(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明を実施するための実施形態について説明する。
【0008】
<構成と簡単な接続関係>
図1は、第1の実施形態に係る知識構築活用システムの全体構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、知識構築活用システムは、ユーザ端末100(クライアント端末)とサーバー200がネットワーク300を介して接続されて構成される。サーバー200は、ユーザ端末100から入力された音声メッセージデータを受信し、音声メッセージの内容を記録し、音声メッセージの発話機能、話題を抽出し記録する。発話機能とは,例えば「質問」「回答」「依頼」「承諾」「拒否」等、音声メッセージを発したユーザの発話意図を意味する。
【0009】
ユーザ端末100は、例えばスマートフォン、タブレット、PC等であり、制御部110を持つ。制御部110は、入力部101、通信部102、出力部103を備える。入力部101は、音声メッセージデータの取得を行う。出力部103は、サーバー200から送信された結果を出力する。通信部102は、ユーザ端末100とサーバー200との間で音声メッセージデータの送受信を行う。これら制御部110の各部の機能は、ユーザ端末100に実装されている図示しないマイクロプロセッサがユーザ端末アプリケーションプログラムを実行することにより実現している。しかし、これらの機能をハードウェアによって実現しても構わない。
【0010】
サーバー200は、入出力部210、処理部220、記憶部230を持つ。入出力部210は、ユーザ端末100との間で音声メッセージを送受信する。処理部220は、分析部221、対応関係抽出部222、参考情報抽出部223、専門家判定部224、メッセージ生成部225を備える。これら処理部220の各部の機能は、サーバー200に実装されている図示しないマイクロプロセッサがプログラムを実行することにより実現している。しかし、これらの機能をハードウェアによって実現しても構わない。
【0011】
分析部221は、ユーザ端末100から入力された音声メッセージの分析を行い、メッセージの発話機能を特定し、話題を抽出する。話題とは、メッセージの内容を表すキーワードである。対応関係抽出部222は、入力された音声メッセージと対の関係となる、記憶されている音声メッセージを抽出する。参考情報抽出部223は、構築知識記憶部234に記憶された話題を参照し、音声言語メッセージ記憶部233に登録された音声メッセージの話題と最も一致する参考情報を抽出する。利用者情報記憶部231は、各利用者が専門とする話題の情報が記憶され、専門家判定部224は、その情報に基づいて音声メッセージから抽出される話題に関する専門の利用者を検索する。メッセージ生成部225は、音声言語メッセージ記憶部233と生成テンプレート記憶部235を参照して、利用者に提示する音声メッセージを生成する。
【0012】
記憶部230は、利用者情報記憶部231、対応関係記憶部232、音声言語メッセージ記憶部233、構築知識記憶部234、生成テンプレート記憶部235を持つ。利用者情報記憶部231は、システムの利用者のIDと、その利用者が専門性を持つ事柄に関する単語(キーワード)が記憶されている。対応関係記憶部232は、対応関係抽出部222によって抽出された、対応関係を持つ音声メッセージのメッセージIDが出現順に記録される。音声言語メッセージ記憶部233は、入力された音声メッセージの内容、音声メッセージに付与されるメッセージID、発信した利用者ID、抽出した発話機能、話題、応答の際に参考にする構築知識記憶部234内の知識ID、専門家判定部224で指定した送付先利用者IDを保存する。構築知識記憶部234は、複数の音声メッセージが分析部221で抽出された話題に基づき関連付けられ、知識ID等と共に記憶される。生成テンプレート記憶部235は、利用者にメッセージを依頼する際や音声メッセージの内容を再生する際の導入メッセージやそのテンプレート等が記憶されている。
【0013】
なお、ここではn人の利用者が、音声による入出力機能を持つユーザ端末を携行し各端末を通じて無線通信を行うことで本システムを利用する例を示しているが、入力手段あるいは出力手段の一方のみを持つユーザ端末が任意台数含まれる構成での実現も可能である。また、有線通信を併用し実現してもよい。さらに、GUI(グラフィカルユーザインタフェース)や物理ボタンや物理ダイヤルやタッチ操作入力などが可能なユーザ端末を使用してもよい。本実施形態において知識情報とは、ユーザにより入力されたメッセージやシステムによって生成されたメッセージを指している。本実施形態では音声信号を用いて知識情報を入力しているが、テキスト、画像、動画などの、音声信号以外の知識情報を用いても、また複数を組み合わせて実施してもよい。
【0014】
<動作の概略>
続いて、
図2ないし
図4のシーケンス図を用いて、本システムの動作の概略を説明する。この例では、本システムをノービスユーザa、b、ベテランユーザc、d、eでの5名が利用している。また、ノービスユーザa、bは、この例で扱っている話題について専門知識を有していない初心者であり、ベテランユーザc、d、eは専門知識を有している専門家であるとする。
【0015】
図2は本システムの質問メッセージに対応する回答が保存されていない場合の流れを示すシーケンス図である。まず、ノービスユーザaによって質問メッセージ1が入力されると(SS1)、サーバーに送られ、質問メッセージ1の内容が分析され(SS2)記憶される(SS3)。この質問メッセージ1の内容と類似する内容の対応関係を持つ音声メッセージが記憶されていない場合は、質問メッセージ1の内容に対するベテランユーザc、d、eを送付先として決定し(SS4)、ノービスユーザaの質問メッセージ1をベテランユーザc、d、eに送信する(SS5)。
