(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0005】
生成物を選択的に調製するための方法は、
1)
(A)式(I)
【0007】
(式中、各R
1は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基であり、各R
2は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基であり、添字aは、20までの整数である)のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、
(B)式(II)
【0009】
(式中、R
3は、1〜6個の炭素原子のアルキレン基であり、R
4は、水素または1〜6個の炭素原子のアルキル基である)のカルボン酸アルケニルエステル、及び
(C)式(III)
[Ir(R
5)
b(R
6)
c]
d(式中、添字bは、1または2であり、R
5は、1,5−シクロオクタジエンリガンドまたは2,5−ノルボルエナジンリガンドであり、添字cは、0、1、または2であり、R
6は、オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの沸点未満の温度で錯体から離れて活性化され得るリガンドであり、添字dは、1または2である)のイリジウム錯体、を含む成分を組み合わせることを含む。
【0012】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、及び添字aは、前述の通りである)の化合物を含む。
【0015】
(式中、各R
1は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基であり、各R
2は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基であり、添字aは、20までの整数である)のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、
(B)式(II)
【0017】
(式中、R
3は、1〜6個の炭素原子のアルキレン基であり、R
4は、水素または1〜6個の炭素原子のアルキル基である)のカルボン酸アルケニルエステル、及び
(C)式(III)
[Ir(R
5)
b(R
6)
c]
d(式中、添字bは、1または2であり、R
5は、1,5−シクロオクタジエンリガンドまたは2,5−ノルボルエナジンリガンドであり、添字cは、0、1、または2であり、R
6は、オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの沸点未満の温度で錯体から離れて活性化され得るリガンドであり、添字dは、1または2である)のイリジウム錯体、を含む成分を混合することによって調製される。
【0018】
上記方法及び組成物から調製される式(IV)の化合物は、オルガノシロキサンポリマーの官能化に有用である。
【0019】
代替の実施形態において、生成物を選択的に調製するための方法は、
1)
(A)単位式(VI)
(HR
12SiO
1/2)
2(R
22SiO
2/2)
e(R
2HSiO
2/2)
f(式中、添字eは、0〜20であり、添字fは、0〜20であり、各R
1は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基であり、各R
2は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基である)のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、
(B)式(II)
【0021】
(式中、R
3は、1〜10個の炭素原子のアルキレン基であり、R
4は、水素または1〜6個の炭素原子のアルキル基である)のカルボン酸アルケニルエステル、及び
(C)式(III)
[Ir(R
5)
b(R
6)
c]
d(式中、添字bは、1または2であり、R
5は、1,5−シクロオクタジエンリガンドまたは2,5−ノルボルエナジンリガンドであり、添字cは、1または2であり、R
6は、オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの沸点未満の温度で錯体から離れて活性化され得るリガンドであり、添字dは、1または2である)のイリジウム錯体、を含む成分を組み合わせることを含む。生成物は、成分(A)及び(B)のヒドロシリル化によって形成される全ての化合物を基準として少なくとも80モル%の選択性を有する単位式(VII)
【0024】
アクリレート官能性オルガノシロキサンポリマーを調製するための方法は、
1)
(A)単位式(V)
(HR
12SiO
1/2)
2(R
22SiO
2/2)
e(R
2HSiO
2/2)
f(式中、添字eは、0〜20であり、添字fは、0〜20であり、各R
1は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基であり、各R
2は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基である)のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、
(B)式(II)
【0026】
(式中、R
3は、1〜10個の炭素原子のアルキレン基であり、R
4は、水素または1〜6個の炭素原子のアルキル基である)のカルボン酸アリルエステル、及び
(C)式(III)
[Ir(R
5)
b(R
6)
c]
d(式中、添字bは、1または2であり、R
5は、1,5−シクロオクタジエンリガンドまたは2,5−ノルボルエナジンリガンドであり、添字cは、1または2であり、R
6は、オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの沸点未満の温度で錯体から離れて活性化され得るリガンドであり、添字dは、1または2である)のイリジウム錯体、を含む成分を組み合わせること、
(生成物は、少なくとも80モル%の選択性を有する単位式(VII)
