特許第6585282号(P6585282)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585282
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】自律的な注文履行及び在庫制御ロボット
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20190919BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   B65G1/137 A
   B25J5/00 A
   B65G1/137 G
【請求項の数】13
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-506079(P2018-506079)
(86)(22)【出願日】2016年2月25日
(65)【公表番号】特表2018-513822(P2018-513822A)
(43)【公表日】2018年5月31日
(86)【国際出願番号】US2016019638
(87)【国際公開番号】WO2016167886
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2017年11月28日
(31)【優先権主張番号】14/688,903
(32)【優先日】2015年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517360664
【氏名又は名称】インヴィア ロボティクス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】エラザリー、リオル
(72)【発明者】
【氏名】パークス セカンド、ダニエル フランク
(72)【発明者】
【氏名】ブーリーズ、ランドルフ チャールズ
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0032252(US,A1)
【文献】 特開平10−226499(JP,A)
【文献】 特開2012−56661(JP,A)
【文献】 特開2005−242692(JP,A)
【文献】 特開2015−178141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B25J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪、及び少なくとも前記車輪を駆動するモータを有する、モータの付いたベースと、
複数の高さのうちの何れかに上昇し、平坦な表面を有するアイテム保持プラットフォームと、
前記アイテム保持プラットフォームの後端の周りの頂部に取り付けられ、前記アイテム保持プラットフォームの上方に起立する取得部であって、前記取得部は、係合要素を、前記後端から前記アイテム保持プラットフォームの前端にわたって伸長するように適応される引き込み可能な要素に結合される前記係合要素を有し、前記取得部は、アイテムを取得する際に前記アイテム保持プラットフォームと共に動作し、前記アイテム保持プラットフォームは、前記アイテムを含む棚又はスタックの特定の高さまで上昇し、前記引き込み可能な要素は、前記係合要素を、側面又は上部から前記アイテムに接触するまで前記アイテム保持プラットフォームの前記前端にわたって伸長し、前記係合要素は、前記側面又は上部から前記アイテムに係合し、前記引き込み可能な要素は、前記アイテムが前記アイテム保持プラットフォームの頂部に載せられるまで前記アイテムを係合させながら、前記係合要素を前記後端に向かって引き込む、取得部と
を備える
ロボット。
【請求項2】
前記アイテム保持プラットフォームは、前記モータの付いたベースに結合される伸長可能なリフトを更に有し、前記伸長可能なリフトを作動することは、前記アイテム保持プラットフォームを前記複数の高さのうちの何れかの高さに上昇及び下降させる、請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記伸長可能なリフトは、折り畳み可能な構造である、請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記引き込み可能な要素及び前記係合要素の移動に動力を供給する少なくとも第2のモータを更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項5】
前記係合要素は、電磁石、吸引を使用して前記アイテムを係合させる真空部、又は前記アイテムの周りで開閉することによって前記アイテムを係合させるグリッパのうちの1つを含む、請求項4に記載のロボット。
【請求項6】
囲まれたスペース内で前記ロボットの移動を案内し、他の複数の棚から前記棚を、又は前記棚内で前記アイテムを識別する少なくとも1つの識別子に基づき、複数の棚から前記アイテムを含む前記棚を識別する少なくとも1つの第1のカメラを更に備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項7】
前記取得部に隣接して位置決めされる少なくとも1つの第2のカメラを更に備え、前記第2のカメラは、前記棚の周りの前記アイテムの位置を識別し、前記棚から前記アイテムを取得する際に前記係合要素の移動を案内する、請求項6に記載のロボット。
【請求項8】
複数の棚を備える流通サイト内で、前記モータの付いたベースの、前記アイテムを含む前記棚の位置への移動を命令する感覚アレイを更に備え、前記感覚アレイは、前記アイテム保持プラットフォームを前記棚の周りの特定の高さまで上昇させることを更に命令し、前記アイテム保持プラットフォーム上への前記棚からの前記アイテムの取得における前記引き込み可能な要素及び前記係合要素の移動を更に命令する、請求項1から7のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項9】
前記感覚アレイは、LIDARナビゲーションシステムを有し、前記LIDARナビゲーションシステムは、前記複数の棚、前記流通サイト内で移動する他のロボット、および他の障害物との衝突を回避しながら、前記流通サイト内で前記モータの付いたベースの移動を命令する際にレーザ又は光を放射する、請求項8に記載のロボット。
【請求項10】
前記感覚アレイは、無線周波数受信機(RF受信機)を有し、前記RF受信機は、前記流通サイトにわたって配布される複数のRFビーコンから受信される飛行信号の位相又は時間のうちの少なくとも1つに従って、前記モータの付いたベースの移動を命令する、請求項8又は9に記載のロボット。
【請求項11】
前記ロボットを、制御センタと、共通の流通サイト内で動作する少なくとも異なる第2のロボットとに通信可能に結合する無線接続を更に備え、前記ロボットは、複数の棚にわたってナビゲートし、前記流通サイトにおける複数の棚のうちの各棚を前記流通サイト内で一意の位置にマッピングする前記第2のロボットに基づいて、前記アイテムを含む前記棚に到達し、前記ロボットは、前記複数の棚の各棚をスキャンし前記スキャンすることの結果として各棚上に保管される複数のアイテムの異なる組を識別する前記第2のロボットに基づいて、前記アイテム保持プラットフォームを前記棚上の前記アイテムの前記特定の高さまで上昇させる、請求項1から10のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項12】
前記アイテムはビンであり、前記ビンは内側本体、内側本体の長さに延びるコルクスクリュー及びビンの正面の周りの開口を含み、
前記取得部は前記コルクスクリューを回転させる分配モータを有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項13】
前記引き込み可能な要素は、前記アイテムが前記アイテム保持プラットフォームの頂部に載せられるまで前記アイテムを係合させながら、前記係合要素を前記後端に向かって前記アイテムが前記平坦な表面に沿って移動するように引き込む、請求項1から12のいずれか一項に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ロボットが、彼らが実行し得る作業の複雑さに関してますます精巧になりつつある。ますますの精巧化は、改善されたロボットの機能性、並びに機能性に影響力を行使してより複雑な作業を実装する、改善された自動化に起因する。結果として、ロボットは、人間を一定の能力で補足すること、及び人間をロボットが実行するのにより適した、又はより効率的な他の能力で置き換えることによって、人間をより良く支援することができる。
