(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585229
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】高圧ハーメチック端子
(51)【国際特許分類】
H01R 9/16 20060101AFI20190919BHJP
H01R 43/20 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
H01R9/16 101
H01R43/20 Z
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-92972(P2018-92972)
(22)【出願日】2018年5月14日
(62)【分割の表示】特願2016-500099(P2016-500099)の分割
【原出願日】2013年10月14日
(65)【公開番号】特開2018-152354(P2018-152354A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2018年5月30日
(31)【優先権主張番号】61/788,762
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500510010
【氏名又は名称】エマソン エレクトリック コー.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(72)【発明者】
【氏名】プラサド・エス.・カードキカー
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル・ラクナー
【審査官】
山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭52−006178(JP,U)
【文献】
実開昭54−026084(JP,U)
【文献】
実開昭52−078788(JP,U)
【文献】
実開昭57−155673(JP,U)
【文献】
特開平06−185463(JP,A)
【文献】
米国特許第04984973(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/16
H01R 13/521
H01R 43/20
F04B 53/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
概して平坦な上部壁と、円筒形側壁とを備える、キャップ状の金属本体であって、前記上部壁は、厚さを有し、その中を貫通して延在する、長手方向軸方向の開口を備え、前記開口は、前記上部壁の厚さと等しい長さを有する側壁を備える、キャップ状の金属本体と、
前記開口の中に配置され、前記長手方向軸に沿って延在する金属の管状補強部材であって、前記補強部材の外径は、前記補強部材の外面が前記開口の壁に隣接するように、前記開口に密に嵌合するようなサイズであり、前記補強部材は前記本体に、溶加材によって接合される、金属の管状補強部材と、
前記補強部材の中に前記長手方向軸に沿って延在する、電流伝導ピンと、
前記電流伝導ピンを前記補強部材に接合およびハーメチックシールする、電気絶縁性の溶融性シーリング材料と、
を備え、
前記金属本体の前記上部壁の外面に取り付けられた剛性金属パッドをさらに備え、
前記パッドが、前記金属本体の前記上部壁の前記外面を覆うようなサイズであり、前記金属本体の前記上部壁に開いた前記開口と前記長手方向軸に沿った方向に位置合わせされた1つのアパーチャを備え、
前記パッドと前記金属本体の前記上部壁とを合わせた厚さが、前記補強部材の長さよりも大きい、ことを特徴とする高圧ハーメチック端子。
【請求項2】
前記補強部材が、前記長手方向軸の方向に、前記上部壁の前記厚さよりも大きな長さを有する、請求項1に記載のハーメチック端子。
【請求項3】
前記補強部材が、本体部と、前記本体部の一端にあるリム部とを備える、請求項1に記載のハーメチック端子。
【請求項4】
前記リム部が、前記金属本体の前記上部壁の内面に接して着座する、請求項3に記載のハーメチック端子。
【請求項5】
