特許第6585241号(P6585241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6585241作業員監視システム、およびこれに用いる携帯端末、作業員監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6585241
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】作業員監視システム、およびこれに用いる携帯端末、作業員監視方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20190919BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20190919BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   H04M11/00 301
   B66B5/00 G
   B66B3/00 R
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-135105(P2018-135105)
(22)【出願日】2018年7月18日
【審査請求日】2018年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 智史
【審査官】 吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−160036(JP,A)
【文献】 特開2017−049761(JP,A)
【文献】 特開2004−348261(JP,A)
【文献】 特開2007−235823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B3/00−5/28
G06F19/00
G06Q10/00−10/10
30/00−30/08
50/00−50/20
50/26−99/00
G08B19/00−31/00
H03J9/00−9/06
H04M1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
H04Q9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業員が携帯する携帯端末と、前記作業員の活動状態を監視する監視装置とを備え、
前記携帯端末は、
自携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得部と、
自携帯端末の加速度を計測する加速度センサと、
予め設定された第1時間内に前記携帯端末の位置情報が所定の位置情報閾値以上移動したとき、または、前記第1時間内に前記加速度センサで所定の第1加速度閾値以上の加速度が計測されたときには前記作業員が作業活動中であると判定し、当該判定結果に基づいて活動状態情報を生成する活動状態判定部と、
前記活動状態判定部で生成された活動状態情報を、前記監視装置に送信する通信部とを有し、
前記監視装置は、
前記携帯端末から送信された活動状態情報を取得して出力する出力部
を有することを特徴とする作業員監視システム。
【請求項2】
前記携帯端末の活動状態判定部は、前記第1時間内に前記加速度センサで、前記第1加速度閾値よりも大きい値で予め設定された第2加速度閾値以上の加速度が計測されたときには、前記作業員に異常が発生した可能性がある異常発生候補状態であると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の作業員監視システム。
【請求項3】
前記監視装置は、
前記携帯端末から取得した活動状態情報に基づいて、作業員ごとに、異常発生候補状態であると判定された回数を計数し、当該回数が所定値以上になったか否かを監視する監視部をさらに有し、
前記出力部は、前記異常発生候補状態であると判定された回数が所定値以上になった作業員に関する情報を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の作業員監視システム。
【請求項4】
前記携帯端末の活動状態判定部は、前記加速度センサで前記第2加速度閾値以上の加速度が計測された後、所定の第2時間内に前記第1加速度閾値以上の加速度が計測されたときには、前記作業員が作業活動中であると判定し、前記第2時間内に前記第1加速度閾値以上の加速度が計測されなかったときには、前記作業員に異常が発生したと判定する
ことを特徴とする請求項2または3いずれか1項に記載の作業員監視システム。
【請求項5】
作業員が携帯する携帯端末であり、前記作業員の活動状態を監視する監視装置に接続され、
自携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得部と、
自携帯端末の加速度を計測する加速度センサと、