【0002】
より大きい精巧化及び機能性をもつロボットの自動化が使用されている1つの特定の領域は、注文履行及び在庫制御である。Amazon.com(登録商標)のような大規模な小売業者、倉庫オペレータ、又は流通業者は、人間の作業者が注文を履行するのを支援するためにロボットに依存している。
【0003】
そのような小売業者、倉庫オペレータ、又は流通業者は、1又は複数の流通サイトに彼らの在庫を収容する。図1は、流通サイトを概念的に図示する。流通サイトは典型的に、大きい囲まれたスペースであり、棚120がそのスペース全体にわたって配置される。棚は、いくつかの段又はラックをもち数フィート又は数階の高さであり得る。各段又はラックには、たくさんの同一のアイテムを保管するいくつかのビン(bin)130がある。いくつかの場合において、アイテムは、ビンなしで棚の段又はラック上に直接積み重ねられる。
【0004】
部分的なロボットの自動化では、顧客注文の各アイテムを配置するべく人間の作業者に倉庫を横断させるのではなくむしろ、ロボットが、人間のために取得動作を実行し、それにより、人間は、自由に履行すること及び注文の正確性を保証することに集中できるようなる。具体的には、倉庫管理/制御システム(WMS/WCS)は、注文を受信し、人間が注文を履行するであろう流通サイト内の位置を識別する。注文は、その注文に関する人間の位置と共に、1台の又は複数のロボットに渡される。ロボットは、流通サイトをナビゲートし、各注文アイテムが配置されている棚を配置する。ロボットは、顧客注文の1又は複数のアイテムを含む棚を持ち上げ、それらの棚を人間の位置に配達する。人間は次に、各配達された棚を分類し、棚内に含まれる1又は複数の注文アイテムを取得する。人間は、取得されたアイテムをスキャンし、取得されたアイテムを顧客注文ボックス内に入れて一度に1つのアイテムずつ注文を履行する。人間は、ロボットによって配達された棚から顧客注文のために引っ張るアイテムがそれ以上残されていないとき、各ロボットを解任する。その結果、ロボットは、棚を流通サイト内のその以前の位置に戻す。次のロボットは次に、更なる顧客注文アイテムを含む次の棚を配達する。これは、人間が注文全体を履行するまで継続する。
【0005】
人間を個々の棚の位置に行かせるのではなくむしろ、注文されたアイテムを含む棚を人間の位置に配達することによって、人間が、そして同様に全体的な注文履行が、より効率的となる。しかしながら、そのような自動化システムは、多くの場合において、流通サイトの完全なオーバーホールを必要とする。オーバーホールは、棚を、ロボットが流通サイト内で持ち上げ得、移動し得る特殊化された棚に置き換えることを必要とする。より効率的なシステムは、流通サイトオペレータが徐々に自動化を拡大することを可能にするべく、既存の棚を使用し、既存の手作業と一緒に作業し、最終的に、注文履行及び在庫管理から全ての人間の関与が取り除かれる。
【0006】
完全な自動化を妨げる、従来技術のシステムの他の欠点は、従来技術のロボットの限定された機能性である。従来技術のロボットは、X‐Y空間平面に沿ってのみ移動することに限定される。これは、彼らが人間のために棚を取得することを可能にするが、彼らが棚の段にアクセスし、棚から個々のアイテムを取得することを妨げる。更なる自動化を促進するために、X及びY空間平面に沿った移動に加えて、Z空間平面に沿ったインテリジェントなロボットの移動を可能にする必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
ここで、自律的な注文履行のための方法及びシステム及び在庫制御ロボットの好ましい実施形態が、添付図面を参照し、単なる例として説明される。
【0008】
図1】流通サイトを概念的に図示する。
【0009】
図2】いくつかの実施形態による、完全に自律的な注文履行、在庫管理、及びサイト最適化を実行できるロボットを図示する。
【0010】
図3】いくつかの実施形態による、モータの付いたベースの上部及び下部に関する詳細図を提供する。
【0011】
図4】いくつかの実施形態のロボットの取得部に関する様々な図を提供する。
【0012】
図5】いくつかの実施形態のビン構造に関する斜視図、上面図、及び正面図を示す。
【0013】
図6】いくつかの実施形態のロボットが、棚上の特定の対象ビンを識別し、吸引アセンブリ又は電磁石を使用して棚から直接対象ビンを取得する一連のステップを示す。
【0014】
図7】いくつかの実施形態による適応されたロボットの取得部を図示する。
【0015】
図8】いくつかの実施形態のロボットが、X、Y、及びZ空間平面に沿って移動するその能力を使用して顧客注文を自律的に履行するプロセスを示す。
【0016】
図9】ロボットが、アイテムが制御センタから受信された注文においてそれらを単に取得するときの、顧客注文アイテムの非効率的な取得を図示する。
【0017】
図10】ロボットが、いくつかの実施形態による顧客注文を前処理し、顧客注文アイテムを取得し始める前にそれ自体の位置に関してアイテムの位置を決定するときの、顧客注文アイテムの効率的な取得を図示する。
【0018】
図11】いくつかの実施形態による、ロボットが流通サイトを自律的にマッピングするプロセスを示す。
【0019】
図12】いくつかの実施形態のロボットによって実行される、ビン発見ルーティンを概念的に図示する。
【0020】
図13】いくつかの実施形態による、流通サイト効率を自律的に最適化するためのプロセスを示す。
【0021】
図14】いくつかの実施形態のロボット又は制御センタの一部として含まれるコンピュータシステムを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施形態は、流通サイト又は倉庫内での完全に自律的な注文履行及び在庫管理のためのシステムを開示する。いくつかの実施形態において、完全に自律的な注文履行は、流通サイトの棚から顧客注文アイテムを直接引っ張るか、又は流通サイトの棚から個々のビンを引っ張り、人間の関与なしで顧客注文の全てのアイテムが取得されるまでビンから適切な量のアイテムを分配する、ロボットに関与する。いくつかの実施形態において、完全に自律的な在庫管理は、流通サイト内のアイテム量をモニタリングし、アイテム不足に応じて棚を自律的に再補充し、最も効率的な注文履行のために流通サイト内のアイテムを編成するロボットに関与する。
【0023】
システムは主に、制御センタ、1台の又は複数のロボット、及び、任意選択で、ビンに関与する。制御センタは、個々に又は集合的にのいずれかで彼らが実行するべき注文履行作業、在庫管理作業、及び流通サイト最適化作業をもつロボットを構成する。各ロボットは、ロボットがX、Y、及びZ空間平面に沿って流通サイト内で移動することを可能にする、センサ及びアクチュエータのアレイで構成される。従来技術のロボットと同様に、X‐Y空間平面の周りの移動は、ロボットが、流通サイト内でナビゲートし、顧客注文アイテムが配置される棚を識別することを可能にする。しかしながら、従来技術のロボットとは異なり、本明細書で実施形態によって記載されているロボットによるZ空間平面の周りの移動は、注文履行をより良く自動化するべく、ロボットが、流通サイトの棚から個々のアイテム又はビンを取得し、任意選択で、顧客注文のアイテムを分配することを可能にする。
【0024】
I.ロボット
【0025】
図2は、いくつかの実施形態による、完全に自律的な注文履行、在庫管理、及びサイト最適化を実行できるロボット210を図示する。ロボット210は、モータの付いたベース220、伸長可能なリフト230、及び取得部240を含む。
【0026】
図3は、いくつかの実施形態による、モータの付いたベース220の上部及び下部に関する詳細図を提供する。モータの付いたベース220の頂部に、正面及び側面カメラ310、コンピュータ320、及びバッテリ330がある。
【0027】
カメラ310は、ロボットの目として機能し、ロボットが流通サイト内でその位置を決定し、障害物及び他のロボットとの衝突を回避しながら流通サイト内でナビゲートし、顧客注文アイテムを含む棚を識別することを可能にする。いくつかの実施形態において、モータの付いたベース220には又、流通サイトをナビゲートし、障害物を回避することを支援するLIDARシステムが装備されている。LIDARシステムは、レーザ又は光(例えば、紫外線、可視光、又は近赤外光)を放射し、反射を分析して周辺領域を撮像し、安全なナビゲート可能な経路を識別する。
【0028】
