(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発光素子が実装されるとともに配線パターンが形成された実装面を有し、はんだである接合部によって前記発光素子が前記配線パターンと電気接続され、前記接合部が前記発光素子の発光方向に露出する配線基板と、
一部がシリコーン系樹脂で形成され、残りの部分が他の樹脂で形成され、前記シリコーン系樹脂で形成された第1反射層が前記他の樹脂で形成された第2反射層よりも光の反射率が高く、前記第2反射層が前記配線基板の実装面の前記接合部がある部分を除く全体を覆い、前記第1反射層が前記第2反射層に層状に重なって前記発光素子の発光方向に露出するレジストと
を備えることを特徴とする光源基板。
【背景技術】
【0002】
近年、環境配慮の社会的要請を受け、低消費電力で長寿命であるという特徴を有するLEDを光源として用いたLEDランプが普及し始めている。LEDランプについては、光の利用率を向上させることが求められている。
【0003】
従来、プリント基板(プリント配線板)に用いられているソルダーレジストには、主に、以下のような機能がある。
(1)プリント基板に部品を実装する際に用いるはんだブリッジを防止する。
(2)プリント基板に実装される部品やコネクタ等の接合部分以外へのはんだの付着を防止する。
(3)ほこり、熱、湿気等の外部環境から電極層を保護する(酸化、腐食等を防止する)。
(4)電子回路を構成する電極間の絶縁を確保し、電子機器を長期間安定して動作させる。
(5)外部からの衝撃に対してプリント基板を保護する(反り、撓み、傷等を防止する)。
【0004】
このように、ソルダーレジストは、プリント基板表面の保護を目的として使用されている。
【0005】
ランプに用いられるプリント基板(特に、LED等の光源素子を実装するプリント基板)においては、光源からの光を効率よくランプの外部に出射するため、プリント基板の表面(の基材、電極等)が光を吸収しないように、ソルダーレジストが光を反射する機能(反射機能)も備えている(例えば、特許文献1,2参照)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、実施の形態の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「表」、「裏」といった方向は、説明の便宜上、そのように記しているだけであって、装置、器具、部品等の配置や向き等を限定するものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る照明装置10の斜視図である。
【0014】
図1において、照明装置10は、着脱自在のランプ11と、ランプ11に給電してランプ11を点灯させる照明器具12とを具備する。照明装置10は、固定具(図示していない)を介して天井に取り付けられ、ランプ11が点灯することによって床面及び室内空間を照らす。なお、照明装置10は、着脱自在のランプ11を複数具備していてもよい。また、照明装置10が天井に埋め込まれるもの(例えば、ダウンライト)或いは天井以外に取り付けられるものであっても、本実施の形態を適用することができる。例えば、照明装置10は、卓上に設置されて卓上を照らすものであってもよいし、壁に固定具を介して取り付けられるものであってもよいし、他の場所或いは用途で用いられるものであってもよい。
【0015】
ランプ11は、直管形ランプである。なお、本実施の形態は、直管形ランプ以外にも適用することができる。例えば、ランプ11は、電球形ランプであってもよいし、丸管形ランプであってもよい。ランプ11については、後で詳しく説明する。
【0016】
照明器具12は、給電ソケット13、アースソケット14、器具本体15を備える。
【0017】
給電ソケット13及びアースソケット14は、ランプ11と電気的に接続される。給電ソケット13及びアースソケット14には、ランプ11を保持する役割もある。なお、アースソケット14は、ランプ11と電気的に接続されず、ランプ11を保持するだけでもよい。
【0018】
