特許第6585219号(P6585219)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6585219小型空気調和機の制御装置、この小型空気調和機を備える住宅、および、小型空気調和機の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6585219
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】小型空気調和機の制御装置、この小型空気調和機を備える住宅、および、小型空気調和機の制御方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/67 20180101AFI20190919BHJP
   F24F 11/56 20180101ALI20190919BHJP
【FI】
   F24F11/67
   F24F11/56
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-74016(P2018-74016)
(22)【出願日】2018年4月6日
【審査請求日】2018年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】漆原 慎
(72)【発明者】
【氏名】荒屋 享司
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 裕記
(72)【発明者】
【氏名】堤 智彦
【審査官】 奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−099012(JP,A)
【文献】 特開2000−146283(JP,A)
【文献】 特開2000−146216(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/029783(WO,A1)
【文献】 特開2013−217531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00−11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非居室に設置される小型空気調和機をコントローラの操作に応じて制御する制御部を備える小型空気調和機の制御装置であって、
前記制御部は前記コントローラにより設定される前記小型空気調和機の動作モードがオフモードの場合、前記非居室の温度が、居室から前記非居室に移動した居住者のヒートショックまたは熱中症の発症の抑制の観点に基づいて設定される上限温度および下限温度を含む所定の温度範囲に含まれるように、前記非居室の温度に応じて前記小型空気調和機の動作を自動的に制御する自動運転制御を実行する
小型空気調和機の制御装置。
【請求項2】
前記自動運転制御では前記非居室の温度に応じて前記小型空気調和機の動作の開始および終了を自動的に切り換える
請求項1に記載の小型空気調和機の制御装置。
【請求項3】
前記自動運転制御では前記小型空気調和機の動作モードが前記オフモードに設定された状態で前記非居室の温度が第1所定範囲まで低下した場合、前記小型空気調和機の暖房運転を開始する
請求項2に記載の小型空気調和機の制御装置。
【請求項4】
前記自動運転制御では前記非居室の温度が前記第1所定範囲まで低下したか否かを第1所定時間毎に判定する
請求項3に記載の小型空気調和機の制御装置。
【請求項5】
前記自動運転制御では前記小型空気調和機の暖房運転中に前記非居室の温度が第2所定範囲まで上昇した場合、前記小型空気調和機の暖房運転を終了する
請求項3または4に記載の小型空気調和機の制御装置。
【請求項6】
前記自動運転制御では前記小型空気調和機の動作モードが前記オフモードに設定された状態で前記非居室の温度が第3所定範囲まで上昇した場合、前記小型空気調和機の冷房運転を開始する
請求項2〜5のいずれか一項に記載の小型空気調和機の制御装置。
【請求項7】
前記自動運転制御では前記非居室の温度が前記第3所定範囲まで上昇したか否かを第2所定時間毎に判定する
請求項6に記載の小型空気調和機の制御装置。
【請求項8】
前記自動運転制御では前記小型空気調和機の冷房運転中に前記非居室の温度が第4所定範囲まで低下した場合、前記小型空気調和機の冷房運転を終了する
請求項6または7に記載の小型空気調和機の制御装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の制御装置を含む小型空気調和機を備える住宅。
【請求項10】
非居室に設置される小型空気調和機をコントローラの操作に応じて制御する小型空気調和機の制御方法であって、
