(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585254
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】有機発光表示装置及びその駆動方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20190919BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20190919BHJP
H04N 5/70 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 670F
G09G3/20 633P
G09G3/20 633D
H04N5/70 Z
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-166570(P2018-166570)
(22)【出願日】2018年9月6日
(65)【公開番号】特開2019-49711(P2019-49711A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2018年9月6日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0115224
(32)【優先日】2017年9月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】權 五 鐘
【審査官】
小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−297108(JP,A)
【文献】
特開2010−15065(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0096769(US,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2008−0016019(KR,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0120502(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00−3/38
G02F 1/133
H04N 5/66−5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイモジュール部と、
前記ディスプレイモジュール部から所定距離だけ離隔したセット部に内蔵されるタイミングコントローラーであって、前記タイミングコントローラーは安全モードを解除するためのリセット信号の伝送を制御するように構成され、前記リセット信号は前記ディスプレイモジュール部に伝送され、前記リセット信号は、ブラック画面を表示する安全モードの遂行時に、前記ディスプレイモジュール部とセット部を連結するケーブルに及ぶ外部ノイズの影響によって安全モードが異常に維持されることを防止する、タイミングコントローラーを含む、有機発光表示装置。
【請求項2】
前記タイミングコントローラーは、
前記ディスプレイモジュール部で周期的に発生するパルス信号を受信し、設定された時間の間に前記ディスプレイモジュール部から前記パルス信号が受信されないとき、前記ディスプレイモジュール部に第1リセット信号を送信することを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記タイミングコントローラーは、
前記ディスプレイモジュール部の有機発光ダイオードに印加される電圧の大きさについての情報を論理信号として受信し、前記有機発光ダイオードに印加される電圧が正常電圧の場合は正常駆動を行うことを特徴とする、請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
安全モードの遂行時に、前記タイミングコントローラーと前記ディスプレイモジュール部はコンテンツ(contents)保護のために高帯域複製防止(High−bandwidthDigitalContentProtection:HDCP)規格による暗号化及び復号化動作を行うことを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記タイミングコントローラーは、
前記ディスプレイモジュール部からのHDCP暗号化及び復号化動作の完了による安全モード解除信号の受信を待機し、設定された時間を超えれば前記ディスプレイモジュール部にリセット信号を送信することを特徴とする、請求項4に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記安全モード解除信号の受信待機のために設定された待機時間は5秒〜10秒の範囲で設定されることを特徴とする、請求項5に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
ディスプレイモジュール部で周期的に発生するパルス信号を受信することと、
設定された時間の間に前記ディスプレイモジュール部からパルス信号が受信されないとき、前記ディスプレイモジュール部に第1リセット信号を送信することと、
