特許第6585351号(P6585351)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585351
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】日射遮蔽装置のモータ取付構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/323 20060101AFI20190919BHJP
   E06B 9/42 20060101ALI20190919BHJP
   A47H 1/04 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   E06B9/323
   E06B9/42 A
   A47H1/04 F
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-16523(P2015-16523)
(22)【出願日】2015年1月30日
(65)【公開番号】特開2016-141958(P2016-141958A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 修一
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−097242(JP,A)
【文献】 特開2013−076277(JP,A)
【文献】 実開平06−069466(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0000629(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00 − 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドボックスと、
前記ヘッドボックス内に収容されるモータユニットと、
前記ヘッドボックスの内側面と前記モータユニットの外側面とに挟まれる弾性部材とを備え、
前記ヘッドボックスは、底壁と、前記底壁に互いに相対して立設される一対の側壁とを備え、
前記弾性部材は、外側面が前記ヘッドボックスの内側面との接触面となり、前記接触面は、凹凸構造を含み、
前記凹凸構造は、前記ヘッドボックスの底壁に対応する外側面において、隣接する両側の外側面側に離間して設けられた肢部、又は、前記ヘッドボックスの一対の側壁に対応する外側面において、隣接する両側の外側面側に離間した部位の少なくとも何れかに設けられ
さらに、前記弾性部材の内側面が前記モータユニットの外側面と接触する接触面となり、前記モータユニットの外側面と接触する接触面は、内側凹凸構造を含み、
前記内側凹凸構造は、前記弾性部材の内側面において、隣接する両側の内側面側に離間した部位に設けられている
日射遮蔽装置のモータ取付構造。
【請求項2】
前記接触面は、前記凹凸構造の頂面である
請求項1に記載の日射遮蔽装置のモータ取付構造。
【請求項3】
前記凹凸構造は、前記モータユニットの軸の軸線方向に沿って延びる複数の凸条部を有する
請求項1又は2に記載の日射遮蔽装置のモータ取付構造。
【請求項4】
前記弾性部材は、前記ヘッドボックスの内側面の中で前記モータユニットの軸との径方向の距離が最短となる領域が前記凹凸構造と対向しないように配置されている
請求項1〜3の何れか1項に記載の日射遮蔽装置のモータ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニットを備えた日射遮蔽装置のモータ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した日射遮蔽装置の一例である電動ブラインドには、ヘッドボックス内に、スラットを昇降させる際の駆動源となるモータを備えたモータユニットが配設されている。モータユニットは、モータと、モータの回転軸に取り付けられるギヤボックスを備えている。ギヤボックスの出力軸は、昇降コードやリフティングテープ等の昇降部材が巻き付けられたドラムを回転する回転軸部材に接続されている(特許文献1参照)。
【0003】