前記コントローラにより設定される前記小型空気調和機の動作モードがオフモードの場合、前記非居室の温度が、居室から前記非居室に移動した居住者のヒートショックまたは熱中症の発症の抑制の観点に基づいて設定される上限温度および下限温度を含む所定の温度範囲に含まれるように、前記非居室の温度に応じて前記小型空気調和機の動作を自動的に制御する
小型空気調和機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小型空気調和機の制御装置、この小型空気調和機を備える住宅、および、小型空気調和機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非居室に設けられる空気調和機の制御装置が知られている。例えば、特許文献1は非居室の一例である洗面脱衣所(6)に設置される空調機(9)を制御する制御部(10)を備える制御装置を開示している。制御部(10)はリビング等の居室に設置されるエアコン(7)の設定温度よりも低い温度で空調機(9)を暖房運転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−38708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非居室は設けられる位置、および、利用環境等によって特性が異なる。このため、個々の非居室の特性を考慮して非居室に設けられる空気調和機の動作を制御することにより、一層快適な室内環境を居住者に提供できると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に関する小型空気調和機の制御装置は非居室に設置される小型空気調和機をコントローラの操作に応じて制御する制御部を備える小型空気調和機の制御装置であって、前記制御部は前記コントローラにより設定される前記小型空気調和機の動作モードがオフモードの場合、前記非居室の温度に応じて前記小型空気調和機の動作を自動的に制御する自動運転制御を実行する。
上記小型空気調和機の制御装置によれば、コントローラによって小型空気調和機の動作モードがオフモードに設定されている場合であっても、非居室の特性である非居室の温度に応じて、小型空気調和機の動作が自動的に制御されるため、一層快適な室内環境を居住者に提供できる。
【0006】
(2)好ましい例では(1)に記載の小型空気調和機の制御装置において、前記自動運転制御では前記非居室の温度に応じて前記小型空気調和機の動作の開始および終了を自動的に切り換える。
このため、小型空気調和機の消費電力を低減できる。
【0007】
(3)好ましい例では(2)に記載の小型空気調和機の制御装置において、前記自動運転制御では前記小型空気調和機の動作モードが前記オフモードに設定された状態で前記非居室の温度が第1所定範囲まで低下した場合、前記小型空気調和機の暖房運転を開始する。
非居室の温度が大きく低下しないため、居室で過ごしている居住者が非居室に移動した場合にヒートショックの発生が抑制される。
【0008】
(4)好ましい例では(3)に記載の小型空気調和機の制御装置において、前記自動運転制御では前記非居室の温度が前記第1所定範囲まで低下したか否かを第1所定時間毎に判定する。
このため、非居室の温度が第1所定範囲まで低下した状態を好適に検出できる。
【0009】
(5)好ましい例では(3)または(4)に記載の小型空気調和機の制御装置において、前記自動運転制御では前記小型空気調和機の暖房運転中に前記非居室の温度が第2所定範囲まで上昇した場合、前記小型空気調和機の暖房運転を終了する。
このため、小型空気調和機の消費電力を低減できる。
【0010】
(6)好ましい例では(2)〜(5)のいずれか一項に記載の小型空気調和機の制御装置において、前記自動運転制御では前記小型空気調和機の動作モードが前記オフモードに設定された状態で前記非居室の温度が第3所定範囲まで上昇した場合、前記小型空気調和機の冷房運転を開始する。
非居室の温度が大きく上昇しないため、居室で過ごしている居住者が非居室に移動した場合に熱中症の発生が抑制される。
【0011】
(7)好ましい例では(6)に記載の小型空気調和機の制御装置において、前記自動運転制御では前記非居室の温度が前記第3所定範囲まで上昇したか否かを第2所定時間毎に判定する。
このため、非居室の温度が第3所定範囲まで上昇した状態を好適に検出できる。
【0012】
(8)好ましい例では(6)または(7)に記載の小型空気調和機の制御装置において、前記自動運転制御では前記小型空気調和機の冷房運転中に前記非居室の温度が第4所定範囲まで低下した場合、前記小型空気調和機の冷房運転を終了する。
このため、小型空気調和機の消費電力を低減できる。
【0013】
(9)本発明に関する住宅は、上記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の制御装置を含む小型空気調和機を備える。