前記ディスプレイモジュール部の有機発光ダイオードに印加される電圧の大きさについての情報を論理信号として受信し、前記電圧が正常電圧の場合に正常動作を行うことと、
前記第1リセット信号によってブラック画面を表示する安全モードを遂行する前記ディスプレイモジュール部から安全モード解除信号を受信することと、
外部ノイズの影響によって前記安全モード解除信号の受信時間が設定された時間を超えれば、前記ディスプレイモジュール部に第2リセット信号を送信することとを含む、有機発光表示装置の駆動方法。
【請求項8】
前記安全モードの遂行の設定時間は5秒〜10秒の範囲で設定されることを特徴とする、請求項7に記載の有機発光表示装置の駆動方法。
【請求項9】
前記安全モードの遂行の間に前記ディスプレイモジュール部はコンテンツ(contents)保護のために高帯域複製防止(High−bandwidthDigitalContentProtection:HDCP)規格によってセット部との通信を介して暗号化及び復号化動作を行うことを特徴とする、請求項7に記載の有機発光表示装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機発光表示装置及びその駆動方法に関し、より詳しくはディスプレイパネルがセット部から所定距離以上だけ離隔して取り付けられた状態で伸びたケーブルに及ぶ外部ノイズの影響による動作不良を防止することができる有機発光表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置は自発光素子である有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:以下、“OLED”という)をピクセル内に含む表示装置である。バックライトが必要な液晶表示装置に比べ、消費電力が低く、より薄く製作できる。また、有機発光表示装置は視野角が広くて応答速度が高い利点がある。有機発光表示装置は大画面を量産する技術の水準まで工程技術が発展して、液晶表示装置と競争しながら市場を拡大している。
【0003】
一般的な有機発光表示装置は
図1(A)に示したように構成される。近年には、
図1(B)に示したように、ディスプレイモジュール部30とセット部10が分離されたディスプレイ装置が開発された。ディスプレイモジュール部30に制御回路部が含まれた一般的な表示装置とは違い、セット部10に制御回路部を備えることによってディスプレイモジュール部30の厚さを薄くすることができる表示装置である。必要によって、
図1(B)に示したように、基本ケーブル21に延長ケーブル22を連結したケーブル20が使われる。
【0004】
このような表示装置において、ケーブルに及ぶ外部ノイズの影響によってセット部10とディスプレイモジュール部30間の通信動作に不良が発生する場合がある。外部ノイズによってセット部10とディスプレイモジュール部30との間の通信が切れる場合、セット部10とディスプレイモジュール部30との間のコンテンツ(contents)保護のために高帯域複製防止(High−bandwidth Digital Content Protection:HDCP)規格による暗号化及び復号化の動作を行う。ここで、持続的に外部ノイズが発生する場合、通信再開ができない問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018−084811
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はセット部とディスプレイモジュール部との通信動作に及ぶ外部ノイズの影響を除去することができる有機発光表示装置及びその駆動方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の目的は、ディスプレイモジュール部とセット部が分離された表示装置において相対的に長くなったケーブルによって発生し得る動作不良を防止することである。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、ディスプレイモジュール部とセット部の通信状態を持続的にモニターして、使用者が不便さを感じる時間を減らすことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明の有機発光表示装置は、ディスプレイモジュール部と、前記ディスプレイモジュール部から所定距離だけ離隔したセット部に内蔵されるタイミングコントローラーであって、前記タイミングコントローラーは安全モードを解除するためのリセット信号の伝送を制御するように構成され、前記リセット信号は前記ディスプレイモジュール部に伝送され、前記リセット信号は、ブラック画面を表示する安全モードの遂行時に、前記ディスプレイモジュール部とセット部を連結するケーブルに及ぶ外部ノイズの影響によって安全モードが異常に維持されることを防止する、タイミングコントローラーを含むことを構成の特徴とする。
【0010】
本発明による有機発光表示装置において、前記タイミングコントローラーは、ディスプレイモジュール部で周期的に発生するパルス信号を受信し、設定された時間の間に前記ディスプレイモジュール部からパルス信号が受信されないとき、前記ディスプレイモジュール部に第1リセット信号を送信することができる。
