特許第6585338号(P6585338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585338
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】生体試料の処理方法および分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20190919BHJP
   G06F 3/048 20130101ALI20190919BHJP
【FI】
   G01N35/00 A
   G06F3/048
   G01N35/00 E
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-178006(P2014-178006)
(22)【出願日】2014年9月2日
(65)【公開番号】特開2015-49249(P2015-49249A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2017年8月17日
(31)【優先権主張番号】13182945.9
(32)【優先日】2013年9月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト フォン アルメン
【審査官】 川瀬 正巳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−093326(JP,A)
【文献】 特表2008−512783(JP,A)
【文献】 特開2012−163567(JP,A)
【文献】 特開2007−093297(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0078631(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02447702(EP,A2)
【文献】 特開2008−096182(JP,A)
【文献】 特開2006−085683(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0114785(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0053372(US,A1)
【文献】 特開2006−138779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00
G06F 3/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料を処理するための分析システム(100)であって、前記分析システムが
生体試料の分析を行うための体外診断(IVD)装置(107)を備え、前記IVD装置(107)がコンピュータシステム(101)に連結され、前記コンピュータシステム(101)が、表示装置(113)と、プロセッサ(103)と、前記プロセッサで実行可能な複数のアプリケーション(126)を記憶するように構成されたメモリ(105)とを備え、
前記複数のアプリケーション(126)のうちの第1のアプリケーション(127)が、実行されたときに前記表示装置(113)上に第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)を生成する命令を含み、
前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)が1組のユーザインターフェースエレメント(A〜I)を含み、前記1組のユーザインターフェースエレメント(A〜I)中の各ユーザインターフェースエレメントは、前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)内の所定の領域に位置付けられ、
前記第1のアプリケーション(127)がさらに、実行されたときにIVDタスクを実行するために前記IVD装置(107)を制御する命令を含み、
前記IVDタスクは一連のIVDアクションを含み、
IVDアクションはユーザによるIVDアクションの起動に応じて行われ、前記ユーザによるIVDアクションの起動は、前記1組のユーザインターフェースエレメント(A〜I)の対応するユーザインターフェースエレメントを用いて実行され、および
前記メモリ(105)はさらに、前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)内の前記1組のユーザインターフェースエレメント(A〜I)のそれぞれの表示位置を示すジオメトリデータを含み、
第2のアプリケーション(129)が、前記第1のアプリケーション(127)とは独立して実行される命令を含み、前記第2のアプリケーション(129)は、前記IVDタスクのIVDアクションを起動させるために前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)へのユーザ入力を案内するように構成され、前記第2のアプリケーション(129)はさらに、
前記IVDタスクの前記一連のIVDアクションを示すタスクデータを受け取り、
前記1組のユーザインターフェースエレメント(A〜I)から、前記IVDタスクの前記一連のIVDアクションを実行するために使用されるユーザインターフェースエレメントのサブセットを選択し、
前記ジオメトリデータを用いて、前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)内の前記ユーザインターフェースエレメントのサブセットの各ユーザインターフェースエレメントの配置を決定し、
前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)内の前記ユーザインターフェースエレメントのサブセットの各ユーザインターフェースエレメントの配置に基づいて、第2のグラフィカルユーザインターフェース(123)において情報を表示するための対応する表示位置を決定し、および
前記第2のグラフィカルユーザインターフェース(123)の前記対応する表示位置において、前記IVDタスクの前記一連のIVDアクションのうちの少なくとも1つの特定のIVDアクションを起動させる前記第1のグラフィカルユーザインターフェースの少なくとも1つのユーザインターフェースエレメントへのユーザアクションに関する情報を表示する
ように構成され、
前記第2のアプリケーション(129)が、前記表示装置(113)の前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)の少なくとも一部をマスクし、前記第2のアプリケーション(129)によって前記ユーザアクションに関する情報が表示される対象となる、前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)内の少なくとも1つのユーザインターフェースエレメント以外のユーザインターフェースエレメントのすべてへのアクセスを防ぐマスクを、前記第2のグラフィカルユーザインターフェース(123)に生成し、
前記マスクは、アクセスが防がれた前記ユーザインターフェースエレメントのすべてを隠すことを特徴とする分析システム(100)。
【請求項2】
前記第2のアプリケーション(129)はさらに、
