ましくは、燐光有機エレクトロルミッセンス素子中で使用される。混合マトリックス系に関するより正確な情報は、特に、出願WO 2010/108579で得られる。
【0109】
混合マトリックス系は、一以上のエミッター、好ましくは、一以上の燐光エミッターを含んでよい。一般的には、混合マトリックス系は、好ましくは、燐光有機エレクトロルミッセンス素子で用いられる。
【0110】
本発明の化合物と組み合わせて混合マトリックス系のマトリックス成分として特に適するマトリックス材料は、どの型のエミッター化合物が混合マトリックス系に用いられるかに応じて、以下に示される燐光エミッターのための好ましいマトリックス材料または蛍光エミッターのための好ましいマトリックス材料から選ばれる。
【0111】
混合マトリックス系での使用のための好ましい燐光エミッターは、上記および次の表に示される燐光エミッターである。
【0112】
本発明のなおさらに好ましい態様では、式(I)の化合物は、発光層で蛍光エミッターとして用いられる。
【0113】
本発明の化合物が発光層中でエミッター材料として用いられるならば、好ましくは、一以上のマトリックス材料と組み合わせて用いられる。式(I)の化合物と組み合わせての使用のための好ましいマトリックス材料は、以下のセクションで示される。
【0114】
本発明の素子で好ましく用いられる材料は、その用途と機能にしたがって、調製され、以下に示される。
【0115】
燐光エミッターの明確な例が、以下の表により示される。
【化13-1】
【化13-2】
【化13-3】
【化13-4】
【化13-5】
【化13-6】
【化13-7】
【化13-8】
【化13-9】
【化13-10】
【0116】
好ましい蛍光ドーパントは、本発明の化合物に加えて、アリールアミンのクラスから選ばれる。ここで、アリールアミンもしくは芳香族アミンは、窒素に直接結合した3個の置換あるいは非置換芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を含む化合物の意味で使用される。これら芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の少なくとも1個は、好ましくは、縮合環構造であり、特に、好ましくは、少なくとも14個の芳香族環原子を有する。それらの好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミンもしくは芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、一個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族アントラセンジアミンは、二個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9.10-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは、同様に定義され、ここで、ジアリールアミノ基は、好ましくは、ピレンに、1位もしくは1.6-位で結合する。さらに好ましいドーパントは、たとえば、WO 2006/10849もしくはWO 2006/122630にしたがうインデノフルオレンアミンあるいはインデノフルオレンジアミン、たとえば、WO 2008/006449にしたがうベンゾインデノフルオレンアミンあるいはベンゾインデノフルオレンジアミン、および、たとえば、WO 2007/140847にしたがうジベンゾインデノフルオレンアミンあるいはジベンゾインデノフルオレンジアミンおよび、WO 2010/ 012328に開示された縮合アリール基を含むインデノフルオレン誘導体である。好ましいのは、同様に、WO2012/048780と未公開EP12004426.8に開示されたピレンアリールアミンである。好ましいのは、同様に、未公開EP12006239.3に開示されたベンゾインデノフルオレンアミンである。
【0117】
好ましくは、蛍光エミッターのための適切なマトリックス材料は、本発明の化合物に加えて、種々のクラスの物質からである。好ましいマトリックス材料は、オリゴアリーレン(たとえば、EP 676461にしたがう2,2’,7,7’-テトラフェニルスピロビフルオレンもしくはジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(たとえば、DPVBiもしくはEP 676461にしたがうスピロ-DPVBi)、ポリポダル金属錯体(たとえば、WO 2004/081017にしたがう)、正孔伝導化合物(たとえば、WO 2004/058911にしたがう)、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(たとえば、WO 2005/084081およびWO 2005/084082にしたがう)、アトロプ異性体(たとえば、WO 2006/048268にしたがう)、ボロン酸誘導体(たとえば、WO 2006/177052にしたがう)またはベンズアントラセン(たとえば、WO2008/145239)のクラスから選択される。