【0016】
次に、ベテランユーザdから質問メッセージ1に対する回答メッセージ2が入力されると(SS5)、回答メッセージ2の内容が分析され(SS7)記憶される(SS8)。
【0017】
続いて、ユーザaによる質問メッセージ1とユーザdによる回答メッセージ2が対応関係として記憶されると同時に(SS9)、ノービスユーザaへ応答メッセージ3としてユーザdの回答メッセージ2が送信される(SS10)。また、ユーザdの回答メッセージ2が応答メッセージ3として妥当か、また補足等があるか確認するために、確認依頼メッセージ4を生成し、送付先としてベテランユーザc、eを決定する(SS11)。そして、確認依頼メッセージ4をベテランユーザc、eに送信する(SS12)。
【0018】
次に、
図3のシーケンス図を用いて、応答メッセージとなり得る音声メッセージが既に記憶されている場合の流れを説明する。ノービスユーザbによって質問メッセージ5が入力されると(SS13)、サーバーに送られ、質問メッセージ5の内容が分析され(SS14)記憶される(SS15)。質問メッセージ5の内容と類似する内容の対応関係を持つ音声メッセージ、つまり応答メッセージとなり得る音声メッセージが存在する場合は(SS17)、その対応関係となっている音声メッセージを元にシステムが自動で代理応答メッセージ6を生成し(SS18)、ノービスユーザbに送信される(S19)。さらに、生成された代理応答メッセージ6が回答として妥当か、また補足等があるか確認するため、確認依頼メッセージ7生成される(SS21)。送付先としてベテランユーザc、d、eが決定され(SS20)、送信される。
【0019】
図4は本システムの補足メッセージ等入力の流れを示すシーケンス図である。確認依頼メッセージ7に対して、ベテランユーザcが補足の情報を含む補足メッセージ8(SS22)、ベテランユーザdが訂正の情報を含む訂正メッセージ9(SS25)などを入力した場合、各々のメッセージの内容も分析され(SS23・SS26)、各々と対の関係となる内容の音声メッセージと対応付けられ、記憶されている知識が適宜修正されるなどして、記憶される(SS24・SS27)。
【0020】
このように、質問メッセージを入力したノービスユーザに対して送信したメッセージが回答として妥当か、また、補足等があるか確認するために、あるベテランユーザが送信した回答や生成された代理応答メッセージをベテランユーザにも送信する。その内容について、あるベテランユーザが補足等の音声メッセージを入力した際は、その音声メッセージも分析され記憶される。この仕組みにより、メッセージの内容の確認を繰り返しながら記憶できるので、システムが提示する代理応答メッセージが信頼性の高いものとなる。
【0021】
<詳細な動作説明>
次に、
図5を参照して本実施形態に係るシステムの音声メッセージの登録フローについて説明する。まず、ユーザ端末100に設置されたマイクを介して音声メッセージを取得し、出力部103を介してサーバー200へ送信する(S1)。取得した音声メッセージはユーザ識別情報と共に送信される。ユーザ識別情報は、例えばユーザがユーザ端末においてシステムにログインする際に使用する、利用者IDにあたる。
【0022】
続いて、ユーザ端末100から送信された音声メッセージは、サーバー200の入出力部210を介して、分析部221に送られる。分析部221は、入出力部210から入力された音声メッセージを分析し、音声メッセージの発話機能を決定し、話題を抽出する(S2)。この分析は、音声メッセージに対して音声区間検出、スペクトル分析等の音声解析処理を行い、テキストデータに生成する。そのテキストデータを形態素解析し認識した単語と、用意した音声認識語彙辞書との比較照合処理などを行う。これらの分析処理は、公知の音声信号検出、認識・分析技術を用いる。また、検出された音声の長さ、音量、特定の表現の有無、音声メッセージに含まれる語彙の品詞やその回数等を参照し,公知の技術を用いてその音声メッセージの発話機能を決定し、話題を抽出する。
【0023】
なお、発話機能や話題の抽出処理は、公知の技術を用いることができる。例えば、音声言語メッセージの認識文字列(テキストデータ)に形態素解析を施し、音声言語コーパスに付与される発話単位タグの情報と,対応する表層文字列との間のマッチング処理によって、各音声メッセージが包含する発話機能を決めるようにしてもよい。さらに,処理を効率化するために,利用する情報をテーブル形式に整理して利用したり、表記揺れや活用(屈折)による語形変化などを考慮した検索を行えるようにして、音声メッセージからの発話機能の決定機能を実現してもよい。
【0024】
続いて、音声メッセージにはメッセージIDが付与され、利用者ID、抽出した発話機能、抽出した話題と共に音声言語メッセージ記憶部243に保存する(S3)。この例でのユーザは、
図2ないし
図4のシーケンス図におけるノービスユーザにあたり、ユーザから質問の発話機能を持ったメッセージが入力されたとする。
【0025】
