特許第6585290号(P6585290)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6585290可溶性単位用量洗剤パウチを含む可撓性ボックスバッグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585290
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】可溶性単位用量洗剤パウチを含む可撓性ボックスバッグ
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/30 20060101AFI20190919BHJP
   B65D 65/46 20060101ALI20190919BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   B65D77/30 C
   B65D65/46
   C11D17/04
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-517158(P2018-517158)
(86)(22)【出願日】2016年10月6日
(65)【公表番号】特表2018-531183(P2018-531183A)
(43)【公表日】2018年10月25日
(86)【国際出願番号】US2016055662
(87)【国際公開番号】WO2017062561
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2018年4月2日
(31)【優先権主張番号】15188639.7
(32)【優先日】2015年10月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク、セリーヌ、イグナス、マリー、ギーラエール
(72)【発明者】
【氏名】モスタファ、エルミヒー
(72)【発明者】
【氏名】ニール、ジョン、ロジャーズ
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−255629(JP,A)
【文献】 特表2013−540659(JP,A)
【文献】 特開2005−162331(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01508531(EP,A1)
【文献】 登録実用新案第3124223(JP,U)
【文献】 特開2012−153400(JP,A)
【文献】 特開平05−221451(JP,A)
【文献】 実開昭59−032669(JP,U)
【文献】 特開2013−203438(JP,A)
【文献】 特表平09−505543(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0206637(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0152264(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0013322(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/30
B65D 65/46
C11D 17/04
B65D 75/62
B65D 33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性ボックスバッグ及び可溶性単位用量洗剤パウチを含む洗剤製品であって、
前記可撓性ボックスバッグが、上面パネル(1)と、底面パネル(2)と、前面パネル(3)と、後面パネル(4)と、2つの側面パネル(5)と、の6つの矩形パネルを含み、
前記6つの矩形パネル(1、2、3、4、5)が、前記可撓性ボックスバッグ内部に内側立方状体積部(9)を形成するように接合され、
前記上面パネル(1)及び底面パネル(2)のそれぞれが、前面水平縁部(11及び32)と、後縁部(12及び21)と、2つの側縁部(13、14及び23、24)と、を含み、
前記前面パネル(3)、後面パネル(4)、及び2つの側面パネル(5)のそれぞれが、上縁部(31及び42)と、底縁部(32及び41)と、2つの側縁部(33、34及び41及び44)と、を含み、
後面パネルの前記2つの側縁部(43及び44)の長さが、前記前面パネルの前記2つの側縁部(33及び34)の長さよりも長く、
前記上面パネルの前記前縁部(11)が、前記前面パネルの前記上縁部(31)と接合し、
前記上面パネルの前記後縁部(12)が、前記後面パネルの前記上縁部(42)と接合し、
前記底面パネルの前記前縁部(22)が、前記前面パネルの前記底縁部(32)と接合し、
前記底面パネルの前記後縁部(21)が、前記後面パネルの前記底縁部(41)と接合し、
前記上面パネルの前記側縁部(13及び14)が、前記側面パネルの前記上縁部及び前記後面パネルの前記側縁部(43及び44)の一部と接合し、
前記上面パネルが、二次元平面開口部(6)を形成することが可能である二次元開口手段を含み、
前記可溶性単位用量洗剤パウチが、前記内側立方状体積部内に収容される、洗剤製品。
【請求項2】
前記6つの矩形パネルが、溶接可能なシート材で作製され、シーム溶接によって前記縁部に一緒に固定される、請求項1に記載の洗剤製品。
【請求項3】
前記パネルのうちの少なくとも1つが、ハンドルを含む、請求項1又は2に記載の洗剤製品。
【請求項4】
前記側面パネルのうちの少なくとも1つが、ハンドルを含む、請求項3に記載の洗剤製品。
【請求項5】
前記開口手段が、二次元パターンのレーザー分割線を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の洗剤製品。
【請求項6】
前記開口手段が、再封止手段を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の洗剤製品。
【請求項7】
前記再封止手段が、前記開口部を密閉することが可能である粘着性封止パネルを含む、請求項6に記載の洗剤製品。
【請求項8】
前記後面パネルの前記上縁部が、前記上面パネルの前記前縁部に折り重ねられ、前記前面パネルに締結されることが可能である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の洗剤製品。
【請求項9】
前記パネルのうちの少なくとも1つが透明である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の洗剤製品。
【請求項10】
前記可溶性単位用量洗剤パウチが、可溶性単位用量洗濯洗剤パウチである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の洗剤製品。