特に、好ましいマトリックス材料は、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体、オリゴアリーレンビニレン、ケトン、ホスフィンオキシドおよびスルホキシドのクラスから選択される。非常に、特に、好ましいマトリックス材料は、アントラセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体のクラスから選択される。本発明の意味でのオリゴアリーレンは、少なくとも三個のアリールもしくはアリーレン基が互いに結合した化合物の意味で使用される。蛍光エミッターのための、特に、好ましいマトリックス材料は、WO2006/097208、WO2006/131192、WO2007/065550、WO2007/110129、WO2007/065678、WO2008/145239、WO2009/100925、WO2011/054442およびEP 1553154に開示されたアントラセン誘導体とEP1749809、EP1905754およびUS2012/0187826に開示されたピレン化合物である。
【0118】
燐光エミッターのための好ましいマトリックス材料は、本発明の化合物に加えて、芳香族アミン、特に、トリアリールアミン、たとえば、US 2005/0069729にしたがうカルバゾール誘導体(たとえば、CBP、N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)または、WO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP1205527もしくはWO2008/086851に記載された化合物、たとえば、WO2011/088877およびWO2011/128017にしたがう架橋カルバゾール誘導体、WO2010/136109もしくはWO2011/000455インデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、ケトン、たとえば、WO2004/093207もしくはWO2010/006680にしたがうホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホン、たとえば、WO2005/003253にしたがうオリゴフェニレン、たとえば、WO 2007/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO 2005/111172にしたがうシラン、たとえば、WO2006/117052にしたがうアザボロールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO2010/15306、WO2007/063754もしくはWO2008/056746にしたがうトリアジン誘導体、たとえば、EP652273もしくはWO2009/062578にしたがう亜鉛錯体、アルミニウム錯体、たとえば、BAlq、たとえば、WO2010/054729にしたがうジアザシロールもしくはテトラアザシロール誘導体、たとえば、WO2010/054730にしたがうジアザホスホール誘導体である。
【0119】
本発明の有機エレクトロルミネセンス素子の正孔注入、正孔輸送層もしくは電子ブロック層中で、または電子輸送層中で使用することができる適切な電荷輸送材料は、たとえば、Y. Shirota et al., Chem. Rev. 2007, 107(4), 953-1010に開示された化合物または先行技術によりこれらの層に使用される他の材料である。
【0120】
電子輸送層のために使用することのできる材料は、電子輸送層中で電子輸送材料として先行技術にしたがって使用されるとおりのすべての材料である。特に適切なものは、アルミニウム錯体、たとえば、Alq、ジルコニウム錯体、たとえば、Zrq、ベンズイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、芳香族ケトン、ラクタム、ボラーン、ジアザホスホール誘導体およびホスフィンオキシド誘導体である。
さらに、適切な材料は、JP2000/053957、WO2003/060956、WO 2004/028217、WO 2004/080975およびWO 2010/072300に開示されたとおりの上記言及した化合物の誘導体である。
【0121】
