(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585303
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】ボアホール表面を粗面化するためのツール
(51)【国際特許分類】
B23B 27/00 20060101AFI20190919BHJP
【FI】
B23B27/00 Z
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-534013(P2018-534013)
(86)(22)【出願日】2016年9月19日
(65)【公表番号】特表2018-527211(P2018-527211A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】EP2016072121
(87)【国際公開番号】WO2017050677
(87)【国際公開日】20170330
【審査請求日】2018年5月18日
(31)【優先権主張番号】15186464.2
(32)【優先日】2015年9月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】レダール ハンス−ペーター
(72)【発明者】
【氏名】レンナー マルクス
(72)【発明者】
【氏名】シュトローベル−シュミット ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ポップ フランツ
(72)【発明者】
【氏名】オスターマイヤー ペーター
【審査官】
山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06270295(US,B1)
【文献】
特開平10−278036(JP,A)
【文献】
特開昭62−264238(JP,A)
【文献】
特開2007−130737(JP,A)
【文献】
独国実用新案第202004003332(DE,U1)
【文献】
米国特許第01531891(US,A)
【文献】
特表2005−519776(JP,A)
【文献】
特表昭58−500954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 1/00 − 7/04
B23B 27/00 − 29/34
B23B 51/00 − 51/14
B23D 1/00 − 13/06、37/00 − 43/08、
67/00 − 81/00
B24B 3/00 − 3/60、21/00 − 39/06
E04G 23/00 − 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボアホール表面を粗面化するためのツールであって、前記ツール(10)を穿孔機内に挟持するための結合部(12)と、前記ボアホール表面を機械加工するためのツールヘッド(14)とを備え、前記ツールヘッド(14)上に、円周方向に配置された切削手段(18)が設けられ、前記ツールヘッド(14)は、一方の側から他方の側に貫通して前記ツールヘッド(14)の端面(22)から前記ツールの長手方向軸(A)に沿って軸方向に延びる少なくとも1つのスリット(20)を有し、前記切削手段(18)は、前記ツールの前記長手方向軸から半径方向に離れた方を向く少なくとも2つの炭化物ピン及び/又はダイヤモンドピンを含み、特に前記ツールヘッド(14)上で軸方向及び/又は円周方向に分布する多数の炭化物ピン及び/又はダイヤモンドピン(18)が設けられる、
ことを特徴とするツール。
【請求項2】
前記ツールヘッド(14)は、前記スリット(20)に沿って延び半径方向に弾性的な少なくとも2つのアーム(24)を有し、該アーム(24)は、前記端面(22)に隣接する前記アーム(24)の自由端部(26)に、前記円周方向に配置された切削手段(18)を有する、
請求項1に記載のツール。
【請求項3】
前記ツールヘッド(14)は、該ツールヘッド(14)の端面(22)から前記ツールの前記長手方向軸(A)に沿って軸方向に延びる少なくとも2つの互いに交差するスリット(20)を有する、
請求項1又は2に記載のツール。
【請求項4】
前記ツールの前記長手方向軸(A)に沿った第1のスリット(20)の長さが第2のスリット(20)よりも大きい、