【請求項11】
中間可撓性ボックスバッグが、前記上面パネルの前記後縁部及び前記後面パネルの上縁部を除く、前記6つのパネルの前記縁部を好適に接合することによって形成され、
前記可溶性単位用量洗剤パウチが、前記上面パネルの前記後縁部と前記後面パネルの上縁部との間に形成される充填口を通過することによって、前記内側立方状体積部の中に挿入され、
前記上面パネルの前記後縁部及び前記後面パネルの上縁部が、前記充填口を閉じて、前記可撓性ボックスバッグ及び洗剤製品を形成するような方法で、接合される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の洗剤製品を作製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性ボックスバッグ及び可溶性単位用量洗剤パウチを含む洗剤製品に関する。可撓性ボックスバッグは、二次元平面開口部を形成することが可能である二次元開口手段を含み、この二次元平面開口部は、他のボックスバッグ機構と組み合わせたときに、水洗過程において可撓性ボックスバッグから可溶性単位用量洗剤パウチを除去するための、内部体積への容易なアクセスを消費者に提供する。
【背景技術】
【0002】
可溶性単位用量洗剤パウチ、特に可溶性単位用量洗濯洗剤パウチ用のパッケージは、典型的には、可撓性バッグ又はより剛性の高いボックスの形状で出荷される。可撓性バッグは、水洗過程において消費者がより簡単に取り扱えるという利点を有し、また、輸送及び貯蔵の面でより効率的である。しかしながら、剛性ボックスは、水洗過程においてパッケージからパウチを除去することがより簡単であるという利点を有する。加えて、剛性ボックスは、消費者に対して陳列棚における印象がより高い。洗剤製造業者は、取り扱いやすさと、輸送及び貯蔵の効率性と、を有するが、更に、ボックスの良好な棚上印象を有し、水洗過程においてパウチを除去することが容易である、可撓性バッグを得ようと努力し続けている。
【0003】
発明者らは、これらの問題を克服する可撓性ボックスバッグを提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、可撓性ボックスと、可溶性単位用量洗剤パウチと、を含む洗剤製品に関し、可撓性ボックスバッグは、上面パネル(1)、底面パネル(2)、前面パネル(3)、後面パネル(4)、及び2つの側面パネル(5)からなる6つの矩形パネルを含み、6つの矩形パネルは、可撓性ボックスバッグ内部に内側立方状体積部を形成するように接合され、上面パネル(1)及び底面パネル(2)のそれぞれは、前水平縁部(11及び22)、後縁部(12及び21)、及び2つの側縁部(13、14及び23、24)を含み、前面パネル(3)、後面パネル(4)、及び2つの側面パネル(5)のそれぞれは、上縁部(31及び42)、底縁部(32及び41)、及び2つの側縁部(33、34及び41、44)を含み、後面パネルの2つの側縁部(43、44)の長さは、前面パネルの2つの側縁部(33及び34)の長さより長く、上面パネルの前縁部(11)は、前面パネルの上縁部(31)と接合し、上面パネルの後縁部(12)は、後面パネルの上縁部(42)と接合し、底面パネルの前縁部(22)は、前面パネルの底縁部(32)と接合し、底面パネルの後縁部(21)は、後面パネルの底縁部(41))と接合し、上面パネルの側縁部(13及び14)は、側面パネルの上縁部及び後面パネルの側縁部(43及び44)の一部と接合し、上面パネルは、二次元平面開口部(6)を形成することが可能である二次元開口手段を含み、可溶性単位用量洗剤パウチは、内側立方状体積部内に収容される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書にある機構は、事実上例示的なものであり、制限的であることを意図したものではない。
図1】本開示に従った可撓性ボックスバッグを、組み立てた形状で示す。
図2】本開示に従った可撓性ボックスバッグを、開いた状態で示す。
図3】本開示に従った可撓性ボックスバッグの上面パネルを示す。
図4】複数の可溶性単位用量パウチを収容する、可撓性ボックスの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
洗剤製品:洗剤製品は、可撓性ボックスバッグ及び可溶性単位用量洗剤パウチを含む。可撓性ボックスバッグ及び可溶性単位用量洗剤パウチについては、以下により詳細に記載する。
【0007】
可撓性ボックスバッグ:図1図4に示すように、可撓性ボックスバッグは、上面パネル(1)と、底面パネル(2)と、前面パネル(3)と、後面パネル(4)と、2つの側面パネル(5)と、の6つの矩形パネルを含む。6つの矩形パネル(1、2、3、4、5)は、可撓性ボックスバッグ内部に内側立方状体積部(9)を形成するように、接合される。立方状体積部(9)は、立方体である。好適な立方体としては、正方形の立方体及び矩形の立方体が挙げられる。好ましくは、立方状体積部(9)は、矩形の立方状体積部である。上面パネル(1)及び底面パネル(2)のそれぞれは、前面水平縁部(11、32)と、後縁部(12、21)と、2つの側縁部(13、14、23、24)と、を含む。前面パネル(3)、後面パネル(4)、及び2つの側面パネル(5)のそれぞれは、上縁部(31、42)と、底縁部(32、41)と、2つの側縁部(33、34、41、44)と、を含む。後面パネル(4)の2つの側縁部(43、44)の長さは、前面パネル(3)の2つの側縁部(33、34)の長さよりも長い。上面パネル(1)の前縁部(11)は、前面パネル(31)の上縁部と接合する。上面パネルの後縁部(12)は、後面パネルの上縁部(42)と接合する。底面パネルの前縁部(22)は、前面パネルの底縁部(32)と接合する。底面パネルの後縁部(21)は、後面パネルの底縁部(41)と接合する。上面パネルの側縁部(13及び14)は、側面パネルの上縁部及び後面パネルの側縁部(43、44)の一部と接合する。上面パネルは、二次元平面開口部(6)を形成することが可能である二次元開口手段を含む。パウチ(17)は、内側立方状体積部(9)内に収容される。
【0008】
典型的には、6つの矩形パネルは、溶接可能なシート材で作製され、シーム溶接によって縁部に一緒に固定される。溶接可能なシート材について、以下により詳細に記載する。
【0009】
典型的には、パネルのうちの少なくとも1つ、好ましくは側面パネル5のうちの少なくとも1つは、ハンドルを含む。ハンドルについては、以下により詳細に記載する。
【0010】
パネルのうちの少なくとも1つ、好ましくは側面パネル(5)のうちの1つ以上は、透明であることが好ましい場合がある。この方法では、典型的には、パウチ(17)が洗剤製品の外側から可視である。
【0011】