予め設定された第1時間内に前記携帯端末の位置情報が所定の位置情報閾値以上移動したとき、または、前記第1時間内に前記加速度センサで所定の第1加速度閾値以上の加速度が計測されたときには前記作業員が作業活動中であると判定し、当該判定結果に基づいて活動状態情報を生成する活動状態判定部と、
前記活動状態判定部で生成された活動状態情報を、前記監視装置に送信する通信部とを備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項6】
前記作業員が携帯する第2の携帯端末にさらに接続され、
前記活動状態判定部は、前記第1時間内に前記携帯端末の位置情報が所定の位置情報閾値以上移動せず、且つ、加速度センサで前記第1加速度閾値以上の加速度が計測されなかったと判定した後、所定時間が経過しても前記第1加速度閾値以上の加速度が計測されなかったときには、前記作業員が前記携帯端末を置き忘れた状態であると判定し、当該判定結果を前記第2の携帯端末に送信する
ことを特徴とする請求項5に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記活動状態判定部は、前記作業員により作業開始操作が行われてから作業終了操作が行われるまでの間、前記作業員の活動状態の判定処理を行う
ことを特徴とする請求項5または6に記載の携帯端末。
【請求項8】
作業員が携帯する携帯端末が、
自携帯端末の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
自携帯端末の加速度を計測する加速度計測ステップと、
予め設定された第1時間内に前記位置情報取得ステップで取得された前記携帯端末の位置情報が所定の位置情報閾値以上移動したとき、または、前記第1時間内に前記加速度計測ステップで所定の第1加速度閾値以上の加速度が計測されたときに前記作業員が作業活動中であると判定する活動状態判定ステップと、
前記活動状態判定ステップで判定された前記作業員の活動状態を示す活動状態情報を生成する活動状態情報生成ステップと、
前記活動状態情報生成ステップで生成された活動状態情報を、前記携帯端末に接続された監視装置に送信する送信ステップと、
前記監視装置が、
前記携帯端末から送信された活動状態情報を取得して出力するステップと、
を有することを特徴とする作業員監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、作業員監視システム、およびこれに用いる携帯端末、作業員監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、エレベータのメンテナンス作業は、乗りかご内や昇降路内など、閉鎖された空間内で作業員が1人で行う。閉鎖された空間で1人で作業を行うと、作業員に怪我、病気が発生した場合や、地震、火災等が発生して被災した場合などに、作業員が自ら外部に救助を要請する行動をとれない場合がある。そのため、作業中は外部から作業員の活動状態を監視する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−160036号公報
【特許文献2】特開2008−283448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、エレベータのメンテナンス作業中に作業員の活動状態を監視するために、作業員が携帯する携帯端末に搭載された加速度センサや音センサによるセンシング情報、またはGPS(Global Positioning System)情報等を外部の監視装置で取得することで、当該作業員の活動状態を予測する技術がある。しかし、これらの情報を個々に監視するのみでは、作業員の活動状態を精度よく予測することができないという問題があった。例えば、作業に起因して作業員が速い動きを行った場合にも、作業員に落下等の異常が発生したと誤認識してしまう場合があり、その都度当該作業員に安全確認をとらなければならないという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、エレベータのメンテナンス作業員の活動状態を精度よく監視するための作業員監視システム、およびこれに用いる携帯端末、作業員監視方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための実施形態によれば、作業員監視システムは、作業員が携帯する第1携帯端末と、作業員の活動状態を監視する監視装置とを備える。第1携帯端末は、自端末の位置情報と加速度の情報とから当該作業員の活動状態を判定し、判定結果に基づいて活動状態情報を生成して監視装置に送信する。監視装置は、第1携帯端末から取得した当該作業員の活動状態情報を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1、第2、第4、および第5実施形態による作業員監視システムの構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態による作業員監視システム内の第1携帯端末で実行される処理を示すフローチャート。
