特許第6585256号(P6585256)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東急建設株式会社の特許一覧

特許6585256締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法
<>
  • 特許6585256-締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法 図000005
  • 特許6585256-締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法 図000006
  • 特許6585256-締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法 図000007
  • 特許6585256-締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法 図000008
  • 特許6585256-締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法 図000009
  • 特許6585256-締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法 図000010
  • 特許6585256-締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法 図000011
  • 特許6585256-締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法 図000012
  • 特許6585256-締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法 図000013
  • 特許6585256-締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6585256
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/08 20060101AFI20190919BHJP
   G01N 33/38 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   E04G21/08
   G01N33/38
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-170908(P2018-170908)
(22)【出願日】2018年9月12日
【審査請求日】2018年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】303056368
【氏名又は名称】東急建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 拓人
(72)【発明者】
【氏名】早川 健司
(72)【発明者】
【氏名】池田 直広
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−198991(JP,A)
【文献】 特開2013−053492(JP,A)
【文献】 特開2001−081767(JP,A)
【文献】 特開2014−074297(JP,A)
【文献】 特開2016−121499(JP,A)
【文献】 特開2012−193601(JP,A)
【文献】 特開2019−023402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/08
E04G 21/06
G01N 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動部と、前記振動部の後端に接続される可撓性を有するケーブルと、を備える締固め装置による締固め作業状態であるか否かを判定する締固め作業状態判定装置であって、
前記ケーブルに取り付けられた1つのターゲットと、
前記ターゲットに対して、複数の位置座標を検知する座標検知手段と、
前記座標検知手段によって検知された複数の位置座標から、前記ケーブルの姿勢を判定する姿勢判定部と、を備える
ことを特徴とする締固め作業状態判定装置。
【請求項2】
振動部と、前記振動部の後端に接続される可撓性を有するケーブルと、を備える締固め装置による締固め作業状態であるか否かを判定する締固め作業状態判定装置であって、
前記ケーブルに取り付けられたターゲットと、
前記ターゲットに対して、位置座標を検知する座標検知手段と、
前記座標検知手段によって検知された位置座標から、前記ケーブルの姿勢を判定する姿勢判定部と、を備える締固め作業状態判定装置を用いて、締固めを実施したか否かを管理する締固め管理装置であって、
前記姿勢判定部の判定情報に基づいて、締固めを実施したか否かを判定する締固め判定部を備える
ことを特徴とする締固め管理装置。
【請求項3】
前記ケーブルの姿勢が略垂直である時間を計測する時間計測部を備え、
前記締固め判定部は、前記時間計測部の計測時間に基づいて、締固めを実施したか否かを判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の締固め管理装置。
【請求項4】
前記締固め判定部の判定情報に基づいて、前記姿勢判定部が判定に使用した前記位置座標に対応する平面位置を報知する報知手段を備える
ことを特徴とする、請求項2又は3に記載の締固め管理装置。
【請求項5】
前記座標検知手段は、複数設けられ、
複数設けられた前記座標検知手段の検知範囲は、重なっている
ことを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の締固め管理装置。
【請求項6】
前記ターゲットは、反射テープ、反射板又は反射塗料である
ことを特徴とする、請求項2〜5の何れか一項に記載の締固め管理装置。
【請求項7】