概して平坦な上部壁と、円筒形側壁とを備える、キャップ状の金属本体であって、前記上部壁は、第1の厚さを有し、その中を貫通して延在する、長手方向軸方向の開口を備え、前記開口は、前記上部壁の厚さと等しい長さを有する側壁を備える、キャップ状の金属本体と、
前記開口の中に配置され、前記本体に結合された、金属の管状補強部材であって、前記補強部材の外径は前記開口に密に嵌合するようなサイズを有する、金属の管状補強部材と、
前記補強部材の中に前記長手方向軸に沿って延在する、電流伝導ピンと、
前記電流伝導ピンを前記補強部材に接合およびハーメチックシールする、電気絶縁性の溶融性シーリング材料と、
記上部壁の外面に取り付けられた剛性金属パッドであって、前記パッドは、前記開口と位置合わせされた1つのアパーチャを備えた、剛性金属パッドと、
を備え、
前記パッドは、前記上部壁の前記外面を覆い、前記第1の厚さとほぼ同一の第2の厚さを有している、ことを特徴とする高圧ハーメチック端子。
【請求項6】
前記補強部材が、本体部と、前記本体部の一端にあるリム部とを備える、請求項5に記載のハーメチック端子。
【請求項7】
前記リム部が、前記金属本体の前記上部壁に接して着座する、請求項6に記載のハーメチック端子。
【請求項8】
前記リム部が、前記金属本体の前記上部壁の内面に接して着座する、請求項7に記載のハーメチック端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年3月15日出願の米国仮出願第61/788,762号の利益を主張するものである。上記の出願の開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に、ハーメチック電力端子フィードスルーに関し、より詳細には、高圧適用分野で使用するハーメチック電力端子フィードスルーに関する。
【背景技術】
【0003】
本セクションでは、本開示に関係する、必ずしも従来技術であるとは限らない背景情報を提供する。
【0004】
従来型のハーメチックシールされた電力端子フィードスルー(「ハーメチック端子」とも呼ばれる)は、空調(A/C)コンプレッサなどのハーメチックシールされたデバイスと共に使用する気密電気端子を提供する役割を果たしている。そのような適用分野では、ハーメチックシールを維持することが決定的に重要な要件であり、ハーメチック端子を通じた漏出が効果的に防止されなければならない。
図1は、シールされたハウジング内にあるモータに電力が伝達されるのを可能にするハーメチック端子200が中に設置された、A/Cコンプレッサ100の概略図を示す。ハーメチック端子は、圧縮された加圧冷媒ガス102が端子100を通じて逃げるのを阻止するように構築される。
【0005】
当技術分野で周知の例示的な従来型のハーメチック端子200が、
図2に示されている。そのような従来型のハーメチック端子200では、導電性ピン202が、金属端子本体206を貫通するアパーチャまたは開口204内で、ピン202と端子本体206との間にハーメチックのガラス−金属間シールを形成する電気絶縁性の溶融性シーリングガラス208によって定位置に固定される。任意選択で、端子本体206の内側でセラミック絶縁スリーブ210が各ピン202を取り囲み、シーリングガラス208によって定位置に固着される。さらに、弾性の電気絶縁体212が、任意選択で、端子本体206の外表面に、またガラス−金属間シール208と電流伝導ピン202の一部とを覆って、接着され得る。
【0006】
従来型のハーメチック端子200では、端子本体206は典型的に、冷間圧延鋼から、端子本体206のキャップ様形状と端子本体の上部壁214を貫通する開口204とを形成するスタンピング操作で製造される。スタンピングの結果として、端子本体206の上部壁214を貫通する開口204は、溶融性シーリングガラス208がそれを相手にハーメチックシールを作ることのできる表面として働くリップ部216を生み出すように形成される。リップ部216によって生み出される、端子本体206の上部壁214の厚さの約2倍以上延在する長さを有する表面領域は、所望の気密性を達成するのに十分なシールが形成され得ることを確実にする。
【0007】