請求項3に記載のツール。
【請求項5】
前記スリット(20)は、90°以下の角度で互いに交差する、
請求項3又は4に記載のツール。
【請求項6】
前記ツール(10)は、少なくとも部分的に対称に構成される、
請求項1から5のいずれか一項に記載のツール。
【請求項7】
前記スリット(20)は、前記端面(22)から離れた側の底部に凹状の円形部(30)を有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載のツール。
【請求項8】
前記ツールヘッド(14)は、実質的に円筒状であり、及び/又は上反りした外面形状を有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載のツール。
【請求項9】
前記結合部(12)は、ツールシャンク(16)の第1の端部に配置され、前記ツールヘッド(14)は、前記ツールシャンク(16)の反対側の第2の端部に配置され、前記ツールシャンク(16)は、軸方向(a)において前記ツールヘッド(14)の少なくとも2倍の長さであり、好ましくは少なくとも3倍の長さである、
請求項1から8のいずれか一項に記載のツール。
【請求項10】
前記ツールシャンク(16)は、前記ツールヘッド(14)の直径よりも小さな直径を有する、
請求項9に記載のツール。
【請求項11】
前記スリット(20)は、少なくとも部分的に弾性充填材で、特にエラストマで満たされる、
請求項1から10のいずれか一項に記載のツール。
【請求項12】
前記ツールヘッド(14)は、前記端面(22)から前記ツールの前記長手方向軸(A)に沿って延びる円筒状の凹部(32)、特にボアを有する、
請求項1から11のいずれか一項に記載のツール。
【請求項13】
前記ツールヘッド(14)の領域に、前記円周方向の切削手段(18)に加えて、特にドリル状の幾何学的に決定された切断形状(34)が設けられる、
請求項1から12のいずれか一項に記載のツール。
【請求項14】
前記少なくとも1つのスリットは、前記ツールの中心軸を通って延びる、
請求項1から13のいずれか一項に記載のツール。
【請求項15】
前記少なくとも1つのスリット(20、20’)は、前記ツールの前記長手方向軸(A)に沿って異なる幅を有する、
請求項1から14のいずれか一項に記載のツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボアホール表面を粗面化するためのツールであって、ツールを穿孔機内に挟持するための結合部と、ボアホール表面を機械加工するためのツールヘッドとを有し、ツールヘッド上に円周方向に配置された切削手段が設けられたツールに関する。
【背景技術】
【0002】
建築材を基礎に締結するために、予め基礎内に穿孔された止り穴内に、輪郭形成されたアンカー棒を化学的モルタル合成物によって固定することが知られている。止り穴は、ダイヤモンド面が形成されたツールによって穿孔することができる。基礎の材料によっては、このようなボアホールのボアホール壁が非常に滑らかになり得る。アンカー棒に作用する一定の高張力を確実に基礎に伝達するには、モルタル合成物が硬化状態の時にボアホール壁と連動的に相互作用することが有利である。これは、ボアホール壁の少なくとも一部を機械的に粗面化するか、或いはボアホール壁の少なくとも一部に輪郭を与えることによって実現することができる。
【0003】
従って、ダイヤモンド穿孔した穴の中の化学的モルタル合成物の荷重負担能力を高めるために、とりわけ導入部において言及したタイプの、ボアホール表面を粗面化するためのツール及び方法を使用する。この工程では、ボアホールの比較的滑らかな内側シェル面を構築して、例えば明確な刻み目を与える。
【0004】
ボアホール表面にこのような刻み目を形成する概念として様々なものが知られている。例えば、独国特許出願公開第3143462号及び第3819650号には、ユーザがツールの回転に手動で揺動動作を重畳させることができるようにツールシャンク上に円錐状の又は上反りした接触面を設けたツールがそれぞれ記載されている。このようにして、ツールヘッドを半径方向に偏向させてボアホール表面に侵入させる。
【0005】