コンピュータ320は、流通サイト内での、及びビン又は注文アイテムの取得におけるロボットの移動を制御する。コンピュータ320は、制御センタ及び他のロボットと無線で通信するための無線送信機及び受信機を含む。コンピュータ320は、履行する注文を受信し、履行された注文アイテムについて報告するべく、制御センタと通信する。コンピュータ320は又、ビン又は棚の中の残りのアイテムの数等の、又は流通サイト内のアイテム又はビンの位置に関する、在庫更新を制御センタに提供し得る。ロボット対ロボット通信は、いくつかの実施形態において、ナビゲーション並びに在庫管理及び流通サイト最適化を容易にする。バッテリ330は、ロボットに動力を供給し、ロボットが数時間連続して自律的に動作することを可能にする。
【0029】
モータの付いたベース220の下方には、ロボットが流通サイト内のX‐Y空間平面に沿って移動することを可能にするキャスタ340、駆動輪350、及びモータ360がある。慣性計測ユニット370も提供され、コンピュータ320が加速、振動、傾斜、向き、磁場ベクトル、回転速度等を含む様々な指標を感知することを可能にする。コンピュータ320は、駆動輪350、モータ360、及び慣性計測ユニット370に接続される。
【0030】
いくつかの実施形態において、伸長可能なリフト230は、ベース220でモータに結合される。いくつかの他の実施形態において、伸長可能なリフト230は、ロボット車輪に動力を供給するモータから独立した駆動モータに結合される。伸長可能なリフト230は、折り畳み式又は折り畳み可能な構造であり、拡張していくつかの高さのうちの何れかにロボットの取得部240を持ち上げ得る。いくつかの実施形態において、完全に折り畳まれるとき、伸長可能なリフト230は、モータの付いたベースの上に約1フィート(30.48センチメートル)上昇する。いくつかの実施形態において、完全に拡張されるとき、伸長可能なリフト230は、モータの付いたベースの上に6フィート(1.8288メートル)を超えて上昇する。いくつかの実施形態において、伸長可能なリフト230の到達可能な高さは、ロボットの用途及びそれが使用される流通サイトに応じて異なる。従って、より低い棚をもつ流通サイトに関しては、ロボットは、より小さい伸長可能なリフト230で構成され得、より高い棚をもつ流通サイトに関しては、ロボットは、より高く上昇し得るより大きい伸長可能なリフトで構成され得る。ロボットモータは、伸長可能なリフト230を、伸長可能なリフト230の完全に折り畳まれた位置と、完全に伸長された位置との間の任意の位置に設置し得る。いくつかの実施形態において、モータは、スクリュー駆動モータである。いくつかの他の実施形態において、モータは、空圧によって、又は他の機械的手段で伸長可能なリフト230に動力を供給する。ロボットのコンピュータ320は、伸長可能なリフト230のモータを制御し、取得部240上に配置されるカメラと共に、任意の棚の段、ビン、又はアイテムと位置合わせされるように伸長可能なリフト230を上昇又は下降させ得る。
【0031】
取得部240は、伸長可能なリフト230の頂部に存在し、ロボットが棚からアイテム又はビンを識別して引っ張り、任意選択で、ビンから個々のアイテムを分配する手段である。取得部240は、様々な実施形態を有し得る。2つのそのような実施形態が、図4を参照して説明される。図4は、いくつかの実施形態のロボットの取得部240に関する様々な図を提供する。
【0032】
第1実施形態において、取得部240は、一組のカメラ410、420及び430と、吸引アセンブリ450に接続され、吸引アセンブリ450を移動させるプルモータ440と、アイテムデポジットビン470と、一組のロードセル480とを含むプラットフォームである。いくつかの実施形態において、一組のカメラ410〜430は、下方のカメラ410、前方上方のカメラ420、及びオーバーヘッドのビンのカメラ430を含む。ベースのコンピュータ320は、取得部240の要素のそれぞれに通信可能に結合されており、取得部240の要素のそれぞれの動作を制御し得る。
【0033】
1又は複数のアイテムが積み重ねられた棚から直接アイテムを取得するために、ロボットは、棚の前に位置を定める。一組のカメラ410〜430を使用して、ロボットは、特定の識別子によって識別されるアイテムを見付けるべく棚をスキャンする。特定の識別子は、Universal Product Code(UPC)、他の製品コード、シリアルナンバ、又は棚上の異なるアイテムを一意的に識別するために使用され得るアイテム特徴であり得る。ロボットは次に、そのX、Y、及びZ空間位置を調整し、これにより取得部240は、対象アイテムと直接位置合わせされる。一旦位置合わせされると、ロボットは、プルモータ440を作動し、接触がなされるまで対象アイテムに向かって吸引アセンブリ450を伸長する。いくつかの実施形態において、吸引アセンブリ450は、トラックの頂部に存在し、そのトラックに沿った吸引アセンブリ450の移動が、プルモータ440によって制御されている。いくつかの他の実施形態において、プルモータ440は、一端で吸引アセンブリ450に結合される空気圧シリンダである。プルモータ440は、空気圧シリンダを伸長し又は引き込み得、それにより吸引アセンブリ450を取得部240のプラットフォームの周りで移動させる。
【0034】
いくつかの実施形態において、吸引アセンブリ450は、吸引カップで構成される。吸引カップがアイテムに対して押し付けられるとき、それは、吸引によってそのアイテムに付着し、それによりアイテムがその静止位置から取得されることを可能にする。いくつかの他の実施形態において、吸引アセンブリ450は、吸引カップ及び吸引カップに結合されるモータで構成される。モータは、吸引カップが対象アイテムに付着するためにより良い吸引を提供する真空を生成する。
【0035】
一旦吸引アセンブリ450が対象アイテムに係合すると、プルモータ440は、逆転し、吸引アセンブリ450をそれにより係合された対象アイテムと共に引き込み始める。プルモータ440は、アイテムデポジットビン470の上方にそれが位置合わせされるまで、対象アイテムを引き込む。その後、吸引アセンブリ450は、対象アイテムの係合を解除する。いくつかのそのような実施形態において、吸引アセンブリモータは、真空を停止し、任意選択で正圧を印加し、それによりアイテムをアイテムデポジットビン470内に落下させる。代替的に、プルモータ440は、対象アイテムから吸引アセンブリ450の係合を解除する動作(例えば、垂直の振とう)を生じさせ得る。カメラ410、420、430は、アイテムが適切に置かれるようにする。
【0036】
図4の第2の実施形態において、取得部240は、棚からビンを取得し、取得されたビンからアイテムを分配するために使用される。いくつかのそのような実施形態において、取得部240は、吸引アセンブリの代わりにプルモータ440に接続される電磁石450を含む。取得部240は、分配モータ460を更に含み得る。任意の取得されたビンから個々のアイテムを分配することによって自律的なビン取得及び自律的な注文履行を実行する取得部240に関する議論を容易にするために、ビン構造は、図5のビンの斜視図、上面図、及び正面図を通して示される。
【0037】
図5で示されるように、ロボットに対向するビンの外側は、ロボットの取得部240の電磁石450による磁気結合及び分離のための金属要素510を含む。クイックレスポンス(QR)コード、バーコード、無線周波数識別(RFID)タグ、又はビン内のアイテムを一意的に識別する特徴等の一意のビン識別子520が、金属要素510の上方に又は金属要素510に隣接して取り付けられる。ビンは、内側本体、内側本体の長さに延びるコルクスクリュー530、及びビンの正面の周りの開口540を含む。内側本体は、コルクスクリュー530の螺旋によって区分される同一のアイテムのうち1又は複数を保管する。ビンの外面の周りのコネクタ550は、コルクスクリュー530に接続され、ビンの外側からコルクスクリュー530の回転を可能にする。自動販売機同様、コルクスクリュー530の回転は、コルクスクリュー530の螺旋の間に位置するアイテムを、それらがビン開口540にいくまで、ビンの最前部に近づける。アイテムは一旦ビン開口540の上方に来ると、開口540を通ってビンから落下する。
【0038】