図3】第2実施形態による作業員監視システム内の第1携帯端末で実行される処理を示すフローチャート。
図4】第3実施形態による作業員監視システムの構成を示すブロック図。
図5】第3実施形態による作業員監視システム内の監視装置で実行される処理を示すフローチャート。
図6】第4実施形態による作業員監視システム内の第1携帯端末で実行される処理を示すフローチャート。
図7】第5実施形態による作業員監視システム内の第1携帯端末で実行される処理を示すフローチャート。
図8】第6実施形態による作業員監視システムの構成を示すブロック図。
図9】第6実施形態による作業員監視システム内の第1携帯端末で実行される処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
《第1実施形態》
〈第1実施形態による作業員監視システムの構成〉
本発明の第1実施形態による作業員監視システムの構成について、図1を参照して説明する。本実施形態による作業員監視システム1Aは、エレベータのメンテナンス作業を行う作業員が携帯する第1携帯端末10Aと、当該第1携帯端末10Aと通信ネットワーク20を介して接続され、当該エレベータの監視室等に設置された監視装置30Aとを備える。
【0009】
第1携帯端末10Aは、GPS情報取得部11と、加速度センサ12と、作業用アプリケーション処理部13Aと、第1通信部14とを有する。GPS情報取得部11は、当該第1携帯端末10AのGPS情報を所定時間間隔で取得する。加速度センサ12は、当該第1携帯端末10Aのx、y、z軸の3軸方向の所定時間ごとの加速度を計測することで、当該第1携帯端末10Aが受けた振動や衝撃を検出する。
【0010】
作業用アプリケーション処理部13Aは、当該第1携帯端末10Aに搭載された作業用アプリケーションを実行する機能部であり、設定情報記憶部131Aと、活動状態判定部132Aとを有する。設定情報記憶部131Aは、当該第1携帯端末10Aを携帯する作業員の活動の有無を判定処理に用いる情報として予め設定された、判定処理の実行周期を示す第1時間、当該作業員の活動があったと判定するための移動距離閾値および第1加速度閾値の情報を記憶する。活動状態判定部132Aは、GPS情報取得部11で取得された第1携帯端末10AのGPS情報と、加速度センサ12で計測された第1携帯端末10Aの加速度の情報と、設定情報記憶部131Aに記憶された情報から、当該作業員の活動状態を判定し、判定結果に基づいて活動状態情報を生成する。第1通信部14は、通信ネットワーク20を介して監視装置30Aとの情報通信を行う。
【0011】
監視装置30Aは、第2通信部31と、活動状態情報取得部32と、活動状態情報記憶部33と、出力部としての表示部34とを有する。第2通信部31は、通信ネットワーク20を介して第1携帯端末10Aとの情報通信を行う。活動状態情報取得部32は、第1携帯端末10Aから送信された作業員の活動状態情報を、第2通信部31を介して取得する。活動状態情報記憶部33は、活動状態情報取得部32で取得された活動状態情報を記憶する。表示部34は、活動状態情報記憶部33に記憶された活動状態情報を表示する。
【0012】
〈第1実施形態による作業員監視システム1Aの動作〉
次に、本実施形態による作業員監視システム1Aの動作について、図2のフローチャートを参照して説明する。まず、作業員が第1携帯端末10Aで作業用アプリケーションを起動すると(S1の「YES」)、作業用アプリケーション処理部13Aの活動状態判定部132Aにおいて、設定情報記憶部131Aに記憶された第1時間、移動距離閾値、および第1加速度閾値の情報が取得される。また、活動状態判定部132Aにおいて、GPS情報取得部11において所定時間間隔で取得されたGPS情報の取得が開始される。また、活動状態判定部132Aにおいて、加速度センサ12において所定時間間隔で計測された加速度の情報の取得が開始される(S2)。
【0013】
これらの情報が取得された状態で、活動状態判定部132Aにおいて、取得された第1時間に基づいて当該作業員の活動状態の判定タイミングが到来したと判定されると(S3の「YES」)、今回取得された最新のGPS情報と、前回の判定処理時に取得されたGPS情報との差分に基づいて、前回の判定処理時からの当該作業員の移動距離が算出される。ただし、作業用アプリケーションが起動されてから初回の判定処理においては前回のGPS情報がないため、移動距離は0とする。今回取得された最新のGPS情報は、次回の判定処理において移動距離の算出に用いるために活動状態判定部132A内のキャッシュメモリに記憶される。
【0014】
そして、算出された移動距離が、ステップS2で取得された移動距離閾値以上であるか否かが判定される。算出された移動距離が移動距離閾値以上であると判定された場合(S4の「YES」)には、所定時間内に当該作業員が水平方向に所定値以上移動しており作業活動中であると判定される(S5)。