本発明のエレクトロルミッセンス素子の正孔輸送もしくは正孔注入もしくは電子ブロック層中で使用することができる好ましい正孔輸送材料は、インデノフルオレンアミン誘導体(たとえば、WO 06/122630もしくはWO06/100896)にしたがう)、EP1661888に開示されたアミン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体(たとえば、WO 01/049806にしたがう)、縮合芳香族環を持つアミン誘導体(たとえば、US5,061,569にしたがう)、WO95/09147に開示されたアミン誘導体、モノベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO08/006449にしたがう)、ジベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO 07/140847)にしたがう)、スピロビフルオレンアミン(たとえば、WO2012/034627もしくはWO 2013/120577にしたがう)、フルオレンアミン(たとえば、未公開EP12005369.9、EP12005370.7およびEP12005371.5にしたがう)、スピロジベンゾピランアミン(たとえば、WO2013/083216にしたがう)およびジヒドロアクリジン誘導体(たとえば、WO 2012/150001にしたがう)である。本発明の化合物を正孔輸送材料として使用することもできる。
【0122】
有機エレクトロルミッセンス素子のカソードは、好ましくは、低い仕事関数を有する金属、種々の金属を含む金属合金もしくは多層構造、たとえば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属あるいはランタノイド金属(たとえば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)を含む。また、適切なのは、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を含む合金と銀、たとえば、マグネシウムと銀とを含む合金である。多層構造の場合、たとえば、AgあるいはAlのような比較的高い仕事関数を有するさらなる金属を前記金属に加えて使用することもでき、その場合、たとえば、Ca/Ag、Mg/AgもしくはAg/Agのような金属の組み合わせが一般的に使用される。高い誘電定数を有する材料の薄い中間層を金属カソードと有機半導体との間に挿入することも好ましいかもしれない。この目的のために適切なものは、たとえば、アルカリ金属フッ化物もしくはアルカリ土類金属フッ化物だけでなく対応する酸化物もしくは炭酸塩である(たとえば、LiF、LiO、BaF、MgO、NaF、CsF、CsCO等)。さらに、リチウムキノリナート(LiQ)をこの目的のために使用することができる。この層の層厚は、好ましくは、0.5〜5nmである。
【0123】
アノードは、好ましくは、高い仕事関数を有する材料を含む。アノードは、好ましくは、真空に対して4.5eVより高い仕事関数を有する。この目的に適切なものは、一方で、たとえば、Ag、PtもしくはAuのような高い還元電位を有する金属である。他方で、金属/金属酸化物電極(たとえば、Al/Ni/NiO、Al/PtO)も好ましいかもしれない。いくつかの用途のためには、少なくとも一つの電極は、有機材料の照射(有機太陽電池)もしくは光のアウトカップリング(OLED、O−laser)の何れかを可能とするために、透明または部分的に透明でなければならない。ここで、好ましいアノード材料は、伝導性混合金属酸化物である。特に、好ましいものは、インジウム錫酸化物(ITO)もしくはインジウム亜鉛酸化物(IZO)である。さらに好ましいものは、伝導性のドープされた有機材料、特に、伝導性のドープされたポリマーである。さらに、アノードは、複数の層、たとえば、ITOの内部層と金属酸化物、好ましくは、タングステン酸化物、モリブデン酸化物またはバナジウム酸化物の外部層から成ってもよい。
【0124】
素子は(用途に応じて)適切に構造化され、接点を供され、本発明による素子の寿命が水および/または空気の存在で短くなることから、最後に封止される。
【0125】
好ましい一態様では、本発明の有機エレクトロルミッセンス素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用され、材料は、10−5mbar未満、好ましくは、10−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で真空気相堆積されることを特徴とする。しかしながら、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10−7mbar未満でも可能である。