次に、対応関係抽出部222は、音声言語メッセージ記憶部233を参照し、入力された音声メッセージと対になる音声メッセージを検索する(S4)。この対応関係抽出部222は、入力された音声メッセージと対応関係を持つ音声メッセージを抽出する。対応関係を持つ音声メッセージが抽出できなかった場合は、応答メッセージ送付のフロー(後述する)に進む。音声言語間の対応関係とは、例えばある「質問」に対する「回答」、「依頼」に対する「承諾」「拒否」といった,「発話対(関係)」等と呼ばれる発話意図間の呼応関係を意味している。なお、この「発話対」とは、会話分析における「隣接ペア」や、会話分析における「交換」に対応する情報構造である。発話対の対応関係は、対となりうる発話機能の組み合わせをあらかじめ記録したテーブルとの比較処理、話題の一致の有無、話題間の関連性や階層関係等を用いて、公知の方法によって抽出することができる。なお、入力された音声メッセージの対応関係に該当する音声メッセージが複数存在する場合は、話題間の関連性の強さを加味したり、未だ対になっていない音声メッセージを優先して対応関係として記憶するなどする。抽出された音声メッセージのペアには対関係IDが付与され、各々のメッセージIDと共に、対応関係記憶部232に記憶される(S5)。
【0026】
続いて、音声言語メッセージ記憶部233の話題欄を参照し、対応関係抽出部222でペアにした音声メッセ―ジの共通の話題を構築知識記憶部234に保存する(S6)。その共通の話題は、知識IDが付与され、各々のメッセージIDと共に構築知識記憶部234に保存される。
【0027】
次に、
図6を参照して本実施形態に係るシステムの応答メッセージ送付フローについて説明する。まず、参考情報抽出部223は、音声言語メッセージ記憶部233に保存された音声メッセージの話題に基づき、構築知識記憶部234を参照して、登録された話題が一致する知識IDを検索する(S7)。話題が一致する知識IDが存在する場合、音声言語メッセージ記憶部233の参考情報欄にその知識IDを格納する(S8)。話題が一致する知識IDが存在しない場合は、参考情報欄に「−」を格納する(S9)。なお、話題が一致するIDの有無を判断する方法として、知識IDの話題の単語が所定以下の個数のみ一致する場合を話題が一致する知識IDが存在しないとしてもよいし、一定の個数以上一致する場合に話題が一致する知識IDが存在するとしてもよい。また、意味距離を加味する等、他の方法を用いてもよいし、それらを総合的に加味して決定してもよい。また、話題が一致する知識IDが複数存在する場合は、全て格納してもよいし、所定の個数以下になるように選択してもよいし、話題が最も一致する知識IDを格納してもよい。最も一致するとは、話題として登録されている単語の一致する数が最も多い状態を示す。なお、話題として登録されている単語の意味距離を算出する等、他の方法を用いてもよいし、それらを総合的に加味して決定してもよい。
【0028】
次に、応答メッセージを送付する利用者を検索する(S10)。専門家判定部224は、利用者情報記憶部231を参照し、ユーザの音声メッセージから抽出された話題と専門が一致する利用者IDを抽出する。この専門が一致する利用者(以下、専門家とする)は、前記シーケンス図におけるベテランユーザにあたる。なお、ここで話題と専門が一致するか否か判断する方法として、利用者情報記憶部231の専門欄に格納されている単語が音声メッセージの話題と所定以下の個数のみ一致する場合を専門が一致しないとしてもよいし、一定の個数以上一致する場合に専門が一致するとしてもよい。また、意味距離を加味する等、他の方法を用いてもよいし、それらを総合的に加味して決定してもよい。その後、抽出された専門家の利用者IDを、音声言語メッセージ記憶部233の送付先利用者ID欄に登録する。なお、この専門家の利用者IDの中に、ユーザの利用者IDが含まれる場合は、そのIDを除外する(S11)。また、該当する専門家の利用者IDが見つからないか、ユーザの利用者IDのみが該当した場合は、音声言語メッセージ記憶部233の送付先利用者ID欄に、ユーザの利用者IDを除く全ての利用者の利用者IDを格納する(S12)。
【0029】
その後、入力された質問メッセージに対して参考情報があるか否か判定する(S13)。入力された質問メッセージに対して参考情報が存在する場合は、生成テンプレート記憶部235のテンプレートを参照し、代理応答メッセージを作成する。メッセージ生成部225は、生成テンプレート記憶部235内の規則名「参考情報提示」のテンプレートを使用し、ユーザに対して『「(ユーザが入力した音声メッセージを再生)」への参考情報を提示します。「(参考情報欄に格納されているIDから、構築知識記憶部に登録されている音声メッセージを再生)」』と代理応答メッセージを生成する。その後、サーバー200の入出力部210からユーザ端末100に送信し、ユーザ端末100の出力部103で出力する(S13)。このとき、生成された代理応答メッセージの内容は、音声言語メッセージ記憶部233に保存され、ユーザが入力した音声メッセージと対にされて対応関係記憶部232、構築知識記憶部234に保存される。さらに、参考情報検索や専門家検索が行われ、結果が音声言語メッセージ記憶部233に保存される。同時に、代理応答メッセージの確認依頼をし、その妥当性を確認する(後述する)。なお、このメッセージはシステムで自動で生成されたものであるので、分析部221において分析を行わなくてもよい。
【0030】
入力された質問メッセージに対して参考情報が存在しない場合は、音声言語メッセージ記憶部233の送付先利用者ID欄に格納された利用者IDの利用者に対し、ユーザが入力した音声メッセージを送信する(S14)。この場合は、送付先の利用者の回答メッセージを待つこととなる。その後、回答メッセージを受け取ると、応答メッセージとしてユーザに送信する(S15)。同時に、その内容は前述した音声メッセージの登録フロー(
図5)に則り、音声言語メッセージ記憶部233に保存され、ユーザが入力した音声メッセージと対にされて対応関係記憶部232、構築知識記憶部234に保存される。さらに、参考情報検索や専門家検索が行われ、結果が音声言語メッセージ記憶部233に保存される。
【0031】
続いて、
