(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585344
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】同期機の励磁装置および励磁停止方法
(51)【国際特許分類】
H02P 9/04 20060101AFI20190919BHJP
【FI】
H02P9/04 C
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-252054(P2014-252054)
(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公開番号】特開2016-116289(P2016-116289A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】杉戸 健一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 雅彦
【審査官】
尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
実開平02−088499(JP,U)
【文献】
特開平01−099498(JP,A)
【文献】
実開昭59−114800(JP,U)
【文献】
特開2005−160258(JP,A)
【文献】
特開昭50−138316(JP,A)
【文献】
特開平07−005937(JP,A)
【文献】
特開昭57−168432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 9/00− 9/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート信号に従って交流電圧を直流電圧に変換し、同期機の界磁巻線に回転整流器を介して接続される励磁機の界磁巻線に励磁機界磁電流を供給する整流器と、
前記整流器に並列接続される過電圧防止用サイリスタと、
前記整流器の出力電圧が所定の負の電圧以下になったときに前記過電圧防止用サイリスタを点弧し導通させる過電流検出器と、
前記励磁機の界磁巻線と前記整流器との間に直列接続される放電抵抗器と、
前記放電抵抗器に並列接続される放電抵抗用開閉器と、
前記励磁機の励磁を停止する際に前記放電抵抗用開閉器を開放させることにより前記放電抵抗器に励磁機界磁電流を通電させる開閉器開放手段と
を具備することを特徴とする同期機の励磁装置。
【請求項2】
請求項1に記載の同期機の励磁装置において、
前記整流器の交流側に接続される界磁開閉器を更に具備し、
前記開閉器開放手段は、前記励磁機の励磁を停止する際に前記界磁開閉器と前記放電抵抗用開閉器の双方を開放させることを特徴とする同期機の励磁装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の同期機の励磁装置において、前記放電抵抗器が非線形な電流−電圧特性を有する非線形放電抵抗器であることを特徴とする同期機の励磁装置。
【請求項4】
請求項2に記載の同期機の励磁装置において、前記界磁開閉器と前記放電抵抗用開閉器とが物理的に1台の開閉器で構成されていることを特徴とする同期機の励磁装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の同期機の励磁装置において、前記放電抵抗用開閉器は半導体スイッチング素子で構成されていることを特徴とする同期機の励磁装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の同期機の励磁装置において、前記放電抵抗用開閉器に並列接続されるコンデンサをさらに具備することを特徴とする同期機の励磁装置。
【請求項7】
ゲート信号に従って交流電圧を直流電圧に変換し、同期機の界磁巻線に回転整流器を介して接続される励磁機の界磁巻線に励磁機界磁電流を供給する整流器と、前記整流器に並列接続される過電圧防止用サイリスタと、前記整流器の出力電圧が所定の負の電圧以下になったときに前記過電圧防止用サイリスタを点弧し導通させる過電流検出器と、前記励磁機の界磁巻線と前記整流器との間に直列接続される放電抵抗器と、を備えた同期機の励磁装置に適用される励磁停止方法であって、