締固め装置の振動部の後端に接続される可撓性を有するケーブルに取り付けられたターゲットから検知された位置座標に基づいて、前記ケーブルの姿勢を判定する姿勢判定ステップと、
前記姿勢判定ステップで判定した前記ケーブルの姿勢が、所定の時間経過したか否かを判定する時間判定ステップと、
前記時間判定ステップの判定結果を報知する報知ステップと、を含む
ことを特徴とする、締固め管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締固め作業状態であるか否かを判定する締固め作業状態判定装置、締固めを実施したか否かを管理する締固め管理装置、及び締固め管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート構造物のジャンカや空隙・空洞等の発生を防止するために、コンクリートを打設する際に、バイブレータを用いた締固め装置によって、締固めが行われる(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1には、バイブレータの作動によるフレッシュコンクリートの締固めが行われたタイミングを検知するバイブレータ作動検知手段が開示されている。これにより、締固めが行われるタイミングを検知する。
【0004】
特許文献2には、バイブレータの筒先からバイブレータに沿って設けられ、固定点まで連続する光ファイバセンサが開示されている。これにより、センサの変形に基づいて、バイブレータの筒先のコンクリート内での位置情報を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−053492号公報
【特許文献2】特開2014−198991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、電流を計測する電流センサやロガーを、バイブレータに取り付ける面倒な作業が必要であり、複雑な構成となる、という問題がある。
【0007】
特許文献2では、光ファイバセンサをバイブレータに這わせるように取り付ける面倒な作業が必要であり、複雑な構成となる、とうい問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、面倒な取付作業を必要としない簡易な構成の締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の締固め作業状態判定装置は、振動部と、前記振動部の後端に接続される可撓性を有するケーブルと、を備える締固め装置による締固め作業状態であるか否かを判定する締固め作業状態判定装置であって、前記ケーブルに取り付けられた1つのターゲットと、前記ターゲットに対して、複数の位置座標を検知する座標検知手段と、前記座標検知手段によって検知された複数の位置座標から、前記ケーブルの姿勢を判定する姿勢判定部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
ここで、本発明の締固め管理装置は、振動部と、前記振動部の後端に接続される可撓性を有するケーブルと、を備える締固め装置による締固め作業状態であるか否かを判定する締固め作業状態判定装置であって、前記ケーブルに取り付けられたターゲットと、前記ターゲットに対して、位置座標を検知する座標検知手段と、前記座標検知手段によって検知された位置座標から、前記ケーブルの姿勢を判定する姿勢判定部と、を備える締固め作業状態判定装置を用いて、締固めを実施したか否かを管理する締固め管理装置であって、前記姿勢判定部の判定情報に基づいて、締固めを実施したか否かを判定する締固め判定部を備えてもよい。
【0011】
また、本発明の締固め管理装置は、前記ケーブルの姿勢が略垂直である時間を計測する時間計測部を備え、前記締固め判定部は、前記時間計測部の計測時間に基づいて、締固めを実施したか否かを判定してもよい。
【0012】
また、本発明の締固め管理装置は、前記締固め判定部の判定情報に基づいて、前記姿勢判定部が判定に使用した前記位置座標に対応する平面位置を報知する報知手段を備えてもよい。
【0013】
また、本発明の締固め管理装置では、前記座標検知手段は、複数設けられ、複数設けられた前記座標検知手段の検知範囲は、重なっていてもよい。
【0014】
また、本発明の締固め管理装置では、前記ターゲットは、反射テープ、反射板又は反射塗料であってもよい。
【0015】
また、本発明の締固め管理方法では、締固め装置の振動部の後端に接続される可撓性を有するケーブルに取り付けられたターゲットから検知された位置座標に基づいて、前記ケーブルの姿勢を判定する姿勢判定ステップと、前記姿勢判定ステップで判定した前記ケーブルの姿勢が、所定の時間経過したか否かを判定する時間判定ステップと、前記時間判定ステップの判定結果を報知する報知ステップと、を含んでもよい。
【発明の効果】
【0016】
このように構成された本発明の締固め作業状態判定装置では、ターゲットが取り付けられた部分のケーブルの姿勢が略垂直である場合、振動部が締固め作業状態にあると判定することができる。また、ターゲットが取り付けられた部分のケーブルの姿勢が傾斜している場合、振動部が締固め作業状態にないと判定することができる。この結果、センサ等の面倒な取付作業を必要としないで、簡易な構成で、締固め作業状態であるか否かを判定することができる。
【0017】
また、本発明の締固め管理装置では、前記姿勢判定部の判定情報に基づいて、締固めを実施したか否かを判定する締固め判定部を備えることで、ターゲットが取り付けられた部分のケーブルの姿勢が略垂直である場合、締固めを実施したと判定することができる。また、ターゲットが取り付けられた部分のケーブルの姿勢が傾斜している場合、締固めを実施していないと判定することができる。そのため、センサ等の面倒な取付作業を必要としないで、簡易な構成で、締固めを実施したか否かを判定することができる。
【0018】