【0015】
また、ステップS4において、算出された移動距離が移動距離閾値未満であると判定された場合(S4の「NO」)には、さらに、今回取得された最新の加速度が、ステップS2で取得された第1加速度閾値以上であるか否かが判定される(S6)。ここで、今回取得された加速度が第1加速度閾値以上であると判定された場合(S6の「YES」)には、当該作業員に所定値以上の振動等が検出されており作業活動中であると判定される(S5)。つまり、作業員が所定距離以上を移動したとき、または、作業員から所定値以上の振動が検出されたときには、当該作業員が作業活動中であると判定される。
【0016】
当該作業員が作業活動中であると判定されると、活動状態判定部132Aにおいて、当該作業員の識別情報と、作業活動中であることを示すステータス情報と、判定日時情報とを含む活動状態情報が生成され、第1通信部14から通信ネットワーク20を介して監視装置30Aに送信される(S7)。監視装置30Aでは、第1携帯端末10Aから送信された活動状態情報が第2通信部31を介して活動状態情報取得部32で取得され、活動状態情報記憶部33に記憶される。
【0017】
また、第1時間内に作業員が所定距離以上を水平移動していないと判定され、且つ、所定値以上の振動も検出されなかったとき(S4の「NO」→S6の「NO」)には、当該作業員は作業活動をしていないと判定される(S8)。
【0018】
当該作業員が作業活動中であると判定されて活動状態情報が送信される(S7)かまたは、当該作業員が作業活動をしていないと判定される(S8)と、作業用アプリケーションの起動中はステップS3に戻り、第1時間周期でステップS3〜S8の処理が繰り返される(S9の「NO」)。
【0019】
以上の第1実施形態によれば、所定時間内における作業員の水平方向の移動状態と、第1携帯端末の振動状態との組み合わせに基づいて、作業員の活動状態を当該作業員に問い合わせることなく、遠隔から精度よく監視することができる。
【0020】
《第2実施形態》
〈第2実施形態による作業員監視システムの構成〉
本発明の第2実施形態による作業員監視システム1Bの構成は、第1実施形態で説明した作業員監視システム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態による作業員監視システム1Bの第1携帯端末10Bの設定情報記憶部131Bは、第1時間、移動距離閾値、および第1加速度閾値の情報とともに、作業員に異常が発生した可能性があるか否かを判定するために第1加速度閾値よりも大きい値で予め設定された第2加速度閾値を記憶する。
【0021】
また活動状態判定部132Bは、加速度センサ12で計測された第1携帯端末10Bの加速度の情報と、設定情報記憶部131Bに記憶された情報から、当該作業員に異常が発生した可能性がある異常発生候補状態であるか否かを判定する。
【0022】
〈第2実施形態による作業員監視システム1Bの動作〉
次に、本実施形態による作業員監視システム1Bの動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。図3において、ステップS1〜S6で実行される処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0023】
図3のステップS6において、今回取得された最新の加速度が第1加速度閾値以上であると判定されると(S6の「YES」)、さらに、当該取得された加速度が、第1加速度閾値よりも大きい第2加速度閾値以上であるか否かが判定される(S10)。ここで、今回取得された加速度が第2加速度閾値以上であると判定された場合(S10の「YES」)には、一時的に大きな振動が検出され、当該作業員に落下等の異常が発生した可能性がある異常発生候補状態であると判定される(S11)。取得された加速度が第1加速度閾値以上であるが第2加速度閾値未満である場合(S6の「YES」→S10の「NO」)には、通常の作業活動中であると判定される(S5)。
【0024】
そして、活動状態判定部132Bにおいて、ステップS11またはS5の判定結果に基づいて活動状態情報が生成され、第1通信部14から通信ネットワーク20を介して監視装置30Bに送信される。例えば、ステップS11で当該作業員が異常発生候補状態であると判定されたときには、当該作業員の識別情報と、異常発生候補状態であることを示すステータス情報と、判定日時とを含む活動状態情報が生成され、監視装置30Bに送信される。監視装置30Bでは、第1携帯端末10Bから送信された活動状態情報が第2通信部31を介して活動状態情報取得部32で取得され、活動状態情報記憶部33に記憶される。
【0025】
また、第1時間内に作業員が所定距離以上を水平移動していないと判定され、且つ、所定値以上の振動も検出されなかったとき(S4の「NO」→S6の「NO」)には、当該作業員は作業活動をしていないと判定される(S8)。
