(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
本発明の一実施形態の塗布部材が、図面を参照して説明される。
図1は、本実施形態の塗布部材1の模式的な断面図である。塗布部材1は、エアゾール容器Cに充填された内容物(図示せず)を取り込んだ後、エアゾール容器から取り外され、適用箇所P(
図3参照)に押し当てることにより、内容物を塗布するための塗布部材である。
図1に示される塗布部材1は、使用前(内容物が取り込まれる前)の状態である。適用箇所Pとしては特に限定されず、皮膚や頭皮等が例示される。中でも、適用箇所Pは、目元などの粘膜に近い部位であってもよい。
【0020】
塗布部材1は、エアゾール容器Cに着脱自在に取り付けられる部材である。エアゾール容器Cは、液化ガスを含有する内容物が充填され、後述するエアゾールバルブ(バルブの一例)を備える。塗布部材1は、内容物が収容される収容空間Sa(
図3参照)が形成された本体部2と、内容物を吐出するための吐出口24(開口の一例)が形成された上蓋22(蓋部の一例)と、エアゾール容器Cに取り付けられるとともに、エアゾール容器Cから収容空間Saへ内容物を供給するための内部通路Piと内部通路Piおよび収容空間Saを連通する連通孔34とが形成された基部3と、内部通路Piと収容空間Saとを区画し、収容空間Saに収容された内容物が内部通路Piへ逆流することを防ぐシール材4(逆止弁の一例)と、収容空間Saに配置され、吐出口24を閉止するように本体部2に押し当てられるボール5とを備える。以下、それぞれの構成について説明する。なお、エアゾール容器Cは、汎用の部材である。そのため、本実施形態において示されるエアゾール容器Cは例示であり、適宜設計変更が行われてもよい。なお、本実施形態の本体部2と上蓋22とは、それぞれ別々に形成されている。これに代えて、本体部2と上蓋22とは、一体的に成形されることにより連結されてもよい。
【0021】
<本体部2>
本体部2は、基部3に連結される部材であり、内部に基部3が配置される空間(内部空間S、収容空間の一例)が形成され、円筒状の筒部21と、筒部21の下部に装着され、基部3を挿入できる挿入口25を備えた底蓋23とを備えている。内部空間Sは、エアゾール容器Cから取り込まれる内容物が収容される収容空間Saを備えており、筒部21の内部によって形成された空間である。
【0022】
内部空間Sは、後述するボール5が保持され、ボール5よりもわずかに径の大きい第1の空間S1と、第1の空間S1と連通し、基部3が挿入され第1の空間S1よりも径方向の内側に縮径された第2の空間S2と、第2の空間S2と連通し、基部3が挿入され第2の空間よりも径方向の外側に拡径された第3の空間S3とからなる。
【0023】
(筒部21)
筒部21は、円筒状の筒部中央部212(内部筒部の一例)と、筒部中央部212の上端から上方向(吐出口側)に伸び、半径方向内側に縮径した筒部先端部211と、筒部21の下端に接続された筒部基端部213とを備えている。また、筒部先端部211の下部外周面において上蓋22と係合する筒部係合溝218を備える。
【0024】
筒部先端部211の内部に形成された第1の空間S1には、ボール5のほか、スポンジ部材6(弾性吸収体の一例)が設けられている。スポンジ部材6は、弾性を有する多孔質の部材であり、内容物が通過する程度の通気性および通液性を備えている。スポンジ部材6は、内容物が一時的に含浸され、収容することができる。そのため、スポンジ部材6は、ボール5を押圧するようにボール5の下部に設けることにより、ボール5によるシール性を高めることができる。また、スポンジ部材6は、使用時にボール5を押し下げることにより、含浸させた内容物を染み出させてボール5に付着させることができる。また、スポンジ部材6は、染み出させた内容物を垂れ落ちにくくすることができる。さらに、ボール5を吐出口24の方向へ付勢するようにスポンジ部材6を設けることにより、スポンジ部材6は、ボール5が上面におかれ、次いで上蓋22が取り付けられると、ボール5により幾分圧縮される。スポンジ部材6の上に配置されたボール5は、このように圧縮されたスポンジ部材6が自然状態に復元するための弾性力により上方向に付勢され、吐出口24に押し当てられる。スポンジ部材6は、このようにボール5を付勢することにより、たとえば塗布部材1の不使用時に吐出口を閉止することができ、筒部21内(収容空間Sa)の汚染等を防ぐことができる。また、スポンジ部材の代わりにボール5を上に付勢するスプリングを設けてもよい。
【0025】
スポンジ部材6の材質としては特に限定されない。スポンジ部材6の材質は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂を発泡させたものが例示される。本実施形態のスポンジ部材6は、ポリウレタン製である。
【0026】
<上蓋22>
上蓋22(蓋部の一例)は、筒部21の上部に装着され、第1の空間S1に配置されるボール5が、第1の空間S1から脱落することを防ぐための蓋部材であり、中心に開口が形成された円盤状の上蓋天板221と、上蓋天板221の外周縁において下方に延設された上蓋周壁222とを備える。また、上蓋22は、内部空間Sと外部とを連通する吐出口24を備える。上蓋22は、上蓋周壁222の下部内周面において、筒部21の径方向の内側に突出し、筒部先端部211の筒部係合溝218と係合する上蓋係合部223を備える。また、上蓋22の開口(吐出口24)は、ボール5の直径よりもわずかに小さくなっており、上蓋天板221の内周面とボール5の外周面と第1空間S1と外部の連通を遮断するシールを形成する。この際、ボール5は、本体部2側に押圧されている。なお、遮断するシール(ボール5が上蓋天板221に接している状態)は、通気性を有するが、通液性がない液密のシールであることが好ましい。通気性を有することで、液化ガスを含む内容物は、収容空間に収容された内容物中の液化ガスが気化するため、内容物は、使用時にシールが解放された際に勢いよく吐出されにくい。また、内容物は、気化熱によりボール5を効率よく冷却することができる。
【0027】
筒部21の説明に戻り、筒部中央部212は、基部3の胴部32が上下動自在に内挿される第2の空間S2が形成された部位である。筒部中央部212の内径は、基部3の胴部32の径よりもわずかに大きく、基端部33のうち突出部35が形成された位置の径よりもわずかに小さい。そのため、基部3は、第2の空間S2(および後述する第3の空間S3)において、所定距離を進退移動することができる。筒部中央部212の内周面のうち、胴部32の先端近傍が挿入される位置には、径方向の内側に突出した周状の段部214が形成されている。段部214は、後述するシール材4が当接する部位であり、基部3の進退移動によりシール材4が変形する際に基点となる。シール材4が変形する際の動作は後述される。