また、本発明の締固め管理装置では、前記ケーブルの姿勢が略垂直である時間を計測する時間計測部を備え、前記締固め判定部は、前記時間計測部の計測時間に基づいて、締固めを実施したか否かを判定することで、ターゲットが取り付けられた部分のケーブルの姿勢が略垂直の状態で、所定の時間を経過した場合、締固めを実施したと判定し、ターゲットが取り付けられた部分のケーブルの姿勢が略垂直の状態で、所定の時間を経過していない場合、締固めを十分に実施していないと判定することができる。そのため、センサ等の面倒な取付作業を必要としないで、簡易な構成で、締固めが実施されたか否かを判定することができる。
【0019】
また、本発明の締固め管理装置では、前記締固め判定部の判定情報に基づいて、前記姿勢判定部が判定に使用した前記位置座標に対応する平面位置を報知する報知手段を備えることで、締固めを実施した場所と締固めを実施していない場所を、報知手段に報知させることができるので、締固め不足を防止することができる。
【0020】
また、本発明の締固め管理装置では、前記座標検知手段は、複数設けられ、複数設けられた前記座標検知手段の検知範囲は、重なっていることで、複数の座標検知手段の検知情報の平均値を使用できるので、締固めを実施したか否かを判定する位置の精度が向上する。また、一方の座標検知手段の検知情報がエラーとなった場合、他方の座標検知手段の検知情報を使用することができ、締固めを実施したか否かを確実に判定することができる。
【0021】
また、本発明の締固め管理装置では、前記ターゲットは、反射テープ、反射板又は反射塗料であることで、ターゲットをケーブルに容易に取り付けることができ、面倒な取付作業を必要としない簡易な構成の締固め管理装置とすることができる。
【0022】
さらに、本発明の締固め管理方法では、締固め装置の振動部の後端に接続される可撓性を有するケーブルに取り付けられたターゲットから検知された位置座標に基づいて、前記ケーブルの姿勢を判定する姿勢判定ステップと、前記姿勢判定ステップで判定した前記ケーブルの姿勢が、所定の時間経過したか否かを判定する時間判定ステップと、前記時間判定ステップの判定結果を報知する報知ステップと、を含むことで、センサ等の面倒な取付作業を必要としないで、簡易な構成で、締固めを実施したか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施例1の締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法が適用されるコンクリート打設現場を説明する斜視図である。
図2】実施例1の締固め作業状態判定装置及び締固め管理装置の構成を説明する構成図である。
図3】実施例1の締固め作業状態判定装置及び締固め管理装置の各種設定を説明する説明図である。
図4】実施例1の締固め作業状態判定装置及び締固め管理装置のシステム構成を示すブロック図である。
図5】実施例1の表示装置の表示例を示す平面図である。
図6】実施例1の姿勢判定部によるケーブルの姿勢の判定について説明する説明図である。
図7】実施例1の1つのターゲットの2つの位置座標を水平面上に投影した座標を示す図である。
図8】実施例1の締固め判定処理を説明するフローチャートである。
図9】実施例1の締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法の作用を説明する説明図である。
図10】別の実施例の締固め作業状態判定装置及び締固め管理装置の構成を説明する構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明による締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法を実現する実施形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0025】
[締固め作業状態判定装置と締固め管理装置の構成]
図1は、実施例1の締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法が適用されるコンクリート打設現場を説明する斜視図である。図2は、実施例1の締固め作業状態判定装置及び締固め管理装置の構成を説明する構成図である。図3は、実施例1の締固め作業状態判定装置及び締固め管理装置の各種設定を説明する説明図である。以下、図1図3に基づいて、実施例1の締固め作業状態判定装置と締固め管理装置の構成を説明する。
【0026】
締固め作業状態判定装置50と締固め管理装置150は、図1に示すように、鉄筋コンクリート構造物1を構築する際に適用される。
【0027】
図1及び図2に示すように、型枠5の内側には、鉄筋6が縦横に配置される。コンクリートCは、アジテータ車等のコンクリート供給源に接続されたコンクリート供給ホース7から、型枠5の内側に供給される。型枠5の上方には、足場8が設けられる。作業員Mは、足場8に乗って、締固め装置10を操作する。
【0028】
締固め装置10は、コンクリートCの内部に挿入する振動部としてのバイブレータ11と、バイブレータ11の後端に接続される可撓性を有するケーブル12と、を備える。バイブレータ11は、ケーブル12から電源が供給されることで、振動する。
【0029】
締固め作業状態判定装置50は、締固め装置10に取り付けられたターゲット51と、ターゲット51の位置座標を検知する座標検知手段52と、を備える。
【0030】
締固め管理装置150は、締固め作業状態判定装置50と、報知手段としての表示装置60と、を備える。
【0031】
ターゲット51は、レーザ光に対して高反射率の性質をもつ材質で構成され、例えば、反射テープや、両面テープ等が貼り付けられた反射板や、反射塗料等を使用することができる。ターゲット51は、バイブレータ11が打設されたコンクリートCの締固め位置にある状態で、作業員Mがケーブル12を保持する位置の下方であって、作業員Mの足場8の上方に取り付けられる。
【0032】
座標検知手段52は、一般的なレーザスキャナとすることができる。座標検知手段52は、型枠5の隅角部に、対向するように2つ設けられる。一方の座標検知手段である第1座標検知手段52Aと、他方の座標検知手段である第2座標検知手段52Bとは、検知範囲が重なるように設けられる。なお、座標検知手段52は、3つ以上設けられてもよい。