前記IVDタスクの一連のIVDアクションにおける先のIVDアクションまたは次のIVDアクションについての前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)へのユーザ入力に関する情報を、前記第2のアプリケーション(129)により表示するようにさせる、前記第2のグラフィカルユーザインターフェース(123)へのユーザ入力を受け取り、および/または
前記第2のグラフィカルユーザインターフェース(123)において現在情報が表示されている前記特定のIVDアクションについての、前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)へのユーザ入力に関する付加的なまたはそれ以下の情報を、第2のアプリケーション(129)が前記第2のグラフィカルユーザインターフェース(123)に表示するようにさせ、および/または
現在前記第2のグラフィカルユーザインターフェース(123)に情報が表示されている前記特定のIVDアクションについてのユーザインターフェースエレメントへの入力を決定するために、ユーザが使用することのできる第3のアプリケーションを呼び出すかまたは第3のアプリケーションへ切替えるように構成される請求項1記載の分析システム。
【請求項3】
前記第2のグラフィカルユーザインターフェース(123)に、前記第2のアプリケーション(129)によって生成された前記マスクは、現在前記第2のグラフィカルユーザインターフェース(123)に情報が表示されている前記特定のIVDアクションに対応する、前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)内の少なくとも1つのインターフェースエレメントを除く、前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)内のすべてのインターフェースエレメントへのアクセスを防ぎ、それによって現在前記第2のグラフィカルユーザインターフェース(123)に表示されている情報への前記特定のIVDアクションに関係する、前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)におけるインターフェースエレメントとのみユーザが対話することを許容する請求項1または2記載の分析システム。
【請求項4】
前記第2のアプリケーション(129)によって生成された前記マスクにより、アクセスが防止されている前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)内のインターフェースエレメントにユーザが対話を試みようとするときに、前記第2のアプリケーション(129)は、表示を生じさせるか、および/または、前記第2のグラフィカルユーザインターフェース(123)内に情報を表示する請求項1〜3のいずれか1項に記載の分析システム。
【請求項5】
前記第1のアプリケーション(127)はさらに、前記ユーザインターフェースエレメントのサブセットのジオメトリデータを前記メモリ(105)に記憶するように構成され、前記第2のアプリケーション(129)はさらに、ジオメトリデータの変更を判定するためにメモリの内容をモニターするか、またはジオメトリデータに関する更新ステータスメッセージを繰り返し受け取るように構成され、
前記更新ステータスメッセージがジオメトリデータの変更を示す場合、前記第2のアプリケーション(129)はさらに、前記ユーザエレメントのサブセットの更新されたジオメトリデータを判定するために前記メモリ(105)を読み取るように構成され、前記配置の決定および前記第2のグラフィカルユーザインターフェース(123)において情報を表示するための前記対応する表示位置の決定は、更新されたジオメトリデータを用いて行われる請求項1〜4のいずれか1項に記載の分析システム。
【請求項6】
前記メモリ(105)はさらにオペレーティングシステム(137)を備え、前記オペレーティングシステム(137)はウィンドウマネージャ(139)を備え、前記ウィンドウマネージャ(139)は前記ジオメトリデータを提供し、前記配置の決定および前記第2のグラフィカルユーザインターフェース(123)において情報を表示するための前記対応する表示位置の決定は、ウィンドウマネージャ(139)から得られた前記ジオメトリデータを用いて行われる請求項1〜5のいずれか1項に記載の分析システム。
【請求項7】
前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)の生成はさらに、前記第2のアプリケーションの実行を開始するためにユーザによって選択することができる、前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)内にユーザインターフェースエレメントを生成することを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の分析システム。
【請求項8】
前記第2のアプリケーション(129)は、前記第1のアプリケーション(127)の少なくとも一部を実行すると自動的に実行される請求項1〜7のいずれか1項に記載の分析システム。
【請求項9】
前記コンピュータシステム(101)がタッチスクリーンコンピュータを備え、前記表示装置(113)が接触感知式表示画面である請求項1〜8のいずれか1項に記載の分析システム。
【請求項10】
前記第2のアプリケーション(129)はさらに、第2のIVDタスクを行うために第3のグラフィカルユーザインターフェースへのデータ入力を案内するように構成され、前記第3のグラフィカルユーザインターフェースが前記メモリ(105)に記憶された前記複数のアプリケーションのうちの第3のアプリケーションによって生成される請求項1〜9のいずれか1項に記載の分析システム。
【請求項11】
前記第3のグラフィカルインターフェースが、別のユーザインターフェースウィンドウに、または第2の表示装置上に表示される請求項10記載の分析システム。
【請求項12】
分析システム(100)を操作する方法であって、前記分析システム(100)は、コントローラ(101)と、生体試料の分析を行う体外診断(IVD)装置(107)とを備え、
前記IVD装置(107)は前記コントローラ(101)に連結され、前記コントローラ(101)は、表示装置(113)と、プロセッサ(103)と、前記プロセッサ(103)で実行可能な複数のアプリケーション(126)を記憶するように構成されたメモリ(105)とを備え、
前記複数のアプリケーション(126)のうちの第1のアプリケーション(127)は、実行されたときに、第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)を前記表示装置(113)上に生成する命令を含み、前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)は1組のユーザインターフェースエレメント(A〜I)を含み、前記1組のユーザインターフェースエレメント(A〜I)の各ユーザインターフェースエレメントが前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)内の所定の領域に位置付けられ、
前記第1のアプリケーション(127)はさらに、実行されたときに、IVDタスクを行うためにIVD装置(107)を制御する命令を含み、
前記IVDタスクは一連のIVDアクションを含み、