後面パネル(4)の上縁部は、上面パネルの前縁部に折り重ねられ、前面パネルに締結されることが可能であることが好ましい場合がある。好適な締結手段としては、クリップ、ボタン、タイ、粘着性ラベル、スライダー/ジッパー、フック・ループ式ファスナー、又はフック・フック式ファスナーが挙げられる。
【0012】
可撓性ボックスバッグは、典型的にスタンドアップ型バッグである。
【0013】
パネルは、フィルム材で構成され得、好適なフィルム材としては、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アモルファスポリエチレンテレフタレート(APET)、リサイクルアモルファスポリエチレンテレフタレート(RPET)、発泡ポリエチレンテレフタレート(XPET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(GPET)、ポリプロピレン(PP)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ナイロン(PA)、ポリ乳酸(PLA)、サーモプラスチック澱粉(TPS)、エチルビニルアセテート(EVA)、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。好ましいフィルム材は、PET/PE積層体及び/又はPE/PE積層体である。好適な積層体は、10〜15マイクロメートルの幅を有するPETの外部層と、50〜200マイクロメートルの幅を有するPEの内部層と、を含む。
【0014】
パネルはまた、金属製グロスを含み、及び/又は印刷、例えば、リヴィアフレキソ印刷を含む。
【0015】
開口手段:典型的には、開口手段(6)は、二次元パターンのレーザー分割線を含む。二次元パターンは典型的にL形状、又は曲線状であるが、他の二次元パターンも好適である。開口手段(6)が二次元であり、二次元平面開口部を形成できることを確実にすることは、内側立方状体積部(9)へのアクセス性を向上させる。このことは、ひいては、可撓性ボックスバッグからパウチ(17)を除去するときの消費者体験を向上させる。
【0016】
開口手段(6)は、再封止手段を含んでもよい。好適な再封止手段は、開口部を密閉できる粘着性封止パネルを含んでもよい。好適な封止手段としては、キャップ、ジッパー、Velcroファスナー、スライドファスナー、又はフック・ループ式ファスナーが挙げられる。
【0017】
溶接可能シート材:典型的には、溶接可能シート材は、可撓性ボックスバッグの内部にある熱溶接可能なポリマー層を有する多層共押出フィルム又は複合フィルムである。
【0018】
ハンドル:典型的には、ハンドルは、フィルムストリップ又は繊維ストリップであり、典型的にハンドルは、例えばフィルムストリップなどで補強されるか、又は前面パネル及び後面パネルに組み込まれる。ハンドルは、可撓性ボックス(bog)バッグの取り扱いやすさ及び操作しやすさを更に向上させる。
【0019】
可溶性単位用量洗剤パウチ:可溶性単位用量洗剤パウチ(17)は、内側立方状体積部(9)内に収容される。可溶性単位用量洗剤パウチは、典型的に、界面活性剤を含む。可溶性単位用量洗剤パウチは、可溶性単位用量洗濯洗剤パウチ又は可溶性単位用量食器洗い用洗剤パウチであってよい。最も好ましくは、可溶性単位用量洗剤パウチは、可溶性単位用量洗濯洗剤パウチである。好適な可溶性単位用量洗濯洗剤パウチについては、以下でより詳細に記載する。可溶性単位用量洗剤パウチは、水に対して可溶性である。好ましくは、可溶性単位用量洗剤パウチは、多区画洗濯洗剤水溶性パウチである。好適な多区画洗濯洗剤水溶性パウチについては、以下でより詳細に記載する。
【0020】
多区画洗濯洗剤水溶性パウチ:多区画洗濯洗剤水溶性パウチは、第1の区画及び第2の区画を含む。
【0021】
洗剤パウチは、典型的には、高さ、幅及び長さを有する。これらの寸法のいずれかの最大値は、洗剤パウチの両側にある2つの点の間の最大距離を意味するものとする。言い換えれば、洗剤パウチは、まっすぐな辺を有していない場合もあるため、測定がなされる場所に応じて変わり得る長さ、幅及び高さを有し得る。したがって、最大値は、互いに最も離れている任意の2つの点で測定する必要がある。最大長さは、典型的には、2cm〜5cm、又は更には2cm〜4cm、又は更には2cm〜3cmである。最大長さは、2cmを超え、6cm未満であり得る。最大幅は、典型的には、2cm〜5cmである。最大幅は、3cmを超え、6cm未満であり得る。最大高さは、典型的に、2cm〜5cmである。最大高さは、2cmを超え、4cm未満であり得る。好ましくは、長さと高さとの比率は3:1〜1:1であり、又は幅と高さとの比率は3:1〜1:1、又は更には2.5:1〜1:1であり、又は、長さと高さとの比率は3:1〜1:1、及び幅:高さの比率は3:1〜1:1、又は更には2.5:1〜1:1、又はこれらの組み合わせである。理論に束縛されるものではないが、発明者らは、洗剤パウチの長さ、幅及び高さを注意深く調節することで、洗剤パウチが自動洗濯機のドアとシールとの間、又はシール自体内に入り込む可能性が低くなることを見出した。
【0022】
典型的には、洗剤パウチは、液体洗濯洗剤組成物を含む。洗剤パウチ内の液体洗濯洗剤組成物の体積は、10〜27mL、好ましくは10〜23mL、好ましくは10〜20mLであり得る。理論に束縛されるものではないが、洗剤パウチの体積を注意深く調節することで、洗剤パウチが自動洗濯機のドアとシールとの間、又はシール自体内に入り込む可能性が低くなることが発見された。
【0023】
洗剤パウチの重量は、30g未満、又は更には、10g〜28g、又は更には10g〜25gであってもよい。理論に束縛されるものではないが、洗剤パウチの重量を注意深く調節することで、洗剤パウチが自動洗濯機のドアとシールとの間、又はシール自体内に入り込む可能性が低くなることが発見された。
【0024】
洗剤パウチはガスを含んでよく、当該ガスの体積と液体洗濯洗剤組成物の体積との比率は、1:4〜1:20、又は更には1:5〜1:15、又は更には1:5〜1:9である。理論に束縛されるものではないが、ガスの体積:液体の体積を注意深く調節することで、フィルムの溶解度及び洗液中の液体洗濯洗剤組成物の分散度が最大化され得る。洗剤パウチ中に存在し得る高度に濃縮された界面活性剤組成物は、水と接触する際にゲル化する傾向がある。このゲル化効果によって、洗液中の有効水分に関して、内部洗濯洗剤組成物とフィルムとの間に競合が生じる。この競合によって、洗剤パウチのフィルムの溶解度は減少し得る。フィルムにおいて洗剤界面ではなく空気界面を提供することで、有効水分に関して競合が少なくなり、フィルムの溶解率が上昇する。
【0025】
典型的には、洗剤パウチは、多区画を含む。洗剤パウチは、2区画を含み、3区画又は4区画又は5区画を含んでもよい。