前記励磁機の励磁を停止する際に、前記放電抵抗器に並列接続される放電抵抗用開閉器を開閉器開放手段により開放させることによって前記放電抵抗器に励磁機界磁電流を通電させることを特徴とする同期機の励磁停止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、同期機の励磁装置および励磁停止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシレス励磁方式の一般的な励磁装置は、同期機の交流出力電圧を励磁電源変圧器を介して励磁電源とする整流器の出力を変化させ、励磁機界磁巻線に流れる電流を自動電圧調整器で調整している。また、励磁機の励磁を停止するときは従来、放電極を持つ界磁遮断器と放電抵抗器を整流器の直流側に設置し、放電抵抗器を介して励磁機界磁電流を減衰させる方式が用いられていたが、放電極を持つ界磁遮断器が高価であるため、近年では経済的な理由から、整流器の交流側に設けた界磁開閉器を開放し、励磁機の時定数により励磁機界磁電流を減衰させる方式が用いられている。
【0003】
このような方式の励磁装置では、同期機が定格負荷運転中に保護停止要求により界磁開閉器を開放すると、励磁機界磁電流は励磁機の時定数に応じて緩やかに減衰するために、回転速度が短時間に大きく上昇する水力機では同期機の交流出力電圧が大きく上昇するという問題がある。
【0004】
放電極を持つ界磁遮断器を用いずに界磁電流を短時間で減衰させる技術としては、以下の特許文献が知られている。すなわち、サイリスタ励磁方式で、自動電圧調整装置のチョッパ制御器の中において放電抵抗器と並列接続した電子スイッチをオフすることで放電抵抗器を放電回路に投入するもの(特許文献1)、放電抵抗器と並列接続した超電導導体を常電導にすることで放電抵抗器を界磁回路に投入するもの(特許文献2)、放電抵抗器と並列接続した遮断器を開放することで放電抵抗器を界磁回路に投入するもの(特許文献3)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−298996号公報
【特許文献2】特開平4−79800号公報
【特許文献3】特開2007−202286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1〜3に記載されている同期機の励磁装置には以下の課題がある。
【0007】
(1)特許文献1に示されるものは、負の界磁電圧を印加できない励磁装置のための放電抵抗器投入方法であり、負の界磁電圧を出力する励磁装置には適用できない。
【0008】
(2)特許文献2のように、超電導導体を放電抵抗器投入用のスイッチとして使用するのは経済的に得策ではない。
【0009】
(3)特許文献3では、励磁を停止する時にサイリスタアームを全点弧して界磁電流をサイリスタ整流器のN側からP側にバイパスしているが、停止操作時に制御回路の能動的な動作を期待するのは好ましくない。また、放電抵抗器と並列接続した遮断器を開放する際に遮断器の接点から放電抵抗器に電流が移行するが、このとき放電抵抗器の電流に抵抗値を乗じた電圧が遮断器の接点間に印加されるので、それに耐えられる遮断器とする必要がある。
【0010】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、コストを抑えつつ、同期機を保護停止する際に励磁機界磁電流を短時間で減衰させることができ、同期機の交流出力電圧の上昇を抑制することができる同期機の励磁装置および励磁停止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態による同期機の励磁装置は、ゲート信号に従って交流電圧を直流電圧に変換し、同期機の界磁巻線に回転整流器を介して接続される励磁機の界磁巻線に励磁機界磁電流を供給する整流器と、
前記整流器に並列接続される過電圧防止用サイリスタと、前記整流器の出力電圧が所定の負の電圧以下になったときに前記過電圧防止用サイリスタを点弧し導通させる過電流検出器と、前記励磁機の界磁巻線と前記整流器との間に直列接続される放電抵抗器と、前記放電抵抗器に並列接続される放電抵抗用開閉器と、前記励磁機の励磁を停止する際に前記放電抵抗用開閉器を開放させることにより前記放電抵抗器に励磁機界磁電流を通電させる開閉器開放手段とを具備する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コストを抑えつつ、同期機を保護停止する際に励磁機界磁電流を短時間で減衰させることができ、同期機の交流出力電圧の上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態に関わる同期機の励磁装置の構成を示す図。