ギヤボックスには、減速ギヤ等複数のギヤが内蔵されており、振動や騒音の発生源となる。そこで、ギヤボックスには、ゴム材等で形成されたブラケットが外周部に取り付けられ、ギヤボックスは、このブラケットをギヤボックスとヘッドボックスとの間に介在させてヘッドボックス内に配設される。ゴム材で形成されたブラケットは、ギヤボックスの振動を吸収又は減衰させ、電動ブライドにおいて発生する振動や騒音を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−97242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、上述した日射遮蔽装置には、日射遮蔽装置の使用環境に合わせたさらなる静音化が求められ、振動や騒音の発生を一層に低減することが望まれている。こうした要請は、モータユニットを備えた日射遮蔽装置であれば、横型ブラインドの他、横型スクリーン、縦型のスクリーン、プリーツスクリーン、カーテン移送装置等であっても同様である。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、モータユニットの駆動に伴って発生する日射遮蔽装置における振動や騒音の発生を低減することが可能な日射遮蔽装置のモータ取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する日射遮蔽装置のモータ取付構造は、ヘッドボックスと、前記ヘッドボックス内に収容されるモータユニットと、前記ヘッドボックスの内側面と前記モータユニットの外側面とに挟まれる弾性部材とを備える。前記ヘッドボックスは、底壁と、前記底壁に互いに相対して立設される一対の側壁とを備える。前記弾性部材は、外側面が前記ヘッドボックスの内側面との接触面となり、前記接触面は、凹凸構造を含む。前記凹凸構造は、前記ヘッドボックスの底壁に対応する外側面において、隣接する両側の外側面側に離間して設けられた肢部、又は、前記ヘッドボックスの一対の側壁に対応する外側面において、隣接する両側の外側面側に離間した部位の少なくとも何れかに設けられている。
【0008】
上記日射遮蔽装置のモータ取付構造において、前記接触面は、前記凹凸構造の頂面であってもよい。
【0009】
上記日射遮蔽装置のモータ取付構造において、前記凹凸構造は、前記モータユニットの軸の軸線方向に沿って延びる複数の凸条部を有するものであってもよい。
【0010】
上記日射遮蔽装置のモータ取付構造において、前記弾性部材は、前記ヘッドボックスの内側面の中で前記モータユニットの軸との径方向の距離が最短となる領域が前記凹凸構造と対向しないように配置されていてもよい。
【0011】
上記日射遮蔽装置のモータ取付構造において、前記弾性部材の内側面が前記モータユニットの外側面と接触する接触面となり、前記モータユニットの外側面と接触する接触面は、内側凹凸構造を含むようにしてもよい。この場合、前記内側凹凸構造は、前記弾性部材の内側面において、隣接する両側の内側面側に離間した部位に設けられるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上のような構成によれば、モータユニットの駆動に伴って発生する日射遮蔽装置における振動や騒音の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】日射遮蔽装置のモータ取付構造が具体化された一実施形態におけるモータ取付構造を備える横型ブラインドの正面図である。
図2】一実施形態におけるヘッドボックスの分解斜視図である。
図3】一実施形態における弾性部材の底面構造を示す斜視図である。
図4】一実施形態における弾性部材の内面構造を示す斜視図である。
図5】一実施形態におけるモータ取付構造の弾性部材側からの側面図である。
図6】一実施形態におけるモータ取付構造の断面図である。
図7】凹凸構造を点線状にした変形例における弾性部材の内面構造を示す斜視図である。
図8】日射遮蔽装置のモータ取付構造の変形例におけるモータ取付構造のモータ側からの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、日射遮蔽装置の一例である横型電動ブラインドと、横型ブラインドが備えるモータ取付構造について図面を参照して説明する。
図1に示すように、横型ブラインド10は、天井、窓枠、カーテンボックス等の取付部に取り付けられるヘッドボックス11と、日射を遮蔽する複数枚のスラット12と、スラット12をチルト調整可能に支持するラダーコード13と、複数枚のスラット12を昇降するリフティングテープ14とを備えている。
【0015】
スラット12は、合成樹脂板、ステンレス等の金属板等により形成され、細長い矩形薄板状に形成され、上面部が円弧状面を呈している。なお、スラット12は、木板で形成されてもよい。複数枚のスラット12は、高さ(昇降)方向に沿って並び、ヘッドボックス11から吊り下げられたラダーコード13によってチルト調整可能に支持されている。
【0016】
最下段のスラット12の下側には、スラット12とほぼ同じ長さのボトムレール15が配設されている。ボトムレール15は、複数枚のスラット12が降下した状態を維持するための重量部材として機能する。ボトムレール15は、ボトムレール15が引き上げられるとき、複数枚のスラット12がボトムレール15の上に積み上げられる。ラダーコード13の先端部は、ボトムレール15に固定されている。ボトムレール15には、ヘッドボックス11から引き出されたリフティングテープ14が固定されている。