【0026】
典型的には、水溶性フィルムは、区画の形状を画定するように形作られ、これにより区画はフィルムによって完全に囲まれる。区画は、単一のフィルム又は複数のフィルムによって形成されてもよい。例えば、区画は密封された(例えば加熱密閉、溶媒密閉、又はこれらの組み合わせによる)2つのフィルムから形成されてもよい。典型的には、水溶性フィルムは、貯蔵中に組成物が区画から漏れ出さないように密閉される。しかし、水溶性パウチを水に添加する際に、水溶性フィルムは溶解し、内部の区画の中身が洗浄溶液へと放出される。
【0027】
この洗剤パウチは、組成物を保持するのに好適な、すなわち洗剤パウチを水と接触させる前に組成物及び任意の追加の成分を洗剤パウチから漏出させない任意の形態、形状、及び材料であってよい。実際に使用される際には、構成が例えば洗剤パウチ内の組成物の種類と量に左右される。洗剤パウチは、略正方形、長方形、楕円形、台形、長楕円形、又は円形であってもよい。当該形状には、2つ以上のフィルムが互いに密閉される部位にフランジやスカートが設けられてもよい。略というのは、形状が全体として例えば正方形である印象を与えることを意味する。丸角であったり、辺が直線状でなかったりしてもよいが、全体として例えば正方形である印象を与えるということである。最大長さ又は最大幅又は最大高さは、フランジを含み得る。あるいは、最大長さ、最大幅、又は最大高さは、フランジ材料を含まずに、区画のみを含んでもよい。
【0028】
多区画洗剤パウチ形態は、化学的に非相溶性の成分を分ける場合、又は、成分が一部先行して若しくは後に洗浄液に放出されることが望ましい場合などの理由で好ましいことがある。
【0029】
複数の区画を任意の好適な向きで配置することができる。例えば、洗剤パウチは、下部区画と少なくとも第1の上部区画とを含み得、上部区画は、下部区画の上に重ねて置かれる。洗剤パウチは、下部区画と、少なくとも第1及び第2の上部区画とを含み得、これらの上部区画は、左右に並べられ、下部区画の上に重ねて置かれ、好ましくは、物品は、底区画と、当該底区画に重ねられ、左右に並べられたた少なくとも第1、第2、第3上区画を有してもよい。洗剤パウチは、下部区画と、少なくとも第1及び第2の上部区画とを含み得、これらの上部区画は、左右に並べられ、下部区画の上に重ねて置かれる。洗剤パウチは、下部区画と、少なくとも第1、第2、及び第3の上部区画とを含み得、これらの上部区画は左右に並べられ、下部区画の上に重ねて置かれ、最大長さは、2cm〜5cm、又は更には2cm〜4cm、又は更には2cm〜3cmであり、最大幅は2cm〜5cm、及び最大高さは2cm〜5cmである。
【0030】
合わせた上部区画の表面積−体積の比率と、下部区画の表面積−体積の比率との比率は、1:1.25〜1:2.25、又は更には1:1.5〜1:2である。この文脈において、表面積は、外部環境にのみ接触しているものであり、隣接する区画と接触しているものではない。理論に束縛されるものではないが、上部区画と下部区画との表面積と体積とを特定の比率にすることで、洗剤パウチが入り込む事例を減少させるのに役立つことが分かった。
【0031】
あるいは、それら区画が全て左右に並べられた構成であってもよい。当該構成の場合、区画同士が接続され、共通の区画壁を有してもよいし、略分離され、コネクタ又は架橋により単純につなぎ合わされてもよい。組成物は、「タイヤとリム」のように並べられてもよい。すなわち、第1区画が少なくとも部分的に第2区画を取り囲んだ状態で第2区画に隣接して設けられる。この際、第2区画は全体的に囲繞されてはいない。
【0032】
第1の区画及び第2の区画は、これらの区画が物理的に封止部を介して物理的に接合される(joined through together)ように、横並びの構成であることが好ましい場合がある。かかる構成は、貯蔵中に一方の区画から他方の区画への成分のあらゆる移動を最小限にするのに役立ち、ひいては、パウチの貯蔵安定性特性の改善をもたらし得る。
【0033】
好ましくは、洗剤パウチは、洗剤パウチを1Lビーカー中の20〜21 ℃の脱イオン水950mLに加えて、水を5cmの磁気攪拌棒を用いて350rpmで攪拌すると、10秒〜5分で破れる。「破れる」というのは、ここでは、フィルムが目に見える形で壊れるか、裂けることを意味する。フィルムの分解又は分裂の直後に、内部の液体洗剤組成物が洗剤パウチから周囲の水中へと出るのが見られ得る。
【0034】
水溶性フィルム:洗剤パウチのフィルムは、水に対して可溶性であるか、又は分散性であり、20マイクロメートルの最大孔径を有するガラスフィルタを用いた後に本明細書で示される方法によって測定する場合に、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%の水溶性を有する。
【0035】
予め秤量したビーカーに、50グラム±0.1グラムのフィルム材料を入れ、1000mL±1mLの蒸留水を添加する。これを、600rpmに設定した電磁攪拌器で30分間激しく撹拌する。その後、混合物を、上記で定義した孔径(最大20μm)の折り畳んだ定性分析用焼結ガラス濾過器により濾過する。任意の従来の方法によって、回収した濾液から水を乾燥させ、残った材料の重量を求める(これが溶解画分又は分散画分である)。次に、溶解度又は分散性の百分率を計算することができる。
【0036】
好ましいフィルム材料は、好ましくはポリマー材料である。フィルム材料を、当該技術分野において公知の、例えば、ポリマー材料の注型成形、吹込成形、押出成形又は吹込押出成形によって得ることができる。
【0037】
パウチ材料として使用するのに好適な好ましいポリマー、コポリマー又はそれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及び塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタン及びカラゴムなどの天然ゴムから選択されるものである。より好ましいポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択される。好ましくは、パウチ材料中のポリマー、例えば、PVAポリマーの濃度は、少なくとも60%である。ポリマーの重量平均分子量は、任意のもの、好ましくは、約1000〜1,000,000、より好ましくは、約10,000〜300,000、更により好ましくは、約20,000〜150,000でよい。
【0038】