さらに、独国特許出願公開第10334150号により、ツールシャンク上にツールヘッドを偏心して配置することによって、ツールヘッド上に円周方向に配置されたカッターを半径方向に偏向させる方法が知られている。
【0006】
独国特許出願公開第19610442号には、ツールを不均衡にして穿孔動作中に揺動運動を生じるように、ツールカッターを非対称的に配置することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第3143462号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第3819650号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10334150号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19610442号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
既知の解決策には、ツールの揺動運動に起因する振動によって操作者と穿孔機の双方が大きな力を受けるという不利点がある。また、粗面化工程の結果は、それぞれのユーザによる機械の誘導だけでなく適用期間にも依存する。さらに、通常粗面化に使用される炭化物又はダイヤモンド切削部材などの切削要素は、特に粗面化工程中に鉄筋又は硬岩に出くわした時に激しく摩耗にさらされる。
【0009】
この背景に照らして、本発明の根底にある技術的課題は、ボアホールの表面を粗面化するために、上述した不利点を示さず、又は少なくともその程度を抑え、特にボアホール表面を簡単に粗面化することができ、ユーザの影響が最小化されると同時に適用の快適性が高いツールを示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した技術的課題は、ボアホール表面を粗面化するためのツールであって、ツールを穿孔機内に挟持するための結合部と、ボアホール表面を機械加工するためのツールヘッドとを有し、ツールヘッド上に円周方向に配置された切削手段が設けられたツールによって解決される。ツールヘッドは、一方の側から他方の側に貫通してツールヘッドの端面からツールの長手方向軸に沿って軸方向に延びる少なくとも1つのスリットを有する。
【0011】
ツールヘッドの端面が軸方向のスリットであることにより、ツールヘッドは、半径方向内向きに弾性的に撓むことができる自由に突出するアームに細分される。このツールヘッドの弾性的な半径方向内向きの撓みが、ボアホール内への導入を可能にする。従って、円周方向に配置された切削手段を、粗面化すべきボアホール表面に対して弾性的に半径方向に押し付けることができる。このようにしてボアホール内にツールを導入することにより、ツールとボアホール表面との間に、ツールの回転中に切削手段をボアホール表面に侵入させる半径方向の予荷重を生じることができる。従って、ツールの揺動運動又は偏心運動を必要とすることなく、弾性的な予荷重によって半径方向の切削力が生じる。従って、ユーザは、穿孔工程に対応するツールの直進運動を実行するだけでよい。この結果、粗面化工程中におけるツールの振動を最小化することができる。また、ツールヘッドの半径方向弾性によって切削手段の摩耗を減少させることもできる。従って、切削手段は、鉄筋又は硬岩などの衝突構造との接触時に半径方向内向きの方向に付勢され又は弾性的に撓むことにより、粗面化工程中にこれらの物質を回避することができる。
【0012】
具体的に言えば、円周方向に配置された切削手段は、機械加工すべきボアホールの呼び径よりも大きな直径の包絡円を描く。このようなツールのそれぞれのボアホール内への導入中には、円周方向に配置された切削手段を含むアームがボアホール表面によって半径方向内向きの方向に強制され、結果的にツールヘッドのスリットが狭くなる。この場合、ツールの予荷重は、ツールの寸法及びボアホールの呼び径のみに依存する。従って、ツールの明確な半径方向予荷重を生じることができる。
【0013】
従って、本発明によれば、ボアホール表面を簡単に粗面化することができ、ユーザの影響が最小化されると同時に適用の快適性が高いツールが示される。
【0014】
従属請求項及び好ましい例示的な実施形態についての説明からは、本発明によるツールのさらなる構成が明らかである。
