【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)平成25年5月29日〜31日に東京ビックサイトにて開催の「JECA FAIR 2013 〜第61回電設工業展〜」に展示 (2)平成25年5月発行の、未来工業株式会社のパンフレット「防虫戦隊 ムシハイレンジャー」に掲載 (3)平成25年7月3日に、ウェブサイトのアドレス http://www.mirai.co.jp/ 、及び http://www.mirai.co.jp/osusume/osusume−p_1.pdf(平成25年9月4日時点では、http://www.mirai.co.jp/osusume/osusume−p_2.pdf)にて、上記パンフレットを公開
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明に係る防蟻装置を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1〜
図4は、本発明の第一の実施の形態を示す。図中符号1は、建物のコンクリート製の基礎躯体を示す。2は、配管材を示す。3は、防蟻具を示し、この防蟻具3は、前記基礎躯体1に対し、配管材2が貫通する貫通部からのシロアリの侵入を防ぐものである。そして、防蟻装置は、前記防蟻具3と、前記配管材2とからなる。
【0017】
ここで、防蟻具3は、防蟻成分を含有する材料により形成される。この防蟻具3は、配管材2に嵌まるようその配管材2の外径に対応する内径を、防蟻具3の軸方向の一の端面3cから他の端面3iに至る全長に渡って有し、内周面(防蟻具3の後述する内周面3hでもある内周面)が前記配管材2の外周面に密着する筒部本体3aと、その筒部本体3aの端部から外方に延設されるフランジ部3bとを備える。そこで、防蟻具3は、基礎躯体1の構築前に、配管材2に嵌められて取り付けられ、基礎躯体1の構築によって、その基礎躯体1に埋設されて設置される、基礎構築前取付け設置形態(
図3参照)と、基礎躯体1の構築後に、フランジ部3b側の端面3dが基礎躯体1の表面に当接するようにして配管材2に嵌められて取付け設置される、基礎構築後取付け設置形態(
図4参照)とを、選択して設置可能となっている。
【0018】
詳細には、基礎構築前取付け設置形態(
図3参照)においては、基礎躯体1の構築によって、防蟻具3の軸方向の一の端面3c(図示実施の形態においては、フランジ部3b側の端面3d)が基礎躯体1の表面に露出するようにしてその基礎躯体1に埋設されて設置される。
【0019】
具体的には、基礎躯体1は、例えば、床下に配設されるコンクリート製の底盤からなる。そして、配管材2は、給水管とか排水管であったり、それら給水管とか排水管を保護する鞘管であったり、電線を保護する鞘管(電線管)であったりする。この配管材2は、図示実施の形態においては、断面円形に形成されている。
【0020】
防蟻具3は、その筒部本体3aが、配管材2の形状に合わせて円筒形に形成され、フランジ部3bは、筒部本体3aからの外方への突出量が、周方向において均等となって円形に形成されている。そして、この防蟻具3は、防蟻成分を含有する材料(例えば、防蟻成分を含有するゴム)により形成されるが、その防蟻成分としては、例えば、ピレスロイド系剤、有機リン剤、カーバメイト剤、ホウ素化合物、フッ素化合物などが挙げられる。
【0021】
また、防蟻具3は、その外周面3e(詳しくは、筒部本体3aの外周面およびフランジ部3bの外周面)に、全周に渡る凹部3fが設けられている。そして、防蟻具3には、周方向を分断するように、内外を貫通するとともに軸方向全体に延びる、スリット3gが設けられている。そこで、防蟻具3がゴムにより形成されることから、このスリット3gを広げることができ、配管材2への防蟻具3の取付けにあたっては、防蟻具3を、その広がったスリット3g側から配管材2へ被せることができる。そして、防蟻具3を配管材2へ被せた後には、防蟻具3の外周面3e(詳しくは、凹部3f)にバインド線4を巻き、そのバインド線4で防蟻具3の外周面3eを締め付けることで、この防蟻具3は、配管材2に取付固定される。なお、