いくつかの実施形態において、ロボットの取得部240は、流通サイトの棚から、図5で描かれているもの等の、ビンを引っ張り、ビンからアイテムを分配し、ビンを棚に戻す。ビンを取得するために、ロボットは、それ自体をビンが配置されている棚の前に位置決めする。一組のカメラ410〜430及びビン面の周りの一意のビン識別子520を使用して、ロボットは、特定の識別子520によって識別されるビンを見付けるべく棚をスキャンする。ロボットは次に、そのX、Y、及びZ空間位置を調整し、これにより取得部240は、金属要素510に対向してビン正面と直接位置合わせされる。その後、ロボットは、プルモータ440を作動し、電磁石450がビンの金属要素510に接触し、分配モータ460がビンのコルクスクリューのコネクタ550と位置合わせされるまで、対象ビンに向かって電磁石450を伸長する。電磁石450は作動される。結果として、磁力が、電磁石450をビンに結合する。プルモータ440は次に、逆転し、電磁石450を引き込み始め、電磁石450は、同様に電磁石450に磁気的に結合されたビンを引っ張る。プルモータ440は、アイテムデポジットビン470の上方にビン開口540が位置合わせされるまで、結合されたビンを引き込む。図6は、いくつかの実施形態のロボットが、棚上の特定の対象ビンを識別し、吸引アセンブリ又は電磁石を使用して棚から直接対象ビンを取得する一連のステップを示す。
【0039】
取得されたビンからアイテムを分配し、顧客注文の一部を履行するために、ロボットは、分配モータ460を作動する。そうする際に、分配モータ460は、回転し始め、ビンのコルクスクリューのコネクタ550を分配モータ460と位置合わせさせ、分配モータ460は又、1つのアイテムがビンからアイテムデポジットビン470内に分配されるまで回転する。アイテムデポジットビン470は、ロボットが、ロボットによって取得される任意の分配されたアイテムを運ぶ容器である。取得部240の下方のビンのカメラ410は、ビンから分配されたアイテムの数を検出する。一旦、分配されたアイテムの数が顧客注文におけるアイテムの数と等しくなると、取得部240は、分配モータ460の回転を停止する。プルモータ440は次に逆転し、ビンを棚に沿って戻し再位置決めする。取得部240は、電磁石450を無効化し、それにより、ビンから電磁石450を分離させる。プルモータ440は、電磁石450及び取得部240を完全に引き込むべく再度逆転する。
【0040】
いくつかの実施形態において、取得部240は、引き込み可能な伸長部を更に含む。引き込み可能な伸長部は、取得部240から取得部240の前に位置決めされる棚に向かって伸長し、引き込むプラットフォームである。引き込み可能な伸長部は、棚からのアイテム又はビンの取得を容易にする。具体的には、一定の環境では、取得部240は、取得部240がビン又はアイテムを取得するべき棚に密着して位置することができない。従って、引き込み可能な伸長部は、棚の外方向に伸長され、取得部240と棚との間の任意の間隙を埋め、引き込まれたビン又はアイテムが、間隙を通って落下しないようにする。引き込み可能な伸長部は又、一定の長いビン又はアイテムの取得において使用される。そのような例において、引き込み可能な伸長部は、取得されている任意のアイテム又はビンに関する更なる支持を提供する。
【0041】
任意の取得部240の実施形態において、一組のロードセル480は、ロボットによる自律的な在庫管理を容易にする。一組のロードセル480は、取得部の頂部に置かれる全ての物の重量を測定する。取得部240がビンを取得するとき、一組のロードセル480は、ビンの重量を測定する。ビンの重量から、及びビンにおける各アイテムの重量を知ることから、ロボットは、ビンにあるアイテムの量を決定することにより在庫を追跡し得る。アイテムの重量は、制御センタによって事前に定義され、ロボットに送信され得る。ロボットは又、ビンを計量し、ビンからアイテムを分配し、1つのアイテムがビンから分配された後もう一度ビンを計量し、分配する前と分配した後との重量差に注目することによってアイテム重量を決定し得る。一組のロードセル480は又、顧客注文が正しく履行されたことを検証するために使用され得る。いくつかの実施形態において、顧客注文の全てのアイテムを含むパッケージを、流通サイト内の出荷荷下ろし位置に配達するためにロボットが使用される。パッケージは、一組のロードセル480が、全体のパッケージの重量を測定し得るように、取得部240の頂部に置かれる。再度、顧客注文の個々のアイテムの重量を知ること、及びパッケージの総重量を個々のアイテム重量の合計と比較することにより、ロボットは、全てのアイテムが存在するかどうか、又はパッケージ内に任意の無関係なアイテムがあるかどうかを決定し得る。そのような検証は、注文が梱包されている、又は多少なりとも人間の作業者のインタラクションを必要とする場合、とりわけ役立つ。
【0042】
図5は、ロボットがアイテムを分配し、自動化されたやり方で注文を履行し得る1つのビンの実施形態である。しかしながら、他の分配手段をもつビンも、いくつかの実施形態のロボットと共に使用され得る。いくつかの実施形態において、ロボットによってやりとりされるビンは、異なる量のアイテムを保持する空洞をもつ容器に過ぎない。これらのビンには、分配手段が何一つない場合がある。いくつかのそのような実施形態において、ロボットそれら自体、より具体的には、ロボットの取得部は、他の分配手段を使用してアイテムに結合し、アイテムを分配するよう適応され得る。図7は、いくつかの実施形態による1つのそのような適応された取得部を図示する。
【0043】
図7において、取得部は、引き込み可能なかぎ爪又は吸引グリップ720をもつクレーン710を使用し、電磁石750を使用して取得されたビン740からアイテム730を引き出す。クレーン710は次に、回転し、アイテムデポジットビン760内に引き出されたアイテム730を分配する。そのため、図2図7において示されているロボット構造及びビン構造は、自律的なシステムの好ましい実施形態を図示する。しかしながら、当業者であれば、後述の自律的な機能性を実装するために、異なるそのような構造が使用され得ることを理解するであろう。
【0044】
異なるビン及びロボットの実施形態が又、異なっているサイズのアイテムを扱うことのために想定される。例えば、より小さい第1サイズのビンが、バッテリ等の小さいアイテムを保管するために使用され得、より大きい第2サイズのビンが、テレビ等の大きいアイテムを保管するために使用され得る。そのような例において、大きいアイテムを取得するために使用されるものとは異なるサイズのロボットが、小さいアイテムを取得するために使用され得る。
【0045】
II.自律的な注文履行
【0046】
図8は、いくつかの実施形態のロボットが、X、Y、及びZ空間平面に沿って移動するその能力を使用して顧客注文を自律的に履行するプロセス800を示す。制御センタが、ロボットが自律的に履行するべき顧客注文をロボットに構成する(810で)とき、プロセス800は開始する。ロボットを構成することは、顧客注文を構成するアイテムのそれぞれを識別する識別子を含む顧客注文を、ロボットにアップロードすることを含む。
【0047】
最適な効率のために、ロボットは、制御センタから顧客注文を受信すると、流通サイト内でのその現在位置を識別する(820で)。いくつかの実施形態において、ロボットは、そのセンサ、具体的にはカメラを使用し、ロボットが現在配置されている最も近い棚又は流通サイトのフロアのいずれかに取り付けられている最も近い識別子を取得する。ロボットは、流通サイトのデジタルマップを参照し、流通サイトにおいて最も近い識別子の位置を識別し、それによりロボット自体の位置を決定する。マップから、ロボットは又、顧客注文のどのアイテムがロボットの位置に最も近い棚上に配置されているかを決定する(830で)。
【0048】
ロボットは、衝突なしに流通サイトを通ってインテリジェントにナビゲートし、顧客注文アイテムを含む最も近い棚に到着する(840で)。ロボットは次に、棚それ自体をナビゲートし、顧客注文アイテムを含むビンを識別する(850で)。そうするために、ロボットは、ビンに取り付けられたZ軸平面スキャニング識別子に沿って上昇し、顧客注文アイテムを含むビンを識別する。
【0049】
ロボットは、上述のロボットの機能性のうちの何れかを使用して、棚から顧客注文アイテムを含むビンを引っ張る(860で)。ロボットは、注文された量のアイテムを、ビンからロボットのアイテムデポジットビン内に分配する(870で)。ビンが取得された場合、ロボットは、ビンを棚内のその以前の位置に戻す(880で)。
【0050】
次に、ロボットは、最後のアイテムを分配した結果として、顧客注文が完了しているかどうかを判断する(890で)。完了していない場合、ロボットは、顧客注文における次に最も近い残りのアイテムを取得し始める前に、ステップ820に戻る。完了している場合、ロボットは、注文を履行し終え、ロボットは、注文アイテムが梱包され、顧客に出荷される出荷位置に移動する(895で)。
【0051】