器具本体15には、給電ソケット13及びアースソケット14が取り付けられている。器具本体15には、電源ボックス(図示していない)が収納されている。電源ボックスには、スイッチを入れると給電ソケット13を介してランプ11に給電し、スイッチを切ると給電を停止する点灯装置(図示していない)が収納される。なお、点灯装置は、ランプ11の内部に収納されてもよい。
【0019】
図2は、ランプ11の斜視図である。なお、
図2では、外郭部(カバー20)の一部を取り除き、内部の構成の一部を示している。
【0020】
図2において、ランプ11は、カバー20(筒管、直管)、給電口金30、アース口金40、光源モジュール50を備える。
【0021】
カバー20は、管状部材の例である。カバー20は、透光性を有する。カバー20は、略円筒形(断面が円形の長尺筒状)で、内部に光源モジュール50を収納する。カバー20は、押出成形が可能な樹脂材料で形成される。樹脂材料としては、ポリカーボネート(PC)、アクリル等が使用される。カバー20には、製品(ランプ11)の設計仕様に応じて、拡散、反射、演色等の機能をもたせてもよい。カバー20としては、例えば、拡散材を混ぜ込んだポリカーボネートで形成され、光を拡散透過する乳白色管を用いることができる。なお、カバー20の材料は、樹脂材料に限られず、例えば、ガラス材であってもよい。また、カバー20の少なくとも一部に出光する領域があればよいため、例えば、出光側の材料を透光樹脂、出光側と逆側の材料を白色高反射樹脂としてもよい。カバー20の形状は、
図2に示した形状に限定されるものではなく、ランプ11の用途等に合わせて適宜変更してよいものとする。
【0022】
給電口金30は、口金部の例である。給電口金30は、カバー20の端部に設けられる。給電口金30は、導電性を有する給電端子31と、給電端子31が埋め込まれる給電口金筐体32(ベース部材)とを備える。給電端子31と給電口金筐体32は、インサート成形等で一体的に形成される。給電口金30としては、例えば、GX16タイプの口金を用いることができる。なお、G13タイプ等、他の種類の口金を用いてもよい。給電口金筐体32は、絶縁性を有する樹脂材料で形成される。
【0023】
アース口金40は、口金部の例である。アース口金40は、カバー20の、給電口金30とは逆側の端部に設けられる。アース口金40は、導電性を有するアース端子41と、アース端子41が埋め込まれるアース口金筐体42(ベース部材)とを備える。アース端子41とアース口金筐体42は、インサート成形等で一体的に形成される。アース口金40としては、例えば、GX16タイプの口金を用いることができる。なお、G13タイプ等、他の種類の口金を用いてもよい。アース口金筐体42は、絶縁性を有する樹脂材料で形成される。
【0024】
光源モジュール50は、光源基板80と、光源基板80が設置されるヒートシンク53とを備える。
【0025】
光源基板80は、複数のLED51と、一面に配線パターンが設けられた基板52とを備える。
【0026】
LED51は、発光素子の例である。LED51は、基板52に実装される。LED51は、基板52の表面において、直線状かつ1列に配置される。LED51と基板52の表面に設けられた配線パターンが接続されることで、光源回路が形成される。LED51としては、例えば、440〜480nm程度の青色光を発するLEDチップ上に青色光を黄色光に波長変換する蛍光体を配してパッケージ化した擬似白色LEDを用いることができる。なお、チップオンボード(COB)等、LEDチップを直接基板52に実装したものを用いてもよい。LED51の個数、配置、種類は、ランプ11の用途等に応じて適宜変更することができる。また、LED51に代えて、レーザダイオード(LD)、有機EL(エレクトロルミネッセンス)等のデバイス等(発光素子)を使用することもできる。例えば、有機EL等であれば、複数の発光素子を基板52に実装する代わりに、1つの長尺な発光素子を基板52に実装してもよい。
【0027】