IVDアクションはユーザによるIVDアクションの起動に応じて行われ、前記ユーザによるIVDアクションの起動は、前記1組のユーザインターフェースエレメント(A〜I)のうちの対応するユーザインターフェースエレメントを用いて行われ、および
前記メモリ(105)はさらに、前記1組のユーザインターフェースエレメント(A〜I)の各々の表示位置を示すジオメトリデータを含み、
前記方法が、前記コントローラへのユーザによる入力を案内するために、
前記IVDタスクの前記一連のIVDアクションを示すIVDタスクについてのタスクデータを受け取る工程、
前記1組のユーザインターフェースエレメント(A〜I)から、前記IVDタスクの前記一連のIVDアクションを行うために用いられるユーザインターフェースエレメントのサブセットを選択する工程、
前記ジオメトリデータを用いて、前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)内の前記ユーザインターフェースエレメントのサブセットの各ユーザインターフェースエレメントの配置を決定する工程、
前記ユーザインターフェースエレメントのサブセットの各ユーザインターフェースエレメントの前記配置に基づいて、前記配置を用いて第2のグラフィカルユーザインターフェース(123)内に情報を表示するための対応する表示位置を決定する工程、
前記第2のグラフィカルユーザインターフェース(123)の前記対応する表示位置に、前記IVDタスクの前記一連のIVDアクションの少なくとも1つの特定のIVDアクションを起動する前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)のうちの少なくとも1つのユーザインターフェースエレメントへのユーザアクションに関する情報を表示する工程、
前記表示装置(113)の前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)の少なくとも一部をマスクし、前記第2のアプリケーション(129)によって前記ユーザアクションに関する情報が表示される対象となる、前記第1のグラフィカルユーザインターフェース(121)内の少なくとも1つのユーザインターフェースエレメント以外のユーザインターフェースエレメントのすべてへのアクセスを防ぐマスクを、前記第2のグラフィカルユーザインターフェース(123)に生成する工程、および
前記マスクにより、アクセスが防がれた前記ユーザインターフェースエレメントのすべてを隠す工程
を含むことを特徴とする分析システム(100)を操作する方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法の工程を行うためのコンピュータで実行可能な命令を含むコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体試料を処理するための分析システム、および該分析システムにより実行される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分析システムおよび対応する検査室のワークフローの複雑さが増大することにより、信頼性のある正確なデータを得るために確実なシステム運用を確実にする機構が求められている。これは、もし緊急の場合にあまり訓練を受けていない人がシステムを操作する必要のある場合に特にあてはまる(例えば経験のある検査室の作業員がいない場合)。システム操作を容易にするためにガイダンス情報を提供する様々なユーザ支援または補助方法が知られている。
【0003】
特許文献1は、操作ガイダンスを提供することによって、検査に熟練していない医者または看護士が臨床システムを操作エラー無しに操作することを可能にする臨床システムの操作ガイド方法を開示している。
【0004】
特許文献2は、増加する機能によって複雑な画面構成を有する自動分析装置において、熟練のレベルにかかわらずに、如何なる人でも高効率で操作を設定し割当てるためのジョブガイダンスを利用できる分析装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,868,308号明細書
【特許文献2】米国特許第8,151,190号明細書
【発明の概要】
【0006】
様々な実施形態により、独立請求項の特定事項によって示されるような生体試料を処理する方法および分析システムが提供される。
【0007】
本明細書において使用される用語「分析システム」は、集合的に操作され、および/またはモニターされる検査室装置の任意のシステムを含む。代表的には、分析システムは1つまたは2つ以上の分析器を含むが、必ずしもそうではなく、用語「分析システム」はまた、1つまたは2つ以上の分析前および/または分析後装置を含むシステムとも言うことができる。簡略にするために、検査室装置の上記システムは、本明細書において「分析システム」とも呼ばれる。
【0008】
本明細書において使用される用語「体外診断(IVD)タスク」は、1つまたは2つ以上の生体試料に対して行われる検査室手順を含む。この用語はさらに検査室装置の作業性を維持し、または復旧するために、ユーザが検査室装置に実行する任意の処理工程を含む。したがって、作業を実施することは、例えば分析器または遠心分離器などの検査室装置を用いて分析ワークフロー、分析前ワークフローまたは分析後ワークフローを実施することを含んでもよい。作業を実施することは、また例えばGUIを用いてユーザによって1つまたは2つ以上の試料について得られた測定値を評価すること、またはそのユーザによって検査室装置の空の試薬容器を再充填することも含む。
【0009】
用語「生体試料」は、動物などの生体単位から得られるまたはそれに由来する任意の試料を言う。
【0010】
本明細書において使用される用語「グラフィカルユーザインターフェースエレメント」または「ユーザインターフェースエレメント」は、装置の表示画面に表示されるユーザインターフェースオブジェクトまたは1組のユーザインターフェースオブジェクトとして理解されてもよい。ユーザインターフェースエレメントは、ボタン、テキストボックス、タブ、アイコン、テキストフィールド、ウィンドウ、チェックボックスアイテム、メニューバー、アクションバー、アイテムグループなどを含む。ユーザインターフェースエレメントはまた、画像、表示された英数字またはこれらの任意の組合せでもあり得る。
【0011】
本明細書において使用される用語「グラフィカルユーザインターフェース」または「ユーザインターフェース」は、選択可能なユーザインターフェースエレメントを用いて装置の表示画面に表示するための、プログラムによって生成されるインターフェースを言う。
【0012】
一態様において、本発明は、生体試料を処理するための分析システムに関する。分析システムは生体試料の分析を行うためのIVD装置を備える。
【0013】