【0033】
座標検知手段52は、広角度にレーザ光を出射し、ターゲット51から反射したレーザ光を受光して、1つのターゲット51から複数の位置座標を高精度に検知する。座標検知手段52は、複数の締固め装置10に装着されたターゲット51の位置座標を同時に検知することができる。座標検知手段52の検知角度は、例えば、水平方向に120度であり、垂直方向に15度である。
【0034】
以下に示す表は、検知距離の最大値Gと、角度分解能(垂直方向)Φと、必要ターゲットサイズNとの関係を示す表である。
【表1】
【0035】
例えば、検知距離の最大値Gが5[m]で、垂直方向の角度分解能Φが0.5[deg]の場合、必要ターゲットサイズNは88[mm]となる。また、検知距離の最大値Gが10[m]で、垂直方向の角度分解能Φが1[deg]の場合、必要ターゲットサイズNは350[mm]となる。
【0036】
すなわち、必要ターゲットサイズNは、ターゲット51と座標検知手段52との距離と、座標検知手段52の角度分解能と、に応じて設定される。
【0037】
実施例1では、図3に示すように、所定のターゲットサイズN(例えば、30[cm])のターゲット51が、ケーブル12の1カ所に取り付けられる。座標検知手段52の検知距離の最大値Gは、例えば、10[m]とする。座標検知手段52の角度分解能Φは、例えば、水平方向に0.13[deg]とし、垂直方向に0.625[deg]とする。
【0038】
これにより、座標検知手段52は、座標検知手段52の検知範囲にある1つのターゲット51に対して、少なくとも2つの位置座標を検知する。
【0039】
[締固め作業状態判定装置と締固め管理装置のシステム構成]
図4は、実施例1の締固め作業状態判定装置及び締固め管理装置のシステム構成を示すブロック図である。図5は、実施例1の表示装置の表示例を示す平面図である。以下、図4及び図5に基づいて、実施例1の締固め作業状態判定装置及び締固め管理装置のシステム構成を説明する。
【0040】
締固め作業状態判定装置50は、ターゲット51と、第1座標検知手段52Aと、第2座標検知手段52Bと、第1座標検知手段52Aと第2座標検知手段52Bの検知情報を取得する第1制御部54Aと、第1制御部54Aと第2制御部54Bの判断に基づいて報知する報知手段としての表示装置60と、を備える。
【0041】
締固め管理装置150は、締固め作業状態判定装置50と、第2制御部54Bと、を備える。
【0042】
第1座標検知手段52Aと第2座標検知手段52Bは、レーザ光を出射し、複数のターゲット51のうち、1つのターゲット51から反射したレーザ光を受光して、そのターゲット51の複数の位置座標を検知する。
【0043】
第1制御部54Aは、記憶部55と、記憶部55に記憶された位置座標を確定する座標確定部56と、座標確定部56の確定情報に基づいて、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢を判定する姿勢判定部57と、を備え、後述する締固め判定処理を実行する。なお、第1制御部54Aは、締固め作業状態判定装置50の全体の制御を司る。
【0044】
第2制御部54Bは、ケーブル12の姿勢が略垂直である時間を計測する時間計測部58と、締固めを実施したか否かを判定する締固め判定部59と、を備え、後述する締固め判定処理を実行する。なお、第2制御部54Bは、締固め管理装置150の全体の制御を司る。
【0045】
記憶部55は、第1座標検知手段52Aと第2座標検知手段52Bが検知した位置座標を記憶する。また、記憶部55は、姿勢判定部57が使用する閾値や、時間計測部58が使用する閾値を記憶する。
【0046】
座標確定部56は、記憶部55が記憶した第1座標検知手段52Aの検知情報と第2座標検知手段52Bの検知情報から、位置座標を確定する。
【0047】
例えば、座標確定部56は、第1座標検知手段52Aと第2座標検知手段52Bが、同じターゲット51の位置座標を検知した場合、第1座標検知手段52Aが検知した位置座標と、第2座標検知手段52Bが検知した位置座標と、の平均値を、ターゲット51の位置座標として確定する。
【0048】
例えば、第1座標検知手段52Aとターゲット51との間に、作業員Mがいる場合、第1座標検知手段52Aの検知情報がエラーとなる可能性がある。このような場合、座標確定部56は、第2座標検知手段52Bの検知した位置座標を、ターゲット51の位置座標として確定する。
【0049】
姿勢判定部57は、座標確定部56の確定した位置座標に基づいて、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の傾きθ1が、所定の角度未満であるか否かを判定する。
【0050】
時間計測部58は、ケーブル12の傾きθ1が所定の角度未満である時間を計測する。すなわち、時間計測部58は、ケーブル12の傾きθ1が所定の角度未満である時間が、所定の時間を経過したか否かを判定する。
【0051】
締固め判定部59は、姿勢判定部57の判定情報と、時間計測部58の計測情報に基づいて、締固めを実施したか否かを判定する。なお、締固め判定部59は、姿勢判定部57の判定情報に基づいて、締固めを実施したか否かを判定することも可能である。
【0052】
表示装置60は、締固め判定部59の判定情報に基づいて、姿勢判定部57が判定に使用した位置座標に対応する平面位置を報知する。表示装置60は、例えば、タブレットにより画像を表示する。なお、表示装置60は、画像とともに音声を出力してもよい。
【0053】
表示装置60は、後述する締固め判定処理の処理結果に基づいて、締固めが十分に実施された平面位置と、締固めが十分に実施されていない平面位置を、異なる色で表示する。
【0054】
例えば、図5に示すように、表示装置60は、後述する締固め判定処理の処理結果に基づいて、締固めが十分に実施された平面位置を、赤色で表示する。表示装置60は、後述する締固め判定処理の処理結果に基づいて、締固めが十分に実施されていない平面位置を、黄色又は青色で表示する。