【
図2】同実施形態における励磁停止の手順を示すタイミングチャート。
【
図3】第2の実施形態に関わる同期機の励磁装置の構成を示す図。
【
図4】第3の実施形態に関わる同期機の励磁装置の構成を示す図。
【
図5】第4の実施形態に関わる同期機の励磁装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
まず、
図1および
図2を参照して第1の実施形態について説明する。
【0016】
(構成)
図1は、第1の実施形態に関わる同期機の励磁装置の構成を示す図である。
【0017】
1は自励式ブラシレス同期機であり、同期機1Aに回転電機子形の励磁機1Bを連結し、その回転部に回転整流器1Cを設けた構成としている。
【0018】
2は主変圧器であり、同期機1Aの交流出力電圧Vgを系統電圧まで昇圧する。3は並列用遮断器であり、同期機1Aを電力系統4に連系させるための接続または遮断を行う。
【0019】
5は整流器(例えばサイリスタ整流器)であり、ゲート信号Pに従って励磁電源用変圧器6および界磁開閉器7を介して同期機1Aから供給される交流電力を直流電圧に変換することにより整流を行い、励磁機1Bの界磁巻線1Dに励磁機界磁電流Iefを供給する。
【0020】
8は自動電圧調整装置(AVR)であり、計器用変成器9で検出した同期機1Aの交流出力電圧Vgを電圧設定値と比較して同期機1Aの交流出力電圧Vgを電圧設定値に一致させるようにするための(即ち、電圧偏差が無くなるようにするための)ゲート信号Pを整流器5に与える。界磁開閉器7の状態は自動電圧調整装置8に伝達されるようになっており、自動電圧調整装置8は界磁開閉器7が投入されているときだけゲート信号Pを出力する。
【0021】
10は過電圧検出器であり、整流器5の出力電圧が所定の負の電圧以下となったときに点弧パルスPoを出力して、整流器5に並列接続される過電圧防止用サイリスタ11を点弧し導通させる。
【0022】
12は放電抵抗用開閉器であり、励磁機1Bの界磁巻線1Dと整流器5との間に直列接続され、外部からの信号に応じて開閉する。13は放電抵抗器であり、放電抵抗用開閉器12と並列に接続され、放電抵抗用開閉器12が開放された際に励磁機界磁電流Iefを流す。
【0023】
14は開閉器開放手段であり、例えば同期機1Aの定格負荷運転中に保護停止要求が生じた際に発行される開閉器開放指令Stpを入力すると、励磁機1Bの励磁を停止させるため、界磁開閉器7に対して開放信号Ofcを出力するとともに放電抵抗用開閉器12に対して開放信号Odcを出力する。すなわち、開閉器開放手段14は、励磁機1Bの励磁を停止する際に、界磁開閉器7と放電抵抗用開閉器12の双方を開放させることにより、整流器5への交流電力供給を停止させるとともに、励磁機界磁電流Iefを放電抵抗器13に通電させて所定の短い時定数で減衰させる。
【0024】
なお、本実施形態おいて「〜手段」と称した個々の要素は、ハードウェアで実現してもよいが、少なくとも一部をソフトウェアで実現してもよい。
【0025】
(作用)
次に、
図2を参照して、同実施形態における励磁停止の手順を説明する。
【0026】
通常運転時は、同期機1Aが主変圧器2と並列用遮断器3を介して電力系統4に接続され、自動電圧調整装置8が整流器5に与えるゲート信号Pのタイミングを制御することにより、同期機1Aの交流出力電圧Vgが電圧設定値と一致するように制御されている。
【0027】
この状態においては、開閉器開放指令Stpは開閉器開放手段14には入力されていない。そのため、開放信号Ofcは界磁開閉器7に供給されず、界磁開閉器7は閉の状態にある。また、開放信号Odcは放電抵抗用開閉器12に供給されず、放電抵抗用開閉器12は閉の状態にある。この時、界磁巻線1Dには同期機1Aの交流出力電圧Vgを電圧設定値に一致させるのに必要な励磁機界磁電流Iefが流れている。
【0028】
保護停止時には、並列用遮断器3が開放されるとともに、界磁開閉器7が開放される。具体的には、開閉器開放手段14は、開閉器開放指令Stpを入力すると、界磁開閉器7に対して開放信号Ofcを出力し、さらに同じタイミングで放電抵抗用開閉器12に対して開放信号Odcを出力する。
【0029】