いくつかの実施形態において、複数のロボットが一緒に作業し、特定の顧客注文を完了する。いくつかの実施形態において、ロボットの第1の組に、棚からビンを取得し、ビンから正しいアイテム量を分配する作業が任される。ロボットの第2の組に次に、自律的に顧客注文を履行するべく、又は履行のために顧客注文のアイテムを配達するべく、ロボットの第1の組からアイテムを回収する作業が任される。この構成では、ロボットの第1の組は、アイテムビンの取得及びアイテムの分配の作業を実行し、ロボットの第2の組は、顧客注文のアイテムを共通の位置に集め、梱包又は出荷のために顧客注文を準備する。ロボットの第1の組の各ロボットは、1又は複数の特定の棚から取得を実行するよう構成され得る。このことは、ロボットの第1の組が流通サイト内で不必要にナビゲートする労力を省く。ロボットの第1の組は、それによりアイテム又はビンの取得に完全に集中し得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、ロボットの第1の組は、ロボットが割り当てられる棚の近くに配置されるコンテナに、任意の取得されたアイテムを置く。ロボットの第2の組は次に、個々の顧客注文を履行することの一部としてコンテナからアイテムを取得するために、又はコンテナを集荷するために、周期的に立ち寄る。
【0053】
いくつかの他の実施形態において、ロボットの第1の組は、ロボットの第2の組に直接取得されたアイテムを置く。動作のこのモードにおいて、第2の組のロボットは、それが履行するべき顧客注文をロボットの第1の組に伝える。ロボットの第1の組は次に、彼らの対応する棚からアイテムを取得し始め、第2の組のロボットは、ロボットの第1の組のそれぞれのところで停止し、それらのロボットの第1の組によって取得されたアイテムを直接受け取る。第2の組のロボットは、従って、個々のアイテムが取得されるのを待つことなく、注文を履行し得る。代わりに、それは、一旦第2の組のロボットが到着すると、置くために注文アイテムを準備するであろうロボットの第1の組の間を単にナビゲートする。
【0054】
いくつかの他の実施形態において、2台の又はそれより多くのロボットに、顧客注文の異なる部分に関してビン又はアイテムを取得する作業が任される。いくつかのそのような実施形態において、顧客注文に対して共同作業で動作する2台の又はそれより多くのロボットは、顧客注文の異なるアイテムを含む異なるビンを取得するべく、流通サイトを同時に横断する。共同作業するロボットは、顧客注文のアイテムを彼らのそれぞれのアイテムデポジットビン内に分配する。共同作業するロボットは次に、彼らが取得したアイテムを特定のスマートテーブルで荷下ろしし、ここで、顧客注文全体は次に、1つのコンテナ又はパッケージ内に集められる。代替的に、顧客注文に対して共同作業で動作する2台の又はそれより多くのロボットは、顧客注文アイテムを含むビンをスマートテーブルに配達し得る。
【0055】
スマートテーブルは、ロボットによって配達されたアイテム又はビンを検出するセンサを含む。いくつかの実施形態において、カメラ及びロボティックアームを使用して、スマートテーブルは次に、異なるロボットによって配達されたアイテム又はビンから単一のパッケージ内に顧客注文を集める。
【0056】
いくつかの他の実施形態において、スマートテーブルは、人間の作業者が、配達されたアイテムを単一のパッケージ内に集める能力を容易にする。いくつかのそのような実施形態において、スマートテーブルは、顧客のディスプレイのアイテムを人間の作業者に示すディスプレイを含む。スマートテーブルは、照明付きのボタン又はライトを更に含む。これらのボタン又はライトは、スマートテーブル上で、ロボットが顧客注文のアイテムを含む異なるアイテム又はビンを置いた表面を識別する。人間の作業者は次に、スマートテーブルによって提供される案内に従うことによって注文を履行する。カメラ又は他のセンサを使用して、スマートテーブルは次に、人間の作業者が正しいアイテム及びアイテムの正しい量で顧客注文を正しく履行したことを検証し得る。
【0057】
制御センタは、流通サイト内で動作する各々のロボットに、ロボットがどの注文又はどの注文アイテムを取得するべきかを指示する。制御センタは、流通サイトのフロアで動作するロボットに、様々な顧客注文を無線で送信する。ロボットが既に1つの顧客注文を処理している場合、ロボットは、現在の顧客注文が履行されるまで、制御センタからの任意の追加の顧客注文をキューに入れる。制御センタは、顧客注文全体を1台のロボットに送信し得、又は顧客のアイテムを2台の又はそれより多くのロボットにわたるロボットに分割し得、これにより、ロボットは、顧客注文の配布された履行を実行する。
【0058】
いくつかの実施形態において、制御センタは、特定の顧客注文からの注文アイテムを、それらのそれぞれのビン識別子、UPCコード、他の一意のアイテム識別子、又はロボットが流通サイト内でそれらのアイテムを識別し得るアイテムの特徴に変換する。同一のアイテムが2つ又はそれより多く購入されるときは、各アイテムに関して量が提供され得る。注文は次に、履行のために制御センタから1台の又は複数のロボットに渡される。
【0059】
いくつかの実施形態において、ロボットは、顧客注文と関連付けられるアイテムを最も効率的なやり方で取得する。制御センタによって提供された注文における各アイテムを取得するのではなくむしろ、顧客注文を受信するロボットは、流通サイト内のその現在の位置をまず決定する。次に、ロボットは、顧客注文の一部として受信されたアイテムを通してスキャンし、ロボットの現在位置に基づいてアイテムを取得する最も効率的な注文を決定する。
【0060】
図9は、ロボットが、アイテムが制御センタから受信された注文においてそれらを単に取得するときの、顧客注文アイテムの非効率的な取得を図示する。図10は、ロボットが、いくつかの実施形態による顧客注文を前処理し、顧客注文アイテムを取得し始める前にそれ自体の位置に関してアイテムの位置を決定するときの、顧客注文アイテムの効率的な取得を図示する。
【0061】
III.ナビゲーション
【0062】
いくつかの実施形態において、ロボットは、一意の棚識別子の第1の組を使用して、流通サイトの棚にわたってナビゲートする。一意の棚識別子の第1の組からの棚識別子は、ロボットにとって容易に及び明らかにアクセス可能である位置における流通サイトの各棚に取り付けられる。いくつかの実施形態において、一意の棚識別子の第1の組は、QRコード(登録商標)、バーコード、又はRFIDタグの組を含む。しかしながら、一意の棚識別子の第1の組は、図形、記号、又は英数字を含む、視覚的な識別子の任意の一意の組を含み得ることは明らかである。いくつかの実施形態において、一意の棚識別子の第1の組は、代替的に又は追加的に、それらが識別する棚の前の流通サイトのフロアに取り付けられ得る。
【0063】
ロボットは、棚識別子の第1の組及び棚識別子の第1の組から生成される流通サイトのマップを使用してそれ自体を正しい位置に合わせる。ロボットのモータの付いたベースの周りのカメラは、識別子のサイズ及びロボットのカメラの解像度に応じて、数メートルの距離から棚識別子の第1の組をスキャンし得る。
【0064】
図11は、いくつかの実施形態による、ロボットが流通サイトを自律的にマッピングするプロセス1100を示す。流通サイトのマップを生成するために、ロボットは、棚発見ルーティンを実行する。棚発見ルーティンの一部として、ロボットは、流通サイトの各経路を横断する(1110で)。ロボットは、ローカル又は全地球測位システム(GPS)座標を使用し得、ロボットが全ての流通サイト経路をカバーするようにする。いくつかの実施形態において、制御センタは、流通サイトの経路のマップをロボットにアップロードする。
【0065】
各経路を横断している間、ロボットは、それが遭遇する各新たな棚で停止する(1120で)。ロボットの感覚アレイのカメラが新たな棚識別子を検出するとき、ロボットは、棚に遭遇する。ロボットは、新たな棚識別子をスキャンし、棚の位置をスキャンされた棚識別子にマッピングする(1130で)。ロボットは、棚の前に又は棚に隣接してそれ自体を位置決めし、その位置でGPS座標を記録することによって棚の位置を決定する。
【0066】
各遭遇された棚で、ロボットは又、アイテム/ビン発見ルーティンを実行する。アイテム/ビン発見ルーティンを実行する際、ロボットは、その棚に編成される各々の一意のアイテム/ビンをスキャンする(1140で)。いくつかの実施形態において、ロボットは、各ビンに取り付けられる一意のビン識別子の第2の組から一意のビン識別子をスキャンする。一意のビン識別子の第2の組も、QRコード(登録商標)、バーコード、又は他の図形の、記号の、又は英数字のコードの形態であり得る。アイテムが棚に直接配置される実施形態においては、ロボットは、UPCコード、シリアルナンバ、又はアイテムの一意の特徴をスキャンする。