【0028】
の化合物を含む)
2)(a)式(VII)の化合物を、(b)脂肪族不飽和オルガノシロキサンポリマーと、任意選択的に(c)式(III)のイリジウムシクロオクタジエン錯体以外のヒドロシリル化触媒と組み合わせることを含む。
【0029】
成分を混合することによって調製される組成物は、
(A)単位式(V)
(HR
12SiO
1/2)
2(R
22SiO
2/2)
e(R
2HSiO
2/2)
f(式中、添字eは、0〜20であり、添字fは、0〜20であり、各R
1は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基であり、各R
2は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基である)のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、
(B)式(II)
【0031】
(式中、R
3は、1〜10個の炭素原子のアルキレン基であり、R
4は、水素または1〜6個の炭素原子のアルキル基である)のカルボン酸アルケニルエステル、及び
(C)式(III)
[Ir(R
5)
b(R
6)
c]
d(式中、添字bは、1または2であり、R
5は、1,5−シクロオクタジエンリガンドまたは2,5−ノルボルエナジンリガンドであり、添字cは、1または2であり、R
6は、オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの沸点未満の温度で錯体から離れて活性化され得るリガンドであり、添字dは、1または2である)のイリジウム錯体を含む。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書に記載される方法及び組成物において有用な成分(A)は、オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーである。成分(A)は、単位式(V)(HR
12SiO
1/2)
2(R
22SiO
2/2)
e(R
2HSiO
2/2)
fのオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーであってもよく、式中、添字eは、0〜20の整数であり、添字fは、0〜20の整数であり、各R
1は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基であり、各R
2は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基である。成分(A)に好適なオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの例として、1,1,3,5,5−ペンタメチルトリシロキサン、1,1,2,2,3,3,−ヘキサメチルトリシロキサン、テトラメチルジシロキサン、1,1,2,2,3,3,−ヘキサエチルトリシロキサン、及びテトラエチルジシロキサンが挙げられる。代替として、添字eは、0〜10であってもよく、代替として、添字eは、0〜5であってもよく、代替として、添字eは、0または1である。代替として、添字eは、2〜10であってもよく、代替として、添字eは、2〜5であってもよい。代替として、添字fは、0〜10であってもよく、代替として、添字fは、0〜5であってもよく、代替として、添字fは、0または1である。代替として、添字fは、2〜10であってもよく、代替として、添字fは、2〜5であってもよい。代替として、添字e=0であり、添字f=1である。代替として、添字e=0であり、添字f=0である。代替として、R
1及びR
2は、後に定義される通りであってもよい。
【0033】
代替の実施形態において、成分(A)は、式(I)
【0035】
(式中、各R
1は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基であり、各R
2は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基であり、添字aは、20までの整数である)を有する。代替として、添字aは、0〜10であり、代替として、添字aは、0〜5であり、代替として、添字aは、0または1である。代替として、添字aは、2〜10であってもよく、代替として、添字aは、2〜5である。R
1及びR
2に好適なアルキル基は、限定されないが、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/またはn−プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n−ブチル、tert−ブチル、及び/またはsec−ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、及び/またはtert−ペンチル)、ヘキシル、ならびに6個の炭素原子の分岐不飽和炭化水素基によって例示される。R
1及びR
2に好適なアリール基は、限定されないが、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ベンジル、及びジメチルフェニルによって例示される。R
1及びR
2に好適なハロゲン化アルキル基は、限定されないが、1つ以上の水素原子がFまたはCl等のハロゲン原子で置換された前述のアルキル基によって例示される。例えば、フルオロメチル、2−フルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−へプタフルオロブチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7−ペンタフルオロオクチル、2,2−ジフルオロシクロプロピル、2,3−ジフルオロシクロブチル、3,4−ジフルオロシクロヘキシル、及び3,4−ジフルオロ−5−メチルシクロへプチル、クロロメチル、クロロプロピル、2−ジクロロシクロプロピル、及び2,3−ジクロロシクロペンチルが、好適なハロゲン化アルキル基の例である。R
1及びR