上記住宅によれば、上記(1)に記載の小型空気調和機の制御装置により得られる効果と同様の効果が得られる。
【0014】
(10)本発明に関する小型空気調和機の制御方法は、非居室に設置される小型空気調和機をコントローラの操作に応じて制御する小型空気調和機の制御方法であって、前記コントローラにより設定される前記小型空気調和機の動作モードがオフモードの場合、前記非居室の温度に応じて前記小型空気調和機の動作を自動的に制御する。
上記制御方法によれば、上記(1)に記載の小型空気調和機の制御装置により得られる効果と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に関する小型空気調和機の制御装置、この小型空気調和機を備える住宅、および、小型空気調和機の制御方法によれば、一層快適な室内環境を居住者に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の制御装置を含む小型空気調和機を備える住宅の非居室の斜視図。
図2図1の小型空気調和機の室内機および室外機の冷媒回路を示す回路図。
図3図1の小型空気調和機の電気的構成を示すブロック図。
図4】自動暖房運転モードが選択されている場合の自動運転制御の処理手順の一例を示すフローチャート。
図5】自動冷房運転モードが選択されている場合の自動運転制御の処理手順の一例を示すフローチャート。
図6】自動暖房運転モードが選択されている場合の自動運転制御の一例を示すタイミングチャート。
図7】自動冷房運転モードが選択されている場合の自動運転制御の一例を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照して、小型空気調和機100が設置される住宅200について説明する。住宅200の一例は個別住宅または集合住宅である。一例では、住宅200は複数の階を含む個別住宅である。住宅200は複数の居室、および、複数の非居室210を備える。居室は居住者が主として利用する室である。居室の具体的な例としては、リビング、ダイニング、リビングダイニング、寝室、応接室、および、書斎が挙げられる。非居室210は居住者が一時的な活動のために利用する室である。非居室の具体的な例としては、洗面所、脱衣所、浴室、トイレ、廊下、キッチン、ウォークインクローゼット、および、物置が挙げられる。図1は非居室210の一例としての洗面所の斜視図である。
【0018】
非居室210は居住者が一時的にのみ利用するため、コスト等の観点から、一般的には空気調和機が設置されないケースが多い。一方、居室の温度と非居室の温度との差が大きい場合、居室から非居室に移動した居住者が不快感を覚える恐れがあるため、例えば、先行技術文献等に記載されるように、非居室にも空気調和機を設置するケースも存在する。ただし、非居室は居室よりもスペースが狭いため、居室用に設計された空気調和機を非居室に設置することはできない、または、設置できた場合であっても非居室を利用する居住者に圧迫感を与える恐れがある。小型空気調和機100は非居室を利用する居住者に圧迫感を与えないように設計された小型の空気調和機である。
【0019】
図1に示されるように、小型空気調和機100は非居室210に設置される室内機20を備える。室内機20は居室用に設計された空気調和機よりも小能力であり、一例では、定格能力が1kw未満の室内機である。非居室210における室内機20の設置箇所は任意に選択可能である。図1に示される第1例では、室内機20は非居室210の天井210Aに一部が埋め込まれるように設置される。第2例では、室内機20は非居室210の壁210Bまたは床(図示略)に設置される。
【0020】
図2に示されるように、小型空気調和機100は室外機30および制御装置10をさらに備える。室外機30は屋外に設置される。室外機30と1または複数の室内機20とが冷媒配管40によって接続されることにより冷媒回路50が形成される。なお、図2では、室外機30と3つの室内機20とが接続される例を示している。室外機30と複数の室内機20とが接続される場合、複数の室内機20はそれぞれ異なる非居室210に設けられる。制御装置10は室内機20を制御する室内制御装置11、および、室外機30を制御する室外制御装置12を備える。
【0021】
室外機30を構成する主な要素は圧縮機31、四路切換弁32、室外熱交換器33、膨張弁34、室外ファン35、室外熱交換器温度センサ36、および、外気温度センサ37である。
【0022】