IVD装置は、コンピュータシステムと連結され、このコンピュータシステムは、表示装置と、プロセッサと、プロセッサに実行可能な複数のアプリケーションを保存するように構成されたメモリとを備える。複数のアプリケーションのうちの第1のアプリケーションは、実行されたときに表示装置に第1のグラフィカルユーザインターフェースを生成する命令を含む。第1のグラフィカルユーザインターフェースは、1組のユーザインターフェースエレメントを含み、その1組のユーザインターフェースエレメント中の各ユーザインターフェースエレメントは、第1のグラフィカルユーザインターフェースの範囲内の所定の領域に位置付けられる。第1のアプリケーションはさらに、実行されたときにIVDタスクを実行するようにIVD装置を制御する命令を含む。IVDタスクは、一連のIVDアクションを含み、IVDアクションはユーザによるIVDアクションの起動に応じて行われ、ユーザによるIVDアクションの起動は、1組のユーザインターフェースエレメントのうちの対応するユーザインターフェースエレメントを用いて実行される。メモリはさらに、第1のグラフィカルユーザインターフェースの範囲内での、1組の各ユーザインターフェースエレメントの各々についての表示位置を示すジオメトリデータを含む。
【0014】
第2のアプリケーションは、第1のアプリケーションとは独立して実行される命令を含む。これら2つのアプリケーションは、それらの実行中にデータを直接交換しないという意味で独立して実行される。
【0015】
第2のアプリケーションは、IVDタスクのIVDアクションを起動させるための第1のグラフィカルユーザインターフェースへのユーザ入力を案内するように構成され、第2のアプリケーションはさらに、IVDタスクの一連のIVDアクションを示すタスクデータを受け取り、1組のユーザインターフェースエレメントから、IVDタスクの一連のIVDアクションを実行するために使用されるユーザインターフェースエレメントのサブセットを選択し、ジオメトリデータを用いて、第1のグラフィカルユーザインターフェースの範囲内のユーザインターフェースエレメントの各サブセットの配置を決め、第1のグラフィカルユーザインターフェース内のユーザインターフェースエレメントの各サブセットの配置に基づいて、第2のグラフィカルユーザインターフェースにおいて情報を表示するための対応する表示位置を決め、および第2のグラフィカルユーザインターフェースの対応する表示位置において、IVDタスクの一連のIVDアクションのうちの少なくとも1つの特定のIVDアクションを起動させる第1のグラフィカルユーザインターフェースの少なくとも1つのユーザインターフェースエレメントへのユーザアクションに関する情報を表示するように構成される。
【0016】
一実施形態によれば、ユーザアクションは、少なくとも1つのユーザインターフェースエレメントへのユーザ入力を含む。
【0017】
他の実施形態によれば、ユーザアクションは、第2のユーザインターフェースに表示された通知を承諾することを含む。
【0018】
一実施形態によれば、一連のIVDアクションを起動させるためのユーザ入力を受け取ると、IVD装置は、受け取ったユーザ入力を用いてIVDタスクを実行するように制御される。
【0019】
ガイダンスアプリケーション(すなわち第2のアプリケーション)と、案内されるソフトウェアアプリケーション(すなわち第1のアプリケーション)との間を、相互に影響されないようにまたはお互いに影響しないように分離することで、ガイダンスアプリケーションに関するエラー、間違ったデータまたはその他の予測されない問題が、ソフトウェアアプリケーションの変更または間違った挙動の可能性を引き起こすことを避けることができる。このことは、ガイダンスがソフトウェアアプリケーションの一体化部分であり、したがって、ガイダンスの如何なる変更もソフトウェアアプリケーションに影響する従来の方法と対照的である。すなわち、従来の方法のガイダンスの変更は、全ソフトウェアアプリケーションの確認を要し、一方、本発明の方法では、ガイダンスアプリケーションの変更または更新はソフトウェアアプリケーションの確認を必要としない。このことは、確認の処理に要する可能性のあるリソースの節約になり得る。
【0020】
他の利点としては、これらの特徴はソフトウェアアプリケーションによってサポートされる任意のIVDタスクにも自動的に適合し得る柔軟なガイダンスを提供できる。
【0021】
一実施形態によれば、第2のアプリケーションはさらに、IVDタスクの一連のIVDアクションにおける先のIVDアクションまたは次のIVDアクションについての第1のグラフィカルユーザインターフェースへ、ユーザアクションに関する情報を第2のアプリケーションに表示させる、第2のグラフィカルユーザインターフェースへのユーザ入力を受け取り、第2のアプリケーションが、現在第2のグラフィカルユーザインターフェースに情報が表示されている特定のIVDアクションについての第1のグラフィカルユーザインターフェースへのユーザ入力に関する付加的なまたはそれ以下の情報を第2のグラフィカルユーザインターフェースに表示させ、および/または、現在第2のグラフィカルユーザインターフェースに情報が表示されている特定のIVDアクションについてのユーザインターフェースエレメントへの入力を決定するためにユーザが用いることのできる第3のアプリケーションを呼び出すかまたは第3のアプリケーションへ切替えるように構成される。この実施形態は、データ入力の間違いまたは正しくないアクションの開始が避けられるように、ユーザに細やかなガイダンス(close guidance)ができるので有利である。これによって、間違った入力に起因するシステムエラーが避けられ、したがって便利で効率的な分析システムの運用が可能になる。
【0022】
一実施形態によれば、第2のアプリケーションは、表示装置の第1のグラフィカルユーザインターフェースの少なくとも一部をマスクし、第1のグラフィカルユーザインターフェースにおける少なくとも1つのインターフェースエレメントへのアクセスを防ぐマスクを第2のグラフィカルユーザインターフェースに生成する。
【0023】
一実施形態によれば、第1のグラフィカルユーザインターフェースは空間的に第2のグラフィカルユーザインターフェースと一致する。
【0024】
一実施形態によれば、第2のグラフィカルユーザインターフェース内の、第2のアプリケーションによって生成されたマスクは、現在第2のグラフィカルユーザインターフェースに情報が表示されている特定のIVDアクションに対応する第1のグラフィカルユーザインターフェースにおける少なくとも1つのインターフェースエレメントを除く、第1のグラフィカルユーザインターフェースにおけるすべてのインターフェースエレメントへのアクセスを防ぎ、それによって現在第2のグラフィカルユーザインターフェースに表示されている情報への、特定のIVDアクションに関係する第1のグラフィカルユーザインターフェースにおけるインターフェースエレメントとのみユーザが対話できることになる。
【0025】
これらの実施形態は、第1のアプリケーションへの間違ったデータ入力を防ぐことによってガイダンスのための確実な機構を提供でき、したがってデバッギングまたは再処理などのために要するリソースを節約することができるため有利となり得る。
【0026】
一実施形態によれば、第2のグラフィカルユーザインターフェースにおいて第2のアプリケーションによって生成されたマスクは、少なくとも部分的に透明または半透明であり、それによって、アクセスが防止された、第1のグラフィカルユーザインターフェース内の少なくとも1つのインターフェースエレメントをユーザが見続けることが可能となる。IVDタスクを実行するために必要なユーザエレメントの概観を有することは、ユーザインターフェースエレメント間の関係(例えば、視覚的関係)によって正しいデータを正しいユーザインターフェースエレメントに入力するのに役立ち得るので、間違った入力をより防止できる。
【0027】