2に好適なハロゲン化アリール基は、限定されないが、1つ以上の水素原子がFまたはCl等のハロゲン原子で置換された前述のアリール基によって例示される。例えば、クロロベンジル及びフルオロベンジルは、好適なハロゲン化アリール基である。代替として、各R
1は、独立して、メチル、エチル、またはプロピルである。R
1及びR
2の各例は、同じであってもまたは異なってもよい。代替として、各R
1及び各R
2は、メチル基である。好適な水素終端オルガノシロキサンオリゴマーの例として、1,1,2,2,3,3,−ヘキサメチルトリシロキサン、テトラメチルジシロキサン、1,1,2,2,3,3,−ヘキサエチルトリシロキサン、及びテトラエチルジシロキサンが挙げられる。代替として、成分(A)は、テトラメチルジシロキサンであってもよい。
【0036】
本明細書に記載される方法及び組成物において有用な成分(B)は、カルボン酸アルケニルエステルである。成分(B)は、式(II)
【0038】
(式中、R
3は、1〜6個の炭素原子のアルカン−ジイル基であり、R
4は、水素または1〜6個の炭素原子のアルキル基である)を有する。代替として、R
3は、メタン−ジイル、エタン−1,2−ジイル、またはヘキサン−1,6−ジイルであってもよく、代替として、R
3は、メタン−ジイルであってもよい。代替として、R
3は、1〜10個の炭素原子、代替として、1〜6個の炭素原子、代替として、1〜3個の炭素原子のアルキレン基であってもよい。R
4に好適なアルキル基は、限定されないが、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/またはn−プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n−ブチル、tert−ブチル、及び/またはsec−ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、及び/またはtert−ペンチル)、ヘキシル、ならびに6個の炭素原子の分岐不飽和炭化水素基によって例示される。代替として、R
4は、メチル、エチル、またはプロピルであってもよい。代替として、R
4は、メチル基である。カルボン酸アルケニルエステルの例として、メタクリル酸アリルが挙げられる。
【0039】
成分(A)及び成分(B)は、1以上の成分(A):成分(B)の相対的モル量で、すなわち、(A):(B)比≧1:1で存在する。代替として、(A):(B)比は、5:1〜1:1、代替として2:1〜1:1、また代替として1.5:1〜1:1の範囲であってもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、成分(B)に対する成分(A)のモル過剰が生成物の選択性に有利に作用し得ると考えられる。
【0040】
本明細書に記載される方法及び組成物において有用な成分(C)は、イリジウム錯体である。イリジウム錯体は、式(III)[Ir(R
5)
b(R
6)
c]
d(式中、添字bは、1または2であり、R
5は、1,5−シクロオクタジエンリガンドまたは2,5−ノルボルエナジンリガンドであり、添字cは、0〜2であり、代替として、0または1であり、R
6は、活性化され得るリガンドであり、添字dは、1または2である)を有する。R
6に関する活性化は、オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの沸点未満の温度で加熱する、銀塩を加える等の任意の従来の方法によって、または本明細書に記載される方法のステップ(1)において光化学的もしくは電気化学的手段によって行われてもよい。R
6に好適なリガンドの例として、ハロゲン原子、β−ケトエステルリガンド、ハロゲン化β−ケトエステルリガンド、アルコキシリガンド、シアノアルキルリガンド、アリールリガンド、及びヘテロアリールリガンドが挙げられる。好適なハロゲン原子の例として、臭素(Br)、塩素(Cl)、及びヨウ素(I)が挙げられる。代替として、ハロゲン原子はClであってもよい。β−ケトエステルリガンドの例として、アセチル(アセトネート)(acac)が挙げられる。ハロゲン化β−ケトエステルの例として、ヘキサフルオロ(アセチルアセトネート)(hfacac)が挙げられる。アルコキシリガンドの例として、メトキシ、エトキシ、及びプロピルが挙げられる。代替として、アルコキシリガンドはメトキシであってもよい。好適なシアノアルキルリガンドの例として、CH
3CN、アセトニトリル、及びテトラヒドロフラン(THF)が挙げられる。好適なアリールリガンドの例として、フェニル、ベンジル、またはインデニルが挙げられる。好適なヘテロアリールリガンドの例としてピリジンが挙げられる。
【0041】
前述の方法のステップ(1)で使用される成分(C)の量は、成分(A)のために選択される特定のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、成分(B)のために選択される特定のカルボン酸アルケニルエステル、及び成分(A)のために選択されるオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーを沸騰させることなく混合物を加熱することができる温度を含む、種々の要因に依存する。しかしながら、成分(C)の量は、成分(A)及び(B)を合わせた重量を基準として、1パーツパーミリオン(ppm)〜100ppm、代替として、5ppm〜80ppm、代替として、5ppm〜20ppmの、混合物中のイリジウム金属のモル量を提供するのに十分であり得る。理論に拘束されることを望むものではないが、範囲の上限に向かって触媒を充填すると、副生成物としてゲルが形成することに起因して収率は減少し得るが、式(IV)の化合物に対する選択性は依然として有利なままであると考えられる。方法は、任意選択的に触媒の不活性化または除去をさらに含んでもよい。しかしながら、適切な触媒を充填することにより、触媒の不活性化または除去のステップは省略されてもよい。
【0042】