圧縮機31は例えば揺動ピストン型の圧縮機であり、圧縮機構、モータ、および、モータの駆動力を圧縮機構に伝達するクランク軸等を備える。モータの一例は、3相ブラシレスモータである。室外熱交換器33は、外気と冷媒とを熱交換する。室外熱交換器33の一例は、フィンアンドチューブ熱交換器である。膨張弁34は、例えば電子膨張弁である。室外ファン35は、駆動源として回転数を変更可能なモータ、および、モータの出力軸に接続された羽根車とを有する。羽根車の一例はプロペラファンである。室外ファン35は、モータによって羽根車を回転させることによって、室外熱交換器33を通過する室外空気の気流を発生させる。室外熱交換器温度センサ36は、室外熱交換器33の温度を検出する。外気温度センサ37は外気の温度を検出する。
【0023】
図3に示されるように、室外制御装置12は圧縮機31のモータ、四路切換弁32、膨張弁34、室外ファン35のモータ、室外熱交換器温度センサ36、および、外気温度センサ37と電気的に接続されている。室外熱交換器温度センサ36により検出された室外熱交換器の温度、および、外気温度センサ37により検出された外気の温度は室外制御装置12に入力される。室外制御装置12は圧縮機31のモータ、四路切換弁32、膨張弁34、および、室外ファン35のモータに制御信号を出力する。
【0024】
室内機20を構成する主な要素は室内熱交換器21、室内ファン22、室内熱交換器温度センサ23、および、室内温度センサ24である。室内熱交換器21は、室内空気と冷媒とを熱交換する。室内熱交換器21は例えばフィンアンドチューブ熱交換器である。室内ファン22は駆動源として回転数を変更可能なモータと、モータの出力軸に接続された羽根車とを有する。室内ファン22の一例は、小型のターボファンである。室内ファン22は室内熱交換器21の伝熱管を流れる冷媒と室内空気との熱交換を促進するため、モータによって羽根車を回転させることによって、室内熱交換器21を通過する室内空気の気流を発生させる。室内熱交換器温度センサ23は室内熱交換器21の温度を検出する。室内温度センサ24は室内温度を検出する。
【0025】
図3に示されるように、室内制御装置11は、室内ファン22、室内熱交換器温度センサ23、および、室内温度センサ24と電気的に接続されている。室内熱交換器温度センサ23によって検出された室内熱交換器の温度、および、室内温度センサ24により検出された室内の温度は室内制御装置11に入力される。室内制御装置11は室内ファン22のモータに制御信号を出力する。
【0026】
図2に示される冷媒回路50は圧縮機31、四路切換弁32、室外熱交換器33、および、膨張弁34と、室内熱交換器21と、アキュムレータ31Aとを冷媒配管40によって環状に接続したものである。四路切換弁32が切り換えられることにより、冷媒回路50は冷媒を可逆的に循環させるようにした蒸気圧縮式冷凍サイクルを実行する。
【0027】
四路切換弁32が冷房モード接続状態(図2の実線の状態)に切り換えられることにより、冷媒回路50は圧縮機31、四路切換弁32、室外熱交換器33、膨張弁34、室内熱交換器21、四路切換弁32、アキュムレータ31A、および、圧縮機31の順に冷媒が循環する冷房サイクルが形成される。これにより、小型空気調和機100では、室外熱交換器33が凝縮器として作用し、室内熱交換器21が蒸発器として作用する冷房運転が行われる。一方、四路切換弁32が暖房モード接続状態(図2の破線の状態)に切り換えられることにより、冷媒回路50はアキュムレータ31A、圧縮機31、四路切換弁32、室内熱交換器21、膨張弁34、室外熱交換器33、四路切換弁32、および、圧縮機31の順に冷媒が循環する暖房サイクルが形成される。これにより、小型空気調和機100では、室内熱交換器21が凝縮器として作用し、室外熱交換器33が蒸発器として作用する暖房運転が行われる。
【0028】
図3に示される室内制御装置11および室外制御装置12は予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置、ならびに、制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報等が記憶される記憶部を含む。演算処理装置は例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。記憶部は、例えば不揮発性メモリ及び揮発性メモリを含む。室内制御装置11は記憶部に記憶される制御プログラムが実行されることにより構築される機能ブロックとしての制御部13を含む。制御部13は室内制御部13Aおよび室外制御部13Bを含む。
【0029】
室内制御装置11には、コントローラ60および外部機器70が通信可能に接続されている。コントローラ60は例えばリモートコントローラである。外部機器70は居住者が所有するスマートデバイスまたはパーソナルコンピュータである。スマートデバイスの一例はタブレットおよびスマートフォンである。
【0030】