【0026】
当該作業員の活動状態情報が送信される(S7)かまたは、当該作業員が作業活動をしていないと判定される(S8)と、作業用アプリケーションの起動中はステップS3に戻り、第1時間周期でステップS3〜S8、S10、S11の処理が繰り返される(S9の「NO」)。
【0027】
以上の第2実施形態によれば、所定時間内における作業員の水平方向の移動状態と、第1携帯端末の振動状態との組み合わせに基づいて、作業員の活動状態を監視する際に、一時的に大きな振動が検出されたときには落下等の異常発生候補状態として判定するため、さらに精度よく作業活動の監視処理を行うことができる。
【0028】
《第3実施形態》
〈第3実施形態による作業員監視システムの構成〉
本発明の第3実施形態による作業員監視システム1Cの構成について、図4を参照して説明する。本実施形態による作業員監視システム1Cは、監視装置30Cが監視部35を有する他は、第2実施形態で説明した作業員監視システム1Bの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0029】
本実施形態による作業員監視システム1Cの監視装置30Cの監視部35は、第1携帯端末10Cから取得され活動状態情報記憶部33に記憶された活動状態情報に基づいて、作業員ごとに、異常発生候補状態であると判定された回数を計数し、当該回数が所定値以上になったか否かを監視する。また、表示部34は、監視部35で異常発生候補状態であると判定された回数が所定値以上になったと判定された作業員に関する行動注意情報を表示する。
【0030】
〈第3実施形態による作業員監視システム1Cの動作〉
次に、本実施形態による作業員監視システム1Cの第1携帯端末10Cにおいて、作業用アプリケーションが起動されている間に実行される処理は、第2実施形態で説明した図2のステップS1〜S11と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0031】
本実施形態において、監視装置30Cの監視部35で実行される処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。まず、監視部35により、活動状態情報記憶部33に記憶された活動状態情報が取得され(S31)、作業員ごとに、異常発生候補状態になった回数が、予め設定された所定値以上であるか否かが判定される。ここで、異常発生候補状態になった回数が所定値以上の作業員がいると判定されたとき(S32の「YES」)には、当該作業員の活動状態情報に、携帯端末の取り扱いを注意するための行動注意情報が追加されて活動状態情報記憶部33に記憶される(S33)。活動状態情報記憶部33に記憶された活動状態情報は、表示部34に表示される。
【0032】
以上の第3実施形態によれば、異常発生候補状態となる回数が多い作業員は動作の緩急が激しい、または第1携帯端末の取り扱いが荒い等の可能性が高いため、第1携帯端末の取り扱いに注意させるための情報を出力することで、さらに精度よく作業員の活動状態を監視することができる。
【0033】
《第4実施形態》
〈第4実施形態による作業員監視システムの構成〉
本発明の第4実施形態による作業員監視システム1Dの構成は、第2実施形態で説明した作業員監視システム1Bの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態による作業員監視システム1Dの第1携帯端末10Dの設定情報記憶部131Dは、第1時間、移動距離閾値、第1加速度閾値、および第2加速度閾値の情報とともに、異常発生候補状態であると判定された作業員に関し、実際に異常が発生したか否かを判定するための第2時間の情報を記憶する。
【0034】
また活動状態判定部132Dは、加速度センサ12で第2加速度閾値以上の加速度が計測されて異常発生候補状態になった後、設定情報記憶部131Dに記憶された第2時間内に第1加速度閾値以上の加速度が計測されたとき、つまり第2時間内の加速度の最高値が第1加速度閾値以上であった場合には、当該作業員が通常の作業活動中であると判定し、第2時間内に第1加速度閾値以上の加速度が計測されなかったときには、当該作業員に異常が発生したと判定する。
【0035】
〈第4実施形態による作業員監視システム1Dの動作〉
次に、本実施形態による作業員監視システム1Dの動作について、図6のフローチャートを参照して説明する。図6において、ステップS1〜S10で実行される処理は、第2実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0036】