図4における符号5は、釘とかビス等の固着具を示し、この固着具5が、防蟻具3(詳しくは、フランジ部3b)を貫通して基礎躯体1に打ち込まれたりねじ込まれたりし、これによって、防蟻具3は、基礎躯体1に固定される。
【0022】
ところで、基礎構築前取付け設置形態によって形成される、配管材貫通部の防蟻構造6は、基礎躯体1に対し、配管材2が貫通する貫通部からのシロアリの侵入を防ぐ、防蟻構造であって、基礎躯体1と配管材2と前述した防蟻具3とを備え、前記防蟻具3は、前記配管材2に嵌められて取り付けられ、前記基礎躯体1に埋設されて設置される(
図3参照)。
【0023】
また、基礎構築後取付け設置形態によって形成される、配管材貫通部の防蟻構造7は、基礎躯体1に対し、配管材2が貫通する貫通部からのシロアリの侵入を防ぐ、防蟻構造であって、基礎躯体1と配管材2と前述した防蟻具3とを備え、前記防蟻具3は、フランジ部3b側の端面3dが前記基礎躯体1の表面に当接するようにして前記配管材2に嵌められて取付け設置される(
図4参照)。
【0024】
次に、この第一の実施の形態に示す防蟻具3の作用効果について説明する。この防蟻具3によると、防蟻具3は、配管材2に嵌まる筒部本体3aと、その筒部本体3aの端部から外方に延設されるフランジ部3bとを備えている。このため、防蟻具3の体積をそれほど大きくすることなく、つまり防蟻具3に使用される材料をそれほど多くすることなく、防蟻具3の内周面3hの軸方向寸法3xと、防蟻具3のフランジ部3b側の端面3dの内外周間寸法3yとを、簡単に長くすることができる。これにより、防蟻具3の基礎構築前取付け設置形態(
図3参照)において、シロアリが、防蟻具3と配管材2との境界部分、つまり防蟻具3の内周面3hを進んだり、防蟻具3と基礎躯体1との境界部分、つまり防蟻具3の外周面3eなど(詳細には、外周面3eおよび防蟻具3の露出する一の端面3cとは反対側の他の端面3i)を進んだりして、建物内に侵入するのを防ぐことができる。そして、防蟻具3の基礎構築後取付け設置形態(
図4参照)においても、シロアリが、防蟻具3と配管材2との境界部分、つまり防蟻具3の内周面3hを進んだり、防蟻具3と基礎躯体1との境界部分、つまり防蟻具3のフランジ部3b側の端面3dを進んだりして、建物内に侵入するのを防ぐことができる。すなわち、この防蟻具3によると、基礎構築前取付け設置形態と基礎構築後取付け設置形態との、いずれの設置形態においても、シロアリの侵入を防止することができる。そして、これにより、防蟻具3の取付けを、基礎躯体1の構築の前後を問わず行なうことができる。
【0025】
しかも、防蟻具3を、フランジ部3bを備えた構成とすることで、その防蟻具3の体積はそれほど大きくならず、その結果、基礎構築前取付け設置形態において、防蟻具3が埋設されることによる基礎躯体1の強度の低下を抑えることができる。
【0026】
また、防蟻具3にスリット3gが設けられることで、この防蟻具3を配管材2に嵌めた後に、スリット3gを閉じるように防蟻具3を締め付けることで(図示実施の形態においては、バインド線4で防蟻具3の外周面3eを締め付けることで)、この防蟻具3を、配管材2に密着させることができる。
【0027】
また、基礎構築前取付け設置形態において、防蟻具3は、基礎躯体1に埋設されるものの、一の端面3cが基礎躯体1の表面に露出するため、この防蟻具3の有無を目視で確認することができる。
【0028】
図5〜