室内制御装置11はコントローラ60および外部機器70と無線通信できるように構成される。コントローラ60は小型空気調和機100の運転モードを選択する信号、運転を開始する信号、および、運転を停止する信号を室内制御装置11に出力する。コントローラ60により選択される小型空気調和機100の運転モードはオフモード、通常冷房運転モード、および、通常暖房運転モードを含む。オフモードは小型空気調和機100の運転を停止するモードである。通常冷房運転モードは非居室の温度が居住者により設定された温度となるように小型空気調和機100を冷房運転するモードである。通常暖房運転モードは非居室の温度が居住者により設定された温度となるように小型空気調和機100を暖房運転するモードである。
【0031】
外部機器70により選択される小型空気調和機100の運転モードは自動運転モードを含む。自動運転モードはコントローラ60により設定される小型空気調和機100の動作モードがオフモードの場合、非居室210の温度に応じて小型空気調和機100の動作を自動的に制御するモードである。室内制御装置11は外部機器70から送信される所定のパスワードが入力されることにより自動運転モードを選択できるように構成される。室内制御装置11はコントローラ60から送信される信号によっては、自動運転モードは選択できないように構成される。自動運転モードは自動暖房運転モードおよび自動冷房運転モードを含む。自動暖房運転モードは居室から非居室に移動した居住者がヒートショックを起こさないように、非居室の温度に応じて小型空気調和機100を制御するモードである。自動暖房運転モードは主に冬に設定される。自動冷房運転モードは居室から非居室に移動した居住者が熱中症を発症しないように、非居室の温度に応じて小型空気調和機100の動作を制御するモードである。自動冷房運転モードは主に夏に設定される。小型空気調和機100が複数の室内機20を備える場合、自動暖房運転モードおよび自動冷房運転モードのオンオフは室内機20毎に個別に設定可能である。
【0032】
室内制御装置11と室外制御装置12とは電気的に接続されている。このため、室内制御装置11はコントローラ60および外部機器70から受信した小型空気調和機100の動作に関する信号と、室内の温度と、室内熱交換器の温度とが入力されるとともに、これらの情報を室外制御装置12に出力する。室外制御装置12は、外気の温度、および、室外熱交換器の温度が入力されるとともに、これらの情報を室内制御装置11に出力する。
【0033】
外部機器70により自動運転モードが選択された場合、制御部13は自動運転制御を実行する。制御部13は自動運転制御において、非居室210の温度に応じて小型空気調和機100の動作の開始および終了を自動的に切り換える。このため、小型空気調和機100の消費電力を低減できる。自動暖房運転モードが選択されている場合、制御部13は自動運転制御において、小型空気調和機100の動作モードがオフモードに設定された状態で非居室210の温度が第1所定範囲まで低下した場合、小型空気調和機100の暖房運転を開始する。第1所定範囲は居室から非居室に移動した居住者がヒートショックを起こさないように決められる暖房下限温度TA以下の温度範囲である。非居室210の温度が大きく低下しないため、居室で過ごしている居住者が非居室210に移動した場合にヒートショックの発生が抑制される。暖房下限温度TAの一例は10℃〜16℃である。
【0034】
自動暖房運転モードが選択されている場合、制御部13は自動運転制御において、非居室210の温度が第1所定範囲まで低下したか否かを第1所定時間毎に判定する。第1所定時間は出荷段階で予め設定される時間であり、例えば1時間である。第1所定時間は居住者が任意に設定可能とすることもできる。制御部13は第1所定時間毎の非居室210の温度の判定において、室内ファン22を駆動させて非居室210の空気を攪拌する室温検出運転を実行する。このため、非居室210の温度が第1所定範囲まで低下した状態を好適に検出できる。
【0035】
自動暖房運転モードが選択されている場合、制御部13は自動運転制御において、小型空気調和機100の暖房運転中に非居室210の温度が第2所定範囲まで上昇した場合、小型空気調和機100の暖房運転を終了する。第2所定範囲は省エネの観点から決められる暖房上限温度TB以上の温度範囲である。このため、小型空気調和機100の消費電力を低減できる。暖房上限温度TBは暖房下限温度TAよりも高い温度である。暖房上限温度TBの一例は12℃〜18℃である。
【0036】
自動冷房運転モードが選択されている場合、制御部13は自動運転制御において、小型空気調和機100の動作モードがオフモードに設定された状態で非居室210の温度が第3所定範囲まで上昇した場合、小型空気調和機100の冷房運転を開始する。第3所定範囲は居室から非居室に移動した居住者が熱中症を発症しないように決められる冷房上限温度TC以上の温度範囲である。非居室210の温度が大きく上昇しないため、居室で過ごしている居住者が非居室に移動した場合に熱中症の発生が抑制される。冷房上限温度TCの一例は28℃〜32℃である。