基板52は、長尺(長手状)であり、長さが幅よりも長くなっている。基板52には、その長手方向(長さ方向)に沿ってLED51が複数実装されている。基板52には、ダイオード、フューズ、抵抗等からなる、LED51を点灯させるための点灯回路素子(図示していない)も実装されている。基板52が給電口金30の給電端子31と電気的に接続され、外部電源から給電端子31を介して基板52の点灯回路が給電されることにより、LED51が点灯可能となる。基板52の基材には、ガラス材料、ガラスエポキシ材料、紙フェノール材料、或いは、アルミニウム(AL)等の金属材料等が、部品配置、放熱、材料コストを勘案して選定され、使用される。基板52の厚さ寸法は、例えば1mm程度であるが、他の厚さ寸法でも構わない。基板52の配線パターンは、基板52の他面(裏面)、或いは、基板52の基材の内部に設けられてもよい。
【0028】
ヒートシンク53は、熱伝導性を有する長尺材である。ヒートシンク53は、LED51から発生する動作熱をカバー20に伝えて、外部に放散する。ヒートシンク53は、ランプ11を長尺方向に支える剛性を有しており、線膨張係数が小さいことが好ましい。ヒートシンク53は、押出成形が可能な金属材料で形成される。ヒートシンク53の金属材料としては、アルミニウム、鉄等を用いることができる。なお、ヒートシンク53の材料は、金属材料に限られず、例えば、高熱伝導樹脂であってもよい。
【0029】
図3は、ランプ11のA−A断面図である。
図4は、カバー20の断面図である。
図5は、光源モジュール50の断面図である。
図3は、
図2のA−A線でのランプ11の切断面を示している。
図4は、
図3のランプ11のカバー20のみを示している。
図5は、
図3のランプ11の光源モジュール50のみを示している。
【0030】
図3において、カバー20の外周面21は、略円形である。カバー20の内周面22は、略円形の一部が突出した形状である。カバー20の内周面22の突出した部分は5箇所あり、そのうち対向する2箇所が1対の保持突起23を形成し、残りの3箇所が維持突起24を形成している。カバー20は、押出成形にて製造される。
【0031】
光源モジュール50は、カバー20の内周面22の軸方向(筒方向)に沿って、カバー20の内部に挿入される。
【0032】
ヒートシンク53は、1対の壁部54、基板設置部55、1対の円弧部57、係持部61を有する。
【0033】
1対の壁部54は、基板設置部55に基板52を設置する際の位置決め(ガイド)の機能を有する。壁部54は、基板52に実装されるLED51以外の点灯回路部品(基板間コネクタ等)(図示していない)を、カバー20の外側から視認されないように遮蔽する。
【0034】
基板設置部55には、接着部材70を用いて、基板52が固定されている。例えば、接着性を有するシリコーン樹脂(接着剤)、或いは、両面テープ等を接着部材70として用いて、LED51及び点灯回路部品が実装された基板52が基板設置部55に貼り付けられて固定される。なお、基板52は、ねじ留め等、他の方法を用いて基板設置部55に固定されてもよい。或いは、基板52は、基板設置部55に一体的に設置されてもよい。即ち、基板設置部55に基板52の回路パターンが形成されていてもよい。
【0035】
基板設置部55、壁部54を基板設置部55より下方に延伸させた部分、円弧部57で囲まれた領域には、空隙60が形成されている。
【0036】
基板設置部55には、ねじ固定部56が設けられる。ねじ固定部56は、ランプ11の外側から給電口金30及びアース口金40を通して、カバー20の内周面22の軸方向に挿入されるねじ(図示していない)をねじ込むための構造体である。ねじ固定部56には、ねじがねじ込まれるねじ孔58が設けられている。つまり、ねじ孔58は、基板設置部55の基板52が設置される面の反対側の面に、カバー20の内周面22の軸方向に沿って設けられている。ヒートシンク53を押出成形により製造するため、ねじ固定部56の最下部が開口していることが好ましい。ねじは、ヒートシンク53と給電口金30及びアース口金40とを締結するための締結部材の例であり、ねじ孔58は、この締結部材が挿入される溝(ねじ固定部56の最下部が開口していなければ、穴)の例である。ねじ孔58にねじがねじ込まれることで、給電口金30及びアース口金40がヒートシンク53に固定される。なお、給電口金30及びアース口金40は、他の方法によりねじ留めされてもよいし、ねじ留め以外の方法により固定されてもよい。