ポリマー混合物もまた、フィルム材料として使用することができる。これは、その用途及び必要とされるニーズに応じて、区画又はパウチの機械的特性及び/又は溶解特性を制御するのに有益であり得る。好適な混合物には、例えば、1つのポリマーの水溶性が別のポリマーよりも高く、及び/又は1つのポリマーの機械的強度が別のポリマーよりも高い、混合物が挙げられる。また、異なる重量平均分子量のポリマーの混合物、例えば、約10,000〜40,000、好ましくは20,000前後の重量平均分子量のPVA又はそのコポリマーと、約100,000〜300,000、好ましくは150,000前後の重量平均分子量のPVA又はそのコポリマーとの混合物も好適である。また、ポリマーブレンド組成物、例えば、加水分解により分解可能な水溶性のポリマーブレンド(ポリラクチド及びポリビニルアルコールを混合することにより得られ、典型的には約1〜35重量%のポリラクチドと、約65〜99重量%のポリビニルアルコールとを含む、ポリラクチドとポリビニルアルコールとのポリマーブレンドなど)を含むポリマーブレンド組成物も、本明細書において好適である。本明細書において使用するのに好ましいものは、約60%〜約98%加水分解され、好ましくは約80%〜約90%加水分解され、材料の溶解特性が向上したポリマーである。
【0039】
好ましいフィルム材料は、ポリマー材料である。フィルム材料は、例えば、当該技術分野において公知であるとおり、ポリマー材料を注型成形、吹込成形、押出成形又は吹込押出成形することによって得ることができる。パウチ材料として使用するのに好適な好ましいポリマー、コポリマー又はそれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及び塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタン及びカラゴムなどの天然ゴムから選択されるものである。より好ましいポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択される。好ましくは、パウチ材料中のポリマー、例えば、PVAポリマーの濃度は、少なくとも60%である。ポリマーの重量平均分子量は、任意のもの、好ましくは、約1000〜1,000,000、より好ましくは、約10,000〜300,000、更により好ましくは、約20,000〜150,000でよい。また、ポリマーの混合物をパウチ材料として使用してもよい。これは、その用途及び必要とされるニーズに応じて、区画又はパウチの機械的特性及び/又は溶解特性を制御するのに有益であり得る。好適な混合物には、例えば、1つのポリマーの水溶性が別のポリマーよりも高く、及び/又は1つのポリマーの機械的強度が別のポリマーよりも高い、混合物が挙げられる。また、異なる重量平均分子量のポリマーの混合物、例えば、約10,000〜40,000、好ましくは20,000前後の重量平均分子量のPVA又はそのコポリマーと、約100,000〜300,000、好ましくは150,000前後の重量平均分子量のPVA又はそのコポリマーとの混合物も好適である。また、ポリマーブレンド組成物、例えば、加水分解により分解可能な水溶性のポリマーブレンド(ポリラクチド及びポリビニルアルコールを混合することにより得られ、典型的には約1〜35重量%のポリラクチドと、約65〜99重量%のポリビニルアルコールとを含む、ポリラクチドとポリビニルアルコールとのポリマーブレンドなど)を含むポリマーブレンド組成物も、本明細書において好適である。本明細書において使用するのに好ましいものは、約60%〜約98%加水分解され、好ましくは約80%〜約90%加水分解され、材料の溶解特性が向上したポリマーである。
【0040】
好ましいフィルムは冷水中、すなわち水道からの温められていない水に対して良好に溶解する。好ましくはそのようなフィルムは、25℃未満、より好ましくは21℃未満、より好ましくは15℃未満の温度で良好な溶解度を呈する。良好な溶解とは、上述の最大孔径が20μmのガラスフィルタの使用後に、本明細書に記載の方法により測定したフィルムの呈する水溶性が、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%であることを意味する。
【0041】
好ましいフィルムは、商標名M8630、M8900、M8779、M8310、M9467にてMonosolにより供給されているもの、米国特許第6166117号及び同第6787512号に記載されたフィルム、並びに相当する溶解度と変形特性であるPVAフィルムである。更に好ましいフィルムが、US2006/0213801、WO2010/119022、US2011/0188784、及びUS6,787,512号に記載される。
【0042】
好ましい水溶性フィルムは、1以上のPVAポリマーを含む樹脂であり、好ましくは、当該水溶性フィルム樹脂は、PVAポリマーブレンドを含んでいる。例えば、PVA樹脂は、少なくとも2つのPVAポリマーを含むことができ、本明細書で使用するとき、第1のPVAポリマーは第2のPVAポリマーより小さい粘度を有する。第1のPVAポリマーは、少なくとも8cP(cPはセンチポアズを意味する)、10cP、12cP、又は13cP、多くとも40cP、20cP、15cP、又は13cP、例えば、約8cP〜約40cP、又は10cP〜約20cP、又は約10cP〜約15cP、又は約12cP〜約14cPの範囲、又は13cPの粘度を有していてもよい。更に、第2のPVAポリマーは、少なくとも約10cP、20cP、又は22cP、多くとも約40cP、30cP、25cP、又は24cP、例えば、約10cP〜約40cP、又は20〜約30cP、又は約20〜約25cP、又は約22〜約24cPの範囲、又は約23cPの粘度を有していてもよい。PVAポリマーの粘度は、British Standard EN ISO15023−2:2006 Annex E Brookfield Test methodに記載されるように、ULアダプタを備えたBrookfield LV型粘度計を使用して、新たに作製した溶液を測定することにより決定される。4%水性ポリビニルアルコール溶液の20℃における粘度を指定することが国際的な慣行である。本明細書においてcPで明記されている全ての粘度は、特に指定のない限り、20℃における4%のポリビニルアルコール水溶液の粘度を指すと理解すべきである。同様に、樹脂が特定の粘度を有する(又は有しない)と記載されるとき、特に言及しない限り、指定された粘度は、対応する分子量分布を固有に有する、樹脂の平均粘度であることを意味する。
【0043】
PVA樹脂の加水分解度が本明細書に記載の範囲内にある限り、個々のPVAポリマーは、任意の好適な加水分解度を有し得る。所望により、PVA樹脂は、更に又はあるいは、約50,000〜約300,000ダルトン、又は約60,000〜約150,000ダルトンの範囲内のMwを有する第1のPVAポリマー;及び約60,000〜約300,000ダルトン、又は約80,000〜約250,000ダルトンの範囲内のMwを有する第2のPVAポリマーを含むことができる。