図7を参照して本実施形態に係るシステムの確認依頼メッセージ送付フローについて説明する。メッセージ生成部225は、応答メッセージ送付フローで生成され音声言語メッセージ記憶部233に保存された代理応答メッセージをもとに、生成テンプレート記憶部235のテンプレートを参照し、確認依頼メッセージを生成する(S16)。生成テンプレート記憶部235内の規則名「確認コメント依頼」のテンプレートを使用し、『「(ユーザの入力した音声メッセージを再生)」に対して、次の参考情報を提示しました。(参考情報欄に格納されているIDから、構築知識記憶部244に登録されている音声メッセージを再生)」。コメント等があれば返信願います』と確認依頼メッセージを生成する。その後、サーバー200の入出力部210から専門家のユーザ端末100に送信し、ユーザ端末100で出力する(S17)。このとき、この確認依頼メッセージの内容は音声言語メッセージ記憶部233に保存され、ユーザのメッセージと対にされて対応関係記憶部232、構築知識記憶部234に保存される。なお、このメッセージはシステムで自動で生成されたものであるので、分析部221において分析を行わなくてもよい。
【0032】
その後、確認依頼メッセージを受信した専門家の一人から、補足メッセージが入力されたとする(S18)。その補足メッセージは、前述した音声メッセージの登録フロー(
図5)に則り、分析部221で分析されて、発話機能が決定され、話題が抽出される。その後、確認依頼メッセージと対にされて、対応関係記憶部232、構築知識記憶部234に保存され、音声言語メッセージ記憶部233に保存される。さらに、参考情報検索や専門家検索が行われ、結果が音声言語メッセージ記憶部233に保存される。この後、更に専門家にこの補足メッセージの確認依頼メッセージを生成、送信してもよいし、この補足内容をもとに過去に話題が一致する質問をしたユーザに対しフィードバックのメッセージを送ってもよい。
【0033】
<テーブルの説明と具体例>
続いて、
図8ないし
図12を用いて、記憶部230に情報が格納される手順と共に、情報の登録例を示す。この例では、本システムを、利用者IDがU1n、U2n、U3n、U4v、U5vである5名のユーザ(以下、ユーザIDがU1n、U2n、U3n、U4v、U5vの利用者をU1n、U2n、U3n、U4v、U5vとする)が利用する場面を想定する。また、U1n、U2n、およびU3nは、今回の話題である「バルブ」については専門知識を有していない初心者であり、一方U4v、およびU5vは「バルブ」に関する専門知識を有している専門家であるとする。
【0034】
まず
図8は、利用者情報記憶部231の情報の登録例を示す図である。利用者情報記憶部231はユーザの利用者IDとそのユーザが専門性をもつ事柄に関するキーワードを格納する欄をもつ。
図8のレコードの一番上は、利用者IDがU1nであるユーザの情報を示している。利用者IDがU1nであるユーザの専門はガバナーである。その場合、「利用者ID」の欄に「U1n」が、「専門」の欄に「ガバナー」が登録されている。利用者IDは、ユーザがシステムに登録する際に付与され、登録の際にユーザが専門性をもつ事柄に関するキーワードを登録する。
【0035】
最初にU1nが、「バルブAはいつ調整しますか」と音声メッセージの入力を行う。この音声メッセージはサーバー200の分析部221に送信され、分析される。この例では、この時点でシステム上に利用可能な知識が存在しない場合を想定している。分析部221は、音声メッセージの発話機能「質問」を特定し、話題「バルブ、A、調整」を抽出する。この音声メッセージには「m1u」のIDが付与され、それぞれ音声言語メッセージ記憶部233の「発信利用者ID」「メッセージID」「メッセージ内容」「発話機能」「話題」の欄に保存される。続いて、この音声メッセージ「m1u」は対応関係抽出部222に送信される。対応関係抽出部222は、音声言語メッセージ記憶部233を参照し、入力された音声メッセージ「m1u」と対になる音声メッセージを検索する。しかし、この音声メッセージ「m1u」と対になる音声メッセージは決定できない。そのため、専門家に回答を依頼する。
【0036】
次に、専門家検索を行う。利用者情報記憶部231の「専門」欄を参照し、音声言語メッセージ記憶部233に保存された音声メッセージ「m1u」の話題と一致するユーザの利用者IDを抽出する。この例では、話題「バルブ、A、調整」に関する専門家としてU4vとU5vが抽出される。抽出された利用者IDは、音声メッセージ「m1u」の送付先として設定され、音声言語メッセージ記憶部233の「送付先利用者ID」の欄に保存される。ここで、音声メッセージを入力したユーザの利用者IDが抽出された場合は、その利用者IDを除く。また、該当するユーザが存在しない場合は、全てのユーザの利用者IDから音声メッセージを入力したユーザの利用者IDを除いたものが保存される。
【0037】
続いて、音声言語メッセージ記憶部243の「送付先利用者ID」欄に保存されている利用者IDのユーザのユーザ端末100に、U1uが入力した音声メッセージ「バルブAはいつ調整しますか」を出力する。
【0038】
これに対して、U4vが、回答の音声メッセージ「バルブAの調整は検査後です」を入力したとする。この音声メッセージは分析部221に送信され、分析される。そして、発話機能「叙述」が決定され、話題「バルブ、A、調整、検査後」が抽出される。この音声メッセージには「m2u」のIDが付与され、それぞれ音声言語メッセージ記憶部233の「発信利用者ID」「メッセージID」「メッセージ内容」「発話機能」「話題」の欄に保存される。続いて、この音声メッセージ「m2u」は対応関係抽出部222に送信される。対応関係抽出部222は、音声言語メッセージ記憶部233を参照し、入力された音声メッセージ「m2u」と対になる音声メッセージを検索する。対になるメッセージは「m1u」である。この「m1u」と「m2u」の対応関係には、対関係IDが付与され、対応関係記憶部232に保存される。