図6のステップS10において、今回取得された加速度が、大きな振動による第2加速度閾値以上であり異常発生候補状態になったと判定された場合(S10の「YES」)には、この時点から第2時間内に通常の作業活動を検出する第1加速度閾値以上の加速度が計測されたか否かが判定される(S12の「YES」→S13)。ここで、第2時間内に第1加速度閾値以上の加速度が計測されたとき(S13の「YES」)、つまり大きな振動があってから所定時間内に第1加速度閾値以上の加速度が計測された場合には、当該作業員は通常の作業活動を行っていると判定される(S5)。また、第2時間内に第1加速度閾値以上の加速度が計測されなかったとき(S13の「NO」)には、当該作業員に落下等の異常が発生し動きがとれない可能性があると判定される(S14)。
【0037】
そして、活動状態判定部132Dにおいて、ステップS14またはS5の判定結果に基づいて活動状態情報が生成され、第1通信部14から通信ネットワーク20を介して監視装置30Dに送信される。例えば、ステップS14で当該作業員に異常が発生したと判定されたときには、当該作業員の識別情報と、異常が発生したことを示すステータス情報と、判定日時とを含む活動状態情報が生成され、監視装置30Dに送信される。監視装置30Dでは、第1携帯端末10Dから送信された活動状態情報が第2通信部31を介して活動状態情報取得部32で取得され、活動状態情報記憶部33に記憶される。
【0038】
また、第1時間内に作業員が所定距離以上を水平移動していないと判定され、且つ、所定値以上の振動も検出されなかったとき(S4の「NO」→S6の「NO」)には、当該作業員は作業活動をしていないと判定される(S8)。
【0039】
当該作業員の活動状態情報が送信される(S7)かまたは、当該作業員が作業活動をしていないと判定される(S8)と、作業用アプリケーションの起動中はステップS3に戻り、第1時間周期でステップS3〜S10、S12〜S14の処理が繰り返される(S9の「NO」)。
【0040】
以上の第4実施形態によれば、作業員の第1携帯端末から大きな振動が検出されて異常発生候補状態となった後、所定期間の間に一定以上の動きが検出されれば通常の作業活動中であり異常は発生していないと判定することで、活動作業中の一時的な振動により当該作業員に異常が発生したと誤検出することが回避され、さらに精度よく作業活動の監視処理を行うことができる。
【0041】
《第5実施形態》
〈第5実施形態による作業員監視システムの構成〉
本発明の第5実施形態による作業員監視システム1Eの構成は、第2実施形態で説明した作業員監視システム1Bの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態による作業員監視システム1Eの活動状態判定部132Eは、作業員により作業開始操作が行われてから作業終了操作が行われるまでの間のみ、当該作業員の活動状態の判定処理を行う。
【0042】
〈第5実施形態による作業員監視システム1Eの動作〉
次に、本実施形態による作業員監視システム1Eの動作について、図7のフローチャートを参照して説明する。図7において、作業員が第1携帯端末10Eで作業用アプリケーションを起動すると(S1の「YES」)、活動状態判定部132Eにおいて設定情報記憶部131Eに記憶された情報が取得され、GPS情報取得部11からのGPS情報の取得が開始され、加速度センサ12からの加速度の情報の取得が開始される(S2)。
【0043】
その後、作業員により当該作業用アプリケーション内の機能を用いて作業開始操作が行われると(S15の「YES」)、第4実施形態で説明した処理と同様に、ステップS3〜S10、S12〜S14で示す当該作業員の活動状態の判定処理が実行される。作業開始操作が行われずに作業用アプリケーションが終了されれば(S15の「NO」→S16の「YES」)、処理を終了する。
【0044】
また、当該作業員の活動状態情報が送信される(S7)かまたは、当該作業員が作業活動をしていないと判定された後(S8)、作業用アプリケーションが終了される前に作業終了操作が行われると(S9の「NO」→S17の「YES」)、ステップS15に戻る。また、ステップS17において作業終了操作が行われてない間は、ステップS3に戻る。
【0045】
以上の第5実施形態によれば、夜間や作業員の休日等、作業時間外のプライベート時間中に、作業員が第1携帯端末を所持している場合に、活動状態の判定処理が実行されることが回避され、さらに精度よく作業活動の監視処理を行うことができる。
【0046】
《第6実施形態》
〈第6実施形態による作業員監視システムの構成〉
本発明の第6実施形態による作業員監視システム1Fの構成について、図8を参照して説明する。本実施形態による作業員監視システム1Fは、第1携帯端末10Fを携帯する作業員が2台目の携帯端末として所持する第2携帯端末40が通信ネットワーク20に接続されている他は、第1実施形態で説明した作業員監視システム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。第2携帯端末40は、メール受信機能を有するメール受信部41と、表示部42とを有する。
【0047】
