(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明に係る第1および第2実施形態について説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1〜
図29の全ての図において、X、Y、およびZで表す矢印を用いて、方位を示している。Xで表す矢印の方向は、部材の短辺方向(X方向)を示している。Yで表す矢印の方向は、部材の短辺方向Xと交差した長辺方向(Y方向)を示している。Zで表す矢印の方向は、部材の積層方向(Z方向)を示している。図面における部材の大きさや比率は、説明の都合上誇張し実際の大きさや比率とは異ならせている場合がある。例えば、
図4や
図5等は、積層方向(Z方向)に沿った部材の厚みを誇張して示している。また、
図9や
図13等に示す加圧部材は、積層方向(Z方向)の厚み(最も厚い部分と最も薄い部分)の差異を誇張して示している。
【0011】
(第1実施形態)
電気デバイスについて、
図1〜
図8を参照しながら説明する。
【0012】
電気デバイスの構成を、一例としてリチウムイオン二次電池100に基づき、
図1〜
図5を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、電気デバイス(リチウムイオン二次電池100)を示す斜視図である。
図2は、
図1のリチウムイオン二次電池100を各構成部材に分解して示す分解斜視図である。
図3は、
図1のリチウムイオン二次電池100を
図1中に示す3−3線に沿って示す部分端面図である。
図4は、
図1のリチウムイオン二次電池100の正極110の両側にセラミックセパレータ130を配設した状態を互いに離間させて示す斜視図である。
図5は、
図4のセラミックセパレータ130の様々な形態(セラミックセパレータ160、170、および180)を示す斜視図である。
【0014】
正極110は、正極集電体111に正極活物質層112を備えてなる。
【0015】
正極110は、電極に相当し、導電体である正極集電体111の両面に正極活物質層112を結着して形成している。電力の充放電に用いる正極電極タブ111aは、複数積層された正極110の正極集電体111の一端に対して、溶接または接着によって固定している。
図3に示すような正極集電体111が互いに重なる部分において、ラミネートシート151または152と、発電要素140の積層方向Zに沿った側面との隙間等に相当する余剰部分Kに、ガスを留まらせ易い。余剰部分Kは、十分な体積を有している。
【0016】
正極集電体111は、例えば、アルミニウムからなり、長辺:200mm×短辺:150mm×層厚:20μmの薄膜状に形成している。正極活物質層112は、以下の材料を所定の比で混合して作製した正極スラリーを、正極電極タブ111aと接合する部分を除く正極集電体111の両面に塗工してから乾燥させて形成している。さらに、乾燥した正極活物質層112は、正極集電体111の両面に結着させている状態で、両側の層厚がそれぞれ50μmになるように、正極集電体111の両側からプレス加工している。この状態の正極活物質層112は、目付15mg/cm
2となっている。正極スラリーは、正極活物質、導電助剤、バインダー、および粘度調整溶媒を含んでいる。正極活物質として、LiNiCoAlO
2を、90wt%の比率で用いている。導電助剤として、アセチレンブラックを、5wt%の比率で用いている。バインダーとして、PVDFを、5wt%の比率で用いている。スラリーの粘度調整溶媒として、NMPを用いている。
【0017】
負極120は、負極集電体121に負極活物質層122を備えてなる。
【0018】
負極120は、正極110と極性が異なる電極に相当し、導電体である負極集電体121の両面に負極活物質層122を結着して形成している。負極電極タブ121aは、正極電極タブ111aと重ならないように、負極集電体121の一端から短辺方向(X方向)に向かって延在して形成している。負極120の長辺方向(Y方向)の長さは、正極110の長辺方向(Y方向)の長さよりも長い。負極120の短辺方向(X方向)の長さは、正極110の短辺方向(X方向)の長さと同様である。電力の充放電に用いる負極電極タブ121aは、複数積層された負極120の負極集電体121の一端に対して、溶接または接着によって固定している。負極集電体121が互いに重なる部分において、ラミネートシート151または152と、発電要素140の積層方向Zに沿った側面との隙間等に相当する余剰部分に、ガスを留まらせ易い。余剰部分は、十分な体積を有している。
【0019】
負極集電体121は、例えば、銅からなり、長辺:202mm×短辺:152mm×層厚:10μmの薄膜状に形成している。負極活物質層122は、以下の材料を所定の比で混合して作製した負極スラリーを、負極電極タブ121aと接合する部分を除く負極集電体121の両面に塗工してから乾燥させて形成している。さらに、乾燥した負極活物質層122は、負極集電体121の両面に結着させている状態で、両側の層厚がそれぞれ70μmになるように、負極集電体121の両側からプレス加工している。この状態の負極活物質層122は、目付9.5mg/cm
2となっている。負極スラリーは、負極活物質、導電助剤、バインダー、および粘度調整溶媒を含んでいる。負極活物質として、被覆天然黒鉛を、94wt%の比率で用いている。導電助剤として、アセチレンブラックを、1wt%の比率で用いている。バインダーとして、PVDFを、5wt%の比率で用いている。スラリーの粘度を調整する溶媒として、NMPを用いている。
【0020】
セラミックセパレータ130は、溶融材(ポリプロピレン層131)と、ポリプロピレン層131に積層しポリプロピレン層131よりも溶融温度が高い耐熱材(セラミックス層132)と、を含み、正極110と負極120とを電気的に隔離する。
【0021】
セラミックセパレータ130は、正極110と負極120との間に電解液を保持して、イオンの伝導性を担保している。セラミックセパレータ130は、矩形状に形成している。ポリプロピレン層131は、例えば、負極電極タブ121aの部分を除いた負極120の短辺方向(X方向)の幅および長辺方向(Y方向)の幅よりも若干大きく形成している。ポリプロピレン層131は、例えば、層厚が25μmであって、空孔率が50%である。一対のセラミックセパレータ130は、セラミックス層132同士を対向させつつ、正極110を挟持して積層している。セラミックス層132は、正極110の正極活物質層112に当接している。
【0022】
ポリプロピレン層131は、ポリプロピレンをシート状に形成している。ポリプロピレン層131には、非水溶媒に電解質を溶解することによって調製した非水電解液を含浸させている。電解質の材質は、溶媒体積比1:1のLiPF
6/EC+DECからなる。セラミックス層132は、例えば、無機化合物を高温で成形したセラミックスをポリプロピレン層131に塗布して乾燥させることによって形成している。セラミックスは、シリカ、アルミナ、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物等のセラミック粒子とバインダーの結合により形成された多孔質からなる。
【0023】
ここで、セラミックセパレータ180は、例えば
図5(C)に示すように、ポリプロピレン層181に積層したセラミックス層182において、第1の空孔の断面積(S1)が、第2の空孔の断面積(S2)よりも大きい。第1の空孔の断面積(S1)は、長辺方向(Y方向)と積層方向(Z方向)とによってなす第1の領域(D1)における空孔の断面積である。第2の空孔の断面積(S2)は、短辺方向(X方向)と積層方向(Z方向)によってなす第2の領域(D2)における空孔の断面積である。
図5(C)では、一例として、第1の空孔の断面積(S1)を第2の空孔の断面積(S2)の約2.5倍として図示している。第1の空孔の断面積(S1)を第2の空孔の断面積(S2)よりも大きくするために、セラミックス層182をポリプロピレン層181に対して選択的に形成している。
【0024】
例えば、セラミックセパレータ160は、