【0039】
図9は、対応関係記憶部232の情報の登録例を示す図である。対応関係記憶部232は対関係IDと、対応関係をもった音声メッセージのメッセージIDのペアを格納する欄をもつ。図のレコードの一番上は、この例で抽出された「m1u」と「m2u」の対応関係を示す。「対関係ID」欄には、付与された対関係ID「p1」が、「メッセージID」欄には、対になった音声メッセージのメッセージID「m1u,m2u」が格納される。
【0040】
次に、音声言語メッセージ記憶部233の「話題」欄を参照し、対応関係抽出部222で対にした音声メッセージ「m1u」と「m2u」共通の話題「バルブ、A、調整」を構築知識記憶部234に保存する。共通の話題は、知識ID「k1」が付与され、各々のメッセージIDと共に構築知識記憶部234に保存される。
【0041】
送付先は質問の音声メッセージ「m1u」を入力したU1nが設定されるので、音声言語メッセージ記憶部233の「送信先利用者ID」には「U1n」が保存される。その後、U1nのユーザ端末100に、音声メッセージ「m2u」を応答の音声メッセージとして出力する。
【0042】
しばらく時間が経過した後に、U2nが、音声メッセージ「制御バルブBの調整を開始します」を入力したとする。この音声メッセージは分析部221に送信され、分析される。そして、発話機能「叙述」を決定し、話題「制御、バルブ、B、調整、開始」が抽出される。この音声メッセージには「m3u」のIDが付与され、それぞれ音声言語メッセージ記憶部233の「発信利用者ID」「メッセージID」「メッセージ内容」「発話機能」「話題」の欄に保存される。続いて、この音声メッセージ「m3u」は対応関係抽出部222に送信される。対応関係抽出部222は、音声言語メッセージ記憶部233を参照し、入力された音声メッセージ「m3u」と対になる音声メッセージを検索する。しかし、この音声メッセージ「m3u」と対になる音声メッセージは決定されない。
【0043】
続いて、参考情報抽出部223は、構築知識記憶部234の「話題」欄を参照し、音声言語メッセージ記憶部233に登録されている音声メッセージ「m3u」の話題と一致する知識ID「k1」を特定する。その結果、音声言語メッセージ記憶部233の音声メッセージ「m3u」の「参考情報」欄に「k1」が格納される。
【0044】
図10は、音声言語メッセージ記憶部233の情報の登録例を示す図である。音声言語メッセージ記憶部233は、音声メッセージを発信したユーザの利用者ID、音声メッセージに付与されたメッセージID、音声メッセージの内容、分析部221で抽出された音声メッセージの発話機能、話題、構築知識記憶部234から参照した参考情報、専門家判定部224で抽出され音声メッセージの送付先として指定された送付先利用者IDを格納する欄を持つ。音声メッセージの内容は、例えば録音された音声波形データやテキストデータとして保存されるが、音声メッセージの内容が分かるものであれば、保存形式は問わない。また、「参考情報」欄には、構築知識記憶部234の「話題」を参照し、話題が一致する「知識ID」を格納する。格納した「知識ID」とひも付いた情報をもとに、その音声メッセージの代理応答メッセージ等を生成する。話題が一致する知識IDが存在しない場合は、参考情報欄に「−」を格納する。
【0045】
図10のレコードの3行目は、メッセージID「m3u」が付与された音声メッセージの情報を示している。「発信利用者ID」欄には、音声メッセージを入力したユーザの利用者ID「U2n」が保存される。「メッセージID」欄には、付与された「m3u」が保存され、「メッセージ内容」欄には録音された音声データ「制御バルブBの調整を開始します」が保存される。分析部221で分析された結果として、「発話機能」欄には「叙述」が、「話題」欄には「制御、バルブ、B、調整、開始」が保存される。また、構築知識記憶部234の話題と一致した知識ID「k1」を「参考情報」欄に保存する。「送付先利用者ID」欄には、音声言語メッセージ記憶部233の「話題」と利用者情報記憶部231の「専門」を参照して、専門家検索を行った結果抽出されたユーザの利用者IDが格納される。ここでは、「U4v」「U5v」が抽出されるが、参考情報が存在するため、この音声メッセージは送信しない。そのため、かっこ付きで「(U4v, U5v)」と格納される。なお、参考情報が存在する場合でも、専門家にユーザの音声メッセージが送信されるようにしてもよい。
【0046】
音声メッセージ「m3u」の応答として、この時点でシステム上に利用可能な知識が存在しているため、生成テンプレート記憶部235のテンプレートを参照し、代理応答メッセージを生成する。代理応答メッセージを生成するには、生成テンプレート記憶部235内の規則名「参考情報提示」のテンプレート「t1」を使用し、音声言語メッセージ記憶部233の「参考情報」欄を参照する。そして 『「制御バルブBの調整を開始します(音声メッセージID:m3u)」への参考情報を提示します。「バルブAはいつ調整しますか(音声メッセージID:m1u)」」「バルブAの調整は検査後です(音声メッセージID:m2u)」(知識ID:k1)」』と代理応答メッセージを生成する。送付先は音声メッセージ「m3u」を入力した利用者ID「U2n」のユーザが設定されているので、音声言語メッセージ記憶部233の「送信先利用者ID」には「U2n」が保存される。その後、利用者ID「U2n」のユーザのユーザ端末100に、生成した音声メッセージを代理応答の音声メッセージとして出力する。
【0047】