【0037】
1対の円弧部57は、1対の延部の例である。円弧部57は、カバー20の内周面22に沿って円弧状に延びるように形成される。円弧部57は、カバー20の内周面22と略同一の曲率をもち、カバー20の内周面22に当接又は近接している。円弧部57は、LED51の動作熱をカバー20の外部に放散する経路となる。円弧部57のカバー20の内周面22に沿って延びる面とカバー20の内周面22との間には、接着剤、又は、熱伝導グリースや熱伝導シート等の熱伝導部材が設けられていてもよい。接着剤又は熱伝導部材を配するかどうかは、使用するLED51や回路素子等の耐熱温度、寿命、強度等から適宜決定すればよい。
【0038】
ヒートシンク53の断面では、基板設置部55と壁部54、延伸した壁部54と円弧部57が接続している。基板設置部55及び円弧部57は、壁部54より外側に延伸している。係持部61は、基板設置部55及び円弧部57の、壁部54より外側に延伸した部分と、これらの間にあって、これらをつないでいる壁部54の基板設置部55より下方に延伸した部分とで形成される。光源モジュール50がカバー20の内部に収容されるときには、カバー20の内周面22に設けられた保持突起23と係持部61が係合することで、光源モジュール50が、回動することなくカバー20の内部に安定して保持される。ランプ11の組立工程において、光源モジュール50がカバー20の内部に挿入されるとき、互いに係合する係持部61と保持突起23は、挿入ガイドとして機能する。
【0039】
LED51の出光側と反対側には、凹部59が形成される。基板設置部55と円弧部57は、凹部59の壁をなしている。凹部59とカバー20の内周面22で囲われる領域は、空隙60になっている。つまり、基板設置部55の基板52が設置される面の反対側の面とカバー20の内周面22との間は、空隙60になっている。
【0040】
ヒートシンク53は、基板52に実装されたLED51、回路部品(素子等)がLED51の点灯時に発生する熱、即ち、基板52に発生する熱を、基板設置部55から1対の円弧部57を介してカバー20に伝導させることで放熱する。
【0041】
前述したように、カバー20の保持突起23は、ヒートシンク53の係持部61と係合する。保持突起23は、カバー20の内周面22からカバー20の内側に向かって、所定の高さ寸法で立設する。カバー20が押出成形されるため、保持突起23は、カバー20の内周面22の軸方向に延在する。
【0042】
カバー20の保持突起23に挟まれた領域には、維持突起24が形成される。維持突起24は、突出部の例である。維持突起24は、カバー20の内周面22からカバー20の内側に向かって、所定の高さ寸法で3つ立設する。カバー20が押出成形されるため、維持突起24も、カバー20の内周面22の軸方向に延在する。なお、維持突起24は、3箇所ではなく、1箇所のみに設けられてもよいし、2箇所に設けられてもよいし、4箇所以上に設けられてもよい。
【0043】
上記のように、本実施の形態において、維持突起24は、カバー20の内周面22の、基板設置部55の基板52が設置される面の反対側の面に対向する箇所に設けられ、基板設置部55に向かって突出する。維持突起24は、ヒートシンク53の1対の円弧部57の間に設けられている。維持突起24は、基板設置部55のねじ固定部56、即ち、ねじ孔58を形成する壁の外面に当たることでカバー20の反りを矯正するが、カバー20に反りが発生していない状態では、基板設置部55から離れている。このため、LED51の点灯が開始しても、ヒートシンク53からカバー20の最上部への伝熱がなく、カバー20の最上部の温度上昇が抑制され、カバー20の上下部の温度差が大きくなりにくい。それでも、LED51の点灯が長時間継続して、カバー20の上下部の温度差が徐々に大きくなり、カバー20に反りが発生した場合は、維持突起24が基板設置部55に当たることで反りが大きくなることが防止される。このように、本実施の形態によれば、簡素な構成によってランプ11の反りを抑制することが可能となる。なお、維持突起24が、基板設置部55のねじ固定部56以外の部分に当たるようにしてもよい。