【0017】
ヘッドボックス11の内部には、リフティングテープ14を巻き取る複数のドラム28や複数のドラム28を回転させる回転軸部材25等が配設されている。回転軸部材25は、リフティングテープ14を巻き取る複数のドラム28が取り付けられており、複数のドラム28の回転を同期させる。すなわち、回転軸部材25は、複数のドラム28を互いに同じ速度で回転することによって、複数のリフティングテープ14を互いに同じ速度で同量巻き取る。
【0018】
図2に示すように、ヘッドボックス11の内部には、スラット12のチルト調整やスラット12の昇降等に要する駆動力を出力するモータユニット20が配設されている。ヘッドボックス11は、底壁16と、底壁16から互いに相対して立設される一対の側壁となる前壁17及び後壁18とを備え、全体形状が上面と長手方向において相対する両端面が開口された断面コ字状に形成されている。
【0019】
モータユニット20は、モータ21の一方向への回転力を回転軸部材25に伝達し、回転軸部材25の回転を通じてドラム28を回転する。これにより、リフティングテープ14がドラム28に巻き取られ、降下した状態にある複数枚のスラット12は、ボトムレール15が上昇することで互いに近接し重ねられるようにして引き上げられる。また、モータユニット20は、ボトムレール15が引き上げられた状態で、モータ21の他方向への回転力を回転軸部材25に伝達し、回転軸部材25の回転を通じてドラム28を回転する。これにより、ラダーコード13で連結された複数枚のスラット12は、ボトムレール15と共に降下する。
【0020】
モータユニット20は、モータ21と、モータ21の駆動軸に接続されるギヤボックス22とを備えている。モータ21は、片軸であり、低騒音型のモータである。ギヤボックス22は、サンギヤ、遊星ギヤ等の多数のギヤで構成された減速ギヤ機構が直方体形状を呈したハウジング23に収容されている。ギヤボックス22からは、回転軸部材25に接続される出力軸24が設けられている。出力軸24には、回転軸部材25がシャフトジョイントを介して接続されている。また、ギヤボックス22の外周側面である第1〜第4外側面26a〜26dは、平坦面で形成されている。複数のギヤを内蔵するギヤボックス22は、モータ21の駆動に伴って振動や騒音の発生源となる。こうした振動や騒音がヘッドボックス11に伝播するとなれば、ヘッドボックス11において振動や騒音がさらに増幅される。そこで、ギヤボックス22とヘッドボックス11との間には、ギヤボックス22のブラケットである弾性部材30が取り付けられる。
【0021】
図3及び図4に示すように、弾性部材30は、ギヤボックス22のハウジング23より一回り大きい直方体形状を呈しており、振動や騒音の伝播を抑制するために、例えば硬度が50°程度のゴム材、シリコーンゴム等の弾性材料で成形されている。具体的に、弾性部材30には、ギヤボックス22のハウジング23が嵌合される嵌合凹部32が形成されている。嵌合凹部32は、弾性部材30の上面をギヤボックス22の挿入口として機能させ、弾性部材30の底面には、ギヤボックス22の出力軸24が挿通される開口部33が形成されている。開口部33の有する形状は特に限定されないが、ここでは円形に形成され、弾性部材30における底面のほぼ中央部に形成されている。
【0022】
嵌合凹部32を構成する周壁の内面は、第1内側面34a、第2内側面34b、第3内側面34c、及び、第4内側面34dを備えている。第1内側面34aと第4内側面34dとの間隔は、ギヤボックス22の第1外側面26aと第4外側面26dとの間隔にほぼ一致し、第2内側面34bと第3内側面34cとの間隔は、ギヤボックス22の第2外側面26bと第3外側面26cとの間隔にほぼ一致する。そして、嵌合凹部32には、ギヤボックス22が出力軸24を挿入側として挿入され、出力軸24が開口部33から突出した状態で、ギヤボックス22が嵌合される。
【0023】
したがって、第1内側面34aは、ギヤボックス22の第1外側面26aに密着し、第2内側面34bは、ギヤボックス22の第2外側面26bに密着し、第3内側面34cは、ギヤボックス22の第3外側面26cに密着し、第4内側面34dは、ギヤボックス22の第4外側面26dに密着する。弾性部材30は、ギヤボックス22の第1〜第4外側面26a〜26dが嵌合凹部32の第1〜第4内側面34a〜34dに密着することで、弾性部材30自体の十分な強度を確保しながら、嵌合凹部32内でギヤボックス22が回転方向に変位してしまうことを抑制している。
【0024】