【0037】
自動冷房運転モードが選択されている場合、制御部13は自動運転制御において、非居室210の温度が第3所定範囲まで上昇したか否かを第2所定時間毎に判定する。第2所定時間は出荷段階で予め設定される時間であり、例えば1時間である。第2所定時間は居住者が任意に設定可能とすることもできる。制御部13は第2所定時間毎の非居室210の温度の判定において、室温検出運転を実行する。このため、非居室210の温度が第3所定範囲まで上昇した状態を好適に検出できる。
【0038】
自動冷房運転モードが選択されている場合、制御部13は自動運転制御において、小型空気調和機100の冷房運転中に非居室の温度が第4所定範囲まで低下した場合、小型空気調和機の冷房運転を終了する。第4所定範囲は省エネの観点から決められる冷房下限温度TD以下の温度範囲である。このため、小型空気調和機100の消費電力を低減できる。冷房下限温度TDは冷房上限温度TCよりも低い温度である。冷房下限温度TDの一例は26℃〜30℃である。なお、暖房下限温度TA、暖房上限温度TB、冷房上限温度TC、および、冷房下限温度TDは居住者が任意に設定可能である。小型空気調和機100が複数の室内機20を備える場合、暖房下限温度TA、暖房上限温度TB、冷房上限温度TC、および、冷房下限温度TDは室内機20毎に個別に設定可能である。
【0039】
図4を参照して、自動暖房運転モードが選択されている場合の自動運転制御の処理手順の一例について説明する。自動運転制御は小型空気調和機100の運転モードが通常暖房運転モードからオフモードに切り換わったことによって開始される。自動運転制御は小型空気調和機100の運転モードがオフモードから通常暖房運転モードに切り換わったことによって終了される。
【0040】
ステップS11では、制御部13は室温検出運転を実行する。ステップS12では、制御部13は室内温度センサ24の出力に基づいて非居室210の温度を検出する。
【0041】
ステップS13では、制御部13は非居室210の温度が第1所定範囲に含まれるか否かを判定する。ステップS13が肯定判定の場合、すなわち、非居室210の温度が暖房下限温度TA未満の温度まで低下している場合、制御部13はステップS14の処理を実行する。ステップS14では、制御部13は暖房運転を開始する。
【0042】
ステップS15では、制御部13は非居室210の温度が第2所定範囲に含まれるか否かを判定する。ステップS15が肯定判定の場合、すなわち、非居室210の温度が暖房上限温度TB以上の温度まで上昇している場合、ステップS16の処理を実行する。ステップS15が否定判定の場合、すなわち、非居室210の温度が暖房上限温度TB未満の温度である場合、制御部13はステップS15の判定処理を再び実行する。ステップS16では、制御部13は暖房運転を終了する。
【0043】
ステップS13が否定判定の場合、すなわち、非居室210の温度が暖房下限温度TA超の温度である場合、制御部13はステップS17の処理を実行する。ステップS17では、制御部13はステップS12を実行してから第1所定時間が経過したか否かを判定する。ステップS17が肯定判定の場合、制御部13はステップS11を実行する。ステップS17が否定判定の場合、制御部13はステップS17の判定処理を再び実行する。
【0044】
図5を参照して、自動冷房運転モードが選択されている場合の自動運転制御の処理手順の一例について説明する。自動運転制御は小型空気調和機100の運転モードが通常冷房運転モードからオフモードに切り換わったことによって開始される。自動運転制御は小型空気調和機100の運転モードがオフモードから通常冷房運転モードに切り換わったことによって終了される。
【0045】
ステップS21では、制御部13は室温検出運転を実行する。ステップS22では、制御部13は室内温度センサ24の出力に基づいて非居室210の温度を検出する。
【0046】
ステップS23では、制御部13は非居室210の温度が第3所定範囲に含まれるか否かを判定する。ステップS23が肯定判定の場合、すなわち、非居室210の温度が冷房上限温度TC以上の温度まで上昇している場合、制御部13はステップS24の処理を実行する。ステップS24では、制御部13は冷房運転を開始する。
【0047】
ステップS25では、制御部13は非居室210の温度が第4所定範囲に含まれるか否かを判定する。ステップS25が肯定判定の場合、すなわち、非居室210の温度が冷房下限温度TD以下の温度まで低下している場合、ステップS26の処理を実行する。ステップS25が否定判定の場合、すなわち、非居室210の温度が冷房下限温度TD超の温度である場合、制御部13はステップS25の判定処理を再び実行する。ステップS26では、制御部13は冷房運転を終了する。