【0067】
図12は、いくつかの実施形態のロボットによって実行される、ビン発見ルーティンを概念的に図示する。示されるように、ロボットは、その棚発見ルーティンに沿って新たな棚識別子1220を識別するとき、棚1210で停止する。ロボットは、棚1210の縁部に進み、第1の棚の棚又は段のレベルになるまでZ軸平面に沿って上昇する。ロボットは次に、X軸平面に沿って横向きに移動し、その棚又は段に編成されたアイテム/ビン識別子1230、1240、1250及び1260を発見する。ロボットが棚又は段の端に到達するとき、棚の開始縁部に戻るまでX軸平面に沿って反対方向に移動する前に、Z軸平面に沿って次の棚又は段1270に再び上昇する。ロボットは、棚の全ての棚又は段の一意のアイテム/ビンがスキャンされるまで、このやり方でスキャンを継続する。ビン発見ルーティンの結果として、ロボットは、どのアイテム又はビンがどの棚識別子でアクセス可能であるかを識別する。より詳細な発見が、アイテム/ビンを棚の周りの特定の位置にマッピングし得る。
【0068】
ロボットは、流通サイトが完全にマッピングされているかどうかを判断する(1150で)。完全にマッピングされていない場合、プロセス1100は、流通サイト内の各棚の位置が識別され、各棚でアクセス可能なビンも識別されるまで上記の様式で継続する。
【0069】
棚識別子の第1の組及びアイテム/ビン識別子の第2の組をスキャンすることから決定されるようなアイテム/ビン及び棚の位置は次に、流通サイトのマップ内に集められる(1160で)。各ビン内に何があるかを知るために、制御センタは、アイテム対ビン識別子マッピングを生成する。識別子対ビンマッピングは次に、ロボットが流通サイト内の各々のアイテムの位置を確認できるように、流通サイトのロボットの生成されたマップと組み合わされる(1170で)。
【0070】
上述の通り、最も近い棚識別子をスキャンすることによって、及び生成されたマップを参照することによって、ロボットは、流通サイト内でその位置をいつでも決定することができ、流通サイト内で異なる位置にそのコースをインテリジェントに、効率的に、及び自律的にプロットすることができる。更に、マップを使用して、ロボットは、流通サイト内で各々のアイテムに対してその位置を決定することができる。結果として、ロボットは、顧客注文の各アイテムを取得するための最短の経路と最適な順序を決定することにより、顧客注文を効率的に履行し得る。
【0071】
いくつかの実施形態において、ロボットは又、その発見中にロボットが遭遇する様々な障害物をマップに設定する。マップ内に障害物を含めることにより、ロボットが、その後の流通サイトの横断中にそのような障害物を事前に回避することが可能となる。
【0072】
いくつかの実施形態において、ロボットは、営業外時間中に又は流通サイトのレイアウトが変化するときに周期的に、棚発見ルーティン及びビン発見ルーティンを実行することによりマップを構築する。あるロボットによって作成されるマップは、同一の流通サイトで動作する他のロボットと共有され得る。いくつかのそのような実施形態において、ロボットは、そのマップを制御センタにアップロードし、制御センタは次に、完全なマッピングを流通サイトロボットのそれぞれに配布する前に、アイテム対ビンマッピング情報をマップに組み込む。従って、あるロボットが、他のロボットが彼らの注文履行作業を継続する間、注文履行作業から外され、流通サイトをマッピング又は再マッピングし得る。一旦ロボットが流通サイトのマッピングを完了すると、ロボットは、それ自体のマップを更新し、任意選択でマッピングを他のロボットにアップロードすることにより彼らによって使用されるマップを更新し得る。
【0073】
無線周波数ブロードキャスティングビーコンが、ロボットが流通サイト内でナビゲートする代替的な手段を提供し得る。いくつかのそのような実施形態において、ビーコンは、流通サイトの周りに戦略的に配置され、各ビーコンの位置をもつ流通サイトのマップが生成される。互換性のある受信機が、ロボットに取り付けられる。受信機を使用して、ロボットは、ビーコン間の無線信号飛行時間を検出し、検出された信号に基づいて流通サイト内でそれらの位置を決定し得る。ビーコンが棚に割り当てられるとき、ロボットは、個々の棚を区別し得る。代替的に、ロボットは、ビーコンを使用して流通サイトをナビゲートし、次にロボットのカメラに依存して対象棚を識別し得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、ロボットは、流通サイト内でナビゲートするためのLIDARシステムを含む。ロボットは、LIDARシステムによって実行されるレーザスキャンを既知のマップに一致させることにより、流通サイトのマップ内で彼らの位置を特定し得る。更に、LIDARシステムは、ロボットが流通サイト内で横断中に衝突を回避するのを支援し得る。
【0075】
IV.在庫管理
【0076】
更なる自動化及びシームレスな注文履行のために、いくつかの実施形態のロボットは、在庫管理を自動化することとして追加のユーティリティを提供する。在庫管理は、十分な量のアイテムが在庫にあるようにする必要がある。この在庫から、顧客注文が履行され得る。しかしながら、在庫が需要を下回る場合、顧客注文は、履行され得ず、注文は、遅延されるであろう。従って、在庫管理は、流通サイトを出るアイテムが、流通サイト内に入るアイテムと等しいか又はそれより少なくなければならないという物流の課題である。
【0077】
ロボットは、取得部上の一組のロードセルを使用することによって在庫管理を自動化し、注文を履行し始めるときに在庫量を検査する。ロボットが棚からビンを取得するとき、ロボットは、ビンの重量を測定し、ビン内のアイテムの1ユニット当たり重量で総重量を割ることによって、ビン内の残りのアイテムの量を識別し得る。ロボットは次に、制御センタが流通サイト在庫全体を全体的にかつリアルタイムに把握するように、制御センタにアイテムの量を提供し得る。
【0078】
特定のアイテムの在庫が低いとき、制御センタは、適切な供給業者から追加のユニットを自動的に注文し得る。制御センタは、静的な又は動的な低い在庫閾値を使用して、正しい供給業者からアイテムの追加のユニットを注文し得る。静的な在庫閾値は、特定のアイテムの在庫量が固定された数を下回るときにはいつでもトリガする。動的な在庫閾値は、アイテムの量が時間と共に減少する割合を追跡し、それに応じて閾値を設定する。具体的には、ロボットは、顧客注文を履行することの一部としてビンから任意のアイテムを分配するときにはいつでも、そのアイテムが分配されたこと、及び在庫におけるそのアイテムのユニットが1つ少ないことを制御センタに通知する。制御センタは、異なるアイテムがロボットによって分配されている割合を追跡する。割合に基づいて、制御センタは、人気のあるアイテムを、より人気のないアイテムと区別し、人気のあるアイテムを、より人気のないアイテムよりも早く補充し得る。なぜなら、人気のあるアイテムの在庫は、より人気のないアイテムの在庫よりも速く減っているからである。
【0079】
ロボットは又、一旦アイテムの追加のユニットが供給業者から受け取られると、棚を再補充するために使用され得る。棚を再補充するために、ロボットは、本質的に逆の注文履行動作を実行する。逆の動作は、1台の又は複数のロボットに再補充するべきアイテムを指示する制御センタに関与する。指示は、再補充を待つアイテムの位置を識別する識別子を含む。この識別子は、供給業者が再補充用のアイテムを荷下ろしする流通サイト内のドッキングベイ又は分類領域を識別し得る。制御センタからの指示は、流通サイトにおけるアイテムの最終位置を識別する第2の識別子を更に含み得る。この第2の識別子は、流通サイト内の特定の棚、又はより細かくは、特定の棚内の特定の位置を識別し得る。
【0080】
ロボットは次に、再補充されるべきアイテムの現在位置を識別する第1の識別子にナビゲートする。一組のカメラを使用して、各ロボットは、その取得部をアイテムの前に位置決めする。これは、伸長可能なリフトを上昇又は下降させ、取得部を、アイテムの山における次にアクセス可能なアイテムに位置合わせすることを含む。ロボットは、そのプルモータを作動し、次にアクセス可能なアイテムを吸引アセンブリに係合させる。一旦吸引アセンブリがアイテムに係合すると、プルモータは、逆転し、アイテムをその元の位置から引き出す。ロボットは次に、アイテムを流通サイト内のその最終位置に運ぶ。具体的には、ロボットは、取得されたアイテムが再補充されるべき棚への最適な経路を決定するべく、流通サイトの棚のそのマップを参照する。ロボットは、適切な流通サイトの棚にナビゲートする。ロボットは、一旦アイテムが棚に挿入されると、プルモータを作動して吸引アセンブリの係合を解除することによりアイテムを棚の上に置く前に、棚内でアイテムを適切に位置決めするために、その伸長可能なリフトを上昇又は下降させる。