図7は、本発明の第二の実施の形態を示す。この実施の形態は、第一の実施の形態とは、防蟻具3が、フランジ部3bを備えず、その分、外径が大となるように形成されるが、他はほぼ同様であり、以下に、同様の部位には同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0029】
防蟻具3は、防蟻成分を含有する材料(例えば、防蟻成分を含有するゴム)により形成される。この防蟻具3は、配管材2に嵌まるようその配管材2(図示実施の形態においては、断面円形に形成された配管材)の外径に対応する内径を有する筒状(図示実施の形態においては、円筒形)に形成される。そこで、防蟻具3は、基礎躯体1の構築前に、配管材2に嵌められて取り付けられ、基礎躯体1の構築によって、その基礎躯体1に埋設されて設置される、基礎構築前取付け設置形態(
図6参照)と、基礎躯体1の構築後に、前記防蟻具3の軸方向の一方の端面3jが基礎躯体1の表面に当接するようにして配管材2に嵌められて取付け設置される、基礎構築後取付け設置形態(
図7参照)とを、選択して設置可能となっている。
【0030】
詳細には、基礎構築前取付け設置形態(
図6参照)においては、基礎躯体1の構築によって、防蟻具3の軸方向の一の端面3cが基礎躯体1の表面に露出するようにしてその基礎躯体1に埋設されて設置される。そして、その一の端面3cまたはその一の端面3cとは反対側の他の端面3iが、基礎構築後取付け設置形態(
図7参照)における、防蟻具3の前記一方の端面3jとなる。
【0031】
ここにおいて、防蟻具3の内周面3hの軸方向寸法3xは、防蟻具3と配管材2との境界部分を進むシロアリの歩行限界距離よりも長く形成され、かつ、防蟻具3の前記一方の端面3jの内外周間寸法3yは、防蟻具3と基礎躯体1との境界部分を進むシロアリの歩行限界距離よりも長く形成される。
【0032】
また、第一の実施の形態に示す防蟻具3と同様に、防蟻具3は、その外周面3eに、全周に渡る凹部3fが形成され、その防蟻具3には、周方向を分断するように、内外を貫通するとともに軸方向全体に延びる、スリット(図示せず)が設けられる。そこで、防蟻具3がゴムにより形成されることから、このスリットを広げることができ、配管材2への防蟻具3の取付けにあたっては、防蟻具3を、その広がったスリット側から配管材2へ被せることができる。そして、防蟻具3を配管材2へ被せた後には、防蟻具3の外周面3e(詳しくは、凹部3f)にバインド線4を巻き、そのバインド線4で防蟻具3の外周面3eを締め付けることで、この防蟻具3は、配管材2に取付固定される。なお、
図7における符号5は、釘とかビス等の固着具を示し、この固着具5が、防蟻具3を貫通して基礎躯体1に打ち込まれたりねじ込まれたりすることで、防蟻具3は、基礎躯体1に固定される。
【0033】
ところで、基礎構築前取付け設置形態によって形成される、配管材貫通部の防蟻構造6は、基礎躯体1に対し、配管材2が貫通する貫通部からのシロアリの侵入を防ぐ、防蟻構造であって、基礎躯体1と配管材2と前述した防蟻具3とを備え、前記防蟻具3は、前記配管材2に嵌められて取り付けられ、前記基礎躯体1に埋設されて設置される(
図6参照)。
【0034】
また、基礎構築後取付け設置形態によって形成される、配管材貫通部の防蟻構造7は、基礎躯体1に対し、配管材2が貫通する貫通部からのシロアリの侵入を防ぐ、防蟻構造であって、基礎躯体1と配管材2と前述した防蟻具3とを備え、前記防蟻具3は、その防蟻具3の軸方向の一方の端面3jが前記基礎躯体1の表面に当接するようにして前記配管材2に嵌められて取付け設置される(
図7参照)。
【0035】
次に、この第二の実施の形態に示す防蟻具3の作用効果について説明する。この防蟻具3によると、防蟻具3は、配管材2に嵌まるよう筒状に形成される。そして、防蟻具3の内周面3hの軸方向寸法3xと、防蟻具3の一方の端面3jの内外周間寸法3yとは、シロアリの歩行限界距離よりも長く形成される。これにより、防蟻具3の基礎構築前取付け設置形態(