理論に拘束されることを望むものではないが、範囲の上限に向かってまたは上限を超えて触媒を充填すると、前述の反応スキームに示される部位3、4、5、または6におけるヒドロシリル化に起因して選択性の低下が起こり得ると考えられる。しかしながら、発明者は、たとえ触媒充填量が多くても、本発明の方法を使用して部位2におけるヒドロシリル化が最小限に抑えられることを予想外に発見した。対照的に、本明細書に記載される触媒の代わりに白金触媒を使用したメタクリル酸アリル及びヘキサメチルジシロキサンのヒドロシリル化は、成分(C)のイリジウム錯体を使用した本明細書に記載される方法よりも実質的に高い部位2におけるヒドロシリル化をもたらした。部位2におけるヒドロシリル化によって作製される副生成物は、除去するのに費用がかかるため、部位1ではヒドロシリル化するが部位2ではヒドロシリル化しない本明細書に記載される触媒の選択性は、高い収率及び選択性を有し、かつ本明細書に記載される触媒の代わりに白金触媒を使用するプロセスの副生成物よりも除去するのに費用がかからないより少ない副生成物を有する、式(IV)の化合物を生成するために有益である。
【0043】
本明細書に記載される方法は、生成物を選択的に生成する。生成物は、単位式(VII):
単位式(VII)の化合物
【0045】
(式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4、ならびに添字e及びfは、前述の通りである)を含む。代替として、単位式(VIII)中、添字eは、0〜10であってもよく、添字fは、0〜10より大きくてもよい。
【0046】
代替として、単位式(VIII)中、添字e=0であり、添字f=1であり、アクリレート官能性オルガノシロキサンポリマーは、式(IX)
【0048】
(式中、各R
1は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基であり、各R
2は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基であり、R
3は、1〜10個の炭素原子のアルカン−ジイル基であり、R
4は、水素または1〜6個の炭素原子のアルキル基である)を有する。代替の実施形態において、式(IX)のアクリレート官能性オルガノシロキサンポリマーはXXXを有してもよく、各R
1は、メチル基であり、各R
2は、メチル基であり、R
3は、メタン−ジイルであり、R
4は、メチル基である。
【0049】
代替の実施形態において、例えば、式(I)の化合物が成分(A)として使用される場合、生成物は、式(IV)
【0051】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、及び添字aは、前述の通りである)の化合物を含む。本方法の生成物は、成分(A)及び(B)のヒドロシリル化によって生成される化合物を含み、生成物中の単位式(VII)の化合物は、成分(A)及び(B)のヒドロシリル化によって生成される化合物の少なくとも80モル%であり得る。代替として、生成物中の式(IV)の化合物は、成分(A)、式(I)、及び成分(B)のヒドロシリル化によって生成される化合物の少なくとも80モル%であり得る。(例えば、成分(A)として使用されるテトラメチルジシロキサン、及び成分(B)として使用されるメタクリル酸アリルが本明細書に記載される方法において使用される場合、ヒドロシリル化は、生成物中に生成される化合物をもたらし、ヒドロシリル化によって生成物中に生成される全ての化合物を基準として、生成される化合物の少なくとも80モル%は、実施例中の反応スキームに示される標的生成物である。副生成物は、部位2、3、4、5、もしくは6でヒドロシリル化が起こったときに、またはゲルが形成されたときに形成される化合物であり、ヒドロシリル化によって形成される生成物の残りの20モル%を含む)。代替として、選択性は、式(IV)の化合物の80モル%〜100モル%、代替として、89モル%〜99モル%、代替として、95モル%〜99モル%、代替として、97モル%〜99モル%であってもよい。
【0052】
本明細書に記載される方法は、1大気圧以上で行われ得る。代替として、方法は、1大気圧〜1.5大気圧で行われてもよい。ステップ(1)は、25℃の室温で、または加熱しながら行われてもよい。ステップ(1)の加熱のための温度は、選択される圧力を含む種々の要因に依存するが、反応が実用的であるために十分迅速に進行することを確実にするように加熱は少なくとも50℃で行われ得る。加熱中の温度の上限は重要ではなく、選択される成分に依存する、すなわち、上限は、本方法を行うために選択される反応基から成分が蒸発して出てしまわない温度であるべきである。代替として、加熱は、50℃〜100℃、代替として、50℃〜70℃であってもよい。
【0053】
前述の方法のステップ(1)の成分は混合物を形成するが、それは均一または不均一であってもよい。1つ以上の追加の成分(すなわち、前述の成分(A)、(B)、及び(C)に加えて)が、本明細書に記載される方法及び組成物において任意選択的に使用されてもよい。追加の成分は、存在する場合、(D)溶媒もしくは(E)安定剤であってもよいか、または(D)及び(E)の両方であってもよい。
【0054】
成分(D)は、本明細書に記載される方法のステップ(1)で使用される混合物に加えられ得る溶媒である。成分(A)、(B)、及び/または(C)の1つ以上が、溶媒中に提供されてもよい。例えば、成分(C)を、ステップ(1)の混合物に加えられる溶媒中に溶解させてもよい。溶媒は、反応物と触媒との接触、混合物の流れ、及び/または触媒等のある特定の成分の導入を容易にし得る。本明細書で使用される溶媒は、混合物の成分を流動化するのに役立つが、本質的にこれらの成分のいずれとも反応しない溶媒である。溶媒は、混合物中の成分の溶解性及び揮発性に基づいて選択され得る。溶解性とは、溶媒が混合物の成分を溶解するのに十分であることを意味する。揮発性とは、溶媒の蒸気圧を意味する。溶媒の揮発性が高すぎる(蒸気圧が高すぎる)場合、溶媒は加熱中に溶液中に残らない場合がある。しかしながら、溶媒が十分に揮発性ではない(蒸気圧が低すぎる)場合、溶媒を生成物から除去すること、または式(IV)の化合物から単離することが困難であり得る。
【0055】