図5(A)に示すように、セラミックス層162を、ポリプロピレン層161に対して、長辺方向(Y方向)に沿って間欠的に形成している。すなわち、細長い帯状のセラミックス層162を、シート状のポリプロピレン層161に対して、短辺方向(X方向)に向かって長い短冊状に形成する。セラミックス層162を形成しない部分は、例えば、ポリプロピレン層161に対するセラミックスに係るスラリーの塗布を選択的に行わないことによって実現する。また、セラミックス層162を形成しない部分は、例えば、ポリプロピレン層161に帯状のマスキングテープを間欠的な短冊状に貼り付け、ポリプロピレン層161にセラミックスに係るスラリーを塗工してから乾燥させて形成し、その後にポリプロピレン層161からマスキングテープを剥離して形成することによって実現する。
【0025】
さらに、セラミックセパレータ170は、例えば、
図5(B)に示すように、セラミックス層172を、ポリプロピレン層171に対して、長辺方向(Y方向)に沿った厚みを周期的に異ならせて形成している。すなわち、短辺方向(X方向)と積層方向(Z方向)でなす断面が台形台からなる細長い帯状のセラミックス層172を、シート状のポリプロピレン層171に対して、短辺方向(X方向)に向かって密集させて短冊状に形成する。セラミックス層172は、その表面が傾斜している。セラミックス層162を傾斜させる部分は、例えば、ポリプロピレン層161に対するセラミックスに係るスラリーの塗布量を短辺方向(X方向)に沿って周期的に減少させることによって実現する。セラミックスに係るスラリーは、ポリプロピレン層161に塗布した後に、その傾斜面の形状が崩れて平滑化しないように、高粘度に設定する。
【0026】
外装材150(ラミネートシート151および152)は、正極110と負極120との間にセラミックセパレータ130を積層して構成した発電要素140を密封する。
【0027】
ラミネートシート151および152は、発電要素140を両側から被覆して封止している。発電要素140は、正極110とセラミックセパレータ130および負極120からなる単電池層を1組以上積層して構成している。ラミネートシート151および152によって発電要素140を封止する際に、そのラミネートシート151および152の周囲の一部を開放して、その他の周囲を熱溶着等によって封止している。ラミネートシート151および152の開放している部分から電解液を注入し、一対のセラミックセパレータ130に電解液を含浸させている。ラミネートシート151および152の開放部から内部を減圧することによって空気を抜きつつ、その開放部も熱融着して完全に密封している。ラミネートシート151および152によって、単電池層を複数組積層してなる発電要素140を挟持して電気デバイスを構成する。電気デバイスを複数組接続してモジュール(MD)を構成する。
【0028】
ラミネートシート151および152は、それぞれ3層構造からなる。1層目は、熱融着性樹脂に相当し、例えばポリエチレン(PE)、アイオノマー、またはエチレンビニルアセテート(EVA)を用いて形成している。1層目の材料は、負極120に隣接させている。2層目は、金属を箔状に形成したものに相当し、例えばAl箔またはNi箔を用いて形成している。3層目は、樹脂性のフィルムに相当し、例えば剛性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)またはナイロンを用いて形成している。3層目の材料は、正極110に隣接させている。
【0029】
ここで、電気デバイスの他の形態について、電極タブを長辺方向(Y方向)に向かって延在させたリチウムイオン二次電池200に基づき、
図6および
図7を参照しながら説明する。
【0030】
図6は、電気デバイス(リチウムイオン二次電池200)を示す斜視図である。
図7は、
図6のリチウムイオン二次電池200の正極210の両側にセラミックセパレータ230を配設した状態を互いに離間させて示す斜視図である。
【0031】
正極210は、正極集電体211に正極活物質層212を備えてなる。正極電極タブ211aは、正極集電体211の一端から長辺方向(Y方向)に向かって延在して形成している。負極電極タブ221aは、負極集電体221の一端から長辺方向(Y方向)に向かって延在して形成している。正極210において、正極集電体211の形状は、正極電極タブ211aの部分を除いて正極集電体111の形状と同様である。負極220において、負極集電体221の形状は、負極電極タブ221aの部分を除いて負極集電体121の形状と同様である。
【0032】
セラミックセパレータ230は、溶融材(ポリプロピレン層131)と、ポリプロピレン層131に積層しポリプロピレン層131よりも溶融温度が高い耐熱材(セラミックス層232)と、を含み、正極210と負極220とを電気的に隔離する。例えば、セラミックセパレータ230は、
図7に示すように、セラミックス層232を、ポリプロピレン層131に対して、短辺方向(X方向)に沿って間欠的に形成している。すなわち、細長い帯状のセラミックス層232を、シート状のポリプロピレン層131に対して、長辺方向(Y方向)に沿って長尺状に形成している。
【0033】
このように、正極電極タブ211aおよび負極電極タブ221aを集電体から長辺方向(Y方向)に向かって延在させ、かつ、セラミックス層232をポリプロピレン層131に対して短辺方向(X方向)に沿って間欠的に形成する構成としてもよい。
【0034】
次に、電気デバイスの使用形態を、
図8を参照しながら説明する。
【0035】
図8は、
図1のリチウムイオン二次電池100を、その発電要素140の積層方向(Z方向)が重力方向(G方向)と交差するように配設した状態を示す斜視図である。
【0036】
図8(A)に示すリチウムイオン二次電池100は、その発電要素140の短辺方向(X方向)を重力方向(G方向)に沿わせるように配設し、かつ、電極タブ(正極電極タブ111a等)が重力方向(G方向)の上方の側になるように配設している。ここで、リチウムイオン二次電池100を車両に配設して使用した場合、その車両が走行する際に振動が生じる。この振動に伴って、ガスは、正極110の正極活物質層112や負極120の負極活物質層122からセラミックセパレータ130のセラミックス層132の第1の空孔等に移動し易い。ガスは、相対的に軽量な気体であることから、短辺方向(X方向)に沿った上方の部分に向かって移動する。さらに、上方に向かって移動したガスは、電極タブ(正極電極タブ111aや負極電極タブ121a)の部分に誘導される。すなわち、発電要素140から発生するガスは、その発生した部分(充放電に寄与するアクティブエリア)から上方に排出され易く、電極タブ(正極電極タブ111a等)の部分(充放電に寄与しない非アクティブエリア)まで到達した後、その部分に留まり易い。具体的には、
図3に示すような正極110の正極電極タブ111aの近傍の余剰部分K、または負極120の負極電極タブ121aの近傍の余剰部分に、ガスを留まらせ易い。余剰部分は、ガスを貯蔵するための十分な体積を有している。
【0037】
図8(B)に示すリチウムイオン二次電池100は、その発電要素140の長辺方向(Y方向)を重力方向(G方向)に沿わせるように配設している。発電要素140から発生するガスは、短辺方向(X方向)に沿って
図8中の水平方向に移動する。ここで、ガスは、
図8中の右方に位置する電極タブ(正極電極タブ111aや負極電極タブ121a)の部分に誘導される。すなわち、リチウムイオン二次電池100は、発電要素140から発生するガスを、その発生した部分(充放電に寄与するアクティブエリア)から水平方向に排出し、電極タブ(正極電極タブ111a等)の部分(充放電に寄与しない非アクティブエリア)まで到達させた後、その部分に留まらせ易い。
【0042】
上述した第1実施形態に係る電気デバイス(リチウムイオン二次電池100)によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0043】