【0028】
筒部基端部213は、内側に基部3の基端部33が主に挿入される第3の空間S3が形成された部位である。筒部基端部213の内径は、基部3の基端部33の突出部35が形成された位置の外径よりもわずかに大きい。そのため、基部3は、挿入口25から筒部21の内部空間Sに挿入され得る。また、挿入された基部3は、第3の空間S3(および第2の空間S2)において、所定距離を進退移動することができる。
【0029】
(底蓋23)
底蓋23(突出部と当接して基部の移動を規制する規制部の一例)は、筒部21に挿入される基部3が脱落することを防ぐための蓋部材であり、中心に開口が形成された円盤状の底板231と、底板231の内周縁において上方に延設された底蓋周壁232とを備える。底蓋23の開口の径は、基部3の径よりも大きく、基部3の突出部35が形成された位置の径よりも小さい。底蓋23は、底蓋周壁232の外周面において、筒部21の径方向の外側に突出し、本体部2の底部と底蓋係合部233を備える。筒部21は、挿入口25近傍において、このような底蓋23が取り付けられるように、底蓋23の底板231が埋設されるよう相補的な形状に加工されている。具体的には、筒部21のうち、挿入口25近傍は、底蓋23が取り付けられるように、底蓋23の底板231の厚さ分だけ落ち窪んだ凹部216が形成されている。また、底板231の上面は筒部21の下面と接しており、底蓋周壁232の外周面は筒部21の内周面と接している。さらに、筒部基端部213の内周面には、底蓋係合部233が係合される筒部係合溝219が形成されている。底蓋23は、底蓋係合部233が筒部係合溝219に係合されることにより筒部21に取り付けられている。
【0030】
底蓋23を筒部21に取り付けた状態において、底蓋周壁232が配置された位置における筒部21の筒部基端部213の内径は、基部3の突出部35の形成された位置における径よりも小さい。そのため、底蓋周壁232の上面は、突出部35の下面と当接し得る。その結果、底蓋23は、基部3の進退移動を規制し得る。
【0031】
本体部2の材質としては特に限定されない。本体部2の材質は、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル等の各種合成樹脂のほか、金属やゴムが例示される。本実施形態の本体部2は、ポリアセタール製である。
【0032】
<基部3>
基部3は、後述するエアゾールバルブに取り付けられ、本体部2に連結される略棒状の部材である。基部3は、内容物が通過する内部通路Pi(バルブから供給される内容物を収容空間に導入する内部通路の一例)が形成されている。内部通路Piの一端は、後述するエアゾール容器CのステムStが嵌め込まれるよう開口している。基部3は、連通孔34が形成された先端部31と、先端部31よりも径が大きい胴部32と、胴部32よりも径が大きい基端部33とからなる。連通孔34は、内部通路Piと収容空間Saとを連通する孔であり、水平方向に形成されている。また、連通孔34は、エアゾール容器Cから取り込まれた内容物が、内部通路Piを通過して収容空間Saに取り込まれるための孔である。
【0033】
先端部31は、連通孔34が形成された部位であり、連通孔34が形成された位置において、径方向の内側に窪んだ第1凹部311が形成されている。第1凹部311は、後述するシール材4が取り付けられる部位である。第1凹部311の幅(高さ)は、シール材4の厚みと略同じである。また、第1凹部311は、シール材4が取り付けられた状態において、シール材4の上面の外周縁近傍が段部214の下面と当接する位置に形成されている。
【0034】
胴部32は、先端部31よりも径が大きな部位であり、連通孔34よりも基端部33側の位置において、径方向の内側に窪んだ第2凹部321が形成されている。第2凹部321の幅(高さ)は、後述するO−リング7がねじれたり、外れたりしなければ特に限定されるものではない。
【0035】
基端部33は、胴部32よりも径が大きな部位であり、その下端には、エアゾール容器CのステムStが挿入される開口が形成されている。基端部33には、ステムStの一部を挿入するためのステム挿入部331が形成されている。ステム挿入部331の深さは特に限定されず、挿入すべきステムStの長さに基づいて適宜設定される。
【0036】
また、基端部33の外周面には、径方向の外側に突出する突出部35が形成されている。突出部35が形成された位置における基端部33の外径は、底蓋周壁232の内径よりも大きく、筒部基端部213の内径よりも小さい。また、突出部35が形成された位置における基端部33の外径は、筒部中央部212の内径よりも大きい。
【0037】
基部3全体の説明に戻り、基部3は、筒部21の内部空間Sに挿入された後、底蓋23を筒部21に取り付けることにより、所定距離を進退移動し得るよう本体部2に取り付けられる。その際、基部3の外周面は、筒部21の内周面から離間されている。そのため、基部3が筒部21の内部空間Sを進退移動する際、突出部35の上面は、筒部中央部212と筒部基端部213との接続箇所に形成された段部215によって規制され得る。また、基部3が筒部21の内部空間Sを進退移動する際、突出部35の下面は、底蓋周壁232の上面によって規制され得る。その結果、基部3は、本体部2から抜け飛ぶことがない。また、塗布部材1は、突出部35を段部215によって規制することにより、エアゾールバルブから取り外しされやすい。
【0038】
基部3の材質としては特に限定されない。基部3の材質は、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル等の各種合成樹脂のほか、金属やゴムが例示される。本実施形態の基部3は、ポリアセタール製である。
【0039】
<シール材4>
シール材4(逆止弁の一例)は、内部通路Piと収容空間Saとを区画する部材である。シール材4は、内部通路Pi、連通孔34および第2の空間S2からなる導入通路内に設けられる。より具体的には、本実施形態では、シール材4は、連通孔34のうち先端部31の外周面側の端部と、段部214とに当接するよう設けられた環状の弾性部材である。シール材4は、先端部31の第1凹部311に取り付けられている。自然状態において、シール材4の内径は、先端部31において第1凹部311が形成された位置における外径よりもわずかに小さい。そのため、シール材4は、胴部32の外周面に形成された第1凹部311に取り付けられた際、自然状態に復元されるよう、先端部31に対して径方向の内側方向へ収縮し、連通孔34を閉止する。また、このような寸法のシール材4は、胴部32の外周面と、筒部中央部212の内周面とにより、径方向に圧縮されるようにシール材4の外径や線形を調整することで、塗布部材1を、エアゾールバルブから取り外す際に、基部3が移動してもシール材4のシール性が維持されやすく、内容物が外部に漏れにくい。さらに、シール材4の外径や線形が調整されることにより、後述するO−リング7は、省略され得る。