図6参照)において、シロアリが、防蟻具3と配管材2との境界部分、つまり防蟻具3の内周面3hを進んだり、防蟻具3と基礎躯体1との境界部分、つまり防蟻具3の外周面3eなど(詳細には、外周面3eおよび防蟻具3の露出する一の端面3cとは反対側の他の端面3i)を進んだりして、建物内に侵入するのを防ぐことができる。そして、防蟻具3の基礎構築後取付け設置形態(
図7参照)においても、シロアリが、防蟻具3と配管材2との境界部分、つまり防蟻具3の内周面3hを進んだり、防蟻具3と基礎躯体1との境界部分、つまり防蟻具3の一方の端面3jを進んだりして、建物内に侵入するのを防ぐことができる。すなわち、この防蟻具3によると、基礎構築前取付け設置形態と基礎構築後取付け設置形態との、いずれの設置形態においても、シロアリの侵入を防止することができる。そして、これにより、防蟻具3の取付けを、基礎躯体1の構築の前後を問わず行なうことができる。
【0036】
また、防蟻具3にスリット3gが設けられることで、この防蟻具3を配管材2に嵌めた後に、スリット3gを閉じるように防蟻具3を締め付けることで(図示実施の形態においては、バインド線4で防蟻具3の外周面3eを締め付けることで)、この防蟻具3を、配管材2に密着させることができる。
【0037】
また、基礎構築前取付け設置形態において、防蟻具3は、基礎躯体1に埋設されるものの、一の端面3cが基礎躯体1の表面に露出するため、この防蟻具3の有無を目視で確認することができる。
【0038】
図8〜
図13は、本発明の第三の実施の形態を示す。この実施の形態は、第一の実施の形態とは、防蟻具3の外周形状が異なるが、他はほぼ同様であり、以下に、同様の部位には同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0039】
防蟻具3は、防蟻成分を含有する材料(例えば、防蟻成分を含有するゴム)により形成される。この防蟻具3は、配管材2に嵌まるようその配管材2(図示実施の形態においては、断面円形に形成された配管材)の外径に対応する内径を有する筒状に形成される。そこで、防蟻具3は、基礎躯体1の構築前に、配管材2に嵌められて取り付けられ、基礎躯体1の構築によって、その基礎躯体1に埋設されて設置される、基礎構築前取付け設置形態(
図12参照)と、基礎躯体1の構築後に、防蟻具3の軸方向の一方の端面3jが基礎躯体1の表面に当接するようにして配管材2に嵌められて取付け設置される、基礎構築後取付け設置形態(
図13参照)とを、選択して設置可能となっている。
【0040】
ここにおいて、防蟻具3の内周面3hの軸方向寸法3xは、防蟻具3と配管材2との境界部分を進むシロアリの歩行限界距離よりも長く形成され、かつ、防蟻具3の前記一方の端面3jの内外周間寸法3yは、防蟻具3と基礎躯体1との境界部分を進むシロアリの歩行限界距離よりも長く形成される。さらに、防蟻具3の内周面3hと前記一方の端面3jとの交わるコーナー3kから、一方の端面3jとは反対側の他方の端面3mおよび外周面3e
(すなわち、他方の端面3mおよびその端面3mに続く外周面3eにおける任意の点)までの寸法3zが、その間を防蟻具3の内部を進むシロアリの歩行限界距離よりも長く形成される。
【0041】
また、基礎構築前取付け設置形態(
図12参照)においては、基礎躯体1の構築によって、防蟻具3の軸方向の一の端面3cが基礎躯体1の表面に露出するようにしてその基礎躯体1に埋設されて設置される。そして、図示実施の形態においては、この一の端面3cは、前記一方の端面3jからなる。
【0042】