【0055】
第1座標検知手段52Aと第2座標検知手段52Bは、第1制御部54Aに接続され、第1座標検知手段52Aが検知した1つのターゲットの複数の位置座標と、第2座標検知手段52Bが検知した1つのターゲットの複数の位置座標と、を第1制御部54Aに送信する。記憶部55は、第1座標検知手段52Aが検知した1つのターゲットの複数の位置座標と、第2座標検知手段52Bが検知した1つのターゲットの複数の位置座標と、を記憶する。第1制御部54Aは、記憶部55に記憶された位置座標に基づいて、後述する締固め判定処理を実行する。第2制御部54Bは、第1制御部54Aに接続され、後述する締固め判定処理を実行する。第1制御部54Aは、表示装置60に接続され、後述する締固め判定処理による処理情報に基づいた報知情報を、表示装置60に送信する。表示装置60は、この報知情報に基づいて、所定の報知を実行する。
【0056】
[姿勢判定部による姿勢判定]
図6は、実施例1の姿勢判定部によるケーブルの姿勢の判定について説明する説明図である。図7は、実施例1の1つのターゲットの2つの位置座標を水平面上に投影した座標を示す図である。以下、図6及び図7に基づいて、姿勢判定部57によるケーブル12の姿勢の判定について説明する。なお、水平面をXY平面とし、垂直方向をZ方向とする。
【0057】
姿勢判定部57は、図6に示すように、1つのターゲット51から検知された4つの位置座標E1(X,Y,Z)〜E4(X,Y,Z)のうち、Z値が最小であるE1(X,Y,Z)と、Z値が最大であるE4(X,Y,Z)とに基づいて、ターゲット51の姿勢を判定し、このターゲット51の姿勢から、ターゲット51が取り付けられたケーブル12の姿勢を判定する。
【0058】
Z値が最小であるE1(X,Y,Z)と、Z値が最大であるE4(X,Y,Z)と、の間のケーブル12の姿勢は、以下の計算式によって算出される。
【数1】

傾きθは、1つのターゲット51の、Z値が最小であるE1(X,Y,Z)と、Z値が最大であるE4(X,Y,Z)と、の間のケーブル12の、XY平面に対する傾きを示す。
長さDは、図7に示すように、Z値が最小であるE1(X,Y,Z)をXY平面に垂直投影した第1投影点P1(X,Y)と、Z値が最大であるE4(X,Y,Z)をXY平面に垂直投影した第4投影点P4(X,Y)との間の長さを示す。
【0059】
長さDは、以下の計算式によって求められる。
【数2】
【0060】
傾きθが、例えば60度以上である場合、Z値が最小であるE1(X,Y,Z)と、Z値が最大であるE4(X,Y,Z)と、の間のケーブル12の傾きθ1は、30度未満となり、略Z方向(略垂直方向)と判定される。
【0061】
傾きθが、例えば60度未満である場合、Z値が最小であるE1(X,Y,Z)と、Z値が最大であるE4(X,Y,Z)と、の間のケーブル12の傾きθ1は、30度以上となり、Z方向に対して傾斜すると判定される。
【0062】
すなわち、傾きθ1が30度未満である場合、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢は、垂直姿勢と判定される。傾きθ1が、30度以上である場合、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢は、垂直方向に対して傾斜する傾斜姿勢と判定される。
【0063】
[締固め判定処理]
図8は、実施例1の締固め判定処理を説明するフローチャートである。以下、図8に基づいて、実施例1の締固め判定処理を説明する。
【0064】
締固め判定処理を開始すると、記憶部55は、第1座標検知手段52Aが検知したターゲット51の検知情報と、第2座標検知手段52Bが検知したターゲット51の検知情報を記憶する(ステップS101)。
【0065】
次いで、座標確定部56は、記憶部55が記憶した第1座標検知手段52Aの検知情報と第2座標検知手段52Bの検知情報から、ターゲット51の位置座標を確定する(ステップS102)。
【0066】
次いで、姿勢判定部57は、座標確定部56が確定した位置座標から、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の傾きθ1が、所定の角度(例えば、30度)以内であるか否かを判定する(ステップS103)。
【0067】
ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の傾きθ1が、所定の角度(例えば、30度)未満であると判定した場合(ステップS103でYES)、ステップS104に進む。一方、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の傾きθ1が、所定の角度(例えば、30度)以上であると判定した場合(ステップS103でNO)、ステップS108に進む。
【0068】
ステップS104では、時間計測部58は、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の傾きθ1が所定の角度(例えば、30度)未満である時間が、10秒を経過したか否かを判定する(ステップS104)。ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の傾きθ1が所定の角度(例えば、30度)未満である時間が、10秒以上経過したと判定した場合(ステップS104でYES)、締固め判定部59は、締固めが十分実施されたと判断し、表示装置60でターゲット51の平面位置を赤色に表示させ(ステップS106)、締固め判定処理を終了する。
【0069】
一方、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の傾きθ1が所定の角度(例えば、30度)未満である時間が、10秒以上経過していないと判定した場合(ステップS104でNO)、時間計測部58は、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の傾きθ1が所定の角度(例えば、30度)未満である時間が、5秒以上経過したか否かを判定する(ステップS105)。