【0040】
シール材4は、第1凹部311に取り付けられた状態において、上面の外周縁近傍が段部214の下面と当接する。シール材4は、このような位置に設けられているため、基部3が上方向(矢印A1方向、
図2参照)に移動することにより、段部214との当接箇所を基点として変形し、閉止していた連通孔34を開放し得る。このように、シール材4は、連通孔34を適宜閉止することにより内容物を内部空間Sに取り込み、かつ、内容物を取り込んだ後は、取り込んだ内容物が再びエアゾール容器Cに戻らないよう、連通孔34を再度閉止する逆止弁として機能する。
【0041】
シール材4の材質としては特に限定されない。シール材4の材質は、天然ゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム等が例示される。
【0042】
<ボール5>
ボール5は、本体部2の第1の空間S1に配置され、吐出口24を閉止するよう本体部2に押し当てられる球体状の部材である。ボール5は、本体部2に押し当てられた状態において、少なくとも一部が吐出口24から外方に突出しており、突出した部位に、適用箇所Pに押し当てられる押当面51を有する。ボール5は、使用時に押当面51が適用箇所Pに押し当てられることにより、吐出口24を開放するよう変位し得る。
【0043】
塗布部材1は、このようなボール5を適用箇所Pに押し当て、適用箇所Pにおいて適宜転動させながら、内容物を吐出することができる。そのため、塗布部材1は、適用箇所Pを刺激し過ぎることなく、適度なマッサージ効果を付与しながら広範囲に内容物を塗布することができる。
【0044】
ボール5の材質としては特に限定されない。ボール5の材質は、ステンレス等の金属、各種合成樹脂やゴムが例示される。本実施形態のボール5は、ステンレス製である。
【0045】
<O−リング7>
O−リング7(シール材の一例)は、基部3の胴部32に形成された凹部321に取り付けられた環状の弾性部材である。自然状態において、O−リング7の内径は、胴部32において第2凹部321が形成された位置における外径よりもわずかに小さい。また、O−リング7の外径は、筒部中央部212における内径よりもわずかに大きい。そのため、O−リング7は、第2凹部321に取り付けられた際、筒部中央部212の内周面と、基部3の胴部32の外周面とに密着する。その結果、筒部21の内周面と基部3の外周面との間隙は、O−リング7により閉塞される。したがって、収容空間Saに取り込まれた内容物は、挿入口25から外部に漏れ出ることがない。なお、O−リング7による密着の程度は、内容物を収容空間Saに気密状態で保持されることが好ましい。
【0046】
O−リング7の材質としては特に限定されない。O−リング7の材質は、天然ゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム等が例示される。
【0047】
次に、本実施形態の塗布部材1を用いる際に使用される汎用のエアゾール容器Cおよび内容物について説明する。
【0048】
<エアゾール容器C>
エアゾール容器Cは、塗布すべき内容物が加圧充填される容器本体Caと、容器本体Caに取り付けられるエアゾールバルブ(バルブの一例 図示せず)と、エアゾールバルブから、一部が上方に突出したステムStとを備える。
【0049】
(容器本体Ca)
容器本体Caは、塗布すべき内容物が充填された耐圧容器である。容器本体Caの形状は特に限定されず、汎用の形状が採用される。本実施形態の容器本体Caは、有底筒状であり、開口部にエアゾールバルブが固着される。開口部は、内容物を充填するための充填口であり、エアゾールバルブにより閉止される。
【0050】
容器本体Caを構成する材料は特に限定されない。材料としては、アルミニウムやブリキなどの金属、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂、耐圧ガラス等が例示される。ほかにも、容器本体Caは、未使用のポリエチレンテレフタレートに対して、飲料用として使用された後のポリエチレンテレフタレートを添加して再利用した材料が使用されてもよい。
【0051】
(エアゾールバルブ)
エアゾールバルブは、容器本体Caに取り付けられるバルブであり、容器本体Caと塗布部材1との連通/遮断の切替をし、塗布部材1内へ内容物を送るための部材である。エアゾールバルブの構造は、エアゾールバルブのステムStを非押圧状態から押圧状態に切り替えることにより容器本体Caから内容物を取り込んで塗布部材1に送ることができる構造であればよい。なお、収容空間Saへ内容物が連続的に供給されないように、エアゾールバルブは、一定量のみを噴射するための定量室を備える定量バルブであることが好ましい。
【0052】
(ステムSt)
ステムStは、エアゾールバルブ内を上下方向に摺動する部材であり、内容物が取り込まれるステム孔(図示せず)および取り込まれた内容物が通過するステム内通路(図示せず)を有する。ステムStは、一部が上方に突出しており、基部3が挿入されることにより、塗布部材1と接続される。
【0053】
<内容物>
内容物は、エアゾール容器Cに充填される組成物(エアゾール組成物)であり、有効成分を含む原液と、原液を噴射する噴射剤(液化ガス)とからなる。
【0054】
有効成分は、用途や目的等に応じて適宜選択することができる。このような有効成分としては、アラントインヒドロキシアルミニウム、クエン酸、乳酸、タンニン酸などの収斂剤;レチノール、パルミチン酸レチノール、塩化ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチンなどのビタミン類;グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニントリプトファン、シスチン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸;ドクダミエキス、オウバクエキス、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、キナエキス、サクラソウエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液;サリチル酸メチル、ケトプロフェン、インドメタシン、フェルビナクなどの消炎鎮痛剤;尿素、リドカイン、ジブカイン、プロカイン、塩酸ジブカイン、塩酸リドカイン、塩酸プロカイン、アミノ安息香酸エチル、オキシポリエントキシドデカン、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、サリチル酸ジフェンヒドミン、クロタミトンなどの鎮痒剤;N、N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、カプリル酸ジエチルアミドなどの害虫忌避剤;パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、感光素、パラクロルメタクレゾールなどの殺菌剤;トウガラシチンキ、ジカプリル酸ピリドキシン、センブリ抽出物、酢酸−dl−α−トコフェロールなどの血行促進剤;l−メントール、カンフルなどの清涼剤;アラントイン、グリチルレチン酸、アズレンなどの抗炎症剤;ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジルなどの消臭剤;クロロヒドロキシアルミニウムなどの制汗剤;α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤;合成香料、天然香料などの香料等が例示される。