【0015】
ツールの1つの構成によれば、ツールヘッドは、スリットに沿って延びる半径方向に弾性的な少なくとも2つのアームを有することができ、これらのアームは、端面に隣接するアーム自由端部に、円周方向に配置された切削手段を有する。切削手段が端面に近接して配置されることにより、ツールの長手方向軸の方向におけるアームの弾性撓みが促され、ボアホールが端部まで粗面化される。具体的に言えば、スリットの軸長手方向範囲は、切削手段が配置された自由端部の多様な軸長手方向範囲に対応することができる。スリットが軸方向にツールヘッド内の遠くまで到達すればするほど、アームによってもたらされる影響力も大きくなり、従って端部の領域に配置された切削手段の半径方向内向きの弾性撓みが促される。
【0016】
ツールの改善によれば、ツールヘッドは、ツールヘッドの端面からツールの長手方向軸に沿って軸方向に延びる少なくとも2つの互いに交差するスリットを有することができる。この結果、ツールヘッドは、スリットに沿って延びてそれぞれ円周方向に切削手段を有する4つのアームを有することができる。ツールの半径方向弾性は、スリットの数と共に大きくなり、従ってツールをボアホール内に非常に容易に導入できるようになる。
【0017】
本発明のさらなる構成によれば、ツールヘッドの領域に多数の互いに交差するスリットを設けることができる。
【0018】
粗面化工程中に円周方向の切削手段の異なる侵入深さを達成するために、ツールの長手方向軸に沿った第1のスリットの長さを第2のスリットよりも大きくすることができる。
【0019】
ツールヘッドのスリットは、90°以下の角度で互いに交差することができる。従って、具体的に言えば、スリットは、ツールヘッドを通じて互いに実質的に垂直に延びることができる。或いは、個々のアームの半径方向剛性を適合させるために、アームが異なる断面を有するように90°から逸脱したスリットの角度位置を提供することもできる。例えば、2つのスリットが90°よりも小さな角度を含む場合には、4つのアームが形成される。この場合、互いに2つ1組で向かい合って配置された第1のアーム対は、これらのアームに隣接して配置された第2のアーム対よりも小さな壁厚を有する。このようにして、アームの半径方向剛性、従って粗面化工程中における切削部材の侵入深さを調整することができる。
【0020】
さらなる構成によれば、ツールは対称に構成される。具体的に言えば、ツールは、粗面化工程中における動荷重、又はツールの予荷重に起因する不均衡が避けられるように、均一な半径方向剛性を有するように構成することができる。従って、少なくとも2つのアームは、ツールの長手方向軸に関して対称な点を有するように形成することができる。これとは別に、又はこれに加えて、少なくとも2つのアームを、ツールの平面に関して鏡面対称となり、ツールの長手方向軸がツールの平面内に存在するように形成することもできる。具体的には、ツール内で少なくとも2つのアームが互いに向かい合う実質的に平行な平面を有するようにスリットを形成することができる。
【0021】
本発明によるツールの機能性を最適にするには、スリットを長さ全体にわたって可変的に構成することが必要となり得る。ツールヘッドの上端におけるスリット幅は、切削手段が必要最大限まで弾性的に内向きに撓んだ時に2つのアームが互いにぎりぎり接触しないように寸法決めされることが好ましい。従って、スリット幅は、本発明によるツールを使用すべきボアホールの呼び径に依存する。スリットの反対端、すなわちツールヘッドの端面から離れた側のスリットの底部におけるスリット幅の寸法は、アームのバネ剛性を定め、必然的にツールヘッドの上端における必要なスリット幅よりも小さな寸法にすることができる。この寸法は、例えばスリット形状の段階的変化を通じて可能にすることができる。本発明によるツールの1つの構成によれば、ツールヘッドの上端部から開始されるスリットの、ツールの長手方向軸の方向の一定領域にわたる幅が、前端から離れた側の底部の方向の連結領域の幅よりも大きい。このように構成されたツールは、特に小さなボアホール直径に適する。
【0022】