弾性部材30の嵌合凹部32を構成する周壁の外面は、第1外側面35a、第2外側面35b、第3外側面35c、及び、第4外側面35dを備えている。第1外側面35aは、ヘッドボックス11の底壁16の内側面16aと対向し、第2外側面35b及び第3外側面35cは、ヘッドボックス11の前壁17の内側面17a及び後壁18の内側面18aに対向し、第4外側面35dは、ヘッドボックス11の上面開口部11aに臨む。第2外側面35bと第3外側面35cとの間隔は、前壁17の内側面17aと後壁18の内側面18aとの間隔にほぼ一致している。また、第1外側面35aと第4外側面35dとの間隔は、前壁17及び後壁18の高さより低くなっている。
【0025】
ヘッドボックス11の底壁16の内側面16aと対向する第1外側面35aには、突出して2つの肢部39が設けられている。2つの肢部39は、第1外側面35aにおける前後方向の中央よりも第2外側面35b側と第3外側面35c側とに各別に偏って位置することで、間に凹部を構成している。
【0026】
第1外側面35aの2つの肢部39には、頂面に、第1凹凸構造36aが備えられている。また、第2外側面35bには、第2外側面35bにおける上下方向の中央よりも第1外側面35a側と第4外側面35d側とに各々に偏って位置する第2凹凸構造36bが備えられている。
【0027】
更に、第3外側面35cには、第3外側面35cにおける上下方向の中央よりも第1外側面35a側と第4外側面35d側に各別に偏って位置する第3凹凸構造36cが備えられている。第2外側面35bの第2凹凸構造36b及び第3外側面35cの第3凹凸構造36cの間には、第1外側面35aの肢部39の間の凹部より浅い凹部が構成されることになる。なお、第4外側面35dは、ヘッドボックス11の上面開口部11aに臨む場所であるから、凹凸構造は設けられていない。
【0028】
第1〜第3凹凸構造36a〜36cは、弾性部材30において嵌合凹部32の挿入口から底面部31に亘る高さ方向に沿った複数の凸条部37で構成されている。複数の凸条部37のそれぞれは、互いに平行で、ここでは直線状に形成されている。複数の凸条部37が設けられる方向は、ギヤボックス22の出力軸24や回転軸部材25の軸線方向でもある。凸条部37の頂面は、底壁16、前壁17、及び、後壁18の内側面と接触する接触面37aである。
【0029】
図5に示すように、弾性部材30がヘッドボックス11内に取り付けられたとき、凸条部37の接触面37aは、接触面37aと対向する前壁17、及び、後壁18の内側面の被接触面37bにほぼ線接触する。底壁16、前壁17、及び、後壁18のほぼ全体と弾性部材30とが面接触する構成と比べて、凸条部37の接触面37aは接触面積を減らし、振動や騒音が底壁16、前壁17、及び、後壁18に伝播することを抑える。凸条部37は、底壁16、前壁17、及び、後壁18の内側面16a〜18aによって圧接されても、凸条部37以外の領域が内側面16a〜18aに接触しない程度の高さを有する。
【0030】
第1〜第3凹凸構造36a〜36cは、第1〜第3外側面35a〜35cの各々の長手方向の両側の端部に位置し、ギヤボックス22の出力軸24から最短となる位置を含む凹部で構成された中央領域40を除くように設けられている。モータ21が駆動し、ギヤボックス22の出力軸24が回転するとき、ギヤボックス22全体を回転させるトルクは、弾性部材30の外側面における角部近傍において大きい。第1〜第3凹凸構造36a〜36cは、こうした回転トルクが大きい部位、言い換えれば、第1〜第3外側面35a〜35cの両側端部に設けられている。第1〜第3外側面35a〜35cそれぞれに2つずつ設けられた第1〜第3凹凸構造36a〜36cの間の凹部で構成された中央領域40は、弾性部材30の剛性を維持できる範囲で設けられる。ヘッドボックス11の底壁16、前壁17、及び、後壁18内側面において中央領域40と対向する部分は非接触面37cである。これにより、底壁16、前壁17、及び、後壁18との接触面積を減らすようにしている。
【0031】
なお、図2及び図5に示すように、ギヤボックス22と弾性部材30との固定は、ねじ等の固定部材41によって行われる。すなわち、ハウジング23の主面部23aには、複数のねじ孔42が形成され、弾性部材30の底面部31には、ねじ孔42の位置に対応して挿通孔43が形成されている。ハウジング23が嵌合凹部32に嵌合された後、固定部材41は、筒状スペーサが嵌合された挿通孔43に挿通され、ねじ孔42に締め付けられることで、弾性部材30とハウジング23とを一体化する。
【0032】
図5及び図6に示すように、モータユニット20は、弾性部材30がギヤボックス22に取り付けられた状態で、ヘッドボックス11内に挿入される。この場合、ヘッドボックス11の前壁17と後壁18との間隔を広げる方向に、ヘッドボックス11の全体が若干弾性変位させられる。そして、弾性部材30が取り付けられたギヤボックス22を挿入端として、長手方向の一方の側面から出力軸24及び回転軸部材25の軸線方向に沿ってモータユニット20は挿入される。