具体的には、防蟻具3は、前記一方の端面3j側が径大となり前記他方の端面3m側が径小となる段付き環状形状をしている。そして、防蟻具3は、他方の端面3m側が弧状に湾曲して形成されている。また、この防蟻具3の一方の端面3jには、基礎躯体1との間に隙間を形成するように窪む第1凹部3nが形成され、同様に、防蟻具3の内周面3hには、配管材2との間に隙間を形成するように窪む第2凹部3pが形成されている。そして、これら第1および第2凹部3n、3pは、防蟻成分を含有する隙間材3q、例えばブチルゴム等で埋められる。こうして、防蟻具3は、隙間材3qを有し、この隙間材3qを含めて、前記軸方向寸法3x、内外周間寸法3y、並びにコーナー3kから他方の端面3mおよび外周面3eまでの寸法3zが測られる。
【0043】
そして、防蟻具3は、周方向を分断するように、内外を貫通するとともに軸方向全体に延びる、スリット3gが設けられている(
図8、
図10、
図11参照)。詳細には、スリット3gは、複数(図示実施の形態においては、二つ)設けられることで、防蟻具3が複数(図示実施の形態においては、二つ)の分割体301、301からなっている。ここで、これら分割体301、301は、同一形状に形成されている。そして、分割体301は、スリット3gを形成する端面3r、3rに、互いの端面3r、3rが離間しないように抜け止めされた状態で係合する係合部3s、3sが設けられている。これら係合部3s、3sは、防蟻具3の軸方向に延びるように形成されており、分割体301、301をその軸方向に相対移動させることで、これら係合部3s、3sが互いに係合する。詳細には、これら係合部3s、3sは、一方が、ありみぞ形状の係合凹部3tからなり、他方が、その係合凹部3tに嵌まるありほぞ形状の係合凸部3uからなる。
【0044】
また、防蟻具3(つまり、分割体301、301)は、その外周面3eから突出するようにして取付部3vを有し、その取付部3vには取付孔3wが設けられる。そこで、釘とかビス等の固着具5を、取付孔3wに挿入し、基礎躯体1に打ち込んだりねじ込んだりすることで、この防蟻具3は、基礎躯体1に固定される。
【0045】
ところで、基礎構築前取付け設置形態によって形成される、配管材貫通部の防蟻構造6は、基礎躯体1に対し、配管材2が貫通する貫通部からのシロアリの侵入を防ぐ、防蟻構造であって、基礎躯体1と配管材2と前述した防蟻具3とを備え、前記防蟻具3は、前記配管材2に嵌められて取り付けられ、前記基礎躯体1に埋設されて設置される(
図12参照)。
【0046】
また、基礎構築後取付け設置形態によって形成される、配管材貫通部の防蟻構造7は、基礎躯体1に対し、配管材2が貫通する貫通部からのシロアリの侵入を防ぐ、防蟻構造であって、基礎躯体1と配管材2と前述した防蟻具3とを備え、前記防蟻具3は、その防蟻具3の軸方向の一方の端面3jが前記基礎躯体1の表面に当接するようにして前記配管材2に嵌められて取付け設置される(
図13参照)。
【0047】
次に、この第三の実施の形態に示す防蟻具3の作用効果について説明する。この防蟻具3によると、防蟻具3は、配管材2に嵌まるよう筒状に形成される。そして、防蟻具3の内周面3hの軸方向寸法3xと、防蟻具3の一方の端面3jの内外周間寸法3yとは、シロアリの歩行限界距離よりも長く形成される。これにより、防蟻具3の基礎構築前取付け設置形態(
図12参照)において、シロアリが、防蟻具3と配管材2との境界部分、つまり防蟻具3の内周面3hを進んだり、防蟻具3と基礎躯体1との境界部分、つまり防蟻具3の外周面3eなど(詳細には、外周面3eおよび防蟻具3の露出する一の端面3cとは反対側の他の端面3i)を進んだりして、建物内に侵入するのを防ぐことができる。そして、防蟻具3の基礎構築後取付け設置形態(