溶媒は、有機溶媒であってもよい。有機溶媒は、芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、もしくはキシレン、またはそれらの組み合わせであり得る。成分(D)は、1つの溶媒であってもよい。代替として、成分(D)は、2つ以上の異なる溶媒を含んでもよい。
【0056】
溶媒の量は、選択される特定の溶媒、ならびに混合物のために選択される他の成分の量及び種類を含む種々の要因に依存し得る。しかしながら、溶媒の量は、混合物の重量を基準として、0%〜99%の範囲であってもよいか、または存在する場合、1%〜99%、代替として、2%〜50%の範囲であってもよい。
【0057】
成分(E)は、安定剤である。安定剤は、式(IV)の化合物を安定させるために加えられてもよい。好適な安定剤は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、熱安定剤、またはそれらの組み合わせを含む。好適な酸化防止剤は、当該技術分野で既知であり、市販されている。好適な酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤、及びフェノール系酸化防止剤と安定剤との組み合わせを含む。フェノール系酸化防止剤は、完全立体障害フェノール類及び部分障害フェノール類を含む。代替として、安定剤は、テトラメチル−ピペリジン誘導体等の立体障害アミンであってもよい。好適なフェノール系酸化防止剤は、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ビタミンE、及びCiba Specialty Chemicals,U.S.A.からのIRGANOX(登録商標)1010を含む。IRGANOX(登録商標)1010は、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を含む。紫外線吸収剤の例として、フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチル−、分岐及び直鎖の(TINUVIN(登録商標)571)が挙げられる。紫外線安定剤の例として、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/セバケート、及びそれらの組み合わせ(TINUVIN(登録商標)272)が挙げられる。これら及び他のTINUVIN(登録商標)添加剤、例えば、TINUVIN(登録商標)765は、Tarrytown,NY,U.S.A.のCiba Specialty Chemicalsから市販されている。他の紫外線安定剤及び光安定剤も市販されており、ChemturaからのLowLite、PolyOneからのOnCap、及びDelaware,U.S.A.のE.I.du Pont de Nemours and Companyからの光安定剤210によって例示される。オリゴマー(より高い分子量の)安定剤が、例えば、組成物またはその硬化生成物から安定剤が移動する可能性を最小限に抑えるために、代替として使用されてもよい。オリゴマー酸化防止安定剤(特に、立体障害アミン光安定剤(HALS))の一例は、Ciba TINUVIN(登録商標)622であり、これは、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールと共重合したブタン二酸のジメチルエステルである。熱安定剤は、酸化鉄及びカーボンブラック、カルボン酸鉄塩、セリウム水和物、ジルコン酸バリウム、オクタン酸セリウム及びオクタン酸ジルコニウム、ならびにポルフィリンを含み得る。
【0058】
成分(E)の量は、選択される特定の安定剤、触媒の量、ならびに成分(A)及び(B)の種類及び量を含む種々の要因に依存する。成分(E)は、1つの安定剤であってもよい。代替として、成分(E)は、2つ以上の異なる安定剤を含んでもよい。成分(E)は、生成物中の式(IV)の化合物の重量を基準として、50パーツパーミリオン(ppm)〜10,000ppm、代替として、50ppm〜200ppm、代替として、50ppm〜100ppmを提供するのに十分な量で加えられ得る。
【0059】
成分(E)である安定剤は、ステップ(1)の前、間、または後に加えられ得る。代替として、成分(E)は、生成物から式(IV)の化合物を回収している間またはその後に加えられてもよい。
【0060】
方法は、任意選択的に、1つ以上の追加のステップをさらに含んでもよい。方法は、前述のステップ(1)の後に生成物から式(IV)の化合物を回収するステップ(2)をさらに含んでもよい。ステップ(2)は、いずれの従来の手段によって行われてもよく、例えば、ストリッピングもしくは蒸留によって、加熱しながらもしくは真空下で、またはそれらの組み合わせで行われてもよい。
【0061】
前述の一般式(IV)の化合物は、オリゴマー、及び不飽和官能基を含有するより長い鎖のポリマーを含む、オルガノシロキサンポリマーの官能化に有用である。例えば、式(IV)の化合物中のSiH基とオルガノシロキサンポリマー(脂肪族不飽和末端基を有するポリジオルガノシロキサン等)中の脂肪族不飽和基とのヒドロシリル化反応は、アクリレート官能性オルガノシロキサンポリマーを生成することができる。脂肪族不飽和末端基を有するポリジオルガノシロキサンは、式(V):R
72R
8SiO(R
72SiO)
bSiR
72R
8を有し得る。
【0062】
式(V)中、各R
7は、独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、またはハロゲン化アリール基(R
1及びR
2について前述したもの等)であり、各R
8は、独立して、脂肪族不飽和有機基、例えば、ビニル、アリル、ブテニル、及びヘキセニル等のアルケニル基によって例示されるアルケニル基、ならびにエチニル及びプロピニル等のアルキニル基である。添字bは、0または正の数であり得る。代替として、添字bは、少なくとも2の平均値を有する。代替として、添字bは、2〜2000の範囲の値を有し得る。
【0063】
式(V)の化合物は、
i)ジメチルビニルシロキシ終端ポリジメチルシロキサン、