【0044】
カバー20の維持突起24の先端部と、ヒートシンク53のねじ固定部56の先端部との間隙は、例えば、カバー20の内周面22の軸方向の長さ寸法等の設計仕様を勘案して、0.2〜2.0mmの範囲で最適値が選択されて設定される。この数値は、線膨張係数が小さく、剛性が大きいヒートシンク53を基準にした、線膨張係数が大きく、可撓性を有するカバー20の最大変形(反り)寸法を決定する数値である。厳密には、ヒートシンク53も若干変形する(反る)ため、ランプ11の絶対的な変形(反り)寸法を直接的に制御するものではないが、ランプ11の変形(反り)は、カバー20の変形(反り)が支配的であるため、実質的にはランプ11の変形(反り)を制御することと同義である。
【0045】
保持突起23及び維持突起24のそれぞれの先端部形状は、
図4に示した形状に限定されるものではない。カバー20の各部の寸法も、
図4に示した寸法に限定されるものではないが、カバー20の押出成形の最適条件を優先すると、T1=T2=T3=T4となることが好ましい。ここで、T1はカバー20の厚さ寸法(外周面21と内周面22との間の距離)、T2は保持突起23の平均厚さ寸法、T3は維持突起24の平均厚さ寸法、T4はそれぞれの維持突起24の間隔の平均寸法である。
【0046】
ヒートシンク53の形状は、
図5に示した形状に限定されるものではなく、ランプ11の用途等に合わせて適宜変更してよいものとする。光源モジュール50の各部の寸法も、
図5に示した寸法に限定されるものではないが、ヒートシンク53の押出成形の最適条件を優先すると、T5=T6=T7となることが好ましい。ここで、T5は基板設置部55のねじ固定部56を除いた部分の平均厚さ寸法、T6は壁部54を基板設置部55より下方に延伸させた部分の平均厚さ寸法、T7は円弧部57の平均厚さ寸法である。
【0047】
なお、本実施の形態において、ヒートシンク53は、必須の構成要素ではない。即ち、ランプ11は、ヒートシンク53を備えていなくてもよい。
【0048】
また、本実施の形態において、光源基板80は、着脱自在のランプ11に備えられる代わりに、照明器具12に直付けされてもよい。
【0049】
図6は、光源基板80の斜視図である。
図7は、光源基板80のB−B断面図である。
図7は、
図6のB−B線での光源基板80の切断面を示している。
【0050】
図6,7において、光源基板80は、複数のLED51(LEDパッケージ)が実装される実装面を有する基板52(配線基板)と、シリコーン系樹脂で形成され、基板52の実装面に設置される反射部81(レジスト又はソルダーレジスト)とを備える。
【0051】
前述したように、LED51の個数は任意であるが、LED51を複数用いる場合の光源回路は、複数のLED51を直列接続した直列回路、複数のLED51を並列接続した並列回路、これらを組み合わせた直並列回路のいずれであってもよい。
【0052】
基板52は、ベース83(基材)、絶縁層84、電極層85を備える。ベース83は、放熱性能に優れるアルミニウムで形成される。なお、ベース83は、アルミニウム以外の金属材料、ガラス材料、ガラスエポキシ材料、紙フェノール材料等で形成されてもよい。絶縁層84は、ベース83に重なって形成される。電極層85は、絶縁層84に重なって形成される。電極層85の材質は、導電性に優れた材料であれば、任意の材料でよい。基板52の実装面には配線パターンが形成されており、この配線パターンは電極層85に含まれる。配線パターンは、基板52の実装面と反対側の面(非実装面)、或いは、ベース83(基材)の内部に形成されてもよい。基板52の形状は、長尺状でなく、円形状又はドーナツ状であってもよい(特に、ランプ11として、直管形ランプの代わりに、電球形ランプを適用する場合)。基板52は、リジットタイプのものに限定されず、フレキシブルタイプの(シート状の)ものでもよい。