電気デバイス(リチウムイオン二次電池100)は、正極110、負極120、セパレータ(セラミックセパレータ130)、および外装材150(ラミネートシート151および152)を有している。正極110は、正極集電体111に正極活物質層112を備えてなる。負極120は、負極集電体121に負極活物質層122を備えてなる。セラミックセパレータ130は、溶融材(ポリプロピレン層131)と、ポリプロピレン層131に積層しポリプロピレン層131よりも溶融温度が高い耐熱材(セラミックス層132)と、を含み、正極110と負極120とを電気的に隔離する。ラミネートシート151および152は、正極110と負極120との間にセラミックセパレータ130を積層して構成した発電要素140を密封する。ここで、ポリプロピレン層131に積層したセラミックス層132は、長辺方向(Y方向)または短辺方向(X方向)と積層方向(Z方向)とによってなす第1の領域(D1)における第1の空孔の断面積(S1)が、短辺方向(X方向)または長辺方向(Y方向)と積層方向(Z方向)によってなす第2の領域(D2)における第2の空孔の断面積(S2)よりも大きい。さらに、正極110および負極120は、発電要素140から第1の空孔が延在する方向に沿って外部に延在する電極タブ(正極電極タブ111aおよび負極電極タブ121a)をそれぞれ備えている。
【0044】
このような構成によれば、リチウムイオン二次電池100は、セラミックセパレータ130のセラミックス層132に係る第1の空孔の断面積(S1)を第2の空孔の断面積(S2)よりも大きく形成している。さらに、電極タブ(正極電極タブ111aおよび負極電極タブ121a)を第1の空孔が延在する方向に沿って延在させている。すなわち、リチウムイオン二次電池100は、発電要素140から発生するガスを、その発生した部分(充放電に寄与するアクティブエリア)から排除し、セパレータの耐熱材の第1の空孔を介して電極タブ(正極電極タブ111a等)の部分(充放電に寄与しない非アクティブエリア)まで到達させた後、その部分に留まらせ易くすることができる。
【0045】
特に、電極タブ(正極電極タブ111aおよび負極電極タブ121a)が互いに重なる部分において、ラミネートシート151または152と、発電要素140の積層方向Zに沿った側面との隙間等に相当する余剰部分Kにガスを留まらせ易い。余剰部分Kは、十分な体積を有している。ここで、電極タブ(正極電極タブ111aおよび負極電極タブ121a)は、長辺方向(Y方向)に沿った同一の向きに延在させ、短辺方向(X方向)に沿って互いに隣り合わせて構成してもよい。一方、電極タブ(正極電極タブ111aおよび負極電極タブ121a)は、発電要素140の長辺方向(Y方向)において対向した向きに延在させ、短辺方向(X方向)に沿って互いに隣り合わないように構成してもよい。リチウムイオン二次電池100は、長期間にわたる使用に伴ってガスが多量に発生しても、そのガスを余剰部分に十分に留まらせることができる。したがって、リチウムイオン二次電池100は、ガスに起因した性能の低下を長期間にわたり十分に防止することができる。ガスに起因した電気性能は、例えば、Li析出など不均一な反応に起因した電池容量に係る耐久性能に相当する。特に、リチウムイオン二次電池100を搭載した電気自動車やハイブリッドカーのような車両は、高い耐久性能を維持することができる。すなわち、リチウムイオン二次電池100を車両に配設して使用した場合、その車両が走行する際に振動が生じる。この振動に伴って、ガスは、正極110の正極活物質層112や負極120の負極活物質層122からセラミックセパレータ130のセラミックス層132の第1の空孔等に移動し易い。
【0046】
さらに、セラミックス層132は、第1の空孔を短辺方向(X方向)に沿って延在させた構成とすることができる。
【0047】
このような構成によれば、発電要素で発生したガスを、長辺方向(Y方向)と比較して全長が短い短辺方向(X方向)に沿って、速やかに発電要素140の外部に排除することができる。
【0048】
さらに、セラミックス層172は、第1の空孔が延在する方向と交差する方向に沿って周期的に厚みを異ならせて、ポリプロピレン層171に積層した構成とすることができる。
【0049】
このような構成によれば、ポリプロピレン層171に対するセラミックス層172の塗工量を周期的に異ならせる等の簡便な工法によって、セラミックス層132において、例えば、長辺方向(Y方向)と積層方向(Z方向)における第1の空孔の断面積を、短辺方向(X方向)と積層方向(Z方向)における第2の空孔の断面積よりも大きく形成することができる。
【0050】
さらに、セラミックス層162は、間欠的にポリプロピレン層161に積層した構成とすることができる。
【0051】
このような構成によれば、ポリプロピレン層161に対するセラミックス層162の塗工領域を選択する等の簡便な工法によって、セラミックス層162において、短辺方向(X方向)と積層方向(Z方向)における第1の空孔の断面積を、長辺方向(Y方向)と積層方向(Z方向)における第2の空孔の断面積よりも大きく形成することができる。
【0052】
さらに、発電要素140は、第1の空孔が延在する方向を重力方向(G方向)に沿わせて配設した構成とすることができる。
【0053】
このような構成によれば、第1の空孔が延在する方向を重力方向(G方向)に沿わせることによって、ガスの移動を妨げることなく、そのガスを第1の空孔に沿って効率良く移動させることができる。すなわち、ガスは、相対的に軽量な気体であり、重力方向(G方向)の下方の側から上方の側に向かって移動し易いことから、そのガスの移動を妨げないように、第1の空孔の方向を重力方向(G方向)に合わせる。したがって、リチウムイオン二次電池100は、ガスに起因した性能の低下を防止することができる。
【0054】
さらに、発電要素140は、重力方向(G方向)の上方の側に電極タブ(正極電極タブ111aおよび負極電極タブ121a)を配設した構成とすることができる。
【0055】
このような構成によれば、発電要素140から発生し重力方向(G方向)に沿って上昇したガスを、電極タブ(正極電極タブ111a等)の部分(充放電に寄与しない非アクティブエリア)に留まらせることができる。したがって、リチウムイオン二次電池100は、ガスに起因した性能の低下を防止することができる。さらに、このような構成によれば、電極タブ(正極電極タブ111a等)を介して充放電を行うためのケーブル等やソケットを上方から取り回す構成において、特に好適である。
【0056】
さらに、第1の空孔の断面積と第2の空孔の断面積との比は、1.2以上であって2.0以下の構成とすることができる。
【0057】
このような構成によれ
ば、リチウムイオン二次電池100等の耐久後であっても、その容量を十分に維持することができる。すなわち、リチウムイオン二次電池310等は、耐久時に発生したガスに起因する電気性能の低下を防止することができる。
【0058】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る電気デバイスを、実施例1〜6に係る
図9〜
図26に加えて、対比例に係る
図27〜
図29を参照しながら説明する。第2実施形態に係る電気デバイスは、一例としてリチウムイオン二次電池310〜360の構成に基づき説明する。実施例1〜6は、リチウムイオン二次電池310〜360に対応している。
【0059】
第2実施形態に係るリチウムイオン二次電池310〜360は、セパレータ(セラミックセパレータ130)を加圧する加圧部材411等を有する構成が、前述した第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池100および200の構成と異なる。第2実施形態においては、前述した第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
【0060】
先ず、実施例1に係るリチウムイオン二次電池310の構成について、
図9〜
図12を参照しながら説明する。
【0061】
図9は、実施例1の電気デバイス(リチウムイオン二次電池310)を示す斜視図である。
図10は、
図9のリチウムイオン二次電池310の発電要素に対する加圧力の分布を示す模式図である。
図11は、
図9のリチウムイオン二次電池310を主要な構成要素毎に分解しつつ一部を省略して示す分解斜視図である。
図12は、
図9のリチウムイオン二次電池310において加圧部材411と交互に複数設けたリチウムイオン二次電池500の正極210の両側にセラミックセパレータ130を配設した状態を互いに離間させて示す斜視図である。