本発明によるツールの改善によれば、スリットは、端面から離れた側の底部に凹状の円形部を有する。この円形部(rounding)は、ツールヘッド内に、特にスリットの長手方向範囲に対して横方向に形成された貫通穴によって形成することができる。この円形部によって、スリットの底部領域におけるノッチ効果が減少し、バネ剛性又はボアホール壁に対する切削手段の押圧力が調整される。
【0023】
ツールの切削手段は、ツールの長手方向軸から離れた方を向いて半径方向に延びる少なくとも2つの炭化物ピン及び/又はダイヤモンドピンを含むことができる。これらのピンは、それぞれが1つの幾何学的に特殊なカッターを形成し、従ってボアホール表面に溝又は刻み目を明確に定めて形成できることが好ましい。従って、使用されるピンは硬質材料から形成し、アームは弾性材料から形成することができる。これらのピンは、その半径方向外端に、特に円錐台形状又は半球形状を有する。
【0024】
本発明によるツールの改善によれば、ツールヘッド上で軸方向及び/又は円周方向に分布する多数の炭化物ピン及び/又はダイヤモンドピンが設けられる。例えば、アームは、1つ又は多数の炭化物ピンを有することができる。炭化物ピンは、隆起部上で円周方向に分布することも、或いはツールの長手方向に沿って軸方向に連なって配置することもできる。例えば、1つの隆起部上に2又は3以上の、特に3つの炭化物ピンを設けることができる。炭化物ピンは、端面に関連する隆起部の端部に軸方向に密に実装し、或いは互いに近接して配置することができる。これとは別に、又はこれに加えて、炭化物ピンは、隆起部の外側シェル面上に同じ軸方向高さで配置し、ただし互いに角度間隔を持って円周方向に分布させることもできる。
【0025】
さらなる構成によれば、ツールヘッドは、実質的に円筒形状を有することができる。円筒を半径方向に境界する外側シェル面の直径は、機械加工すべきボアホールの呼び径よりも小さいことが好ましい。外側シェル面上に配置されて半径方向外側を向く炭化物ピン及び/又はダイヤモンドピンは、ツールの最大直径を定め、炭化物ピン又はダイヤモンドピンによって定められる包絡円の直径は、とりわけ機械加工すべきボアホールの呼び径よりも大きいことが好ましい。端面に1又は2以上のスリットを形成することにより、円筒状のツールヘッドを複数のアームに細分することができ、アームの外側シェル面は、ツールの長手方向軸を横切る断面において半円又は四半円などの円形セグメントを描くことができる。スリットの領域では、これらのアームが、互いに向かい合う平面を有することができる。
【0026】
また、結合部がツールシャンクの第1の端部に配置され、ツールヘッドがツールシャンクの反対側の第2の端部に配置され、ツールシャンクが軸方向においてツールヘッドの少なくとも2倍の長さであり、好ましくは少なくとも3倍の長さであるという旨のツールの有利な改善を示すこともできる。このように構成されたツールを使用すると、さらに深いボアホールの機械加工さえも容易に可能になる。
【0027】
ツールシャンクの直径は、ツールヘッドの直径に一致し、又はツールヘッドの直径よりも小さくすることができる。これとは別に、ツールシャンクの直径は、さらに結合部の直径に一致し、又は結合部の直径よりも小さくすることができる。このように、ツールを軽量かつ柔軟であるように構成して、動作中における取り扱いを全体として向上させることができる。
【0028】
本発明によるツールの改善によれば、ツールの動作中における半径方向の予荷重を高めるために、スリットが少なくとも部分的に弾性充填材で、特にエラストマで満たされる。充填材によって、ツールヘッドの半径方向剛性を高めることができる。さらに、充填材を用いて、ボアホール表面の機械加工中における振動又は揺動を減衰させることもできる。
【0029】
弾性特性の最適化については、ツールヘッドが、端面から開始してツールの長手方向軸に沿って延び、ツールヘッドに延びるシャンクの所まで達することができる円筒状の凹部、特にボアを有することができる。
【0030】
さらなる構成によれば、ツールヘッドの領域に、円周方向の切削手段に加えて、特にドリル状の幾何学的に決定された切断形状が設けられる。従って、ツールヘッドの端面は、ツールの長手方向に沿って軸方向に分割又は分裂したドリル先端部を有することができる。具体的には、それぞれが外側シェル面の領域に円周方向に切削手段を有する2つのアームが、それぞれ端面に刃先を形成することができる。このようにして、特にボアホール底部の領域におけるツールの軸方向の侵入を容易にすることができる。この刃先は、隆起部に取り付けられた切断プレート又は隆起部自体によって形成することができる。