【0081】
棚を再補充することの変形例として、いくつかの実施形態において、制御センタは、注文履行の効率を高めるべく、リアルタイム在庫情報並びにロボットに影響力を行使し、流通サイズを最適化する。具体的には、ロボットによって報告されるリアルタイム在庫情報は、流通サイト内で棚及び/又はビンを再編成するために使用され、これにより、頻繁に取得されるアイテム又は一緒に購入されるアイテムは、互いの近くに物理的に配置される。これは次に、ロボットが注文を履行する際に移動しなければならない総距離を削減し、それにより各注文を履行する平均時間を短縮する。
【0082】
図13は、いくつかの実施形態による、流通サイト効率を自律的に最適化するためのプロセス1300を示す。プロセス1300は、制御センタが、あるモニタリング期間にわたってロボットからリアルタイム在庫情報を受信する(1310で)ことと共に開始する。モニタリング期間は、1日、1週間、1ヶ月等の期間であり得る。
【0083】
プロセスは次に、全体として在庫情報を処理し(1320で)、最も頻繁に購入されたアイテム又は一緒に購入されたアイテムを識別する制御センタに関与する。営業外時間中に又はピークでない時間の間、制御センタは次に、最も頻繁に購入されたアイテム又は一緒に購入されたアイテムが互いの近くに配置されるように、棚又はビンを再位置決めするようロボットに指示する(1330で)。再位置決めすることの一部として、ロボットは又、棚又はビンを流通サイト内でのロボットの開始位置のより近くに位置決めし得る。
【0084】
ロボットは、指示されたように棚及び/又はビンを再位置決めする(1340で)。そうする際に、ロボットは又、彼らの流通サイトのマップを更新し(1350で)、棚及びビンの位置の変化を考慮する。その後、制御センタがロボットのうちの1台に履行するべき顧客注文を提供するとき、ロボットは、更新されたマップを使用し、顧客注文アイテムの位置を識別するであろう。
【0085】
いくつかの実施形態において、ロボットは、流通サイトの断片化を解消するという関連しているが同様の作業を実行するために使用され得る。流通サイトの断片化の解消は、各棚に対して最大の数のビンを配置することにより、棚スペースを最大化することに関与する。例として、流通サイトは、10フィート(3.048メートル)の幅である段をもつ棚と、3フィート(0.9144メートル)の幅、5フィート(1.524メートル)の幅、及び7フィート(2.1336メートル)の幅であるビンとを有し得る。このシナリオにおいて、棚スペースの最も効率的な利用及び断片化の解消は、5フィート幅のビンを3フィート幅のビンと並べることではなくむしろ、3フィート幅のビンを幅7フィートのビンと並べ、5フィート幅のビンを別の5フィート幅のビンと並べることに関与する。断片化の解消を実行するために、制御センタは、各棚上のスペースを識別し、各ビンのサイズを識別し、棚スペースへのビンの最も効率的な割り当てを決定する。制御センタは次に、ロボットに、最適な、断片化を解消された位置決めに従って、ビンを再位置決めするよう命令する。
【0086】
いくつかの実施形態において、断片化を解消することは、ビンを遠くの棚から空のスペースを有するより近い棚に移動させることにより、無駄なスペースを取り除くことにも関与する。いくつかの実施形態において、断片化を解消することは、棚から空のビンを外し、在庫にある他のアイテムのためのスペースを開くことにも関与する。
【0087】
V.コンピュータシステム
【0088】
上述のプロセス、エンジン、モジュール、及びコンポーネントのうちのいくつかは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体(コンピュータ可読媒体とも称される)に記録される命令のセットとして規定されるソフトウェアプロセスとして実装される。これらの命令が、(プロセッサ又はASIC及びFPGAのような他の計算エレメント等の)1又は複数の計算エレメントによって実行されるとき、それらは、計算エレメントに命令において示される動作を実行させる。サーバ、コンピュータ、及びコンピューティングマシンが、それらの最も広い意味で意味され、携帯電話、スマートフォン、ポータブルデジタルアシスタント、タブレットデバイス、ラップトップ、ノートブック、及びデスクトップコンピュータを含むプロセッサをもつ任意の電子デバイスを含み得る。コンピュータ可読媒体の例は、これらに限定されないが、CD−ROM、フラッシュドライブ、RAMチップ、ハードドライブ、EPROM等を含む。
【0089】
図14は、いくつかの実施形態のロボット又は制御センタの一部として含まれるコンピュータシステムを図示する。そのようなコンピュータシステムは、上述されたモニタリングシステムの様々な方法及び機械を実装する、様々な他のタイプのコンピュータ可読媒体のための様々なタイプのコンピュータ可読媒体及びインタフェースを含む。コンピュータシステム1400は、バス1405、プロセッサ1410、システムメモリ1415、リードオンリメモリ1420、永久記憶デバイス1425、入力デバイス1430、及び出力デバイス1435を含む。
【0090】
バス1405は、コンピュータシステム1400の多数の内部デバイスを通信可能に接続する全てのシステムバス、周辺バス、及びチップセットバスを集合的に表す。例えば、バス1405は、プロセッサ1410を、リードオンリメモリ1420、システムメモリ1415、及び永久記憶デバイス1425と通信可能に接続する。これらの様々なメモリユニットから、プロセッサ1410は、上述された実施形態のプロセスを実行するべく、実行する命令及び処理するデータを取得する。プロセッサ1410は、中央処理ユニット、集積回路、グラフィカル処理ユニット等のような処理デバイスである。
【0091】
リードオンリメモリ(ROM)1420は、プロセッサ1410及びコンピュータシステムの他のモジュールによって必要とされる静的なデータ及び命令を記憶する。一方、永久記憶デバイス1425は、リード/ライトメモリデバイスである。このデバイスは、コンピュータシステム1400がオフである場合であっても、命令及びデータを記憶する不揮発性メモリユニットである。いくつかの実施形態は、永久記憶デバイス1425として(磁気ディスク、ソリッドステートディスク、又は光ディスク及びその対応するディスクドライブ等の)大容量記憶デバイスを使用する。
【0092】
他の実施形態は、永久記憶デバイスとして(フラッシュドライブ又はソリッドステートディスク等の)リムーバブル記憶デバイスを使用する。永久記憶デバイス1425同様、システムメモリ1415は、リード/ライトメモリデバイスである。しかしながら、記憶デバイス1425とは異なり、システムメモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)等の揮発性のリード/ライトメモリである。システムメモリは、プロセッサが実行時に必要とする命令及びデータのうちのいくつかを記憶する。いくつかの実施形態において、プロセスは、システムメモリ1415、永久記憶デバイス1425、及び/又はリードオンリメモリ1420に記憶される。
【0093】
バス1405は又、入力デバイス及び出力デバイス1430及び1435に接続する。入力デバイスは、ユーザが情報を通信し、コンピュータシステムに対してコマンドを選択することを可能にする。入力デバイス1430は、(物理キーボード及びタッチスクリーンキーボードを含む)英数字のキーパッドと、(「カーソル制御デバイス」とも呼ばれる)ポインティングデバイスとを含む。入力デバイス1430は又、オーディオ入力デバイス(例えば、マイクロフォン、MIDI楽器等)を含む。出力デバイス1435は、コンピュータシステムによって生成される画像を表示する。出力デバイスは、プリンタ及び液晶ディスプレイ(LCD)等の表示デバイスを含む。
【0094】
最後に、図14で示されるように、バス1405は又、ネットワークアダプタ(図示せず)を介してコンピュータ1400をネットワーク1465に結合する。このやり方において、コンピュータは、(ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、又はイントラネット、又はインターネット等のネットワークのネットワークのような)コンピュータのネットワークの一部であり得る。
【0095】