【0062】
リチウムイオン二次電池310は、
図9に示すように、長辺方向(Y方向)に沿って起立させ、かつ、電極タブ(正極電極タブ211a等)を重力方向(G方向)の上方に配設している。リチウムイオン二次電池310は、リチウムイオン二次電池500と加圧部410の加圧部材411を交互に積層している。
【0063】
リチウムイオン二次電池500は、
図11および
図12等に示すように、前述した正極210と負極220の間にセラミックセパレータ130を配設した構成している。
図12に示す正極電極タブ211aは、
図4に示す正極電極タブ111aと異なり、正極集電体211の一端から長辺方向(Y方向)に向かって延在している。負極電極タブ221aは、負極集電体221の一端から長辺方向(Y方向)に向かって延在している。セラミックセパレータ130は、セラミックス層132を、ポリプロピレン層131に対して、長辺方向(Y方向)に沿って間欠的に形成している。すなわち、細長い帯状のセラミックス層132を、シート状のポリプロピレン層131に対して、短辺方向(X方向)に沿って長尺状に形成している。
【0064】
加圧部410は、リチウムイオン二次電池500に内蔵した発電要素を短辺方向(X方向)および長辺方向(Y方向)に沿って加圧する。加圧部410は、加圧部材411、ボルト412、およびナット413を含んでいる。
【0065】
加圧部材411は、発電要素を短辺方向(X方向)および長辺方向(Y方向)に沿って加圧する。加圧部材411は、平面部411aと傾斜部411bを対向して形成している。傾斜部411bは、各々のリチウムイオン二次電池500の電極タブ(正極電極タブ211a等)に向かって部分的に薄くなるように、長辺方向(Y方向)の一端から他端に沿って連続的に厚みを減少させている。長辺方向(Y方向)の一端は、重力方向(G方向)の下方の側に相当する。長辺方向(Y方向)の他端は、重力方向(G方向)の上方の側に相当する。傾斜部411bは、長辺方向(Y方向)の一端の中央から他端の中央に向かって直線状に延在させた第1稜線411b1から、長辺方向(Y方向)の一端の両隅から他端の中央に向かって直線状に延在させた第2稜線411b2に沿って、連続的に厚みを減少させている。
【0066】
加圧部材411は、例えば、ステンレス鋼(SUS)からなり、積層方向(Z方向)において、厚みが最も厚い部分と、厚みが最も薄い部分の差を、例えば20μmにしている。加圧部材411は、傾斜部411bの側を外装材250(ラミネートシート251および252)に当接させ、その外装材250(ラミネートシート251および252)を介して、発電要素を積層方向(Z方向)に沿った両側から加圧している。すなわち、リチウムイオン二次電池310において、加圧部材411を介して隣り合うように4つ配設したリチウムイオン二次電池500は、それぞれ同様の圧力分布によって加圧されている。
【0067】
リチウムイオン二次電池310は、隣り合うリチウムイオン二次電池500の間に、一対の加圧部材411を挿入して構成している。隣り合う4つのリチウムイオン二次電池500は、電極タブ(正極電極タブ211a等)の向きを、重力方向(G方向)の上方の側に揃えている。一対の加圧部材411は、互いの平面部411aを背中合わせにして構成している。さらに、リチウムイオン二次電池310は、複数のリチウムイオン二次電池500のうち最外部のリチウムイオン二次電池500に、それぞれ加圧部材411を1つずつ隣接させている。全ての加圧部材411は、平面部411aと傾斜部411bとの厚みが大きい側を、重力方向(G方向)の下方の側に揃えている。
【0068】
リチウムイオン二次電池310において、
図11に示すように、複数のボルト412は、加圧部材411の外縁に沿って複数開口した貫通孔411cにそれぞれ挿通した後、それぞれナット413によって固定している。具体的には、加圧部材411の長辺方向に沿った両側に、貫通孔411cを3箇所ずつ合計6箇所形成している。6本のボルト412を、全ての加圧部材411の6箇所の貫通孔411cに挿通させ、6個のナット413によってそれぞれ締結している。加圧部材411による発電要素の加圧力は、隣り合う加圧部材411の間隔をボルト412とナット413によって調整することによって規定している。加圧部材411は、例えば、最外部のリチウムイオン二次電池500同士を1000Nの力で加圧することによって、発電要素140に対して1000Nの力を付与している。この場合、加圧部材411は、発電要素140の面内において平均約0.34kgf/cm
2で加圧していることになる。
【0069】
リチウムイオン二次電池310は、
図10に示すように、各々のリチウムイオン二次電池500に内蔵している発電要素が、短辺方向(X方向)および長辺方向(Y方向)に沿って加圧されている。発電要素は、加圧部材411の傾斜部411bによって加圧され、長辺方向(Y方向)の一端の中央における加圧力P1aは、長辺方向(Y方向)の一端の両隅および他端の中央における加圧力P1bよりも相対的に大きい。発電要素は、長辺方向(Y方向)に沿った下方の中央の部分(加圧力P1a)から上方の周辺の部分(加圧力P1b)にかけて、緩やかに加圧力が減少している。したがって、発電要素から発生するガスは、長辺方向(Y方向)に沿った下方の中央の部分から上方の周辺の部分に向かって移動する。上方の周辺の部分には、正極電極タブ211aおよび負極電極タブ221aを配設している。
【0070】
リチウムイオン二次電池310は、電極タブ(正極電極タブ211a等)を重力方向(G方向)の上方の側に配設している。発電要素から発生するガスは、相対的に軽量な気体である。すなわち、ガスは、その発生した部分(充放電に寄与するアクティブエリア)から排除し、長辺方向(Y方向)の上方に相当する重力方向(G方向)の上方の側に移動させ易く、電極タブ(正極電極タブ211a等)の部分(充放電に寄与しない非アクティブエリア)まで加圧によって強制的に到達させた後、その部分に留まらせ易い。具体的には、
図3に示すような正極210の正極電極タブ211aが互いに重なる直前等の余剰部分K等に、ガスを留まらせ易い。特に、ガスは、上方の周辺の部分に向かって移動するが、その周辺の部分には、正極電極タブ211aおよび負極電極タブ221aを配設していることから、効果的にガスを誘導して留まらせ易い。実施例1に係るリチウムイオン二次電池310は、電極タブ(正極電極タブ211a等)を介して充放電を行うためのケーブル等やソケットを上方から取り回す構成において、特に好適である。
【0071】
次に、実施例2に係るリチウムイオン二次電池320の構成について、
図13〜
図15を参照しながら説明する。
【0072】
図13は、実施例2の電気デバイス(リチウムイオン二次電池320)を示す斜視図である。
図14は、
図13のリチウムイオン二次電池320の発電要素に対する加圧力の分布を示す模式図である。
図15は、
図13のリチウムイオン二次電池320を主要な構成要素毎に分解しつつ一部を省略して示す分解斜視図である。
【0073】
リチウムイオン二次電池320は、
図13に示すように、短辺方向(X方向)に沿って起立させ、かつ、電極タブ(正極電極タブ211a等)を側方に配設している。リチウムイオン二次電池320は、リチウムイオン二次電池500と加圧部420の加圧部材421を交互に積層している。
【0074】
加圧部420は、リチウムイオン二次電池500に内蔵した発電要素を短辺方向(X方向)に沿って加圧する。加圧部420は、加圧部材421、ボルト412、およびナット413を含んでいる。
【0075】
加圧部材421は、発電要素を短辺方向(X方向)に沿って加圧する。加圧部材421は、平面部421aと傾斜部421bを対向して形成している。傾斜部421bは、短辺方向(X方向)の下方から上方に沿って連続的に厚みを減少させている。短辺方向(X方向)の上方は、重力方向(G方向)の上方の側に相当する。
【0076】
加圧部材421は、例えば、ステンレス鋼(SUS)からなり、積層方向(Z方向)において、厚みが最も厚い部分と、厚みが最も薄い部分の差を、例えば20μmにしている。加圧部材421は、傾斜部421bの側を外装材250(ラミネートシート251および252)に当接させ、その外装材250(ラミネートシート251および252)を介して、発電要素を積層方向(Z方向)に沿った両側から加圧している。