【0055】
原液としては、上記した有効成分を水や低級アルコール、多価アルコール、シリコーン油、炭化水素油、エステル油等の溶媒に溶解させたものを用いることができる。
【0056】
噴射剤としては、液化ガスが用いられる。液化ガスとしては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンおよびこれらの混合物からなる液化石油ガス、ジメチルエーテル、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン(HFO−1234ze)、トランス−2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン(HFO−1234yf)などのハイドロフルオロオレフィン、およびこれらの混合物等が例示される。液化ガスは、さらに冷却温度や持続時間などを調整するためにノルマルペンタン、イソペンタン等の沸点が5〜40℃である炭化水素が配合されてもよい。内容物の圧力は特に限定されず、たとえば、25℃での圧力が0.05〜0.6(MPa)であることが好ましく、0.08〜0.5(MPa)であることがより好ましい。なお、加圧剤として、窒素、空気、二酸化炭素、亜酸化窒素などの圧縮ガスが用いられてもよい。
【0057】
液化ガスの配合量は特に限定されず、たとえば、内容物中、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、液化ガスの配合量は、99質量%以下であることが好ましく、98.5質量%以下であることがより好ましい。液化ガスの配合量が10質量%未満の場合、液化ガスは、自己冷却能力が不充分となり、冷却効果が弱くなりやすい、また残量が多くなりやすい。一方、液化ガスの配合量が99質量%を超える場合、噴射された内容物の気化が速くなり冷却効果を持続し難くなる傾向がある。
【0058】
次に、本実施形態の塗布部材1を用いて、内容物を適用箇所Pに塗布する際の動作について説明する。
【0059】
<塗布部材1への内容物の取り込み動作>
本実施形態の塗布部材1は、まず、エアゾール容器Cに取り付けられ(
図1参照)、その後、本体部2に内容物を取り込むために、ステムStを押し下げられる。
図2は、押し下げられた塗布部材1の模式的な断面図である。
図3は、内容物が取り込まれた塗布部材1の模式的な断面図である。
図2および
図3を参照して、塗布部材1への内容物の取り込む動作が説明される。
【0060】
図2に示されるように、基部3は、ステムStと接続されている。また、基部3は、シール材4を介して筒部21と接している。そのため、塗布部材1が下方に押し下げられると、基部3は変位されず、筒部21が基部3に対して相対的に下方に移動することとなる。その結果、基部3の連通孔34を閉止していたシール材4(
図1参照)は、上面が当接していた段部214により上方から押圧され、段部214を基点として連通孔34を開放するよう弾性変形する。また、シール材4は、ステムStが押し下げられることにより容器本体Caから取り込まれる加圧された内容物によっても変形される。内容物は、開放された連通孔34から、筒部21の内部空間Sと、エアゾール容器Cの容器本体Caの内圧との差に基づいて、内部空間Sに取り込まれる。矢印A2は、内部空間Sに取り込まれる内容物の流れを示している。
【0061】
ここで、本実施形態において、ボール5は、取り込まれた内容物のうち、気体成分(気化した液化ガス)を吐出口24から外部に放出し、液体成分(液体状態にある液化ガス)を外部に放出しない程度に吐出口24に押し当てられる。また、O−リング7は、取り込まれた内容物のうち、気体成分および液体成分を外部に放出しない程度に筒部21の筒部中央部212の内周面と基部3の胴部32の外周面とに密着している。その結果、筒部21の内部空間Sに取り込まれた内容物は、少なくとも吐出口24から気体成分が放出され、液体成分だけが液密状態で収容され得る。この際、液体状態の内容物は、
図3に示されるように、筒部21の内部空間Sのうち、筒部21の内周面と、基部3の外周面と、シール材4の外周面と、O−リング7の上面とにより区画された一定容積の空間(収容空間Sa)に収容されることとなる。そのため、取り込まれる内容物の容量は、一定となるよう調整される。また、塗布部材1は、内容物が液密状態で収容空間Saに収容されるため、気体状態の内容物を含む場合と比べて、内容物をより多く収容空間に収容することができる。その結果、塗布部材1は、1回あたりの吐出量を増やすことができ、充分に適用箇所Pに内容物を塗布することができる。また、内容物は、加圧された状態で収容空間Saに収容されている。そのため、内容物は、ステムStを下方へ押し下げるよう付勢する。しかしながら、本実施形態の塗布部材1は、基部3の突出部35の下面が、底蓋23の上面と当接する。その結果、基部3は、筒部21から抜け飛ぶことがない。
【0062】
ステムStの押し下げが止められると、シール材4は自然状態に復元され、再度、連通孔34を閉止する。
【0063】
<取り込まれた内容物の吐出動作>
次に、
図3を参照しながら、収容空間Saに取り込まれた内容物が適用箇所Pに吐出される動作について説明する。
図3に示されるように、塗布部材1は、まず、エアゾール容器Cから取り外される。塗布部材1を取り外すには、使用者は、たとえば筒部21の外周面を指で把持し、エアゾール容器Cから引き抜けばよい。この際、基部3にはステムStが取り付けられているため、エアゾール容器Cから塗布部材1を引き抜く際に、基部3には下方への応力が加えられる。しかしながら、この場合も、本実施形態の塗布部材1は、基部3の突出部35の下面が、底蓋23の上面と当接する。その結果、基部3は、筒部21から抜け飛ぶことがない。
【0064】