【0011】
本発明による有機発光表示装置において、前記タイミングコントローラーは、ディスプレイモジュール部の有機発光ダイオードに印加される電圧が印加される電力が入力されれば、電源電圧の大きさについての情報を論理信号として受信し、正常電圧(“H”を受信)の場合、正常動作を行うことができる。
【0012】
本発明による有機発光表示装置において、安全モードの遂行時に、前記タイミングコントローラーと前記ディスプレイモジュール部はコンテンツ(contents)保護のために高帯域複製防止(High−bandwidth Digital Content Protection:HDCP)規格による暗号化及び復号化動作を行うことができる。
【0013】
本発明による有機発光表示装置において、前記タイミングコントローラーは、前記ディスプレイモジュール部からのHDCP暗号化及び復号化動作の完了による安全モード解除信号の受信を待機し、設定された時間を超えれば、前記ディスプレイモジュール部にリセット信号を送信することができる。
【0014】
本発明による有機発光表示装置の駆動方法は、ディスプレイモジュール部で周期的に発生するパルス信号を受信することと、設定された時間の間に前記ディスプレイモジュール部からパルス信号が受信されないとき、前記ディスプレイモジュール部に第1リセット信号を送信することと、前記ディスプレイモジュール部の有機発光ダイオードに印加される電圧の大きさに対する論理信号をディスプレイモジュール部から受信することと、前記有機発光ダイオードに印加される電圧が入力されれば、電源電圧の大きさについての情報を論理信号に変換した情報を受信し、正常電圧(“H”として受信)の場合、正常動作を行うことと、前記第1リセット信号によってブラック画面を表示する安全モードを遂行するディスプレイモジュール部から安全モード解除信号を受信することと、外部ノイズの影響によって前記安全モード解除信号の受信時間が設定された時間を超えれば、前記ディスプレイモジュール部に第2リセット信号を送信することとを含む。
【0015】
本発明による有機発光表示装置の駆動方法において、安全モードの遂行の設定時間は5秒〜10秒の範囲で設定されることができる。
【0016】
本発明による有機発光表示装置の駆動方法において、安全モードの遂行の間にディスプレイモジュール部はコンテンツ(contents)保護のために高帯域複製防止(High−bandwidth Digital Content Protection:HDCP)規格によってセット部との通信を介して暗号化及び復号化動作を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による有機発光表示装置による効果は次のようである。
【0018】
第一、ディスプレイモジュール部とセット部が分離されたディスプレイ装置において相対的に長くなったケーブルによって発生し得る動作不良を防止することができる。
【0019】
第二、ディスプレイモジュール部とセット部の通信動作過程中に外部ノイズによる影響を解消することができる。
【0020】
第三、ディスプレイモジュール部とセット部の通信状態を持続的にモニターして、使用者が不便さを感じる時間を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一般的な有機発光ディスプレイ装置及びディスプレイモジュール部とセット部が分離されたディスプレイ装置の例示図である。
【
図2】本発明による有機発光表示装置の画素構造を説明するための回路図である。
【
図3】本発明による有機発光表示装置のディスプレイモジュール部とセット部間の通信のための構成及びその動作状態を示した例示図である。
【
図4】本発明による有機発光表示装置においてBDP検出及び安全モード進入条件を示すテーブルである。
【
図5】本発明による有機発光表示装置においてBDP検出可能領域及びBDP検出時の信号処理を示した例示図である。
【
図6】本発明による有機発光表示装置の駆動方法の進行過程を示したフローチャートである。
【
図7】本発明による有機発光表示装置の駆動方法においてHDCP認証によるタイミングコントローラーの動作を示す回路図である。
【
図8】本発明による有機発光表示装置の駆動方法においてタイミングコントローラーでディスプレイモジュール部から提供されるパルスをモニターする動作を示す回路図である。
【
図9】安全モード状態でのタイミングコントローラーの動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この明細書に開示されている本発明の実施例において、特定の構造的又は機能的説明は単に本発明の実施例を説明するための目的で例示したもので、本発明の実施例は多様な形態に実施されることができ、この明細書で説明する実施例に限定されるものと解釈されてはいけない。
【0023】
本発明は多様な変更を加えることができ、さまざまな形態を有することができるもので、特定の実施例を図面に例示して明細書に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物又は代替物を含むものと理解されなければならない。
【0024】