ii)ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
iii)ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、
iv)フェニル、メチル、ビニル−シロキシ終端ポリジメチルシロキサン、または
v)ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリジメチルシロキサン等のポリジオルガノシロキサンを含んでもよい。
【0064】
ポリオルガノシロキサンポリマーを脂肪族不飽和末端基で官能化することによって調製される、アクリレート官能性ポリジメチルシロキサン等のアクリレート官能性オルガノシロキサンポリマーは、アクリレート基の反応性を利用する任意の用途に使用することができる。
【実施例】
【0065】
これらの実施例は、本発明のいくつかの実施例を説明することを意図するものであって、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものであると解釈されるべきではない。以下の実施例において、TMDSはテトラメチルジシロキサンを意味し、AMAはメタクリル酸アリルを意味し、BHTはブチル化ヒドロキシトルエンを意味し、Karstedt触媒は、ジメチルシロキサンを含有するジビニルと錯体化された有機白金化合物を意味する。全ての成分は、Sigma Aldrich or Stremから市販されている。
【0066】
成分(A)として前述されたカルボン酸アルケニルエステルは、ヒドロシリル化反応によるケイ素結合が起こり得る6つの異なる部位を有する。成分(A)の一例であるメタクリル酸アリルを、1、2、3、4、5、及び6と表示された異なる部位とともに下に示す。成分(B)として前述されたオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーは、ヒドロシリル化反応が起こり得る2つの部位を有する。成分(B)の一例であるテトラメチルジシロキサンを下に示す。式(IV)の標的生成物を調製するために、テトラメチルジシロキサンが成分(A)として使用され、メタクリル酸アリルが成分(B)として使用される例示的反応であって、ヒドロシリル化反応が部位1において選択的に起こる反応を下に示す。発明者は、水素終端オルガノシロキサンオリゴマー及びカルボン酸エステルのヒドロシリル化のための触媒としてイリジウム1,5−シクロオクタジエンリガンド錯体を使用することにより、6つ全ての可能性のある部位においてヒドロシリル化によるケイ素結合が触媒される代わりに、部位1においてヒドロシリル化反応が選択的に触媒されることを予想外に発見した。下の実施例2及び3は、本明細書に記載される方法が、どのようにして部位1におけるヒドロシリル化を選択的に触媒することができ、それによって高い選択性及び収率を有する標的生成物を生成するかを示している。
【0067】
【化17】
【0068】
実施例1.Karstedt触媒(比較例)
以下の成分をフラスコ中で組み合わせた:60gのテトラメチルジシロキサン(TMDS)、0.1gのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、0.6gのメチルエチルトリアセトキシシラン、及び21μLのトルエン中のKarstedt触媒の0.046M(〜2%)溶液。フラスコの内容物を窒素下で55℃まで加熱し、次いで、19.2gのメタクリル酸アリル(AMA)を10分の期間にわたって徐々に加えた。結果として生じた発熱は、フラスコの外側周囲に空気流を使用して熱源を除去することによって制御した。温度は、2時間の期間55℃〜58℃に維持した。2時間後、GC−MS及び
1H NMRによりAMAの変換率を求めたところ、そのどちらも数回の試験にわたって3モル%〜5モル%のAMAが残っていることを示した。
【0069】
次いで、上記のように調製した生成物を、最初に、過剰なTMDSを室温で真空により除去し、続いて、得られた粗生成物をシリカゲルカラム(200〜400メッシュ、長さ9インチ×直径1インチ)に送り、9:1のヘキサン:酢酸エチルで溶出することによって処理した。ヘキサン及び酢酸エチル溶媒を除去してから、生成物を蒸留して〜50%の収率及び〜95%の純度で得た。
【0070】
Karstedt触媒を用いたアリルメチルアクリレート及び3モル当量のテトラメチルジシロキサンのヒドロシリル化によって標的生成物を合成するというこの試みにより、全ての部位でヒドロシリル化が起こったことに起因して、標的生成物と、多くの他の副生成物とを含む本方法の生成物が生じた。実施例1の収率は以下の通りである:
50%のAMAが反応して標的生成物を形成し、残りの50%が反応して副生成物を形成した。副生成物のうち、10%のAMAが部位2で変換してヒドロシリル化し(分岐した副生成物を形成)、25%のAMAが二重キャッピング副生成物に変換し、1つのシロキサン分子上の両方のSiHがAMA分子と反応し、15%のAMAが他の副生成物と反応した。Karstedt触媒を除去するための処理を直ちに行わないと、例えば、標的生成物が形成した後で、標的生成物の過剰なヒドロシリル化が起こり、メタクリル酸アリル上のアクリレート基のさらなるヒドロシリル化により副生成物が生じた。この問題は、主としてKarstedt触媒を除去できなかったことに起因する。
【0071】
実施例2.触媒候補のスクリーニング
この実施例2では、異なるイリジウム触媒候補を試験した。各実験のために、2gのTMDSと(トルエン中)0.025Mの触媒候補32μLとを組み合わせ、下の表1に示す温度まで加熱した。AMAは、表1に示す温度及び期間にわたって加えた。
【0072】
標的生成物に対する選択性を実施例1のように分析し、標的生成物のモル量:副生成物のモル量として表1に表す。AMA変換率は、反応が終了した後に消費されたAMAのモル%を意味する。TOF(h−1)は、標的生成物が形成される速度を意味し、TONは、標的生成物がその形成後に(すなわち、オリゴマーからの水素原子に結合した第2のケイ素を第2のAMA分子とさらに反応させることなく)残存する寿命を意味する。
【0073】
【表1】
【0074】