【0077】
リチウムイオン二次電池320は、隣り合うリチウムイオン二次電池500の間に、一対の加圧部材421を挿入して構成している。隣り合う4つのリチウムイオン二次電池500は、電極タブ(正極電極タブ211a等)の向きを、
図13中の右側に揃えている。一対の加圧部材421は、互いの平面部421aを背中合わせにして構成している。さらに、リチウムイオン二次電池320は、複数のリチウムイオン二次電池500のうち最外部のリチウムイオン二次電池500に、それぞれ加圧部材421を1つずつ隣接させている。全ての加圧部材421は、平面部421aと傾斜部421bとの厚みが大きい側を、重力方向(G方向)の下方の側に揃えている。
【0078】
リチウムイオン二次電池320において、
図15に示すように、6本のボルト412を、全ての加圧部材421の6箇所の貫通孔421cに挿通させ、6個のナット413によってそれぞれ締結している。加圧部材421による発電要素の加圧力は、隣り合う加圧部材421の間隔をボルト412とナット413によって調整することによって規定している。加圧部材421は、例えば、最外部のリチウムイオン二次電池500同士を1000Nの力で加圧することによって、発電要素140に対して1000Nの力を付与している。この場合、加圧部材421は、発電要素140の面内において平均約0.34kgf/cm
2で加圧していることになる。
【0079】
リチウムイオン二次電池320は、
図14に示すように、各々のリチウムイオン二次電池500に内蔵している発電要素が、短辺方向(X方向)に沿って加圧されている。発電要素は、加圧部材421の傾斜部421bによって加圧され、短辺方向(X方向)の下方における加圧力P2aは、短辺方向(X方向)の上方における加圧力P2bよりも相対的に大きい。発電要素は、短辺方向(X方向)の下方から上方にかけて、緩やかに加圧力が減少している。発電要素から発生するガスは、短辺方向(X方向)の下方から上方に向かって移動する。
【0080】
実施例2に係るリチウムイオン二次電池320は、電極タブ(正極電極タブ111a等)を介して充放電を行うためのケーブル等やソケットを側方から取り回す構成において、特に好適である。
【0081】
次に、実施例3に係るリチウムイオン二次電池330の構成について、
図16〜
図18を参照しながら説明する。
【0082】
図16は、実施例3の電気デバイス(リチウムイオン二次電池330)を示す斜視図である。
図17は、
図16のリチウムイオン二次電池330の発電要素に対する加圧力の分布を示す模式図である。
図18は、
図16のリチウムイオン二次電池330を主要な構成要素毎に分解しつつ一部を省略して示す分解斜視図である。
【0083】
リチウムイオン二次電池330は、
図16に示すように、長辺方向(Y方向)に沿って起立させ、かつ、電極タブ(正極電極タブ211a等)を重力方向(G方向)の上方に配設している。リチウムイオン二次電池330は、リチウムイオン二次電池500と加圧部430の加圧部材431を交互に積層している。
【0084】
加圧部430は、リチウムイオン二次電池500に内蔵した発電要素を短辺方向(X方向)および長辺方向(Y方向)に沿って加圧する。加圧部430は、加圧部材431、ボルト412、およびナット413を含んでいる。
【0085】
加圧部材431は、発電要素を短辺方向(X方向)および長辺方向(Y方向)に沿って加圧する。加圧部材431は、長方体形状からなり、積層方向(Z方向)に対する厚みを短辺方向(X方向)および長辺方向(Y方向)に沿って異ならせて形成している。具体的には、加圧部材431は、平面部431aと傾斜部431bを対向して形成している。傾斜部431bは、
図18に示すように、図中左下の端部431dの厚みを最も厚く形成し、端部431dの対角線上の図中右上の端部431fの厚みを最も薄く形成している。同様に、傾斜部431bは、図中左上の端部431eおよび対角線上の図中右下の端部431gの厚みを、端部431dと端部431fの中間の厚みに形成している。厚みの大小は、端部431f<端部431e=端部431g<端部431dで表される。
【0086】
加圧部材431は、例えば、ステンレス鋼(SUS)からなり、平面部431aを基準として傾斜部431bを削り出しによって形成している。加圧部材431は、積層方向(Z方向)において、厚みが最も厚い部分と、厚みが最も薄い部分の差を、例えば20μmにしている。加圧部材431は、傾斜部431bの側を外装材250(ラミネートシート251および252)に当接させ、その外装材250(ラミネートシート251および252)を介して、発電要素を積層方向(Z方向)に沿った両側から加圧している。
【0087】
リチウムイオン二次電池330は、隣り合うリチウムイオン二次電池500の間に、一対の加圧部材431を挿入して構成している。隣り合う4つのリチウムイオン二次電池500は、電極タブ(正極電極タブ211a等)の向きを、重力方向(G方向)の上方の側に揃えている。一対の加圧部材431は、互いの平面部431aを背中合わせにして構成している。さらに、リチウムイオン二次電池330は、複数のリチウムイオン二次電池500のうち最外部のリチウムイオン二次電池500に、それぞれ加圧部材431を1つずつ隣接させている。
【0088】
リチウムイオン二次電池330において、
図18に示すように、6本のボルト412を、全ての加圧部材431の6箇所の貫通孔431cに挿通させ、6個のナット413によってそれぞれ締結している。加圧部材431による発電要素の加圧力は、隣り合う加圧部材431の間隔をボルト412とナット413によって調整することによって規定している。加圧部材431は、例えば、最外部のリチウムイオン二次電池500同士を1000Nの力で加圧することによって、発電要素140に対して1000Nの力を付与している。この場合、加圧部材431は、発電要素140の面内において平均約0.34kgf/cm
2で加圧していることになる。
【0089】
リチウムイオン二次電池330は、
図17に示すように、各々のリチウムイオン二次電池500に内蔵している発電要素が、短辺方向(X方向)および長辺方向(Y方向)に沿って加圧されている。発電要素は、加圧部材431の傾斜部431bによって加圧されていることから、
図17に示すように、重力方向(G方向)の下方の一端(端部431dにおいて加圧力P3a)から、その一端に対向する重力方向(G方向)の上方の他端(端部431fにおいて加圧力P3b)にかけて、緩やかに加圧力が減少している。端部431f(加圧力P3b)<端部431e(加圧力P3t)=端部431g(加圧力P3t)<端部431d(加圧力P3a)となる。したがって、発電要素から発生するガスは、重力方向(G方向)の下方から上方にかけて斜め方向に移動する。
【0090】
リチウムイオン二次電池330は、電極タブ(正極電極タブ211a等)を重力方向(G方向)の上方の側に配設している。発電要素から発生するガスは、相対的に軽量な気体である。すなわち、ガスは、その発生した部分(充放電に寄与するアクティブエリア)から排除し、重力方向(G方向)の上方の側に移動させ易く、電極タブ(正極電極タブ211a等)の部分(充放電に寄与しない非アクティブエリア)まで加圧によって強制的に到達させた後、その部分に留まらせ易い。
【0091】
次に、実施例4に係るリチウムイオン二次電池340の構成について、
図19〜
図21を参照しながら説明する。
【0092】
図19は、実施例4の電気デバイス(リチウムイオン二次電池340)を示す斜視図である。
図20は、
図19のリチウムイオン二次電池340の発電要素に対する加圧力の分布を示す模式図である。
図21は、
図19のリチウムイオン二次電池340を主要な構成要素毎に分解しつつ一部を省略して示す分解斜視図である。
【0093】
リチウムイオン二次電池340は、
図19に示すように、短辺方向(X方向)に沿って起立させ、かつ、電極タブ(正極電極タブ211a等)を側方に配設している。リチウムイオン二次電池340は、リチウムイオン二次電池500と加圧部440の加圧部材441を交互に積層している。