一実施形態によれば、第2のアプリケーションによって生成されたマスクによってアクセスが防止されている第1のグラフィカルユーザインターフェースにおけるインターフェースエレメントにユーザが対話を試みようとするときに、第2のアプリケーションは、表示(例えば、視覚、聴覚および/または触覚表示)を生じさせるか、および/または第2のグラフィカルユーザインターフェース内に情報を表示する。これによって、アクセスが防止されたユーザインターフェースエレメントへの多数の対話の試みを防止し、したがって多数回試みるときにより長くなり得るソフトウェアアプリケーションの実行時間を減らすことができる。
【0028】
一実施形態によれば、第1のアプリケーションはさらに、ユーザインターフェースエレメントのサブセットのジオメトリデータをメモリの不揮発性メモリスペースに記憶するように構成され、第2のアプリケーションはさらに、ジオメトリデータの変更を判定するためにメモリの内容をモニターし、不揮発性メモリスペースにユーザエレメントのサブセットの更新されたジオメトリデータを記憶し、およびメモリの揮発性メモリにユーザエレメントのサブセットの更新ジオメトリデータを移動するように構成され、配置の決定および第2のグラフィカルユーザインターフェースにおいて情報を表示するための対応する表示位置の決定は、更新されたジオメトリデータを用いて行われる。
【0029】
一実施形態によれば、第2のアプリケーションはさらに、メモリの不揮発性メモリスペース内にユーザエレメントのサブセットのジオメトリデータを記憶するように構成され、第2のアプリケーションはさらに、ジオメトリデータに関する更新ステータスメッセージを繰り返し受け取るように構成され、更新ステータスメッセージがジオメトリデータの変更を示す場合、第2のアプリケーションはさらに、ユーザエレメントのサブセットの更新されたジオメトリデータを判定するためにメモリを読み取り、更新されたジオメトリデータをメモリの不揮発性メモリスペースに記憶し、およびメモリの揮発性メモリスペースにユーザエレメントのサブセットのジオメトリデータを移動するように構成され、配置の決定および第2のグラフィカルユーザインターフェースにおいて情報を表示するための対応する表示位置の決定は、更新されたジオメトリデータを用いて行われる。
【0030】
これらの実施形態は、旧ジオメトリデータまたは更新されていないジオメトリデータを記憶するために要するリソースを節約できるので有利となり得る。更新されていないジオメトリデータを揮発性メモリに保存することは、それらが揮発性メモリになお保存されている間、例えばクロスチェックのためになお使用できるので有利となり得る。
【0031】
一実施形態によれば、第1のアプリケーションは、メモリにユーザインターフェースエレメントのサブセットのジオメトリデータを記憶するように構成され、第2のアプリケーションはさらに、ジオメトリデータの変更を判定するためにメモリの内容をモニターするか、またはジオメトリデータに関する更新ステータスメッセージを繰り返し受け取るように構成され、更新ステータスメッセージがジオメトリデータの変更を示す場合、第2のアプリケーションはさらに、ユーザエレメントのサブセットの更新されたジオメトリデータを判定するためにメモリを読み取るように構成され、配置の決定および第2のグラフィカルユーザインターフェースにおいて情報を表示するための対応する表示位置の決定は、更新されたジオメトリデータを用いて行われる。
【0032】
一実施形態によれば、メモリはさらにオペレーティングシステムを備え、該オペレーティングシステムはウィンドウマネージャを備え、該ウィンドウマネージャはジオメトリデータを提供し、配置の決定および第2のグラフィカルユーザインターフェースにおいて情報を表示するための対応する表示位置の決定は、ウィンドウマネージャから得られたジオメトリデータを用いて行われる。
【0033】
一実施形態によれば、ユーザインターフェースの生成はさらに、第2のアプリケーションの実行を開始するためにユーザによって選択することができる第1のグラフィカルユーザインターフェースにおけるユーザインターフェースエレメントを生成することを含む。
【0034】
一実施形態によれば、生成されたユーザインターフェースエレメントは1つまたは2つ以上のユーザインターフェースエレメントをリストにしたメニューバーを備え、第2のアプリケーションは、1つまたは2つ以上のユーザインターフェースエレメントのうちのあるユーザインターフェースエレメントが選択されると、IVDタスクのIVDアクションを起動させるためのユーザ入力を第1のグラフィカルユーザインターフェースに案内するように構成される。
【0035】
生成されたユーザインターフェースエレメントはさらに、ボタン、タブ、アイコン、ウィンドウ、チェックボックスアイテム、アクションバー、アイテムグループなどを含む。
【0036】
一実施形態によれば、第2のアプリケーションは、第1のアプリケーションの少なくとも一部を実行すると自動的に実行される。このことは、単一のIVDタスクを実行し、特定のIVDタスクを選択するためのユーザ入力を要しないアプリケーションに有利となり得る。
【0037】
一実施形態によれば、コンピュータシステムはタッチスクリーンコンピュータを備え、表示装置は接触感知式表示画面である。これは、ポインタが無いのでタッチスクリーンに配備することができないツールチップとは対照的である。このことは、本発明の方法が既設のコンピュータシステムにシームレスに統合し得るので有利である。
【0038】
一実施形態によれば、第2のアプリケーションはさらに、第2のIVDタスクを行うために第3のグラフィカルユーザインターフェースへのデータ入力を案内するように構成され、第3のグラフィカルユーザインターフェースはメモリに記憶された複数のアプリケーションのうちの第3のアプリケーションによって生成される。このことは、1つまたは2つ以上の分析システムを実行している多数のアプリケーションなどの多数のアプリケーションから多数のIVDタスクを介してユーザを案内するために単一のガイダンスアプリケーションを用いることができるので、分析システムの効率を上げることができ有利となり得る。
【0039】
例えば、第3のアプリケーションは、第1のアプリケーションを案内している間に(例えば他の分析器から)起動することができる。代わりに、第3のアプリケーションと第2のアプリケーションは、2つ以上の分析器が必要となる(第2および第3のアプリケーションによって行われる2つの作業の組み合わせである)手続きを行うために並行して実行することができる。
【0040】
一実施形態によれば、第3のグラフィカルインターフェースは、別のユーザインターフェースウィンドウまたは第2の表示装置において表示される。
【0041】
他の態様において、本発明は分析システムのコントローラへのユーザ入力を案内する方法に関し、この分析システムは、生体試料の分析を行うための体外診断(IVD)装置を備え、IVD装置はコントローラに連結され、コントローラは、表示装置と、プロセッサと、プロセッサで実行可能な複数のアプリケーションを記憶するように構成されたメモリとを備え、複数のアプリケーションのうちの第1のアプリケーションは、実行されたときに、表示装置上に第1のグラフィカルユーザインターフェースを生成する命令を含み、第1のグラフィカルユーザインターフェースは1組のユーザインターフェースエレメントを含み、1組のユーザインターフェースエレメントの各ユーザインターフェースエレメントが第1のグラフィカルユーザインターフェースの範囲内の所定の領域に位置付けられ、第1のアプリケーションはさらに、実行されたときに、IVDタスクを行うためにIVD装置を制御する命令を含み、IVDタスクは一連のIVDアクションを含み、IVDアクションはユーザによるIVDアクションの起動に応じて行われ、ユーザによるIVDアクションの起動は、1組のユーザインターフェースエレメントのうちの対応するユーザインターフェースエレメントを用いて行われ、およびメモリはさらに、1組のユーザインターフェースエレメントの各々の表示位置を表すジオメトリデータを含み、該方法が、