開放信号Ofcにより界磁開閉器7が開放されると、励磁機界磁電流Iefは、整流器5の出力電圧が所定の負の電圧以下になった場合は過電圧防止用サイリスタ11をバイパスし、そうでない場合は界磁開閉器7の開放状態が自動電圧調整装置8に伝達されるまでゲート信号Pが供給されている整流器5をN側からP側にバイパスする。
【0030】
さらに、開放信号Odcにより放電抵抗用開閉器12も開放されるので、放電抵抗器13が励磁機1Bの界磁回路に投入される。このとき、励磁機1Bの界磁巻線1Dと、放電抵抗器13と、過電圧防止用サイリスタ11または整流器5とによる放電回路が形成され、放電抵抗器13が界磁回路に投入されない場合よりも短い時定数で励磁機界磁電流Iefが減衰して短時間で0Aになる。
図2中には、放電抵抗器13が界磁回路に投入されない場合の電流カーブC0に対比させる形で、放電抵抗器13が界磁回路に投入された場合の電流カーブC1が示されている。
【0031】
これにより、励磁機1Bの交流出力電圧と同期機1Aの界磁電流も、より短時間で減衰するので、同期機1Aの交流出力電圧Vgの上昇が抑制される。
【0032】
(効果)
第1の実施形態によれば、保護停止時に界磁開閉器7を開放させるとともに放電抵抗用開閉器12を開放させることにより、放電抵抗器13に励磁機界磁電流Iefを通電させ、放電抵抗器13を励磁機1Bの界磁回路に投入させるようにしているので、励磁機界磁電流Iefを短時間に減衰させることができ、同期機1Aの交流出力電圧Vgの上昇を抑制することができる。
【0033】
なお、第1の実施形態で使用した放電抵抗器13は、具体例として、例えば非線形な電流−電圧特性を有する非線形放電抵抗器を採用してもよい。この場合、非線形放電抵抗器の電流−電圧特性については、励磁機1Bの界磁電圧と界磁電流の定格値に応じて適切に選定しておく。例えば、放電する励磁機界磁電流Iefの最大電流値以下の範囲で非線形放電抵抗器の抵抗値が放電抵抗器13の抵抗値よりも大きくなるようにする。このような非線形放電抵抗器を採用することにより、非線形放電抵抗器を投入した後の励磁機界磁電流Iefをより短時間で減衰させることができ、同期機1Aの交流出力電圧Vgの上昇を抑制することができる。
【0034】
また、第1の実施形態では、整流器5の交流電源を同期機1Aの交流出力電圧Vgから得る自励式ブラシレス励磁方式を例に記述したが、整流器5の交流電源を永久磁石発電機(PMG)などから得る他励式ブラシレス励磁方式においても、上記した構成を適用すれば、同様の作用効果が得られる。
【0035】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。以下では、前述の第1の実施形態と共通する部分の説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0036】
(構成)
図3は、第2の実施形態に関わる同期機の励磁装置の構成を示す図である。
【0037】
第2の実施形態(
図3)は、上述した第1の実施形態(
図1)の放電抵抗用開閉器12と界磁開閉器7とを、物理的に1台の共用開閉器15で構成したものである。
【0038】
共用開閉器15の具体例としては、整流器5の交流電源が3相の場合は4極開閉器を、単相の場合は3極開閉器を使用し、そのうち1極を放電抵抗用開閉器12の代わりに使用する。
【0039】
(作用)
放電抵抗器13の励磁機1Bの界磁回路への投入は、遅延なしに整流器5の交流電源の遮断と同時に行われる。これにより、放電抵抗器13の界磁回路への投入が遅延した場合に比べてより短時間で励磁機界磁電流Iefが減衰することになる。
【0040】
(効果)
第2の実施形態によれば、放電抵抗用開閉器12と界磁開閉器7とを物理的に1台の共用開閉器15で構成しているため、放電抵抗器13の励磁機1Bの界磁回路への投入を遅延なく行うことができ、同期機1Aの交流出力電圧Vgの上昇を確実に抑制することができる。
【0041】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について説明する。
【0042】
(構成)
図4は、第3の実施形態に関わる同期機の励磁装置の構成を示す図である。
【0043】
第3の実施形態(
図4)は、上述した第1の実施形態(
図1)の放電抵抗用開閉器12を半導体スイッチング素子12Aで構成し、開閉器開放手段14の代わりに開閉器開放手段14Aを設け、さらに駆動回路16を追加したものである。
【0044】
開閉器開放手段14Aは、開閉器開放指令Stpを入力すると、界磁開閉器7に対して開放信号Ofcを出力するとともに駆動回路16に対して停止信号Sdsを出力する。