【0033】
この際、弾性部材30は、第1〜第3凹凸構造36a〜36cが出力軸24や回転軸部材25の軸線方向に沿って設けられ、この軸線方向は弾性部材30がヘッドボックス11に挿入される方向でもあるため、モータユニット20は、円滑にヘッドボックス11内に挿入される。第1〜第3凹凸構造36a〜36cの凸条部37は、前壁17と後壁18とが弾性復帰することで、底壁16の内側面16aと前壁17の内側面17aと後壁18の内側面18aに圧着され密着する。
【0034】
図2及び図5に示すように、ヘッドボックス11の前壁17の内側面17aと後壁18の内側面18aには、上面開口部11aの近傍に、ヘッドボックス11の長手方向の両側面にキャップを固定するビス等を取り付けるためのビスホール11bが形成されている。ビスホール11bは、長手方向に沿って、断面C字状に形成されている。弾性部材30の第4外側面35dには、第2外側面35b及び第3外側面35cとの角部近傍に、切欠部38が形成されている。切欠部38は、ビスホール11bの逃げとなり、ビスホール11bが点又は線で接触される。このように、弾性部材30は、ギヤボックス22の出力軸24から比較的離れた第1〜第3外側面35a〜35cのそれぞれ2か所に位置する第1〜第3凹凸構造36a〜36cによって支持される。更に、弾性部材30は、ビスホール11bの箇所で2か所支持される。なお、ギヤボックス22は、弾性部材30を介してヘッドボックス11内に取り付けられ、モータ21は、制振用ダンパ等を介して、ヘッドボックス11に取り付けられる。
【0035】
ヘッドボックス11内にモータユニット20等の備品が配設されると、次いで、ヘッドボックス11の上面開口部11aは、蓋体50に閉塞される。図2に示すように、蓋体50の裏面には、一対の係合片51が設けられている。一方、上面開口部11aには、前壁17の先端部と後壁18の先端部に内側に折り返して形成された被係合部52が設けられている。蓋体50は、上面開口部11aを閉塞したとき、係合片51が被係合部52に係合されることによって係合される。
【0036】
以上、上記モータ取付構造によれば以下に列挙する作用効果を得ることができる。
(1)図5及び図6に示すように、モータ21やギヤボックス22で発生した振動や騒音は、ギヤボックス22とヘッドボックス11に挟まれた弾性部材30によって、減衰される。この際、弾性部材30の第1〜第3凹凸構造36a〜36cは、底壁16、前壁17、及び、後壁18の内側面16a〜18aの全体とは接触せず、長手方向に沿った線状の部分で接触するため、弾性部材30とヘッドボックス11との間の接触面積が減らされる。したがって、モータ21やギヤボックス22の振動はヘッドボックス11に伝播されにくく、その分、横型ブラインドにおける振動や騒音の発生が抑制される。
【0037】
(2)第1〜第3凹凸構造36a〜36cの設けられる弾性部材30の第1〜第4外側面35a〜35dの長手方向の両側の角部近傍は、モータ21やギヤボックス22の回転トルクが相対的に大きく加わる領域である。第1〜第3凹凸構造36a〜36cは、このような箇所に部分的に設けられるため、モータ21やギヤボックス22における特に大きな振動のヘッドボックス11への伝播が抑さえられる。
【0038】
(3)第1〜第3凹凸構造36a〜36cの凸条部37は、出力軸24や回転軸部材25の軸線方向と同じ方向に設けられている。したがって、モータユニット20をヘッドボックス11内に円滑に挿入することができる。
【0039】
(4)図6に示すように、ギヤボックス22の出力軸24と回転軸部材25との間に設けられるシャフトジョイント27には、弾性部材30が撓み変形するため、ギヤボックス22の出力軸24と回転軸部材25との間において調心が行われる。それゆえに、ギヤボックス22の出力軸24と回転軸部材25とを接続するシャフトジョイント27には、調心機構を備えない簡素な構成のものを使用することができる。
【0040】
なお、以上のような横型ブラインド10は、更に、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・第1〜第3凹凸構造36a〜36cは、波線形状の凸条部やドット形状の凸部等で形成してもよい。また、凸条部は、出力軸24及び回転軸部材25の軸線方向である嵌合凹部32に嵌合する際の挿入方向に直交する方向であってもよい。