全てのイリジウム触媒候補が活性であったわけではなかった。表1のデータは、Ir(COD)R
6部分が選択性にとって有益であったことを示している(この場合、CODは、1,5シクロオクタジエンリガンドであり、R
6は、水素終端オルガノシロキサンオリゴマーの沸点未満で活性化され得る任意のリガンドである)。選択性の列は、部位1におけるヒドロシリル化(上に示される)を意味する。理論に拘束されることを望むものではないが、CODの活性化温度はテトラメチルジシロキサン(この実施例で使用される水素終端オルガノシロキサンオリゴマーとして選択された)の沸点である70℃よりも高いため、Ir(COD)
2BARFは、上記実施例で試験した条件では検出可能な量の生成物を生成しなかったと考えられる。同様に、アセチル(アセトネート)(acac)の活性化温度は50℃より高いため、理論に拘束されることを望むものではないが、これが、Ir(I)CODacacの活性が50℃では検出されないが、Ir(I)CODacacの活性が70℃で検出された理由であると考えられる。理論に拘束されることを望むものではないが、Ir(COD)インデニルは、インデニル基のより高い活性化温度に起因して部分的にのみ活性であると考えられる。1,5シクロオクタジエンリガンドを含有しなかったイリジウム錯体触媒のいずれも、この実施例において標的反応のための触媒活性を示さなかった。また、試験したイリジウムシクロオクタジエン錯体触媒は全て、この実施例においてKarstedt触媒よりも良好な標的生成物に対する選択性を有していた。
【0075】
実施例3.Ir硬化材料
以下の成分をフラスコ中で組み合わせた:40g(0.298mol)のTMDS及び19.2g(0.152mol)のAMA。フラスコの内容物を窒素下で55℃まで加熱し、次いで、[Ir(COD)Cl]
2の0.025M溶液130μLを加えた。温度は、2時間の期間にわたって55〜57℃に維持した。そのとき、GC−MS及び
1H NMRによりAMAの変換率を求めたところ、そのどちらも数回の試験にわたって0%のAMAが残っていることを示した。加熱後、フラスコの内容物をさらに処理した。過剰なTMDSを室温で真空により除去し、続いて蒸留し、生成物を安定させるために0.1gのBHTを加えた
。
【0076】
【表2】
【0077】
実施例4.Ir硬化材料
以下の成分をフラスコ中で組み合わせた:12gの1,1,3,5,5−ペンタメチルトリシロキサン(PMTS)及び5gのAMA。フラスコの内容物を窒素下で55℃まで加熱し、次いで、[Ir(COD)Cl]
2の0.025M溶液200μLを加えた。温度は、90分の期間にわたって60℃〜75℃に維持した。そのとき、
1H NMRによりAMAの変換率を求めたところ、10%のAMAが残っていることが示された。この実施例4における標的生成物の収率は、反応生成物の
1H NMRによって測定した場合90%であった。
【0078】
実施例5.Karstedt触媒(比較例)
以下の成分をフラスコ中で組み合わせた:1.8gのPMTS及び0.05gのBHT。フラスコの内容物を窒素下で55℃まで加熱し、次いで、6ppmのKarstedt触媒を加え、続いて0.58gのAMAを徐々に加えた。温度は、30分の期間にわたって55℃〜65℃に維持した。そのとき、
1H NMRによりAMAの変換率を求めた。この実施例5における標的生成物(一方のみの末端SiHのヒドロシリル化)の収率は、重合が起こったにもかかわらず、反応生成物の
1H NMRによって測定した場合5%未満であった。15分で、全ての部位でヒドロシリル化が起こったことに起因して、標的生成物と、多くの他の副生成物とを含む本方法の生成物が生じた。
【0079】
全ての量、比、及び割合は、別途指示のない限り、重量によるものである。組成物中の全ての成分の量は、全部で100重量%である。発明の概要及び要約は、参照により本明細書に組み込まれる。冠詞「a」、「an」、及び「the」はそれぞれ、明細書の文脈によって別途指示されない限り、1つ以上を指す。範囲の開示は、範囲自体だけでなく、その中に包含される全て、ならびに端点を含む。例えば、2.0〜4.0の範囲の開示は、2.0〜4.0の範囲だけではなく、2.1、2.3、3.4、3.5、及び4.0も個々に含み、またその範囲に包含される任意の他の数も含む。さらに、例えば、2.0〜4.0の範囲の開示は、例えば、2.1〜3.5、2.3〜3.4、2.6〜3.7、及び3.8〜4.0のサブセットだけではなく、その範囲に包含される任意の他のサブセットも含む。同様に、マーカッシュ群の開示は、群全体と、その中に包含される任意の個々のメンバー及びサブセットも含む。例えば、マーカッシュ群の水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基の開示は、メンバーであるアルキル、サブグループであるアルキル及びアリール、ならびにその中に包含される任意の他の個々のメンバー及びサブグループを含む。
【0080】
本発明の実施形態
第1の実施形態において、生成物を調製するための方法は、
1)
(A)式(I)
【0081】
【化18】
【0082】
(式中、各R
1は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基であり、各R
2は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基であり、添字aは、<20である)のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、
(B)式(II)
【0083】
【化14】
【0084】
(式中、R
3は、1〜6個の炭素原子のアルキレン基であり、R
4は、水素または1〜6個の炭素原子のアルキル基である)のカルボン酸アルケニルエステル、及び
(C)式(III)
[Ir(R
5)
b(R
6)
c]
d(式中、添字bは、1または2であり、R
5は、1,5−シクロオクタジエンリガンドまたは2,5−ノルボルエナジンリガンドであり、添字cは、1または2であり、R