上述したように、コンピュータシステム1400は、様々な異なるコンピュータ可読媒体のうちの1又は複数を含み得る。そのようなコンピュータ可読媒体のいくつかの例は、RAM、ROM、コンパクトディスク(CD−ROM)、デジタル多用途ディスク(例えば、DVD−ROM、二層DVD−ROM)、様々なレコーダブル/リライタブルDVD(例えば、DVD‐RAM、DVD−RW、DVD+RW等)、フラッシュメモリ(例えば、SDカード、ミニSDカード、マイクロSDカード等)、磁気及び/又はソリッドステートハードドライブ、リードオンリ及びレコーダブルブルーレイ(登録商標)ディスク、及び任意の他の光媒体又は磁気媒体を含む。
【0096】
先の明細書において、様々な好ましい実施形態が、添付図面を参照して説明されてきた。しかしながら、以下の特許請求の範囲において記載されている本発明のより広い範囲から逸脱することなく、様々な改良及び変更が本発明に対して行われ得、追加の実施形態が実装され得ることが明らかであろう。明細書及び図面は、従って、限定的な意味ではなくむしろ例示的な意味でみなされることになる。
(項目1)
少なくとも第1のカメラ、車輪、及び上記車輪を駆動する少なくとも第1のモータを有する、モータの付いたベースであって、上記モータの付いたベースは、ロボットを、流通サイト内で複数の棚から特定の棚へ方向付け、上記複数の棚の各棚は、複数の異なるアイテムを保持する複数の段を有する、モータの付いたベースと、
上記ベースに結合され、上記特定の棚の上記複数の段から任意の段へ上昇する、伸長可能なリフトと、
上記伸長可能なリフトに結合され、プラットフォームと、少なくとも第2のカメラと吸引アセンブリとを有する取得部であって、上記第2のカメラは、上記モータの付いたベースによるX‐Y空間移動及び上記伸長可能なリフトによるZ空間移動と共に、上記特定の棚の複数の異なるアイテムから特定の対象アイテムを識別し、上記吸引アセンブリは、上記特定の棚から上記特定の対象アイテムを取得する、取得部と
を備える
ロボット。
(項目2)
上記取得部は、上記吸引アセンブリを上記プラットフォームを中心として前後に移動させる第2のモータを更に有する、項目1に記載のロボット。
(項目3)
上記吸引アセンブリは、(i)上記第2のモータが、上記特定の棚上の上記対象アイテムに向かって上記プラットフォームの周りで上記吸引アセンブリを前方に移動させることによって、(ii)上記吸引アセンブリが、上記第2のモータの前方への移動によって上記対象アイテムに対して押し付けられるとき、上記対象アイテムに付着することによって、及び(iii)上記第2のモータの逆転する方向が、上記吸引アセンブリを上記吸引アセンブリに付着させられた上記対象アイテムと共に上記プラットフォームの周りで後方に移動することによって、上記特定の棚から上記特定の対象アイテムを取得する、項目2に記載のロボット。
(項目4)
上記取得部は、上記吸引アセンブリに結合される真空部を更に有し、上記真空部は、上記吸引アセンブリ内の吸引力を生成し、上記吸引アセンブリに対して押しつけられる上記対象アイテムへの付着を高める、項目1に記載のロボット。
(項目5)
上記ロボットは、流通サイト全体にわたって配置される複数の識別子をスキャンすることによって、及び上記第1のカメラを使用して上記複数の識別子のそれぞれの位置をマッピングすることによって、上記流通サイトをマッピングする、項目1に記載のロボット。
(項目6)
上記取得部は、一組のロードセルを更に備え、上記一組のロードセルは、上記取得部のプラットフォームの頂部に配置される任意の対象物の重量を測定する、項目1に記載のロボット。
(項目7)
上記一組のロードセルは、上記吸引アセンブリを使用して取得されたビンの重量を測定し、上記ビンは、複数の上記特定の対象アイテムを含む、項目6に記載のロボット。
(項目8)
上記ロボットは、上記特定の対象アイテムの1ユニット当たり重量で割られた上記ビンの上記重量に基づいて、上記ビンにおけるアイテムの量を決定する、項目7に記載のロボット。
(項目9)
車輪と、上記車輪を駆動する少なくとも第1のモータと、上記第1のモータに動力を供給するバッテリとを有するベースと、
上記ベースに結合される伸長可能なリフトであって、上記ベースの上方の複数の高さのうちの何れかの高さに上昇する、伸長可能なリフトと、
上記伸長可能なリフトの頂部にあるロボティックアームであって、上記ロボティックアームは、上記ロボティックアームの遠位の端に取得部を有し、上記伸長可能なリフトは、上記ロボティックアームの高さを、第1の位置の周りのアイテムの高さにおおよそ位置合わせし、上記ロボティックアームは、上記取得部を上記アイテムに位置決めすることと、上記アイテムを上記取得部に係合させることと、上記取得部を上記棚から離れて再位置決めすることによって、上記第1の位置から上記アイテムを取得する、ロボティックアームと
を備える
ロボット。
(項目10)
上記ロボティックアーム及び上記取得部の移動に動力を供給する少なくとも第2のモータを更に含む、項目9に記載のロボット。
(項目11)
上記取得部は、吸引を使用して上記アイテムを係合させる電磁石又は真空部を備える、項目10に記載の方法。
(項目12)
上記取得部は、上記アイテムの周りで開閉することにより上記アイテムを係合させるグリッパである、項目10に記載の方法。
(項目13)
上記取得部は、上記アイテムを、ある距離だけ上記第1の位置から区分される第2の位置に搬送し、搬送は、上記車輪、伸長可能なリフト、及びロボティックアームのうちの少なくとも1つの移動を使用して、上記ロボットを、上記第2の位置に隣接して再位置決めすることと、(i)デポジットビンの上方で
上記アイテムから係合を解除することにより、上記アイテムを上記第2の位置で上記デポジットビンに置くことと、又は(ii)上記第2の位置でプラットフォーム又はコンテナ上に上記アイテムを滑らせることとを備える、項目9に記載のロボット。
(項目14)
上記ロボティックアームは、複数のリンクと、上記複数のリンクを3次元で回転及び伸長させる少なくとも第2のモータとを有する、項目9に記載のロボット。
(項目15)
囲まれたスペース内で上記ロボットの移動を案内し、他の複数の上記棚から上記棚を、又は上記棚内で上記アイテムを識別する少なくとも1つの識別子に基づき、上記囲まれたスペース内の複数の棚から上記アイテムを含む上記棚を識別する少なくとも1つの第1のカメラを更に備える、項目9に記載のロボット。
(項目16)
上記伸長可能なリフトの頂部にある上記ロボティックアームにおおよそ位置決めされる少なくとも1つの第2のカメラを更に備え、上記第2のカメラは、上記棚の周りの上記アイテムの位置を識別し、上記棚から上記アイテムを取得する際に上記ロボティックアームの移動を案内する、項目15に記載のロボット。
(項目17)
モータの付いたベース及びコンテナを有する第1のロボットと、
(i)モータの付いたベース、(ii)上記ベースに結合され、上記ベースの上に複数の高さのうちの何れかに上昇するリフト、及び(iii)上記リフトの頂部にプラットフォームと、取得アームとを含む取得部、を有する第2のロボットと
を備え、
上記第1のロボット及び上記第2のロボットは、特定のアイテムに関する顧客注文を協働的に履行し、上記第1のロボット及び上記第2のロボットは、複数のアイテムを含む複数の棚の周りで上記特定のアイテムを含む特定の棚にナビゲートし、上記第2のロボットは、上記リフトを上昇させ、上記プラットフォームを上記特定の棚の周りで上記特定のアイテムの高さに位置合わせし、上記取得アームを使用して上記特定の棚から上記特定のアイテムを取得し、上記特定のアイテムを上記第1のロボットのコンテナに分配し、上記第1のロボットは、上記コンテナにおける上記特定のアイテムを梱包サイトに配達する、
自律的注文履行システム。
(項目18)
上記第2のロボットのプラットフォームは、上記特定のアイテムの重量を測定し、上記重量を正しいアイテムに関する定義された重量と比較することによって、上記特定の棚からの上記正しいアイテムの取得を検証するスケールを含む、項目17に記載の自律的注文履行システム。
(項目19)
上記第2のロボットは、上記特定のアイテムの上記重量が、上記正しいアイテムに関する上記定義された重量に一致しないとき、上記特定のアイテムを拒絶し、上記特定の棚から別のアイテムを取得する、項目18に記載の自律的注文履行システム。
(項目20)
上記第2のロボットは、上記アイテム内に含まれる特定の品物の重量に対して上記特定のアイテムの上記重量を測定することによって、上記特定のアイテム内に含まれる上記特定の品物の量を決定する、項目18に記載の自律的注文履行システム。
図1
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