IVDタスクの一連のIVDアクションを示すIVDタスクのためのタスクデータを受け取り、
1組のユーザインターフェースエレメントから、IVDタスクの一連のIVDアクションを行うために用いられるユーザインターフェースエレメントのサブセットを選択し、
ジオメトリデータを用いて、第1のグラフィカルユーザインターフェース内のユーザインターフェースエレメントのサブセットの各々の配置を決定し、
ユーザインターフェースエレメントのサブセットの各ユーザインターフェースエレメントの配置に基づいて、その配置を用いて第2のグラフィカルユーザインターフェース内に情報を表示するための対応する表示位置を決定し、および
第2のグラフィカルユーザインターフェースの対応する表示位置に、IVDタスクの一連のIVDアクションの少なくとも1つの特定のIVDアクションを起動する第1のグラフィカルユーザインターフェースの少なくとも1つのユーザインターフェースエレメントへのユーザアクションに関する情報を表示する
ことを含む。
【0042】
他の態様において、本発明は前実施形態の方法の工程を行うためにコンピュータで実行可能な命令を含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0043】
1つまたは2つ以上の上記の実施形態が、その実施形態の組み合わせが相互に排除されない限り組み合わされてもよいことが理解される。
【0044】
以下において、本発明の実施形態を、図面を参照して例示目的のためだけに、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】生体試料を処理するための例示的な分析システムを示す。
図2】コントローラへのユーザ入力を案内する方法のフローチャートである。
図3図2の工程207をさらに定義する方法を示す。
図4】ポップアップウィンドウの例示的構造を示す。
図5図2の工程205をさらに定義するフローチャートである。
図6】分析システムの外部ボトルをチェックする分析工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下において、これらの図面中の同一の符号の要素は同様の要素を示し、同等の機能を実行する。先に説明した要素は、機能が同等であれば後の図面では必ずしも説明しない。
【0047】
図1は、生体試料を処理するための例示的な分析システム100を示す。分析システム100は、コンピュータシステム101を備えるコントローラを提供する。コンピュータシステム101の構成要素としては、1つまたは2つ以上のプロセッサまたは処理ユニット103、記憶システム111、メモリシステム105、およびメモリシステム105を含む各種システムコンポーネントとプロセッサ103とを連結するバス110を備えるが、これらに限定されるものではない。メモリシステム105は、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/またはキャッシュメモリなどの揮発性メモリ117および不揮発性メモリ118などの形態で、コンピュータシステムで読み取り可能なメディアを備えてもよい。
【0048】
コンピュータシステム101はまた、キーボード、ポインティング装置、表示装置113などの1つまたは2つ以上の外部装置、ユーザがコンピュータシステム101と相互作用することを可能にする1つまたは2つ以上の装置、および/またはコンピュータシステム101が1つまたは2つ以上の他のコンピュータ装置と通信することを可能にする任意の装置(例えばネットワークカード、モデムなど)と通信してもよい。かかる通信は、I/Oインターフェース119を介して行われ得る。さらにコンピュータシステム101は、ネットワークアダプタ109を介してローカルエリアネットワーク(LAN)、一般的なワイドエリアネットワーク(WAN)および/またはパブリックネットワーク(例えばインターネット)などの1つまたは2つ以上のネットワークと通信できる。示すように、ネットワークアダプタ109は、バス115を介してコンピュータシステム101の他の構成要素と通信する。コンピュータシステム101は、例えばタッチスクリーンコンピュータであってもよく、表示装置113は接触感知式表示画面であってもよい。
【0049】
コンピュータシステム101は、生体試料の分析を行うために分析システム100のIVD装置107に接続されたコントローラとして作用してもよい。IVD装置107は、1つまたは2つ以上のIVDタスクを行うように構成されてもよい。IVDタスクは一連のIVDアクションを含む。IVDタスクは例えば試料オーダータスクおよび/または保全アクションタスクであってもよい。保全アクションタスクは図6を参照して詳細に示されている。1つまたは2つ以上のIVDタスクの各IVDタスクは、記憶システム111に保存されたスクリプト133に関連してもよい。スクリプト133は、ユーザがIVDタスクのIVDアクションのそれぞれのリストを起動するように案内するための命令のリストを備える。スクリプト133は、スクリプトIDによって識別されてもよい。IVDタスクおよび関連するスクリプトIDのリストは、メモリシステム105の中のテーブル135に保存される。
【0050】
スクリプト133の簡略化された構造を、図1に示す。スクリプト133は、多数のフィールドおよびレコードまたは列を含む。例えば、スクリプト133の各レコードは、IVDタスクの各IVDアクションに関連付けられてもよい。スクリプト133のフィールド133.1は、IVDタスクの所定のIVDアクションのインクリメントされるアクションIDを含む。フィールド133.2は、所定のIVDアクションを起動するのに用いるユーザインターフェースエレメントの名称を含む。スクリプト133のフィールド133.3は、所定のIVDアクションを示すテキストメッセージを含む。フィールド133.4は、フィールド133.2に名称が付けられたユーザインターフェースエレメントを用いる所定のIVDアクションを起動するために実行される命令を含む。
【0051】
メモリシステム105は、プロセッサ103に実行可能な複数のアプリケーションを記憶するように構成されている。例えばメモリシステム105は、オペレーティングシステム137およびソフトウェアアプリケーション126を含む。オペレーティングシステム137はウィンドウマネージャ139を備える。ウィンドウマネージャ139は、グラフィカルユーザインターフェースにおけるウィンドウシステム内での、ウィンドウの配置および外観を制御する。
【0052】