第1及び第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使われうるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一構成要素を他の構成要素と区別する目的のみで使われる。例えば、本発明の権利範囲から逸脱しない範疇内で第1構成要素は第2構成要素と名付けることができ、同様に第2構成要素も第1構成要素と名付けることができる。
【0025】
ある構成要素が他の構成要素に“連結されて”いるとか“接続されて”いると言及したときには、その他の構成要素に直接連結されているとかあるいは接続されていることもあるが、中間にさらに他の構成要素が存在することもあると理解されなければならない。一方、ある構成要素が他の構成要素に“直接連結されて”いるとか“直接接続されて”いると言及したときには、中間にさらに他の構成要素がないと理解されなければならない。構成要素との関係を説明する他の表現、すなわち“〜の間に”と“すぐ〜の間に”又は“〜に隣り合う”と“〜に直接隣り合う”なども同様に解釈されなければならない。
【0026】
本発明の明細書で使用する用語はただ特定の実施例を説明するために使われるもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に他に意味しない限り、複数の表現を含む。また、本発明の明細書で、“含む”又は“有する”などの用語は開示された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品又はこれらの組合せが存在することを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品又はこれらの組合せの存在又は付加の可能性を前もって排除しないものと理解されなければならない。
【0027】
他に定義しない限り、技術的又は科学的な用語を含めて、ここで使う全ての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般的に理解されるものと同一の意味を示す。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味があるものと解釈されなければならなく、本発明の明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味と解釈されない。
【0028】
一方、ある実施例が他に具現可能な場合、特定のブロック内に明記された機能又は動作がフローチャートに明記された手順と違って行われることもできる。例えば、連続する二つのブロックが実際には実質的に同時に行われることもでき、関連の機能又は動作によっては前記ブロックが逆に行われてもよい。
【0029】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施例を説明する。
【0030】
図2は一般的な有機発光ダイオードディスプレイ装置の画素構造を説明するための回路図である。
図2を参照すると、前記ディスプレイパネルの各画素は、第1スイッチングTFTST1と、第2スイッチングTFTST2と、ドライビングTFTDTと、キャパシタCstと、有機発光ダイオードOLEDとを備える。
【0031】
第1スイッチングTFTST1はゲートラインGLに供給されるスキャン信号(scan、又はゲート信号)によってスイッチングされ、データラインDLに供給されるデータ電圧VdataをドライビングTFTDTに供給する。
【0032】
ドライビングTFTDTは第1スイッチングトランジスタST1から供給されるデータ電圧Vdataによってスイッチングされ、電源ラインPLに供給される第1駆動電源VDDから有機発光ダイオードOLEDに流れるデータ電流Ioledを制御する。
【0033】
キャパシタCstはドライビングTFTDTのゲート端子とソース端子の間に接続され、ドライビングTFTDTのゲート端子に供給されるデータ電圧Vdataに対応する電圧を保存し、保存された電圧でドライビングTFTDTをターンオン(turn−on)させる。
【0034】
ゲートラインGLと同一方向に形成されたセンシング信号ラインSLを含む。前記センシング信号ラインSLに印加されるセンス信号senseによってスイッチングされ、有機発光ダイオードOLEDに供給されるデータ電流IoledをドライブICのADC(analogto digital converter)に供給する第2スイッチングTFTST2を含む。
【0035】
有機発光ダイオードOLEDはドライビングTFTDTのソース端子とカソード電源VSSの間に電気的に接続され、ドライビングTFTDTから供給されるデータ電流Ioledによって発光する。
【0036】
有機発光表示装置の各画素は、データ電圧VdataによるドライビングTFTDTのスイッチングによって第1駆動電源VDDから有機発光ダイオードOLEDに流れるデータ電流Ioledの大きさを制御して有機発光ダイオードOLEDを発光させることによって所定の映像を表示する。
【0037】
図3は本発明による有機発光表示装置のディスプレイモジュール部とセット部間の通信のための構成及びその動作状態を示す図である。図示のように、シリアライザー/デシリアライザー(Serializer/Deserializer:以下では“SERDES”という)送受信部(Tx)110及びタイミングコントローラー(以下の図面で“T−con”と表示する)120を備えたセット部100と、シリアライザー/デシリアライザー(serdes)送受信部310を備えたディスプレイモジュール部300とを含む。