【0053】
LED51は、パッケージ本体86、電極87、放熱板88を備える。電極87は、接合部82(はんだ)によって基板52の配線パターンと電気的に接続される。前述した点灯装置から光源基板80に電力が供給されると、基板52の配線パターン、接合部82、LED51の電極87を介して、LED51のパッケージ本体86に内蔵されるLED素子に電流が流れ、これにより、LED51が点灯する。なお、LED51と基板52の配線パターンとの接続は、はんだ付けに限らず、例えば、溶接により行ってもよいし、ACF(異方性導電膜)を用いて行ってもよい。
【0054】
反射部81は、基材にシリコーン系樹脂を使用したシリコーン系高反射レジスト層で形成される。反射部81は、基板52の電極層85に層状に重なってLED51の発光方向に露出する。反射部81は、接合部82を除く基板52の実装面の全体に敷設される。つまり、反射部81は、シリコーン系樹脂の膜であり、基板52の実装面に形成された配線パターンのLED51との電気接続部分(接合部82がある部分)以外を覆っている。
【0055】
反射部81を形成するシリコーン系高反射レジスト層は、従来のソルダーレジストの機能(基板52の表面を保護する機能)を兼ね備える。反射部81は、反射率の向上のため、白色が好適である。反射部81は、湿式のレジストでも乾式のレジストでもよく、湿式のレジストの場合、熱硬化(低精度)により乾燥させたものでも紫外線硬化(高精度)により乾燥させたものでもよい。
【0056】
エポキシ系の樹脂材料は、接着力及び機械的強度が高いという特長を有しており、また、比較的安価である。しかし、一般的なエポキシ系樹脂は、反射率が85%を下回る。そのため、エポキシ系樹脂を使用したレジストでは、近年高まっている高輝度(高出力)化への要求を満たすことは難しい。また、LED51自体の高輝度(高出力)化に伴い、電流が増加して、LED51が発する動作熱が大きくなると、ランプ11(又は照明装置10)の温度が高くなる。一般的なエポキシ系樹脂には、高温環境にさらされると酸化して黄色く変色(黄変)する傾向があるという短所もある。
【0057】
これに対し、シリコーン系樹脂は、反射率が90%以上である。70μmの層厚寸法での理論値は98%である。50μmの層厚寸法での測定値は92〜96%である。よって、シリコーン系樹脂を使用したレジストでは、高輝度(高出力)化への要求を満たすことが可能となる。また、シリコーン系樹脂は、120℃程度の高熱又は強い光に長時間さらされても変色しないという優位な特性を有する。例えば、基板52にLED51をはんだ付けする工程では、基板52(に敷設されたレジスト)は250℃を超える環境にさらされる。レジストの基材にシリコーン系樹脂を採用した場合には、変色による光学特性の変化(反射率の低下、及び、反射光の色相変化)が発生しない。さらに、シリコーン系樹脂は、屋外建造物の塗料に用いられるほどの優れた耐候性を有している。
【0058】
本実施の形態では、基板52の実装面に設置される反射部81が、上記のようなシリコーン系樹脂で形成されている。そのため、反射部81によって、基板52の実装面を保護できるだけでなく、LED51から直接又は間接的に照射される光を90%以上という高い比率で反射して照明に利用することができる。よって、高輝度(高出力)化を実現することが可能となる。しかも、高輝度(高出力)化に伴って発生する高温の熱及び強い光の影響により反射部81が劣化することがないため、高輝度(高出力)化を安定して維持することが可能となる。
【0059】
90%以上の反射率を確保するため、反射部81の厚さは50μm以上であることが望ましい。コスト等の観点から、反射部81の厚さは70μm以下であることが望ましい。つまり、反射部81は、50〜70μmの層厚寸法が好適である。基板52の表面の色は通常は白色ではないため、光を吸収しやすい。反射部81の厚さが薄いと、反射部81を透過する光の量が多くなり、下地の色(基板52の表面の色)の影響を受ける。しかし、反射部81の厚さが50μm以上であれば、反射部81でほとんどの光が反射されるため、下地の色の影響は無視できる程度となる。