【0070】
ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の傾きθ1が所定の角度(例えば、30度)未満である時間が、5秒以上経過したと判定した場合(ステップS105でYES)、締固め判定部59は、締固めが実施されたと判断し、表示装置60でターゲット51の平面位置を黄色に表示させ(ステップS107)、締固め判定処理を終了する。
【0071】
ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の傾きθ1が所定の角度(例えば、30度)未満である時間が、5秒以上経過していないと判定した場合(ステップS105でNO)、締固め判定部59は、締固めが十分に実施されていないと判断し、表示装置60でターゲット51の平面位置を青色に表示させ(ステップS108)、締固め判定処理を終了する。
【0072】
次に、実施例1の締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法の作用を説明する。図9は、実施例1の締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法の作用を説明する説明図である。
【0073】
締固め作業を開始すると、図9に示すように、作業員Mは、締固めを実施すべきある箇所のコンクリートCにバイブレータ11を挿入するために、バイブレータ11の下端が、鉄筋6の上方に位置する状態で、ケーブル12を移動する。
【0074】
そうすると、ケーブル12に取り付けられたターゲット51は、作業員Mがケーブル12を保持する位置より、後方に位置する。すなわち、ターゲット51は、作業員Mがケーブル12を保持する位置より、バイブレータ11が設けられた側とは反対側であるケーブル12の基端側に位置する。作業員Mがケーブル12を保持する位置より、後方に位置するケーブル12は撓む。
【0075】
そのため、バイブレータ11が締固め位置にない状態では、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12は、傾斜した姿勢となる。すなわち、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12が、傾斜した姿勢であるときは、締固めは実施されていない。
【0076】
締固めを実施すべきある箇所に移動すると、図2に示すように、足場8の上にいる作業員Mが、締固め装置10のケーブル12を手にとり、バイブレータ11をコンクリートCに挿入する。バイブレータ11がコンクリートCに挿入された状態は、コンクリートCを締固めする締固め位置となる。
【0077】
バイブレータ11が締固め位置にある状態では、ターゲット51は、作業員Mがケーブル12を保持する位置より下方にあって、足場8より上方にある。
【0078】
バイブレータ11が締固め位置にある状態では、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12は、略垂直の姿勢となる。すなわち、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12が、略垂直の姿勢であるときは、締固め作業状態である。
【0079】
ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12が、例えば10秒間以上、略垂直の姿勢である場合、締固めが十分に実施されたとして、図5に示すように、表示装置60は、そのターゲット51の平面位置を、赤色で表示する。
【0080】
一方、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12が、例えば5秒〜10秒間、略垂直の姿勢である場合、締固めが実施されたとして、表示装置60は、そのターゲット51の平面位置を、黄色で表示する。
【0081】
また、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12が、例えば0秒〜5秒間、略垂直の姿勢である場合、締固めが実施されていないとして、表示装置60は、そのターゲット51の平面位置を、青色で表示する。
【0082】
締固めをすべきある箇所の締固め作業が終了すると、図9に示すように、足場8の上にいる作業員Mが、締固め装置10のケーブル12を手にとり、バイブレータ11をコンクリートCから引き抜く。そして、作業員Mは、バイブレータ11を他の箇所のコンクリートCに挿入するために、バイブレータ11の下端が、鉄筋6の上方に位置するまで、ケーブル12を引き上げる。
【0083】
そうすると、ケーブル12に取り付けられたターゲット51は、作業員Mがケーブル12を保持する位置より、後方に移動する。すなわち、ターゲット51は、作業員Mがケーブル12を保持する位置より、バイブレータ11が設けられた側とは反対側であるケーブル12の基端側に移動する。作業員Mがケーブル12を保持する位置より、後方に移動したケーブル12は撓む。
【0084】
そのため、バイブレータ11が締固め位置にない状態では、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12は、傾斜した姿勢となる。すなわち、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12が、傾斜した姿勢であるときは、締固めは実施されていない。
【0085】
実施例1の締固め作業状態判定装置50は、振動部(バイブレータ11)と、振動部(バイブレータ11)の後端に接続される可撓性を有するケーブル12と、を備える締固め装置10による締固め作業状態であるか否かを判定する。締固め作業状態判定装置50は、ケーブル12に取り付けられた1つのターゲット51と、ターゲット51に対して、複数の位置座標E1〜E4を検知する座標検知手段52と、座標検知手段52によって検知された複数の位置座標E1〜E4から、ケーブル12の姿勢を判定する姿勢判定部57と、を備える(図4)。