【0126】
同様に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスもしくはキャリアガス昇華により適用され、材料は、10−5mbar〜1barの圧力で適用される。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)プロセスであり、材料はノズルにより直接適用され、そしてそれにより構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0127】
更に、好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえばスクリーン印刷、フレキソ印刷、ノズル印刷あるいはオフセット印刷、特に、好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、あるいはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。可溶性の式(I)の化合物が、この目的のために必要である。
高い溶解性は、化合物の適切な置換により成し遂げることができる。
【0128】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造のために、一以上の層を溶液からまた一以上の層を昇華プロセスにより適用することが、さらに、好ましい。
【0129】
本発明にしたがって、一以上の式(I)の化合物を含む電子素子は、照明用途の光源として、医療および/または化粧用途(たとえば、光治療)の光源として、表示装置において使用することができる。
【0130】

A)合成例
例1−1:
本発明による化合物1−1の合成
【化14】
【0131】
中間体:ブロモスピロフルオレニルキサンテン誘導体
31.7g(127ミリモル)の1-ブロモ-2-ジフェニルエーテルを、加熱により乾燥されている、フラスコ中で400mlの無水THF中に溶解させる。反応混合物を−78℃に冷却する。この温度で、ヘキサン(127ミリモル)中の55mlのn−BuLiの2.5M溶液をゆっくりと滴下する。バッチを−70℃でさらに1時間撹拌する。30gの2-ブロモフルオレノン(116ミリモル)をその後、100mlのTHF中に溶解させ、−70℃で滴下する。添加が終わると、反応混合物を室温までゆっくりと温め、NHClを使用してさまし、その後、ロータリーエバポレーター中で蒸発させる。
【0132】
300mlの酢酸を、蒸発させた溶液へ慎重に添加し、50mlの発煙HClをその後添加する。バッチを75℃まで加熱し、この温度で6時間維持する。白色の固形分をこの期間に沈殿させる。次いで、バッチを室温まで冷却し、沈殿した固形分を吸引濾過し、メタノールでゆすぐ。収率:45g(95%)。
【0133】
以下の化合物を同じように調製する:
【化15-1】
【化15-2】
【0134】
化合物1−1
17.6gのビフェニル-4-イル-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミン(49ミリモル)と、20.0gのブロモスピロフルオレニルキサンテン(49ミリモル)とを400mlのトルエン中に溶解させる。溶液を脱気し、Nで飽和させる。2.43ml(2.43ミリモル)のトリ-tert-ブチルホスフィンの1M溶液と、0.27g(1.21ミリモル)の酢酸パラジウム(II)を次いで添加し、14gのナトリウムtert-ブトキシド(146ミリモル)をその後、添加する。反応混合物を保護雰囲気下で6時間、沸騰させて加熱する。その後、混合物をトルエンと水との間で分画し、有機相を水で三度洗浄し、NaSOにより脱水させ、ロータリーエバポレーター中で蒸発させる。粗生成物をシリカゲルを通してトルエンと共に濾過した後、残された残留物をヘプタン/トルエンから再結晶化させ、最後に、高真空において昇華させる。純度は99.9%である。収率は27g(理論値の80%)である。
【0135】
以下の化合物を同じように調製する:
【化16-1】
【化16-2】
【化16-3】
【0136】
例2−1:
本発明による化合物2−1の合成
【化17】
【0137】
中間体:ブロモスピロフルオレニルキサンテン誘導体
30g(129ミリモル)の2-ブロモビフェニルを、加熱により乾燥されている、フラスコ中で500mlの無水THF中に溶解させる。反応混合物を−78℃に冷却する。この温度で、ヘキサン(142ミリモル)中の57mlのn−BuLiの2.5M溶液をゆっくりと滴下する。バッチを−70℃でさらに1時間撹拌する。35.4gの2-ブロモキサンテン-9-オン(129ミリモル)をその後、150mlのTHF中に溶解させ、−70℃で滴下する。添加が終わると、反応混合物を室温までゆっくりと温め、NHClを使用してさまし、その後、ロータリーエバポレーター中で蒸発させる。