【0060】
なお、90%以上の反射率が得られるものであれば、シリコーン系樹脂以外の材料を反射部81に使用してもよい。例えば、セラミック系高反射レジスト又はフッ素エポキシ系高反射レジストを反射部81に使用してもよい。
【0061】
反射部81は、全体がシリコーン系樹脂で形成されていることが望ましいが、少なくとも一部がシリコーン系樹脂で形成されていればよい。例えば、反射部81が、シリコーン系樹脂で形成された第1部分と、他の樹脂(エポキシ系樹脂等)で形成された第2部分とで構成されてもよい。このとき、反射部81の第1部分は、反射部81の第2部分よりも光の反射率が高ければよい。反射部81の第1部分及び第2部分の位置関係は、後述する実施の形態2のように、第1部分が第2部分に層状に重なってLED51の発光方向に露出するという関係でもよいし、互いに隣接して第1部分及び第2部分の両方がLED51の発光方向に露出するという関係でもよいし、その他の関係でもよい。第1部分及び第2部分が互いに隣接する場合は、第1部分で90%以上の反射率を得るために、第1部分の厚さを50μm以上とすることが望ましい。
【0062】
図8は、光源基板80の製造方法を示すフローチャートである。
【0063】
図8のS1(積層工程)では、銅箔等で形成された電極層85のうち、残す部分(配線パターン)に、エッチングレジストをシルク印刷する。エッチングレジスト印刷を施した部分以外の銅箔を除去する。残った部分のエッチングレジストを剥離することによって電極層85に回路パターンが形成される。
【0064】
図8のS2(高反射レジスト層形成工程)では、塗布、印刷、貼合等の方法を用いて基板52の実装面に高反射レジスト(反射部81)を形成する。
【0065】
図8のS3(乾燥工程)では、高反射レジストを形成する樹脂材料が湿式の場合に、仮乾燥を行う。
【0066】
図8のS4(紫外線硬化工程)では、ネガフィルムを通して紫外線を照射し、高反射レジストを形成する樹脂材料を硬化させる。
【0067】
図8のS5(洗浄工程)では、紫外線がネガフィルムによって遮蔽され、紫外線硬化していない高反射レジストを形成する樹脂材料を洗浄する。
【0068】
図8のS6(加熱硬化工程)では、高反射レジストを加熱することで保護膜として強化する。
【0069】
図8のS7(実装工程)では、LED51を基板52の実装面にはんだ付けして、電極層85に形成された回路パターンにLED51の電極87を電気的に接続する。
【0070】
以上説明したように、本実施の形態に係る光源基板80は、発光素子と、一面に発光素子が実装されるとともに、当該一面に発光素子が電気接続される接続部を有し、発光素子が電気接続されて光源回路を構成する電極層85が形成された基板52と、接続部を除く当該一面に敷設され、電極層85を保護するとともに発光素子から出射されて当該一面に到達する光を反射する反射部81とを備える。反射部81は、シリコーン系樹脂を基材とする白色のソルダーレジストであり、光の反射率が高い。そのため、効率よく光を取り出すことが可能となる。
【0071】
実施の形態2.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0072】
図9は、本実施の形態に係る照明装置10が備えるランプ11の光源基板80のB−B断面図である。
図9は、
図6のB−B線での光源基板80の切断面を示している。
【0073】
図9において、反射部81は、シリコーン系樹脂を使用したソルダーレジストである第1反射層91と、エポキシ系樹脂を使用したソルダーレジストである第2反射層92とからなる。前述したように、シリコーン系樹脂は、エポキシ系樹脂よりも光の反射率が高い。よって、第1反射層91は、第2反射層92よりも光の反射率が高い。第1反射層91は、シリコーン系樹脂で形成された第1部分の例である。第2反射層92は、他の樹脂で形成された第2部分の例である。第1反射層91及び第2反射層92は、反射率の向上のため、白色が好適である。
【0074】