図13参照)においても、シロアリが、防蟻具3と配管材2との境界部分、つまり防蟻具3の内周面3hを進んだり、防蟻具3と基礎躯体1との境界部分、つまり防蟻具3の一方の端面3jを進んだりして、建物内に侵入するのを防ぐことができる。すなわち、この防蟻具3によると、基礎構築前取付け設置形態と基礎構築後取付け設置形態との、いずれの設置形態においても、シロアリの侵入を防止することができる。そして、これにより、防蟻具3の取付けを、基礎躯体1の構築の前後を問わず行なうことができる。
【0048】
また、図示実施の形態においては、防蟻具3の内周面3hと一方の端面3jとの交わるコーナー3kから、一方の端面3jとは反対側の他方の端面3mおよび外周面3eまでの寸法3zが、その間を防蟻具3の内部を進むシロアリの歩行限界距離よりも長く形成されている。こうして、防蟻具3の内周面3hの軸方向寸法3xと、防蟻具3の一方の端面3jの内外周間寸法3yに加えて、防蟻具3の内周面3hと一方の端面3jとの交わるコーナー3kから、一方の端面3jとは反対側の他方の端面3mおよび外周面3eまでの寸法3zというように、防蟻具3の各寸法を、シロアリの歩行限界距離よりも長く形成することで、シロアリの進入を的確に防止することができる。
【0049】
また、防蟻具3が、複数(図示実施の形態においては、二つ)の分割体301、301からなる。このため、配管材2を挟むようにして、複数の分割体301、301を組み付けることで、それら分割体301、301からなる防蟻具3を、配管材2に簡単に取り付けることができる。
【0050】
また、基礎構築前取付け設置形態において、防蟻具3は、基礎躯体1に埋設されるものの、一の端面3cが基礎躯体1の表面に露出するため、この防蟻具3の有無を目視で確認することができる。
【0051】
図14は、本発明の第四の実施の形態を示す。この実施の形態は、第三の実施の形態とは、防蟻具3が、基礎躯体1部分に設置されるだけでなく、床板8部分にも設置される点が異なるが、他はほぼ同様であり、以下に、同様の部位には同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0052】
この実施の形態においては、配管材2は、基礎躯体1を貫通し、さらに、その基礎躯体1の上方に位置する床板8を貫通する。そして、防蟻具3は、二つ用いられ、一方は、第三の実施の形態と同様に基礎躯体1部分に設置され、もう一方は、床板8部分に設置される。この床板8部分の防蟻具3は、その防蟻具3の軸方向の一方の端面3jが床板8の裏面に当接するようにして配管材2に嵌められて取付け設置される。ここで、
図14は、一方の防蟻具3が基礎構築後取付け設置形態であるところの縦断面図を示すが、基礎構築前取付け設置形態においても、もう一方の防蟻具3は、同様に、その防蟻具3の軸方向の一方の端面3jが床板8の裏面に当接するようにして配管材2に嵌められて取付け設置される。
【0053】
ところで、配管材2は、配線・配管材9(配線材または配管材)を収容保護する鞘管2aからなる。ここで、鞘管2aは、防蟻成分を含有する材料(例えば、防蟻成分を含有する合成樹脂)により形成されてもよい。また、鞘管2aは、二種類の材料が積層された二層管からなっていてもよく、この場合には、外層が、防蟻成分を含有する材料(例えば、防蟻成分を含有する合成樹脂)により形成されてもよい。なお、図中符号10は、防蟻成分を含有し、鞘管2a内にあって配線・配管材9の外周面に装着される(図示実施の形態においては、配線・配管材9の外周面と鞘管2aの内周面との間を閉塞するように装着される)防蟻材を示す。また、符号5aは、防蟻具3を床板8に固定するための固着具を示す。
【0054】
そして、この第四の実施の形態に示す防蟻具3の作用効果は、第三の実施の形態に示す防蟻具3の作用効果と同様である。
【0055】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、基礎躯体1は、床下に配設される底盤でなくとも、その底盤から起立する立上り壁等であってもよい。