ソフトウェアアプリケーション126のうちの第1のアプリケーション127は、実行されたときに、第1のユーザインターフェース121を表示装置113上に生成する命令を含む。例えば、第1のアプリケーション127は、ユーザによる選択作用によってまず起動されてもよい。起動後は、第1のアプリケーション127は、ウィンドウを起動し、第1のアプリケーション127の実行されているインスタンスに第1のユーザインターフェース121を提供するために、要求をウィンドウマネージャ139に送ってもよい。
【0053】
簡略化のために、第1のユーザインターフェース121は、9つのユーザインターフェースエレメントA〜Iを1組として含むように示される。しかしながら、本開示の利益を享受する当業者は、第1のユーザインターフェース121がより多くのまたはより少ないユーザインターフェースエレメントを備えてもよいことを理解すべきである。ユーザインターフェースエレメントA〜Iの1組のうちの各インターフェースエレメントは第1のユーザインターフェース121の範囲内の所定の領域に位置付けられる。
【0054】
ユーザインターフェースエレメントA〜Iは第1のユーザインターフェース121に対して位置付けられてもよい。第1のユーザインターフェース121は、基準点を含む。例えば基準点は第1のユーザインターフェース121の上部/左または下部/右コーナーのいずれかであってもよい。ユーザインターフェースエレメントの位置は1対のXおよびY値によって示されてもよく、各々0.0〜1.0の範囲である。これらの値はそれぞれ第1のユーザインターフェース121内の相対的な水平および垂直位置を、上部/左を{X:0.0、Y:0.0}で表し、下部/右として{X:1.0、Y:1.0}で表わす。なお、ユーザインターフェースエレメントのビューのサイズ特性を定めるエレメント寸法は、ユーザインターフェースエレメントの幅および高さを用いて特定してもよい。図1に示すように、ユーザインターフェースエレメントGの位置は例えば{XG、YG}で示されてもよい。さらにユーザインターフェースエレメントGのビューのサイズは高さHGおよび幅WGで示されてもよい。なお、第1のユーザインターフェース121は、表示装置の上部/左コーナーに関連して位置付けられてもよい。しかしながら、本発明の開示の利益を享受する当業者は他の位置付け方法を代わりに用いてもよいことを理解すべきである。
【0055】
ユーザインターフェースエレメントA〜Iおよび第1のユーザインターフェース121の位置、外観およびサイズを示すジオメトリデータは第1のアプリケーション127によって決定され、ウィンドウマネージャ139に通信されてもよい。下記のスナップショットコードはユーザインターフェースエレメントA〜Iおよび第1のユーザインターフェース121の位置、外観およびサイズを示す例示的なコードを示す。ジオメトリデータは例えばコードを解析し、スナップショットコードで定められた位置の値を読み取ることによって得られる。
【0056】
【0057】
代わりに、ウィンドウマネージャ139はユーザインターフェースエレメントA〜Iおよび第1のユーザインターフェース121の外観、サイズおよびスクリーン位置を決定することを担っていてもよい。この場合、ジオメトリデータは、例えば第1のアプリケーション127の実行されているインスタンスの処理IDを用いてウィンドウマネージャ139から得られてもよい。処理IDは、例えばUnix(登録商標)オペレーティングシステムにおける端末リストの実行中の処理の下記のスクリーンショットで示されるように第1のアプリケーション127の名称を用いて得られてもよい。最初の列は処理IDまたは実行中の処理がリストされている。
【0058】
【0059】
決定後には、ジオメトリデータは記憶システム111に記憶されてもよい。
【0060】
ソフトウェアアプリケーション126はさらに、第2のアプリケーション129を備える。第2のアプリケーション129は、実行されたときに表示装置113に第2のユーザインターフェース123を生成する命令を含む。例えば第2のアプリケーション129は、第1のユーザインターフェース121のユーザインターフェースエレメント125を選択後に起動されてもよい。ユーザインターフェースエレメント125は例えばヘルプメニューバーまたはコンテキストメニューバーであってもよく、メニューバーは1つまたは2つ以上のIVDタスクを列挙する。第2のユーザインターフェース123は、ユーザインターフェースエレメント125を選択するときに選択されるIVDタスクを実行するために、システム100のユーザの第1のユーザインターフェース121へのデータ入力を案内するために用いられてもよい。
【0061】
分析システム100の操作は図2図5を参照して詳細に示される。
【0062】
図2は分析システム100のコントローラへのユーザ入力を案内する方法のフローチャートである。コントローラはコンピュータシステム101であってもよい。工程200において、第1のアプリケーション127は分析システム100のユーザによって起動され、第1のユーザインターフェース121が生成される。
【0063】
工程201において、第2のアプリケーション129はIVDタスクについてのタスクデータを受け取ることができる。例えばユーザによるIVDタスクが開始されるとタスクデータが受け取られてもよい。この開始は例えばIVDタスクに関連する第1のユーザインターフェース121のユーザインターフェースエレメント125を選択することによってなされてもよい。ユーザインターフェースエレメント125の選択はまた第2のユーザインターフェース123の生成をトリガーする。第1および第2のユーザインターフェース121および123は、第2のユーザインターフェース123が第1のユーザインターフェース121の上にあり、第1のユーザインターフェース121の少なくとも一部を覆うように、表示装置113に表示されてもよい。
【0064】
工程203において、第2のアプリケーション129は、IVDタスクに関連するスクリプトIDを決定し、記憶システム111からスクリプトIDに関連するスクリプトをロードするためにテーブル135を読み取ってもよい。さらに、第2のアプリケーションは、IVDタスクを実行するために使用される1組のユーザインターフェースエレメントA〜Iのうちのユーザインターフェースエレメントのサブセットを決定するために、ロードされたスクリプトのフィールド133.2を読み取ってもよい。記載の簡略化のために、IVDタスクは3つの一連のアクションを含んでもよく、ユーザエレメントのサブセットはユーザインターフェースエレメントA、F、Gを含んでもよい。例えば、ユーザインターフェースエレメントA、F、Gは一連のアクションのうち、第1、第2および第3のIVDアクションにそれぞれ関連していてもよい。すなわち、ユーザは、第1、第2および第3のアクションのそれぞれを起動するために、A、FおよびGに入力がなされるように連続して案内されてもよい。
【0065】
ユーザインターフェースエレメントAから始めて、第2のアプリケーション129は、第1のユーザインターフェース121内のユーザインターフェースエレメントAの配置を決定するために、ジオメトリデータ、例えば記憶システム111に保存されたユーザインターフェースエレメントAの1対の(XA、YA)および(HA、WA)値を工程205において読み取ってもよい。
【0066】
工程207において、第2のアプリケーション129は、ユーザインターフェースエレメントAの配置に基づいて、その配置を使用して第2のグラフィカルユーザインターフェース123内において情報を表示するための対応する表示位置221を決定してもよい。
【0067】