本実施の形態では、基板52の実装面に設置される反射部81の一部が、シリコーン系樹脂で形成されている。そのため、実施の形態1と同様に、高輝度(高出力)化を実現することが可能となる。
【0075】
第2反射層92は、基板52の実装面に形成された配線パターンのLED51との電気接続部分(接合部82がある部分)以外を覆っている。第1反射層91は、第2反射層92に層状に重なってLED51の発光方向に露出している。
【0076】
実施の形態1では、90%以上の反射率を確保するために、反射部81のシリコーン系樹脂で形成された部分(即ち、全体)の厚さを一定以上(例えば、50μm以上)にする必要があるが、本実施の形態では、反射部81のシリコーン系樹脂で形成された部分(即ち、第1反射層91)の厚さが50μm未満であってもよい。コスト等の観点からは、シリコーン系高反射レジストである第1反射層91の厚さは薄いほうがよい。よって、第1反射層91は、20〜50μm程度の層厚寸法が好適である。前述したように、基板52の表面の色は通常は白色ではないため、光を吸収しやすい。しかし、本実施の形態では、下層に白色の第2反射層92(例えば、エポキシ系レジスト)を形成して積層構造とすることで、シリコーン系高反射レジストである第1反射層91の厚さを薄くした場合でも、第1反射層91を透過する光が第2反射層92で反射されるため、高い反射率が得られる。
【0077】
このように、本実施の形態は、LEDパッケージ内の基板面積よりもはるかに面積が大きい光源基板80の基板表面全体で高い反射率を得られるものであり、ランプ11の光利用率を向上させる上で重要な技術である。また、高価なシリコーン系高反射レジストの使用量を抑制する積層構造は、ランプ11の材料費を抑制しながら、大きな面積に高い反射率を実現する方法として有効である。即ち、シリコーン系(セラミック系或いはフッ素エポキシ系でも同様)の高反射レジスト層のみで70μm程度の層厚寸法を形成すると経済性の面で課題があるが、本実施の形態では、下地層として、反射率が90%を下回る安価な第2反射層92を敷設し、その表層に第2反射層92よりも高い反射率を有する第1反射層91を敷設し、70μm程度の層厚寸法の反射部81を2層で形成している。そのため、光学性能、保護性能、経済性のバランスが確保できる。
【0078】
シリコーン系の樹脂を基材とするシリコーン系高反射レジスト層は、エポキシ系の樹脂を基材とするものと比較して、基材が柔らかい。そのため、基板52に対する密着性を確保したり、擦れや傷等に対処したりするには、層厚寸法を大きくする必要がある。本実施の形態では、シリコーン系高反射レジスト層とエポキシ系反射レジストを積層して敷設することで、シリコーン系の樹脂材料とエポキシ系の樹脂材料の利点を併せ持つ、反射部81を形成することができる。
【0079】
光源基板80の製造方法は、
図8に示した実施の形態1のものとほとんど同じであるが、本実施の形態では、S2(高反射レジスト層形成工程)〜S6(加熱硬化工程)が、第1反射層91と第2反射層92とで1回ずつ実施される。即ち、S2(高反射レジスト層形成工程)〜S6(加熱硬化工程)が2回繰り返される。
【0080】
以上説明したように、本実施の形態では、光源基板80の反射部81が、発光素子から出射されて基板52の一面に到達する光を反射する第1反射層91と、当該一面と第1反射層91との間に敷設され、第1反射層91よりも反射率が低い第2反射層92とからなる。第1反射層91は、シリコーン系樹脂を基材とする白色のソルダーレジストであり、光の反射率が高い。そのため、効率よく光を取り出すことが可能となる。
【0081】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらの実施の形態のうち、いくつかを組み合わせて実施しても構わない。或いは、これらの実施の形態のうち、いずれか1つ又はいくつかを部分的に実施しても構わない。例えば、これらの実施の形態の説明において「部」として説明するもののうち、いずれか1つのみを採用してもよいし、いくつかの任意の組み合わせを採用してもよい。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。