気密性に加えて、破壊圧力も、ハーメチック端子にとって、とりわけ高圧適用分野で使用されるものにとって、決定的に重要な性能仕様である。高圧ハーメチック端子の性能要件でしばしば要求されるのは、ハーメチック端子に20MPa(すなわち数千ポンド毎平方インチ)を上回る圧力下で気密性を維持する能力があることである。例えば、高圧空調コンプレッサにおいて、ハーメチック端子は、33MPa(約4800psi)の破壊圧力定格を満たすよう求められる場合がある。高圧下で端子本体が変形すればそれが、ハーメチックシールの完全性を損ない、ハーメチック端子の故障を招くおそれがある。したがって、高圧ハーメチック端子は、より堅牢な(すなわちより厚い)端子本体を必要とするものと一般に思われている。
【0008】
しかし、ハーメチック端子の寸法とスタンピング技術の限界とが相まって、端子本体の最大厚さを制限しており、金属スタンピングプロセスによって作製され得る最大厚さは、せいぜい約3.5ミリメートルでしかない。さらに、端子本体を形成する材料の厚さが増して3.5ミリメートル近くになると、スタンピング操作中に、(ハーメチックシールが形成され得る表面をもたらす)開口内のリップ部を形成することのできる能力が低下する。したがって、金属スタンピングは、高圧ハーメチック端子用の端子本体を形成するのに適していないことが分かっている。
【0009】
したがって、高圧適用分野において気密性と破壊圧力性能との必要な組合せを達成すべく、高圧ハーメチック端子は一般に、より厚い端子本体を組み込んでいる。一例示的高圧ハーメチック端子300が、
図3に示されている。図示のように、十分なハーメチックシールを形成するのに十分な表面領域をもたらす必要があるため、端子本体306の上部壁314が、少なくとも部分的に、
図2の従来型のハーメチック端子200の上部壁206の厚さt
1よりも実質的に厚いt
2。例えば、約6ミリメートルの上部壁厚さt
2を有する端子本体306の場合、シーリングガラス308が端子本体306との十分なハーメチックシールを形成するのを可能にするのに必要となる表面領域をもたらしながら、高圧下で必要な強度を示すことが分かっている。しかし、より厚い端子本体306は、金属スタンピングなどのコスト効果の高い製造操作で容易に製造され得ない。そうではなく、より厚い端子本体306は一般に、棒材から機械加工するという、よりコストのかかる製造プロセスで製作される。さらに、端子本体306が機械加工される棒材は、機械加工された端子本体306の上部壁314の厚さt
2を通って垂直に延びることのある、介在物の形をとる欠陥を含むことがある。介在物は、機械加工された部品の廃棄率を高める欠陥を招くおそれがある。
【発明の概要】
【0010】
したがって、高圧適用分野において気密性と破壊圧力性能との必要な組合せを満たすことができ、またスタンピングによるものなどの大量生産環境において効率的に製造され得る、改善された高圧ハーメチック端子が引き続き必要とされている。
【0011】
本開示は、高圧適用分野で使用するハーメチック電力端子フィードスルーを提供する。ハーメチック電力端子は、管状補強部材と、電流伝導ピンとを備える、溶融ピンサブアセンブリを含むことができる。電流伝導ピンは、管状補強部材を貫通し、ハーメチックシールを作るための溶融性シーリング材料によって、管状補強部材に固定され得る。次いで、溶融ピンサブアセンブリは、ろう付けまたははんだ付けによって、端子本体に恒久的に接合およびハーメチックシールされ得る。
【0012】
本開示のハーメチック端子の構造は、端子本体が、高圧ハーメチック端子に従来から採用されている金属材料よりも薄い金属材料から作製されることを可能にする。端子本体がより薄いにもかかわらず、もたらされるハーメチックシール、および端子本体の強度は、高圧動作環境の性能要求を満足させるものである。端子本体の厚さが減ることにより、端子本体が、金属スタンピングという経済的な製造プロセスで形成するのに適したものになる。
【0013】
さらなる適用可能性の範囲は、本明細書に記載される説明から明らかとなるであろう。本概要内での説明および具体例は、単なる例示として意図されたものであり、本開示の範囲を限定するようには意図されていない。
【0014】