本実施形態による作業員監視システム1Fの第1携帯端末10Fの設定情報記憶部131Fは、第1時間、移動距離閾値、および第1加速度閾値の情報とともに、当該作業員が第1携帯端末10Fを置き忘れているか否かを判定するための第3時間の情報を記憶する。また、設定情報記憶部131Fは、第2携帯端末40にメールを送信するためのアドレス情報を記憶する。
【0048】
また活動状態判定部132Fは、作業員により作業開始操作が行われてから作業終了操作が行われるまでの間、当該作業員の活動状態の判定処理を行う。また活動状態判定部132Fは、活動状態の判定処理において、第1時間内に作業員が所定距離以上を水平移動していないと判定し、且つ、所定値以上の振動も検出されなかったと判定した後、第3時間を経過しても第1加速度閾値以上の加速度が計測されなかったときには、当該作業員が第1携帯端末10Fを置き忘れた状態であると判定し、置き忘れ情報を生成して第2携帯端末に送信する。
【0049】
〈第6実施形態による作業員監視システム1Fの動作〉
次に、本実施形態による作業員監視システム1Fの動作について、図9のフローチャートを参照して説明する。図9において、作業員が第1携帯端末10Fで作業用アプリケーションを起動すると(S1の「YES」)、活動状態判定部132Fにおいて設定情報記憶部131Fに記憶された情報が取得され、GPS情報取得部11からのGPS情報の取得が開始され、加速度センサ12からの加速度の情報の取得が開始される(S2)。
【0050】
その後、作業員により当該作業用アプリケーション内の機能を用いて作業開始操作が行われると(S15の「YES」)、第1実施形態で説明した処理と同様に、ステップS3〜S9で示す当該作業員の活動状態の判定処理が実行される。作業開始操作が行われずに作業用アプリケーションが終了されれば(S15の「NO」→S16の「YES」)、処理を終了する。
【0051】
ステップS8において、当該作業員が作業活動をしていないと判定されると、活動状態判定部132Fにより、置き忘れ判定処理が開始され、当該開始時の日時情報が記憶される。そして、当該置き忘れ判定処理の開始時から第3時間内に第1加速度閾値以上の加速度が計測されたか否かが判定される(S18の「YES」→S19)。ここで、第3時間内に第1加速度閾値以上の加速度が計測されたとき(S19の「YES」)には、当該作業員が第1携帯端末10Fを携帯して通常に作業活動中であると判定される(S5)。また、第3時間内に第1加速度閾値以上の加速度が計測されなかったとき(S19の「NO」)には、当該作業員が第1携帯端末10Fを置き忘れた状態であると判定される(S20)。
【0052】
当該作業員が第1携帯端末10Fを置き忘れた状態であると判定されると、活動状態判定部132Fにより置き忘れ情報が生成され、第1通信部14を介して第2携帯端末40に対し、メールで送信される(S21)。第2携帯端末40では、第1携帯端末10Fから送信された置き忘れ情報を含むメールがメール受信部41で受信され、表示部42に表示される。
【0053】
以上の第6実施形態によれば、作業員により第1携帯端末が置き忘れられた場合に、置き忘れ情報が第2携帯端末40の表示部42に表示されることにより、当該作業員に対し、第1携帯端末10Fを置き忘れていることを報知することができる。当該処理は、夜間や作業員の休日等、作業時間外のプライベート時間中には実行されないようにすることで、作業員に不都合が発生しないようにすることができる。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1A〜1F…作業員監視システム、10A〜10F…第1携帯端末、11…GPS情報取得部、12…加速度センサ、13A〜13F…作業用アプリケーション処理部、14…第1通信部、20…通信ネットワーク、30A〜30F…監視装置、31…第2通信部、32…活動状態情報取得部、33…活動状態情報記憶部、34…表示部、35…監視部、40…第2携帯端末、41…メール受信部、42…表示部、131A〜131F…設定情報記憶部、132A〜132F…活動状態判定部
【要約】
【課題】 エレベータのメンテナンス作業員の活動状態を精度よく監視するための作業員監視システム、およびこれに用いる携帯端末、作業員監視方法を提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、作業員監視システムは、作業員が携帯する第1携帯端末と、作業員の活動状態を監視する監視装置とを備える。第1携帯端末は、自端末の位置情報と加速度の情報とから当該作業員の活動状態を判定し、判定結果に基づいて活動状態情報を生成して監視装置に送信する。監視装置は、第1携帯端末から取得した当該作業員の活動状態情報を出力する。
【選択図】図1
図1
図2
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図6
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図8
図9