さらに、生成テンプレート記憶部235のテンプレートを参照し、この代理メッセージに対する確認依頼メッセージを生成する。生成テンプレート記憶部235内の規則名「確認コメント依頼」のテンプレート「t2」を使用し、音声言語メッセージ記憶部233の「参考情報」欄を参照する。そして『「制御バルブBの調整を開始します(音声メッセージID:m3u)」に対して、次の参考情報を提示しました。「バルブAはいつ調整しますか(音声メッセージID:m1u)」「バルブAの調整は検査後です(音声メッセージID:m2u)」(知識ID:k1)コメントがあれば返信をお願いします』と確認依頼メッセージを生成する。続いて、利用者情報記憶部231の「専門」欄を参照し、音声言語メッセージ記憶部233に保存された音声メッセージ「m3u」の話題と一致する「専門」を持つユーザの利用者IDを抽出する。この例では利用者IDが「U4v」「U5v」のユーザが抽出され、音声言語メッセージ記憶部233の「送信先利用者ID」に「U4v, U5v」が保存される。その後、U4v、U5vのユーザ端末に、生成した音声メッセージを確認依頼メッセージとして出力する。
【0048】
さらに、この代理応答メッセージと確認依頼メッセージの内容は、発信利用者IDがシステムを表す<Sys>とし、メッセージID「m4s」と「m5s」が付与されて、音声言語メッセージ記憶部233に保存される。また、対応関係記憶部232は、それぞれを音声メッセージ「m3u」と対にし、対関係ID「p2」と「p3」を付与し、対応関係記憶部232に保存する。さらに、音声メッセージ「m3u」と対にされた音声メッセージ「m4s」、「m5s」との共通の話題「バルブ、調整」を抽出する。抽出された共通の話題には知識ID「k2」が付与され、各々のメッセージIDと共に構築知識記憶部234に保存される。
【0049】
図11は、構築知識記憶部234の情報の登録例を示す図である。構築知識記憶部234は知識ID、抽出された共通の話題、メッセージを対にする際に元となった起点メッセージのメッセージID、起点メッセージと対になる参考メッセージのメッセージID、参考メッセージを生成したり特定したりする際に参考にした活用知識IDを格納する欄をもつ。
【0050】
図11のレコードの2行目は、知識ID「k1」が付与された参考知識である。「起点メッセージ」欄には、メッセージ内容が「制御バルブBの調整を開始します」であるメッセージID「m3u」が格納され、「参考メッセージ」欄には、起点メッセージと対にされたメッセージのメッセージID「m4s, m5s」が格納される。さらに、この参考メッセージを生成する際に、構築知識記憶部234の知識ID「k1」の知識を参考にしたため、「活用知識ID」欄に「k1」が格納される。
【0051】
システムで生成された確認依頼メッセージ「m5s」に対して、U5vが、音声メッセージ「制御バルブBの調整は検査前です」を入力したとする。この音声メッセージは分析部221に送信され、分析される。そして、発話機能「補足」を決定し、話題「バルブ、B、調整、検査前」が抽出される。この音声メッセージには「m6u」のIDが付与され、それぞれ音声言語メッセージ記憶部233の「発信利用者ID」「メッセージID」「メッセージ内容」「発話機能」「話題」の欄に保存される。続いて、この音声メッセージ「m6u」は対応関係抽出部222に送信される。対応関係抽出部222は、音声言語メッセージ記憶部233を参照し、入力された音声メッセージ「m6u」と対になる音声メッセージを検索する。対になるメッセージは「m5s」である。この「m5s」と「m6u」の対応関係には、対関係ID「p4」が付与され、対応関係記憶部232に保存される。
【0052】
続いて、音声言語メッセージ記憶部233の「話題」欄を参照し、対応関係抽出部222で対にした音声メッセージ「m5s」と「m6u」共通の話題「バルブ、調整」を構築知識記憶部234に保存する。共通の話題は、知識ID「k3」が付与され、各々のメッセージIDと共に構築知識記憶部234に保存される。
【0053】
この例では、音声メッセージの発話機能が「補足」の場合、送付先は設定されないが、代理応答メッセージ「m4s」と確認依頼メッセージ「m5s」を送信する元となった音声メッセージ「m3u」を入力した利用者ID「U2n」のユーザや、話題が同じ「バルブ、調整」を含み発話機能「質問」の音声メッセージ「m1u」を入力した利用者ID「U1n」のユーザ等を送信先に指定し、フィードバックメッセージを生成、送信してもよい。また、発話機能「補足」の音声メッセージを入力した利用者ID「U5v」のユーザを除く専門家の利用者IDを送信先に指定し、フィードバックメッセージに対する確認依頼メッセージを生成、送信してもよい。
【0054】
しばらく時間が経過したのちに、U3nが、音声メッセージ「制御バルブの調整を開始します」の入力を行ったとする。この音声メッセージはサーバー200の分析部221に送信され、分析される。分析部221は、音声メッセージの発話機能「叙述」を特定し、話題「制御、バルブ、調整、開始」を抽出する。この音声メッセージには「m7u」のIDが付与され、それぞれ音声言語メッセージ記憶部233の「発信利用者ID」「メッセージID」「メッセージ内容」「発話機能」「話題」の欄に保存される。続いて、この音声メッセージ「m7u」は対応関係抽出部222に送信される。対応関係抽出部222は、音声言語メッセージ記憶部233を参照し、入力された音声メッセージ「m7u」と対になる音声メッセージを検索する。この音声メッセージ「m7u」と対になる音声メッセージは抽出されない。
【0055】
続いて、参考情報抽出部223は、構築知識記憶部234の「話題」欄を参照し、音声言語メッセージ記憶部233に登録されている音声メッセージ「m7u」の話題と最も一致する知識ID「k2」を特定する。その結果、音声言語メッセージ記憶部233の音声メッセージ「m7u」の「参考情報」欄に「k2」が格納される。