【0138】
300mlの酢酸を、蒸発させた溶液へ慎重に添加し、50mlの発煙HClをその後添加する。バッチを75℃まで加熱し、この温度で6時間維持する。白色の固形分をこの期間に沈殿させる。次いで、バッチを室温まで冷却し、沈殿した固形分を吸引濾過し、メタノールでゆすぐ。収率:31.5g(60%)。
【0139】
以下の化合物を同じように調製する:
【化18】
【0140】
化合物2−1:
この化合物を化合物1−1と同じように調製する。
【0141】
収率:78%。純度99.9%。
【0142】
以下の化合物を同じように調製する:
【化19】
【0143】
例3−1:
本発明による化合物3−1の合成
【化20】
【0144】
中間体:ブロモスピロフルオレニルキサンテン誘導体
20g(60ミリモル)のスピロフルオレニルキサンテンを最初に、300mlのアセトニトリル中に導入する。その後、50mlのCHCN中の10.7g(60ミリモル)のNBSの溶液を遮光して、0℃で滴下し、混合物を室温にさせ、50℃でさらに4時間撹拌する。その後、150mlの水を混合物に滴下し、次いでそれをCHClで抽出する。有機相をMgSOで脱水させ、溶媒を真空中で取り除く。生成物を高温のヘキサンで撹拌することにより洗浄し、吸引濾過する。
【0145】
収率:13.8g、理論値の55.9%、H−NMRによる純度は約97%。
【0146】
以下の化合物を同じように調製する:
【化21】
【0147】
化合物3−1
この化合物を化合物1−1と同じように調製する。
【0148】
収率:81%。純度99.9%。
【0149】
以下の化合物を同じように調製する:
【化22-1】
【化22-2】
【0150】
例4−1:
本発明による化合物4−1の合成
【化23】
【0151】
中間体:スピロフルオレニルキサンテンボロン酸エステル誘導体
20g(49ミリモル)のブロモスピロフルオレニルキサンテン誘導体と、13.6g(53ミリモル)のビス(ピナコラート)ジボランと、14.3g(146ミリモル)の酢酸カリウムとを500mlのジオキサン中に懸濁させる。1.19g(1ミリモル)の1, 1-ビス-(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)ジクロリド錯体をDCMと共にこの懸濁液に添加する。反応混合物を還流下で16時間加熱する。冷却後、有機相を分離させ、200mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。残留物をトルエンから再結晶化させる(20g、収率90%)。
【0152】
以下の化合物を同じように調製する:
【化24-1】
【化24-2】
【0153】
前駆体:ビフェニル-2-イルビフェニル-4-イル-(4-クロロフェニル)アミン
【化25】
【0154】
23.8gのビフェニル-2-イルビフェニル-4-イルアミン(74ミリモル)と、21.2gの4-クロロヨードベンゼンブロモフルオレン(89ミリモル)とを、500mlのトルエン中に溶解させる:溶液を脱気し、Nで飽和させる。3ml(3ミリモル)のトリ-tert-ブチルホスフィンの1M溶液と、0.33g(1.46ミリモル)の酢酸パラジウム(II)とを次いで添加し、10.7gのナトリウムtert-ブトキシド(111ミリモル)をその後、添加する。反応混合物を保護雰囲気下で12時間、沸騰させて加熱する。その後、混合物をトルエンと水との間で分画し、有機相を水で三度洗浄し、NaSOにより脱水させ、ロータリーエバポレーター中で蒸発させる。粗生成物をシリカゲルを通してトルエンと共に濾過した後、残された残留物をヘプタン/トルエンから再結晶化させる。収率は29g(理論値の90%)である。
【0155】
以下の化合物を同じように調製する:
【化26-1】
【化26-2】
【0156】
化合物4−1
13.8g(30ミリモル)のスピロフルオレニルキサンテンピナコリルボロン酸エステルと、13g(30ミリモル)の2,7-ジブロモフルオレノンとを300mlのジオキサンと、9.1gのフッ化セシウム(60ミリモル)との中に懸濁させる。2.2g(3ミリモル)のビス(トリシクロ-ヘキシルホスフィン)パラジウムジクロリドをこの懸濁液に添加し、反応混合物を還流下で18時間加熱する。冷却後、有機相を分離させ、シリカゲルを通して濾過し、80mlの水で三度洗浄し、その後、蒸発乾固させる。粗生成物をシリカゲルを通してトルエンと共に濾過した後、残された残留物をヘプタン/トルエンから再結晶化させ、最後に、高真空中で昇華させる。純度は99.9%である。収率は17.8g(理論値の85%)である。
【0157】
以下の化合物を同じように調製する:
【化27-1】
【化27-2】