【0048】
ステップS23が否定判定の場合、すなわち、非居室210の温度が冷房上限温度TC未満の温度である場合、制御部13はステップS27の処理を実行する。ステップS27では、制御部13はステップS22を実行してから第2所定時間が経過したか否かを判定する。ステップS27が肯定判定の場合、制御部13はステップS21を実行する。ステップS27が否定判定の場合、制御部13はステップS27の判定処理を再び実行する。
【0049】
図6は自動暖房運転モードが選択されている場合の自動運転制御に関するタイミングチャートの一例である。時刻t61において、小型空気調和機100の運転モードが通常暖房運転モードからオフモードに切り換わった場合、制御部13は室温検出運転を開始する。時刻t61においては、非居室210の温度が暖房下限温度TA以上の温度であるため、制御部13は暖房運転が停止されている状態を維持する。制御部13は時刻t62において、室温検出運転を終了する。
【0050】
時刻t62から第1所定時間が経過した時刻t63において、制御部13は再び室温検出運転を開始する。時刻t63においては、非居室210の温度が暖房下限温度TA以下の温度まで低下している、すなわち、非居室210の温度が第1所定範囲に含まれるため、制御部13は暖房運転を開始する。
【0051】
時刻t64においては、非居室210の温度が暖房上限温度TB以上の温度まで上昇している、すなわち、非居室210の温度が第2所定範囲に含まれるため、制御部13は暖房運転を終了する。時刻t64以降、時刻t61〜時刻t64に対応する処理が繰り返し実行される。
【0052】
図7は自動冷房運転モードが選択されている場合の自動運転制御に関するタイミングチャートの一例である。時刻t71において、小型空気調和機100の運転モードが通常冷房運転モードからオフモードに切り換わった場合、制御部13は室温検出運転を開始する。時刻t71においては、非居室210の温度が冷房上限温度TC以下の温度であるため、制御部13は冷房運転が停止されている状態を維持する。制御部13は時刻t72において、室温検出運転を終了する。
【0053】
時刻t72から第2所定時間が経過した時刻t73において、制御部13は再び室温検出運転を開始する。時刻t73においては、非居室210の温度が冷房上限温度TC以上の温度まで上昇している、すなわち、非居室210の温度が第3所定範囲に含まれるため、制御部13は冷房運転を開始する。
【0054】
時刻t74においては、非居室210の温度が冷房下限温度TD以下の温度まで低下している、すなわち、非居室210の温度が第4所定範囲に含まれるため、制御部13は冷房運転を停止する。時刻t74以降、時刻t71〜時刻t74に対応する処理が繰り返し実行される。
【0055】
小型空気調和機100の制御装置10によれば、次のような作用および効果が得られる。コントローラ60によって小型空気調和機100の動作モードがオフモードに設定されている場合であっても、非居室210の特性である非居室210の温度に応じて小型空気調和機100の動作が自動的に制御されるため、一層快適な室内環境を居住者に提供できる。
【0056】
(変形例)
上記実施形態は本発明に関する小型空気調和機の制御装置、この小型空気調和機を備える住宅、および、小型空気調和機の制御方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する小型空気調和機の制御装置、この小型空気調和機を備える住宅、および、小型空気調和機の制御方法は実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。
【0057】
・自動暖房運転モードまたは自動冷房運転モードのオンオフの切り換え方は任意に変更可能である。一例では、自動暖房運転モードまたは自動冷房運転モードがオンに設定されてから所定の期間が経過した場合に、自動暖房運転モードまたは自動冷房運転モードが自動的にオフに設定される。
【符号の説明】
【0058】
10 :制御装置
13 :制御部
100:小型空気調和機
150:コントローラ
200:住宅
210:非居室
【要約】
【課題】一層快適な室内環境を居住者に提供できる小型空気調和機の制御装置、この小型空気調和機を備える住宅、および、小型空気調和機の制御方法を提供する。
【解決手段】小型空気調和機100の制御装置10は非居室に設置される小型空気調和機100をコントローラ60の操作に応じて制御する制御部13を備える。制御部13はコントローラ60により設定される小型空気調和機100の動作モードがオフモードの場合、非居室の温度に応じて小型空気調和機100の動作を自動的に制御する自動運転制御を実行する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7