【0045】
駆動回路16は、停止信号Sdsを入力すると、半導体スイッチング素子12Aに対してオフ信号Odsを出力する。
【0046】
半導体スイッチング素子12Aは、オフ信号Odsを入力すると、オフして放電抵抗器13を励磁機1Bの界磁回路に投入させ、それ以外の時はオンして放電抵抗器13を通電させずに短絡させる。
【0047】
(作用)
半導体スイッチング素子12Aは、第1の実施形態における放電抵抗用開閉器12の開閉動作と同様の動作をする。
【0048】
通常運転時は、開閉器開放手段14Aが駆動回路16に対して停止信号Sdsを出力せず、駆動回路16が半導体スイッチング素子12Aに対してオフ信号Odsを出力しない。そのため、半導体スイッチング素子12Aはオンの状態にあり、界磁巻線1Dには同期機1Aの交流出力電圧Vgを電圧設定値に一致させるのに必要な励磁機界磁電流Iefが流れている。
【0049】
保護停止時には、開閉器開放手段14Aが駆動回路16に対して停止信号Sdsを出力し、駆動回路16が半導体スイッチング素子12Aに対してオフ信号Odsを出力する。これにより、半導体スイッチング素子12Aはオフして放電抵抗器13に励磁機界磁電流Iefを通電させ、放電抵抗器13を励磁機1Bの界磁回路に投入させる。
【0050】
(効果)
第3の実施形態によれば、放電抵抗用開閉器12の代わりに半導体スイッチング素子12Aを採用した場合においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
また、第3の実施形態における半導体スイッチング素子12A、開閉器開放手段14Aおよび駆動回路16は、上述した第2の実施形態に対しても適用することができ、その場合も上記と同様の作用効果が得られる。
【0052】
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態について説明する。
【0053】
(構成)
図5は、第4の実施形態に関わる同期機の励磁装置の構成を示す図である。
【0054】
第4の実施形態(
図5)は、上述した第1の実施形態(
図1)の放電抵抗用開閉器12に並列にコンデンサ17を追加接続したものである。
【0055】
コンデンサ17の静電容量は、放電抵抗用開閉器12を開放する際に放電抵抗用開閉器12が無通電になったときの放電抵抗器13の両端電圧を第1の実施形態よりも低減できるように選定しておく。
【0056】
(作用)
上述した第1の実施形態では、放電抵抗用開閉器12に流れていた電流が放電抵抗器13へ移行する際に、放電抵抗器13の抵抗値に通電電流を乗じた電圧が放電抵抗用開閉器12の接点にも印加されるため、放電抵抗用開閉器12の接点に応分の負担がかかる。これに対し、第4の実施形態では放電抵抗用開閉器12に流れていた電流は、まずコンデンサ17へ移行し始め、コンデンサ17の両端電圧の上昇に伴って放電抵抗器13にも電流が流れ始めるので、電流移行時に放電抵抗用開閉器12の接点に印加される電圧が第1の実施形態の場合よりも低減される。
【0057】
(効果)
第4の実施形態によれば、放電抵抗用開閉器12に並列にコンデンサ17を追加接続したことで、放電抵抗用開閉器12を開放する際に放電抵抗用開閉器12の接点に印加される電圧が第1の実施形態よりも低減されるので、放電抵抗用開閉器12の接点の負担を軽減でき、寿命を延ばすことができる。
【0058】
なお、第4の実施形態におけるコンデンサ17は、第2の実施形態や第3の実施形態に対しても適用することができ、その場合も上記と同様の作用効果が得られる。
【0059】
以上詳述したように、上述した各実施形態によれば、コストを抑えつつ、同期機を保護停止する際に励磁機界磁電流を短時間で減衰させることができ、同期機の交流出力電圧の上昇を抑制することができる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1…ブラシレス同期機、1A…同期機、1B…励磁機、1C…回転整流器、1D…界磁巻線、2…主変圧器、3…並列用遮断器、4…電力系統、5…整流器、6…励磁電源用変圧器、7…界磁開閉器、8…自動電圧調整装置、9…計器用変成器、10…過電圧検出器、11…過電圧防止用サイリスタ、12…放電抵抗用開閉器、12A…半導体スイッチング素子、13…放電抵抗器、14…開閉器開放手段、14A…開閉器開放手段、15…共用開閉器、16…駆動回路、17…コンデンサ。