【0038】
タイミングコントローラー120は前記ディスプレイモジュール部300から所定距離だけ離隔したセット部100に内蔵され、ブラック画面を表示する安全モードの実行時、前記ディスプレイモジュール部300とセット部100を連結するケーブル(図示せず)に及ぶ外部ノイズの影響によって安全モードが異常に維持されることを防止するために安全モードを解除するためのリセット信号を前記ディスプレイモジュール部300に伝送するように制御する。
【0039】
セット部100のSerdes送受信部110はディスプレイモジュール部300のSerdes送受信部310とのデータ通信I2Cを介してディスプレイモジュール部300が正常動作を行っているかを確認することができる。セット部100のSerdes送受信部110は、正常動作を行っているという状態信号を伝達するために、GPIO_1端子を介して周期的にパルス“A”を出力する。一般に、このような信号を“Heartbeatpulse”という。前記タイミングコントローラー120はGPIO_9端子を介して前記Serdes送受信部110から周期的に出力するパルス“A”を受信する。
【0040】
仮に、設定された時間周期(例えば“3秒”)の間に前記Serdes送受信部110からパルスが受信されないとき、前記タイミングコントローラー120はGPIO_11端子を介して前記Serdes送受信部110と前記ディスプレイモジュール部300のSerdes送受信部310に第1リセット信号“B”を送信する。前記第1リセット信号“B”は所定のパルス幅を持って出力されうる。例えば、第1リセット信号“B”は約“5ms”のパルス幅を持って出力されうる。前記第1リセット信号“B”はセット部100のSerdes送受信部110及び前記ディスプレイモジュール部300のSerdes送受信部310のパワーリセット端子PORES_Nに伝達される。前記パワーリセット端子PORES_Nは、ネガティブ信号が入力されるとき、Serdes送受信部110及びSerdes送受信部310をリセット(reset)して再駆動させる。
【0041】
また、前記タイミングコントローラー120は、ディスプレイモジュール部の有機発光ダイオードに印加される電圧の大きさについての情報を論理信号として受信する。すなわち、ディスプレイパネルの画素を成す有機発光ダイオードに印加される駆動電圧EVDDが正常に提供されるかを判断する。有機ダイオードに提供される駆動電圧が正常電圧(“H”)の場合は正常に動作する。パネルが異常に駆動されるとき、ディスプレイモジュール部300ではブラック画面(black screen)を表示しながらロー信号“L”を出力する。
【0042】
前記ディスプレイモジュール部300は、所定の安全問題が発生した場合、安全モード“AM”に進入し、パネルを介してブラック画面を表示する。安全モードへの進入は以下で具体的に説明する。ここで、前記Serdes送受信部110はIF_AM_Out端子を介してロー信号“L”を出力する。安全モード解除条件が満たされたとき、Serdes送受信部110はIF_AM_Out端子を介してハイ信号“H”を出力する。
【0043】
“EVDDreset”信号及びSerdes送受信部110からのIF_AM_Out端子の出力信号をアンドゲート(ANDgate)121に伝達する。前記アンドゲート121は二つの端子から提供される信号による論理信号を出力する。前記アンドゲート121の論理信号はタイミングコントローラー120のEVDD_Reset端子に伝達される。アンドゲート121の論理信号がハイ信号“H”であるとき、前記タイミングコントローラー120は正常出力モードに転換されて有機発光ダイオードを正常に駆動する。
【0044】
一方、安全モード解除条件が満足されたとき、前記Serdes送受信部110に備えられたIF_AM_Out端子を介して出力されるハイ信号“H”はタイミングコントローラー120のAM_out端子にも伝達される。
【0045】
図4は本発明による有機発光表示装置においてBDP検出及び安全モード進入条件を示すテーブルである。多様な場合の数(case1〜case5)に対する状態判断及びそれによる動作状態を示すものである。まず、case1〜case4はディスプレイモジュール部300とセット部100の間にケーブルが連結された状態であり、case5はケーブルが連結されていない状態である。
【0046】
前述したように、本発明による有機発光表示装置はディスプレイモジュール部300とセット部100が所定距離以上だけ離隔したディスプレイ装置である。したがって、大部分の使用環境でディスプレイモジュール部300とセット部100を連結するケーブルが外部に露出される。このように外部に露出されたケーブルを介して高電圧が伝送されるので、表示装置に危険が発生することを防止するために、“安全モード(AM)”を適用している。例えば、case5はケーブルが連結されていない状態でディスプレイモジュール部300のserdes送受信部310に入力されるVx1Lock信号とEPILock_In信号が共にハイ信号“H”状態の場合である。