【0056】
音声メッセージ「m7u」の応答として、この時点でシステム上に利用可能な知識が存在しているため、生成テンプレート記憶部235のテンプレートを参照し、代理応答メッセージを作成する。
【0057】
図12は、生成テンプレート記憶部235の情報の登録例を示す図である。生成テンプレート記憶部235は、テンプレートID、テンプレートを使用する場面を示す規則名、テンプレートの形式を格納する欄を持つ。
図12のレコードの1行目は、テンプレートID「t1」に格納されたテンプレートの情報を示している。「テンプレートID」欄には、テンプレートに付与されているID「t1」が、「規則名」欄には、このテンプレートを使用する場面「参考情報提示」が、「テンプレート」欄には、テンプレートの形式「<起点メッセージ>への参考情報を提示します<参考メッセージ>」があらかじめ保存されている。この<起点メッセージ><参考メッセージ>に、構築知識記憶部234に保存されている音声メッセージIDの音声を当てはめることで、メッセージが生成できる。なお、テンプレート種類は、ユーザやシステムの管理者が追加、削除できるようにしてもよい。
【0058】
代理応答メッセージを生成するには、生成テンプレート記憶部内235の規則名「参考情報提示」のテンプレート「t1」を使用し、音声言語メッセージ記憶部233の「参考情報」欄を参照する。そして 『「制御バルブの調整を開始します(音声メッセージID:m7u)」への参考情報を提示します。「バルブAはいつ調整しますか(音声メッセージID:m1u)」「バルブAの調整は検査後です(音声メッセージID:m2u)」「制御バルブBの調整は検査前です(音声メッセージID:m6u)」(知識ID:k2)』と代理応答メッセージを生成する。送付先は音声メッセージ「m7u」を入力した利用者ID「U3n」のユーザが設定されているので、音声言語メッセージ記憶部233の「送信先利用者ID」には「U3n」が保存される。その後、利用者ID「U3n」のユーザのユーザ端末100に、生成した音声メッセージを代理応答の音声メッセージとして出力する。
【0059】
さらに、生成テンプレート記憶部235のテンプレートを参照し、この代理メッセージに対する確認依頼メッセージを生成する。生成テンプレート記憶部235内の規則名「確認コメント依頼」のテンプレート「t2」を使用し、音声言語メッセージ記憶部の「参考情報」欄を参照する。そして『 「制御バルブの調整を開始します(音声メッセージID:m7u)」に対して、次の参考情報を提示しました。「バルブAはいつ調整しますか(音声メッセージID:m1u)」「バルブAの調整は検査後です(音声メッセージID:m2u)」「制御バルブBの調整は検査前です(音声メッセージID:m6u)」(知識ID:k2)コメントがあれば返信をお願いします。』と確認依頼メッセージを生成する。続いて、利用者情報記憶部231の「専門」欄を参照し、音声言語メッセージ記憶部233に保存された音声メッセージ「m7u」の話題と一致する「専門」を持つユーザの利用者IDを抽出する。この例では利用者IDが「U4v」「U5v」のユーザが抽出され、音声言語メッセージ記憶部233の「送信先利用者ID」に「U4v, U5v」が保存される。その後、U4v、U5vのユーザのユーザ端末100に、生成した音声メッセージを確認依頼メッセージとして出力する。
【0060】
さらに、この代理応答メッセージと確認依頼メッセージの内容は、発信利用者IDがシステムを表す<Sys>とし、メッセージID「m8s」と「m9s」が付与されて、音声言語メッセージ記憶部233に保存される。また、対応関係記憶部232は、それぞれを音声メッセージ「m7u」と対にし、対関係ID「p5」と「p6」を付与し、保存する。さらに、音声メッセージ「m7u」と対にされた音声メッセージ「m8s」、「m9s」との共通の話題「バルブ、調整」を抽出する。抽出された共通の話題には知識ID「k4」が付与され、各々のメッセージIDと共に構築知識記憶部234に保存される。以後、同様な処理が継続される。
【0061】
このように、構築した情報をもとに即座に代理応答メッセージを生成することで、質問に対する回答のリアルタイム性を保ちながら、確認依頼メッセージを専門家に送信し、蓄積していく知識を確認することで、より信頼性の高い自動回答が可能なシステムを実現できる。
【0062】
<応用例>
次に、上記知識構築活用システムの応用例について説明する。
【0063】
(貢献度分析と有用知識紹介)
図13は、本実施形態に係る知識構築活用システムの貢献度分析、有用知識紹介に関するシーケンス図を示す。この例では、本システムをノービスユーザa、b、ベテランユーザc、d、eでの5名が利用している。また、ノービスユーザa、bは、この例で扱っている話題について専門知識を有していない初心者であり、ベテランユーザc、d、eは専門知識を有している専門家であるとする。
【0064】