【化27-3】
【0158】
B)素子例
本発明によるOLEDおよび先行技術によるOLEDは、WO04/058911による一般的プロセスにより製造され、これは、本明細書において記述されている状況(層厚の変動、材料)に適合される。
【0159】
種々のOLEDについてのデータは、以下の本発明による例E1〜E6および参照例V1〜V4において提示されている。使用する基板は、厚さ50nmの構造化ITO(インジウムスズ酸化物)でコーティングされたガラスプレートである。OLEDは、基本的に、以下の層構造を有する:基板/p−ドープされた正孔輸送層(HTL1)/正孔輸送層(HTL2)/p−ドープされた正孔輸送層(HTL3)/正孔輸送層(HTL4)/発光層(EML)/電子輸送層(ETL)/電子注入層(EIL)および最後にカソード。
カソードは、100nm厚のアルミニウム層により形成される。OLEDの製造に必要とされる材料については、表1に示されており、種々なコンポーネント構造は表2に示されている。
【0160】
すべての材料は、真空チャンバーにおける熱気相堆積により適用される。ここでの発光層は、常に少なくとも一つのマトリックス材料(ホスト材料)および発光ドーパント(エミッター)からなり、これに、一種または複数種のマトリックス材料が共蒸着によりある体積割合で予備混合される。本明細書におけるH1:SEB1(95%:5%)等の表現は、材料H1が層中に95%の体積割合で存在し、SEB1が層中に5%の割合で存在することを意味する。同様に、電子輸送層または正孔注入層も、二種の材料の混合物からなっていてもよい。
【0161】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、ランベルト発光特性を仮定して、電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としての電流効率(cd/Aで測定)、パワー効率(Im/Wで測定)、外部量子効率(EQE、パーセントで測定)ならびに寿命が測定される。エレクトロルミネセンススペクトルは、輝度1000cd/mで測定され、CIE1931xおよびy色座標はそこから計算される。表現「10mA/cmにおけるEQE」は、電流密度10mA/cmでの外部量子効率を示す。「50mA/cmにおけるLT80」は、OLEDが、50mA/cmの定電流で初期輝度の初期強度の80%に低下するまでの寿命である。
【表2】
【表3】
【0162】
本発明による化合物HTM1、HTM2、HTM3、HTM4は、提示された例E1〜E6において、p−ドープされた正孔輸送層HTL3と、ドープされていない正孔輸送層HTL4とで使用される。これは例示によって、正孔輸送材料としての使用を示している。あるいは、他のドーパントを本発明による化合物と組み合わせて使用することもできる。さらなる代替として、本発明による化合物は別の正孔輸送層中または他の素子構造において使用することができる。
【0163】
先行技術からの正孔輸送化合物(化合物NPBまたはHTMV1)を、比較素子V1〜V4において本発明による化合物の代わりに使用する。
【0164】
例1(蛍光OLED)
参照素子V1とV2(量子効率6.2%と7.7%)と比べて、本発明による2つの素子E1とE2は、10mA/cmにおいて8.0%と8.4%というより高い量子効率を示す。50mA/cmにおける寿命LT80も、本発明による素子E1(225時間)とE2(285時間)の場合では、参照素子V1(135時間)とV2(30時間)の場合よりも非常に良好である。
【0165】
例2(燐光OLED)
参照素子V3とV4(量子効率11.7%と19.8%)は、本発明による素子E3(量子効率20.4%)とE4(量子効率19.9%)よりも低いかあるいはほぼ同じ量子効率を示す。本発明による素子E3(160時間)とE4(215時間)の場合の20mA/cmにおける寿命も、比較素子V3(80時間)とV4(140時間)の場合よりも長い。
【0166】
例3(蛍光OLED)
本発明によるOLED E5は、参照素子V1とV2(6.2%と7.7%)と比べて、10mA/cmにおいて7.5%という類似またはより高い量子効率を示す。50mA/cmにおける寿命LT80も、本発明によるOLED E5(145時間)の場合では、参照素子V1(135時間)とV2(30時間)の場合よりも良好である。
【0167】
例4(燐光OLED)
本発明による素子E6は、参照素子V3(11.7%)よりも、2mA/cmにおいて高い量子効率(19.2%)を示す。
【0168】
要約すると、例は、OLEDにおいて正孔輸送材料として本発明による化合物を使用することで得られる非常に良好な素子データを示している。さらに、例は、先行技術による材料と比べて、改良された素子データを示している。