次いで、塗布部材1は、ボール5の押当面51が適用箇所Pに押し当てられる。これにより、ボール5は、吐出口24を開放するよう変位させられる。矢印A3は、ボール5の変位する方向を示している。その結果、収容空間Saに収容された内容物は、外部との圧力差に従って、吐出口24から吐出され得る。内容物は、収容空間Saに収容された所定量のみが吐出される。そのため、従来のように内容物が勢いよく吐出され続けることがない。その結果、塗布部材1は、目元などの粘膜に近い適用箇所Pにも安全に適用することができる。また、塗布部材1は、エアゾール容器Cから取り外されて使用される。そのため、たとえばエアゾール容器Cと一体的に使用する場合と比べて、軽量かつ小型であり、取扱性がよい。
【0065】
また、本実施形態の塗布部材1は、スポンジ部材6を備えている。そのため、内容物のうち、第2の空間S2に収容された内容物は、スポンジ部材6を通過してから吐出口24から吐出される。その結果、第2の空間S2に収容された内容物は、第1の空間S1に収容された内容物と比べて、吐出に要する時間が長く、かつ、吐出時の勢いが幾分抑えられる。したがって、塗布部材1は、収容した内容物を、比較的長い時間に渡って、安全に吐出することができる。さらに、スポンジ部材6は、収容空間Saに取り込まれた内容物を一時的に保持することができる。そのため、スポンジ部材6に付勢されたボール5は、スポンジ部材6に保持された内容物によって冷却される。その結果、塗布部材1は、適用箇所Pに押し当てられた際に、適用箇所Pに冷感を付与しやすい。
【0066】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態の塗布部材が、図面を参照して説明される。
図4は、本実施形態の塗布部材1aの模式的な断面図である。
図4に示される塗布部材1aは、使用前(内容物が取り込まれる前)の状態である。本実施形態の塗布部材1aは、内容物が収容される収容空間Saが形成された本体部2aと、内容物を吐出するための吐出口24が形成された上蓋22aと、本体部2aに取り付けられるとともに、内容物が通過する内部通路Piと内部通路Piおよび収容空間Saを連通する連通孔34とが形成された基部3aと、内部通路Piと収容空間Saとを区画するシール材4aと、収容空間Saに配置され、吐出口24を閉止するよう本体部2aに押し当てられるボール5と、吐出口24を覆うスポンジ部材8とを備える。以下、それぞれの構成について説明する。なお、本実施形態の説明において、第1の実施形態において上記した塗布部材1(
図1参照)と同様の構成については同一の参照符号を付して説明を適宜省略する。
【0067】
<本体部2a>
本体部2aは、基部3aに連結される部材であり、内部に基部3aが取り付けられる空間(内部空間S、収容空間の一例)が形成され、円筒状の筒部21aを備える。筒部21aの下端には、基部3aを装着するための挿入口が形成されている。内部空間Sは、エアゾール容器Cから取り込まれる内容物が収容される収容空間Saを含む。収容空間Saは、本体部2aの下部に基部3aを取り付けることにより、区画される空間である。
【0068】
(筒部21a)
筒部21a(内部筒部の一例)は、略円筒状の部材であり、ボール5が保持される内部空間Sが形成されている。筒部21aの内径は、ボール5の径よりもわずかに大きい。また、筒部21aのうち、基部3aが挿入される挿入口25の近傍は、下方に延設された筒部周壁212aと、筒部周壁212aの下端において径方向の内側に延設された筒部係合部213aとが形成されている。筒部係合部213aは、後述する基部3aの突出部35aが嵌め込まれ、基部3aが係合される。
【0069】
<上蓋22a>
上蓋22a(蓋部の一例)は、筒部21aの上部に装着され、内部空間Sに配置されるボール5が、内部空間Sから脱落することを防ぐための蓋部材であり、中心に開口が形成された上蓋天板221aと、上蓋天板221aの外周縁において下方に延設された上蓋周壁222aとを備える。また、上蓋22aには、内部空間Sと外部とを連通する吐出口24が形成されている。さらに、上蓋22aは、保持部26aが取り付けられている。上蓋22aは、上蓋周壁222aの内周面において、筒部21aの径方向の内側に突出した上蓋係合部223aを備える。また、上蓋22aは、上蓋周壁222aの下部外周面において、筒部21aの径方向の内側に突出し、先端部の係合溝と係合する上蓋係合溝224aが形成されている。筒部21aの吐出口24近傍は、このような上蓋22aが取り付けられるように、上蓋天板221aの下面や上蓋周壁222aの内周面が密着するよう相補的な形状に加工されている。具体的には、筒部21aのうち、吐出口24近傍は、上蓋22aが取り付けられるように、上蓋周壁222aの厚さ分だけ小径に加工されている。また、上蓋天板221aの下面は筒部21aの上面と接しており、上蓋周壁222aの内周面は筒部21aの外周面と接している。さらに、筒部21aの外周面には、上蓋係合部223aが係合される筒部係合溝211aが形成されており、上蓋22aは、上蓋係合部223aが筒部係合溝211aに係合されることにより筒部21aに取り付けられている。
【0070】
保持部26aは、後述するスポンジ部材8を保持するための部材であり、中心に開口が形成された円盤状の保持部天板261aと、保持部天板261aの外周縁において下方に延設された保持部周壁262aとを備える。保持部周壁262aの内周面において、筒部21aの径方向の内側に突出した保持部係合部263aを備える。上蓋22aの外周面は、このような保持部26aが取り付けられるように、保持部天板261aの下面や保持部周壁262aの内周面が密着するよう相補的な形状に加工されている。具体的には、上蓋22aの外周面は、保持部26aが取り付けられるように、保持部周壁262aの厚さ分だけ小径に加工されている。また、保持部天板261aの下面は上蓋22aの上面と接しており、保持部周壁262aの内周面は上蓋22aの外周面と接している。さらに、上蓋22aの外周面には、上蓋係合溝224aが形成されており、保持部26aは、保持部係合部263aが上蓋係合溝224aに係合されることにより上蓋22aに取り付けられている。
【0071】
また、保持部天板261aの上面のうち、開口の近傍には、径方向の内側に膨出した周状の膨出部264aが形成されている。膨出部264aの下面は、上蓋22aの上蓋天板221aの上面と離間している。この膨出部264aの下面と上蓋22aの上蓋天板221aの上面とが離間して形成された空間には、後述するスポンジ部材8の周縁部82が挿入される。スポンジ部材8は、吐出口24を覆う部材であり、内容物が吐出される際に、内容物の飛び散りを防ぐ。
【0072】
<基部3a>
基部3aは、本体部2aに取り付けられる部材であり、内容物が通過する内部通路Piが形成されている。内部通路Piの一端は、エアゾール容器CのステムStが嵌め込まれるよう開口している。基部3aは、比較的大径の先端部31aと、先端部31aよりも径が小さく、連通孔34が形成された胴部32aと、胴部32aよりも径が大きい基端部33aとからなる。