・また、図7に示すように、第1〜第3凹凸構造36a〜36cを構成する凸条部37は、実線状の直線ではなく、点線状の直線であってもよい。更に、第1〜第3凹凸構造36a〜36cの何れかの凹凸構造を直線状の凸条部37で構成し、残りの凹凸構造を点線状の凸条部37で構成してもよい。更に、1つの凹凸構造の中で、凸条部37を実線状のものと点線状のものとで組み合わせてもよい。
・また、凹凸構造は、第2外側面35b及び第3外側面35cだけに設けてもよいし、第1外側面35aの肢部39だけに設けるようにしてもよい。
【0041】
図8に示すように、凹凸構造は、弾性部材30の第1〜第3外側面35a〜35cだけでなく、第1〜第4内側面34a〜34dに設けるようにしてもよい。すなわち、内側凹凸構造の一例として、第1内側面34aには、第4凹凸構造61aを設け、第2内側面34bには、第5凹凸構造61bを設け、第3内側面34cには、第6凹凸構造61cを設け、第4内側面34dには、第7凹凸構造61dを設けるようにする。第4〜第7凹凸構造61a〜61dは、ギヤボックス22のハウジング23の第1〜第4外側面26a〜26dとの接触面積を減らすため、部分的に設けることが好ましい。ここでは、第4〜第6凹凸構造61a〜61cは、第1〜第3凹凸構造36a〜36cの反対側の位置に設けられる。また、第4外側面35dについては、第2及び第3外側面35b,35cの近傍である両側に第7凹凸構造61dを設ける。このような構成によっても、弾性部材30は、モータ21やギヤボックス22の振動は、一層ヘッドボックス11に伝搬されにくく、横型ブラインドにおける振動や騒音の発生が抑制される。第4〜第7凹凸構造61a〜61dを設けるときには、嵌合凹部32内でギヤボックス22が回転してしまわない程度の強度を確保して形成することになる。
【0042】
また、第4〜第7凹凸構造61a〜61dのそれぞれには、複数の凸条部37が設けられている。複数の凸条部37は、出力軸24及び回転軸部材25の軸線方向と同じ方向に沿って設ける。この方向は、ギヤボックス22を弾性部材30の嵌合凹部32に嵌合する際の挿入方向でもある。したがって、嵌合凹部32には、ギヤボックス22のハウジング23が容易に挿入される。
【0043】
なお、第4〜第7凹凸構造61a〜61dは、弾性部材30の第1〜第4内側面34a〜34dの全面に設けるようにしてもよい。また、第4〜第7凹凸構造61a〜61dは、波線形状の凸条部やドット形状の凸部等で形成してもよい。更に、図7のように、第4〜第7凹凸構造61a〜61dにおいて、各凸条部37は、点線状の直線であってもよい。更に、第1〜第3凹凸構造36a〜36cのグループと第4〜第7凹凸構造61a〜61dのグループの何れか一方のグループを、直線状の凸条部37で構成し、他方のグループを点線状の凸条部37で構成してもよい。更に、第1〜第7凹凸構造36a〜36c,61a〜61d、すなわち7つの凹凸構造の中で、何れかの凹凸構造を直線状の凸条部37で構成し、残りの凹凸構造を点線状の凸条部37で構成してもよい。更に、1つの凹凸構造の中で、凸条部37を実線状のものと点線状のものとで組み合わせてもよい。
【0044】
・片軸モータだけでなく、両軸モータにも適用することができる。また、ヘッドボックス11内には、複数のモータユニット20が設けられ、それぞれのモータユニット20に弾性部材30を設けるようにしてもよい。
・横型ブラインドの他に、横型スクリーン、縦型のスクリーン、プリーツスクリーン、カーテン移送装置等の日射遮蔽装置のモータ取付構造として適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
10…横型ブラインド、11…ヘッドボックス、11a…上面開口部、11b…ビスボール、12…スラット、13…ラダーコード、14…リフティングテープ、15…ボトムレール、16…底壁、16a…内側面、17…前壁、17a…内側面、18…後壁、18a…内側面、20…モータユニット、21…モータ、22…ギヤボックス、23…ハウジング、23a…主面部、24…出力軸、25…回転軸部材、26a…第1外側面、26b…第2外側面、26c…第3外側面、26d…第4外側面、27…シャフトジョイント、28…ドラム、30…弾性部材、31…底面部、32…嵌合凹部、33…開口部、34a…第1内側面、34b…第2内側面、34c…第3内側面、34d…第4内側面、35a…第1外側面、35b…第2外側面、35c…第3外側面、35d…第4外側面、36a…第1凹凸構造、36b…第2凹凸構造、36c…第3凹凸構造、37…凸条部、37a…接触面、37b…被接触面、37c…非接触面、38…切欠部、39…肢部、40…中央領域、41…固定部材、42…ねじ孔、43…挿通孔、50…蓋体、51…係合片、52…被係合部、61a…第4凹凸構造、61b…第5凹凸構造、61c…第6凹凸構造、61d…第7凹凸構造。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8