【0056】
また、配管材2は、断面円形に形成されたものでなくとも、断面角形等、その他の形状をしていてもよく、防蟻具3の内周面3hは、その配管材2の外周面に対応する形状を有するものであればよい。
【0057】
また、防蟻具3は、防蟻成分を含有するゴムにより形成されなくとも、防蟻成分を含有していれば、他の材料により形成されてもよい。
【0058】
また、防蟻具3には、スリット3gが一つ設けられたり、複数設けられたりするが、このスリット3gは、設けられなくともよい。そして、この場合には、防蟻具3は、配管材2に、その一端から嵌められて取り付けられる。
【0059】
また、第一および第二の実施の形態において、防蟻具3には、その外周面3eに凹部3fが設けられているが、この凹部3fはなくともよい。
【0060】
また、第一および第二の実施の形態において、防蟻具3を配管材2に取付固定するにあたって、締め具としてのバインド線4が用いられるが、帯状の締め具等、その他の締め具が用いられてもよい。もっとも、この締め具は、必要なければ、なくともよい。また、第三および第四の実施の形態においては、このバインド線4等の締め具は、用いられていないが、用いても構わない。
【0061】
また、第一の実施の形態において、基礎構築前取付け設置形態における、基礎躯体1の表面に露出する、防蟻具3の一の端面3cは、フランジ部3b側の端面3dでなくとも、防蟻具3を逆さまに設置することで、フランジ部3b側の端面3dとは反対側にある端面であってもよい。また、この基礎構築前取付け設置形態では、防蟻具3は、その端面3cが基礎躯体1の表面と面一となったり、防蟻具3の一部が基礎躯体1の表面から突出したりして、基礎躯体1の表面に部分的に露出した状態でその基礎躯体1に埋設されなくとも、露出する部分を有しない状態で基礎躯体1に完全に埋設されてもよい。
【0062】
また、第二の実施の形態においても、防蟻具3の基礎構築前取付け設置形態では、防蟻具3は、その端面3cが基礎躯体1の表面と面一となったり、防蟻具3の一部が基礎躯体1の表面から突出したりして、基礎躯体1の表面に部分的に露出した状態でその基礎躯体1に埋設されなくとも、露出する部分を有しない状態で基礎躯体1に完全に埋設されてもよい。
【0063】
また、第三の実施の形態においても、基礎構築前取付け設置形態における、基礎躯体1の表面に露出する、防蟻具3の一の端面3cは、一方の端面3jでなくとも、防蟻具3を逆さまに設置することで、一方の端面3jとは反対側にある他方の端面3mであってもよい。また、この基礎構築前取付け設置形態では、防蟻具3は、その端面3cが基礎躯体1の表面と面一となったり、防蟻具3の一部が基礎躯体1の表面から突出したりして、基礎躯体1の表面に部分的に露出した状態でその基礎躯体1に埋設されなくとも、露出する部分を有しない状態で基礎躯体1に完全に埋設されてもよい。また、このことは、第四の実施の形態においても同様である。
【0064】
また、第二の実施の形態において、防蟻具3は、筒状に形成されていればよく、第一の実施の形態に示す防蟻具3のように、筒部本体3aとフランジ部3bとを備えるものであってもよい。
【0065】
また、第三および第四の実施の形態においては、防蟻具3の内周面3hの軸方向寸法3x、防蟻具3の一方の端面3jの内外周間寸法3y、防蟻具3の内周面3hと一方の端面3jとの交わるコーナー3kから、一方の端面3jとは反対側の他方の端面3mおよび外周面3eまでの寸法3zが、シロアリの歩行限界距離よりも長く形成されるが、このことは、第一の実施の形態や第二の実施の形態に示す防蟻具3においても、適用することができる。ここで、第一の実施の形態においては、フランジ部3b側の端面3dが、ここにいう一方の端面3jとなる。