【0094】
加圧部440は、リチウムイオン二次電池500に内蔵した発電要素を短辺方向(X方向)および長辺方向(Y方向)に沿って加圧する。加圧部440は、加圧部材441、ボルト412、およびナット413を含んでいる。
【0095】
加圧部材441は、発電要素を短辺方向(X方向)および長辺方向(Y方向)に沿って加圧する。加圧部材441は、長方体形状からなり、積層方向(Z方向)に対する厚みを短辺方向(X方向)および長辺方向(Y方向)に沿って異ならせて形成している。具体的には、加圧部材441は、平面部441aと傾斜部441bを対向して形成している。傾斜部441bは、
図21に示すように、図中左下の端部441dの厚みを最も厚く形成し、端部441dの対角線上の図中右上の端部441fの厚みを最も薄く形成している。同様に、傾斜部441bは、図中左上の端部441eおよび対角線上の図中右下の端部441gの厚みを、端部441dと端部441fの中間の厚みに形成している。厚みの大小は、端部441f<端部441e=端部441g<端部441dで表される。
【0096】
加圧部材441は、例えば、ステンレス鋼(SUS)からなり、平面部441aを基準として傾斜部441bを削り出しによって形成している。加圧部材441は、積層方向(Z方向)において、厚みが最も厚い部分と、厚みが最も薄い部分の差を、例えば20μmにしている。加圧部材441は、傾斜部441bの側を外装材250(ラミネートシート251および252)に当接させ、その外装材250(ラミネートシート251および252)を介して、発電要素を積層方向(Z方向)に沿った両側から加圧している。
【0097】
リチウムイオン二次電池340は、隣り合うリチウムイオン二次電池500の間に、一対の加圧部材441を挿入して構成している。隣り合う4つのリチウムイオン二次電池500は、電極タブ(正極電極タブ211a等)の向きを、側方に揃えている。一対の加圧部材441は、互いの平面部441aを背中合わせにして構成している。さらに、リチウムイオン二次電池340は、複数のリチウムイオン二次電池500のうち最外部のリチウムイオン二次電池500に、それぞれ加圧部材441を1つずつ隣接させている。
【0098】
リチウムイオン二次電池340において、
図21に示すように、6本のボルト412を、全ての加圧部材441の6箇所の貫通孔441cに挿通させ、6個のナット413によってそれぞれ締結している。加圧部材441による発電要素の加圧力は、隣り合う加圧部材441の間隔をボルト412とナット413によって調整することによって規定している。加圧部材441は、例えば、最外部のリチウムイオン二次電池500同士を1000Nの力で加圧することによって、発電要素140に対して1000Nの力を付与している。この場合、加圧部材441は、発電要素140の面内において平均約0.34kgf/cm
2で加圧していることになる。
【0099】
リチウムイオン二次電池340は、
図20に示すように、各々のリチウムイオン二次電池500に内蔵している発電要素が、短辺方向(X方向)および長辺方向(Y方向)に沿って加圧されている。発電要素は、加圧部材441の傾斜部441bによって加圧されていることから、
図20に示すように、重力方向(G方向)の下方の一端(端部441dにおいて加圧力P4a)から、その一端に対向する重力方向(G方向)の上方の他端(端部441fにおいて加圧力P4b)にかけて、緩やかに加圧力が減少している。端部441f(加圧力P4b)<端部441e(加圧力P4t)=端部441g(加圧力P4t)<端部441d(加圧力P4a)となる。したがって、発電要素から発生するガスは、重力方向(G方向)の下方から上方にかけて斜め方向に移動する。
【0100】
次に、実施例5に係るリチウムイオン二次電池350の構成について、
図22〜
図24を参照しながら説明する。
【0101】
図22は、実施例5の電気デバイス(リチウムイオン二次電池350)を示す斜視図である。
図23は、
図22のリチウムイオン二次電池350の発電要素に対する加圧力の分布を示す模式図である。
図24は、
図22のリチウムイオン二次電池350を主要な構成要素毎に分解しつつ一部を省略して示す分解斜視図である。
【0102】
リチウムイオン二次電池350は、
図22に示すように、長辺方向(Y方向)に沿って起立させ、かつ、電極タブ(正極電極タブ211a等)を重力方向(G方向)の上方に配設している。リチウムイオン二次電池350は、リチウムイオン二次電池500と加圧部450の加圧部材451を交互に積層している。
【0103】
加圧部450は、リチウムイオン二次電池500に内蔵した発電要素を短辺方向(X方向)に沿って加圧する。加圧部410は、加圧部材451、ボルト412、およびナット413を含んでいる。
【0104】
加圧部材451は、発電要素を短辺方向(X方向)に沿って加圧する。加圧部材451は、長方体形状からなり、積層方向(Z方向)に対する厚みを短辺方向(X方向)に沿って異ならせて形成している。具体的には、加圧部材451は、平面部451aと曲面部451bを対向して形成している。曲面部451bは、短辺方向(X方向)に沿った中央の厚みを相対的に厚く形成し、短辺方向(X方向)に沿った両端の厚みを相対的に薄く形成することによって、中央の部分を外方に突出させている。
【0105】
加圧部材451は、例えば、ステンレス鋼(SUS)からなり、平面部451aを基準として曲面部451bを削り出しによって形成している。加圧部材451は、積層方向(Z方向)において、厚みが最も厚い部分と、厚みが最も薄い部分の差を、例えば20μmにしている。加圧部材451は、曲面部451bの側を外装材250(ラミネートシート251および252)に当接させ、その外装材250(ラミネートシート251および252)を介して、発電要素を積層方向(Z方向)に沿った両側から加圧している。
【0106】
リチウムイオン二次電池350は、隣り合うリチウムイオン二次電池500の間に、一対の加圧部材451を挿入して構成している。隣り合う4つのリチウムイオン二次電池500は、電極タブ(正極電極タブ211a等)の向きを、重力方向(G方向)の上方の側に揃えている。一対の加圧部材451は、互いの平面部451aを背中合わせにして構成している。さらに、リチウムイオン二次電池350は、複数のリチウムイオン二次電池500のうち最外部のリチウムイオン二次電池500に、それぞれ加圧部材451を1つずつ隣接させている。
【0107】
リチウムイオン二次電池350において、
図24に示すように、6本のボルト412を、全ての加圧部材451の6箇所の貫通孔451cに挿通させ、6個のナット413によってそれぞれ締結している。加圧部材451による発電要素の加圧力は、隣り合う加圧部材451の間隔をボルト412とナット413によって調整することによって規定している。加圧部材451は、例えば、最外部のリチウムイオン二次電池500同士を1000Nの力で加圧することによって、発電要素140に対して1000Nの力を付与している。この場合、加圧部材451は、発電要素140の面内において平均約0.34kgf/cm
2で加圧していることになる。
【0108】
リチウムイオン二次電池350は、
図23に示すように、各々のリチウムイオン二次電池500に内蔵している発電要素が、短辺方向(X方向)に沿って加圧されている。発電要素は、加圧部材451の曲面部451bによって加圧されていることから、短辺方向(X方向)に沿った中央の部分の加圧力P1aは、短辺方向(X方向)に沿った両端の部分の加圧力P1bよりも相対的に大きい。発電要素は、短辺方向(X方向)に沿った中央の部分から両端の部分にかけて、緩やかに加圧力が減少している。したがって、発電要素から発生するガスは、短辺方向(X方向)に沿った中央の部分から両端の部分に向かって移動する。特に、このような構成の場合、リチウムイオン二次電池は、発電要素で発生したガスを、長辺方向(Y方向)と比較して長さが短い短手方向(X方向)に沿って速やかに排除することができる。
【0109】