【0073】
先端部31aは、シール材4aが上方向に脱落しないように設けられた部位であり、シール材4aの外径よりも大きな径を有する。
【0074】
胴部32aは、内部に内容物が通過する内部通路Piが形成された部位である。胴部32aには、内部通路Piと収容空間Saとを連通する連通孔34が形成されている。
【0075】
基端部33aは、胴部32aよりも径が大きな部位であり、その下端には、エアゾール容器CのステムStが嵌め込まれる。基端部33aには、ステムStの一部を挿入するためのステム挿入部331が形成されている。本実施形態において、ステム挿入部331は、基端部33aと胴部32aの一部とにかけて落ち窪むよう形成されている。また、基端部33aの外周面には、径方向の外側に突出した周状の突出部35aが形成されている。突出部35aは、筒部21aの筒部係合部213aに嵌め込まれる。これにより、基部3aは筒部21aに取り付けられる。
【0076】
基部3a全体の説明に戻り、基部3aが筒部21aに取り付けられた状態において、先端部31aの上面には、ボール5が載置される。基部3aの寸法(特に先端部31aおよび胴部32aの高さ)は、ボール5が載置された状態において、筒部21aの吐出口24がわずかに開放されるよう調整されている。このように寸法が調整されることにより、吐出部の開放の程度が調整され、内容物が勢いよく吐出されることが防がれやすい。
【0077】
<シール材4a>
シール材4aは、内部通路Piおよび連通孔34からなる導入通路内に設けられる。より具体的には、本実施形態では、シール材4aは、連通孔34のうち胴部32aの外周面側の端部を閉止するよう設けられた環状の弾性部材であり、連通孔34と収容空間Saとを区画する。自然状態において、シール材4aの内径は、胴部32aの外径よりもわずかに小さい。そのため、シール材4aは、胴部32aに取り付けられた際、自然状態に復元されるよう、径方向の内側方向へ収縮し、連通孔34を閉止する。内容物を噴射する際は、エアゾール容器Cから供給される圧力を有する内容物によって撓み、連通孔34が開放される。なお、エアゾール容器からの供給を止めるとシール材4aが自然状態に戻り、連通孔34を閉止する。
【0078】
<ボール5>
ボール5は、本体部2aの内部空間Sに配置され、吐出口24を閉止するよう本体部2aに押し当てられる部材である。
図4において、先端部31aの上面に載置された状態のボール5は実線で示されており、吐出口24を閉止するために本体部2aに押し当てられた状態のボール5は、二点鎖線で示されている。ボール5は、本体部2aに押し当てられた状態において、少なくとも一部が吐出口24から外方に突出している。また、ボール5は、後述するスポンジ部材8を介して適用箇所Pに押し当てられる押当面51を有する。ボール5は、押当面51が適用箇所Pに押し当てられることにより、吐出口24を開放するよう変位し得る。
【0079】
<スポンジ部材8>
スポンジ部材8は、吐出口24を覆う多孔質の部材である。スポンジ部材8は、上に凸の湾曲した塗布部81と、塗布部81の周縁に形成された周縁部82とからなる。周縁部82は、膨出部264aの下面と上蓋天板221aの上面とが離間して形成された空間に挿入される部位である。挿入された周縁部82は、膨出部264aの下面と上蓋天板221aの上面とにより挟持される。周縁部82が挟持された状態において、塗布部81の下面には、ボール5が接している。
【0080】
スポンジ部材8は、内容物が通過する程度の通気性および通液性を備えている。そのため、吐出口24から吐出された内容物は、スポンジ部材8を通過して外部に吐出され得る。また、塗布部材は、スポンジ部材8の厚み等を調整することにより、適用箇所への塗布量や塗布時間を調節し得る。
【0081】
スポンジ部材8の材質としては特に限定されない。スポンジ部材8の材質は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂を発泡させたものが例示される。
【0082】
次に、本実施形態の塗布部材1aを用いて、内容物を適用箇所Pに塗布する際の動作について説明する。
【0083】
<塗布部材1aへの内容物の取り込み動作>
本実施形態の塗布部材1aは、まず、エアゾール容器Cに取り付けられ、その後、本体部2aに内容物を取り込むために、ステムStを押し下げる。塗布部材1aが下方に押し下げられると、加圧された内容物が、容器本体CaからステムStを介して内部通路Piに取り込まれる。その後、シール材4aは、加圧された内容物によって撓み、連通孔34を開放して、内容物を内部空間Sに取り込む。内部空間Sに取り込まれた内容物は、ボール5を下方から上方へ持ち上げる。これにより、ボール5は、吐出口24を閉止する(
図4において二点鎖線で示されたボール5を参照)。この際、ボール5は、取り込まれた内容物のうち、気体成分(気化した液化ガス)を吐出口24から外部に放出し、液体成分(原液および液体状態にある液化ガス)を外部に放出しない程度に吐出口24に押し当てられる。また、シール材4aは、所定量の内容物が液密状態で内部空間Sに取り込まれた後、自然状態に復元され、再び連通孔34を閉止する。その結果、液体状態の内容物は、筒部21aの内部空間S(収容空間Sa)に収容されることとなる。
【0084】
<取り込まれた内容物の吐出動作>
取り込まれた内容物を適用箇所Pに吐出するために、塗布部材1aは、まず、エアゾール容器Cから取り外される。次いで、塗布部材1aは、ボール5の押当面51が、スポンジ部材8を介して適用箇所Pに押し当てられる。これにより、ボール5は、吐出口24を開放するよう変位させられる。その結果、収容空間Saに収容された内容物は、外部との圧力差に従って、吐出口24から吐出され得る。この際、内容物は、収容空間Saに収容された所定量のみが吐出される。そのため、従来のように内容物が勢いよく吐出され続けることがなく、塗布部材1aは、目元などの適用箇所Pにも安全に適用することができる。
【0085】
また、本実施形態の塗布部材1aは、スポンジ部材8を備えている。そのため、吐出口24から吐出された内容物は、スポンジ部材8を通過してから適用箇所Pに吐出される。そのため、スポンジ部材8を備えない場合と比べて、吐出に要する時間が長く、かつ、吐出時の勢いが抑えられる。そのため、本実施形態の塗布部材1aによれば、収容した内容物を、比較的長い時間に渡って、安全に吐出することができる。また、吐出された内容物は、適用箇所に直接吐出されることなく、スポンジ部材8を通過した後に、適用箇所に塗布される。そのため、塗布部材1aは、スポンジ部材8の厚みや発泡具合等を調整することにより、適用箇所への塗布量や塗布時間を調節し得る。さらに、スポンジ部材8は、周縁部82が挟持された状態において、塗布部81の下面には、ボール5が接している。これにより、ボール5の押当面51が、スポンジ部材8を介して適用箇所Pに押し当てられた際に、スポンジ部材8が過度に変形されることなく形状が保持されやすい。加えて、適用箇所Pには、ボール5の転動によるマッサージ効果が付与され得る。