本明細書にて説明される図面は、可能なあらゆる実装形態ではなく選択された実施形態を単に例示するためのものであり、本開示の範囲を限定するようには意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ハーメチック端子電力フィードスルーを組み込んだ、従来型のA/Cコンプレッサの概略図。
【
図3】従来型の高圧ハーメチック端子の断面正面図。
【
図7】本開示の高圧ハーメチック端子の一代替実施形態の断面正面図。
【
図8】本開示の高圧ハーメチック端子の別の代替実施形態の断面正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、実施形態例が、添付の図面を参照してより詳しく説明される。
【0017】
ここで
図4から
図7を参照すると、本開示の教示によるハーメチック端子が全体的に示されている。ハーメチック端子10は一般に、端子本体12と、補強部材14と、電流伝導ピン16と、電気絶縁性の溶融性シーリング材料18とを含む。電流伝導ピン16は、補強部材14を貫通し、ピン16と補強部材14との間にハーメチックシールを作る溶融性シーリング材料18によって、補強部材14に固定される。次いで、補強部材14は、ろう付けやはんだ付けなどの接合プロセスによって、端子本体12に恒久的に接合およびハーメチックシールされる。言うまでもなく、ハーメチック端子10は、複数の電流伝導ピン16と、複数の補強部材14と、溶融性シーリング材料18から形成された複数のシールとを含むことができる。
【0018】
図4および
図6を参照すると、例示的ハーメチック端子10が、3つの電流伝導ピン16を有するものとして示されており、各電流伝導ピン16は、対応する補強部材14にハーメチックシールされており、補強部材14自体は、端子本体12にハーメチックに接合されている。図示のように、電流伝導ピン16は、端子本体12の第1の内側20から端子本体12の第2の外側22に、端子本体12を貫通して延在する。
【0019】
端子本体12は、金属の、概してキャップ状の構造を備え、実質的に平坦な上部壁24と、円筒形側壁26と、側壁26から径方向外側に延在する環状リップ28とを含む。上部壁24は、補強部材14と電流伝導ピン16とを受け取るための複数の開口30を画定して、電流伝導ピン16が端子本体12を貫通するのを可能にしている。
【0020】
端子本体12は、直径約25から約40ミリメートルとすることができる。上部壁24の厚さ(T1)は、約3.5ミリメートル未満とすることができ、好ましくは、2.5ミリメートルから3.5ミリメートルの間であり、より好ましくは、3.0ミリメートルから3.5ミリメートルの間である。端子本体12は、冷間圧延鋼または熱間圧延鋼から金属スタンピング製造プロセスで作製され得る。
【0021】
補強部材14はそれぞれ、長手方向軸(X)に沿って長さ(L)にわたって延在し、中空の管状構成を有する本体部32を備える。本体部32は、第1の外径(D)と、第2の内径(d)と、壁厚(t)とを有する。外径(D)は、本体部32の外面が開口30の壁に隣接するように、端子本体12の上部壁24を貫通する開口30に密に嵌合するようなサイズである。内径(d)は、補強部材14を貫通する電流伝導ピン16と、電流伝導ピン16と補強部材14との間のハーメチックシールを作る溶融性シーリング材料18とを収容するようなサイズである。補強部材14の長さ(L)は、典型的に、端子本体12の上部壁24の厚さ(T1)よりも大きい。この構成では、端子本体12の上部壁24の厚さ(T1)を超えて延在し、したがって、高圧動作環境で使用するのに適した、溶融性シーリング材料18およびピン16とのハーメチックシールを作るのに効果的なシール面を、補強部材14がその内径(d)に沿ってもたらす。
【0022】
任意選択で、補強部材14は、管状本体部32の一端にフランジまたはリム部34を含むことができる。フランジ34は、端子本体12内に設置されると、端子本体12の上部壁24に接して着座することができる。例えば、
図6に示されるように、補強部材14のフランジ34は、上部壁24の外面36に接して着座することができる。あるいは、補強部材14は、フランジ34が上部壁24の内面38に接して着座するような形で設置され得る。フランジ34は、ハーメチック端子10の製造中に、補強部材14を端子本体12に対して配置する助けとなることができる。さらに、フランジ34は、端子本体12の上部壁24に対する構造補強として働き、それにより、高圧動作環境で生じる力のもとで上部壁24が変形に対して耐える力を強めることができる。