工程209において、第2のアプリケーションは、ポップアップウィンドウ225内に、IVDタスクの一連のIVDアクションのうちの第1のIVDアクションを起動するユーザインターフェースエレメントAへのユーザ入力に関する情報を表示してもよい。ポップアップウィンドウ225は、第2のユーザインターフェース123の少なくとも一部の上に置かれてもよい。ポップアップウィンドウ225内の表示された情報の構造が図4を参照して詳細に示される。
【0068】
第1のIVDアクションが起動されると、第2のアプリケーション129は、残りの各ユーザインターフェースエレメントFおよびGについて工程205〜209を繰り返してもよい。例えば、ユーザエレメントFについての第2の繰り返しにおいて、ポップアップウィンドウは新しく定められた表示位置227に位置付けられてもよい。
【0069】
3つのIVDアクションを起動させるためにユーザ入力を受け取った後、IVD装置107は受け取ったユーザ入力を用いてIVDタスクを実行するために制御されてもよい。
【0070】
図3は、図2の工程207をさらに定義するために第2および第1のユーザインターフェースを位置付けする方法を示す。この例において、第2のユーザインターフェース123は、ユーザインターフェースエレメントB〜Iへのアクセスを遮り、ユーザインターフェースエレメントAへのアクセスが許可されるだけとなるように、第1のユーザインターフェース121の上に位置付けられる。すなわち、ユーザインターフェースエレメントAはユーザインターフェースエレメントB〜Iとは対照的にアクティブであり、ユーザは第2のユーザインターフェース123の背景にあるユーザインターフェースエレメントAに入力データを入力するだけでよい(例えば、オペレーティングシステム137は、他のベースステーションによって重ねられた背景ユーザインターフェースにユーザが入力データを入力することを可能にする機能を提供するようにしてもよい)。第2のユーザインターフェース123は、少なくとも部分的に透明または半透明であるマスクを表示するようにしてもよく、それによりユーザはアクセスが遮られている第1のユーザインターフェース121内のユーザインターフェースエレメントB〜Iを見続けることができる。他の別の例では、マスクはアクセスが遮られているユーザインターフェースエレメントB〜Iを隠してもよい。その他の別の例では、マスクはIVDタスクを実行するために使用されないユーザインターフェースエレメントB〜EおよびユーザインターフェースエレメントH〜Iを隠してもよく、ユーザがユーザインターフェースエレメントFおよびGを見るために透明であってもよい。これによって、ユーザはIVDタスクに使用されるすべてのユーザインターフェースエレメントA、FおよびGを概観することができるので、ユーザインターフェースエレメントAへの間違ったユーザ入力を防ぐことができる。
【0071】
図4はポップアップウィンドウ225の例示的な構成を示す。ポップアップウィンドウ225は、第1および第2のユーザインターフェース121および123から離れてナビゲートする必要なしに、ユーザがデータを第1のユーザインターフェース121に入力することを案内する内容を含んでもよい。ポップアップウィンドウ225は、IVDタスクの一連のIVDアクションにおける、先のIVDアクションまたは次のIVDアクションについての第1のユーザインターフェース121へのユーザ入力に関する情報を表示するためのフィールド402を含む。フィールド402の内容は、スクリプト133のフィールド133.3の中のメッセージを読み取り、読み取られたメッセージをフィールド402にコピーすることによって得られてもよい。ポップアップウィンドウ225はさらに続行アイコン403を備えてもよく、選択されたときに一連の作用の次のまたは先の作用が実行されることになる。続行アイコン403は、IVDタスクに関連するスクリプト133のフィールド133.4において第2のアプリケーション129によって読み取られた情報に基づいて表示される。ポップアップウィンドウはさらにIVDアクションをキャンセルするためのキャンセルアイコン405を含む。
【0072】
図5図2の工程205をさらに定義するフローチャートを示す。工程501において、第2のアプリケーション129はジオメトリデータの変更を判定するためにメモリ内容をモニターする。例えば、変更は第1のユーザインターフェース121のサイズ変更によるものであってもよい。モニタリングは定期的になされてもよい。別の例において、第2のアプリケーション129はジオメトリデータに関するステータスメッセージを繰り返し受け取ってもよい。更新されたステータスメッセージはジオメトリデータの変更を示す。工程503において、第2のアプリケーションは、メモリシステム105の不揮発性メモリ118に更新されたデータを記憶し、更新されなかったデータを揮発性メモリ117に移動する。これは、更新されなかったデータがもはや第2のアプリケーション129によって要求されないかもしれないためである。次に配置が、更新されたジオメトリデータを用いて工程205において決められる。
【0073】
図6は血清および尿の試料を測定する分析システムの外部試薬ボトルを検査する分析工程を示す。外部ボトルは、水ボトル、洗浄剤ボトルおよび廃棄ボトルを含む。第1のアプリケーション127などのソフトウェアアプリケーションによって生成されたユーザインターフェース601が示されている。ユーザインターフェース601は、分析システムによって実行可能なタスクをリストにするために分析システムのユーザにより選択され得るヘルプメニューバーエレメント602を含む。メニューバーエレメント602の選択後に、タスクのリストがユーザインターフェース605に表示される。ユーザはボトルを変更するタスクに関連したユーザインターフェースエレメント607を選択してもよい。第2のユーザインターフェース609は次にユーザインターフェース605の上に表示される。ユーザインターフェース605は、タスクを実行するユーザインターフェースエレメント611、613および615を示している。第2のユーザインターフェース609において、ポップアップウィンドウ616、617、619、621および623が、タスクを実行するためにユーザがユーザ入力を入力するように案内するためにユーザインターフェースエレメント607に表示され得る。ポップアップウィンドウ617、619および621はユーザインターフェースエレメント611、613および615のそれぞれに応じて表示される。
【符号の説明】
【0074】
100 分析システム
101 コンピュータシステム
103 プロセッサ
105 メモリシステム
107 IVD装置
109 ネットワークアダプタ
111 記憶システム
113 表示装置
117 揮発性メモリ
118 不揮発性メモリ
119 I/Oユーザインターフェース
121〜123 グラフィカルユーザインターフェース
A〜I、125 ユーザインターフェースエレメント
126 ソフトウェアアプリケーション
127〜129 アプリケーション
133 スクリプト
133.1〜4 フィールド
135 テーブル
137 オペレーティングシステム
221、227 表示位置
225、616〜623 ポップアップウィンドウ
402〜405 フィールド
601、603、605、609 ユーザインターフェース
602、611〜615 ユーザインターフェースエレメント
図1
図2
図3
図4
図5
図6