【0086】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態の塗布部材が、図面を参照して説明される。
図5は、本実施形態の塗布部材1bの模式的な断面図である。
図5に示される塗布部材1bは、使用前(内容物が取り込まれる前)の状態である。本実施形態の塗布部材1bは、内容物が収容される収容空間Saが形成された本体部2bと、内容物を吐出するための吐出口24が形成された先端部27bと、本体部2bに取り付けられるとともに、内容物が通過する内部通路Piが形成された基部3bと、内部通路Piと収容空間Saとを区画するシール材4bと、収容空間Saに配置され、吐出口24を閉止するよう本体部2bに押し当てられるボール5とを備える。以下、それぞれの構成について説明する。なお、本実施形態の説明において、第1の実施形態において上記した塗布部材1(
図1参照)と同様の構成については同一の参照符号を付して説明を適宜省略する。
【0087】
<本体部2b>
本体部2bは、基部3bに連結される部材であり、下部に基部3bが取り付けられる空間(内部空間S、収容空間の一例)が形成され、略円筒状の筒部21bを含む。内部空間Sは、本体部2bに形成された空間であり、エアゾール容器Cから取り込まれる内容物が収容される収容空間Saを含む。本体部2bの下端には、挿入口25が形成されている。挿入口25は、基部3bを本体部2b(筒部21b)に取り付けるための開口である。
【0088】
<先端部27b>
先端部27b(蓋部の一例)は、内部空間Sに配置されるボール5が、内部空間Sから脱落することを防ぐための部位であり、筒部21bの上部に装着されている。先端部27bは、筒部21bと接続された下端側から上端側にかけて徐々に縮径された椀状に加工されており、中心に開口(吐出口24)が形成されている。吐出口24は、収容空間Saに収容された内容物を吐出するための開口である。また、先端部27bの内周面は、後述する筒部21bの延設部214bが嵌合されるよう径方向の外側に向かって窪む嵌合部271bが形成されている。吐出口24の径は、ボール5の径よりも小さい。また、先端部27bの内周面は、ボール5が配置されるよう凹面状に加工されている。
【0089】
(筒部21b)
本体部2bの説明に戻り、筒部21b(内部筒部の一例)は、略円筒状の部材であり、その上面から上方に延設された周状の延設部214bを備える。延設部214bは、先端部27bの嵌合部271bに嵌合される。また、筒部21bは、スポンジ部材6、飛散防止板9、基部3bおよびシール材4bが保持される内部空間Sが形成されている。また、筒部21bの内周面には、スポンジ部材6を載置するための段部217が形成されている。飛散防止板9は、スポンジ部材6と同様に段部217に載置される円盤状の部材である。飛散防止板9は、径方向の大きさがスポンジ部材6よりもわずかに小さく、スポンジ部材6上に載置される。段部217は、筒部21bの内周面において、径方向の内側に膨出した周状の部材であり、上面にスポンジ部材6が載置される。また、段部217の下面は、後述する基部3bの中央部32bの上面とともに、後述するシール材4bの周縁部を挟持する。
【0090】
筒部21bの外周面には、径方向の外側に膨出した周状の操作部211bが形成されている。操作部211bは、塗布部材1bをエアゾール容器Cに取り付ける際や引き抜く際、または、塗布部材1bを取扱う際に、使用者により適宜把持される部位である。
【0091】
また、筒部21bのうち、基部3bが挿入される挿入口25の近傍は、下方に延設された筒部周壁212bと、筒部周壁212bの下端において径方向の内側に延設された筒部係合部213bとが形成されている。筒部係合部213bは、後述する基部3bの基端部33bが嵌め込まれ、基部3bを係合する。
【0092】
<基部3b>
基部3bは、本体部2bに取り付けられる部材であり、内容物が通過する内部通路Piが形成されている。内部通路Piの一端は、エアゾール容器CのステムStが嵌め込まれるよう開口している。基部3bは、内部通路Piが形成された中央部32bと、中央部32bよりも径が大きい基端部33bとからなる。
【0093】
中央部32bは、内部に内容物が通過する内部通路Piが形成された部位である。基部3bが本体部2bに取り付けられた状態において、中央部32bの上面は、段部217の下面と離間している。この中央部32bの上面と段部217の下面とが離間して形成された空間には、後述するシール材4bの周縁部42bが挿入される。
【0094】
基端部33bは、中央部32bよりも径が大きな部位であり、径方向の中心に、エアゾール容器CのステムStが嵌め込まれる開口が形成されている。基端部33bの外周縁近傍は、筒部21bの筒部係合部213bに嵌め込まれる。これにより、基部3bは筒部21bに取り付けられる。
【0095】
<シール材4b>
シール材4bは、内部通路Piおよび内部空間Sからなる導入通路内に設けられる。より具体的には、本実施形態では、シール材4bは、内部通路Piと収容空間Saとを区画するよう配置されている。シール材4bは、弾性を有する部材であり、上に凸の湾曲した中央部41bと、中央部41bの周縁に形成された周縁部42bとからなる。また、中央部41bの中心には、上下方向に中央部41bを貫通する貫通孔43bが形成されている。貫通孔43bは、自然状態において、充分に径が小さい。周縁部42bは、基部3bの中央部の上面と段部217の下面とが離間して形成された空間に挿入される部位である。挿入された周縁部42bは、基部3bの中央部32bの上面と段部217の下面とにより挟持される。
【0096】
<ボール5>
ボール5は、本体部2bの先端部27bにおける内部空間Sに配置され、吐出口24を閉止するよう先端部27bに押し当てられる部材である。ボール5は、先端部27bに押し当てられた状態において、少なくとも一部が吐出口24から外方に突出している。また、ボール5は、適用箇所Pに押し当てられる押当面51を有する。ボール5は、押当面51が適用箇所Pに押し当てられることにより、吐出口24を開放するよう変位し得る。ボール5は、飛散防止板9を介してスポンジ部材6の上面に保持されており、スポンジ部材6の弾性力により上方向に付勢され、吐出口24に押し当てられている。
【0097】
次に、本実施形態の塗布部材1bを用いて、内容物を適用箇所Pに塗布する際の動作について説明する。
【0098】
<塗布部材1bへの内容物の取り込み動作>
塗布部材1bに内容物を取り込む際の動作が、
図5に加え、
図6および
図7を参照して説明される。
図6は、本実施形態の塗布部材1bを押し下げた状態を示す模式的な断面図である。