【0023】
補強部材14は、冷間圧延鋼や熱間圧延鋼などの金属から作製することができる。補強部材14は、溶融性シーリング材料18、電流伝導ピン16、および端子本体12の熱膨張率に一致する熱膨張率を有することができる。
【0024】
各電流伝導ピン16は、長手方向軸(X)に沿って延在し、補強部材14内に受け取られる。電流伝導ピン16は、溶融性シーリング材料18によって、補強部材14に対して定位置に固定される。電流伝導ピン16は、好ましくは、鋼、ステンレス鋼、または銅芯鋼線から作製される。電流伝導ピン16は、溶融性シーリング材料18、補強部材14、および端子本体12の熱膨張率に一致する熱膨張率を有することができる。
【0025】
溶融性シーリング材料18は、電流伝導ピン16と補強部材14との間にハーメチックのガラス−金属間シールを作るための、溶融性ガラスを備えることができる。そのような材料は、当技術分野で周知である。溶融性シーリング材料18は、補強部材14、電流伝導ピン16、および端子本体12の熱膨張率に一致する熱膨張率を有することができる。
【0026】
本開示のハーメチック端子10の構造の大きな利点は、高圧ハーメチック端子に従来から採用されているものよりも薄い端子本体12が、本開示のハーメチック端子10に使用され得ることである。端子本体12がより薄いにもかかわらず、もたらされるハーメチックシール、および端子本体12の強度は、高圧動作環境の性能要求を満足させるものである。さらに、端子本体12の厚さが減ることにより、端子本体が、以前から行われてきたのと同様に棒材から機械加工するのとは対照的により経済的な金属スタンピングという製造プロセスで、上部壁を貫通する1つまたは複数の開口を有するキャップ状の端子本体を形成するのに適したものになる。金属スタンピングプロセスでは、より大きな生産速度で運転することのできる、それほど費用のかからないツールを採用し、それにより、製造コストを下げ、製造生産高を上げることができる。さらに、金属スタンピングプロセスで形成される端子本体は一般に、機械加工された端子本体において見られるような、上部壁の厚さを通って垂直に延びることのある、介在物の形をとる欠陥を呈さない。
【0027】
本開示のハーメチック端子10を製造するためのプロセスは、これまでのハーメチック端子デバイスのプロセスとは異なる。ある点では、電流伝導ピン16が溶融性シーリング材料18によって補強部材14にハーメチック接合されて、溶融ピンサブアセンブリが作られてから、その溶融ピンサブアセンブリが端子本体12と組み立てられ得る。まず、溶融性シーリング材料18が、予備形成管として構築され得る。次いで、予備形成管18が補強構成要素14に重ね入れられ、ピン16が予備形成管18および補強部材14を貫通するように、ピン16、予備形成管18、および補強構成要素14が構成され得る。その後、この構成物が、電気絶縁性の溶融性シーリング材料18の溶融温度(すなわち、溶融性シーリングガラスの場合約1500°F)に加熱される。加熱後、次いでアセンブリが冷却され、それにより、ピン16および補強部材14が溶融性シーリング材料18によって作られるハーメチックシールによって接合された、溶融ピンサブアセンブリが作られ得る。
【0028】
その後、溶融ピンサブアセンブリが端子本体12内に、上部壁24に開いた開口30を貫通して設置され得る。溶融ピンサブアセンブリは、開口30内に配置された後、ろう付けやはんだ付けのような接合プロセスによって、端子本体12に接合され得る。接合プロセスは、溶融ピンサブアセンブリの(例えば補強部材(14)の外径(D)と開口30との)間の密に嵌合する空間を占有し、補強部材14と端子本体12の両方に接着する、溶加材を施す。接合プロセスは、溶融ピンサブアセンブリと端子本体12との間に、ハーメチックシール39を作る。ハーメチックシールは、補強部材14と開口30との間に、開口30の軸方向長さ全体(すなわち上部壁24の厚さ)に沿って延在することができる。さらに、ハーメチックシール39は、補強部材14のフランジ34(フランジ34が補強部材14の一部を成す場合)と、端子本体12の上部壁24の外面36(または、開口30内での補強部材14の配向に応じて内面38)との間にも、延在することができる。この接合プロセスは一般に、電気絶縁性の溶融性シーリング材料の溶融温度よりもずっと低い温度(例えば約840°F)で行われ得、したがって、ピン16と補強部材14との間のハーメチックシールの完全性は、このプロセスによる影響を受けない。