【0031】
これに関連して、ボアホールの呼び径は、円周方向の切削手段によって定められる包絡円の直径よりも小さいことが好ましい。このような場合、ツールは、ボアホール内に導入された時に半径方向に弾性的に支持されてツールのスリットが狭くなる。ツールの回転中、切削手段は、これらの支持力によってボアホール表面を粗面化しながらボアホール表面に侵入するようになる。この工程では、操作者が、ボアホールの長手方向軸に沿ってツールの純粋な直進運動を実行することによってボアホール表面に刻み目を形成することができる。
【0032】
ボアホール表面は、ボアホール底部から開始して、軸方向に測定した長さ全体にわたって粗面化することができる。この場合、ボアホール底部における穿孔粉塵の蓄積にも関わらず十分に大きな粗面を利用できるので、例えば洗浄又は吹き出しなどによるその後のボアホールの浄化処理は不要である。
【0033】
以下、例示的な実施例を概略的に示す図面に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明によるツールの第1の構成を示す斜視図、正面図及び縮小した側面図である。
【
図2】本発明によるツールの第2の構成を示す斜視図、正面図及び2つの側面図である。
【
図3a】ツールヘッドの領域におけるスリットの構成の変形例を示す斜視図及び正面図である。
【
図3b】ツールヘッドの領域におけるスリットの構成の変形例を示す斜視図及び正面図である。
【
図3c】ツールヘッドの領域におけるスリットの構成の変形例を示す斜視図及び正面図である。
【
図4a】ツールヘッドの領域における炭化物ピンの構成の変形例を示す図である。
【
図4b】ツールヘッドの領域における炭化物ピンの構成の変形例を示す図である。
【
図5】切断形状を有するツールヘッドの構成を示す図である。
【
図6】スリット形状が段階的に変化するツールヘッドの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に、ボアホール表面を粗面化するためのツール10の第1の構成を示す。
【0036】
ツール10は、ツール10を穿孔機(図示せず)内に挟持するための結合部12と、ボアホール表面(図示せず)を機械加工するためのツールヘッド14と、結合部12とツールヘッド14とを接合するツールシャンク16とを有する。結合部12は、ツールシャンク16の第1の端部に配置され、ツールヘッド14は、ツールシャンク16の第1の端部とは反対側の第2の端部に配置される。
【0037】
ツールシャンク16は、軸方向aに沿ったツールヘッド14の長さの2倍よりも長い。ツールシャンク16の直径は、結合部12の直径に一致し、ツールヘッド14の直径よりも小さい。
【0038】
ツールヘッド14は、実質的に円筒状であり、円周方向に配置されて半径方向に突出する炭化物ピン18を有する。炭化物ピン18は、半径方向外側を向き、軸方向aを横切る半径方向r2に延びる。
【0039】
ツールヘッド14は、ツールヘッド14の端面22からツールの長手方向軸Aに沿って軸方向に延びるとともに一方のシェル面部分から反対側のシェル面部分まで横方向に広がる、すなわち一方の側から他方の側に貫通してツールヘッド14を分割するスリット20を有する。
【0040】
従って、ツールヘッド14は、スリット20に沿って延びる2つのアーム24を有する。アーム24は、端面22に隣接するアーム24の自由端部26に円周方向炭化物ピン18を有する。
【0041】
一例として、各アーム上には、互いに軸方向に隣接して配置された3つの炭化物ピン18が設けられる。これとは別に、又はこれに加えて、ダイヤモンドピンを切削手段として設けることもできると理解されるであろう。
【0042】
アーム24は、軸方向a及び半径方向r1によって定められる平面に関して鏡面対称となるように構成される。アーム24は、互いに一定の間隔で向かい合って配置された平面28を有する。換言すれば、スリット20は、実質的に一定の間隙幅を有する。
【0043】
スリットは、その端面22から離れた側の底部に凹状の円形部30を有する。円形部30は、半径方向の貫通穴である。ツールヘッド14は、端面22から開始してツールの長手方向軸Aに沿って延びる、ここではボアとして構成される円筒状の凹部32を有する。