【0086】
これにより、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢が略垂直である場合、振動部(バイブレータ11)が締固め作業状態にあると判定することができる。また、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢が傾斜している場合、振動部(バイブレータ11)が締固め作業状態にないと判定することができる。この結果、センサ等の面倒な取付作業を必要としないで、簡易な構成で、締固め作業状態であるか否かを判定することができる。
【0087】
また、1つのターゲット51に対して検知された複数の位置座標E1〜E4を使用することができる。そのため、ターゲット51が座標検知手段52から離れた場合であっても、2つのターゲットを同一のターゲットとして認識することを防止する。
【0088】
実施例1の締固め管理装置150は、振動部(バイブレータ11)と、振動部(バイブレータ11)の後端に接続される可撓性を有するケーブル12と、を備える締固め装置10による締固め作業状態であるか否かを判定する締固め作業状態判定装置50であって、ケーブル12に取り付けられたターゲット51と、ターゲット51に対して、位置座標を検知する座標検知手段52と、座標検知手段52によって検知された位置座標E1〜E4から、ケーブル12の姿勢を判定する姿勢判定部57と、を備える締固め作業状態判定装置50を用いて、締固めを実施したか否かを管理する。締固め管理装置150は、姿勢判定部57の判定情報に基づいて、締固めを実施したか否かを判定する締固め判定部59を備える(図4)。
【0089】
これにより、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢が略垂直である場合、締固めを実施したと判定することができる。また、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢が傾斜している場合、締固めを実施していないと判定することができる。この結果、センサ等の面倒な取付作業を必要としないで、簡易な構成で、締固めをしたか否かを判定することができる。
【0090】
実施例1の締固め管理装置150では、ケーブル12の姿勢が略垂直である時間を計測する時間計測部58を備え、締固め判定部59は、時間計測部58の計測時間に基づいて、締固めを実施したか否かを判定する(図4)。
【0091】
これにより、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢が略垂直の状態で、所定の時間を経過した場合、締固めを実施したと判定することができる。また、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢が略垂直の状態で、所定の時間を経過していない場合、締固めが十分に実施されていないと判定することができる。また、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢が傾斜している場合、締固めを実施していないと判定することができる。
【0092】
そのため、センサ等の面倒な取付作業を必要としないで、簡易な構成で、締固めが実施されたか否かを判定することができる。
【0093】
実施例1の締固め管理装置150では、締固め判定部59の判定情報に基づいて、姿勢判定部57が判定に使用した位置座標E1〜E4に対応する平面位置を報知する報知手段(表示装置60)を備える(図4)。
【0094】
これにより、締固めを実施した場所と締固めを実施していない場所とを、報知手段(表示装置60)に報知させることができる。そのため、作業員Mは、締固めを実施した場所と、締固めを実施していない場所と、締固めの実施が不十分な場所と、を把握することができる。その結果、締固め不足を防止することができる。
【0095】
実施例1の締固め管理装置150では、座標検知手段52は、複数設けられ、複数設けられた座標検知手段(第1座標検知手段52A,第2座標検知手段52B)の検知範囲は、重なっている(図1)。
【0096】
これにより、第1座標検知手段52Aの検知情報がエラーとなった場合、第2座標検知手段52Bの検知情報を使用することができる。そのため、締固めを実施したか否かを確実に判定することができる。また、第1座標検知手段52Aと第2座標検知手段52Bの検知情報の平均値を使用することができる。そのため、締固めを実施したか否かを判定する位置の精度が向上する。
【0097】
実施例1の締固め管理装置150では、ターゲット51は、反射テープ、反射板又は反射塗料である(図2)。これにより、ターゲット51をケーブル12に容易に取り付けることができる。そのため、面倒な取付作業を必要としない簡易な構成の締固め管理装置150とすることができる。
【0098】
実施例1の締固め管理方法は、締固め装置10の振動部(バイブレータ11)の後端に接続される可撓性を有するケーブル12に取り付けられたターゲット51から検知された位置座標E1〜E4に基づいて、ケーブル12の姿勢を判定する姿勢判定ステップ(ステップS103)を含む。また、実施例1の締固め管理方法は、姿勢判定ステップ(ステップS103)で判定したケーブル12の姿勢が、所定の時間経過したか否かを判定する時間判定ステップ(ステップS104,ステップS105)と、時間判定ステップ(ステップS104,ステップS105)の判定結果を報知する報知ステップ(ステップS106,ステップS107,ステップS108)と、を含む(図8)。
【0099】
これにより、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢が略垂直の状態で、所定の時間を経過した場合、締固めを実施したと判定することができる。また、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢が略垂直の状態で、所定の時間を経過していない場合、締固めが十分に実施していないと判定することができる。また、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の姿勢が傾斜している場合、締固めを実施していないと判定することができる。