まず、貢献度分析について説明する。本システムは、分析部221で決定された音声メッセージの発話機能に基づいて、例えば、質問メッセージを入力したユーザに5ポイント、出力された確認依頼メッセージに対して、補足の情報を含む補足メッセージを入力したユーザに15ポイント、訂正の情報を含む訂正メッセージを入力したユーザに20ポイント等、図示しない貢献度分析部によって、ポイントが割り振られる仕組みになっているとする。この仕組みに則り、どのユーザに何ポイント割り振られるか、貢献度分析を行う(SS28)。この貢献度分析は、定期的に行ったり、質問メッセージが入力される毎に行ってもよい。また、利用者情報記憶部231に「ポイント」欄を設けるなどして、割り振られたポイントの累積の情報がユーザ毎に保存されてもよい。貢献度分析の結果をもとに、生成テンプレート記憶部235内のテンプレートを使用する等して、該当ユーザに割り振られたポイントの情報を知らせる「リワードメッセージ10」を生成する(SS29)。その後、各々のユーザにリワードメッセージ10を送信する(SS30)。この貢献度分析は、ユーザがやりがいを見出したり、ポイントを利用することで有料サービスを無料で使用可能にすることで、本システムの使用を促すことを目的としている。ポイントの情報は、リワードメッセージとして送信しなくとも、ユーザのログイン画面にランキング形式にして掲載されてもよい。
【0065】
続いて、有用知識紹介について説明する。ここでは、この例で扱っている話題について専門知識を有していない初心者であるノービスユーザa、bに対して、その話題に対する有用な知識を紹介するメッセージを送信する場合を考える。まず、図示しない有用事例分析部が音声言語メッセージ記憶部233を参照し、話題欄に格納されている話題の一部と、この例で扱っている話題が一致する音声メッセージを検索する、有用事例分析を行う。(SS31)このとき、参考情報欄に格納されている知識IDの引用頻度を加味してもよい。次に、参考情報欄に格納されている知識IDから構築知識記憶部234を参照し、保存されている音声メッセージを元に生成テンプレート記憶部235内のテンプレートを使用する等して、ノービスユーザa、bに有用知識を提示する「知識紹介メッセージ11」を生成する(SS32)。その後、送付先として指定されているノービスユーザa、bに参考知識メッセージ11を送信する(SS33)。初心者のユーザに提示する。有用知識紹介を行うタイミングは、例えばシステム起動時の待ち時間にテキストで表示されてもいいし、ユーザが「有用知識の提示をお願いします。」と音声メッセージやテキスト等を入力して、ユーザ自らがアクセスすると、提示されるようにしてもよい。この機能により、初心者のユーザが持つべき知識が分かり、より円滑に作業を進めることができる。
【0066】
(音声メッセージに緊急性を持たせる)
また、入力される音声メッセージの緊急性を判断し、その音声メッセージを元に生成された音声メッセージに緊急性を持たせて出力してもよい。例えば、ユーザ登録を行う際に、そのユーザの普段の会話における周波数や話速等を分析し、利用者情報記憶部241に「基本周波数F
0」「基本モーラ/sec.」等の欄を設け、標準値として登録しておく。その後、当該ユーザから、ある音声メッセージに対する回答メッセージの入力があり、サーバ200の分析部221が分析をする際に、利用者情報記憶部231に「基本周波数F
0」「基本モーラ/sec.」等の欄を参照する。ここで、閾値が5%に設定されているとする。入力された回答メッセージの周波数や話速が、利用者情報記憶部231に記憶された値の5%以上増加している場合は、「緊急性がある」と判断され、緊急用の生成テンプレートが使用され、応答メッセージが生成されたり、警告音と共に出力される。他には、応答メッセージの音量を大きく出力されたり、他のメッセージよりも優先的に出力される等する。さらに、この回答メッセージや生成された応答メッセージには緊急性を示すフラグが付けられ、音声言語メッセージ記憶部233に保存される等する。この閾値は、ユーザや本システムの管理者が自由に決められるようにしてもよい。また、ユーザ登録の際にユーザ毎の会話の周波数や話速を登録しなくとも、年齢や性別に合わせた平均値を標準値として使用してもよい。この機能により、適切でない音声メッセージが出力されたときでも、素早く正しい知識を得ることができ、ミスを未然に防ぐことができる。
【0067】
なお、上記の実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、光磁気ディスク(MO)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもできる。ここで、記憶媒体としては、プログラムを記憶でき、且つコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が本実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。さらに、本実施形態における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。また、記憶媒体は1つに限らず、複数の媒体から本実施形態における処理が実行される場合も本実施形態における記憶媒体に含まれ、媒体構成は何れの構成であってもよい。
【0068】
なお、本実施形態におけるコンピュータとは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、本実施形態における各処理を実行するものであって、パソコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。また、本実施形態の各記憶装置は1つの記憶装置で実現してもよいし、複数の記憶装置で実現してもよい。そして、本実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン(マイクロプロセッサ)等も含み、プログラムによって本実施形態の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0069】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、説明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。