【0044】
PVA樹脂は、約10〜約40cPの範囲の粘度及び約84%〜約92%の範囲の加水分解度を有する、1つ以上の追加のPVAポリマーを更に含むことができる。
【0045】
PVA樹脂が、約11cPよりも低い平均粘度と約1.8〜約2.3の範囲内の多分散指数とを有する第1のPVAポリマーを含む場合には、ある種の実施形態では、PVA樹脂は、約30重量%未満の第1のPVAポリマーを含有する。同様に、PVA樹脂が、約11cP未満の平均粘度と、約1.8〜約2.3の範囲内の多分散指数と、を有する第1のPVAポリマーを含む場合には、別の非限定的な種類の実施形態では、PVA樹脂は、約70,000ダルトン未満のMwを有するPVAポリマーを約30重量%未満含有する。
【0046】
本明細書に記載されたフィルムの総PVA樹脂含有量の内、PVA樹脂は、約30重量%から約85重量%の第1のPVAポリマー、又は約45重量%から約55重量%の第1のPVAポリマーを含むことができる。例えば、PVA樹脂は、各PVAポリマーを約50重量%含むことができ、第1のPVAポリマーの粘度は約13cPであり、第2のPVAポリマーの粘度は約23cPである。
【0047】
ある種の実施形態は、約10〜約15cPの範囲の粘度及び約84%〜約92%の範囲の加水分解度を有する第1のPVAポリマーを約40〜約85重量%含むPVA樹脂によって特徴付けられる。別の種類の実施形態は、約10〜約15cPの範囲の粘度及び約84%〜約92%の範囲の加水分解度を有する第1のPVAポリマーを約45〜約55重量%含むPVA樹脂によって特徴付けられる。PVA樹脂は、約20〜約25cPの範囲の粘度及び約84%〜約92%の範囲の加水分解度を有する第2のPVAポリマーを約15〜約60重量%含むことができる。意図されるある種の実施形態は、第2のPVAポリマーを約45〜約55重量%含むPVA樹脂によって特徴付けられる。
【0048】
PVA樹脂が複数のPVAポリマーを含む場合、PVA樹脂のPDI値は、あらゆる個々の含まれたPVAポリマーのPDI値よりも大きい。所望により、PVA樹脂のPDI値は、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.5、又は5.0より大きい。
【0049】
好ましくは、PVA樹脂は、約80〜約92%、約83〜約90%、又は約85〜89%の重み付けされた平均加水分解度
【0050】
【数1】
を有する。例えば、2種以上のPVAポリマーを含むPVA樹脂の
【0051】
【数2】
は、式
【0052】
【数3】
によって計算され、式中、Wは、各PVAポリマーの重量パーセントであり、Hは、対応の加水分解度である。また、約10〜約25、又は約12〜約22、又は約13.5〜約20の加重対数粘度
【0053】
【数4】
を有するPVA樹脂を選択することが望ましい。2種以上のPVAポリマーを含むPVA樹脂の
【0054】
【数5】
は、式
【0055】
【数6】
【0056】
は各PVAポリマーの粘度である。
【0057】
また更に、0.255〜0.315、又は0.260〜0.310、又は0.265〜0.305、又は0.270〜0.300、又は0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲の樹脂選択指数(RSI)を有するPVA樹脂を選択することが望ましい。RSIは式
【0058】
【数7】
によって計算される。式中、μは17であり、μはそれぞれのPVOHポリマーのそれぞれの平均粘度であり、Wは、それぞれのPVOHポリマーの重量パーセントである。
【0059】
当然のことながら、異なるフィルム材料及び/又は異なる厚さのフィルムを、本発明の区画の作製に用いてよい。異なるフィルムを選択する利点は、得られる区画が異なる溶解性又は放出特性を呈し得ることである。
【0060】
また、本明細書のフィルム材料は、1つ以上の添加剤含有成分を含んでもよい。例えば、可塑剤(例えば、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、及びそれらの混合物)を添加することが有益な場合がある。他の添加剤としては、水及び洗浄水に送達される水を含む機能性洗剤添加剤、例えば有機ポリマー分散剤などが挙げられる。
【0061】
フィルムは、ラクトンフリーであってもよい。すなわち、当該フィルムはラクトンを含有しない。あるいは、当該フィルムは、意図的に添加されたのではない、不純物によるごく少量のラクトンを含有してもよい。しかし、本質的にフィルムはラクトンフリーである。
【0062】
フィルムは、印刷面積を有し得る。印刷面積は、フィルム全体又はその一部を覆うことができる。プリント領域は、単色を含んでも、複数色、更には3色を含んでもよい。印刷面積は、顔料、染料、青味剤、又はこれらの混合物を含み得る。プリントは、フィルム表面上に層として存在しても、フィルム内に少なくとも部分的に浸透していてもよい。洗剤パウチは、少なくとも2枚のフィルム、また更には少なくとも3枚のフィルムを含み得るが、それらのフィルムは一つに封止されている。印刷エリアは、1枚のフィルム上に存在しても、1枚より多くのフィルム、例えば、2枚のフィルム、また更には3枚のフィルム上に存在してもよい。
【0063】
プリント領域は、フレキソ印刷又はインクジェット印刷などの標準的な技術を使用して得ることができる。好ましくは、プリント領域は、フレキソ印刷を介して得られ、この場合、フィルムが印刷された後、開口区画の形状に成形される。次いで、この区画に洗剤組成物が充填され、区画上方に第2のフィルムが配置され、第1のフィルムと封止される。印刷領域は、フィルムのいずれの面上にあってよい。
【0064】
印刷領域は、純粋に審美的なものであってよく、又は消費者に有用な情報を提供するものであってもよい。
【0065】
プリント領域は、不透明でも、半透明でも、透明でもよい。
【0066】
フィルムは、嫌悪剤、例えば苦味剤を含んでもよい。好適な苦味剤としては、ナリンギン、サッカロースオクタアセテート、塩酸キニーネ、デナトニウムベンゾエート、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。任意の好適な濃度の嫌悪剤をフィルムに使用してよい。好適な濃度としては、1〜5000ppm、又は更には100〜2500ppm又は更には250〜2000rpmが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
水溶性パウチは、ポリビニルアルコールのフィルムを含むことが好ましい場合がある。
【0068】