図7は、本実施形態の塗布部材1bに内容物を収容した状態を示す模式的な断面図である。
【0099】
本実施形態の塗布部材1bは、
図5に示されるように、まず、エアゾール容器Cに取り付けられ、その後、本体部2bに内容物を取り込むために、ステムStが押し下げられる。
図6に示されるように、塗布部材1bが下方に押し下げられると、加圧された内容物が、容器本体CaからステムStを介して内部通路Piに取り込まれる。その後、内容物は、シール材4bの上に凸に湾曲した中央部41bに対して、下面を押圧しながら貫通孔43bに到達する。この際、加圧された内容物が中央部41bの下面に沿って貫通孔43bに向かうため、貫通孔43bが拡径されるように中央部41bを変形される。その結果、内容物は、押し拡げられた貫通孔43bを通過し、内部空間Sに取り込まれる。矢印A4は、内部空間Sに取り込まれる内容物の流れる方向を示している。内部空間Sに取り込まれた内容物は、スポンジ部材6を通過した後、ボール5を下方から上方へ持ち上げる。これにより、ボール5は、吐出口24を閉止する。この際、ボール5は、取り込まれた内容物のうち、気体成分(気化した液化ガス)を吐出口24から外部に放出し、液体成分(液体状態にある液化ガス)を外部に放出しない程度に吐出口24に押し当てられる。
【0100】
ステムStの押し下げが止められると、シール材4bは自然状態に復元される。ここで、収容空間Saに取り込まれた内容物は、加圧されている。そのため、シール材4bの中央部41bの上面は、
図7に示されるように、収容空間Saに取り込まれた内容物により押圧される。矢印A5は、内部空間Sに取り込まれた内容物が、中央部41bの上面を加圧している方向を示している。上記のとおり、貫通孔43bは、自然状態において充分に径が小さい。その結果、収容空間Saに収容された内容物によって中央部41bの上面が押圧されると、貫通孔43bは変形し、一時的に閉塞される。これにより、貫通孔43bの周囲に存在する液体状態の内容物は、貫通孔43bを逆流することなく、筒部21bの内部空間S(収容空間Sa)に収容され続ける。
【0101】
<取り込まれた内容物の吐出動作>
取り込まれた内容物を適用箇所Pに吐出するために、塗布部材1bは、まず、エアゾール容器Cから取り外される。この際、上記のとおり、内部空間Sに収容された内容物は、中央部41bの上面を押圧して中央部41bを幾分変形させており、貫通孔43bを閉塞させている。その結果、内部空間Sに収容された内容物は、シール材4bの貫通孔43bから逆流して漏れ出すことが防がれる。また、本実施形態の塗布部材1bは、基部3bの内部通路Piの長さが比較的短い。すなわち、ステムStからシール材4bまでの距離が短い。そのため、仮に基部3bの内部通路Piに内容物が残留している場合であっても、このような内容物は少量であるため、取り外した際に漏れや飛び散りが発生しにくい。
【0102】
次いで、塗布部材1bは、ボール5の押当面51が、適用箇所Pに押し当てられる。これにより、ボール5は、吐出口24を開放するよう変位させられる。その結果、収容空間Saに収容された内容物は、外部との圧力差に従って、吐出口24から吐出され得る。この際、内容物は、収容空間Saに収容された所定量のみが吐出される。また、変位されたボール5は、円盤状の飛散防止板9を介してスポンジ部材6を押圧する。そのため、ボール5からスポンジ部材6に加えられる押圧力は、飛散防止板9により均一に分散される。また、ボール5によってスポンジ6が押圧されると、スポンジ6に吸収されていた内容物もまた、収容空間Saに押し出され、その後噴射される。その際、スポンジ6から押し出された内容物は、飛散防止板9によって勢いが弱められてから噴射される。そのため、従来のように内容物が勢いよく吐出され続けることがなく、塗布部材1bは、目元などの適用箇所Pにも安全に適用することができる。
【0103】
以上、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明したが、本発明の塗布部材は、たとえば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0104】
(1)上記実施形態(第1の実施形態)では、O−リングを備える塗布部材について例示した。本発明は、これに代えて、O−リングが省略されてもよい。O−リングが省略される場合、シール材は、基部の外周面(連通孔が形成された位置)だけでなく、筒部の内周面にも密着するよう構成されていることが好ましい。これにより、連通孔が開放されて内部空間に内容物が取り込まれる場合に、取り込まれた内容物が挿入口から漏れ出すことが防がれる。
【0105】
(2)上記実施形態(第1の実施形態および第3の実施形態)では、筒部にスポンジ部材が設けられている場合について例示した。本発明は、これに代えて、スポンジ部材が省略されてもよい。すなわち、第2の実施形態において上記したとおり、筒部と基部との寸法をそれぞれ調整することにより、ボールの上下方向の移動距離を制限してもよい。
【0106】
(3)上記実施形態(第1の実施形態および第2の実施形態)では、筒部に上蓋が取り付けられている場合について例示した。本発明は、これに代えて、上蓋が省略されてもよい。すなわち、第3の実施形態において上記したとおり、筒部を弾性のある部材により構成し、筒部の先端に吐出口を形成することにより、ボールを吐出口に押し拡げて筒部の中に配置してもよい。
【0107】
(4)上記実施形態では、適用箇所に内容物を塗布する際に、塗布部材を取り外してから適用箇所に押し当てて使用する場合について例示した。塗布部材を取り外して使用することにより、エアゾール容器と一体的に使用する場合と比べ、軽量かつ小型であるため、取扱性がよい。しかしながら、本発明は、これに代えて、塗布部材をエアゾール容器から取り外さずにそのまま使用してもよい。この場合、使用者は比較的小型である塗布部材ではなく、エアゾール容器を把持して使用する。そのため、塗布部材が取り付けられたエアゾール容器をしっかりと保持して使用することができる。
【0108】
(5)上記実施形態では、吐出口を開閉する部材の一例として、ボールを例示した。本発明は、これに代えて、吐出口を適宜開閉することのできる部材に変更してもよい。このような部材としては、上に凸の湾曲形状を有する板状の部材や、押当面が適用箇所に押し当てられた場合のみ弾性変形して通路が開通するような微細な貫通孔を形成した部材等が例示される。
【0109】
(6)上記実施形態では、シール材(逆止弁の一例)が、バルブから収容空間に至る導入通路のうち、主に基部と本体部との間に配置される場合について例示した。本発明は、これに代えて、逆止弁は、導入通路内であればいずれの場所に配置されてもよい。たとえば、逆止弁は、基部における、バルブのステムが装着される部位(ステム挿入部)に配置されてもよい。