リチウムイオン二次電池350は、電極タブ(正極電極タブ211a等)を重力方向(G方向)の上方の側に配設している。発電要素から発生するガスは、相対的に軽量な気体である。すなわち、ガスは、その発生した部分(充放電に寄与するアクティブエリア)から排除し、重力方向(G方向)の上方の側に移動させ易く、電極タブ(正極電極タブ211a等)の部分(充放電に寄与しない非アクティブエリア)まで加圧によって強制的に到達させた後、その部分に留まらせ易い。具体的には、
図3に示すような正極210の正極電極タブ211aが互いに重なる直前等の余剰部分K、または負極120の負極電極タブ221aが互いに重なる直前等の余剰部分に、ガスを留まらせ易い。余剰部分は、十分な体積を有している。実施例5に係るリチウムイオン二次電池350は、電極タブ(正極電極タブ211a等)を介して充放電を行うためのケーブル等やソケットを上方から取り回す構成において、特に好適である。
【0110】
次に、実施例6に係るリチウムイオン二次電池360の構成について、
図25および
図26を参照しながら説明する。
【0111】
図25は、実施例6の電気デバイス(リチウムイオン二次電池360)を示す斜視図である。
図26は、
図25のリチウムイオン二次電池360の発電要素に対する加圧力の分布を示す模式図である。
【0112】
実施例6のリチウムイオン二次電池360は、
図25に示すように、実施例1のリチウムイオン二次電池310を起立させた状態から回転させて水平に配設した構成に相当する。リチウムイオン二次電池360は、電極タブ(正極電極タブ211aおよび負極電極タブ221a)を側方に配設している。
【0113】
リチウムイオン二次電池360は、
図26に示すように、各々のリチウムイオン二次電池100に内蔵している発電要素が、短辺方向(X方向)および長辺方向(Y方向)に沿って加圧されている。発電要素は、長辺方向(Y方向)に沿った
図26中の左側の中央の部分(加圧力P1a)から
図26中の右側の周辺の部分(加圧力P1b)にかけて、緩やかに加圧力が減少している。したがって、発電要素から発生するガスは、長辺方向(Y方向)に沿った
図26中の左側の中央の部分から
図26中の右側の周辺の部分に向かって移動する。
【0114】
リチウムイオン二次電池360は、電極タブ(正極電極タブ211aおよび負極電極タブ221a)を重力方向(G方向)と直交させて水平に配設している。ガスは、その発生した部分(充放電に寄与するアクティブエリア)から排除し、長辺方向(Y方向)に沿った
図25中の右側の側に移動させ易く、電極タブ(正極電極タブ211a等)の部分(充放電に寄与しない非アクティブエリア)まで加圧によって強制的に到達させた後、その部分に留まらせ易い。
図3に示すような正極210の正極電極タブ211aが互いに重なる直前等の余剰部分K等に、ガスを留まらせ易い。特に、ガスは、
図25中の右側の周辺の部分に向かって移動するが、その周辺の部分には、正極電極タブ211aおよび負極電極タブ221aを配設していることから、効果的にガスを誘導して留まらせ易い。実施例6に係るリチウムイオン二次電池360は、水平方向に平置きする構成において、特に好適である。
【0115】
最後に、対比例のリチウムイオン二次電池1000の構成について、
図27〜
図29を参照しながら説明する。
【0116】
図27は、リチウムイオン二次電池1000を示す斜視図である。
図28は、
図27のリチウムイオン二次電池1000の発電要素に対する加圧力の分布を示す模式図である。
図29は、
図27のリチウムイオン二次電池1000の正極110の両側にセラミックセパレータ1030を配設した状態を互いに離間させて示す斜視図である。
【0117】
リチウムイオン二次電池1000は、
図27および
図28に示すように、複数のリチウムイオン二次電池1100と、加圧部1110によって構成している。
【0118】
リチウムイオン二次電池1100は、セラミックセパレータ1030のみが前述したリチウムイオン二次電池200と異なる。セラミックセパレータ1030は、ポリプロピレン層131の全面にセラミックス層1032を積層して形成している。すなわち、リチウムイオン二次電池1100は、長辺方向(Y方向)と積層方向(Z方向)とによってなす第1の領域と、短辺方向(X方向)と積層方向(Z方向)によってなす第2の領域に、それぞれ空孔を形成していない。
【0119】
加圧部1110は、加圧部材1111、ボルト412、およびナット413を含んでいる。加圧部材1111は、板状からなり、全面にわたって厚みを等しく形成している。加圧部材1111は、外装材250(ラミネートシート251および252)に当接させ、その外装材250(ラミネートシート251および252)を介して、発電要素を積層方向(Z方向)に沿った両側から加圧している。
【0120】
すなわち、リチウムイオン二次電池1000は、隣り合うリチウムイオン二次電池1100の間に、加圧部材1111を挿入して構成している。隣り合う4つのリチウムイオン二次電池1100は、電極タブ(正極電極タブ111a等)の向きを揃えている。さらに、リチウムイオン二次電池1000は、複数のリチウムイオン二次電池1100のうち最外部のリチウムイオン二次電池1100に、それぞれ加圧部材1111を1つずつ隣接させている。加圧部材1111による発電要素の加圧力は、隣り合う加圧部材1111の間隔をボルト412とナット413によって調整することによって規定している。加圧部材1111は、例えば、最外部のリチウムイオン二次電池1000同士を1000Nの力で加圧することによって、発電要素140に対して1000Nの力を付与している。この場合、加圧部材1111は、発電要素140の面内において平均約0.34kgf/cm
2で加圧していることになる。
【0121】
リチウムイオン二次電池1000において、各々のリチウムイオン二次電池1100に内蔵している発電要素は、
図28に示すように、長辺方向(Y方向)と短辺方向(X方向)とによってなす面から均等に加圧されている。発電要素は、全面にわたって厚みを等しく形成している板状の加圧部材1111によって加圧されていることから、長辺方向(Y方向)と短辺方向(X方向)の全面において均等な加圧力P10を受けている。
【0122】
ここで、リチウムイオン二次電池1000において、発電要素から発生したガスは、ポリプロピレン層131の全面にセラミックス層1032を積層して形成されたセラミックセパレータ1030によって移動を阻害されている。さらに、発電要素を水平に配設していることから、ガスが重力方向(G方向)の上方に移動できない。すなわち、ガスは、その発生した部分(充放電に寄与するアクティブエリア)に滞留してしまい、周辺の部分(充放電に寄与しない非アクティブエリア)に向かって移動させることができない。したがって、
図3に示すような正極110の正極電極タブ111aが互いに重なる直前等の余剰部分K等に、ガスを誘導して留まらせることが非常に難しい。
【0123】
上述した第2実施形態に係る電気デバイス(リチウムイオン二次電池310〜360)によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0124】
電気デバイス(リチウムイオン二次電池310等)は、正極210、負極220、セパレータ(セラミックセパレータ230)、外装材250(ラミネートシート251および252)、および加圧部材411等を有している。正極210は、正極集電体111に正極活物質層112を備えてなる。負極220は、負極集電体121に負極活物質層122を備えてなる。セラミックセパレータ230は、溶融材(ポリプロピレン層131)と、ポリプロピレン層131に積層しポリプロピレン層131よりも溶融温度が高い耐熱材(セラミックス層232)と、を含み、正極210と負極220とを電気的に隔離する。ラミネートシート251および252は、正極210と負極220との間にセラミックセパレータ230を積層して構成した発電要素を密封する。加圧部材411等は、発電要素を加圧する。ここで、ポリプロピレン層131に積層したセラミックス層232は、長辺方向(Y方向)または短辺方向(X方向)と積層方向(Z方向)とによってなす第1の領域(D1)における第1の空孔の断面積(S1)が、短辺方向(X方向)または長辺方向(Y方向)と積層方向(Z方向)によってなす第2の領域(D2)における第2の空孔の断面積(S2)よりも大きい。さらに、加圧部材411等は、発電要素を第1の空孔が延在する方向に沿って加圧している。