液体洗濯洗剤組成物:洗剤パウチは、液体洗濯洗剤組成物を含み得る。液体組成物は、不透明であっても、半透明であっても、透明であってもよい。各区画は、同一の又は異なる組成物を含む。洗剤パウチは液体組成物を含んでもよいが、異なる区画に異なる組成物を含んでもよい。組成物は、任意の好適な組成物であってもよい。組成物は、固体、液体、分散体、ゲル、ペースト、流体又はこれらの混合物であり得る。組成物は、異なる区画中で異なる形態であり得る。洗濯洗剤組成物は、本洗浄プロセス中に使用され得るか、又は前処理又は浸漬組成物としても使用され得る。
【0069】
洗濯洗剤組成物としては、布地洗剤、布地柔軟剤、ツーインワン型洗剤入り柔軟剤、前処理組成物などが挙げられる。洗濯洗剤組成物としては、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、移染抑制剤、分散剤、酵素、及び酵素安定剤、触媒材料、漂白活性化剤、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、光沢剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤及び/又は顔料、及びこれらの混合物が挙げられる。組成物は、シェーディング染料、界面活性剤、ポリマー、香料、カプセル化香料物質、構造化剤及びこれらの混合物を含む群から選択される成分を含む、洗濯洗剤組成物であってもよい。
【0070】
液体洗濯洗剤組成物は、漂白剤、漂白触媒、染料、色調染料、アルコキシル化ポリアミン及びポリエチレンイミンを含む洗浄ポリマー、汚れ放出ポリマー、界面活性剤、溶媒、移染抑制剤、キレート剤、酵素、香料、カプセル化香料、ポリカルボン酸塩、構造化剤及びこれらの混合物から選択される成分を含み得る。
【0071】
界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、非イオン性、両性又はこれらの混合物から選択することができる。好ましくは、布地ケア組成物は、アニオン性、非イオン性又はこれらの混合物を含む。
【0072】
アニオン性界面活性剤は、線状アルキルベンゼンスルホネート、アルキルエトキシレート硫酸塩、及びこれらの組み合わせから選択され得る。
【0073】
本明細書で有用である好適なアニオン性界面活性剤は、液体洗剤製品で典型的に使用される従来のアニオン性界面活性剤のいかなる種類をも含むことができる。これらには、アルキルベンゼンスルホン酸及びこれらの塩、並びにアルコキシル化又は非アルコキシル化アルキルサルフェート物質が挙げられる。
【0074】
本明細書に用いるのに好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤が挙げられる。アルコールアルコキシレートは、一般式:R(C2mO)OH(式中、RはC〜C16アルキル基であり、mは2〜4であり、nは約2〜12の範囲である)に相当する材料である。一態様では、Rは、一級又は二級であってよく、約9〜15個の炭素原子、又は約10〜14個の炭素原子を含むアルキル基である。1つの態様では、アルコキシル化脂肪族アルコールは、1分子当たり、平均で約2〜12個のエチレンオキシド部分、又は1分子当たり、平均で約3〜10個のエチレンオキシド部分を含有するエトキシル化材料である。
【0075】
本発明の洗濯洗剤組成物に用いられるシェーディング染料は、ポリマー性又は非ポリマー性の染料、顔料、又はこれらの混合物を含み得る。好ましくは、シェーディング染料は、発色団成分及びポリマー性成分を含む、ポリマー性染料を含む。発色団成分は、光に曝露すると、青、赤、スミレ色、紫、又はこれらの組み合わせの範囲の波長の光を吸収するものであると特徴付けられる。一態様では、発色団成分は、水及び/又はメタノール中で最大約520ナノメートル〜約640ナノメートルの吸収スペクトルを示し、他の態様では、水及び/又はメタノール中で約560ナノメートル〜約610ナノメートルの吸収スペクトルを示す。
【0076】
任意の好適な発色団を使用することができるが、染料発色団は、好ましくは、ベンゾジフラン、メチン、トリフェニルメタン、ナフタルイミド、ピラゾール、ナフトキノン、アントラキノン、アゾ、オキサジン、アジン、キサンテン、トリフェノジオキサジン、及びフタロシアニンの染料発色団から選択される。モノ及びジアゾ染料発色団が好適である。
【0077】
シェーディング染料は、少なくとも3つの連続する繰り返し単位のうちの1つ又は2つ以上に共有結合している発色団を含む染料ポリマーを含み得る。繰り返し単位そのものは、発色団を含む必要がないということも理解されたい。染料ポリマーは、少なくとも5個、少なくとも10個、又は少なくとも20個の連続する繰り返し単位を含み得る。
【0078】
繰り返し単位は、例えばオキシアルキレンオキシ及びポリオキシアルキレンオキシと組み合わせたフェニルジカルボキシレートのような、有機エステルに由来し得る。繰り返し単位は、アルケン、エポキシド、アジリジン、及び変性セルロースを含む単位を含む炭水化物に由来している可能性があり、変性セルロールに含まれるのは:ヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ヒドロキシブチルセルロース;及びヒドロキシブチルメチルセルロース又はこれらの混合物である。繰り返し単位は、アルケン若しくはエポキシド、又はこれらの混合物に由来し得る。繰り返し単位は、C〜Cのアルキレンオキシ基、すなわち時にアルコキシ基と呼ばれるものであり得るが、好ましくは、C〜Cのアルキレンオキシドに由来し得る。繰り返し単位は、C〜Cのアルコキシ基、好ましくはエトキシ基であり得る。
【0079】
本発明の目的に関して、少なくとも3つの連続する繰り返し単位が、ポリマー性成分を形成する。ポリマー性成分は、連結基を介して直接又は間接的に、発色団基に共有結合し得る。好適なポリマー性成分の例としては、複数の繰り返し単位を有するポリオキシアルキレン鎖が挙げられる。一態様では、ポリマー成分は、2個〜約30個の繰り返し単位、2個〜約20個の繰り返し単位、2個〜約10個の繰り返し単位、更には約3又は4〜約6個の繰り返し単位を有するポリオキシアルキレン鎖を含む。ポリオキシアルキレン鎖の非限定的な例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリコールオキシド、ブチレンオキシド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0080】
染料は、有機合成経路の直接生成物である未精製混合物の形態で洗剤組成物に組み込まれてもよい。したがって、染料ポリマーに加えて、あらゆる重合工程の結果として生じることが予測される、少量の未反応出発物質、副反応生成物及び異なる鎖長の繰り返し単位を含む染料ポリマーの混合物も存在し得る。
【0081】