【0044】
ボアホール表面を粗面化するには、ツール10をそのツールヘッド14と共にボアホール内に導入する。この目的のために、ツール10は、結合部12を用いて穿孔機内に挟持される。ボアホールの呼び径は、炭化物ピン18によって定められるツール10の外側包絡円の直径よりも小さい。従って、ボアホール内へのツールヘッド14の導入中には、炭化物ピン18が、ツールの長手方向軸の方向においてボアホール表面によって半径方向内向きに付勢される。このようにして、スリット20は狭くなる。この状態では、炭化物ピン18がボアホール表面を圧迫し、弾性的に内向きに屈曲したアーム24を介してボアホール表面に対して弾性的に支持される。
【0045】
炭化物ピン18は、穿孔機によって課せられるツールの回転によってボアホール表面に侵入し、ボアホール表面に溝又は刻み目を形成する。ボアホールは、止り穴とすることができる。
【0046】
ボアホール表面を粗面化するには、ツール10をツールの長手方向軸に沿って並進によってボアホール内に導入しさえすればよい。半径方向の切削力は、ツールヘッド14の弾性的な予荷重のみによって達成され、従ってユーザがツール10内に半径方向の力を伝える必要はない。
【0047】
図2に、ツール10の第2の構成を示す。
図2に示すツール10の基本構造及び機能方法は、
図1を参照しながら上述した実施形態のものと実質的に一致する。従って、以下では同じ特徴を同じ参照記号によって示し、個々のツール間の違いのみを説明する。
【0048】
図2に示すツール10は、
図1のものと比べて修正された結合部12を有する。ここに示す例示的は実施形態では、端面におけるボア32が省略され、従ってスリット20のみが存在する。端部26に配置される炭化物ピン18は、上述した例よりも軸方向に密に実装される。
【0049】
図3a〜
図3cには、ツールヘッド14の領域におけるスリット20の構成の3つの異なる変形例を示す。
図3aは、ツールヘッド14を示す斜視図及び正面図である。ツールヘッド14は、ツールの中心軸において互いに交差する2つのスリット20を有し、これによってそれぞれが1つの炭化物ピン18を有する合計4つのアーム22が形成される。ツールヘッド14は、対称構造を有する。
【0050】
図3bにも、同様に2つの互いに交差するスリット20を有するツールヘッド14を示すが、ここではツールの長手方向軸に沿ったスリット20の一方の長さの方が、他方のスリットの長さよりも長い。
【0051】
図3cに示すツールヘッド14のさらなる変形例は、スリット20がツールヘッド14を直角に通過せず、代わりに相対的に斜めに配向されているという点で上述した変形例と異なる。従って、互いに2つ1組で向かい合って配置されたアーム24は、正面図から推論できるように異なる壁厚及び断面を有する。
【0052】
図4a及び
図4bには、ツールヘッド14の領域における炭化物ピン18の構成の変形例を示す。
図4aに示す炭化物ピンの軸方向配置に対し、
図4bに示す円周方向分布では、炭化物ピンがツールの長手方向軸に対して互いに角度間隔を持って配置されている。
【0053】
図5には、切断形状34を有するツールヘッド14の構成を示す。アーム24は、端面をドリル状に成形され、ツールの長手方向軸に沿って、スリット20によって分割されたドリル先端が形成されている。
【0054】
当然ながら、ツールヘッド14は、個別に製造してシャンク上に着脱可能に又は恒久的に取り付けることができる。
【0055】
図6に、スリット20、20’がツールの長手方向軸Aに沿って異なるスリット幅を有するようにスリット形状が段階的に変化するツールヘッド14の構成を示しており、ここでは、ツールヘッドの上端部から開始されるスリットの、ツールの長手方向軸の方向の一定領域(スリット20)にわたる幅が、前端から離れた側に面するその底部の方向の連結領域(スリット20’)の幅よりも大きい。スリット領域20の方が幅広くなっていることにより、特にボアホール直径が小さい場合に、ツールヘッドの端部におけるアーム24が、ボアホール直径に対応してツールの長手方向軸Aの方向に弾性的に十分に内向きに撓むことができ、狭い方のスリット20’によってバネ力が調整される。