【0047】
このように、ケーブルが連結されていない状態でセット部100からディスプレイモジュール部300に供給される高電圧がそのまま露出された状態で使用者が端子と接触すれば電気事故が発生する危険性が存在する。したがって、ケーブルの締結状態を勘案して、セット部100からディスプレイモジュール部300に供給する電源を遮断する“安全モード”で動作することができる。
【0048】
安全モードが行われるうち、前記ディスプレイモジュール部300ではブラック画面を表示するとともに、前記タイミングコントローラーと前記ディスプレイモジュール部はコンテンツ(contents)保護のために高帯域複製防止(High−bandwidth Digital Content Protection:HDCP)規格による暗号化及び復号化動作を行う。
【0049】
Vx1Lock信号はセット部100のSerdes送受信部110とディスプレイモジュール部300のserdes送受信部310間の通信状態を示す。すなわち、ディスプレイモジュール部300とセット部100を連結するケーブルを介してやり取りする信号を確認するためのデータビットを示す。Vx1Lock状態がロー信号“L”であるときは正常駆動を示し、Vx1Lock状態がハイ信号“H”であるときはディスプレイモジュール部300とセット部100の各serdes送受信部110、310間の通信に問題が発生したことを意味する。
【0050】
EPILock_In信号はディスプレイパネルの画素を駆動するドライブICのデータ送受信動作を確認するための信号を示す。すなわち、ディスプレイパネルに連結されたソースドライブIC(
図5の331で表示)とディスプレイモジュール部300のserdes送受信部310間の通信状態を示す。すなわち、EPILock_In信号がロー信号“L”であるときはディスプレイモジュール部300のソースドライブICに問題が発生した場合であり、EPILock_In信号がハイ信号“H”であるときはディスプレイモジュール部300のソースドライブICが正常駆動を行っていることを示す。
【0051】
したがって、case1はケーブルが連結された状態でセット部100のSerdes送受信部110に入力されるVx1Lock信号とEPILock_In信号が共にハイ信号“H”状態の場合である。すなわち、ディスプレイモジュール部300のドライブICは正常動作を示しているがディスプレイモジュール部300とセット部100間の通信に問題が発生した場合を示す。ここで、セット部100のタイミングコントローラー120はVx1再設定が必要な状態(Vx1Recovery)であることを認識することになる。ここで、ディスプレイモジュール部300は安全モードで動作し、一定時間が経過してセット部100とディスプレイモジュール部300間の通信が再開すれば、安全モード解除(AM_Out)信号が出力されて正常モードに転換されて正常駆動する。仮に、一定時間の間にVx1再設定を行った後に復元しない場合、安全モード解除信号(AM_out)を出力する。
【0052】
一方、ケーブルが連結された状態でディスプレイモジュール部300とセット部100間の通信状態(case2:“H”、case4:“L”)とは無関係にディスプレイモジュール部300のドライブICが異常動作を行うcase2及びcase4の場合、セット部100のタイミングコントローラー120はBDP状態と認識する。有機発光表示装置の表示パネルには各種の配線及び回路素子が配置され、このような配線及び回路素子は、異物の注入、物理的な外力などの多様な要因によって電気的に短絡(Short)するとかオープン(Open)することがある。このようなパネル欠陥が発生すれば、表示パネルの駆動が誤動作するとか画面異常が発生することがあり、ひどい場合には、表示パネルのバーント(Burnt)現象が発生して表示パネルを廃棄せざるをえない状況となる。タイミングコントローラー120は、“BDP”状態にあると判断すると、有機パネルに欠陥が発生したと判断して、ディスプレイモジュール部300に印加する電源を遮断する。この時、ディスプレイモジュール部300は安全モードに進入しないので、安全モード解除信号を出力しない。
【0053】
ディスプレイモジュール部300が正常に駆動される状態(case3)では、セット部100から提供されるVx1Lock信号はロー信号“L”を示し、ディスプレイモジュール部300のソースドライブIC331からのハイ信号“H”がディスプレイモジュール部300のserdes送受信部310を介してセット部100のSerdes送受信部110に提供される。
【0054】
図5は本発明による有機発光表示装置においてBDP検出可能領域及びBDP検出時の信号処理を示す。図示のように、ディスプレイモジュール部又はセット部との通信に問題が発生して異常に動作する、バーント(Burnt)が発生する可能性がある部分は次の通りである。OLEDパネル330に連結されたソースドライブIC331からserdes送受信部310に伝達されるEPILock信号によってパネルの欠陥信号が提供される場合がある。この信号はディスプレイモジュール部300とセット部100のserdes送受信部310、110を介してタイミングコントローラー(T−con)120に伝達される。タイミングコントローラー120に伝達された信号はセット部100のシステムオンチップ(System on chip:SetSOC)130に伝達されて、ディスプレイモジュール部300に提供される電源(EVDD)を遮断する。