【0029】
本開示の高圧ハーメチック端子のさらなる代替手段10’および10’’が、
図7および
図8に示されている。
図7に示されるハーメチック端子10’では、溶融ピンサブアセンブリが端子本体12に接合される前または接合された後のいずれかに、端子本体12の上部壁24の外面36に、剛性パッド40が取り付けられ得る。剛性パッド40は、概して円盤状とすることができ、端子本体12の上部壁24の外面35を実質的に覆うようなサイズとすることができる。剛性パッド40は、電流伝導ピン16がパッド40を貫通するのを可能にするために端子本体12の上部壁24に開いた開口30と実質的に位置合わせされた、1つまたは複数のアパーチャ42を含むことができる。剛性パッド40は、端子本体12の上部壁24の厚さ(T1)未満の、またはその厚さ(T1)とほとんど同じ、厚さ(T2)を有することができる。好ましくは、上部壁24と剛性パッド40とを合わせた厚さ(T1+T2)は、補強部材14の長さ(L)よりもわずかに大きい。
【0030】
剛性パッド40は、端子本体12に構造的支持を追加して、ハーメチック端子10’を高圧適用分野での使用にさらに適合させることができる。
図7および
図8に示されているように、パッド40は、(補強部材がフランジ34を組み込むか否かとは関係なく)補強部材14、14’に加えて採用され得る。パッド40は、端子本体12と同じ金属から作製され得、ろう付けによって、またははんだ付けによってなど、前述の接合プロセスによって、端子本体12に接合され得る。
【0031】
さらに、図示されていないが、本開示による電力端子フィードスルーは、端子本体上の保護上面被覆(例えばシリコーンゴム)、ピンに統合されたヒューズ部、ピンの上面保護を行う追加の絶縁体(例えばセラミック絶縁体)、およびピンを他の構成要素に接続するように適合されたコネクタなどの、さらなる特徴を組み込むこともできることが理解されよう。
【0032】
実施形態についての先の記述は、例示および説明を目的として提供されたものである。先の記述は、網羅的であるように、または本開示を限定するようには、意図されていない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されるのではなく、適用可能な場合は、交換可能であり、具体的に図示または説明されていなくても、選択された実施形態で使用され得る。前述のものはまた、さまざまに変わり得る。そのような変形は、本開示から逸脱するものと見なされるべきではなく、かかる全ての変更形態は、本開示の範囲内に含まれるように意図されている。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 概して平坦な上部と、円筒形側壁とを備える、キャップ状の金属本体であって、前記上部壁は、その中を貫通する、長手方向軸を有する開口を備える、キャップ状の金属本体と、
前記開口の中に前記長手方向軸に沿って延在する金属の管状補強部材であって、前記補強部材の外径は、前記補強部材の外面が前記開口の壁に隣接するように、前記開口に密に嵌合するようなサイズであり、前記補強部材は前記本体に、溶加材によって接合される、金属の管状補強部材と、
前記補強部材の中に前記長手方向軸に沿って延在する、電流伝導ピンと、
前記電流伝導ピンを前記補強部材に接合およびハーメチックシールする、電気絶縁性の溶融性シーリング材料と、
を備える、ハーメチック端子。
[2] 前記上部壁が、前記長手方向軸の方向に厚さを有し、前記補強部材が、前記長手方向軸の方向に、前記厚さよりも大きな長さを有する、[1]に記載のハーメチック端子。
[3] 前記補強部材が、本体部と、前記本体部の一端にあるリム部とを備える、[1]に記載のハーメチック端子。