組成物は、洗浄性能及び/又は布地ケア効果を提供する1つ又は2つ以上の洗浄性酵素を含んでもよい。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な組み合わせは、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ及び/又はセルラーゼのような従来の適用可能な酵素をアミラーゼと組み合わせた混液である。
【0082】
本発明の洗濯洗剤組成物は、1つ以上の漂白剤を含み得る。漂白触媒以外の好適な漂白剤は、光触媒、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素源、予形成過酸、及びこれらの混合物を含む。一般的に、漂白剤が使用される場合、本発明の組成物は、標記洗浄組成物の約0.1重量%〜約50重量%、又は更に約0.1重量%〜約25重量%の漂白剤を含んでよい。
【0083】
組成物は、増白剤を含み得る。好適な増白剤は、増白剤15等のスチルベンである。他の好適な増白剤は、疎水性増白剤、及び増白剤49である。光沢剤は、3マイクロメートル(μm)〜30μm、又は3μm〜20μm、又は3μm〜10μmの範囲内の重量平均粒径の微粉化微粒子形態でよい。光沢剤は、α又はβ結晶形態でもよい。
【0084】
本明細書の組成物はまた、1つ又は2つ以上の銅、鉄、及び/又はマンガンキレート剤を任意選択的に含有してもよい。使用される場合、キレート化剤は、一般に本明細書の組成物の約0.1重量%〜約15重量%又は更には本明細書の組成物の約3.0重量%〜約15重量%を構成する。
【0085】
組成物は、炭酸カルシウム結晶成長阻害剤を含むものでよく、これは、1−ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩、N,N−ジカルボキシメチル−2−アミノペンタン−1,5−二酸及びその塩、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸及びその塩、並びにそれらの任意の組み合わせから選択されるものなどでよい。
【0086】
本発明の組成物はまた、1種又は2種以上の移染防止剤を含んでもよい。好適なポリマー移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン、及びポリビニルイミダゾール、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の組成物中に存在する場合、移染防止剤は、洗浄組成物の約0.0001重量%から、約0.01重量%から、約0.05重量%から、洗浄組成物の約10重量%まで、約2重量%まで、又は更には約1重量%までの濃度で存在する。
【0087】
洗濯洗剤組成物は、1つ以上のポリマーを含み得る。好適なポリマーとしては、カルボキシレートポリマー、ポリエチレングリコールポリマー、テレフタレートポリマーなどのポリエステル汚れ放出ポリマー、アミンポリマー、セルロース系ポリマー、移染防止ポリマー、イミダゾールとエピクロロヒドリンとの縮合によって生成される縮合オリゴマーなどの染料固定ポリマー、任意選択的に1:4:1の比率で、ヘキサメチレンジアミン誘導体ポリマー、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0088】
他の好適なセルロース系ポリマーは、0.01〜0.99の置換度(DS)と、DS+DBが少なくとも1.00であるか、又はDB+2DS−DSが少なくとも1.20であるかのいずれかとなるようなブロック度(DB)とを有し得る。置換セルロース系ポリマーは、少なくとも0.55の置換度(DS)を有し得る。置換セルロース系ポリマーは、少なくとも0.35のブロック度(DB)を有し得る。置換セルロース系ポリマーは、1.05〜2.00のDS+DBを有し得る。好適な置換セルロース系ポリマーは、カルボキシメチルセルロースである。
【0089】
別の好適な置換セルロース系ポリマーは、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロースである。
【0090】
好適な香料としては、香料マイクロカプセル、シッフ塩基香料/ポリマー複合体を含むポリマー支援香料送達システム、デンプンにカプセル化された香料アコード、香料充填ゼオライト、ブルーミング香料のアコード、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。好適な香料マイクロカプセルは、メラミンホルムアルデヒド系であり、典型的には、メラミンホルムアルデヒドを含むシェルによってカプセル化される香料を含む。このような香料マイクロカプセルは、ポリビニルホルムアミド(PVF)及び/又はカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(catHEC)などのカチオン性材料及び/又はカチオン性前駆体材料をシェル内に含むことが非常に好適であり得る。
【0091】
好適な抑泡剤としては、シリコーン、及び/又はステアリン酸などの脂肪酸が挙げられる。
【0092】
液体洗濯洗剤組成物は、着色され得る。液体洗濯洗剤組成物の色は、物品のフィルム上の任意の印刷領域と同じであっても異なっていてもよい。洗剤パウチのそれぞれの区画は、異なる色を有し得る。好ましくは、液体洗濯洗剤組成物は、少なくとも16の平均アルコキシル化度を有する非直接染料を含む。
【0093】
洗剤パウチの少なくとも1つの区画は、固体を含み得る。存在するのであれば、固体は、洗剤パウチの少なくとも5重量%の濃度で存在し得る。
【0094】
洗剤製品の作製方法:洗剤製品の作製方法は、上面パネルの後縁部及び後面パネルの上縁部を除く、6つのパネルの縁部を好適に接合することによって、中間可撓性ボックスバッグを形成する工程を含む。可溶性単位用量洗剤パウチは、上面パネルの後縁部と後面パネルの上縁部との間に形成される充填口を通過することによって、内側立方状体積部の中に挿入される。上面パネルの後縁部及び後面パネルの上縁部は、充填口を閉じて、可撓性ボックスバッグ及び洗剤製品を形成するような方法で、接合される。典型的には、中間可撓性ボックスバッグは、充填された後、溶接シールによって封止される。
【0095】
可撓性ボックスバッグは、少なくとも2つの異なるフィルムのウェブから作製されてもよい。例えば、第1のフィルムが上面パネル、底面パネル、後面パネル、及び前面パネルを形成してもよく、第2のフィルムが側面パネルを形成してもよい。この方法で、可撓性ボックスバッグは、透明な側面パネルを有してもよい。
【0096】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に指示がない限り、そのような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
図1
図2
図3
図4