【0055】
セット部100のserdes送受信部110でAM_out信号を受信すれば、セット部100のシステムオンチップ(Systemonchip:SetSOC)130に伝達されて、BDPカウントなしにパワーオフ(PowerOFF)動作を行う。
【0056】
図6は本発明による有機発光表示装置の駆動方法の進行過程を示すフローチャートである。
【0057】
電源が提供されれば、タイミングコントローラー、serdes送信及び受信回路が駆動し始める(S601)。ケーブルが正常に締結され、ソースドライブICから正常信号を受信すれば(S602)、タイミングコントローラーと前記ディスプレイモジュール部はコンテンツ(contents)保護のために高帯域複製防止(High−bandwidth Digital Content Protection:HDCP)規格による暗号化及び復号化動作を行う(S603)。
【0058】
この時、
図7に示すように、“N”次まで認証動作を行い、“N”次認証の試みにもかかわらず(S604、S605)暗号化及び復号化に失敗すれば、電源遮断(PowerOFF)動作を行う(S606)。
【0059】
図8は本発明による有機発光表示装置の駆動方法において、タイミングコントローラーでディスプレイモジュール部から提供されるパルスをモニターする動作を示す回路図である。HDCP認証が完了すれば、
図8に示すように、ディスプレイモジュール部300で周期的にパルス(HBP)を発生する(S607)。前記ディスプレイモジュール部からのパルスを実時間でモニターし(S608)、パルスが受信されれば、タイミングコントローラー120は正常に動作することになる。前記有機発光ダイオードに印加される電圧が異常であるという論理信号を受信する場合、前記タイミングコントローラーはディスプレイモジュール部を介してブラック画面を表示するように制御する(S609)。
【0060】
仮に、前記ディスプレイモジュール部からパルスが受信されないとき、前記ディスプレイモジュール部にリセット信号を送信する。タイミングコントローラー120はGPIO_11端子を介して“5ms”のパルス幅を有するリセット信号を出力して、セット部100のSerdes送受信部110とディスプレイモジュール部300のserdes送受信部310のパワーリセット端子PORES_Nを介してリセットさせる(S610)。
【0061】
図9は安全モード状態でのタイミングコントローラーの動作を示すフローチャートである。
【0062】
先に
図4を用いて説明したように、case1及びcase5で安全モードに進入した後に所定時間が経過して安全モード解除条件となれば、ディスプレイモジュール部300とセット部100が正常動作を行わねばならない。ところが、外部ノイズによってディスプレイモジュール部300とセット部100間の通信に障害が発生すれば、このような安全モードから脱することができなくなる。本発明はこのような問題点を解決するために次のような動作を行う。
【0063】
図示のように、タイミングコントローラー120の制御信号によってリセットパルスが出力されれば、ディスプレイモジュール部300はブラック画面を表示する安全モードを遂行する。この時、タイミングコントローラーに内蔵されたタイマーの時間(t)が初期化される(S611)。タイマーの時間(t)が増加するにつれて(S612)安全モード状態であるかを確認する(S612)。安全モード状態ではないならば、安全モード解除信号(AM_out)が出力されたことを意味し、タイマーの時間(t)は再度初期化される。
【0064】
一方、安全モード状態が維持された状態でタイマーの時間(t)を設定時間“T”と比較する(S614)。前記安全モード解除信号の受信待機のために設定された待機時間は5秒〜10秒の範囲で設定するが、好適な実施例での設定時間は6秒が好ましい。しかし、このような設定はディスプレイの使用環境などによって変更可能であり、本発明がこれに限られるものではない。
【0065】
仮に、設定時間が経過したにもかかわらず安全モード解除信号が受信されなければ、外部ノイズによるものであると判断し、タイミングコントローラー120は強制でリセットパルスを出力して、セット部100のSerdes送受信部110とディスプレイモジュール部300のserdes送受信部310のパワーリセット端子PORES_Nを介してSerdes送受信部110とserdes送受信部310をリセットさせる(S610)。
【0066】
前記で本発明を好適な実施例に基づいて説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範疇内で本発明を多様に修正及び変更できることが理解可能であろう。
【符号の説明】
【0067】
1有機発光表示装置
10、100セット部
20ケーブル
21基本ケーブル
22延長ケーブル
30、300ディスプレイモジュール部
110serdes送受信部
120タイミングコントローラー
121アンドゲート
130セットシステムオンチップ
140EVDD検出回路
310serdes送受信部
330有機表示パネル
331ソースドライブ回路