[4] 前記リム部が、前記端子本体の前記上部壁に接して着座する、[3]に記載のハーメチック端子。
[5] 前記リム部が、前記端子本体の前記上部壁の外面に接して着座する、[4]に記載のハーメチック端子。
[6] 前記リム部が、前記端子本体の前記上部壁の内面に接して着座する、[4]に記載のハーメチック端子。
[7] 前記端子本体の前記上部壁の外面に取り付けられた剛性パッドをさらに備える、[1]に記載のハーメチック端子。
[8] 前記パッドが、前記端子本体の前記上部壁の前記外面を覆うようなサイズであり、前記端子本体の前記上部壁に開いた前記開口と前記長手方向軸に沿った方向に位置合わせされたアパーチャを備える、[7]に記載のハーメチック端子。
[9] 前記パッドと前記端子本体の前記上部壁とを合わせた厚さが、前記補強部材の長さよりも大きい、[8]に記載のハーメチック端子。
[10] 高圧ハーメチック端子を製造するための方法であって、
キャップ状の金属本体をスタンピング操作で形成することであって、ここにおいて、前記本体は、概して平坦な上部壁と、円筒形側壁とを備え、前記上部壁は、2.5mmから3.5mmの厚さを有し、その中を貫通し、長手方向軸に沿って延在する少なくとも1つの開口を備える、キャップ状の金属本体をスタンピング操作で形成することと、
金属の管状補強部材を準備することであって、前記補強部材は、前記補強部材の外面が前記開口の壁に隣接するように前記開口に密に嵌合するようなサイズの外径と、内径とを有する、本体を備える、金属の管状補強部材を準備することと、
前記補強部材の前記内径に嵌合するようなサイズの外径と、内径とを有する、予備形成管として構築された、電気絶縁性の溶融性シーリング材料を準備することと、
前記シーリング材料の前記内径に嵌合するようなサイズの外径を有する電流伝導ピンを準備することと、
前記補強部材内に前記シーリング材料を配置することと、
前記シーリング材料内に前記ピンを配置することと、
溶融ピンサブアセンブリを形成するために、前記ピンを前記補強部材に恒久的に接合することと、
前記開口内に前記溶融ピンサブアセンブリを配置することと、
前記溶融ピンサブアセンブリを前記本体に恒久的に接合することと、
を備える方法。
[11] 前記ピンを前記補強部材に恒久的に接合することが、前記補強部材と前記ピンとの間にハーメチックシールを作ることを備え、
前記溶融ピンサブアセンブリを前記本体に恒久的に接合することが、前記補強部材と前記本体との間にハーメチックシールを作ることを備える、
[10]に記載の高圧ハーメチック端子を製造するための方法。
[12] 前記補強部材と前記ピンとの間にハーメチックシールを作ることが、前記ピンと、前記シーリング材料と、前記補強部材とを、前記シーリング材料の溶融温度に加熱することを備える、[10]に記載の高圧ハーメチック端子を製造するための方法。
[13] 前記ピンと、前記シーリング材料と、前記補強部材とを、前記シーリング材料の溶融温度に加熱することが、約1500°Fに加熱することを備える、[12]に記載の高圧ハーメチック端子を製造するための方法。
[14] 前記溶融ピンサブアセンブリを前記本体に恒久的に接合することが、溶加材を約840°Fに加熱することを備える、[13]に記載の高圧ハーメチック端子を製造するための方法。
[15] 金属の管状補強部材を準備することが、一端にあるリム部を有する本体部を備える金属補強部材を準備することをさらに備え、
前記開口内に前記溶融ピンサブアセンブリを配置することが、前記リム部が前記上部壁の外面に接して着座するように、前記開口内で前記溶融ピンサブアセンブリを配向することを備える、
[10]に記載の高圧ハーメチック端子を製造するための方法。
[16] 金属の管状補強部材を準備することが、一端にあるリム部を有する本体部を備える金属補強部材を準備することをさらに備え、
前記開口内に前記溶融ピンサブアセンブリを配置することが、前記リム部が前記上部壁の内面に接して着座するように、前記開口内で前記溶融ピンサブアセンブリを配向することを備える、
[10]に記載の高圧ハーメチック端子を製造するための方法。
[17] 前記溶融ピンサブアセンブリを前記本体に恒久的に接合することが、溶加材を約840°Fに加熱することを備える、[10]に記載の高圧ハーメチック端子を製造するための方法。