6は、オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの沸点未満の温度で錯体から離れて活性化され得るリガンドであり、添字dは、1または2である)のイリジウム錯体、を含む成分を組み合わせることを含み、
生成物は、成分(A)及び(B)のヒドロシリル化によって形成される全ての化合物を基準として少なくとも80モル%の選択性を有する式(IV)
【0085】
【化20】
【0086】
の化合物を含む。
【0087】
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態の方法を含み、ステップ1)の圧力は、1大気圧以上である。
【0088】
本発明の第3の実施形態は、第2の実施形態の方法を含み、ステップ1)の温度は、50℃〜100℃である。
【0089】
本発明の第4の実施形態は、第1の実施形態の方法を含み、各R
1及び各R
2は、メチル基であり、添字aは、0である。
【0090】
本発明の第5の実施形態は、第4の実施形態の方法を含み、ステップ1)の温度は、50℃〜70℃である。
【0091】
本発明の第6の実施形態は、第1〜第5の実施形態のいずれか1つの方法を含み、R
3は、メチレンであり、R
4は、メチルである。
【0092】
本発明の第7の実施形態は、第1〜第5の実施形態のいずれか1つの方法を含み、R
5は、1,5シクロオクタジエンであり、R
6は、ハロゲン原子、β−ケトエステルリガンド、ハロゲン化β−ケトエステルリガンド、アルコキシリガンド、シアノアルキルリガンド、アリールリガンド、及びヘテロアリールリガンドからなる群から選択される。
【0093】
本発明の第8の実施形態は、第7の実施形態の方法を含み、R
6は、β−ケトエステルリガンド、ハロゲン化β−ケトエステルリガンド、アルコキシリガンド、シアノアルキルリガンド、アリールリガンド、及びヘテロアリールリガンドからなる群から選択される。
【0094】
本発明の第9の実施形態は、第1〜第8の実施形態のいずれか1つの方法を含み、混合物は、(D)溶媒、(E)安定剤、または成分(D)及び(E)のうちの2つ以上をさらに含む。
【0095】
本発明の第10の実施形態は、第1〜第9の実施形態のいずれか1つの方法を含み、成分(A)の量対成分(B)の量のモル比[(A):(B)比]は、1:1〜5:1である。
【0096】
本発明の第11の実施形態は、第1〜第10の実施形態のいずれか1つの方法を含み、成分(C)の量は、1ppm〜100ppmである。
【0097】
本発明の第12の実施形態は、第1〜第11の実施形態のいずれか1つの方法を含み、選択性は、成分(A)及び(B)を合わせた重量を基準として89モル%〜99モル%である。
【0098】
本発明の第13の実施形態は、アクリレート官能性オルガノシロキサンポリマーを調製するための方法であって、
1)
(A)式(I)
【0099】
【化21】
【0100】
(式中、各R
1は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基であり、各R
2は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基であり、添字aは<20である)のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、
(B)式(II)
【0101】
【化15】
【0102】
(式中、R
3は、1〜3個の炭素原子のアルキレン基であり、R
4は、水素または1〜6個の炭素原子のアルキル基である)のカルボン酸アリルエステル、及び
(C)式(III)
[Ir(R
5)
b(R
6)
c]
d(式中、添字bは、1または2であり、R
5は、1,5−シクロオクタジエンリガンドまたは2,5−ノルボルエナジンリガンドであり、添字cは、1または2であり、R
6は、オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの沸点未満の温度で錯体から離れて活性化され得るリガンドであり、添字dは、1または2である)のイリジウム錯体、を含む成分を組み合わせること、
(生成物は、少なくとも80モル%の選択性を有する式(IV)
【0103】
【化23】
【0104】
の化合物を含む)
【0105】
2)(a)式(IV)の化合物を、(b)脂肪族不飽和オルガノシロキサンポリマーと、任意選択的に(c)式(III)のイリジウムシクロオクタジエン以外のヒドロシリル化触媒と組み合わせること、を含む方法を含む。
【0106】
本発明の第14の実施形態は、第13の実施形態の方法を含み、脂肪族不飽和オルガノシロキサンポリマーは、脂肪族不飽和末端基を有するポリジオルガノシロキサンである。
【0107】
本発明の第15の実施形態は、
(A)式(I)
【0108】
【化24】
【0109】
(式中、各R
1は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基であり、各R
2は、独立して、1〜6個の炭素原子のアルキル基、6〜10個の炭素原子のアリール基、1〜6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基、または6〜10個の炭素原子のハロゲン化アリール基であり、添字aは、20までの整数である)のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、
(B)式(II)
【0110】
【化16】
【0111】
(式中、R
3は、1〜6個の炭素原子のアルキレン基であり、R
4は、水素または1〜6個の炭素原子のアルキル基である)のカルボン酸アルケニルエステル、及び
(C)式(III)
[Ir(R
5)
b(R
6)
c]
d(式中、添字bは、1または2であり、R
5は、1,5−シクロオクタジエンリガンドまたは2,5−ノルボルエナジンリガンドであり、添字cは、1または2であり、R
6は、オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの沸点未満の温度で錯体から離れて活性化され得るリガンドであり、添字dは、1または2である)のイリジウム錯体、を含む成分を混合することによって調製される組成物を含む。