【0100】
そのため、センサ等の面倒な取付作業を必要としないで、簡易な構成で、締固めが実施されたか否かを判定することができる。
【0101】
また、報知ステップにより、作業員Mは、締固めを実施した場所と、締固めを実施していない場所と、締固めの実施が不十分な場所と、を把握することができるため、締固め不足を防止することができる。
【0102】
以上、本発明の締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法を実施例1に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0103】
実施例1では、時間計測部58は、ケーブル12の傾きθ1が所定の角度未満である時間が、所定の時間を経過したか否かを判定する例を示した。しかし、時間計測部が計測する、ケーブル12の傾きθ1が所定の角度未満である時間は、累積した時間であってもよい。
【0104】
例えば、時間計測部58が計測した、ケーブル12の傾きθ1が所定の角度未満である時間と、そのターゲット51の位置座標と、を記憶部55が記憶する。そして、このターゲット51の位置座標、又はこのターゲット51の位置座標の付近で、ターゲット51が取り付けられた部分のケーブル12の傾きθ1が、所定の角度未満であると姿勢判定部57によって判定された場合、時間計測部58は、ケーブル12の傾きθ1が所定の角度未満である時間を計測する。そして、時間計測部58は、記憶部55に記憶された時間を累積して、ケーブル12の傾きθ1が所定の角度未満である時間が、所定の時間を経過したか否かを判定してもよい。
【0105】
実施例1では、座標検知手段52は、1つのターゲット51から4つの位置座標を検知する例を示した。しかし、座標検知手段52は、1つのターゲット51から少なくとも2つの位置座標を検知できればよい。
【0106】
実施例1では、ターゲット51は、ケーブル12に1つ設けられる例を示した。しかし、ターゲットは、ケーブル12に2つ以上設けられてもよい。例えば、図10に示すように、ターゲット51は、第1ターゲット51aと、第2ターゲット51bとを有するようにしてもよい。第1ターゲット51aと第2ターゲット51bは、ケーブル12の長手方向に間隔を有して配置される。この場合、座標検知手段52は、第1ターゲット51aの位置座標と、第2ターゲット51bの位置座標を検知する。姿勢判定部57は、この位置座標に基づいて、第1ターゲット51aと第2ターゲット51bと間のケーブル12の姿勢を判定するようにする。
【0107】
実施例1では、姿勢判定部57は、1つのターゲット51から検知された4つの位置座標E1(X,Y,Z)〜E4(X,Y,Z)のうち、Z値が最小であるE1(X,Y,Z)と、Z値が最大であるE4(X,Y,Z)とに基づいて、ターゲット51が取り付けられたケーブル12の姿勢を判定する例を示した。しかし、姿勢判定部は、2つ以上の位置座標を使用することができる。
【0108】
実施例1では、Z値が最小であるE1(X,Y,Z)と、Z値が最大であるE4(X,Y,Z)と、の間のケーブル12の傾きθ1が、垂直方向であるか否かを判断する閾値を、垂直方向に対して30度とする例を示した。しかし、この閾値は、施工現場によって変更することができ、例えば15度であってもよい。
【0109】
実施例1では、座標検知手段52をレーザスキャナとする例を示した。しかし、座標検知手段としては、他のレーザ式のセンサを使用してもよい。また、座標検知手段の検知距離の最大値や、検知角度や、角度分解能は、実施例1の態様に限定されない。
【0110】
実施例1では、報知手段を表示手段としてのタブレットとする例を示した。しかし、報知手段としては、この態様に限定されない。例えば、報知手段は、締固めを実施する範囲の周囲にランプを並べ、これらのランプのうち、少なくとも1つのランプを点灯することで、報知するものであってもよい。
【0111】
実施例1では、ターゲット51は、ケーブル12に固定される例を示した。しかし、ターゲットは、可撓性を有する筒状の部材の外周面に設けられてもよい。この場合、筒状の部材の筒内に、ケーブルが挿入される。これにより、コンクリートを所定の厚さで複数層に分割して打設した場合でも、筒状の部材をスライドさせて、ターゲットを適切な位置に設置することができる。
【0112】
実施例1では、本発明を鉄筋コンクリート構造物に適用する例を示した。しかし、本発明は、鉄骨鉄筋コンクリート造や、基礎などに適用することができる。
【符号の説明】
【0113】
10 締固め装置
11 バイブレータ(振動部の一例)
12 ケーブル
50 締固め作業状態判定装置
51 ターゲット
52 座標検知手段
52A 第1座標検知手段(座標検知手段の一例)
52B 第2座標検知手段(座標検知手段の一例)
57 姿勢判定部
58 時間計測部
59 締固め判定部
60 表示装置(報知手段)
150 締固め管理装置
E1,E2,E3,E4 位置座標
【要約】
【課題】 面倒な取付作業を必要としない簡易な構成の締固め作業状態判定装置、締固め管理装置及び締固め管理方法を提供する。
【解決手段】 締固め作業状態判定装置50は、振動部(バイブレータ11)と、振動部(バイブレータ11)の後端に接続される可撓性を有するケーブル12と、を備える締固め装置10による締固め作業状態であるか否かを判定する。締固め作業状態判定装置50は、ケーブル12に取り付けられた1つのターゲット51と、ターゲット51に対して、複数の位置座標E1〜E4を検知する座標検知手段52と、座標検知手段52によって検知された複数の位置座標E1〜E4から、ケーブルの姿勢を判定する姿勢判定部57と、を備える。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10