【0125】
このような構成によれば、リチウムイオン二次電池310等は、セラミックセパレータ230のセラミックス層232に係る第1の空孔の断面積(S1)を第2の空孔の断面積(S2)よりも大きく形成し、かつ、加圧部材411等によって発電要素を第1の空孔が延在する方向に沿って加圧している。すなわち、リチウムイオン二次電池310等は、発電要素の電極(正極210や負極220)から発生するガスを、セラミックセパレータ230のセラミックス層232の第1の空孔を介して、発電要素の外部に向かって強制的に移動させることができる。したがって、リチウムイオン二次電池310等は、ガスに起因した電気性能の低下を防止することができる。
【0126】
このように、リチウムイオン二次電池100は、長期間にわたる使用に伴ってガスが多量に発生しても、そのガスを加圧によって強制的に移動させ続けることができる。したがって、リチウムイオン二次電池100は、ガスに起因した性能の低下を長期間にわたり十分に防止することができる。ガスに起因した電気性能は、例えば、Li析出など不均一な反応に起因した電池容量に係る耐久性能に相当する。特に、リチウムイオン二次電池100を搭載した電気自動車やハイブリッドカーのような車両は、高い耐久性能を維持することができる。さらに、車両は、道路を走行中等に様々な振動が加わる環境で使用する。すなわち、電極(正極210や負極220)から発生するガスを、車両に加わる振動を用いて、セラミックセパレータ230のセラミックス層232の第1の空孔に誘導した上で、加圧部材411等によって発電要素の外部に排出させることができる。
【0127】
さらに、セラミックス層232は、第1の空孔を短辺方向(X方向)に沿って延在させた構成とすることができる。
【0128】
このような構成によれば、発電要素で発生したガスを、長辺方向(Y方向)と比較して全長が短い短手方向(X方向)に沿って、速やかに発電要素の外部に排除することができる。
【0129】
さらに、加圧部材411等は、発電要素の少なくとも一端部に向かって連続的に加圧力を減少させた構成とすることができる。
【0130】
このような構成によれば、発電要素の電極(正極210や負極220)から発生するガスを、発電要素の外部に向かってよどみなく移動させることができる。特に、ガスが、途中で移動を止めて発電要素の内部で留まるようなことを十分に防止することができる。
【0131】
さらに、発電要素は、第1の空孔が延在する方向を重力方向(G方向)に沿わせて配設し、かつ、加圧部材411等は、重力方向(G方向)の下方の側から上方の側に向かって、加圧力を減少させた構成とすることができる。
【0132】
このような構成によれば、第1の空孔が延在する方向を重力方向(G方向)に沿わせることによって、ガスの移動を妨げることなく、効率良く移動させることができる。すなわち、ガスは、相対的に軽量な気体であり、重力方向(G方向)の下方の側から上方の側に向かって移動し易いことから、そのガスの移動を妨げないように、第1の空孔の方向を重力方向(G方向)に合わせる。さらに、加圧部材411等は、重力方向(G方向)の下方の側から上方の側に向かって加圧力を減少させることによって、重力方向(G方向)に沿って上昇しているガスを第1の空孔に沿って誘導し、そのガスを非常に効率良く移動させることができる。したがって、リチウムイオン二次電池310等は、ガスに起因した性能の低下を防止することができる。
【0133】
さらに、加圧部材411等は、長方体形状からなり、積層方向(Z方向)に対する厚みを第1の空孔が延在する方向に沿って異ならせて形成した構成とすることができる。
【0134】
このような構成によれば、加圧部材411等は、非常に簡便な構成によって具現化することができる。さらに、加圧部材411等は、発電要素に対する所望の加圧力を、積層方向(Z方向)に対する厚みによって任意に規定することができる。
【0135】
さらに、加圧部材411等は、外装材250(ラミネートシート251および252)を介して、発電要素を積層方向(Z方向)に沿った両側から加圧した構成とすることができる。
【0136】
このような構成によれば、加圧部材411等は、非常に簡便な構成によって発電要素を加圧することができる。加圧部材411等は、発電要素を両側から加圧してもよい。特に、加圧部材411等によって発電要素を両側から加圧する構成とすれば、電極(正極210および負極220)の積層数が多い場合、それらの電極(正極210および負極220)をより均等に加圧することができる。
【0137】
そのほか、本発明は、特許請求の範囲に記載された構成に基づき様々な改変が可能であり、それらについても本発明の範疇である。
【0138】
例えば、第1および第2実施形態では、電気デバイスを、非水電解質二次電池の構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。電気デバイスは、非水電解質二次電池以外の構成にも適用することができる。
【0139】
また、第1および第2実施形態では、リチウムイオン二次電池の構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。リチウムイオン二次電池に換えて、例えば、ポリマーリチウム電池、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池として構成することができる。
【0140】
また、第1実施形態では、セパレータの耐熱材をセラミックス層の構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。耐熱材は、セラミックスに限定されることはなく、溶融材よりも溶融温度が高い部材であればよい。
【0141】
また、第1実施形態では、セパレータの溶融材をポリプロピレンの構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。溶融材は、ポリプロピレンに限定されることはなく、耐熱材よりも溶融温度が低い部材であればよい。
【0142】
また、第1実施形態では、一対のセラミックセパレータ130によって正極110を挟持する構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。一対のセラミックセパレータ130は、負極120を挟持する構成としてもよい。
【0143】
また、第1実施形態では、一対のセラミックセパレータ130によって正極110を挟持するだけの構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。一対のセラミックセパレータ130は、正極110を挟持した上で、その両端を溶着等することによって、いわゆる袋詰電極として構成してもよい。さらに、一対のセラミックセパレータ130によって負極120を袋詰めする構成としてもよい。
【0144】
また、第2実施形態では、加圧部材による発電要素140の加圧力を、隣り合う加圧部材の間隔をボルト412とナット413によって調整することによって規定する構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。例えばリチウムイオン二次電池310は、加圧部材411を介して隣り合わせて複数配設したリチウムイオン二次電池500を、加圧状態において硬質のケースに収容して構成してもよい。
【0145】
また、第2実施形態では、例えばリチウムイオン二次電池310を、複数のリチウムイオン二次電池500と加圧部410からなる構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。リチウムイオン二次電池310を、1つのリチウムイオン二次電池500と加圧部410からなる構成としてもよい。
【0146】
また、第2実施形態において、ボルト412に短尺のバネを挿通させて配設することによって、隣り合う一対の加圧部材411の間に反力を発生させれば、加圧部材411による発電要素140の加圧力の抜けを抑制したり、加圧部材411による発電要素140の部分的な過負荷を防止したり、加圧部材411による発電要素140の加圧力を任意に制御したりできる。